JP4002537B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ等の画像形成装置で採用されている電子写真法、静電記録法、静電印刷法等の現像プロセスにおいて用いられる静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
乾式電子写真法において、静電潜像を可視像化するために使用されるトナーは、一般に、熱可塑性の結着樹脂に、着色剤や電荷制御剤、及び磁性粉などの添加剤を予備混合後、溶融混練、粉砕、分級の工程を経て、所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。
【0003】
このようなトナーを用いる画像形成装置では、画像形成の高速化、装置の長寿命化などの要求とともに、省電力化の要求も高まっており、例えば静電潜像を現像して得られるトナー像の用紙への定着を低温で行うようになってきている。このため、低温定着性に優れたトナーが求められている。
【0004】
トナーの低温定着性を高めるためには、用いる結着樹脂の分子量分布における最大ピークの分子量を限界まで下げる必要がある。また、高温オフセット防止のために使用されている高分子量成分やゲル成分が、定着性に悪影響を及ぼさないように、例えばその使用量を可及的に減量することも必要である。さらに、ガラス転移点が可及的に低い結着樹脂を使用することにより、低温でトナーが溶融するようにすることも行われている。
【0005】
ところで、上述したトナーにおいて、低温定着性を高めるために、結着樹脂の分子量最大ピークを下げすぎてしまうと、逆に樹脂の強度低下を引き起こし、結果的には定着性が悪化してしまうこととなる。さらに、高温オフセット防止のための高分子量成分との物性差が大きくなり、高分子量成分が適正に機能しなくなり、高温オフセットを防止することが困難となってしまう。
【0006】
また、ガラス転移点が低い結着樹脂を用いる場合、ガラス転移点が必要以上に低いと、トナーが高温下に保持されたとき、直ちにトナーの一部が溶融固化してしまうという不都合を生じる。トナーの一部が溶融固化してしまうと、トナーが凝集粒となり、トナーの帯電性が損なわれたり、画像上に凝集を生じてしまうなどの画像欠陥が発生してしまう。さらには、感光体上へのトナー付着、フィルミングなどの問題も生じてしまうおそれがある。
【0007】
従って、低温定着性に優れたトナーに関しては、適切な分子量分布を有し、且つ適切なガラス転移点を有することが必要であり、従来から種々の提案がなされている(特許文献1〜5)。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−72505号公報
【特許文献2】
特開平5−297630号公報
【特許文献3】
特許第3295792号公報
【特許文献4】
特許第3230043号公報
【特許文献5】
特開平11−282205号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1は、トナーの結着樹脂として、分子量分布に2つのピークを有するものを使用するというものであるが、定着性及び耐オフセット性の向上が認められるものの、トナーの定着性以外のカブリなどの画像特性や、感光体へのトナー付着など感光体への影響についての考慮はされていない。
【0010】
特許文献2は、結着樹脂の分子量分布における最大ピークの分子量や極小値を一定の範囲とするというものであるが、定着性や画像特性をある程度向上させ得るにとどまり、その向上効果は未だ不満足である。例えば、特許文献1では、わずか1000枚程度の印字試験で画像特性を判定しているに過ぎない。
【0011】
特許文献3及び4は、結着樹脂の分子量分布における最大ピークの分子量、極小値及び酸価を一定の範囲とすることにより、トナーの定着性を向上させるというものであるが、低温定着性の点での向上効果の点で、十分とは言えない。
【0012】
特許文献5は、結着樹脂のガラス転移点の吸熱開始温度と分子量ピークの最大ピークを一定の範囲としたものであるが、かかる特許文献のトナーも、低温定着性の点で満足し得ない。
【0013】
従って本発明の目的は、低温での定着性及び耐オフセット性に優れていると共に、感光体へのトナー付着を有効に回避することができ、さらに、画像特性に優れ、カブリなどが抑制された良好な画質を得ることのできる静電潜像現像用トナーを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、スチレン系共重合樹脂を結着樹脂として含有し且つ接触定着方式に用いる静電潜像現像用トナーにおいて、
該トナーのテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算での分子量分布は、低分子量ピークMAと中分子量ピークMBと高分子量ピークMCとの少なくとも3つのピークを有し、低分子量ピークMAは分子量が3000〜9000の低分子量領域に存在し、中分子量ピークMBは、式: 1.5<MB/MA≦5 を満足し、且つ分子量が10,000〜20,000の中分子量領域に存在し、高分子量ピークMCは、分子量が100,000〜300,000の高分子量領域に存在していると共に、
