JP2002212366A - 樹脂組成物および血液バッグ用基材 - Google Patents

樹脂組成物および血液バッグ用基材

Info

Publication number
JP2002212366A
JP2002212366A JP05687698A JP5687698A JP2002212366A JP 2002212366 A JP2002212366 A JP 2002212366A JP 05687698 A JP05687698 A JP 05687698A JP 5687698 A JP5687698 A JP 5687698A JP 2002212366 A JP2002212366 A JP 2002212366A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aromatic vinyl
vinyl compound
resin composition
random copolymer
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP05687698A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Otsu
敏昭 大津
Toru Arai
亨 荒井
Akio Okamoto
彰夫 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denki Kagaku Kogyo KK
Priority to JP05687698A priority Critical patent/JP2002212366A/ja
Priority to AU27465/99A priority patent/AU2746599A/en
Priority to PCT/JP1999/001105 priority patent/WO1999045980A1/ja
Priority to EP99907880A priority patent/EP1062957A4/en
Priority to US09/622,914 priority patent/US6630215B1/en
Publication of JP2002212366A publication Critical patent/JP2002212366A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、機械特性、特に靭性に優
れ、赤血球の保存性に優れた非軟質塩ビ系の血液バッグ
用基材に好適な新規な樹脂組成物、及びこれを用いた血
液バッグ用基材の提供にある。 【解決手段】 (A)低分子有機エステル系可塑剤30
〜0.5重量部と、(B)下記の芳香族ビニル化合物−
エチレンランダム共重合体99.5〜70重量部とを含
有する樹脂組成物および、これを形成層として含む血液
バッグ用基材である。(B)は、芳香族ビニル化合物含
量が1〜99.9モル%以下であり、2個以上の芳香族
ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルの連鎖構造を有
する芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合体

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液成分特に赤血
球含有液を貯蔵、保存するのに適した血液バッグ用に好
適な樹脂組成物及びこれを用いた血液バッグ用基材に関
する。
【0002】さらに詳しくは、本発明は機械的特性、特
に靭性に優れ、同時に良好な溶血抑制作用を有し、更に
実質的に塩素を含まない血液バッグ用に好適に用いられ
る新規な樹脂組成物及びこれを用いた血液バッグ用基材
に関する。
【0003】
【従来の技術】血液バッグは、内容液すなわち血液成分
の様子が観察できる透明性、採血、輸血、血液成分分離
等の操作を容易にする柔軟性、更にこれらの操作に耐え
得る強度、衛生性、安全性などの性質が要求される。現
在、可塑剤を含有した軟質ポリ塩化ビニル(以下軟質塩
ビと称す)が上記の要求特性をほぼ満たすことから、血
液バッグ用基材として広く用いられている。
【0004】特に赤血球成分の保存においては、軟質塩
ビ中の可塑剤が浸出し赤血球の形態変化や溶血を抑制す
る作用が認められるが、他のポリマー例えばポリエチレ
ンやポリプロピレン樹脂系ではかかる作用が見られない
ため、主として軟質塩ビが血液バッグ用基材として使用
されている。しかしながら、軟質塩ビ製の血液バッグで
は使用後のポリ塩化ビニル廃棄物の処理が問題となって
おり、血液バッグの非軟質塩ビ化へのニーズは大きく、
これまでに種々の提案がなされてきたが十分に満足すべ
き段階に達していないのが現状である。
【0005】例えば、特表平3−502298号公報に
は非軟質塩ビ樹脂(具体例としてスチレン系エラストマ
ー、ポリプロピレンなどから構成された組成物が挙げら
れている。)とクエン酸エステルとの組成物は赤血球の
溶血現象を抑制する働きがある旨記載されており、また
特開平6−319785号公報にも非軟質塩ビ樹脂(具
体例として熱可塑性ポリエステルが挙げられている。)
系組成物が記載されているが、本発明者が試みた範囲で
は、軟質塩ビにおける可塑剤の溶血抑制作用に劣り、実
用性に乏しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機械
特性、特に靭性に優れ、かつ赤血球の保存性に優れた非
軟質塩ビ系の血液バッグ用基材として好適に用いられる
新規な樹脂組成物及びこれを用いた血液バッグ用基材を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、新規なオレフ
ィン−芳香族ビニル化合物共重合体と、低分子有機エス
テル系可塑剤からなる新規な組成物により、上記の課題
を解決したものである。本発明の樹脂組成物は、機械的
特性、特に靭性に優れ、同時に良好な溶血抑制作用を有
する血液バッグ用基材として好適に用いられる。
【0008】即ち、本発明は、(A)低分子有機エステ
ル系可塑剤30〜0.5重量部と、(B)下記の芳香族
ビニル化合物−オレフィンランダム共重合体99.5〜
70重量部とを含有することを特徴とする樹脂組成物お
よび、これを形成層として含む血液バッグ用基材であ
る。(B)成分の芳香族ビニル化合物−オレフィンラン
ダム共重合体は、芳香族ビニル化合物含量が1〜99.
9モル%以下であり、2個以上の芳香族ビニル化合物ユ
ニットのヘッド−テイルの連鎖構造を有する芳香族ビニ
ル化合物−オレフィンランダム共重合体である。好まし
くは、芳香族ビニル化合物含量が1〜99.9モル%以
下であり、2個以上の芳香族ビニル化合物ユニットのヘ
ッド−テイルの連鎖構造を有する芳香族ビニル化合物−
エチレンランダム共重合体である。芳香族ビニル化合物
−オレフィンランダム共重合体の芳香族ビニル化合物含
量は、5〜99.9モル%以下であることが更に好まし
い。
【0009】この共重合体は新規共重合体であり、以下
の遷移金属化合物を用いて、または以下の製造方法によ
って得られる芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共
重合体を包含するが、特に本発明の遷移金属化合物また
は製造方法には限定されない。
【0010】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
オレフィン共重合体は一般式(3)で示される遷移金属
化合物と助触媒から構成される触媒を用い、芳香族ビニ
ル化合物とオレフィンから製造される。
【0011】
【化3】
【0012】式中、Aは非置換または置換ベンゾインデ
ニル基である。Bは、非置換または置換シクロペンタジ
エニル基、非置換または置換インデニル基、非置換また
は置換ベンゾインデニル基あるいは非置換または置換フ
ルオレニル基である。A、B共に非置換または置換ベン
ゾインデニル基である場合には両者は同一でも異なって
いてもよい。Yは、A、Bと結合を有し、置換基として
水素または炭素数1〜15の炭化水素基を有するメチレ
ン基またはシリレン基である。これらの置換基は互いに
異なっていても同一でもよい。また、Yは置換基と一体
になって環状構造を有していてもよい。Xは、水素、ハ
ロゲン、アルキル基、アリール基、シリル基、アルコキ
シ基またはジアルキルアミド基等である。Mは第IV族
金属である。
【0013】一般式(3)において、Aは好ましくは下
記の一般式化4、化5、化6で表される非置換または置
換ベンゾインデニル基である。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】上記の化4〜化6において、R1 、R2
びR3 はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、
6〜10のアリール基、7〜20のアルキルアリール
基、ハロゲン原子、OSiR3 基、SiR3 基またはP
