JP2002173573A - 高分子材料 - Google Patents

高分子材料

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JP2002173573A
JP2002173573A JP2000372303A JP2000372303A JP2002173573A JP 2002173573 A JP2002173573 A JP 2002173573A JP 2000372303 A JP2000372303 A JP 2000372303A JP 2000372303 A JP2000372303 A JP 2000372303A JP 2002173573 A JP2002173573 A JP 2002173573A
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block copolymer
polymer
polymer component
polymer material
component
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JP2000372303A
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Gakuji Shin
学治 進
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ブロック共重合体を含み、ある温度で応力に相
応して樹脂的性状からゴム的性状に転移する性質を有す
る高分子材料を提供する。 【解決手段】ガラス転移温度(Tg)が25℃以上のポ
リマー成分(A)とガラス転移温度(Tg)が25℃未
満のポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが
共有結合によって結合したブロック共重合体を1種以上
含み、少なくとも1種のブロック共重合体は常温下ポリ
マー成分(A)の球状ミクロ相分離構造を形成せず、又
2種併用する場合の他種は常温下ポリマー成分(A)の
球状ミクロ相分離構造を形成するものであるところの高
分子組成物から得られる、常態で樹脂的性状であり、応
力に相応してゴム的性状に転移することよりなる高分子
材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ある温度において
応力により歪みを生起させることにより、性状が樹脂状
からゴム状への転移を引き起こす高分子材料に関するも
のである。さらに詳しくは、本発明は、バンパーなどの
衝撃吸収材、繊維用途等の機能材料として有用な、歪み
により樹脂状からゴム状へ転移する新しい性質を示す、
ブロック共重合体からなる高分子材料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より高分子構造材料として、樹脂、
ゴム、あるいは熱可塑性エラストマー等が自動車部品、
家電部品、電線被覆、医療用部品、雑貨、履物等の様々
な分野で用いられている。一般的に高分子材料はガラス
転移温度(Tg)を境として、Tgを超えるとゴム状弾
性を示し、Tg以下では硬くてもろいガラス状(樹脂
状)を呈する様に温度により状態変化を起こすことが知
られている。したがって、一般的な高分子材料からなる
構造材料は、ある温度では、その温度がTgより高いか
低いかにより樹脂或いはゴムのいずれかの状態をとり、
温度を変ることにより状態転移をなしえる。しかしなが
ら、ある温度において、この高分子材料に外部から何ら
かの力を加えたとしても、樹脂からゴムへの状態転移を
生起させることは出来ないので、従来の一般的な高分子
材料では、外部からの力(応力)により実用的に用いる
ことの可能な程度の状態転移を引き起こす材料は見出さ
れていないのが実状である。
【0003】また、2種以上のポリマーから構成される
ブロック共重合体においては、共重合体を構成する各ポ
リマーの物性によりブロック共重合体の性質も種々に変
化するが、一般に低温においては各ポリマーが相分離し
ており、温度を上昇させると相溶し、降温すると再び相
分離することが知られている。そして、ブロック共重合
体を構成する各ポリマーが互いに非相溶性の場合、相分
離によって形成されるミクロ相分離構造が各ポリマーの
容積比によりいずれかを連続相とする球、シリンダー、
ラメラ構造等をとることも知られている。しかして、ブ
ロック共重合体においても、温度を変化させることによ
り状態を変化させる、つまり構成ポリマーのいずれかの
性質に近い状態に転移させることはできるが、ある温度
において応力により状態転移を生起させ得るものは、未
だ見出されていない。常態で樹脂としての特性に基づい
て成形品に適用されている高分子材料に、予想外の外力
が加わった場合、その材料がゴム状の弾性体に状態転移
することが出来れば歪みを緩和し、亀裂や破損を生ずる
ことなく形状を維持できるので、高分子材料の更なる用
途の拡大が期待される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な一般的な高分子材料、特にブロック共重合体には見出
