JP2002161315A - 高張力溶融めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高張力溶融めっき鋼板およびその製造方法

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JP2002161315A
JP2002161315A JP2001271213A JP2001271213A JP2002161315A JP 2002161315 A JP2002161315 A JP 2002161315A JP 2001271213 A JP2001271213 A JP 2001271213A JP 2001271213 A JP2001271213 A JP 2001271213A JP 2002161315 A JP2002161315 A JP 2002161315A
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Kazuhide Ishii
和秀 石井
Kazuaki Kyono
一章 京野
Kazuo Mochizuki
一雄 望月
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高張力鋼板でありながら、不めっきの発生が
ほとんどない高張力溶融めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼成分について、Siを0.25〜1.2 mass%
でかつ 1.5×Si(mass%)<Mn(mass%)を満足する範
囲に規制した上で、Tiを 0.030mass%以下に制限しつ
つ、Nb:0.005 〜0.2 mass%と、Cu:0.5 mass%未満、
Ni:1.0 mass%未満、Mo:1.0 mass%未満のうちから選
んだ1種または2種以上の合計:0.03〜1.5mass%とを
複合添加した組成になる高張力鋼板を、露点が0℃以
下、−45℃以上の還元性雰囲気中にて 750℃以上の温度
で再結晶焼鈍したのち、冷却し、ついで鋼板の表面に生
成した酸化物を酸洗除去した後、再度、露点が−20℃以
下の還元性雰囲気中にて 650℃以上、850 ℃以下の温度
に加熱し、この再加熱温度からの降温途中で溶融めっき
処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高張力鋼板の表面
に、亜鉛(合金化したものを含む。以下同じ)、アルミ
ニウム、亜鉛−アルミニウム合金、亜鉛−アルミニウム
−マグネシウム合金などの溶融めっきを施した、自動車
の車体などに用いて好適な高張力溶融めっき鋼板および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の衝突安全性の向上並びに
地球環境の保全の観点からの燃費改善のための軽量化を
達成するために、自動車用鋼板として、表面に溶融亜鉛
めっきなどを施した高張力溶融めっき鋼板の適用が増加
している。かような高張力溶融めっき鋼板を得るには、
めっき性に優れ、かつ溶融めっき浴を通過した後、ある
いはさらに合金化処理が施された後、所望の強度と加工
性(プレス成形性など)が得られる鋼板を原板に用いる
ことが肝要である。
【0003】一般に、鋼板の強度を増加させるには、鋼
板にSiやMnなどを添加しているが、これらの元素を添加
した鋼板を、例えば連続溶融亜鉛めっきライン(CG
L:Continuous Galvanizing Line)にてめっき処理する
と、めっき前の焼鈍工程で、鋼板表面にSiやMn等の酸化
物が生成し、めっき性が低下することが知られている。
【0004】この現象は、めっき前に還元性雰囲気で焼
鈍する際に、該雰囲気はFeにとっては還元性であって
も、鋼中のSiやMn等にとっては酸化性であるため、鋼板
表面でSiやMn等が選択酸化されて酸化物が形成されるこ
とによる。このような表面酸化物は、溶融亜鉛の鋼板へ
の濡れ性を著しく低下させるため、高張力鋼板をめっき
原板とする溶融亜鉛めっき鋼板ではめっき性が低下し、
とりわけSiやMn等の含有量が高い場合には、部分的にめ
っきがされない、いわゆる不めっきが生じるという問題
があった。
【0005】このような高張力鋼板におけるめっき性の
低下を改善するものとして、例えば特開昭55−122865号
公報には、めっき時の加熱に先だって高酸素分圧下で鋼