2 基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表
す)であり、R1 同士、R2 同士及びR3 同士は互いに
同一でも異なっていても良い。また、隣接するR1 、R
2 及びR3 基は一体となって5〜8員環の芳香環または
脂肪環を形成しても良い。
【0018】非置換ベンゾインデニル基として、4,5
−ベンゾ−1−インデニル、(別名ベンゾ(e)インデ
ニル)、5,6−ベンゾ−1−インデニル、6,7−ベ
ンゾ−1−インデニルが、置換ベンゾインデニル基とし
て、4,5−ナフト−1−インデニル、4,5−ピレン
−1−インデニル、4,5−トリフェニレン−1−イン
デニル、α−アセナフト−1−インデニル、3−シクロ
ペンタ〔c〕フェナンスリル、1−シクロペンタ〔l〕
フェナンスリル基等が例示できる。
【0019】上記の一般式(3)においてBは好ましく
は、上記のAと同様の非置換または置換ベンゾインデニ
ル基、あるいは下記の一般式化7、化8、化9で示され
る非置換または置換シクロペンタジエニル基、非置換ま
たは置換インデニル基、あるいは非置換または置換フル
オレニル基である。A、B共に非置換または置換ベンゾ
インデニル基である場合には両者は同一でも異なってい
てもよい。
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】上記の化7〜9において、R4 、R5 、R
6 はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、6〜
10のアリール基、7〜20のアルキルアリール基、ハ
ロゲン原子、OSiR3 基、SiR3 基またはPR2
(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)で
あり、R4 同士、R5 同士、R6 同士は互いに同一でも
異なっていても良い。ただし、Bは、Aとラセミ体(ま
たは擬似ラセミ体)の立体関係にあることが好ましい。
【0024】非置換シクロペンタジエニル基としてはシ
クロペンタジエニルが、置換シクロペンタジエニル基と
しては4−アリール−1−シクロペンタジエニル、4,
5−ジアリール−1−シクロペンタジエニル、5−アル
キル−4−アリール−1−シクロペンタジエニル、4−
アルキル−5−アリール−1−シクロペンタジエニル、
4,5−ジアルキル−1−シクロペンタジエニル、5−
トリアルキルシリル−4−アルキル−1−シクロペンタ
ジエニル、4,5−ジアルキルシリル−1−シクロペン
タジエニル等が挙げられる。非置換インデニル基として
は1−インデニルが、置換インデニル基としては4−ア
ルキル−1−インデニル、4−アリール−1−インデニ
ル、4,5−ジアルキル−1−インデニル、4,6−ジ
アルキル−1−インデニル、5,6−ジアルキル−1−
インデニル、4,5−ジアリール−1−インデニル、5
−アリ−ル−1−インデニル、4−アリール−5−アル
キル−1−インデニル、2,6−ジアルキル−4−アリ
ール−1−インデニル、5,6−ジアリール−1−イン
デニル、4,5,6−トリアリール−1−インデニル等
が挙げられる。非置換フルオレニル基としては9−フル
オレニルが、置換フルオレニル基としては7−メチル−
9−フルオレニル、2,3−ベンゾ−9−フルオレニル
等が挙げられる。
【0025】上記の一般式(3)において、YはA、B
と結合を有し、水素または炭素数1〜15の炭化水素基
を有するメチレン基、またはシリレン基である。置換基
は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yはシク
ロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基等の環状構造
を有していてもよい。好ましくは、Yは、A、Bと結合
を有し、他に置換基を有する炭素原子であって、水素ま
たは炭素数1〜15の炭化水素基で置換された置換メチ
レン基である。炭化水素置換基としては、アルキル基、
アリ−ル基、シクロアルキル基、シクロアリ−ル基等が
挙げられる。置換基は互いに異なっていても同一でもよ
い。特に好ましくは、Yは、−CH2 −、−CMe
2 −、−CEt2 −、−CPh 2 −、シクロヘキシリデ
ン、シクロペンチリデン基等である。ここで、Meはメ
チル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を表す。
【0026】Xは、水素、ハロゲン、炭素数1〜15の
アルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜
4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1〜10
のアルコキシ基、または炭素数1〜6のアルキル置換基
を有するジアルキルアミド基である。ハロゲンとしては
塩素、臭素等が、アルキル基としてはメチル基、エチル
基等が、アリール基としてはフェニル基等が、シリル基
としてはトリメチルシリル基等が、アルコキシ基として
はメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が、ま
たジアルキルアミド基としてはジメチルアミド基等が挙
げられる。
【0027】Mは、第IV族金属でありZr、Hf、T
i等が挙げられる。特に好ましくはZrである。
【0028】かかる遷移金属化合物の例としては下記の
化合物が挙げられる。例えば、ジメチルメチレンビス
(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジク
ロリド{別名ジメチルメチレンビス(ベンゾ〔e〕イン
デニル)ジルコニウムジクロリド}、ジn−プロピルメ
チレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジi−プロピルメチレンビス(4,
5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、シクロヘキシリデンビス(4,5−ベンゾ−1−イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、シクロぺンチリデ
ンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(4,5ベンゾ
−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチル
メチレン(シクロペンタジエニル)(4,5−ベンゾ−
1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメ
チレン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−イン
デニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン
(1−フルオレニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(4−
フェニル−1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン
(4−ナフチル−1−インデニル)(4,5−ベンゾ−
1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメ
チレンビス(5,6−ベンゾ−1−インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルメチレン(5,6−ベンゾ
−1−インデニル)(1−インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、ジメチルメチレンビス(6,7−ベンゾ−1
−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチ
レン(6,7−ベンゾ−1−インデニル)(1−インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス
(4,5−ナフト−1−インデニル)ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルメチレンビス(α−アセナフト−1−
インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレ
ンビス(3−シクロペンタ〔c〕フェナンスリル)ジル
コニウムジクロリド、ジメチルメチレン(3−シクロペ
ンタ〔c〕フェナンスリル)(1−インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(1−シクロ
ペンタ〔l〕フェナンスリル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルメチレン(1−シクロペンタ〔l〕フェナ
ンスリル)(1−インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−イン