前記結着樹脂は、前記低分子量領域に分子量を有する低分子量成分を60乃至85重量%、前記中分子量領域に分子量を有する中分子量成分を10乃至30重量%、及び前記高分子量領域に分子量を有する高分子量成分を5乃至15重量%の量で含有していることを特徴とする接触定着方式に用いる静電潜像現像用トナーが提供される。
尚、この接触定着方式とは、定着ローラや定着ベルトを用いての定着方式を意味するものであり、例えばフラッシュ定着方式のように光を利用した非接触定着方式を除外する意味である。
【0015】
本発明においては、電荷制御剤として、第四級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂を含有していることが好ましい。
【0016】
本発明のトナーでは、結着樹脂として、スチレン系共重合樹脂を使用するとともに、トナーのTHF可溶分の分子量分布が所定の領域に低分子量ピーク(MA)、中分子量ピーク(MB)及び高分子量ピーク(MC)の少なくとも3つのピークを有していること、換言すると、このような3つのピークを有するように所定の領域に重量平均分子量を有する低分子量成分、中分子量成分及び高分子量成分の3成分ブレンド物を結着樹脂として使用するか、又は樹脂製造の際にその重合過程を制御することにより、3つのピ−クを有するようにした樹脂を結着樹脂として使用することが重要な特徴である。
【0017】
即ち、上記低分子量ピーク(MA)を発現させる低分子量の結着樹脂成分は、特に低温定着性の向上に寄与し、さらに高分子量ピーク(MC)を発現させる高分子量の結着樹脂成分は、耐オフセット性の向上に寄与するものであるが、本発明では、これらに加えて、中分子量ピーク(MB)を発生する中分子量の結着樹脂成分が適量使用されている。このような中分子量の結着樹脂成分が存在することにより、高分子量結着樹脂成分と低分子量結着樹脂成分との相溶性が高められ、定着性及び耐オフセット性の一層の向上がもたらされるばかりか、カブリ等の発生も有効に抑制され、さらにトナーの感光体への付着も有効に回避することが可能となる。例えば、従来公知のトナーのように、結着樹脂が低温定着性に寄与する低分子量成分と、耐オフセット性に寄与する高分子量成分の2成分のみからなる場合には、両成分の相溶性が低く、両成分が独立して存在してしまうため、低温定着性や耐オフセット性の向上が不満足となってしまう。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、結着樹脂中に、着色剤などのトナー配合剤を分散させることにより得られる。
【0019】
[結着樹脂]
本発明において、結着樹脂としては、スチレン系共重合樹脂が使用される。スチレンとの共重合に使用される共重合モノマーとしては、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。これら共重合モノマーは、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合させることができる。このような共重合モノマーは、全モノマー(スチレンと共重合モノマーとの合計量)当たり、15乃至70重量%の量で使用するのがよい。
【0020】
また、このようなスチレン系共重合樹脂からなる結着樹脂は、トナーのTHF可溶分の分子量分布が、所定の領域に低、中及び高分子量ピークを有するように、低分子量成分、中分子量成分及び高分子量成分の3種ブレンドにより得られるものか、又は樹脂製造の際にその重合過程を制御することにより、3つのピ−クを有するようにしたものでなければならない。
【0021】
例えば、低分子量成分としては、GPCによるポリスチレン換算での分子量分布において、ピーク分子量(MA)が3,000乃至9,000の範囲にあるスチレン系共重合樹脂が使用され、かかる低分子量成分の使用により、優れた低温定着性を確保することができる。低分子量成分の重量平均分子量Mwが上記範囲よりも低いと、以下の高分子量成分や中分子量成分を組み合わせたとしても高温オフセットを防止することができず、また感光体へのトナー付着も生じるようになってしまう。さらに、ピーク分子量が上記範囲よりも大きいと、低温定着性が低下してしまい、例えば150℃以下での低温定着が困難となってしまう。
【0022】
また、高分子量成分としては、例えばGPCによるポリスチレン換算での分子量分布において、ピーク分子量が100,000乃至300,000の範囲にあるスチレン系共重合樹脂が使用され、かかる高分子量成分の使用により、優れた耐オフセット性を確保することができ、高温オフセットを有効に防止することができる。例えば、高分子量成分のピーク分子量が上記範囲よりも小さいと、高温オフセットを防止することができず、さらにピーク分子量が上記範囲よりも大きいと、高温オフセットを防止することはできても低温定着性が損なわれてしまう。
【0023】
さらに中分子量成分としては、GPCによるポリスチレン換算での分子量分布において、ピーク分子量(MB)が10,000〜20,000の領域にあり、且つ該ピーク分子量(MB)と、前記低分子量成分のピーク分子量(MA)との比(MB/MA)が下記式:
1.5<MB/MA≦5
特に、
2≦<MB/MA≦4.5
の範囲にあるスチレン系共重合樹脂が使用される。このようなピーク分子量(MB)を有する中分子量成分を使用することにより、上記の低分子量成分と高分子量成分の相溶性が高められ、それぞれの特性が最大限に発揮され、低温定着性及び耐オフセット性の著しい向上がもたらされるのである。例えば、MB/MAが上記範囲外である場合或いはMBの分子量範囲が上記領域外である場合には、中分子量成分の分子量が、低分子量成分側或いは高分子量成分側の何れかへシフトし過ぎてしまうため、低分子量成分と高分子量成分との相溶化が低下し、低温定着性や耐オフセット性の向上効果が希薄となってしまう。
【0024】
本発明において、上記の低、中及び高分子量成分は、通常、低分子量成分を最も多量に使用することが好ましく(即ち、トナーのTHF可溶分の分子量分布において、最大ピークが3,000〜9,000の領域に存在する)、低分子量成分の使用量が少ないと(他の分子量成分のピークが最大となると)、低温定着性が損なわれてしまう傾向がある。具体的には、結着樹脂当り、低分子量成分の含有量は60乃至85重量%、中分子量成分の含有量は10乃至30重量%、高分子量成分の含有量は5乃至15重量%の範囲にあるが好適である。
【0025】
また、本発明においては、上述した低、中及び高分子量成分からなる結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、50乃至65℃、特に50乃至60℃の範囲にあることが必要である。このガラス転移点が、上記範囲よりも低いと、得られたトナー同士が現像器内で融着し、保存安定性が低下してしまう。また、樹脂強度が低いため、感光体へのトナー付着が生じる傾向がある。さらに、ガラス転移点が上記範囲よりも高いと、トナーの低温定着性が低下してしまう。
尚、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ社製示差走査熱量計DSC−6200を用い、吸熱曲線を測定することで求めた。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/minで常温常湿下にて測定を行った。測定された吸熱曲線の変曲点において、その前後の接線の交点をガラス転移点とする。
【0026】
[トナー配合剤]
本発明のトナーでは、公知のものと同様、色調を調整するために、カーボンブラックの如き顔料やアシッドバイオレットの如き染料を着色剤として結着樹脂中に分散させる。かかる着色剤は、通常、上記結着樹脂100重量部当り1乃至10重量部の量で配合される。
【0027】
また、上記の着色剤以外にも、電荷制御剤、ワックスなどを配合することができ、さらには、必要により磁性粉を配合することもできる。
【0028】
電荷制御剤は、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために配合されるものである。即ち、トナーを正帯電させて現像に供する場合には、正帯電性の電荷制御剤を添加し、負帯電させて現像に供する場合には、負帯電性の電荷制御剤を添加することができる。
【0029】
このような電荷制御剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンなどのアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープブラック3RLなどのアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体などのニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZなどのニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を例示することができ、これらは、1種単独でも2種以上を併用して使用することもできる。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、正帯電性トナーとしての使用には最適である。
【0030】
また、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩或いはカルボキシル基を官能基として有する樹脂またはオリゴマーなども正帯電性電荷制御剤として使用することができる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
【0031】
特に、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、最適である。この場合において、上記スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
【0032】
