JP2002177167A - 便座シート - Google Patents

便座シート

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JP2002177167A
JP2002177167A JP2000380265A JP2000380265A JP2002177167A JP 2002177167 A JP2002177167 A JP 2002177167A JP 2000380265 A JP2000380265 A JP 2000380265A JP 2000380265 A JP2000380265 A JP 2000380265A JP 2002177167 A JP2002177167 A JP 2002177167A
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water
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toilet seat
fiber
seat sheet
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JP2000380265A
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Kunihiro Shiraki
国広 白木
Kazuo Matsuda
一男 松田
Junichi Taniguchi
純一 谷口
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 風合、機械的強度、柔軟性等の諸性能に優
れ、しかも水解性に優れ水洗トイレなどに破棄可能な便
座シートを提供する。 【解決手段】 水中溶解温度40℃以下のポリビニルア
ルコール系水溶性繊維により繊維間の少なくとも一部が
接合されており、かつ表面に面積0.1〜50mm2
熱圧着部が多数形成されている嵩密度0.5g/cm3
以下の水解性乾式不織布を用いてなる便座シートとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風合、機械的強
度、柔軟性等の諸性能に優れ、しかも水解性に優れ水洗
トイレなどに破棄可能な便座シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、清潔性を確保するために、特に共
同洋式トイレなどでは使い捨ての便座シートが使用され
ている。かかる使い捨ての便座シートにおいては、廃棄
を容易にするために水洗トイレに破棄可能な程度の水解
性が要求される。以上のことから、水解性の使い捨て便
座シートが種々検討されている。たとえば特開平7−2
31862号公報、特開平5−121号公報では、叩解
クラフトパルプ等からなる水解性紙からなる便座シート
が提案されている。かかるシートは水解性に優れるもの
の、ペーパーライクであるために触感・風合が悪く、ま
た機械的性能に劣る問題があった。また特開平7−51
181号公報には、2つの繊維ウエブのあいだに水溶性
フィルムを積層した水解性多層便座カバーが提案されて
いる。表面を繊維ウエブで構成することによって触感は
改善されるものの、かかる繊維ウエブは機械的性能が低
いために積層フィルムと積層されていても破れなどが形
成されやすい問題があった。繊維ウエブの厚さを大きく
したり、バインダーを付与すれば機械的性能を改善でき
るが、この場合、風合や水解性が損われやすくなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、風
合、保液性、水解性、強度等の諸性能に優れ、かつ水解
性に優れ水洗トイレなどに破棄可能な便座シートを提供
することにある。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明は、(1) 水中
溶解温度40℃以下のポリビニルアルコール系水溶性繊
維により繊維間の少なくとも一部が接合されており、か
つ表面に面積0.1〜50mm2の熱圧着部が多数形成
されている嵩密度0.5g/cm3以下の水解性乾式不
織布を用いてなる便座シート、(2) 水解性乾式不織
布が、水中溶解温度60℃以上のセルロース系繊維を含
む水解性乾式不織布である(1)に記載の便座シート、
(3) 水解性乾式不織布に疎水化処理が施されている