されていない性質を示す高分子材料、即ち、ある温度に
おいて、応力に相応して樹脂的性状からゴム的性状に転
移する特異な性質を有する高分子材料を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために2種以上のポリマーが共有結合により結
合したブロック共重合体について種々の研究を重ねた結
果、特定のビニル芳香族炭化水素ブロックと共役ジエン
ブロックが共有結合により結合したブロック共重合体の
水素添加誘導体を用い、その2種以上を組み合わせて特
定のミクロ相分離構造を形成させれば、外力により歪み
を生起するのに応じて、常態で樹脂であったものからゴ
ム状に転移することを見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0006】本発明の要旨は、ガラス転移温度(Tg)
が25℃以上のポリマー成分(A)とガラス転移温度
(Tg)が25℃未満のポリマー成分(B)の互いに非
相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック
共重合体であって、常温下ポリマー成分(A)の球状ミ
クロ相分離構造を形成しないブロック共重合体(1)を
含む高分子組成物から得られる、常態で樹脂的性状、即
ち下記に示す樹脂的性状を呈し、弾性限度内の応力に
相応してゴム的性状、即ち下記に示すゴム的性状に転
移することを特徴とする高分子材料に存する。 樹脂的性状:JIS3号ダンベル形試験片を、引張速
度500mm/分で引張り、降伏点を現出すること ゴム的性状:JIS3号ダンベル形試験片を、引張速
度500mm/分で引張り、引張伸び300%の時点で
歪みを解放し、10分後の試験片の寸法変化率が100
%以下であること 寸法変化率(%)=[(L−L0)/L0]×100 L:引張り後の長さ L0:引張り前の長さ
【0007】本発明の更なる要旨は、ガラス転移温度
(Tg)が25℃以上のポリマー成分(A)とガラス転
移温度(Tg)が25℃未満のポリマー成分(B)の互
いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブ
ロック共重合体を少なくとも2種含み、その1種は常温
下ポリマー成分(A)の球状ミクロ相分離構造を形成し
ないブロック共重合体(1)であり、他種は常温下ポリ
マー成分(A)の球状ミクロ相分離構造を形成するブロ
ック共重合体(2)であるところの高分子組成物から得
られる、常態で樹脂的性状であり、(弾性限度内の)応
力に相応してゴム的性状に転移することを特徴とする高
分子材料に存する。
【0008】本発明の好適な態様としては、上記高分子
材料において、ブロック共重合体(1)におけるポリマ
ー成分(A)の含有割合が、35〜95重量%であるこ
と;ブロック共重合体(1)及びブロック共重合体
(2)を含む高分子組成物におけるブロック共重合体
(1)のポリマー成分(A)の含有割合は、ブロック共
重合体(2)のポリマー成分(A)の含有割合より高い
こと;ブロック共重合体(2)におけるポリマー成分
(A)の含有割合が、5〜34重量%であること;ブロ
ック共重合体(1)及びブロック共重合体(2)を含む
高分子組成物において、ブロック共重合体(1)100
重量部に対し、ブロック共重合体(2)を5〜150重
量部含有することを挙げることができる。
【0009】本発明の他の好適な態様としては、ポリマ
ー成分(A)及びポリマー成分(B)からなるブロック
共重合体(1)及びブロック共重合体(2)が下記式の
いずれかで示されるブロック共重合体の水素添加誘導体
であること; 式: A−(B−A)n 又は(A−B)n [ただし、式中のAは、ポリマー成分(A)でビニル芳
香族炭化水素の重合体ブロック、Bは、ポリマー成分
(B)で共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックで
あり、nは1〜5の整数である] 又、ブロック共重合体(1)のポリマー成分(A)とブ
ロック共重合体(2)のポリマー成分(A)とは同種の
ポリマーであり、ブロック共重合体(1)のポリマー成
分(B)とブロック共重合体(2)のポリマー成分
(B)とは異種のポリマーであることが挙げられる。
【0010】更に、本発明の好適な態様としては、ブロ
ック共重合体(1)及び(2)が、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共
重合体、スチレン−ブタジエン/イソプレンブロック共
重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のブロッ
ク共重合体の水素添加誘導体であること;ブロック共重
合体(1)の重量平均分子量はブロック共重合体(2)
の重量平均分子量より小さいこと;上記の常態で樹脂的
性状であり、(弾性限度内の)応力に相応してゴム的性
状に転移した高分子材料は、ブロック共重合体(1)の
ポリマー成分(A)のガラス転移温度(Tg)以上に加
熱することにより樹脂的性状に転移することが挙げられ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の高分子組成物に使用され