負帯電性を示す電荷制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としてはアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシヤリーブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体またはサリチル酸系金属塩が好ましい。
【0033】
上述した正帯電性或いは負帯電性の電荷制御剤は、一般に、1.5乃至15重量%、好ましくは2.0乃至8.0重量%、最も好ましくは3.0乃至7.0重量%の量でトナー中に含まれているのがよい(即ち、トナーの全体量を100重量%とする)。電荷制御剤の添加量が上記範囲よりも少量であると、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となる傾向があり、該トナーを用いて静電潜像の現像を行って画像形成を行ったとき、画像濃度が低くなったり、画像濃度の耐久性が低下する傾向がある。また、電荷制御剤の分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなる等の傾向がある。一方、電荷制御剤が上記範囲よりも多量に使用されると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
【0034】
本発明においては、上記の4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂の中でも、前述した結着樹脂の中分子量成分と同様の重量平均分子量を有するものを使用することが最も好適である。即ち、このような官能基含有スチレン−アクリル系共重合樹脂を正電荷制御剤として使用することにより、電荷制御機能が適切に発揮されるだけではなく、前述した中分子量成分の相溶化作用が一層高められ、定着性の向上がもたらされる。
【0035】
定着性やオフセット性を向上させるために使用されるワックス類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。また、これらワックスは2種以上を併用しても構わない。かかるワックスを添加することにより、オフセット性や像スミアリングをより効率的に防止することができる。
【0036】
なお、フィッシャートロプシュワックスは、一酸化炭素の接触水素化反応であるフィッシャートロプシュ反応を利用して製造される合成ワックスであり、イソ(iso)構造分子や側鎖が少ない直鎖炭化水素化合物である。また、フィッシャートロプシュワックスの中でも、重量平均分子量が1000〜3000の範囲にあり、かつ100乃至120℃の範囲内にDSCによる吸熱ボトムピークを有するものがより好ましい。このようなフィッシャートロプシュワックスとしては、サゾール社から入手できるサゾールワックスC1(H1の結晶化による高分子量グレード、吸熱ボトムピーク:106.5℃)、サゾールワックスC105(C1の分留法による精製品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)、サゾールワックスSPRAY105(C105の微粒子品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)等が挙げられる。
【0037】
上述したワックス類は、特に制限されるものではないが、一般に、トナー中に(トナー全体量を100重量%とする)、1乃至5重量%の量で配合されていることが好ましい。ワックス類の添加量が1重量%未満では、オフセット性や像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向があり、一方、5重量%を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。
【0038】
本発明のトナーは、それ単独で一成分現像剤として使用することもできるし、磁性キャリアと組み合わせて二成分現像剤として使用することもできる。一成分現像剤として使用する場合には、結着樹脂中には磁性粉が配合される。
【0039】
このような磁性粉としては、それ自体公知のもの、例えば、フェライト、マグネタイトを初めとする鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属、もしくは合金またはこれらの元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、または二酸化クロム等を挙げることができる。
【0040】
これらの磁性粉は、平均粒子径が0.1乃至1μm、特に0.1乃至0.5μmの範囲内の微粉末の形で、上述した結着樹脂中に均一に分散される。また、磁性粉は、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施して使用することもできる。
【0041】
また磁性粉は、トナー中に35乃至60重量%、特に40乃至60重量%の量で含有されていることが好ましい。上記範囲よりも多量に磁性粉を用いると、画像濃度の耐久性が悪くなり、また、定着性が極度に低下する傾向があり、上記範囲よりも少量では、画像濃度耐久性におけるカブリが悪くなってしまう。
【0042】