デニル)ジルコニウムビス(ジメチルアミド)等が挙げ
られる。以上、Zr錯体を例示したが、Ti、Hf錯体
も上記と同様の化合物が好適に用いられる。また、ラセ
ミ体、メソ体の混合物を用いても良いが、好ましくはラ
セミ体または擬似ラセミ体を用いる。これらの場合、D
体を用いても、L体を用いても良い。
【0029】本発明で用いる助触媒としては、従来遷移
金属化合物と組み合わせて用いられている助触媒を使用
することができるが、そのような助触媒として、アルミ
ノキサン(またはアルモキサンと記す)、またはほう素
化合物が好適に用いられる。更に本発明は、その際用い
られる助触媒が下記の一般式(4)、(5)で示される
アルミノキサン(またはアルモキサンと記す)である芳
香族ビニル化合物−オレフィン共重合体の製造方法であ
る。
【0030】
【化10】
【0031】式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、炭
素数6〜10のアリール基、または水素、mは2〜10
0の整数である。それぞれのRは互いに同一でも異なっ
ていても良い。
【0032】
【化11】
【0033】式中、R’は炭素数1〜5のアルキル基、
炭素数6〜10のアリール基、または水素、nは2〜1
00の整数である。それぞれのR’は互いに同一でも異
なっていても良い。アルミノキサンとしては好ましく
は、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、トリイ
ソブチルアルモキサンが用いられるが、特に好ましくは
メチルアルモキサンが用いられる。必要に応じ、これら
種類の異なるアルモキサンの混合物を用いてもよい。ま
た、これらアルモキサンとアルキルアルミニウム、例え
ば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウムやハロゲンを含むアル
キルアルミニウム、例えばジメチルアルミニウムクロラ
イド等を併用してもよい。
【0034】アルキルアルミニウムの添加は、スチレン
中の重合禁止剤、スチレン、溶媒中の水分等の重合を阻
害する物質の除去、重合反応に対する無害化のために効
果的である。しかし、あらかじめスチレン、溶媒等を蒸
留し、あるいは乾燥不活性ガスでのバブリングやモレキ
ュラーシーブを通す等の公知の方法でこれらの量を重合
に影響のないレベルまで低減する、あるいは用いるアル
モキサンの使用量を若干増やす、または分添すれば特に
アルキルアルミニウムを重合時に添加することは、必ず
しも必要ではない。
【0035】本発明では、上記の遷移金属化合物と共に
助触媒としてほう素化合物を用いることができる。助触
媒として用いられるほう素化合物は、トリフェニルカル
ベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレー
ト{トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボ
レート}、リチウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ト
リメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエ
チルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピ
ルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブ
チル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n
−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリル)フェニル
ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p
−エチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アン
モニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボレー
ト、トリメチルアンモニウムテトラキス−3,5−ジメ
チルフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラ
キス−3,5−ジメチルフェニルボレート、トリブチル
アンモニウムテトラキス−3,5−ジメチルフェニルボ
レート、トリブチルアンモニウムテトラキス−2,4−
ジメチルフェニルボレート、アニリウムテトラキスペン
タフルオロフェニルボレート、N,N’−ジメチルアニ
リウムテトラフェニルボレート、N,N’−ジメチルア
ニリウムテトラキス(p−トリル)ボレート、N,N’
−ジメチルアニリウムテトラキス(m−トリル)ボレー
ト、N,N’−ジメチルアニリウムテトラキス(2,4
−ジメチルフェニル)ボレート、N,N’−ジメチルア
ニリウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレ
ート、N,N’−ジメチルアニリウムテトラキス(ペン
タフルオロフェニル)ボレート、N,N’−ジエチルア
ニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレー
ト、N,N’−2,4,5−ペンタメチルアニリニウム
テトラフェニルボレート、N,N’−2,4,5−ペン
タエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、ジ−
(イソプロピル)アンモニウムテトラキスペンタフルオ
ロフェニルボレート、ジ−シクロヘキシルアンモニウム
テトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテ
トラフェニルボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホ
ニウムテトラフェニルボレート、トリ(ジメチルフェニ
ル)ホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニ
ルカルベニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ト
リフェニルカルベニウムテトラキス(m−トリル)ボレ
ート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4−
ジメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウ
ムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、
トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレー
ト、トロピリウムテトラキス(p−トリル)ボレート、
トロピリウムテトラキス(m−トリル)ボレート、トロ
ピリウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレ
ート、トロピリウムテトラキス(3,5−ジメチルフェ
ニル)ボレート等である。これらほう素化合物と上記有
機アルミニウム化合物を同時に用いても差し支えない。
特にほう素化合物を助触媒として用いる場合、重合系内
に含まれる水等の重合に悪影響を与える不純物の除去
に、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミ化
合物の添加は有効である。
【0036】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物と
しては、スチレンおよび各種の置換スチレン、例えばp
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルス
チレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、
o−クロロスチレン、α−メチルスチレン等が挙げら
れ、またジビニルベンゼン等の一分子中に複数個のビニ
ル基を有する化合物等も挙げられる。工業的には好まし
くはスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレ
ン、特に好ましくはスチレンが用いられる。
【0037】また、本発明に用いられるオレフィンとし
ては、炭素数2〜20のα−オレフィン、すなわちエチ
レン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メ
チル−1−ペンテン、1−オクテンや環状オレフィン、
すなわちノルボルネンやノルボルナジエンが適当であ
る。またこれらのオレフィンを2種以上用いてもよい。
オレフィンとしてはエチレン、プロピレンが好ましい。
以下の説明においてはオレフィンとしてエチレンを例に
説明する。
【0038】本発明に用いられる共重合体を製造するに
あたっては、オレフィン、上記に例示した芳香族ビニル