るブロック共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が25
℃以上のポリマー成分(A)とガラス転移温度(Tg)
が25℃未満のポリマー成分(B)の互いに非相溶性の
ポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体
である。異種の二種類以上のポリマーが共有結合したブ
ロック共重合体は、一般的に、その構造上の制約と異種
のポリマー間の斥力相互作用によりミクロ相分離するこ
とが知られており、ミクロ相分離構造がブロック共重合
体を構成するポリマーの容積比によっていずれかを連続
相とする球、シリンダー、ラメラ構造等をとることも知
られている。
【0012】本発明の高分子組成物に含まれる上記ポリ
マー成分(A)及び(B)から構成されるブロック共重
合体の少なくとも1種は、ガラス転移温度のより高いポ
リマー成分(A)のドメインからなるミクロ相分離構造
が、常温下球状のミクロ相分離構造を形成しない、つま
りミクロ相分離構造がシリンダー、ラメラ、共連続もし
くはその類似構造等であることが必須であり、この樹脂
状のミクロ相分離構造のものが2次元、若しくは3次元
的に連続相になることにより、常態で材料が樹脂的性状
の挙動を示すことになる。そして、このミクロ相分離構
造を形成している系に外力を与え歪みを生起させると、
連続相が切断されて樹脂的な構造が切断され、ゴム状の
マトリックスとなるためにゴム的性状に転移することに
なる。ここで常温とは25℃のことであり、常態とは大
気圧下、25℃における状態を意味する。
【0013】本発明の高分子材料は、常態で樹脂的性状
を呈し、応力に相応してゴム状に転移する特性を有する
が、ここで樹脂的性状及びゴム的性状を呈するとは、本
発明の高分子材料からなる試験片が以下の規定を満たす
ことを意味する。 樹脂的性状:JIS3号ダンベル形試験片を、引張速
度500mm/分で引張り、降伏点を現出すること ゴム的性状:JIS3号ダンベル形試験片を、引張速
度500mm/分で引張り、引張伸び300%の時点で
歪み(引張り歪み)を解放し、10分後の試験片の寸法
変化率が100%以下であること 寸法変化率(%)=[(L−L0)/L0]×100 L:引張り後の長さ L0:引張り前の長さ
【0014】本発明の高分子組成物において、異なった
種類の上記ブロック共重合体を少なくとも2種使用する
のが好ましい。その場合、1種のブロック共重合体は、
ガラス転移温度のより高いポリマー成分(A)のドメイ
ンからなるミクロ相分離構造が、常温下球状のミクロ相
分離構造を形成しないもの(以下、ブロック共重合体
(1)と略称することもある。)であり、それとは異種
のブロック共重合体は、該ポリマー成分(A)のドメイ
ンからなるミクロ相分離構造が、常温下球状のミクロ相
分離構造を形成するもの(以下、ブロック共重合体
(2)と略称することもある。)を組み合わせて使用す
ることが必要であり、これによって外力に相応する歪み
の生起によりゴム的性状に転移したときのゴム弾性を高
めることが出来さらに好ましい。
【0015】本発明の上記ポリマー成分(A)及びポリ
マー成分(B)からなるブロック共重合体は、式[A−
(B−A)n]又は[(A−B)n]で表されるブロック
共重合体の水素添加誘導体であることが好ましい。(但
し、式中のAはポリマー成分(A)で、Tgが25℃以
上のモノビニル置換芳香族炭化水素のポリマー成分、B
はポリマー成分(B)で、Tgが25℃未満の共役ジエ
ンのエラストマー性ポリマー成分であり、nは1〜5の
整数である)。ポリマー成分(A)を構成する単量体の
ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチル
スチレン、o−,m−およびp−メチルスチレン、1,
3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアン
トラセン等が挙げられ、スチレン、α−メチルスチレン
が望ましく用いられる。ポリマー成分(B)における共
役ジエン単量体はブタジエンもしくはイソプレンが好ま
しく、また、両者の混合物であっても良い。最も好まし
くはブロック共重合体がスチレン−ブタジエンブロック
共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、ス
チレン−ブタジエン/イソプレンブロック共重合体から
なる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体
である。
【0016】本発明で使用するブロック共重合体の水素
添加誘導体は、この様なビニル芳香族炭化水素・共役ジ
エンブロック共重合体を水素添加しても、それぞれのポ
リマー成分を水素添加した後、重合してもブレンドする
ことによっても得ることができる。水素添加したブロッ
ク共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状ある
いはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0017】本発明で使用する上記ポリマー成分(A)