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の便座シー
ト、(4) 少なくとも水溶性フィルムが積層されてい
る(1)〜(3)のいずれかに記載の便座シートに関す
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、風合、吸液性、機械的
性能、水解性、柔軟性等の諸性能に優れた便座シートを
得るために、特定の不織布を用いることを見出したもの
である。まず本発明においては、水中溶解温度40℃以
下のポリビニルアルコール(PVA)系繊維により、繊
維間の少なくとも一部が接合された不織布を用いる必要
がある。該繊維を配合することにより機械的性能及び水
解性に優れた不織布を得ることが可能になる。前述のよ
うに、バインダー樹脂等を多量に配合すると不織布の嵩
高性・風合が損われるが、該構成を採用することにより
風合を損うことなく機械的強度に優れた不織布を得るこ
とが可能になる。
【0006】しかしながら、単に該PVA系繊維を用い
ただけでは触感・風合に優れた便座シートは得られな
い。例えば湿式抄造不織布(紙)とした場合、構成繊維
が二次元方向に配向するために嵩高な不織布は得られ
ず、しかも紙料を水に分散させる必要があるためにバイ
ンダー繊維が抄紙工程中に溶出したり、また繊維形態が
損われて繊維間の空隙が減じるために不織布の嵩高性
(風合・触感)が損われ、剛直になったりペーパーライ
クになる。よって、触感の良好な便座シートを得ること
はできない。
【0007】以上のことから、本発明においては乾式不
織布を用いる必要がある。乾式不織布は繊維が三次元方
向に配向するため繊維間に多数の空隙が形成されて嵩高
となり、しかも水溶性繊維を水に分散させる必要がない
ため、不織布の製造工程で繊維が溶出・膨潤せずにその
形態を保持することが可能となる。一般にPVA系繊維
は湿熱下で優れた接着能を奏するものの、乾熱下では接
着能が十分に発揮されず不織布の機械的性能が不十分に
なる問題がある。しかしながら、本発明においては水中
溶解温度の低いPVA系水溶性繊維を用いていることか
ら、湿熱下だけでなく乾熱下においても優れた接着効果
が得られる。
【0008】本発明に用いられるPVA系水溶性繊維の
水中溶解温度は40℃以下、好適には30℃以下、さら
に好適には20℃以下、またさらに好適には10℃以下
である必要がある。かかるPVA系繊維を用いることに
より水解性に優れた便座シートが得られることはいうま
でもないが、このように水中溶解温度の低い繊維は乾熱
下でも優れた接着能を奏することから、嵩高でかつ機械
的性能に優れた便座シートを得ることが可能となる。水
中溶解温度の下限は特に限定されないが、実施例に記載
の方法で水中溶解温度を測定すると必然的に0℃以上と
なる。
【0009】本発明に使用されるPVA系水溶性繊維の
構成は特に限定されないが、PVA系繊維の水中溶解温
度を低減せしめる点からは平均重合度3000以下、特
に2000以下であるのが好ましく、ケン化度は99モ
ル%以下、さらに98モル%以下、特に90モル%以下
であるのが好ましい。しかしながら、繊維の機械的性能
を高め、また繊維の製造工程における膨潤・膠着を抑制
する点からは平均重合度500以上、さらに1000以
上であるのが好ましく、ケン化度は80モル%以上、特
に85モル%以上であるのが好ましい。繊維を構成する
ビニルアルコール系ポリマーは他の成分により変性され
ていたり共重合されていてもよい。また本発明のPVA
系水溶性繊維はビニルアルコール系ポリマーのみで構成
されている必要はなく、他のポリマーがブレンドされて
いたり、他のポリマーとの混合紡糸繊維や複合紡糸繊維
であってもかまわない。しかしながら、不織布の水解性
及び接着能の点からは繊維の60質量%以上、特に80
質量%以上がビニルアルコール系ポリマーであるのが好
ましい。もちろん、複数種のビニルアルコール系ポリマ
ーにより構成されていてもかまわない。
【0010】また不織布の柔軟性を高める点からはPV
A系水溶性繊維の伸度は高いものが好ましく、具体的に
は伸度10%以上、特に20%以上のものが好ましい。
該繊維を用いることにより柔軟性に優れた不織布が得ら
れる。繊維の伸度の上限は特に限定されないが、一般に
は40%以下である。また不織布の機械的性能を高める
点からはPVA系水溶性繊維の強度は3cN/dtex以上、
特に4cN/dtex以上であるのが好ましい。
【0011】さらに本発明においては、便座シートの水