本発明のトナーは、前述した結着樹脂と各種のトナー配合剤とを混合し、押出機等の混練機を用いて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕及び分級することにより得られ、このようにして得られるトナーは、結着樹脂が所定の重量平均分子量を有する低、中及び高分子量成分のブレンドであることから、そのTHF可溶分のGPSによるポリスチレン換算の分子量分布曲線は、低分子量ピークMAと中分子量ピークMBと高分子量ピークMCとの少なくとも3つのピークを有し、低分子量ピークMA(ピーク分子量)は分子量が3000〜9,000の領域に存在し、中分子量ピークMB(ピーク分子量)は、下記式:
1.5<MB/MA≦5
好ましくは、
2≦<MB/MA≦4.5
を満足し、且つ分子量が10,000〜20,000の領域に存在し、高分子量ピークMCは、分子量が100,000〜300,000の領域に存在するものとなる。
【0043】
上記のトナーは、一般に、その平均粒径が5乃至10μm程度に分級及び粒度調整されているのがよい。また、かかるトナーは、必要により、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン等の微粒子(通常、平均粒径が1.0μm以下)を外添し、それ単独で一成分現像剤として、或いはさらに磁性キャリアと混合して二成分現像剤として、感光体表面に形成された静電潜像の現像に使用される。
【0044】
尚、上記の微粒子外添剤は、トナーの表面処理によって、流動性、保存安定性、クリーニング性等を向上させるために使用されるものであり、通常、トナー当り、0.2乃至10.0重量%の量で使用される。また、これら微粒子の外添は、磁性トナーと乾式で攪拌混合することにより行われるが、この攪拌混合は、微粒子がトナー中に埋め込まれないように、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーなどを用いて行うのがよい。
【0045】
また、二成分現像剤として使用する場合において、磁性キャリアとしては、フェライトや鉄粉などの磁性粒子が使用され、これらは必要により、シリコン樹脂等でコートされたものであってもよい。磁性キャリア粒子の平均粒径は、通常、30乃至100μmの範囲にあるのがよい。また、トナーと磁性キャリアとの混合比は、一般に、トナー:磁性キャリア=3:97乃至15:85(重量比)の範囲内にあるのがよい。
【0046】
本発明のトナーは、摩擦帯電により正または負極性に摩擦帯電せしめた状態で、マグネット内蔵現像スリーブ上に供給して、磁気ブラシを形成せしめ、この磁気ブラシを静電潜像が形成されている感光体表面に摺擦せしめることにより(或いは磁気ブラシと感光体表面とを非接触で)、該静電潜像の現像が行われる。磁気ブラシを感光体表面に摺擦して現像を行う場合には、感光体と現像スリーブとの間にバイアス電界を印加し、また磁気ブラシと感光体表面とが非接触で現像を行う場合には、現像スリーブと感光体との間に振動電界(交番電界)を印加するのがよい。このような現像により感光体表面に形成されたトナー像は、所定の用紙に転写され、定着ロールによる加熱によって用紙表面に定着される。
【0047】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0048】
まず、本発明に用いる結着樹脂に用いる低分子量成分の樹脂を以下のようにして製造した。尚、以下の例において、「部」は、特記しないかぎり、「重量部」を意味する。
【0049】
(共重合樹脂合成例A)
温度計、撹拌機、窒素導入管のついた反応器中にキシレン300部を入れ、窒素気流下で、スチレン845部、アクリル酸n−ブチル155部の混合モノマーとジ−tert−ブチルペルオキサイド(重合開始剤)8.5部とキシレン125部の混合溶液を用いて、170℃で3時間かけて滴下した。滴下後、170℃で1時間反応させ、重合を完了した。その後、脱溶剤して実施例1の低分子量成分に使用する共重合樹脂Aを得た。
【0050】
(共重合樹脂合成例B)
混合モノマーとしてスチレン820部、アクリル酸n−ブチル180部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを8.2部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例2、比較例4、比較例7の低分子量成分に使用する共重合樹脂Bを得た。
【0051】
(共重合樹脂合成例C)
混合モノマーとしてスチレン835部、アクリル酸n−ブチル165部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを8.0部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例3、比較例5、比較例6の低分子量成分に使用する共重合樹脂Cを得た。
【0052】
(共重合樹脂合成例D)