板を強制的に酸化した後に還元する方法が提案されてい
る。また、特開昭58−104163号公報には、溶融めっきを
施す前にプレめっきを施す方法が提案されている。しか
しながら、前者の方法では、強制酸化による表面酸化物
の制御が十分に行われないこと、また鋼中成分およびめ
っき条件によっては必ずしも安定しためっき性が保証さ
れないところに問題を残していた。一方、後者の方法で
は、余分なプロセスを付加することによる製造コストの
上昇を招くという問題があった。
【0006】その他、特開平6−287684号公報には、
P,SiおよびMnの添加量を最適化することによってめっ
き性を改善した高強度鋼板が開示されている。また、特
開平7−70723 号公報および特開平8−85858 号公報に
は、めっき前に予め再結晶焼鈍を施して表面酸化物を生
成させ、この酸化物を酸洗除去したのち、溶融亜鉛めっ
きを行う方法が提案されている。これらの方法により、
高張力鋼のかなりのものについて不めっきの発生を防止
できるようになった。しかしながら、これらの方法であ
っても、Si含有量が多い鋼種については不めっきの発生
を完全には防止できないという問題が残っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を有利に解決するもので、たとえSiやMnの含有量が多い
高張力鋼板をめっき原板とする場合であっても、不めっ
きの発生を効果的に防止することができる高張力溶融め
っき鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、鋼成分につ
いて、Si量を所定の範囲に規制した上で、Ti量を制限し
つつ、NbとCuやNi,Moとを複合添加すると共に、連続焼
鈍ライン(CAL:Continuous Annealing Line)での焼
鈍(以下、再結晶焼鈍という)で鋼板の表面直下に内部
酸化物層を生成させ、同時に生成した表面酸化物を酸洗
除去すると、その後の連続溶融亜鉛めっきライン(CG
L)でのめっき前の加熱時(以下、めっき前加熱とい
う。)には、上記の内部酸化物層が拡散障壁となって、
鋼板表面でのSiやMn等の酸化物の生成が激減し、その結
果めっき性の大幅な向上が達成できることの知見を得
た。本発明は、上記の知見に基づいて完成されたもので
ある。
【0009】すなわち、本発明は、鋼板の表面に溶融め
っき層をそなえる高張力溶融めっき鋼板であって、該め
っき鋼板が、C:0.010 mass%以下、Si:0.25mass%以
上、1.2 mass%以下、Mn:0.50mass%以上、3.0 mass%
以下、Nb:0.005 mass%以上、0.2 mass%以下、Ti:0.
030 mass%以下、B:0.005 mass%以下、Al:0.10mass
%以下、P:0.100 mass%以下、S:0.010 mass%以
下、N:0.010 mass%以下を、1.5 ×Si(mass%)<Mn
(mass%)を満足する範囲で含有し、さらにCu:0.5 ma
ss%未満、Ni:1.0 mass%未満、Mo:1.0 mass%未満の
うちから選んだ1種または2種以上を合計で0.03mass%
以上、1.5 mass%以下の範囲で含有し、残部はFeおよび
不可避的不純物の組成になる高張力鋼板を、露点が0℃
以下、−45℃以上の還元性雰囲気中にて 750℃以上の温
度で再結晶焼鈍し、冷却後、鋼板の表面に生成した酸化
物を酸洗除去した後、再度、露点が−20℃以下の還元性
雰囲気中にて 650℃以上、850 ℃以下の温度に加熱し、
この再加熱温度からの降温途中で溶融めっき処理を施し
て得たものである、ことを特徴とする高張力溶融めっき
鋼板である。
【0010】また、本発明は、C:0.010 mass%以下、
Si:0.25mass%以上、1.2 mass%以下、Mn:0.50mass%
以上、3.0 mass%以下、Nb:0.005 mass%以上、0.2 ma
ss%以下、Ti:0.030 mass%以下、B:0.005 mass%以
下、Al:0.10mass%以下、P:0.100 mass%以下、S:
0.010 mass%以下、N:0.010 mass%以下を、1.5 ×Si
(mass%)<Mn(mass%)を満足する範囲で含有し、さ
らにCu:0.5 mass%未満、Ni:1.0 mass%未満、Mo:1.
