JP2002195978A - ガス検知素子およびそれを用いたガス検出装置 - Google Patents

ガス検知素子およびそれを用いたガス検出装置

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JP2002195978A JP2000395673A JP2000395673A JP2002195978A JP 2002195978 A JP2002195978 A JP 2002195978A JP 2000395673 A JP2000395673 A JP 2000395673A JP 2000395673 A JP2000395673 A JP 2000395673A JP 2002195978 A JP2002195978 A JP 2002195978A
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Eitetsu Gen
永鉄 厳
Akira Kunimoto
晃 国元
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体電解質基板と電極との接合性
を改善し、センサの感度特性を安定化させる。 【解決手段】 固体電解質基板(1)と検知電極
(5)との間に電極下地層(15)を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は測定雰囲気中の検知
対象ガス濃度を検知する固体電解質を用いたガス検知素
子およびそれを用いたガス検出装置に関するものであ
る。特に、本発明は自動車などの燃焼排気ガス中の窒素
酸化物濃度を直接、測定できる窒素酸化物測定用の装置
に有効なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、特定のガスにのみに感度を有す
る、いわゆるガス選択性の高いガスセンサが固体電解質
基板を用いた電気化学センサとして活発に提案されてい
る。特に、車の排気ガス中の総NOx濃度を他ガスの存
在に影響されずに測定することが大きく望まれている。
本発明者においても、特開平9−274011号公報に
示されるように、酸素イオン伝導性であるジルコニア固
体電解質を用いた高温作動型の混成電位式NOxセンサ
を既に提案している。
【0003】このNOxセンサは、ジルコニア固体電解
質基板上にPt等の貴金属からなる集電体とNOx検知
電極を設け、この検知電極の反対面あるいは同一面のジ
ルコニア固体電解質上に参照極を設けたことを基本構成
とする。この検知極は勿論測定ガス中に曝されるが、参
照極も同時に測定ガス中に曝すことができる。このNO
xセンサにおいて、検知極と参照極との間の電位差を測
定することにより、測定ガス中のNOx濃度を検知する
ことができる。すなわち、このような混成電位式センサ
においては、NOx検知極はNOxと酸素とに活性であ
り、参照極は酸素にのみ活性であることから、両電極間
の化学ポテンシャルの差に起因した出力が得られる。逆
に参照極がNOxにも活性である場合には、測定ガスか
ら隔離してしまえば、同様なNOx感度が得られること
は周知のとおりである。
【0004】この混成電位式NOxセンサは、検知極に
おいて(1)と(2)式の2つの反応がNOガス検知時
に起こることが必要である。これらの反応式から分かる
ように、混成電位型の電極で生じる反応には必ず酸素が
関与しなければならず、そのため検知電極が置かれる雰
囲気には所定量の酸素が存在しなければならない。一
方、NO2ガス検知時には(3)と(4)式の反応が同
時に生じなければならない。そのため、NOガス検知と
NO2ガス検知とでは、センサ出力はお互いに逆極性と
なる。車の排気ガス中の総NOx濃度を検知する場合に
はNOとNO2が混在するため、相互干渉を起こしこの
ままでは総NOx濃度は検知できない。そのため、特開
平9−274011号公報に示す積層型の総NOxセン
サが提案された。
【0005】 O2 + 4e- → 2O2- ……………………………… (1) 2NO + 2O2- → 2NO2 + 4e- ………… (2) 2O2- → O2 + 4e- ……………………………… (3) 2NO2 + 4e- → 2NO + 2O2- ………… (4)
【0006】この積層型総NOxセンサの原理は、電気
化学的酸素ポンプを用いて大気中より酸素をガス検知室
に導入し、測定ガス中のHC(炭化水素)やCO(一酸
化炭素)などの還元性ガスを酸化し無害化し、さらにN
Ox中のNOを電気化学的にNO2化し、結局NOxをN
2の単ガスに変換する。この単ガス化されたNO2を混
成電位に基づくNOx検知極および参照極間の電位差に
より総NOx濃度として検知できるものである。
【0007】このようなNOx検知セルあるいは積層型
のNOxセンサにおいて、そのセンサ性能は特に検知電
極の性能に支配される。センサ性能の感度特性および安
定性は主に検知電極のそれらに大きく影響される。この
ような混成電位型NOxセンサの検知電極として従来、
NiCr24 (SAE Paper No. 961130)、Pt−Rh
合金やそれにジルコニア固体電解質を添加したサーメッ
ト電極(特開平11−72476号公報)等が報告され
ている。これらの検知電極の性能は、いずれも大きな感
度を有する優れたものである。しかしながら、その感度
特性の安定性に関しては、さらなる改善が必要とされて
いる。そのためには、電極材料の安定性はもとより、固
体電解質と電極および気相とが接触する三相界面の安定
性を確保することが重要である。特に金属酸化物を電極
に用いる場合には、従来、三相界面の安定性を制御する
ことが困難であった。一方、製造プロセスの観点では、
従来は電極と固体電解質基板との接合性のばらつきによ
り、作製されるセンサ素子間の特性差が大きかった。そ
のため、検知性能のばらつきや歩留まりの低下を招き、
さらには出力の不安定さの原因となることがあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
混成電位式NOxセンサにおいては、感度性能に対して
は優れた材料が得られてはいるが、感度特性の安定性に
関しては、更なる改善が求められている。また、酸化物
電極を作製する場合には、固体電解質基板との接合性の
ばらつきが大きく、検知性能のばらつきや歩留まりの低
下を招き、さらには出力の不安定さの原因となることが
ある。そのため、電極が固定される固体電解質基板との
三相界面の安定性を制御し、使用時の安定性や製造時の
特性ばらつきを低減することが望まれている。本発明に
おいては、このような固体電解質基板との接合性や三相
界面の安定性を改善し、前述の感度特性の安定性や製造
時の問題を解決することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上のような課題に鑑
み、本発明者は以下のような手段で課題を解決すること
を提案した。すなわち、第1の酸素イオン伝導性からな
るジルコニア固体電解質基板と、このジルコニア固体電
解質基板上に設置された検知対象ガスおよび酸素に活性
な検知電極と、前記のジルコニア固体電解質基板上に設
置された少なくとも酸素に活性な参照電極とからなるガ
ス検知セルであって、本ガス検知セルの少なくとも検知
電極とジルコニア基板との間に、第2の酸素イオン伝導
性の固体電解質からなる電極下地層を設けた構成からな
るガス検知素子がまず提案される。このガス検知素子
は、さらに具体的には、酸素イオン伝導性のジルコニア
固体電解質基板と、このジルコニア固体電解質基板上に
設置された少なくとも検知対象ガスおよび酸素に活性な
検知電極と、同じジルコニア固体電解質基板上に設置さ
れた少なくとも酸素に活性な参照電極とからなるガス検
知セルにおいて、検知電極とジルコニア基板との間に少
なくともイットリア以外の安定化剤が添加され、且つイ
ットリアが添加されないか若しくは3mol%以下のイッ
トリアが添加された酸素イオン伝導性のジルコニア固体
電解質からなる電極下地層を設けたガス検知素子であ
る。
【0010】本発明の第二の発明は、前述のガス検知素
子の構成と、少なくとも検知電極を0.1vol%以上の
酸素を含む雰囲気下に曝しながら検知電極と参照電極と
の間の電位差を測定するための手段と、少なくとも前述
のガス検知セルを所定の温度に加熱する手段を有するガ
ス検出装置をもって解決手段とすることである。また、