混合モノマーとしてスチレン850部、アクリル酸n−ブチル150部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを8.8部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例4、比較例3の低分子量成分に使用する共重合樹脂Dを得た。
【0053】
(共重合樹脂合成例E)
混合モノマーとしてスチレン900部、アクリル酸n−ブチル100部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを9.0部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして比較例1の低分子量成分に使用する共重合樹脂Eを得た。
【0054】
(共重合樹脂合成例F)
混合モノマーとしてスチレン810部、アクリル酸n−ブチル190部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを8.1部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして比較例2の低分子量成分に使用する共重合樹脂Fを得た。
【0055】
(共重合樹脂合成例G)
混合モノマーとしてスチレン870部、アクリル酸n−ブチル130部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを9.0部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして比較例8の低分子量成分に使用する共重合樹脂Gを得た。
【0056】
また、本発明に用いる結着樹脂に用いる中分子量成分の樹脂を以下のようにして製造した。
【0057】
(共重合樹脂合成例H)
混合モノマーとしてスチレン800部、アクリル酸n−ブチル200部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを8.0部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例1、比較例1、比較例7の中分子量成分に使用する共重合樹脂Hを得た。
【0058】
(共重合樹脂合成例I)
混合モノマーとしてスチレン770部、アクリル酸n−ブチル230部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを7.8部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例2の中分子量成分に使用する共重合樹脂Iを得た。
【0059】
(共重合樹脂合成例J)
混合モノマーとしてスチレン755部、アクリル酸n−ブチル245部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを7.5部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例3、比較例2、比較例5、比較例6、比較例8の中分子量成分に使用する共重合樹脂Jを得た。
【0060】
(共重合樹脂合成例K)
混合モノマーとしてスチレン790部、アクリル酸n−ブチル210部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを8.0部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例4の中分子量成分に使用する共重合樹脂Kを得た。
【0061】
(共重合樹脂合成例L)
混合モノマーとしてスチレン810部、アクリル酸n−ブチル190部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを8.1部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例4の中分子量成分に使用する共重合樹脂Lを得た。
【0062】
(共重合樹脂合成例M)
混合モノマーとしてスチレン740部、アクリル酸n−ブチル260部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを7.3部とした以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例4の中分子量成分に使用する共重合樹脂Mを得た。
【0063】
また、本発明に用いる結着樹脂に用いる高分子量成分の樹脂を以下のようにして製造した。
【0064】
(共重合樹脂合成例N)
混合モノマーとしてスチレン730部、アクリル酸n−ブチル270部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを1.4部とし、滴下後、170℃で2時間反応させた以外は共重合体合成例Aと同様にして実施例1、比較例1、比較例8の高分子量成分に使用する共重合樹脂Nを得た。
【0065】
(共重合樹脂合成例P)
混合モノマーとしてスチレン720部、アクリル酸n−ブチル280部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを1.2部とした以外は共重合体合成例Nと同様にして実施例2、比較例4、比較例7の高分子量成分に使用する共重合樹脂Pを得た。