解性、風合を確保しつつ機械的性能を向上させるため
に、表面に面積0.1〜50mm2の熱圧着部が多数形
成されている嵩密度0.5g/cm3以下の水解性乾式
不織布とする必要がある。すなわち、かかる特定の熱圧
着部を形成させた場合、熱圧着部以外の領域(非熱圧着
部)では高度の嵩高性が保持されることから不織布の風
合、触感等が向上し、しかも熱圧着部においては優れた
接着強力が奏されることから機械的強度に優れた不織布
が得られる。
【0012】各熱圧着部の面積はそれぞれ0.1〜50
mm2、好ましくは0.2〜20mm2、さらに好ましく
は0.2〜10mm2、特に0.2〜1mm2とする必要
がある。各圧着部の面積が小さくなると不織布の機械的
強度も低下しやすくなるが、本発明においては特定のP
VA系繊維を用いていることから圧着部の面積が小さく
ても高い接着性能が奏される。圧着部の面積を小さくす
ることによって不織布の嵩高性が高まって風合、柔軟
性、触感等が向上し、しかも各圧着部の面積が大きい場
合に比して、水に浸漬した際の圧着部と水との接触面積
が多くなることから水解性の点でもより顕著な効果が得
られる。各熱圧着部の面積が大きくなりすぎると、不織
布が剛直になって風合の良好な便座シートが得られなく
なる。
【0013】圧着部の形状は特に限定されず、たとえば
丸、楕円、菱形、多角形等あらゆる形状が採用できる
が、圧着部と水との接触面積を高める点、不織布性能を
均質にする点等から4角形であるのが好ましく、熱圧着
部を実質的に規則的にかつ均質に形成させるのが好まし
い。なお、本発明の効果を損わない範囲であれば熱圧着
部の面積が上記範囲以外の部分を有していてもかまわな
い。また不織布の機械的強度を確保する点からは、熱圧
着部の総面積を不織布表面の10%以上、特に15%以
上とするのが好ましく、不織布の嵩高性を確保する点か
らは、熱圧着部の総面積を不織布表面の50%以下、特
に40%以下、さらに30%以下とするのが好ましい。
【0014】不織布の嵩密度は0.5g/cm3以下、
好ましくは0.3g/cm3以下、さらに好ましくは
0.25g/cm3以下とする必要がある。嵩密度が高
すぎると風合、触感、柔軟性が不十分となる。なお、不
織布の嵩密度は乾式不織布とすることにより高めること
ができるが、熱圧着部の面積、総面積の割合等を変更す
ることによってコントロールできる。不織布の機械的強
度を確保する点からは、不織布の嵩密度は0.1g/c
3以上であるのが好ましい。また軽量性の点からは、
目付100g/m2以下、特に80g/m2以下、さらに
60g/m2以下であるのが好ましい。本発明の不織布
は機械的強度に優れていることから、かかる低目付とし
た場合であっても十分な性能が発揮される。不織布の目
付の下限は特に限定されないが、機械的性能及び保液性
を確保する点からは10g/m2以上、特に30g/m2
以上であるのが好ましい。
【0015】また本発明においては、不織布を構成する
繊維として、PVA系繊維(繊維A)のみでなく他の繊
維を併用することにより、便座シートの風合・触感を一
層高めることができる。本発明においては繊維Aが優れ
たバインダー能を有していることから、繊維Aの配合量
を減じても機械的性能に優れた便座シートを得ることが
できる。PVA系水溶性繊維の配合量は、便座シートの
機械的性能の点から20%質量%以上/乾式不織布であ
るのが好ましく、触感・風合・柔軟性などの点からは7
0質量%以下/乾式不織布、特に50質量%以下/乾式
不織布であるのが好ましい。なお、使用時に水分に接触
することが懸念されるケースほど、PVA系繊維(繊維
A)の配合量を減じるのが好ましい。すなわち、前述の
ようにPVA系水溶性繊維の水中溶解温度が低ければ低
いほど接着能が高まり不織布の機械的性能が向上する
が、一方で、不織布の製造工程や保管時等に吸水膨潤し
やすく不織布の風合・保液性が損われやすいケースが生
じる。けれども水溶性繊維の水中溶解温度を高めれば風
合・触感が損われにくくなるが、反面、十分な接着能が
得られにくくなる。
【0016】かかる繊維Aと併用可能な繊維は特に限定
されないが、繊維Aと併用する繊維の水中溶解温度は6
0℃以上、特に80℃以上、さら実質的に非水溶性の繊
維であるのが好ましい。繊維Aと併用する繊維の水中溶
解温度が低すぎると製造工程や保管時等に吸液して便座
シートの風合、嵩高性が損われやすくなる。繊維Aと併
用する繊維の種類は特に限定されないが、たとえば繊維