本発明のガス検出装置は、窒素酸化物ガス、炭化水素ガ
ス、一酸化炭素ガス、アンモニアガスのいずれかを検知
対象ガスとすることができる。
【0011】本発明の第三の発明は、酸素イオン伝導性
を有する第1のジルコニア固体電解質基板と、同じく酸
素イオン伝導性を有する第2のジルコニア固体電解質基
板を対向させ、スペーサにより前記固体電解質基板間に
所定の距離を保ちながら固定することにより形成される
内部空所からなるガス測定室と、このガス測定室に被検
ガス雰囲気が所定のガス拡散抵抗を持って流入するよう
に設けられたガス導入口と、ガス測定室内の雰囲気に曝
される第1の固体電解質基板上に固定されたNOxおよ
び酸素に活性なNOx検知電極および酸素に活性な参照
電極とからなるNOx検知セルと、同じガス測定室内の
雰囲気に曝される第2の固体電解質基板上に固定された
被検ガス中のNOをNO2に或いはNO2をNOに変換す
るためのNOxと酸素に活性なNOx変換電極と、第2の
固体電解質基板上に酸素あるいは酸素化合物ガスが存在
する雰囲気中に曝されるように固定された酸素に活性な
NOx変換対極からなるNOx変換ポンプセルとからな
り、NOx検知セルの少なくともNOx検知電極と第1の
固体電解質基板との間にイットリア以外の安定化剤が添
加され、且つイットリアが添加されないか若しくは3mo
l%以下のイットリアが添加された酸素イオン伝導性の
ジルコニア固体電解質からなる電極下地層を設けた素子
構成と、前述のNOx検知電極と参照電極との間の電位
差を測定する手段と、NOx変換ポンプセルを駆動する
ための電圧印加手段とを具備し、NOx変換ポンプセル
に所定の電圧を印加しながら、NOx検知電極と参照電
極との間の電位差を検出し、もってこの電位差を被検ガ
ス中の窒素酸化物濃度の信号とする窒素酸化物ガス検出
装置をもってなる。また、本発明の素子構成において
は、参照極を酸素濃度一定と見なされる大気基準ダクト
内、あるいは前述のガス測定室内に設置することができ
る。
【0012】好ましくは、本発明における電極下地層を
マグネシア(MgO)、セリア(CeO2)、スカンジ
ア(Sc23)の安定化剤のうち、少なくとも一種が添
加された酸素イオン伝導性のジルコニア固体電解質とす
ることで、電極性能および安定性を著しく改善できる。
また、これらのイットリア以外の安定化剤が含まれてお
れば、イットリア安定化剤は3mol%まで添加すること
ができる。一般に、イットリア以外の安定化剤は、高価
でありイットリアとの併用を行うことでコストの低減が
可能となる。一方、電極下地層のジルコニア固体電解質
に添加されるこれらイットリア以外の安定化剤の量を3
〜30mol%とすることで安定した性能が得られる。さ
らに、電極下地層のジルコニア固体電解質の空隙率を5
〜40%とし、かつ電極下地層の平均膜厚を3〜15μ
mとすることで、さらに良好な性能な得られる。
【0013】本発明において、さらに、検知電極には検
知対象ガスおよび酸素に活性な金属酸化物、あるいは貴
金属を用いることができる。特にNOx検知を行う場
合、金属酸化物を用いるときには少なくともCrを構成
元素とする金属酸化物であることが好ましい。さらに、
Crを構成元素とする金属酸化物は少なくともNiCr
24、FeCr24、MgCr24、Cr23のうちか
らなることがより好ましい。同じくNOxを検知する場
合に、検知電極に貴金属を用いるときにはNOxおよび
酸素に活性な貴金属として、Rh、Ir、Au、あるい
はこれらを含む貴金属合金からなる素子部を用いること
もできる。これらの検知電極には、酸素イオン伝導性の
ジルコニア固体電解質を添加することが望ましい。この
ジルコニア固体電解質の安定化剤にマグネシア(Mg
O)、セリア(CeO2)、スカンジア(Sc23)、
イットリア(Y23)のいずれかを用いることが更に望
ましい。尚、電極下地層を構成するジルコニア固体電解
質に添加される安定化剤と同一とすることが、さらに望
ましい。
【0014】また、NOx検知を行う場合、NOxおよび
酸素に活性な金属酸化物とNOxおよび酸素に活性な第
1の貴金属からなる検知電極を用いることで性能および
安定性に優れたNOx検知を行うことができる。この場
合、第1の貴金属の添加量を40〜70wt%とすること
が好ましい。また、同じくNOx検知を行う場合、NOx
および酸素に活性な金属酸化物とNOxに不活性で酸素
に活性な第2の貴金属からなる検知電極を用いることで
性能および安定性に優れたNOx検知を行うことができ
る。この場合、第2の貴金属の添加量を0.05〜5wt
%とすることが望ましい。さらに、検知電極がNOxお
よび酸素に活性な金属酸化物と、NOxおよび酸素に活
性な第1の貴金属と、酸素に活性でNOxに活性でない
第2の貴金属からなる検知電極を用いるとNOx検知性
能を改善することができる。この場合の電極では、第1
の貴金属を10〜70wt%、第2の貴金属を0.05〜
2wt%とすることが好ましい。本検知電極では、検知電
極を構成するNOxおよび酸素に活性な第1の貴金属を
Ir、Au、Rhのうち1種以上から構成することが望
ましい。また、本検知電極を構成する酸素に活性でNO
xに活性でない第2の貴金属をPt、Pd、Ruのうち
1種以上で構成することが望ましい。
【0015】さらに、前述の酸素イオン伝導性の固体電
解質基板がイットリアを安定化剤として含むジルコニア
固体電解質であり、このジルコニア固体電解質にAlが
0.01〜1wt%分散固溶添加された窒素酸化物ガスセ
ンサとすることができる。ジルコニア固体電解質中にA
lを0.01〜1wt%添加することによって、固体電解
質基板と電極を同時に一体焼結する場合には、その焼成
温度を著しく低下させることができ、もってより活性な
検知電極を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の電極に関わるセンサ構成
図を用いて詳細な説明を行う。図1に示す本発明の検知
セル構成は、酸素イオン伝導性を有する第1の酸素イオ
ン伝導性としてのジルコニア固体電解質基板1の片面
に、第2の酸素イオン伝導性からなる電極下地層15を
挟んで検知電極5が固定され、固体電解質基板1の他面
に参照電極7が固定されており、検知電極5と参照電極
7の間の電極電位差を電圧計21により測定するもので
ある。図1には示してないが、実際には電極5,7には
Pt等の集電体(導体リード)が形成されているが、電
極の底面あるいは表面のどちらに形成してもよい。ここ
で、少なくとも検知電極5は酸素が0.1vol%以上含
まれる雰囲気中に曝されることが必要である。速いガス
応答性を得るためには、1vol%以上の酸素が含まれる
雰囲気中に曝すことが、より好ましい。また、検知対象
ガスがNOxの場合には、検知電極5では前述の反応式
(1)と(2)、あるいは(3)と(4)に示される反
応が同時に起こり、検知に電極混成電位が生ずる。図1
の構成において参照電極7は、固体電解質基板1を挟ん
で検知電極5と対向しており、検知電極5とは異なり被
検ガスから隔離された基準雰囲気下に置かれる。一方、
参照電極7がNOxに活性でない材料により構成されて
いれば、固体電解質基板1の片面に検知電極5と同じ雰
囲気下に参照電極7を配置しても構わない。この場合の
参照電極7は、少なくとも酸素に活性であることが必要
であり、検知電極5と同等の酸素活性を有することが更
に望ましい。逆に、参照電極7がNOxにも活性である
場合には図1のように参照電極7を被検ガス雰囲気から
遮断することで出力が得られる。
【0017】図1を用いて、さらに詳細な構成について
述べる。固体電解質基板1は、酸素イオン伝導性を有し
ていれば、特に限定されるものでないが、好ましくは、
安定化剤にイットリア(Y23)が添加されたジルコニ
ア固体電解質とする。固体電解質基板1に、イットリア
が添加されたジルコニアを用いる場合には、イットリア
を3〜10mol%、好ましくは5〜8mol%添加すること
で、高い基板強度とイオン伝導性を有することができ
る。図1において固体電解質基板1は緻密な板状のよう
に見えるが、参照電極7がNOxに活性でない場合に
は、固体電解質基板1は多孔質であっても構わない。さ
らにこの場合には、膜状の固体電解質であって、その膜
上に各電極が形成されていても構わない。本発明におい
て固体電解質基板1をイットリア添加のジルコニア固体
電解質とすることで、化学的に安定で、機械強度特性に