0 mass%未満のうちから選んだ1種または2種以上を合
計で0.03mass%以上、1.5 mass%以下の範囲で含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる高張力鋼板
を、露点が0℃以下、−45℃以上の還元性雰囲気中にて
750℃以上の温度で再結晶焼鈍し、冷却後、鋼板の表面
に生成した酸化物を酸洗除去したのち、再度、露点が−
20℃以下の還元性雰囲気中にて 650℃以上、850 ℃以下
の温度に加熱し、この再加熱温度からの降温途中で溶融
めっき処理を施す、ことを特徴とする高張力溶融めっき
鋼板の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、Si量を適正化した上
で、Ti量を制限しつつ、NbとCuやNi,Moとを複合添加
し、再結晶焼鈍時に鋼板の表面直下に内部酸化物層を形
成させ、その際、鋼板の表面にも形成される表面酸化物
を酸洗により除去したのち、めっき前加熱を経て溶融め
っきを施すところに主な特徴がある。そこで、以下、本
発明の成分組成範囲ならびに再結晶焼鈍およびめっき前
加熱条件等の製造条件を上記の範囲に限定した理由につ
いて説明する。
【0012】まず、本発明でめっき原板とする高張力鋼
板の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明
する。 C:0.010 mass%以下 Cは、鋼板の伸びやr値を向上させるためには低減する
ことが望ましく、特にC含有量が 0.010mass%を超える
と、適量のTiやNbを含有させてもこれらの元素による材
質(特にプレス成形性)改善効果が得られなくなるの
で、Cは 0.010mass%以下に限定した。なお、含有量が
0.001mass%未満になると再結晶焼鈍で内部酸化物層が
生成し難くなるので、Cは 0.001mass%以上含有させる
ことが好ましい。
【0013】Si:0.25mass%以上、1.2 mass%以下 Siは、鋼の強化に有効な元素であるが、従来は、めっき
前加熱で鋼板表面にSi酸化物が生成しないように可能な
限り低減する必要があった。しかしながら、本発明で
は、Siを0.25mass%以上含有しても、NbとCuやNi, Moと
を複合添加することにより、再結晶焼鈍時に鋼板表面直
下にSiとMnの内部酸化物層が生成し、これが次のめっき
前加熱において鋼板表面にSiやMnの酸化物が生成するの
を抑制するために、本発明鋼は良好なめっき性を示す。
なお、この機構としては、SiやMnの鋼中から鋼板表面へ
の移動に対して、内部酸化物層が拡散障壁になることに
よるものと考えられる。以上の効果は、Siを0.25mass%
以上含有しなければ得られない。一方、1.2 mass%を超
えて含有させると、再結晶焼鈍時に鋼板表面にSiO2が生
成し、後続の酸洗工程ではこの表面酸化物を完全に除去
できず、一部が残存するため不めっきが発生する。従っ
て、Siは0.25〜1.2 mass%の範囲に限定した。
【0014】1.5 ×Si(mass%)<Mn(mass%) また、Si量が、次に述べるMn量との兼ね合いで、1.5 ×
Si(mass%)≧Mn(mass%)の関係を満足する量になる
と、やはり再結晶焼鈍時に鋼板表面にSiO2が生成し、後
続の酸洗工程ではこの表面酸化物を完全に除去できず、
不めっきが発生する。従って、Siは、上記した0.25〜1.
2 mass%の範囲で、かつ1.5 ×Si(mass%)<Mn(mass
%)の関係を満足する範囲で含有させることが重要であ
る。
【0015】Mn:0.50mass%以上、3.0 mass%以下 Mnは、強度の向上に寄与するだけでなく、再結晶焼鈍時
に鋼板表面にSiO2が生成するのを抑制して、酸洗で容易
に除去できるSi, Mn複合酸化物を生成させる効果があ
る。しかしながら、含有量が0.50mass%未満ではその効
果に乏しく、一方3.0mass%を超えると、めっき前加熱
時に鋼板表面にMn酸化物が生成して不めっきが発生し易
くなり、また鋼が硬質化しすぎて冷間圧延が困難とな
る。従って、Mnは0.50〜3.0 mass%の範囲に限定した。
【0016】Nb:0.005 mass%以上、0.2 mass%以下 Nbは、再結晶焼鈍により生成する鋼板の結晶粒を小さく
して、鋼板表面直下でのSiとMnの内部酸化物層の生成を
促進させることによって、めっき性の向上に寄与する。
この効果は、 0.005mass%以上含有しないと得られな
い。一方、0.2 mass%を超えて含有すると鋼が硬質化し
て、熱間圧延や冷間圧延が困難となるだけでなく、再結
晶温度を高めて再結晶焼鈍を難しくしたり、また表面欠
陥も生じる。従って、Nbは 0.005〜0.2 mass%の範囲に
限定した。
【0017】Ti:0.030 mass%以下 Tiは、炭・窒化物を生成し、鋼の加工性の向上に有効に
寄与するので、必要に応じて含有させる。しかしなが
ら、過度に含有すると、再結晶焼鈍時に生成するSiやMn
の表面酸化物が多くなり、かかる酸化物の酸洗除去を困
難にする。従って、Ti量は 0.030mass%以下に限定し
た。なお、このTiは必ずしも含有させる必要はない。
【0018】B:0.005 mass%以下 Bは、耐2次加工脆性の改善に有効な元素であるが、そ
の効果は 0.005mass%を超えて含有させてもそれ以上は
望めず、焼鈍条件によってはかえって劣化を招く。ま
た、過度に含有させると熱延性を低下させる。従って、
Bは 0.005mass%を上限として含有する。なお、含有量
の下限については特に限定はしないが、必要な耐2次加
工脆性の改善程度に応じて含有させればよく、通常は0.