及び(B)からなるブロック共重合体(1)は、ポリマ
ー成分(A)のドメインからなるミクロ相分離構造が、
常温下球状のミクロ相分離構造を形成しないもの、即
ち、ミクロ相分離構造がシリンダー、ラメラ、共連続も
しくはその類似構造等であるもので、ブロック共重合体
中に占めるポリマー成分(A)の含有割合は35〜95
重量%、好ましくは37〜90重量%、さらに好ましく
は40〜85重量%である。ポリマー成分(A)が35
重量%未満の場合には、常温においてポリマー成分
(A)が球状のミクロ相分離構造になりやすく、2次元
もしくは3次元的な連続相にならないため、歪みを生ず
る前に既にゴム的な挙動を示し、樹脂−ゴム転移を起こ
さない。ポリマー成分(A)が95重量%を超える場合
には、応力に相応して歪みを生じた後にゴムマトリック
スに転移し難くなる。
【0018】本発明の高分子組成物においては、上記の
如き特定のミクロ相分離構造を有するブロック共重合体
の2種類を併用することが、樹脂的性状からゴム的性状
に転移したときのゴム弾性を高める上で好ましい。ブロ
ック共重合体(1)に併用するブロック共重合体(2)
は、ブロック共重合体中でポリマー成分(A)の球状の
ミクロ相分離構造を形成するものであり、そのブロック
共重合体中に占めるポリマー成分(A)の割合が5〜3
4重量%のものが好ましい。
【0019】本発明において、ブロック共重合体(1)
とブロック共重合体(2)を配合する割合は、それぞれ
のブロック共重合体の種類、例えばブロック共重合体を
構成するポリマー成分の種類、容積比、分子量等、更に
はブロック共重合体相互の相溶性等を考慮して決められ
る。例えば、ブロック共重合体中のポリマー成分(A)
の割合が35〜95重量%のブロック共重合体(1)1
00重量部に対し、ポリマー成分(A)の割合が5〜3
4重量%のブロック共重合体(2)を5〜150重量
部、好ましくは10〜130重量部、更に好ましくは1
5〜110重量部加えることがゴム的性状に転移したと
きのゴム弾性を高めるうえで好ましい。ブロック共重合
体(2)が5重量部未満ではゴム弾性の改良が不十分で
あり、150重量部を超えて配合した場合、ゴム状のマ
トリックスになりやすく、樹脂−ゴム転移が起こりづら
くなる。
【0020】本発明の特定の相構造を有するブロック共
重合体を含有する高分子組成物から得られる高分子材料
は、常態で樹脂的性状を示し、応力により歪みを生じる
のに相応してゴム的性状に転移する特性を有するが、ゴ
ム的性状に転移した高分子材料をブロック共重合体を構
成するポリマー成分(A)のガラス転移温度よりも高い
温度に加熱すると、樹脂的性状に戻る性質(形状記憶)
を示す。本発明の高分子材料がこの様な特性を有するの
は、ブロック共重合体のミクロ相分離構造において、常
態では樹脂のポリマー成分(A:例えばポリスチレン)
が連続相、エラストマーのポリマー成分(B:例えばポ
リブタジエン)が分散相となっているが、応力をかける
と樹脂の降伏点を超えたところでこの相分離構造が破壊
され、樹脂が分散相、エラストマーが連続相となり、こ
れを樹脂(ポリマー成分A)のガラス転移温度以上に加
温すると、樹脂の分子の易動度が高められ、その相互作
用により分断されていた樹脂の分散相が再び連続相とな
り樹脂マトリックスを形成することによるものと推定さ
れる。そして、エラストマー成分の含有量が高いブロッ
ク共重合体を配合すると、エラストマーの連続相形成が
促進され、エラストマーとしての特性がより発揮される
ものと推定される。
【0021】本発明の高分子組成物には、上記ブロック
共重合体に加えて、本発明の効果を著しく損なわない範
囲で各種目的に応じ他の任意の成分を配合することがで
きる。任意成分としては、例えば、酸化防止剤、熱安定
剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、架橋剤、架橋助
剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ
剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与
剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増白
剤等の各種添加物、ゴム用軟化剤、熱可塑性樹脂、エラ
ストマー、フィラー等を挙げることができ、これらの中
から任意のものを単独でまたは併用して用いることがで
きる。
【0022】ゴム用軟化剤としては、パラフィン系、ナ
フテン系、芳香族系の鉱物油系軟化剤、及びポリブテン
系、ポリブタジエン系等の低分子量物等の合成樹脂系軟
化剤等が挙げられるが、これらの中で、鉱物油系軟化剤
が好ましく、又、重量平均分子量で300〜2,00
0、特には500〜1,500の分子量を有するものが
好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般に、芳香族系炭化水
素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混
合物で、パラフィン系炭化水素の炭素原子数が全炭素数
原子中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイル
と呼ばれ、一方ナフテン系炭化水素の炭素原子数が30
〜45%のものがナフテン系オイルと、芳香族系炭化水
素の炭素原子数が35%以上のものが芳香族系オイルと
呼ばれている。これらの中で本発明に用いる鉱物油系ゴ
ム用軟化剤としてはパラフィン系オイルが好ましい。本
発明に用いる鉱物油系ゴム用軟化剤としては、40℃の
動粘度が20〜800cst(センチストークス)、好
ましくは50〜600cst、流動点が0〜−40℃、
好ましくは0〜−30℃、及び引火点(COC法)が2
00〜400℃、好ましくは250〜350℃のものが
好適である。
【0023】熱可塑性樹脂としては、エチレン系重合
体、プロピレン系重合体、ポリブテン−1およびポリ4
−メチルペンテン−1等のポリオレフィン樹脂が挙げら
れる。エチレン系重合体としては、例えば、高密度、中
密度または低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン
共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・
ヘキセン共重合体、エチレン・ヘプテン共重合体、エチ
レン・オクテン共重合体、エチレン・4−メチルペンテ
ン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン
・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル
共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン
・メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0024】プロピレン系重合体としては、ポリプロピ
レン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブ
テン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1
共重合体、プロピレン・4−メチレンペンテン−1共重
合体等が挙げられる。その他、ポリフェニレンエーテル
系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレン
ホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリ
オキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹
脂等を挙げることができる。
【0025】また、任意のエラストマーとしては、例え
ば、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチ
レン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPD
M)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレ
ン・オクテン共重合ゴム(EOM)、エチレン・プロピ
レン・ブテン共重合ゴム等のエチレン系エラストマー、
ポリブタジエン等を挙げることができる。更に、フィラ
ーとしては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タ
ルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊
維、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げ
ることができる。
【0026】本発明の高分子組成物の製造は、例えば上
記各成分を機械的に溶融混練する通常の方法によって行
うことができる。該機械的溶融混練において用いられる
溶融混練機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出
機、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサ
ー、ニーダーブレンダー、ロール等を挙げることがで
き、好ましくは145〜300℃の温度範囲で各成分を
混練りすることによって得ることができる。混練時間は
通常5秒〜30分、好ましくは10秒〜20分である。
混練りするにあたり、各成分を一括混練りしてもよく、
また、任意の成分を混練りしたのち、残りの成分を添加
し混練りする多段分割混練り法を取ることもできる。ま
た、この高分子組成物からなる高分子材料は、射出成
形、その他の成型法により種々の成型品に加工すること
ができる。
【0027】上記高分子組成物から得られる高分子材料
は、歪みにより樹脂−ゴム転移を引き起こし、加熱によ
り樹脂に戻る特性を有しているが、歪みは、一軸延伸の
引張歪みのみならず、二軸延伸の引張り歪み、圧縮歪
み、せん断歪み等においても状態の転移を生起し得る。
従って、バンパーなどの衝撃吸収材、繊維用途等の機能
材料として有用であり、各種分野への適用が期待され
る。
【0028】
【実施例】以下に示す実施例および比較例によって、本