優れた基板を主要構成材料とすることができる。
【0018】電極下地層15は、酸素イオン伝導性のジ
ルコニア固体電解質からなる。この電極下地層の酸素イ
オン伝導性は、イットリアを含まないか、或いは含むと
しても3mol%以下の添加量に限定される。すなわち、
本基板を酸素イオン伝導性とするには、安定化剤として
イットリア以外の材料を用いることが必須である。イッ
トリアが3mol%以下の添加量では、充分な酸素イオン
伝導性を発現できないため、前述の他の安定化剤が同時
に添加される必要がある。イットリア以外の安定化剤の
なかでも、マグネシア(MgO)、セリア(Ce
2)、スカンジア(Sc23)のうちから一つあるい
は二つ以上を安定化剤として添加されたジルコニア固体
電解質とすることで、特に性能が優れる。これにより、
電極と固体電解質との物理的および化学的な密着性を改
善することができ、よって電極の界面抵抗を低減でき
る。さらに電極界面の安定性が向上し、センサ出力のド
リフト等を大幅に低減することが可能となる。
【0019】検知電極5と参照電極の電位差を測定する
手段としては、一般的に電圧計(回路)が用いられる。
このような電圧計を用いる方法では、少なからず電極よ
り電流を測定系に取り出しているため、正確なセンサ出
力を得るためには電極インピーダンスに比べて相当大き
な入力インピーダンスを有することが必要である。検知
電極5と参照電極7の電位差を測定する手段として電圧
計を用いない方法もある。図1の検知セルと比較セル
(電池)を並列に接続し、二つのセル間に流れる電流が
ゼロとなる比較セルの電圧を測定する。この方法では、
検知セルからは全く電流を取り出さなくても、センサ起
電力を測定することが可能である。図1の検知セルの少
なくとも電極および電極に接する固体電解質は、高いイ
オン伝導性を得るため所定の温度に加熱して使用され
る。実際にはジルコニア固体電解質のイオン伝導度が高
まる300〜400℃以上の所定温度に保持されること
が必要である。この加熱手段は外部熱源でも、検知セル
に一体化された自己加熱ヒータであっても構わない。
【0020】本発明の検知電極5は酸素およびNOxに
活性である必要がある。ここでいう活性とは、電極が酸
素およびNOxにより所定の電極電位を生じる、いわゆ
る電極活性を意味する。この検知電極を構成する材料
は、NOxおよび酸素に活性である貴金属材料あるいは
金属酸化物材料を用いることができる。また、電極の性
能改善のために、前記の金属酸化物に貴金属を添加する
ことができる。特に、NOxおよび酸素に活性である第
1の貴金属を前記の金属酸化物に添加するか、あるい
は、酸素に活性でNOxに活性でない第2の貴金属を検
知電極5に添加することで、検知性能および安定性に優
れるものが得られる。さらに、検知電極中に第1の貴金
属と共に第2の貴金属を添加することで更に電極の性能
が向上する。また、検知電極5の三相界面(電極、固体
電解質、酸素共存の被検ガスが同時に存在する界面)を
増やすため酸素イオン伝導性を有する固体電解質を添加
することができる。前述の金属酸化物は特にCrを構成
元素とする金属酸化物とすることで高い活性を得ること
ができる。さらに、そのなかでもNiCr24、FeC
24、MgCr24、Cr23のうちからなる一種あ
るいはこれらの混合体を本発明電極に用いると高いNO
x活性と安定性が得られる。元来、これらの金属酸化物
は焼結性が悪く、一般に焼成時の収縮が小さいため固体
電解質基板1との歪みを生じ易い。さらに、図2〜図5
に示す後述の積層型NOxセンサでは、通常、固体電解
質のグリーンシートが使用されるため、焼成時の収縮歪
みが非常に大きくなる。そのため、特に検知電極5が金
属酸化物から構成される場合には、焼成時に電極のクラ
ックや剥離が生じ易い。本発明においては、検知電極5
と固体電解質基板1との間に物理的あるいは化学的に安
定な接合層としての役割も果たす電極下地層15を設置
することで、電極5と固体電解質基板1との間の歪みを
制御することができる。
【0021】前述のように、電極下地層15としてイッ
トリア以外の安定化剤を添加したジルコニア固体電解質
を用いる場合、マグネシア(MgO)、セリア(CeO
2)、スカンジア(Sc23)のうちから一つあるいは
二つ以上を安定化剤として添加したジルコニア固体電解
質とすることが望ましい。このジルコニア固体電解質に
添加されるイットリア以外の安定化剤の添加量は、モル
分率でジルコニアと安定化剤の総量に対して3〜30mo
l%とする。好ましくは、5〜20mol%である。安定化
剤の添加量が3mol%より少ないとイオン伝導性が充分
でなくセンサ性能が低下する。30mol%より多いと固
体電解質の物理的強度特性が低下し、電極下地層15の
安定性が低下する。添加される安定化剤はジルコニアに
均一に分散し、完全に固溶することが望ましいが、ミク
ロ的に粒界等に微量の安定化剤が残在しても本発明の効
果は左右されるものではない。一方、電極下地層15の
物理的構成因子として、電極下地層15の空隙率を5〜
40%とするとよい。好ましくは、10〜30%とする
とよい。空隙率が5%以下では、電極膜と固体電解質基
板1との焼結歪みや熱膨張歪みを吸収することが困難に
なり、40%以上では接合層としての機械的な膜強度が
低下し、安定性の低下や製造時の膜欠陥を生じやすくす
る。また、電極下地層15の膜厚を3〜15μmとする
とよく、好ましくは3〜10μmとするとよい。3μm以
下では膜の機械的繋がりが充分でなく本発明の効果が低
減する。15μm以上では、電極下地層15自体の膜歪
みが大きくなり、検知電極5との接合性が低下する。
【0022】本発明の電極構成においては、前述の金属
酸化物検知電極5に第1の貴金属を電極総重量に対して
40〜70wt%添加することで焼成時の収縮歪みを大き
く抑制することができ、本発明電極の安定性をさらに改
善できる。しかも添加する貴金属をNOxに活性な材料
とすることで、電極全体のNOx活性が低下することを
防止できる。この第1の貴金属の添加量は、好ましくは
40〜60wt%である。この添加量が40wt%より少な
いと電極のクラックや剥離が生じ易くドリフト量が大き
く、70wt%より多いと電極の感度低下が大きくなる。
この貴金属材料としては、Ir、Au、Rh、あるいは
これらの混合物が使用できる。また、これら貴金属元素
の一部が酸化物として存在しても構わず、本発明の主旨
に含まれる。また、本発明の電極構成において、前述の
金属酸化物検知電極5に第2の貴金属を電極総量に対し
て0.05〜5wt%添加することで電極界面抵抗を大幅
に低減することができる。これにより、本発明電極の性
能をさらに安定なものとすることができる。この第2の
貴金属の添加量は、より好ましくは電極総量に対して
0.05〜3wt%で、更に好ましくは0.1〜1wt%で
ある。この添加量が0.05wt%より少ないとその効果
が少なく、5wt%より多いと電極の感度低下を招く。こ
の第2の貴金属材料としては、Pt、Pd、Ru、ある
いはこれらの混合物が用いられる。また、これら貴金属
元素の一部が酸化物として存在しても構わず、本発明の
主旨に含まれる。前述の金属酸化物検知電極5にNOx
および酸素に活性な第1の貴金属と、NOxに活性を有
しない第2の貴金属を共に添加することにより、本発明
電極の安定性をさらに改善することができる。この時の
第2の貴金属の添加量は、電極膜総重量に対して0.0
5〜2wt%が好ましく、さらに好ましくは0.1から1
wt%である。この添加量が0.05wt%より少ないとそ
の効果が得られず、2wt%より多いと電極のNOx活性
を低下させ、感度の低下を招く。第2の貴金属を添加す
るときの第1の貴金属添加量は10〜70wt%とすると
よい。この添加量は、好ましくは40〜70wt%であ
り、さらに好ましくは40〜60wt%である。第1の貴
金属の添加量が10wt%以下の添加量では第2の貴金属
添加の効果が低く、70wt%以上では感度性能を低下さ
せてしまう。
【0023】本発明の検知電極には、さらに酸素イオン
伝導性の固体電解質を添加することが望ましい。これに
より、三相界面を増やすことにより、電極インピーダン
スを低下させ、もって更に安定なセンサ出力とすること
が可能となる。電極中に添加される固体電解質は、酸素
イオン伝導性のジルコニア固体電解質であることが、好
ましく、安定化剤としてマグネシア(MgO)、セリア
(CeO2)、スカンジア(Sc23)、イットリア