A以外のPVA系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミ
ド系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、セ
ルロース系繊維などが挙げられる。なかでも、繊維Aと
の親和性が高く、しかも風合・触感を顕著に改善できる
ことから、少なくともセルロース系繊維を用いるのが好
ましい。
【0017】セルロース系繊維の具体的種類は特に限定
されない。たとえば従来広く使用されている天然繊維
(綿、麻、ウール、絹等)、レーヨン繊維(ビスコース
レーヨン繊維、ポリノジックレーヨン繊維など)等が使
用できる。なかでも機械的性能、保液性等に優れている
ことからレーヨン繊維、特にビスコースレーヨン繊維を
用いるのが好ましい。不織布の柔軟性の点からは、セル
ロース系繊維の伸度は10%以上であるのが好ましく、
機械的強度を高める点からは強度1cN/dtex以上である
のが好ましい。
【0018】本発明の不織布を構成する繊維の繊度は1
0dtex以下、特に5dtex以下であるのが好ましい。繊度
が大きすぎると不織布の風合が劣化し、また水解性も低
下しやすくなる。しかしながら、水溶性繊維の繊度が小
さくなりすぎると、不織布の製造工程通過性が低下し、
また保管時等のに吸湿しやすくなることから、繊度は
0.1dtex以上、特に1dtex以上とするのが好ましい。
また同理由から繊維長1〜100mm程度とするのが好
ましい。また接着強度を高め嵩高性を保持する点から
は、繊維A以外の繊維を配合する場合、(PVA系水溶
性繊維の繊度X)/(繊維A以外の繊維の繊度Y)=
0.8〜2、特にX/Y=0.9〜1.8、さらにX/
Y=1〜1.6とするのが好ましい。該構成とすること
により、嵩高性を必要以上に損うことなく優れた接着強
力が奏される。
【0019】また本発明の効果を損わない範囲であれ
ば、繊維状を有していない樹脂等を配合してもかまわな
いが、樹脂を付与すると嵩高性、風合等が損われること
から、配合割合3質量%以下/不織布、特に0〜1質量
%/不織布とするのが好ましい。
【0020】以下に本発明の乾式不織布の好適な製造方
法を具体的に説明する。本発明の不織布の製造方法は特
に限定されないが、乾式不織布とする必要がある。紙料
を水に分散して抄き上げる湿式抄造法では得られる不織
布の嵩密度が小さくなり、また繊維が2次元方向に配向
するため風合・吸液性の点で所望の効果が得られない。
なお本発明にいう乾式不織布とは、乾式繊維ウエブから
製造される不織布であり、本発明の効果を損わない範囲
であれば製造工程においては水等を付与してもかまわな
い。
【0021】本発明の乾式不織布を製造するために、ま
ずセルロース系繊維及びPVA系水溶性繊維を含む乾式
繊維ウエブを製造する。たとえば繊維を捲縮、カットし
たステープルをカードなどで開繊して得られるパラレル
ウエブ、クリスクロスウエブ、ランダムウエブ等の繊維
ウエブや、エアレイド法により得られるエアレイドウエ
ブが挙げられる。捲縮繊維としては、捲縮数3〜15個
/インチ、捲縮率5〜15%、捲縮弾性率1〜5%、特
に捲縮数5〜12個/インチ、捲縮率6〜10%、捲縮
弾性率2〜4%の捲縮繊維を用いるのが好ましい。
【0022】ついでかかる乾式ウエブを熱エンボス処理
してエンボス不織布を製造すればよい。熱エンボス処理
を施すことにより、PVA系水溶性繊維の接着能が発揮
されて繊維間の少なくとも一部が接合して機械的強度に
優れた不織布が得られる。このとき、本発明の効果を損
わない範囲であれば水存在下で熱エンボス処理を施して
PVA系水溶性繊維の接着能をさらに高めてもかまわな
いが、該処理を行うと不織布の風合が損われることか
ら、実質的に乾熱下で熱エンボス処理を施すのが好まし
い。また本発明の効果を損わない範囲であればさらにニ
ードルパンチ処理等を施してもかまわない。
【0023】かかる熱エンボス処理における加熱ロール
の温度、圧力、処理速度、エンボス模様等は目的に応じ
て適宜設定できる。不織布の強度及び嵩高性等の点から
は、5〜100kg/cmの線圧あるいは10〜100
kg/cm2、特に20〜50kg/cm2の面圧を採用
するのがより好ましい。熱圧着時間は、可能な限り短い
方が好ましく、具体的には0.01〜10秒程度とする
のが好ましい。また熱エンボス温度は、不織布の水解
性、機械的強度等をともに確保する点から140〜22
0℃とすればよく、水溶性繊維の接着能に応じて設定す