化合物、金属錯体である遷移金属化合物および助触媒を
接触させるが、接触の順番、接触方法は任意の公知の方
法を用いることができる。重合方法としては溶媒を用い
ずに液状モノマー中で重合させる方法、あるいはペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、
トルエン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換
トルエン、塩化メチレン、クロロホルム等の飽和脂肪族
または芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素の単独
または混合溶媒を用いる方法がある。また、必要に応
じ、バッチ重合、連続重合、回分式重合、予備重合ある
いは気相重合等の方法を用いることができる。
【0039】重合温度は、−78℃から200℃が適当
であり、好ましくは−50℃〜160℃である。−78
℃より低い重合温度は工業的に不利であり、200℃を
超えると金属錯体の分解が起こるので適当ではない。さ
らに工業的に特に好ましくは、0℃〜160℃である。
助触媒として有機アルミニウム化合物を用いる場合に
は、錯体の金属に対し、アルミニウム原子/錯体金属原
子比で0.1〜100000、好ましくは10〜100
00の比で用いられる。0.1より小さいと有効に金属
錯体を活性化出来ず、100000を超えると経済的に
不利となる。助触媒としてほう素化合物を用いる場合に
は、ほう素原子/錯体金属原子比で0.01〜100の
比で用いられるが、好ましくは0.1〜10、特に好ま
しくは1で用いられる。0.01より小さいと有効に金
属錯体を活性化出来ず、100を超えると経済的に不利
となる。金属錯体と助触媒は、重合槽外で混合、調製し
ても、重合時に槽内で混合してもよい。
【0040】以下に、本発明に用いられる(B)成分の
代表例であるスチレン−エチレンランダム共重合体を例
に取りさらに詳細に説明する。その構造は、核磁気共鳴
法(NMR法)によって決定される。
【0041】本発明に用いられる共重合体は、TMSを
基準とした13C−NMRにおいて以下の位置に主なピ
ークを有する。主鎖メチレン及び主鎖メチン炭素に由来
するピークを24〜25ppm付近、27ppn付近、
30ppm付近、34〜37ppm付近、40〜41p
pm付近及び42〜46ppm付近に、また、フェニル
基のうちポリマー主鎖に結合していない5個の炭素に由
来するピークを126ppm付近及び128ppm付近
に、フェニル基のうちポリマー主鎖に結合している1個
の炭素に由来するピークを146ppm付近に示す。本
発明に用いられる芳香族ビニル化合物−エチレンランダ
ム共重合体は、芳香族ビニル化合物含量がモル分率で1
〜99.9モル%以下であり、さらに好ましくは5〜9
9.9モル%以下、更には10〜99.9モル%、特に
好ましくは55モル%を超え99.9モル%以下である
芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体であっ
て、その構造中に含まれる下記の一般式(1)で示され
る芳香族ビニル化合物とエチレンの交互構造のフェニル
基の立体規則性がアイソタクティクダイアッド分率mで
0.75より大きく、かつ下記の式(i)で与えられる
交互構造指数λが70より小さく1より大きい、好まし
くは70より小さく5より大きい芳香族ビニル化合物−
エチレンランダム共重合体である。 λ=A3/A2×100 式(i) ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下
記の一般式(2)で示される芳香族ビニル化合物−エチ
レン交互構造に由来する3種類のピークa、b、cの面
積の総和である。また、A2はTMSを基準とした13
C−NMRにより0〜50ppmの範囲に観測される主
鎖メチレン及び主鎖メチン炭素に由来するピークの面積
の総和である。
【0042】
【化12】
【0043】(式中、Phはフェニル基等の芳香族基、
xは繰り返し単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0044】
【化13】
【0045】(式中、Phはフェニル基等の芳香族基、
xは繰り返し単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0046】本発明に用いられるスチレン−エチレンラ
ンダム共重合体に於いて、エチレンとスチレンの交互共
重合構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティク
構造とは、アイソタクティクダイアッド分率m(または
メソダイアッド分率ともいう)が0.75より大きい、
好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.95以
上を示す構造をいう。エチレンとスチレンの交互共重合
構造のアイソタクティクダイアッド分率mは、25pp
m付近に現れるメチレン炭素ピークのr構造に由来する
ピーク面積Arと、m構造に由来するピークの面積Am
から、下記の式(ii)によって求めることができる。 m=Am/(Ar+Am) 式(ii) ピークの出現位置は測定条件や溶媒によって若干シフト
する場合がある。例えば、重クロロホルムを溶媒とし、
TMSを基準とした場合、r構造に由来するピークは、
25.4〜25.5ppm付近に、m構造に由来するピ
ークは25.2〜25.3ppm付近に現れる。
【0047】また、重テトラクロロエタンを溶媒とし、
重テトラクロロエタンの3重線の中心ピーク(73.8
9ppm)を基準とした場合、r構造に由来するピーク
は、25.3〜25.4ppm付近に、m構造に由来す
るピークは25.1〜25.2ppm付近に現れる。な
お、m構造はメソダイアッド構造、r構造はラセミダイ
アッド構造を表す。
【0048】本発明に用いられるスチレン−エチレンラ
ンダム共重合体に於いては、エチレンとスチレンの交互
共重合構造にr構造に帰属されるピ−クは実質的に観測
されない。
【0049】さらに、本発明に用いられるスチレン−エ
チレンランダム共重合体は、スチレンユニットの連鎖構
造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティクであ
る。スチレンユニットの連鎖構造のフェニル基の立体規
則性がアイソタクティクとは、アイソタクティクダイア
ッド分率ms(またはメソダイアッド分率ともいう)が
0.5より大きい、好ましくは0.7以上、さらに好ま
しくは0.8以上を示す構造をいう。スチレンユニット
の連鎖構造の立体規則性は13C−NMRによって観測
される43〜44ppm付近のメチレン炭素のピーク位
置、及び1H−NMRによって観測される主鎖プロトン
のピーク位置で決定される。
【0050】米国特許5502133号公報によれば、
アイソタクティクポリスチレン連鎖構造のメチレン炭素
は42.9〜43.3ppmに現れるが、シンジオタク
ティクポリスチレン連鎖構造のメチレン炭素は44.0
〜44.7ppm付近に現れる。シンジオタクティクポ
リスチレンのシャープなメチレン炭素及びアタクティク
ポリスチレンの43〜45ppmのブロードなピークの
出現位置は、本発明に用いられるスチレン−エチレンラ
ンダム共重合体のほかの炭素の比較的強度が低いピーク
位置と近接あるいは重なっている。しかし、本発明にお
いて42.9〜43.4ppmにメチレン炭素ピークが
強く観測されるのに比較して、44.0〜44.7pp
m付近には明瞭なピークは認められない。
【0051】さらに、米国特許5502133号公報及
び本発明の比較例によれば1H−NMRにおいて主鎖メ
チレン、メチンプロトンに帰属されるピークはアイソタ
クティクポリスチレンの場合、1.5〜1.6ppm、
2.2〜2.3ppmに、シンジオタクティクポリスチ
レンの場合、1.3〜1.4ppm、1.8〜1.9p
pmに観測される。本発明に用いられる共重合体におい
ては、ピークが1.5〜1.6ppm及び2.2ppm
に観測され、このNMR解析の結果は、本発明の共重合
体中のスチレン連鎖はアイソタクティクの立体規則性で
あることを示す。
【0052】スチレンユニットの連鎖構造のアイソタク
ティクダイアッド分率msは、13C−NMR測定によ
るスチレン連鎖構造のメチレン炭素または1H−NMR
測定による主鎖メチレン、メチンプロトンの各ピークか
ら以下の式で導かれる。各ピークのシンジオタクティク
ダイアッド構造(r構造)に由来するピーク面積Ar’
とアイソタクティクダイアッド構造(m構造)に由来す
るピークの面積Am’から、下記の式(iii)によっ
て求めることができる。 ms=Am’/(Ar’+Am’) 式(iii) ピークの出現位置は測定条件や溶媒によって若干シフト
する場合がある。
【0053】本発明に用いられるランダム共重合体と
は、芳香族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルで結