(Y23)のいずれかを添加したジルコニア固体電解質
であることがさらに好ましい。固体電解質の添加量は、
電極膜総重量に対しての5〜25wt%とするとよい。さ
らに好ましくは、10〜20wt%とするとよい。5wt%
より少ないと、その効果が得られず、25wt%より多い
とガス感度が低下する。また、検知電極に添加するジル
コニア固体電解質と電極下地層のジルコニア固体電解質
の安定化剤を同一種とすることによりさらに優れたセン
サの出力安定性が得られる。
【0024】図1に示される本発明の最少基本構成であ
るガスセンサ構造(検知セル構造)では窒素酸化物ガ
ス、炭化水素ガス、一酸化炭素ガス、アンモニアガス等
を検知対象ガスとした測定が可能であるが、特に総NO
x濃度を検知する窒素酸化物センサとすることにより優
れた効果が得られる。その総NOxセンサの構成を図2
〜図5に例示し、詳細に説明する。これらの図面におい
て同一符号は同一部分を表すものとする。図2に示す総
NOxセンサの構成は、酸素イオン伝導性を有する第1
のジルコニア固体電解質基板1と、同じく酸素イオン伝
導性を有する第2のジルコニア固体電解質基板2を対向
させ、スペーサ11により固体電解質基板1と2間に所
定の距離を保ちながら固定することにより形成される内
部空所からなるガス測定室4と、ガス測定室に被検ガス
雰囲気が所定のガス拡散抵抗を持って流入するように設
けられたガス導入口3と、ガス測定室4内の雰囲気に曝
される第1の固体電解質基板上1に配置されたNOxお
よび酸素に活性な検知電極5と、少なくとも酸素に活性
な参照電極7とからなるNOx検知セルと、ガス測定室
4内の雰囲気に曝される第2の固体電解質基板2上に固
定された被検ガス中のNOをNO2に或いはNO2をNO
に変換するためのNOxと酸素に活性なNOx変換電極8
と、第2の固体電解質基板2上に酸素あるいは酸素化合
物ガスが存在する雰囲気中に曝されるように固定された
酸素に活性なNOx変換対極10からなるNOx変換ポン
プセルとからなり、検知電極5と参照電極7との間の電
位差VNOxを測定する手段21と、前記NOx変換ポンプ
セルを駆動するための電圧印加手段25を具備し、NO
x変換ポンプセルに所定の電圧を印加しながら、NOx
検知電極5と参照電極7との間の電位差VNOxを検出
し、もってこの電位差を被検ガス中の窒素酸化物濃度の
信号とする窒素酸化物ガスセンサである。また、本セン
サ素子を加熱するための自己加熱用ヒータ14をヒータ
基板17a,17b中に一体成形した。ここでヒータ基
板としてはアルミナ基板を用いることもできるが、素子
焼成時の歪防止の点からジルコニア固体電解質を用いる
ことが望ましい。スペーサ11についても同様である。
この場合には、勿論ヒータ14とヒータ基板17との間
に電気絶縁性の高いアルミナ層等を形成する。
【0025】図2〜図5のセンサ構成では、ガス導入孔
3は、ガス測定室面内に1個所形成されているが、勿論
他の基板面で複数の孔を形成しても構わない。更に、ガ
ス導入孔は多孔質体で形成することができる。また、ガ
ス導入孔のガス通気路中に触媒多孔体を装填して、ガス
処理効果を高める構造としてもよい。尚、本発明の総N
Oxセンサ構造におけるガス導入孔は、ガス応答性の点
からはガス拡散律速となるような通気抵抗を形成しない
ほうが好ましい。
【0026】図2に示すNOxセンサの構成は、前述の
ように被検ガス中の総NOx、すなわち燃焼排ガス中で
は共存するNOとNO2を電気化学的な酸素ポンプ(変
換ポンプセル8,10)を用いてNOあるいはNO2
単ガスに変換して検知するものである。このような変換
ポンプセルを用いた単ガス化では、ガス測定室4内に外
部から酸素を導入するか、あるいはガス測定室4内から
酸素を排出する。その際に、NOxに活性である変換電
極8にてNOを酸化するか、NO2を還元する。図2の
構成においては、大気導入ダクト12内に変換対極10
を設置し、大気中から酸素をポンピングするものであ
る。しかしながら、変換対極10を被検ガス雰囲気中に
曝し、被検ガス中の酸素、あるいは酸素化合物を電気化
学的に分解し、酸素ポンピングを行うことも可能であ
る。被検ガス中の酸素化合物としては、通常CO2、C
O、H2O等が適用される。一方、本センサ構造におけ
る検知電極部を本発明の電極下地層15を有する電極構
成とすることで電極のクラック、剥離等によるセンサ出
力異常や出力のドリフト等を大きく改善することができ
る。このような積層構造を有するセンサにおいては、ガ
ス測定室4のように内部空間を形成することから、先の
電極剥離等により変換電極8との短絡等が発生し易い。
すなわち、このような積層型センサ構造においては、本
発明電極の効果が顕著となる。また本センサ構造におい
ては、参照電極7が大気基準ダクト13内に設置され、
完全に被検ガスから遮断されており、酸素に活性であれ
ば基準電極として作用することができる。この参照電極
の材料としては、通常Ptが用いられるが酸素活性を改
善するために酸素イオン伝導性、例えばジルコニア固体
電解質粉を添加することもある。
【0027】図3の(a)に示すNOxセンサの構成
は、参照電極7をガス測定室4内に設置した構造を示
す。この場合には、参照電極7は酸素に活性であり、少
なくともNOxに不活性であることが必要である。ここ
でいう不活性という意味は、少なくとも同じNOx濃度
に対する電極電位が検知電極5に比べて小さいことを意
味する。このように同じ被検ガス雰囲気中に参照電極7
を設置できる方式は、特に混成電位型センサの特徴であ
ることは明白である。この参照電極7は、望ましくは検
知電極5の近傍に設置するとよい。図3の(b)は、絶
縁性基板の一面に膜状の酸素イオン伝導性を有する固体
電解質層1′を形成し、この固体電解質層1′上に電極
下地層15を介して検知電極5と、固体電解質層1′に
直接参照電極7とを設置し、両電極5,7を被検ガス雰
囲気にさらす構成としたものである。図3の(b)に示
す例を図3の(a)の如き構成としたものにおいても図
3の(a)の例と同様の効果を得ることができる。
【0028】図4に示すNOxセンサの構成は、酸素に
活性で少なくともNOxに不活性な酸素検知極6をガス
測定室4内に設置し、検知電極5と共通の参照電極7を
大気基準ダクト13内に設けた構成を示す。勿論、この
参照電極7はそれぞれ個別に設置してもよい。参照電極
7と酸素検知極6との間の電位差VO2と、参照電極7と
NOx検知電極5との間の電位差VNOxとを用いて、演算
処理する手段23により酸素濃度変動に対して補正を施
す構成をとっている。演算処理手段23は電子回路を用
いたハードウェア、あるいはマイクロコンピュータ等を
用いたソフトウェアによってなされることにより、被検
ガス雰囲気中の酸素濃度変動がガス測定室内の酸素濃度
変動に影響を及ぼす場合であっても、精度良くNOx検
知を行うことができる。
【0029】図5に示すNOxセンサの構成は、図4の
構成に被検ガス雰囲気中の還元ガス、例えば燃焼排ガス
中ではCO、HC等をガス測定室4の前段にて酸化処理
するためのガス処理電極9を具備したものである。図5
ではその対極10をNOx変換電極のそれと共通として
いるが、個別に設置してもよい。このガス処理電極9
は、好ましくは前述のHCやCOに活性であることが望
ましい。ガス処理電極9とその対極10により構成され
るガス処理ポンプセルに電圧を印加する手段として外部
電源26が具備される。尚、図5中には示されていない
が、ガス処理電極9とNOx変換電極8の間にガス抵抗
体またはガス通気孔を設置し、ガス測定室4を前室と後
室の2室構造にしてもよい。この2室構造により、ガス
変換室(後室)の酸素濃度変動がより抑制されセンサ特
性が向上する。
【0030】図6に示すNOxセンサは、ガス拡散孔1
8が検知電極の設置されている固体電解質基板1に複数
形成され、その前方のガス通路に触媒多孔質体16が装
填された構成であり、被検ガスはガス導入孔3から導入
される。ガス処理電極9は多孔質膜とし、固体電解質基
板1bおよび2bで挟持した構造とした。このような構
造であってもガス通気抵抗がガス拡散律速とならないよ
うに多孔度を設定する。図6では、ガス処理電極9の対
極10bはNOx変換電極8の変換対極10aとは別個
に設置されている。また、センサ素子をより均一に加熱
するため、ヒータ14a,14bが上下2個所に設置さ
れている。
【0031】以上述べてきたような本発明センサの製造