ればよい。
【0024】このとき、不織布の熱圧着部の面積が所定
の範囲となるようにエンボス柄、サイズ等を決定する必
要がある。不織布の全面が熱圧着処理されていたり、各
熱圧着部の面積が大きすぎると嵩比重が大きくなって本
発明の不織布は得られない。熱圧着部とエンボス柄は実
質的に同一形状・同一サイズとなることから、所望の熱
圧着部と実質的に同一形状・サイズを有するエンボス柄
とすればよい。なお本発明の効果が得られる範囲であれ
ば、シートの一部分が熱エンボス処理されていなくても
かまわない。なお本発明における熱圧着条件(温度・圧
力)はシートに実際にかかる温度及び圧力であって、設
定温度や設定圧力ではない。実際の温度及び圧力はサー
モラベルや圧力インジケーターなどによって実測するこ
とができる。
【0025】該方法によれば機械的強度及び水解性に優
れた不織布が得られる。より具体的には、強度10N/
25mm以上、特に15N/25mm以上の不織布が得
られる。さらに該方法によれば、機械的強度及び水解性
に優れているのみでなく、柔軟性の高い不織布が得られ
る。具体的には剛軟度35mm以下、伸度30%以上、
特に40%以上の不織布が得られる。便座シートの水解
性を保持する点からは、不織布の水解性は20回以下、
特に15回以下、さらに12回以下であるのが好まし
い。また適度な耐水性を確保する点からは、不織布の水
解性は2回以上、特に3回以上であるのが好ましい。
【0026】かかる不織布を用いて便座シートとすれば
よい。たとえば四角形などの不織布の中央に馬蹄型のミ
シン目を入れて便座シートとしてもよく、また所望の形
状にカットしたり、またはカット片を繋ぎあわせること
により便座シートとしてもかまわない。カット片の接合
方法は特に限定されず、たとえば熱圧着やバインダーに
よる接着が好適に挙げられる。このとき、複数枚を積層
して便座シートとしてもかまわない。かかる不織布には
微細な熱圧着部が多数設けられていることから、任意の
形状にカットしても端部がほつれにくく、容易に所望の
形状に加工できる。もちろん、必要に応じて端部などを
さらに熱圧着処理を施してもかまわない。また本発明の
便座は前記の不織布のみから形成されている必要はな
く、場合によっては他の素材と積層したり継ぎ合せて使
用してもよく、また他の素材により被覆されていてもか
まわない。たとえば、前述の不織布以外の不織布やフィ
ルムが接合・積層されていてもかまわない。なお、便座
シートの水解性を確保する点からは、実質的に水溶性・
水解性の素材のみから構成されているのが好ましい。た
とえば水溶性フィルムをさらに積層することができる。
【0027】便座シートの耐水性を一層高める点から
は、不織布表面に疎水化処理、好適には撥水処理を施す
のが好ましい。たとえば従来公知の方法などにより、フ
ッ素系などの撥水剤をスプレーすることにより、便座シ
ートの耐水性を顕著に高めることができる。たとえば市
販の防水スプレーにより処理すればよい。スプレー処理
はデイップ処理などに比して不織布の風合・触感を劣化
させにくいことからより好適に採用できる。特に不織布
の撥水度が3分以上となるように撥水処理を施すのが好
ましい。また、本発明の便座シートはあらゆる加工を行
うことができ、たとえば便座シートを染色したり、印刷
による意匠を施してもよく、また便座と接触する面に水
溶性の粘着剤層などを設けたり、抗菌性などを付与して
もかまわない。本発明の便座シートの適用範囲は特に限
定されない。なかでも共有水洗トイレに好適である。使
用後、かかるシートをトイレにそのまま廃棄することが
可能である。
【0028】
【実施例】[極限粘度 ポイズ]東京計器製B型粘度計
により測定した。 [PVAの平均重合度]JIS K6726に準拠し、
30℃の水溶液の極限粘度[η]の測定値よりlogP
=1.63log([η]×104/8.29)によって算出し
た。なお、PはPVAの平均重合度である。
【0029】[繊度 dtex]JIS―L−1015―
7.5.1に準じて測定した。 [繊維強度 cN/dtex、伸度 %]JIS―L−109
5―7.5.1に準じて測定した。
【0030】[水中溶解温度 ℃]試長4cmの繊維に
2mg/dtexの荷重を吊り下げ、0℃の水に浸漬
し、水を2℃/minの速度で昇温したときに、繊維が
溶断する温度を水中溶解温度として測定した。 [捲縮数、捲縮率、捲縮弾性率]それぞれJIS―L―
1015―7.12.1、JIS―L−1015―7.