合した連鎖構造、エチレンユニットの結合した連鎖構造
及び芳香族ビニル化合物ユニットとエチレンユニットが
結合した構造を含む共重合体である。本共重合体は、芳
香族ビニル化合物の各含量によって、あるいは重合温度
等の重合条件によってこれらの構造の含まれる割合は変
化する。芳香族ビニル化合物含量が少なくなれば、芳香
族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルで結合した連
鎖構造の含まれる割合は減少する。例えば芳香族ビニル
化合物含量が約20モル%以下の共重合体の場合、芳香
族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルで結合した連
鎖構造は通常の13C−NMR測定ではその構造に由来
するピ−クを直接観測することは困難である。しかし、
本発明の遷移金属化合物を用いて、または本発明の製造
方法により、芳香族ビニル化合物単独の重合により高い
活性で立体規則性を有するホモポリマーが製造できるこ
と、すなわち、本質的に芳香族ビニル化合物ユニットの
ヘッド−テイルで結合した連鎖構造を形成することが可
能であること、及び共重合体においては、少なくとも1
3C−NMR法によって20〜99モル%の芳香族ビニ
ル化合物含量に対応して芳香族ビニル化合物ユニットの
ヘッド−テイルで結合した連鎖構造の割合が連続的に変
化することから、20モル%以下であっても量は少ない
ものの芳香族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルで
結合した連鎖構造が共重合体中に存在しうることは明白
である。13Cでエンリッチしたスチレンモノマーを用
い、13C−NMRで分析する等の手段により、スチレ
ン含量20モル%以下の共重合体中の芳香族ビニル化合
物ユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造を観測
することは可能である。エチレンユニットの連鎖構造に
ついてもまったく同様である。
【0054】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
エチレンランダム共重合体に含まれる芳香族ビニル化合
物ユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造は、以
下の構造で示すことができる2個以上の連鎖構造であ
り、好ましくは3個以上の連鎖構造である。
【0055】
【化14】
【0056】ここで、nは2以上の任意の整数。Ph
は、フェニル基等の芳香族基。
【0057】他方、従来公知のいわゆる擬似ランダム共
重合体では、芳香族ビニル化合物含量が最大の50モル
%付近においても、芳香族ビニル化合物のヘッド−テイ
ルの連鎖構造を見出すことはできない。さらに、擬似ラ
ンダム共重合体を製造する触媒を用いて芳香族ビニル化
合物の単独重合を試みても重合体は得られない。重合条
件等により極少量のアタクティク芳香族ビニル化合物ホ
モポリマーが得られる場合があるが、これは共存するメ
チルアルモキサンまたはその中に混入するアルキルアル
ミニウムによるカチオン重合、またはラジカル重合によ
って形成されたものと解するべきである。
【0058】従来の立体規則性のない擬似ランダム共重
合体のスチレンの異種結合に由来する構造のメチレン炭
素のピークは、34.0〜34.5ppm及び34.5
〜35.2ppmの2つの領域にあることが知られてい
る。(例えば、Polymer Preprints,
Japan,42,2292(1993))本発明に用
いられるスチレン−エチレンランダム共重合体は、スチ
レンに由来する異種結合構造のメチレン炭素に帰属され
るピークが34.5〜35.2ppmの領域に観測され
るが、34.0〜34.5ppmにはほとんど認められ
ない。これは、本発明の共重合体の特徴の一つを示し、
スチレンに由来する下記の式のような異種結合構造にお
いてもフェニル基の高い立体規則性が保持されているこ
とを示す。
【0059】
【化15】
【0060】本発明に用いられるスチレン−エチレンラ
ンダム共重合体の重量平均分子量は、スチレン含量1モ
ル%以上20モル%未満では6万以上、好ましくは8万
以上であり、20モル%以上99.9モル%以下では3
万以上、好ましくは4万以上である。ここでの重量平均
分子量はGPCで標準ポリスチレンを用いて求めたポリ
スチレン換算分子量をいう。本発明に用いられるスチレ
ン−エチレンランダム共重合体は、実用的な高い分子量
を有する。さらに、本発明のスチレン−エチレンランダ
ム共重合体は、高い立体規則性を有するエチレンとスチ
レンの交互構造と、同時に種々の長さのエチレン連鎖、
スチレンの異種結合、スチレンの連鎖等の多様な構造を
併せて有するという特徴を持つ。また、本発明のスチレ
ン−エチレンランダム共重合体は、共重合体中のスチレ
ンの含量によって交互構造の割合を、上記の式で得られ
るλ値で1より大きく70未満の範囲で種々変更可能で
ある。この立体規則的な交互構造は結晶可能な構造であ
るので、本発明の共重合体は、スチレンの含量により、
あるいは適当な方法で結晶化度を制御することにより、
結晶性、非結晶性、部分的に結晶構造を有するポリマー
という多様な特性を与えることが可能である。λ値が7
0未満であることは、結晶性ポリマーでありながら、有
意の靭性、透明性を与えるために、また、部分的に結晶
性のポリマーとなるために、あるいは、非結晶性のポリ
マーとなるために重要である。
【0061】本発明に用いられる共重合体は、およそ1
0モル%以上のスチレン含量域において、従来の立体規
則性を有せずまたスチレン連鎖も有しないスチレン−エ
チレン共重合体に比べて、高い融点(DSCによる)を
有することができる。
【0062】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
エチレンランダム共重合体は、必ずしもそれが純粋な共
重合体である必要はなく、構造及び立体規則性が上記の
範囲にあれば,他の構造が含まれていても、他のモノマ
ーが共重合されていても差し支えない。共重合される他
のモノマーとしてプロピレン等の炭素数3から20まで
のα−オレフィン、ブタジエン等の共役ジエン化合物が
挙げられる。また前記の芳香族ビニル化合物が2種以上
共重合されていても良い。また重合条件等によっては、
芳香族ビニル化合物が熱、ラジカル、またはカチオン重
合したアタクチックホモポリマーが少量含まれる場合が
あるが、その量は全体の10重量%以下である。このよ
うなホモポリマーは溶媒抽出により除去できるが、物性
上特に問題がなければこれを含んだまま使用することも
できる。さらに物性改善を目的とし、他のポリマーとの
ブレンドも可能である。またスチレン含量の異なる本発
明の共重合体どうしのブレンド物も利用可能である。
【0063】本発明の(A)成分として用いる低分子有
機エステル系可塑剤は、通常の医療容器用塩化ビニル樹
脂の可塑化に使われる低分子有機エステル系化合物を指
し、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、アジ
ピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エ
ステル、酒石酸エステル、クエン酸エステル、リンゴ酸
エステルなどのうちで分子量が好ましくは200〜80
0、より好ましくは250〜600程度のものが適当で
ある。分子量が低すぎると揮発性の問題があり、分子量
が高すぎると分子が組成物中を動きにくいため赤血球含
有液中に浸出しにくく、結果として赤血球の溶血抑制効
果が小さくなってしまうことがあるからである。
【0064】浸出性、溶血抑制作用、人体への影響など
を総合的に考慮すると、望ましい可塑剤(A)の具体例
としては、フタル酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジ−n
−ヘキシル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ブチ
リルクエン酸トリ−n−ヘキシル、アセチルリンゴ酸ジ
−n−ヘキシル、アセチルリンゴ酸ジ−n−オクチル、
ブチリルリンゴ酸ジ−n−ヘキシル、ジアセチル酒石酸
ジ−n−ブチル、ジブチリル酒石酸ジ−n−ヘキシルな
どが挙げられる。
【0065】既述のごとく、本発明の血液バッグ用基材
は(A)成分及び(B)成分から構成される樹脂組成物
を形成層として含む単層または多層体であるが、ここで
形成層として含むとは、(i)シート状であるバッグ用
基材が(A)成分及び(B)成分の樹脂組成物のみから
なる場合と、(ii)シート状であるバッグ用基材が該
組成物の層を少なくとも1層とし、他の樹脂の層を少な
くとも1層とする多層体の場合を意味する。(ii)の
場合は、バッグの力学的性質(柔軟性、強度)、成形
性、ヒートシール性、耐ブロッキング性、耐熱性などを
調節、改良するために採用される。
【0066】多層体を形成する他のポリマーとしては、