【0066】
(共重合樹脂合成例Q)
混合モノマーとしてスチレン710部、アクリル酸n−ブチル290部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを1.2部とした以外は共重合体合成例Nと同様にして実施例3、比較例2の高分子量成分に使用する共重合樹脂Qを得た。
【0067】
(共重合樹脂合成例R)
混合モノマーとしてスチレン740部、アクリル酸n−ブチル260部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを1.3部とした以外は共重合体合成例Nと同様にして実施例4、比較例3、比較例7の高分子量成分に使用する共重合樹脂Rを得た。
【0068】
(共重合樹脂合成例S)
混合モノマーとしてスチレン720部、アクリル酸n−ブチル280部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを2.0部とした以外は共重合体合成例Nと同様にして比較例5の高分子量成分に使用する共重合樹脂Sを得た。
【0069】
(共重合樹脂合成例T)
混合モノマーとしてスチレン680部、アクリル酸n−ブチル320部を用い、重合開始剤に用いるジ−tert−ブチルペルオキサイドを1.1部とした以外は共重合体合成例Nと同様にして比較例6の高分子量成分に使用する共重合樹脂Tを得た。
【0070】
実施例1
結着樹脂として、共重合樹脂Aと共重合樹脂Hと共重合樹脂Nを以下の重量比比率で粉砕混合した樹脂の混合物49重量部に、磁性粉(EPT−1000、戸田工業製)45重量部、離型剤としてのワックス(サゾ−ルワックスC1、サゾ−ル製)3重量部、正電荷制御剤として4級アンモニウム塩含有スチレン−アクリル共重合樹脂(ボントロンP−51、オリエント化学製)3重量部を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、2軸押出機にて溶融混練してドラムフレーカーで冷却し、ハンマーミルにて租粉砕した。機械式粉砕機にてさらに微粉砕したものを気流式分級機により分級し、体積平均粒径7.0μmの磁性トナーを得た。
A:H:N=75:15:10
【0071】
上記トナーの分子量分布をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下のように測定した。なお、測定には東ソー製HLC-8220GPCを使用し、カラムは東ソー製TFKgel(2連)を用いた。
トナー100mgとテトラヒドロフラン(THF)20mlを混合し、均一に溶解させる。その後、ポア径0.45μm耐溶剤性メンブランフィルターでろ過し、GPCの試料とした。
測定に際しては、GPC装置のカラムを40℃で安定化させた後、この温度でカラムに毎分1mlの流速でTHF試料溶液を約100μl注入して測定した。試料の分子量分布は、数種の単分散ポリスチレン標準試料を用いて作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出される。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、分子量500〜100万のポリスチレンを用いた。
【0072】
上記で得られたトナー粉体(磁性トナー)に、酸化チタン(平均粒径0.03μm、BET比表面積150m2/g)を2重量%、シリカ(RA200H、日本アエロジル製)を0.5重量%、ヘンシェルミキサーにより外添し、磁性トナー粉末の表面に付着させて磁性一成分正帯電現像剤を調製した。
【0073】
この現像剤を用い、a−Si感光体搭載京セラ製ページプリンタ(FS-3800)を用い、初期画像特性、耐久性を評価し、併せて帯電特性を測定した。トナ−のピ−ク分子量等を表2に示し、測定結果を表3に示した。
尚、各特性の評価方法は、以下の通りである。
【0074】
(1)帯電特性
上記磁性トナー4重量部とフェライトキャリア100重量部を混合して、通常環境にて、60分間摩擦帯電させた時の帯電量(μC/g)を初期帯電量とした。
また、上記ページプリンタを用いて、上記現像剤により画像形成を行い、10万枚連続通紙(印字率5%)を行った時のトナーの帯電量を耐久後の帯電量とした。
上記の初期帯電量及び耐久後の帯電量は、それぞれTRek社製帯電量測定装置(Q/M Meter210HS)を用いて測定した。測定の詳細は以下の通りである。初期帯電量は12〜20μC/g、耐久後帯電量は10〜20μC/gをOKと判断した。
上記磁性トナー4重量部とフェライトキャリア100重量部を常温常湿環境において混合した後、ボールミルにて60分間撹拌し摩擦帯電させた時の帯電量を初期帯電量とした。耐久評価後の帯電量も同様にして測定した。測定は現像剤約100mgの帯電量を測定し、その際の重量変化から1gあたりの帯電量を求めた。
【0075】
(2)画像特性
常温常湿環境(20℃、65%RH)にて初期時に上記ページプリンタにより画像評価パターンを印字して初期画像とし、その後、10万枚連続通紙を行い、再度画像評価パターンを印字して耐久後画像とし、それぞれソリッド画像をマクベス反射濃度計(RD914)を用いて測定し、同時にカブリを目視観察することにより画像特性評価を行った。