方法は特に制限はないが、通常、生産性の高いジルコニ
アのグリーンシートを用いて作製することができる。ジ
ルコニアのグリーンシートの作製には、まず原料粉とし
てのジルコニア粉が用意される。ジルコニア粉はすでに
所定量のY23が添加されたものを使用するが、ジルコ
ニア粉とイットリア粉を所定量混合する方法でもよい。
図1のセンサを作製する場合、このジルコニアグリーン
シート上あるいは焼結済み固体電解質基板にまず電極下
地層のペーストをスクリーン印刷等で塗布形成する。こ
れを乾燥後、集電用リード材、参照極材、さらに検知極
材を同様に印刷形成する。参照極材料には通常Ptが用
いられるが、センサ作動温度でNOxに感度を有しなけ
れば特に材料は限定されない。スクリーン印刷完了後、
グリーンシートの場合には、約500℃で脱脂焼成した
のち通常1400℃以上で焼結焼成を行う。最後に集電
体端子にPtなどのリード線を溶接して測定に供され
る。図2〜図6に示すような積層型素子の作製において
も、同様なグリーンシートを用いた方法が適用される。
前述のように印刷がなされた各グリーンシートを積層
し、加熱圧着する。この際、素子の内部空所を形成する
部位には、あらかじめ脱脂温度にて昇華するようなテオ
ブロミン等の消失材を埋め込むか印刷形成する。
【0032】以上本発明の電極あるいはそれを適用した
積層型NOxセンサについて述べてきたが、さらに本電
極を形成するジルコニア固体電解質基板についても言及
する。すなわち、前述のイットリア(Y23)を添加し
たジルコニア固体電解質に更にAlを0.01〜1wt%
添加することによりジルコニアグリーンシートの焼結温
度を大幅に低減させ、その結果センサ検知性能を改善す
ることができる。Alの添加量は、好ましくは0.05
〜0.5wt%である。Alの添加量が多すぎると、電極
下地層との反応が生じ感度性能を低下させ、またジルコ
ニア固体電解質自体の強度が低下する。逆に添加量が少
なすぎると本効果は少ない。すなわち、この手段により
本発明の下地層を有する検知電極のインピーダンスの低
減が可能となり、電極の活性を増大させることができ、
もって電極の安定性をさらに向上させることができる。
以下に、実施例を示し更に詳細な説明を行うが、本発明
はこれら実施例に限定されるものでなく、その発明の思
想を同一とするものを全て含むことは言うまでもない。
【0033】
【実施例】[参考例]図1に示す構造からなるNOxセ
ンサ(検知セル)を本発明電極の構成材料となるNOx
および酸素に活性な金属酸化物、NOxおよび酸素に活
性な第1の貴金属、NOxに活性でなく酸素に活性な第
2の貴金属の各単組成からなるように作製した。図1の
ジルコニア固体電解質基板1用には、6mol%のイット
リア(Y23)が添加されたジルコニア粉を原料粉とし
て前述のように作製したグリーンシートを用いた。グリ
ーンシートの厚みは250μmとした。前述の通り焼成
済みの基板を用いることもできるが、その場合、基板の
厚みは約200μmとする。グリーンシートを矩形に切
断し、Ptリード導体をスクリーン印刷で形成した後、
表1に示す各検知電極材料をスクリーン印刷して検知電
極を形成した。また、参照極7にはPtを使用し、同様
にスクリーン印刷にて形成した。これらのセンサ素子を
大気中で約500℃にて脱脂を行ったのち、約1400
℃の焼成を行った。焼成基板を用いる場合には、脱脂工
程は不要となり、1100〜1300℃で焼成を行っ
た。焼成後の各センサ素子にはリード線を接合してサン
プルとした。このように作製された酸素ポンプセルサン
プルを電気炉に保持された石英管の中にセットし、酸素
濃度5%下でNOxに対する活性の大小比較を行った。
このときのNOxとしてはNOガス100ppmおよびNO
2ガス100ppmを用いた。電気炉雰囲気の温度は600
℃となるように制御した。各サンプルのNOxに対する
出力は、高入力インピーダンスの電圧計21を用いて評
価した。本参考例においては、検知電極5と参照電極7
は同一の雰囲気中に置かれている。PtのNOxに対す
る活性は別途、閉端型のジルコニア固体電解質チューブ
を用いて検知電極としての出力(混成電位)を調べた結
果、NOおよびNO2のいずれに対しても感度を有しな
いことが確かめられている。この際、ジルコニアチュー
ブの内側雰囲気を大気に、外側雰囲気を被検ガス雰囲気
とした。
【0034】得られた結果を表1にまとめて示す。これ
より、表1に示すA群の貴金属材料はNOxに感度を示
さず、電極のNOx活性が無いことが確認された。一
方、B群の貴金属材料はNOxに高い活性を示す。C群
の金属酸化物材料は優れたNOx感度を示すが、なかで
もCrを構成元素とする酸化物材料は高い感度特性を示
すことが分かる。さらに、NiCr24、FeCr
24、MgCr24、Cr23は特に高い感度特性を有
することが分かる。従って、本発明における第1の貴金
属としてはB群の貴金属材料、第2の貴金属としてはA
群の貴金属材料が用いられることが分かる。また、B′
群に示すPt−Rh(3wt%)は、A群の貴金属である
PtとB群の貴金属であるRhとの合金であるが、NO
xに対して高い感度特性を有することが認められた。
【0035】
【表1】
【0036】[実施例1]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、固体電解質基板1と電極下地層15には表2に示
す材料を用いた。検知電極5には、Pt−Rh(3wt
%)、Cr23、NiCr24の三種類を用意した。参
照電極7の材料はPtとした。本サンプルの作製方法は
参考例のグリーンシートを用いた場合と同様である。こ
のようにして用意されたセンササンプルを参考例と同様
にして、電気炉中でNO2(100ppm)に対する感度特性
を評価した。感度特性としては、初期感度と所定の加速
条件下での感度変化率(ドリフト変化率)を調べた。ま
た、各サンプルの作製された直後の電極膜を目視観察お
よび実体光学顕微鏡で調べた。本実施例の電極下地層の
効果を比較するために、電極下地層が形成されていない
サンプルも準備した。
【0037】結果を表2にまとめて示す。ここで初期感
度は酸素5vol%(残N2)下でのベース出力と酸素5vo
l%(残N2)でNO2(100ppm)存在下でのセンサ出力
との差を示す。また、ドリフト変化率は所定の加速試験
後におけるNO2(100ppm)に対する感度と初期感度と
の差(変化分)と初期感度との比を示す。+記号は感度
増大、−記号は感度低下を意味する。本結果より、電極
下地層15が形成されていない従来のサンプル(比較
例)に比して、イットリアが3mol%以下、あるはイッ
トリア以外の安定化剤を用いたジルコニア固体電解質か
らなる電極下地層15を有する本発明は、感度低下もほ
とんど無く、且つドリフト変化量が従来に比してほぼ半
減することが分かる。但し、安定化剤のイットリアが3
mol%以下であっても、他の安定化剤がなければその感
度特性が低下してしまう。また、イットリアが5mol%
以上であれば、他の安定化剤が添加されていようと、ド
リフト変化が大きくなってしまう。各サンプルの電極膜
を実体顕微鏡で観察した結果、12mol%MgO添加の
ジルコニア基板を用いたサンプルでは、微小なクラック
や膜剥離が見られた。このことから、ジルコニア固体電
解質基板は、好ましくはイットリア添加のジルコニア固
体電解質基板とすることが好ましいことが分かる。
【0038】
【表2】
【0039】[実施例2]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、電極下地層15と検知電極5には表3に示す材料
を用いた。固体電解質基板1には、6mol%のイットリ
アが添加されたジルコニア固体電解質基板1を用いた。
参照電極7の材料はPtとした。本サンプルの作製方法
は参考例のグリーンシートを用いた場合と同様である。
このようにして用意されたセンササンプルを参考例と同
様にして、電気炉中でNO2(100ppm)に対する感度特
性を評価した。感度特性としては、初期性能と所定の加
速条件下での感度変化率(ドリフト変化率)を調べた。
また、各サンプルの作製された直後の電極膜を目視観察
および実体光学顕微鏡で調べた。本実施例の電極下地層
の効果を比較するために、電極下地層が形成されていな
いサンプルも準備した。
【0040】結果を表3にまとめて示す。本結果より、
電極下地層15が形成されていない従来のサンプル(比