前述のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体(B)が
最も望ましいが、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
コポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマ
ー、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、
ポリアミド、ポリエーテルアミド(ポリエーテルとポリ
アミドのブロックコポリマー)、ポリウレタン、熱可塑
性ポリエステルなどが挙げられる。
【0067】多層体の場合においては、多層体を形成す
る他のポリマーの層の厚さが重要である。すなわち、血
液と接触する側であるバッグの内側では、可塑剤成分
(A)が浸出することが重要であり、許容できる範囲で
他のポリマーの層は薄い方がよく、0.08mm以下、
より好ましくは0.05mm以下が望ましい。
【0068】更に、樹脂組成物の構成は、(A)成分や
(B)成分の種類、単層か複層かなどによって異なる
が、(A)成分が樹脂組成物中の0.5〜30重量%、
より好ましくは1〜25重量%を占めるのがよい。な
お、複層の場合には(A)成分の割合は比較的多い方が
よい。またバッグを構成するシート(基材)の厚さは強
度、加工性、操作性などを考慮すると、全体の厚さが
0.60〜0.08mm、より好ましくは0.50〜
0.10mmが望ましい。
【0069】本発明において血液バッグとは、血液成
分、特に赤血球を含む液体を保存する軟質プラスチック
容器を意味するが、このような製品は通常公知の方法で
製造され得る。すなわち前記樹脂組成物を単独であるい
は他のポリマーと同時にTダイあるいはサーキュラーダ
イを介して押出し、得られたフラット状のシート、チュ
ーブ状のシート、パリソンなどについてサーモフォーミ
ング、ブロー、延伸、裁断、融着(ヒートシール)など
の手法を適宜活用して所定の形状、形態に加工できる。
【0070】多層シートを製造するには、ラミネート法
も適用できる。また、シート間のブロッキングを防ぐた
めに容器の内面や外面を粗面化すなわちエンボス加工し
たり、ブロッキング防止剤、スリップ剤などを添加して
もよい。また、本発明の趣旨を損なわない範囲で、
(A)成分および(B)成分の樹脂組成物にさらに他の
ポリマーを添加することもできる。
【0071】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。な
お、下記の説明においてBIndはビスベンゾインデニ
ル基、Meはメチル基、Buはブチル基を表す。各実施
例、比較例で得られた共重合体の分析は以下の手段によ
って実施した。13C−NMRスペクトルは、日本電子
社製α−500を使用し、重クロロホルム溶媒または重
1,1,2,2−テトラクロロエタン溶媒を用い、TM
Sを基準として測定した。ここでいうTMSを基準とし
た測定とは、先ずTMSを基準としてテトラクロロエタ
ンの3重線13C−NMRピークの中心ピークのシフト
値を決め、次いで共重合体の各ピークシフト値を、テト
ラクロロエタンの3重線中心ピークを基準として算出し
たものである。テトラクロロエタンの3重線中心ピーク
のシフト値は73.89ppmであった。ピーク面積の
定量を行う13C−NMRスペクトル測定は、NOEを
消去させたプロトンゲートデカップリング法により、パ
ルス幅は45°パルスを用い、繰り返し時間5秒を標準
として行った。ちなみに、同一条件で、但し繰り返し時
間を1.5秒に変更して測定してみたが、共重合体のピ
ーク面積定量値は、繰り返し時間5秒の場合と測定誤差
範囲内で一致した。共重合体中のスチレン含量の決定
は、1H−NMRで行い、機器は日本電子社製α−50
0及びBRUKER社製AC−250を用いた。重クロ
ロホルム溶媒または、重1,1,2,2−テトラクロロ
エタンを用いTMSを基準として、フェニル基プロトン
由来のピーク(6.5〜7.5ppm)とアルキル基由
来のプロトンピーク(0.8〜3ppm)の強度比較で
行った。実施例中の分子量は、GPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン
換算の重量平均分子量を求めた。室温でTHFに可溶な
共重合体は、THFを溶媒とし、東ソー社製HLC−8
020を用い測定した。室温でTHFに不溶な共重合体
は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒として、セ
ンシュウ科学社製GPC−7100を用い測定した。D
SC測定は、セイコー電子社製DSC200を用い、N
2 気流下昇温速度10℃/minで行った。
【0072】合成例 <rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1
−インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成>下式の
rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−
インデニル)ジルコニウムジクロリド、(別名、rac
−イソプロピリデンビス(4,5−ベンゾ−1−インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、またはrac{BIn
d−C(Me)2 −BInd}ZrCl2 と記す)は以
下の合成法で合成した。4,5−ベンゾインデンはOr
ganometallics,13,964(199
4)に従って合成した。
【0073】1)1,1−イソプロピリデン−4,5−
ベンゾインデンの合成 1,1−イソプロピリデン−4,5−ベンゾインデンの
合成は、Can.J.Chem.62,1751(19
84)に記載されている6,6−ジフェニルフルベンの
合成を参考に行った。ただし、出発原料はベンゾフェノ
ンの代わりにアセトンを、シクロペンタジエンの代わり
に4,5−ベンゾインデンを用いた。
【0074】2)イソプロピリデンビス4,5−ベンゾ
−1−インデンの合成 Ar雰囲気下、21mmolの4,5−ベンゾインデン
を70mlのTHFに溶解し、0℃で、当量のBuLi
を加え、3時間攪拌した。1,1−イソプロピリデン−
4,5−ベンゾインデン21mmolを溶解したTHF
を加え、室温で一晩攪拌した。水100ml、ジエチル
エーテル150mlを加え振盪し、有機層を分離、飽和
食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧
下、留去した。得られた黄色固体をヘキサンで洗浄、乾
燥しイソプロピリデンビス4,5−ベンゾ−1−インデ
ンを3.6g得た。収率は46%であった。1H−NM
Rスペクトル測定により、7.2〜8.0ppm(m、
12H)、6.65ppm(2H)、3.75ppm
(4H)、1.84ppm(6H)の位置にピークを有
する。測定は、TMSを基準としCDCl3 を溶媒とし
て行なった。
【0075】3)rac−ジメチルメチレンビス(4,
5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド
の合成 Ar雰囲気下、7.6mmolのイソプロピリデンビス
4,5−ベンゾ−1−インデンと7.2mmolのジル
コニウムテトラキスジメチルアミド、別名Zr(NMe
2 4 をトルエン50mlとともに仕込み、130℃で
10時間攪拌した。減圧下、トルエンを留去し、塩化メ
チレン100mlを加え、−78℃に冷却した。ジメチ
ルアミン塩酸塩14.4mmolをゆっくり加え室温に
ゆっくり昇温し、2時間攪拌した。溶媒を留去後、得ら
れた固体をペンタン、続いて少量のTHFで洗浄し、下
記の式で表される黄燈色のrac−ジメチルメチレンビ
ス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジ
クロリドを0.84g得た。収率は21%であった。
【0076】
【化16】
【0077】1H−NMRスペクトル測定により、8.
01ppm(m、2H)、7.75ppm(m、2
H)、7.69ppm(d、2H)、7.48〜7.5
8ppm(m、4H)、7.38ppm(d、2H)、
7.19ppm(d、2H)、6.26ppm(d、2
H)、2.42ppm(s、6H)の位置にピークを有
する。測定は、TMSを基準としCDCl3 を溶媒とし
て行なった。元素分析は、元素分析装置1108型(イ
タリア、ファイソンズ社製)を用いて行い、C63.8
6%、H3.98%の結果を得た。なお、理論値はC6
5.39%、H4.16%である。
【0078】<スチレン−エチレンランダム共重合体の
合成> 参考例1 容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオー
トクレーブを用いて重合を行った。脱水したトルエン4
400ml、脱水したスチレン400mlを仕込み、内
温50℃に加熱攪拌した。窒素を約100Lバブリング
して系内をパージし、トリイソブチルアルミニウム8.