初期の画像濃度は1.30以上、耐久後の画像濃度は1.25以上をOKとした。またカブリの評価は以下の判断基準を用いた。
○:カブリは見られない
△:ややカブリを生じている
×:カブリがひどい
【0076】
(3)定着特性
上記ページプリンタの定着温度を制御させることで、定着率およびオフセット性の評価を行なった。
ここで最低定着温度は、定着率が95%を越える際の定着ローラーの温度をいう。
【0077】
尚、定着率とは綿布で包んだ黄銅製分銅で1kgの荷重をかけ、印字した定着評価パターンのソリッド画像を10往復擦り、擦る前後での画像濃度をマクベス反射濃度計にて測定したときの濃度比率である。
○:定着率が95%以上
△:定着率が90%以上〜95%未満
×:定着率が90%未満
【0078】
最低定着温度の評価には以下の判断基準を用いた。
○:150℃以下を○
△:150℃より高く160℃以下
×:160℃より高い
【0079】
またオフセット性の評価は目視にて行い、高温オフセットが発生する最低温度をオフセット発生温度とした。オフセット発生温度の評価には以下の判断基準を用いた。
○:200℃以上を○
△:200℃より低く190℃以上
×:190℃より低い
【0080】
(4)定着保存性
トナーを50℃に設定した恒温乾燥機に入れ、100時間放置後の固化及び凝集状態を確認することで耐熱保存性の評価を行った。
○:凝集はみられない
△:微量の凝集粒が発生
×:固化及び凝集が発生
【0081】
実施例2〜4、比較例1〜8
表1に示す重量比で使用された各共重合樹脂の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして磁性トナーを調製し、実施例1と全く同様の評価を行い、その結果を表3に示した。なお、各実施例と比較例に用いたトナ−のピ−ク分子量等は表2に実施例1とあわせて示した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
表2、3の評価結果から理解されるように、本発明にしたがって結着樹脂の分子量分布、ガラス転移点を適切に設定すること、特に適切な分子量の中分子量成分を用いることにより、低温定着性、耐オフセット性、画像特性の耐久性に優れたトナーを得ることができる(実施例1〜4)。
【0086】
例えば比較例1〜6では、結着樹脂の低分子量成分、中分子量成分及び高分子量成分の重量平均分子量が適正な範囲に設定されていないため、特に定着性において悪い結果となっている。特に比較例1では、全体的に低分子量側にシフトしすぎているため、保存性も悪くなっている。
【0087】
また比較例7〜8では、低分子量成分の重量平均分子量(MA)と中分子量成分の重量平均分子量(MB)との比(MB/MA)が適正範囲外であるため、中分子量成分の相溶化効果が有効に発現せず、定着性が不満足なものとなっている。特に比較例7では、低分子量成分と高分子量成分との分子量が離れすぎているため、帯電特性の悪化も生じており、耐久試験における画像特性も悪化した。
【0088】
【発明の効果】
本発明では、スチレン系樹脂の分子量分布を適切に設定し、特に低分子量成分と高分子量成分との間の重量平均分子量を有する中分子量成分を導入し、且つ適切なガラス転移点を有するスチレン系樹脂ブレンド物を結着樹脂として使用することにより、低温での定着性及び耐オフセット性に優れていると共に、感光体へのトナー付着を有効に回避することができ、さらに、画像特性に優れ、カブリなどが抑制された良好な画質を得ることのできる静電潜像現像用トナーが得られた。
Claims (2)
- スチレン系共重合樹脂を結着樹脂として含有し且つ接触定着方式に用いる静電潜像現像用トナーにおいて、
該トナーのテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算での分子量分布は、低分子量ピークMAと中分子量ピークMBと高分子量ピークMCとの少なくとも3つのピークを有し、低分子量ピークMAは分子量が3000〜9000の低分子量領域に存在し、中分子量ピークMBは、式: 1.5<MB/MA≦5 を満足し、且つ分子量が10,000〜20,000の中分子量領域に存在し、高分子量ピークMCは、分子量が100,000〜300,000の高分子量領域に存在していると共に、
前記結着樹脂は、前記低分子量領域に分子量を有する低分子量成分を60乃至85重量%、前記中分子量領域に分子量を有する中分子量成分を10乃至30重量%、及び前記高分子量領域に分子量を有する高分子量成分を5乃至15重量%の量で含有していることを特徴とする接触定着方式に用いる静電潜像現像用トナー。 - 電荷制御剤として、第四級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂を含有している請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
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