較例)に比して、本発明電極は、初期感度の低下もほと
んど無く、且つドリフト変化量を従来に比して半減以下
にできることが分かる。特に、セリア、マグネシアある
いはスカンジアを安定化剤とするジルコニアを電極下地
層15に用いると、ドリフトを更に抑えることができ
る。また、複数の安定化剤を組み合わせても、その抑制
効果が維持されていると判断できる。また、電極膜の実
体顕微鏡観察から、比較例では一部剥離等が見られた
が、本発明の実施例サンプルでは良好な膜が得られてい
ることが確認された。
【0041】
【表3】
【0042】[実施例3]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、検知電極材料にはCr23を用いた。表4に示す
ように、Cr23電極に第1の貴金属をそれぞれ単独に
添加したものを使用した。添加する各貴金属あるいは貴
金属合金を電極膜総量に対して50wt%となるように調
整した。電極下地層15は表4に示す安定化剤を添加し
たジルコニア固体電解質を用いた。また、下地層を形成
しないセンサも用意し、比較サンプルとした。参照電極
7の材料はPtとした。本サンプルの作製方法は参考例
におけるグリーンシートの場合と同様である。このよう
にして用意されたセンササンプルを参考例と同様にし
て、電気炉中でNO2(100ppm)に対する感度特性を評
価した。感度特性としては、初期性能と所定の加速条件
下での感度変化率(ドリフト変化率)を調べた。
【0043】結果を表4にまとめて示す。本結果より、
従来電極に比して、感度はほぼ同レベルに維持されてい
る上に、更に実施例2に比してもドリフト変化量が明ら
かに減少していることが分かる。従って、この結果は明
らかに電極下地層15と検知電極5中に添加された第1
の貴金属添加の相乗効果によると考えられる。尚、電極
膜の状態は実施例2と同様に良好なままであることが確
認された。
【0044】
【表4】
【0045】[実施例4]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、検知電極材料にはCr23を用いた。表5に示す
ように、Cr23電極に第2の貴金属をそれぞれ単独に
添加したものを使用した。添加する各貴金属あるいは貴
金属合金を電極膜総量に対して一律0.5wt%となるよ
うに調整した。電極下地層15は表5に示す安定化剤を
含むジルコニア固体電解質を用いた。また、下地層を形
成しないセンサも用意し、比較サンプルとした。参照電
極7の材料はPtとした。本サンプルの作製方法は参考
例におけるグリーンシートの場合と同様である。このよ
うにして用意されたセンササンプルを参考例と同様にし
て、電気炉中でNO2(100ppm)に対する感度特性を評
価した。感度特性としては、初期性能と所定の加速条件
下での感度変化率(ドリフト変化率)を調べた。
【0046】結果を表5にまとめて示す。本結果より、
従来電極に比して、感度がほぼ維持されている上に、更
に実施例2に比してもドリフト変化量が大きく減少して
いることが分かる。従って、この結果は明らかに電極下
地層15と第2の貴金属添加の相乗効果によると考えら
れる。尚、電極膜の状態は実施例2と同様に良好なまま
であることが確認された。
【0047】
【表5】
【0048】[実施例5]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、検知極材料に金属酸化物としてCr23を用い、
表6に記す第1の貴金属を50wt%添加し、さらに表6
に示す第2の貴金属を0.5wt%添加した。なお、本実
施例においても参照電極7の材料はPtとした。本サン
プルの作製方法は参考例と同様である。このようにして
用意されたセンササンプルを参考例と同様にして、電気
炉中でNO2(100ppm)に対する感度特性を評価した。
感度特性としては、初期性能と所定の加速条件下での感
度変化率(ドリフト変化率)を調べた。
【0049】その結果を表6にまとめて示す。本結果よ
り、従来電極に比して、本実施例の感度はほとんど低下
していないにも関わらず、実施例3あるいは実施例4と
比較して、ドリフト変化率はさらに低減されている。す
なわち、電極下地層と第1および第2の貴金属の添加さ
れた検知電極とを積層することにより更に電極性能の安
定性が改善されていることがわかる。
【0050】
【表6】
【0051】[実施例6]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、検知極材料の金属酸化物としてCr23を用い、
第1の貴金属としてAuあるいはIrを、その添加量を
0〜90wt%の範囲で10wt%毎に変えて添加した。第
2の貴金属は添加されていない。電極下地層15には、
12mol%CeO2添加のジルコニア固体電解質あるいは
15mol% Sc23添加のジルコニア固体電解質を用い
た。本実施例においても参照電極7の材料はPtとし
た。本サンプルの作製方法は参考例と同様である。この
ようにして用意されたセンササンプルを参考例と同様に
して、電気炉中でNO2(100ppm)に対する感度特性を
評価した。感度特性としては、初期感度と所定の加速条
件下での感度変化率(ドリフト変化率)を調べた。
【0052】電極下地層ジルコニアの安定化剤が12mo
l% CeO2の場合の結果を図7に、15mol% Sc2
3の場合の結果を図8に示す。本結果より、いずれにお
いても、第1の貴金属を添加する量としては40〜70
wt%とすることで、感度特性を損なわずにドリフト変化
量を大幅に低減することができる。また、本結果より、
好ましくは40〜70wt%とするとよく、さらに好まし
くは40〜60wt%とするとよいことが分かる。
【0053】[実施例7]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、検知極材料に金属酸化物としてCr23を用い、
第2の貴金属としてPtあるいはPdのその添加量を、
0〜7wt%の範囲で変えて添加した。具体的な第2の貴
金属の添加量は、0wt%、0.05wt%、0.1wt%、
0.5wt%、1wt%、2wt%、3wt%、5wt%、7wt%
とした。第1の貴金属は添加されていない。電極下地層
15には、12mol% CeO2添加のジルコニア固体電
解質あるいは15mol% Sc23添加のジルコニア固体
電解質を用いた。本実施例においても参照電極7の材料
はPtとした。本サンプルの作製方法は参考例と同様で
ある。このようにして用意されたセンササンプルを参考
例と同様にして、電気炉中でNO2(100ppm)に対する
感度特性を評価した。感度特性としては、初期性能と所
定の加速条件下での感度変化率(ドリフト変化率)を調
べた。
【0054】電極下地層ジルコニアの安定化剤が12mo
l% CeO2の場合の結果を図9に、15mol% Sc2
3の場合の結果を図10に示す。本結果より、いずれに
おいても、第2の貴金属を添加する量としては0.05
〜5wt%とすることで、感度特性を損なわずにドリフト
変化量を大幅に低減することができる。また、本結果よ
り、好ましくは0.1〜3wt%とするとよいことが分か
る。更に好ましくは、0.1〜1wt%であることが分か
る。
【0055】[実施例8]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、検知極材料に金属酸化物としてCr23を用い、
第2の貴金属としてPtを0.5wt%添加し、さらに第
1の貴金属としてAu、Ir、あるいはRhを、その添
加量を0〜90wt%の範囲で10wt%毎に変えて添加し
た。電極下地層15には、12mol% CeO2添加のジ
ルコニア固体電解質を用いた。本実施例においても参照
電極7の材料はPtとした。本サンプルの作製方法は参
考例と同様である。このようにして用意されたセンササ
ンプルを参考例と同様にして、電気炉中でNO2(100pp
m)に対する感度特性を評価した。感度特性としては、
初期性能と所定の加速条件下での感度変化率(ドリフト
変化率)を調べた。
【0056】本結果を図11に示す。本結果より、第2
の貴金属を添加した場合には、第1の貴金属を添加する
量としては10〜70wt%とすることで、感度特性を損
なわずにドリフト変化量を大幅に低減することができ
る。また、本結果より、好ましくは40〜70wt%、さ
らに好ましくは40〜60wt%とするとよいことが分か
る。