4mmol、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、
MMAO−3A)をAl基準で8.4mmol加えた。
ただちにエチレンを導入し、圧力10Kg/cm2 Gで
安定した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンク
から、前記の遷移金属化合物の合成で得た触媒、rac
−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデ
ニル)ジルコニウムジクロライドを2.1μmol、ト
リイソブチルアルミニウム0.84mmolを溶かした
トルエン溶液約50mlをオートクレーブに加えた。内
温を50℃、エチレン圧を10Kg/cm2 G(エチレ
ン圧11気圧)に維持しながら4時間重合を実施した。
重合終了後、得られた重合液を激しく攪拌した過剰のメ
タノール中に少量ずつ投入し生成したポリマーを析出さ
せた。減圧下、60℃で重量変化が認められなくなるま
で乾燥したところ、970gのポリマーを得た(P
1)。
【0079】参考例2 容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオー
トクレーブを用いて重合を行った。脱水したトルエン8
00ml、脱水したスチレン4000mlを仕込み、内
温50℃に加熱攪拌した。窒素を約100Lバブリング
して系内をパージし、トリイソブチルアルミニウム8.
4mmol、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、
MMAO−3A)をAl基準で84mmol加えた。た
だちにエチレンを導入し、圧力1Kg/cm2 Gで安定
した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクか
ら、前記の遷移金属化合物の合成Aで得た触媒、rac
−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデ
ニル)ジルコニウムジクロライドを21μmol、トリ
イソブチルアルミニウム0.84mmolを溶かしたト
ルエン溶液約50mlをオートクレーブに加えた。内温
を50℃、エチレン圧を0.15MPa(エチレン圧
1.5気圧)に維持しながら8時間重合を実施した。重
合終了後、得られた重合液を激しく攪拌した過剰のメタ
ノール中に少量ずつ投入し生成したポリマーを析出させ
た。減圧下、60℃で重量変化が認められなくなるまで
乾燥したところ、1013gのポリマー(P2)を得
た。
【0080】参考例3 容量150L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付の重
合缶を用いて重合を行った。脱水したシクロヘキサン6
0L、脱水したスチレン12Lを仕込み、内温33℃に
加熱攪拌した。トリイソブチルアルミニウム84mmo
l、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、MMAO
−3A)をAl基準で840mmol加えた。ただちに
エチレンを導入し、圧力9Kg/cm2 Gで安定した後
に、重合缶上に設置した触媒タンクから、前記の遷移金
属化合物の合成Aで得た触媒、rac−ジメチルメチレ
ンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウ
ムジクロライドを78μmol、トリイソブチルアルミ
ニウム2mmolを溶かしたトルエン溶液約100ml
を重合缶に加えた。直ちに発熱が開始したので、ジャケ
ットに冷却水を導入した。内温は最高80℃まで上昇し
たが、以降約70℃を維持し、エチレン圧を9Kg/c
2 G(エチレン圧10気圧)に維持しながら2.5時
間重合を実施した。重合終了後、得られた重合液を脱気
した後、以下のようにクラムフォーミング法で処理し、
ポリマーを回収した。重合液を激しく攪拌した分散剤を
含む300Lの85℃の加熱水中に1時間かけて投入し
た。その後97℃で1時間攪拌した後に、クラムを含む
熱水を冷水中に投入し、クラムを回収した。クラムを5
0℃で風乾し、その後60℃で真空脱気することで、数
mm程度の大きさのクラム形状が良好なポリマー(P
3)を12.8kg得た。得られたエチレン−スチレン
共重合体の分析値を表1に示した。
【0081】
【表1】
【0082】実施例1〜4、比較例1、2 (1)樹脂組成物の調整:参考例1の重合を繰り返して
得たスチレン−エチレンランダム共重合体(P1)、参
考例2の重合を繰り返して得たスチレン−エチレンラン
ダム共重合体(P2)、参考例3の重合を繰り返して得
たスチレン−エチレンランダム共重合体(P3)と、可
塑剤としてフタル酸ジ−n−デシル(DnDP)(B
1)、ブチリルクエン酸トリ−n−ヘキシル(BTH
C)(B2)を、二軸溶融混練押出機を用いて、表2に
示す割合で160〜170℃の温度範囲で混練して押出
されたストランドを水冷、カッティングし、乾燥してペ
レット状重合体組成物(D1)〜(D5)を得た。
【0083】(2)シートの作成:(P1)、(P
2)、(P3)および(D1)〜(D5)のペレットを
用い、単層用あるいは多層用のTダイから170℃で押
出し、20℃に保たれたキャスティングローラーで冷却
後、トリミングして厚さ0.28mm、幅150mmの
シートを5m/分の速度で巻取った。
【0084】(3)容器の作成:前記で得られたシート
を用いて有効表面積約80cm2 、内寸法が50mm×
80mmの直方形のテストバッグ(容量50ml)を熱
シール法で作製し、エチレンオキサイド滅菌(65℃×
5時間)した。
【0085】(4)溶血試験:全血400mlを抗凝固
剤入り採血バッグに健常人より採血後、常法によって赤
血球濃厚液(CRC)を調整した。調整後のCRCを各
50mlずつクリーンベンチ内で無菌的に前記テストバ
ッグに分注し、4℃で3週間保存後各テストバッグ内の
血漿ヘモグロビン量を常法により測定し、溶血レベルを
評価した。
【0086】また、本試験におけるコントロールとし
て、可塑剤を含まない場合(比較例1)とフタル酸ジ−
2−エチルヘキシル(DEHP)55PHRを含む軟質
塩ビシートの場合(比較例2)について、同形状のテス
トバッグを作製し、前記と同様に評価した。
【0087】
【表2】
【0088】(5)評価結果:表3に示すとおりバッグ
の溶血レベルを比較すると、本発明の基材を用いた実施
例1〜5では、通常用いられているDEHP可塑化塩ビ
製バッグを使用した比較例2と比べて、その実用性にお
いて遜色ないことがわかる。また、DEHP可塑化塩ビ
製バッグは、使用後の廃棄物処理問題があるのに対し
て、本発明の血液バッグは実質的に塩素を含まないので
廃棄物処理問題がない。一方、エチレン−スチレン共重
合体のみからなるバッグを用いた比較例1では溶血レベ
ルが大きく、赤血球保存用容器としては不向きである。
【0089】
【表3】
【0090】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明
の血液バッグ用基材は、高い溶血抑制作用を持ち、汎用
性に富み、実質的に塩素を有していないため使用後の廃
棄処分が容易であり、血液保存の分野に画期的に貢献す
るものと期待され、その工業的価値は高いものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB041 BB111 BB171 BB191 BC011 BC041 BC081 BC091 BC111 BK001 EH096 EH146 FD026 GB01 4J100 AA02Q AA03Q AA04Q AA16Q AA17Q AA19Q AB02P AB03P AB04P AB08P AR11Q AR21Q CA04 CA10 DA01 JA51

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)低分子有機エステル系可塑剤30
    〜0.5重量部と、(B)下記の芳香族ビニル化合物−
    オレフィンランダム共重合体99.5〜70重量部とを
    含有することを特徴とする樹脂組成物。(B)は芳香族
    ビニル化合物含量が1〜99.9モル%以下であり、2
    個以上の芳香族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイル
    の連鎖構造を有する芳香族ビニル化合物−オレフィンラ
    ンダム共重合体。
  2. 【請求項2】 (B)の芳香族ビニル化合物−オレフィ
    ンランダム共重合体の芳香族ビニル化合物含有量が50
    モル%を超え99.9モル%以下であることを特徴とす
    る請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (B)の芳香族ビニル化合物−オレフィ
    ンランダム共重合体が芳香族ビニル化合物−エチレンラ
    ンダム共重合体であることを特徴とする請求項1または
    2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (B)の芳香族ビニル化合物−エチレン
    ランダム共重合体の構造中に含まれる下記の一般式
    (1)で示される芳香族ビニル化合物とエチレンの交互
    構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクテックダイ
    アッド分率mで0.75より大きく、かつ下記の式
    (i)で与えられる交互構造指数λが70より小さく、
    1より大きいことを特徴とする請求項3記載の樹脂組成