12.2、JIS−L−1015.7.13に準じて測
定した。
【0031】[目付 g/m2]不織布を10cm×1
0cmの大きさに切出し、室内の風の影響を減じる為に
上下左右前後を封じた小数点以下3桁まで測定可能な精
密天秤の乗せ、得られた不織布質量を100倍してg/
2単位の目付とした。なお、不織布面積が小さい場合
には、適当なサイズに切り出して質量を測定し換算して
求めることとする。 [強度 N/25mm、伸度 %]不織布の製造方向
(MD)及び巾方向(CD)について、巾25mm、長
さ20cmの大きさに不織布を切出し、インストロン社製
引張試験機(5543型)にてチャック間距離10c
m、引張り速度1cm/minにてMD、CD各々3枚
測定しその平均値を不織布強度及び伸度として算出し
た。
【0032】[厚み μm、嵩密度 g/cm3]10c
m×10cmの大きさに切出した目付(A)g/m2の不織
布試料について、JIS−L−1913に準じて任意の
10点において厚さを測定し、この相加平均を厚み
(B)μmとした。次いでAをBで除して不織布の嵩密
度を算出した。なお試料のサイズが10cm×10cm
よりも小さい場合には、試料を切り出すことなくそのま
ま用いて各値を測定することとする。
【0033】[剛軟度 mm]JIS L 1913に
記載の41.5°カンチレバー法に準じ、幅25mm、
長さ250mmの試験片を用いて41.5°カンチレバ
ー形試験機により剛軟度を測定した。 [水解性 回]25℃の水300mlを入れた1000
ccのメスシリンダーに50mm×50mmに切出した
不織布試料を投入しメスシリンダーの上部口をゴム栓で
密閉した。次いで直ちに往復反転運動を1回/秒の速度
で行い、不織布の形態が崩壊する回数を水解性として評
価した。なお、往復反転運動とは、メスシリンダーを反
転させて上下の位置を変え、さらに反転してメスシリン
ダーの上限を元の状態に戻すという動作を1サイクル
(1回)とするものである。 [撥水度 分]JIS L−1092の撥水性試験(水
滴法)に準じて測定した。
【0034】[実施例1]平均重合度1750、平均ケ
ン化度88.5モル%のビニルアルコール系ポリマーか
らなる水中溶解温度1℃、繊度2.5dtex、強度4.5
cN/dtex、伸度25%のPVA系水溶性繊維(株式会社
クラレ製「クラロンK-II(WN2)」)を用い、該繊維
を110℃に加熱して捲縮を付与した後に繊維長52m
mにカットして捲縮繊維を製造した。該捲縮繊維の捲縮
数は7.8個/25mm,捲縮率8.1%、捲縮弾性率
は2.8%であった。またセルロース系繊維として、繊
度1.7dtex、繊維長40mm、強度1.8cN/dtex、伸度
18%、捲縮数14個/25mm、捲縮率12%、捲縮
弾性率4%、水中溶解温度100℃以上(実質的に非水
溶性)のビスコースレーヨン系繊維(大和紡績株式会社
製「コロナCD」)を用いた。
【0035】かかるPVA系水溶性繊維及びセルロース
系繊維を質量比30:70で混綿、パラレルカード工程
(テーカイン350rpmm、シリンダー180rp
m、ドッファー10rpm)を通過させて乾式繊維ウェ
ッブを製造した。次いで、該ウエッブに熱エンボス処理
を施して目付50g/m2、嵩比重0.196g/cm3
の乾式不織布を製造した。なお熱エンボス条件は、温度
160℃、圧力40kg/cm、速度50m/minと
し、1mm×0.6mmの菱形圧着部(面積0.6mm
2)が非連続で直線状に規則的かつ均質に多数形成され
るように処理を施した(熱圧着部総面積25面積%/不
織布)。得られた不織布は嵩高で風合及び保液性の良好
なものであり、また強度26N/25mm、伸度48
%、剛軟度29mmであり、強度及び柔軟性に優れたも
のであった。該不織布に水解性試験を施したところ、水
解性6回という高い水解性を奏し、水洗トイレに廃棄可