発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えな
い限り以下の実施例に限定されるものではない。実施例
及び比較例に使用した材料を以下に示す。 (イ)スチレンの重合体ブロックとイソプレンの重合体
ブロックとスチレンの重合体ブロックとのトリブロック
共重合体の水素添加誘導体(スチレン含有量:65重量
%、重量平均分子量:78,800)。 (ロ)スチレンの重合体ブロックとイソプレンとブタジ
エンのランダム共重合体ブロックとスチレンの重合体ブ
ロックとのトリブロック共重合体の水素添加誘導体(ス
チレン含有量:30重量%、重量平均分子量:243,
000)。 (ハ)鉱物油系ゴム用軟化剤 商品名「PW380」:出光興産社製、40℃動粘度:
381.6cst、流動度:−15℃、引火点:300
℃ (ニ)プロピレン単独重合体(商品名:「MA2P」日
本ポリケム社製、MFR(230℃、2.16kg荷
重):16g/10分、曲げ弾性率:14,000kg
/cm2 、結晶化度:65%)
【0029】実施例1 上記の材料を重量比(イ)/(ロ)/(ハ)=100:
45:55にて配合して得た組成物100重量部に対
し、フェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス
1010」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会
社製)0.05重量部を添加したうえで、L/D=3
3、シリンダー径45mmの二軸押出機を用いて温度2
20℃にて溶融混練して高分子組成物のペレットを得
た。このペレットをインラインスクリュータイプ射出成
形機(東芝機械(株)製射出成形機:IS130G)を
用いて、射出圧力500kg/cm2 、射出温度220
℃、金型温度30℃の条件で成形し、120mm×80
mm×2mm厚のシートを作成した。このシートをJI
S3号ダンベル形試験片を横方向に打ち抜き、常温常圧
下で引張速度500mm/分で引っ張ったところ、降伏
点が現れ樹脂的な挙動を示した。引張伸びが300%で
歪みを解放し、10分後の寸法変化率を測定したところ
8%であり、ゴム的な挙動を示した。また、同試験片を
再び同条件で引っ張ったところ、2回目は降伏点は現れ
ず、ゴム的な挙動を示した。また、このゴムに転移した
試料を98℃の湯につけて10分間熱処理したあとに、
再び同様に引っ張ったところ、降伏点が現れ樹脂的な状
態に戻っていたことが判明した。
【0030】比較例1 上記の材料を、一般的なスチレン系熱可塑性エラストマ
ーの配合に準じて、重量比(ニ)/(ロ)/(ハ)=2
0/36/44にて配合し、実施例1と同様にしてシー
トを作製し、その性状の測定を行ったところ、降伏点は
現れず、樹脂的な挙動は示さなかった。この結果は、結
晶性の単独重合体とエラストマー成分の多いブロック共
重合体とを配合しても、樹脂−ゴム転移を現出しないこ
とを示している。
【0031】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の高分子組成
物から得られる材料は、応力に相応して樹脂−ゴム転移
を引き起こし、加熱により樹脂に復元する特異な性質を
有する新規な組成物であり、バンパーなどの衝撃吸収
材、繊維用途等の機能材料として、多分野への応用が期
待される新しい性質を示す有用な高分子材料である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス転移温度(Tg)が25℃以上のポ
    リマー成分(A)とガラス転移温度(Tg)が25℃未
    満のポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが
    共有結合によって結合したブロック共重合体であり、且
    つ、常温下ポリマー成分(A)の球状ミクロ相分離構造
    を形成しないブロック共重合体(1)を含む高分子組成
    物から得られる、常態で樹脂的性状であり、弾性限度内
    の応力に相応してゴム的性状に転移することを特徴とす
    る高分子材料。
  2. 【請求項2】ガラス転移温度(Tg)が25℃以上のポ
    リマー成分(A)とガラス転移温度(Tg)が25℃未
    満のポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが
    共有結合によって結合したブロック共重合体であり、且
    つ、常温下ポリマー成分(A)の球状ミクロ相分離構造
    を形成しないブロック共重合体を含む高分子組成物から
    得られる高分子材料であって、常態では下記に示す樹
    脂的性状を呈し、弾性限度内の応力に相応して下記に
    示すゴム的性状に転移することを特徴とする高分子材
    料。 樹脂的性状:JIS3号ダンベル形試験片を、引張速
    度500mm/分で引張り、降伏点を現出すること ゴム的性状:JIS3号ダンベル形試験片を、引張速
    度500mm/分で引張り、引張伸び300%の時点で
    歪みを解放し、10分後の試験片の寸法変化率が100
    %以下であること 寸法変化率(%)=[(L−L0)/L0]×100 L:引張り後の長さ L0:引張り前の長さ