    物。 λ=A3/A2×100 式(i) ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下
    記の一般式(2)で示される芳香族ビニル化合物−エチ
    レン交互構造に由来する3種類のピークa、b、cの面
    積の総和である。また、A2はTMSを基準とした13
    C−NMRにより0〜50ppmの範囲に観測される主
    鎖メチレン及び主鎖メチン炭素に由来するピークの面積
    の総和である。 【化1】 (式中、Phはフェニル基等の芳香族基、xは繰り返し
    単位数を示し2以上の整数を表す。) 【化2】 (式中、Phはフェニル基等の芳香族基、xは繰り返し
    単位数を示し2以上の整数を表す。)
  5. 【請求項5】 (B)の芳香族ビニル化合物−エチレン
    ランダム共重合体が、TMSを基準とした13C−NM
    R測定によって40〜41ppm及び/または42〜4
    4ppmに現れるピークにより帰属される芳香族ビニル
    化合物ユニットの連鎖構造を有する芳香族ビニル化合物
    −エチレンランダム共重合体であることを特徴とする請
    求項3記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (B)の芳香族ビニル化合物−エチレン
    ランダム共重合体の芳香族ビニル化合物含量がモル分率
    で1%以上20%未満であり、かつポリスチレン換算平
    均重量分子量が6万以上であるあることを特徴とする請
    求項3記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 (B)の芳香族ビニル化合物−エチレン
    ランダム共重合体の芳香族ビニル化合物含量がモル分率
    で20%以上99.9%以下であり、かつポリスチレン
    換算重量平均分子量が3万以上であることを特徴とする
    請求項2記載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 (B)の芳香族ビニル化合物−エチレン
    ランダム共重合体中に含まれる芳香族ビニル化合物ユニ
    ットの連鎖構造の立体規則性がアイソタクティクである
    ことを特徴とする請求項3記載の樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項記載の樹脂
    組成物を形成層として含むことを特徴とする血液バッグ
    用基材。
JP05687698A 1998-03-09 1998-03-09 樹脂組成物および血液バッグ用基材 Pending JP2002212366A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05687698A JP2002212366A (ja) 1998-03-09 1998-03-09 樹脂組成物および血液バッグ用基材
AU27465/99A AU2746599A (en) 1998-03-09 1999-03-08 Medical material and medical supply
PCT/JP1999/001105 WO1999045980A1 (fr) 1998-03-09 1999-03-08 Substance et fourniture a usage medical
EP99907880A EP1062957A4 (en) 1998-03-09 1999-03-08 MEDICAL MATERIAL AND NEED FOR MEDICAL USE
US09/622,914 US6630215B1 (en) 1998-03-09 1999-03-08 Medical Device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05687698A JP2002212366A (ja) 1998-03-09 1998-03-09 樹脂組成物および血液バッグ用基材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002212366A true JP2002212366A (ja) 2002-07-31

Family

ID=13039631

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05687698A Pending JP2002212366A (ja) 1998-03-09 1998-03-09 樹脂組成物および血液バッグ用基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002212366A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007191654A (ja) * 2006-01-23 2007-08-02 Denki Kagaku Kogyo Kk 樹脂組成物
AU2005272546B2 (en) * 2004-08-12 2010-11-11 Yuji Kikuchi Micro channel array

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2005272546B2 (en) * 2004-08-12 2010-11-11 Yuji Kikuchi Micro channel array
JP2007191654A (ja) * 2006-01-23 2007-08-02 Denki Kagaku Kogyo Kk 樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4783324B2 (ja) エチレン−スチレン−ジエン共重合体、及びその製造方法
US6235855B1 (en) Transition metal compound as catalyst component in method for producing aromatic vinyl compound polymer or aromatic vinyl compound-olefin copolymer having stereoregularity
CN113795525B (zh) 烯烃基聚合物
JP3686737B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれを用いた積層体
JPH11130808A (ja) 重合用遷移金属触媒成分、それを用いた立体規則性を有する芳香族ビニル化合物系重合体及びその製造方法
JP2001342306A (ja) クリーン成形体およびその製造方法
WO1999048972A1 (fr) Composition de resine
US6329479B1 (en) Transition metal compound as catalyst component for polymerization, aromatic vinyl compound-olefin copolymer having stereoregularity and method for its preparation by means of the transition metal compound as catalyst component
JP2002212366A (ja) 樹脂組成物および血液バッグ用基材
JP2000117914A (ja) 多層フィルム及びシート
US6489424B2 (en) Transition metal catalyst component for polymerization, aromatic vinyl compound polymer having stereoregularity and method for its preparation by means of the catalyst component
JP3580649B2 (ja) 樹脂組成物および血液バッグ用基材
JPH09110934A (ja) プロピレン−エチレン共重合体およびその製造方法ならびにその成形品
JP3710562B2 (ja) ラップフィルム
JP2000119457A (ja) エラストマー組成物及びその成型品
JP2001226496A (ja) ポリエチレン樹脂シートおよびその製造方法
JP2003276134A (ja) 易引裂性多層シーラントフィルム
JP2000326463A (ja) バッグインボックス内袋用フィルムおよび該フィルムを用いたバッグインボックス内袋
JP2001253989A (ja) 透明熱可塑性樹脂組成物
JP4722759B2 (ja) 重合用遷移金属触媒成分、それを用いた立体規則性を有する芳香族ビニル化合物系重合体及びその製造方法
JP4067198B2 (ja) フィルム及びストレッチ包装用フィルム
JP2000327860A (ja) バッグインボックス内袋用樹脂組成物およびバッグインボックス内袋の製造方法並びにこれからなるバッグインボックス内袋
JP2000119413A (ja) 熱収縮性フィルム
JP2000198918A (ja) ポリフェニレンエ―テル樹脂組成物
JP2001253978A (ja) オレフィン系樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041110

A072 Dismissal of procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072

Effective date: 20050111