能なものであり便座シートとして優れた性能を有してい
た。かかる不織布を、35cm×50cmに切断し、中
央部に馬蹄型のミシン目を入れて便座シートを製造して
使用した。機械的性能及び柔軟性に優れていることから
便座への設置などを容易に行うことができ、また人体へ
の接触もソフトで風合に優れているものであった。該便
座シートを水洗トイレに投入して廃棄したが、低温水に
容易に溶解することから詰まり等の問題は生じなかっ
た。
【0036】[実施例2]実施例1において得られた不
織布(撥水度2分以下)に市販の防水スプレー(ダイキ
ン工業(株)製「ノヴァテック」)を2g/m2スプレ
ーして撥水処理した。処理後の不織布は嵩高で風合及び
保液性の良好なものであり、また強度26N/25m
m、伸度48%、剛軟度29mmであり、強度及び柔軟
性に優れたものであった。また耐水性3分以上と適度な
撥水性を有しており、保管等における耐久性に優れるも
のであった。該不織布に水解性試験を施したところ、水
解性10回という高い水解性を奏し、水洗トイレに廃棄
可能なものであり便座シートとして優れた性能を有して
いた。かかる不織布を、35cm×50cmに切断し、
中央部に馬蹄型のミシン目を入れて便座シートを製造し
て使用した。機械的性能及び柔軟性に優れていることか
ら便座への設置などを容易に行うことができ、また人体
への接触もソフトで風合に優れているものであった。該
便座シートを水洗トイレに投入して廃棄したが、低温水
に容易に溶解することから詰まり等の問題は生じなかっ
た。
【0037】[実施例3]平均重合度1750、平均ケ
ン化度96.5モル%のビニルアルコール系ポリマーか
らなる水中溶解温度24℃、繊度2.5dtex、強度6.
5cN/dtex、伸度21%のPVA系水溶性繊維(株式会
社クラレ製「クラロンK-II(WN5)」)を用い、該繊
維を110℃に加熱して捲縮を付与した後に繊維長51
mmにカットして捲縮繊維を製造した。該捲縮繊維の捲
縮数は8.8個/25mm,捲縮率7.1%、捲縮弾性
率は3.1%であった。またセルロース系繊維として、
繊度1.7dtex、繊維長40mm、強度1.8cN/dtex、伸
度18%、捲縮数14個/25mm、捲縮率12%、捲
縮弾性率4%のビスコースレーヨン系繊維(大和紡績株
式会社製「コロナCD」)を用いた。
【0038】かかるPVA系水溶性繊維及びセルロース
系繊維を質量比80:20で混綿し、熱エンボス温度を
190℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で目付
50g/m2、嵩比重0.196g/cm3の乾式不織布
を製造した。得られた不織布は嵩高で風合及び保液性の
良好なものであり、また強度36N/25mm、伸度3
7%、剛軟度31mmであり、強度及び柔軟性に優れた
ものであった。該不織布に水解性試験を施したところ、
水解性15回という十分な水解性を奏し、水洗トイレに
廃棄可能なものであり拭浄材等として優れた性能を有し
ていた。さらに実施例1と同様に便座シートに加工して
便座シートとして使用したが、機械的性能及び柔軟性に
優れていることから便座への設置などを容易に行うこと
ができ、また人体への接触もソフトで風合に優れている
ものであった。該便座シートを水洗トイレに投入して廃
棄したが、低温水に容易に溶解することから詰まり等の
問題は生じなかった。
【0039】[実施例4]実施例3において得られた不
織布(撥水度2分以下)に市販の防水スプレー(ダイキ
ン工業(株)製「ノヴァテック」)を2g/m2スプレ
ーして撥水処理した。処理後の不織布は嵩高で風合及び
保液性の良好なものであり、また強度36N/25m
m、伸度37%、剛軟度31mmであり、強度及び柔軟
性に優れたものであった。また耐水性3分以上と適度な