【0057】[実施例9]図1の構造を有する本発明の
NOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、検知極材料に金属酸化物としてCr23を用い、
第1の貴金属としてAuを50wt%添加し、さらに第2
の貴金属としてPt、Pd、あるいはRuを、その添加
量を0〜7wt%の範囲で添加した。具体的な第2の貴金
属の添加量は、0wt%、0.05wt%、0.1wt%、
0.5wt%、1wt%、2wt%、3wt%、5wt%、7wt%
とした。電極下地層15には、12mol% CeO2添加
のジルコニア固体電解質を用いた。本実施例においても
参照電極7の材料はPtとした。本サンプルの作製方法
は参考例と同様である。このようにして用意されたセン
ササンプルを参考例と同様にして、電気炉中でNO2(1
00ppm)に対する感度特性を評価した。感度特性として
は、初期性能と所定の加速条件下での感度変化率(ドリ
フト変化率)を調べた。
【0058】本結果を図12に示す。本結果より、第1
の貴金属を添加した場合には、第2の貴金属を添加する
量としては0.05〜2wt%とすることで、感度特性を
損なわずにドリフト変化量を大幅に低減することができ
る。また、本結果より、好ましくは0.1〜1wt%とす
ることで、更に電極の安定性を増すことが分かる。
【0059】[実施例10]図1の構造を有する本発明
のNOxセンサ(検知セル)を作製した。本実施例にお
いては、検知極材料に金属酸化物としてCr23を用
い、第2の貴金属としてPtを0.5wt%添加し、さら
に本電極に表7に示す各種安定化剤を用いたジルコニア
固体電解質を一律10wt%に添加した。電極下地層15
には、表7に示す3種類のジルコニア固体電解質膜を用
いた。本実施例においても参照電極7の材料はPtとし
た。本サンプルの作製方法は参考例と同様である。この
ようにして用意されたセンササンプルを実施例1と同様
にして、電気炉中でNO2(100ppm)に対する感度特性
を評価した。感度特性としては、初期性能と所定の加速
条件下での感度変化率(ドリフト変化率)を調べた。
【0060】本結果を表7に示す。これにより、検知電
極5にジルコニア固体電解質を添加することにより、初
期感度が増大し、安定性が改善されることが分かる。さ
らに、電極下地層15のジルコニアに添加される安定化
剤と、検知電極5中に添加されるジルコニア固体電解質
の安定化剤を同一とすることで、さらに安定性が向上す
ることがわかる。
【0061】
【表7】
【0062】[実施例11]図2および図3に示す積層
型NOxセンサを作製した。作製方法は前述したように
6mol%のイットリアを添加したジルコニア・グリーン
シートを用いて作製した。この各グリーンシートに電
極、リード、ヒータ等をスクリーン印刷にて形成し、各
シートを積層し加温圧着を施した。圧着する際には、内
部空間とする部位には脱脂工程で昇華するテオブロミン
を充填した。脱脂に引き続き焼成を1400℃にて行っ
た。本実施例では、このセンサ素子の検知電極5に表8
に示す材料構成を適用した。電極下地層15には12mo
l% CeO2を添加したジルコニア固体電解質膜を用い
た。また、比較のため電極下地層のない従来電極の構成
も同時に作製した。各センサ素子サンプルを制御ユニッ
トに接続し、素子温度が600℃に一定となるように制
御し、変換ポンプセルに所定の電位を印加しながらセン
サ性能評価装置にて感度特性を評価した。感度特性に関
しては、先の実施例と同様であるが、使用したNOxは
NO(50ppm)とNO2(50ppm)としNOx総量を100
ppmとした。
【0063】本結果を表8にまとめて示す。いずれのセ
ンサ構造においても、第1の貴金属の添加、さらには第
2の貴金属の添加により、従来のセンサ出力を損なわず
に安定性を大幅に改善することができる。
【0064】
【表8】
【0065】[実施例12]図1の構造を有する本発明
のセンサ素子(検知セル)を作製した。本実施例におい
ては、検知極材料にHC(炭化水素)、CO(一酸化炭
素)、NH3(アンモニア)に感度を有する材料を検知
電極5として用いた。比較のために、本発明の電極下地
層の無いサンプルも作製し、比較サンプルとした。ま
た、検知電極5にジルコニア固体電解質を10wt%添加
した。電極下地層15には、10mol%CeO2添加のジ
ルコニアあるいは12mol% Sc23添加のジルコニア
を用いた。本実施例においても参照電極7の材料はPt
とした。本サンプルの作製方法は参考例と同様である。
このようにして用意されたセンササンプルを参考例と同
様にして、電気炉中でC36(30ppm)、CO(20pp
m)、NH3(50ppm)に対する感度特性を評価した。感
度特性としては、初期感度と所定の加速条件下での感度
変化率(ドリフト変化率)を調べた。
【0066】結果を表9に示す。いずれのサンプルにお
いても、本発明の電極下地層を形成した場合に、ドリフ
ト変化量が大きく抑制されることが分かる。
【0067】
【表9】
【0068】
【発明の効果】本発明の構成において、第1の酸素イオ
ン伝導性からなる固体電解質基板に第2の酸素イオン伝
導性からなる固体電解質の電極下地層を形成し、この電
極下地層に検知電極を積層することで、電極と固体電解
質との界面の物理的および化学的安定性を向上させるこ
とができる。そのため、本発明のガス検知素子およびガ
ス検出装置において、安定したガス検知が可能となり、
また製造時の電極剥離やクラック発生等の問題を大幅に
改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である検知電極を含む検知セルの
断面構造を示す図である。
【図2】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【図3】(a)は本発明の一例である窒素酸化物ガスセ
ンサの断面構造を示す図であり、(b)は固体電解質基
板を絶縁性基板の一面に配した例を示す断面図である。
【図4】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【図5】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【図6】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【図7】実施例6における第1貴金属の添加量依存性を
示すグラフ図である。
【図8】実施例6における第1貴金属の添加量依存性を
示すグラフ図である。
【図9】実施例7における第2貴金属の添加量依存性を
示すグラフ図である。
【図10】実施例7における第2貴金属の添加量依存性
を示すグラフ図である。
【図11】実施例8における第1貴金属の添加量依存性
を示すグラフ図である。
【図12】実施例9における第2貴金属の添加量依存性
を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 第1の固体電解質基板 2 第2の固体電解質基板 3 ガス導入口 4 ガス測定室 5 NOx検知電極 6 酸素検知電極 7 参照電極 8 NOx変換電極 9 ガス処理電極 10 変換対極 11 スペーサ 12 大気導入ダクト 13 大気基準ダクト 14 ヒータ 15 電極下地層 16 多孔質体 17 ヒータ基板 21 NOx検知極と参照極間の電位差を測定する手段
(電位差計) 22 酸素検知極と参照極間の電位差を測定する手段
(電位差計) 23 NOx出力を補正する手段 25 NOx変換ポンプセルに電圧を印加する手段(外
部電源) 26 ガス処理ポンプセルに電圧を印加する手段(外部
電源)

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の酸素イオン伝導性からなるジルコ
    ニア固体電解質からなる基板と、当該ジルコニア固体電
    解質基板に設置された検知対象ガスおよび酸素に活性な
    検知電極と、前記ジルコニア固体電解質基板上に固定さ
    れた少なくとも酸素に活性な参照電極とからなるガス検
    知セルであって、当該ガス検知セルの少なくとも検知電
    極と前記ジルコニア固体電解質基板との間に、第2の酸
    素イオン伝導性の固体電解質からなる電極下地層を設け
    た構成からなることを特徴とするガス検知素子。
  2. 【請求項2】 前記の検知対象ガスが窒素酸化物ガス、