  3. 【請求項3】ガラス転移温度(Tg)が25℃以上のポ
    リマー成分(A)とガラス転移温度(Tg)が25℃未
    満のポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが
    共有結合によって結合したブロック共重合体を少なくと
    も2種含み、その1種は常温下ポリマー成分(A)の球
    状ミクロ相分離構造を形成しないブロック共重合体
    (1)であり、他種は常温下ポリマー成分(A)の球状
    ミクロ相分離構造を形成するブロック共重合体(2)で
    あるところの高分子組成物から得られる、常態で樹脂的
    性状であり、弾性限度内の応力に相応してゴム的性状に
    転移することを特徴とする高分子材料。
  4. 【請求項4】ブロック共重合体(1)におけるポリマー
    成分(A)の含有割合が、35〜95重量%であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子材
    料。
  5. 【請求項5】ブロック共重合体(1)及びブロック共重
    合体(2)を含む高分子組成物において、ブロック共重
    合体(1)におけるポリマー成分(A)の含有割合は、
    ブロック共重合体(2)におけるポリマー成分(A)の
    含有割合より高いことを特徴とする請求項3又は4に記
    載の高分子材料。
  6. 【請求項6】ブロック共重合体(2)におけるポリマー
    成分(A)の含有割合が、5〜34重量%であることを
    特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の高分子
    材料。
  7. 【請求項7】ブロック共重合体(1)及びブロック共重
    合体(2)を含む高分子組成物において、ブロック共重
    合体(1)100重量部に対し、ブロック共重合体
    (2)を5〜150重量部含有することを特徴とする請
    求項3〜6のいずれか1項に記載の高分子材料。
  8. 【請求項8】ポリマー成分(A)及びポリマー成分
    (B)からなるブロック共重合体(1)及びブロック共
    重合体(2)は、下記式のいずれかで示されるブロック
    共重合体の水素添加誘導体であることを特徴とする請求
    項1〜7のいずれか1項に記載の高分子材料。 式: A−(B−A)n 又は (A−B)n [ただし、式中のAは、ポリマー成分(A)で、ビニル
    芳香族炭化水素の重合体ブロック、Bは、ポリマー成分
    (B)で共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックで
    あり、nは1〜5の整数である]
  9. 【請求項9】ブロック共重合体(1)のポリマー成分
    (A)とブロック共重合体(2)のポリマー成分(A)
    とは同種のポリマーであり、ブロック共重合体(1)の
    ポリマー成分(B)とブロック共重合体(2)のポリマ
    ー成分(B)とは異種のポリマーであることを特徴とす
    る請求項2〜8のいずれか1項に記載の高分子材料。
  10. 【請求項10】ブロック共重合体(1)及びブロック共
    重合体(2)が、スチレン−ブタジエンブロック共重合
    体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン
    −ブタジエン/イソプレンブロック共重合体からなる群
    から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体の水素
    添加誘導体であることを特徴とする請求項1〜9のいず
    れか1項に記載の高分子材料。
  11. 【請求項11】ブロック共重合体(1)の重量平均分子
    量はブロック共重合体(2)の重量平均分子量より小さ
    いことを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項記載
    の高分子材料。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれか1項に記載の
    弾性限度内の応力に相応してゴム的性状に転移した高分
    子材料は、ブロック共重合体(1)のポリマー成分
    (A)のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することに
    より樹脂的性状に再転移することを特徴とする請求項1
    〜11のいずれか1項に記載の高分子材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006089546A (ja) * 2004-09-22 2006-04-06 Kuraray Co Ltd 伸縮部材
JP2016535324A (ja) * 2013-12-20 2016-11-10 エルジー・ケム・リミテッド 光学フィルム

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