撥水性を有しており、保管等における耐久性に優れるも
のであった。該不織布に水解性試験を施したところ、水
解性18回という高い水解性を奏し、水洗トイレに廃棄
可能なものであり便座シートとして優れた性能を有して
いた。かかる不織布を、35cm×50cmに切断し、
中央部に馬蹄型のミシン目を入れて便座シートを製造し
て使用した。機械的性能及び柔軟性に優れていることか
ら便座への設置などを容易に行うことができ、また人体
への接触もソフトで風合に優れているものであった。該
便座シートを水洗トイレに投入して廃棄したが、低温水
に容易に溶解することから詰まり等の問題は生じなかっ
た。
【0040】[比較例1]なお熱エンボス条件を、温度
160℃、圧力40kg/cm、速度50m/minと
し、8mm×8mmの菱形圧着部(面積64mm2)が
非連続で直線状に規則的かつ均質に多数形成されるよう
に処理を施した以外は実施例1と同様に不織布を製造し
た(熱圧着部総面積25面積%/不織布)。得られた不
織布の目付は50g/m2、嵩比重0.233g/m3
あり、強力37N/25mm、伸度29%、剛軟度42
mm、水解性48回であった。該不織布は機械的強度に
優れているものの、風合、柔軟性・触感、水解性等に劣
るものであった。該不織布を用いて実施例1と同様に便
座シートを製造したが、触感、柔軟性に劣り、また水洗
トイレに廃棄したがその水解性は不十分であった。
【0041】[比較例2]実施例2において得られた繊
維乾式ウエブに、PVA系樹脂(株式会社クラレ製「2
17」)の22℃、固形質量10質量%の水溶液を固形
分で5質量%/不織布付与して実施例1と同様に熱圧着
処理を施した。得られた不織布の目付は50g/m2
嵩比重0.526g/m3であり、強力39N/25m
m、伸度29%、剛軟度127mm、水解性24回であ
った。該不織布は機械的強度に優れているものの、剛直
で風合、触感、水解性等に劣るものであった。該不織布
を用いて実施例1と同様に便座シートを製造したが、触
感、柔軟性に劣り、また水洗トイレに廃棄したがその水
解性は不十分であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D037 AE03 4L047 AA07 AA16 AA28 AB09 BA09 BB03 CA06 CB10 CC16 DA00 EA02 EA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中溶解温度40℃以下のポリビニルア
    ルコール系水溶性繊維により繊維間の少なくとも一部が
    接合されており、かつ表面に面積0.1〜50mm2
    熱圧着部が多数形成されている嵩密度0.5g/cm3
    以下の水解性乾式不織布を用いてなる便座シート。
  2. 【請求項2】 水解性乾式不織布が、水中溶解温度60
    ℃以上のセルロース系繊維を含む水解性乾式不織布であ
    る請求項1に記載の便座シート。
  3. 【請求項3】 水解性乾式不織布に疎水化処理が施され
    ていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    便座シート。
  4. 【請求項4】 少なくとも水溶性フィルムが積層されて
    いる請求項1〜3のいずれかに記載の便座シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200064386A (ko) * 2018-11-29 2020-06-08 김주호 일회용 좌변기 커버용 펄프
KR102182814B1 (ko) 2018-11-29 2020-11-25 김주호 일회용 좌변기 커버용 펄프

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