    炭化水素ガス、一酸化炭素ガス、アンモニアガスのいず
    れかであることを特徴とする請求項1に記載のガス検知
    素子。
  3. 【請求項3】 前記の電極下地層がイットリア以外の安
    定化剤を含み、且つイットリアを含まないか若しくは3
    mol%以下のイットリアを含むジルコニア固体電解質か
    らなることを特徴とした請求項1に記載のガス検知素
    子。
  4. 【請求項4】 前記の電極下地層のジルコニア固体電解
    質に添加されるイットリア以外の安定化剤の量が3〜3
    0mol%であることを特徴とする請求項3に記載のガス
    検知素子。
  5. 【請求項5】 前記の電極下地層がマグネシア(Mg
    O)、セリア(CeO 2)、スカンジア(Sc23)の
    安定化剤のうち、少なくとも一種が添加された酸素イオ
    ン伝導性のジルコニア固体電解質からなる請求項3に記
    載のガス検知素子。
  6. 【請求項6】 前記の電極下地層のジルコニア固体電解
    質の空隙率が5〜40vol%であり、かつ当該電極下地
    層の平均膜厚が3〜15μmであることを特徴とする請
    求項1に記載のガス検知素子。
  7. 【請求項7】 前記の検知電極が検知対象ガスおよび酸
    素に活性な金属酸化物からなる請求項1に記載のガス検
    知素子。
  8. 【請求項8】 前記の検知電極がNOxおよび酸素に活
    性な金属酸化物と、NOxおよび酸素に活性な第1の貴
    金属からなることを特徴とする請求項1に記載のガス検
    知素子。
  9. 【請求項9】 前記の検知電極を構成するNOxおよび
    酸素に活性な第1の貴金属の添加量が40〜70wt%で
    あることを特徴とする請求項8に記載のガス検知素子。
  10. 【請求項10】 前記の検知電極がNOxおよび酸素に
    活性な金属酸化物と、NOxに不活性で且つ酸素に活性
    である第2の貴金属からなることを特徴とする請求項1
    に記載のガス検知素子。
  11. 【請求項11】 前記の検知電極を構成するNOxに不
    活性で且つ酸素に活性な第2の貴金属の添加量が0.0
    5〜5wt%であることを特徴とする請求項10に記載の
    ガス検知素子。
  12. 【請求項12】 前記の検知電極がNOxおよび酸素に
    活性な金属酸化物と、NOxおよび酸素に活性な第1の
    貴金属と、酸素に活性でNOxに活性でない第2の貴金
    属からなることを特徴とする請求項1に記載のガス検知
    素子。
  13. 【請求項13】 前記の検知電極を構成する第1の貴金
    属の添加量が10〜70wt%で且つ第2の貴金属の添加
    量が0.05〜2wt%であることを特徴とする請求項1
    2に記載のガス検知素子。
  14. 【請求項14】 前記の検知電極が少なくともCrを構
    成元素とする金属酸化物であることを特徴とする請求項
    7乃至13に記載のガス検知素子。
  15. 【請求項15】 前記の検知電極を構成するNOxおよ
    び酸素に活性な金属酸化物が少なくともNiCr24
    FeCr24、MgCr24、Cr23のうちからなる
    ことを特徴とする請求項14に記載のガス検知素子。
  16. 【請求項16】 前記の検知電極を構成するNOxおよ
    び酸素に活性な第1の貴金属がIr、Au、Rhのうち
    1種以上からなることを特徴とする請求項8、9、1
    2、13に記載のガス検知素子。
  17. 【請求項17】 前記の検知電極を構成する酸素に活性
    でNOxに活性でない第2の貴金属がPt、Pd、Ru
    のうち1種以上からなることを特徴とする請求項10乃
    至13に記載のガス検知素子。
  18. 【請求項18】 前記の検知電極が検知対象ガスおよび
    酸素に活性な貴金属からなる請求項1に記載のガス検知
    素子。
  19. 【請求項19】 前記の検知電極を構成する検知対象ガ
    スおよび酸素に活性な貴金属がRh、Ir、Au、ある
    いはこれらを含む貴金属合金からなることを特徴とする
    請求項18に記載のガス検知素子。
  20. 【請求項20】 前記の検知電極に酸素イオン伝導性の
    固体電解質を添加したことを特徴とする請求項7乃至1
    9に記載のガス検知素子。
  21. 【請求項21】 前記の検知電極に添加される酸素イオ
    ン伝導性がジルコニア固体電解質であって、当該ジルコ
    ニア固体電解質の安定化剤がイットリア、セリア、マグ
    ネシア、スカンジアの一つ以上からなることを特徴とす
    る請求項20に記載のガス検知素子。
  22. 【請求項22】 前記記載のイットリア添加ジルコニア
    固体電解質基板にAlが0.01〜1wt%分散添加され
    たことを特徴とする請求項1に記載のガス検知素子。
  23. 【請求項23】 請求項1乃至22の何れかに記載のガ
    ス検知素子を有し、さらに、前記検知電極および参照電
    極を0.1vol%以上の酸素を含む雰囲気下に曝しなが
    ら当該電極間の電位差を測定するための手段と、少なく
    とも前記ガス検知セルを所定の温度に加熱する手段を有
    するガス検出装置。
  24. 【請求項24】 酸素イオン伝導性を有する第1のジル
    コニア固体電解質基板と、同じく酸素イオン伝導性を有
    する第2のジルコニア固体電解質基板を対向させ、スペ
    ーサにより両前記固体電解質基板間に所定の距離を保ち
    ながら固定することにより形成される内部空所からなる
    ガス測定室と、当該ガス測定室内に被検ガス雰囲気が所
    定のガス拡散抵抗を持って流入するように設けられたガ
    ス導入口と、前記ガス測定室内の雰囲気に曝される第1
    の固体電解質基板上に固定されたNOxおよび酸素に活
    性なNOx検知電極と該第1の固体電解質基板上に固定
    された酸素に活性な参照電極とからなるNOx検知セル
    と、前記ガス測定室内の雰囲気に曝される第2の固体電
    解質基板上に固定された被検ガス中のNOをNO2に或
    いはNO2をNOに変換するためのNOxと酸素に活性な
    NOx変換電極と、前記第2の固体電解質基板上に酸素
    あるいは酸素化合物ガスが存在する雰囲気中に曝される
    ように固定された酸素に活性なNOx変換対極からなる
    NOx変換ポンプセルとからなり、前記NOx検知セルの
    少なくともNOx検知電極と第1の固体電解質基板との
    間にイットリア以外の安定化剤が添加され、且つイット
    リアが添加されないか若しくは3mol%以下のイットリ
    アが添加された酸素イオン伝導性のジルコニア固体電解
    質からなる電極下地層を設けた素子構成と、前記のNO
    x検知電極と参照電極との間の電位差を測定する手段
    と、前記NOx変換ポンプセルを駆動するための電圧印
    加手段とを具備し、NOx変換ポンプセルに所定の電圧
    を印加しながら、NOx検知電極と参照電極との間の電
    位差を検出し、もってこの電位差を被検ガス中の窒素酸
    化物濃度の信号とする窒素酸化物検知用ガス検出装置。
  25. 【請求項25】 前記の参照電極が少なくとも酸素に活
    性であり、かつ大気雰囲気に連通する大気基準ダクト内
    に設置されていることを特徴とする請求項24に記載の
    窒素酸化物検知用ガス検出装置。
  26. 【請求項26】 前記の参照電極が酸素に活性で、NO
    xに不活性であり、かつ前記ガス測定室内に設置されて
    いることを特徴とする請求項24に記載の窒素酸化物検
    知用ガス検出装置。
  27. 【請求項27】 前記NOx検知セルが、請求項4乃至
    21の何れかに記載のガス検知素子であることを特徴と
    する請求項24に記載の窒素酸化物検知用ガス検出装
    置。
  28. 【請求項28】 前記記載のイットリア添加ジルコニア
    固体電解質基板にAlが0.01〜1wt%分散添加され
    たことを特徴とする請求項24に記載の窒素酸化物検知
    用ガス検出装置。
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