0010mass%以上含有させることが望ましい。
【0019】Al:0.10mass%以下 Alは、製鋼段階での脱酸剤として寄与するだけでなく、
時効劣化を引き起こすNをAlNとして固定する元素とし
ても有用である。しかしながら、0.10mass%を超えて含
有させた場合には、製造コストの上昇のみならず、表面
性状の劣化を招くので、Alは0.10mass%以下で含有させ
るものとした。好ましくは 0.050mass%以下である。な
お、含有量が 0.005mass%未満では十分な脱酸効果が望
み難いのでAl量の下限は 0.005mass%とするのが好まし
い。
【0020】P:0.100 mass%以下 Pを含有させることにより、強度が増加する。しかしな
がら、0.100 mass%を超えて含有させた場合には、凝固
時の偏析が極めて著しくなる結果、強度の増加が飽和す
ることに加えて、加工性の劣化を招き、さらに耐2次加
工脆性の大幅な劣化を招いて、実質上、使用に耐え得な
くなる。従って、Pは 0.100mass%以下に限定した。ま
た、合金化溶融亜鉛めっきの場合、合金化を遅くするの
で、P量は0.060 mass%以下とすることが好ましい。た
だし、 0.001mass%未満にするにはコストがかかるの
で、Pは 0.001mass%以上とするの有利である。
【0021】S:0.010 mass%以下 Sは、熱間圧延時に熱間割れを引き起こす原因になる
他、スポット溶接部のナゲット内破断を誘発する原因に
なるので、極力低減することが望ましい。また、溶融亜
鉛めっき後の合金化処理において、合金化むらを引き起
こす原因ともなるので、この面からもできるだけ低減す
ることが望ましい。そして、S量の低減は、鋼中におけ
るS析出物の減少による加工性の向上およびCを固定す
るための有効なTi量の増加に寄与する。従って、Sは
0.010mass%以下に制限する。より好ましくは 0.005mas
s%以下である。
【0022】N:0.010 mass%以下 Nは、延性やr値などの材質を確保するために、できる
だけ低減することが望ましい。特にN量が0.010 mass%
以下になると満足のいく効果が得られるので、上限を
0.010mass%とした。好ましくは0.0050mass%以下であ
る。とはいえ、Nを0.0005mass%未満に抑えるのはコス
トの上昇を招くので、下限は0.0005mass%とするのが好
ましい。
【0023】Cu:0.5 mass%未満、Ni:1.0 mass%未
満、Mo:1.0 mass%未満でかつ、これらの合計が0.03ma
ss%以上、1.5 mass%以下 Cu,NiおよびMoはいずれも、再結晶焼鈍時に鋼板の表面
直下におけるSiやMnの内部酸化物層の生成を助長し、こ
れがめっき前加熱での鋼板表面におけるSiやMnの酸化物
の生成を抑制するので、本発明鋼は良好なめっき性を示
す。この効果は、これらの元素のうちから選んだ1種ま
たは2種以上を合計で0.03mass%以上含有しなければ得
られない。一方、合計で 1.5mass%を超えるか、または
Cu量が 0.5mass%以上、Ni量が 1.0mass%以上、Mo量が
1.0mass%以上になると、熱延板の表面性状が悪くな
る。従って、Cu:0.5 mass%未満、Ni:1.0 mass%未
満、Mo:1.0 mass%未満でかつ、Cu, NiおよびMoのうち
から選んだ1種または2種以上合計で0.03mass%以上、
1.5 mass%以下の範囲で含有させるものとした。
【0024】次に、再結晶焼鈍条件やめっき前加熱条件
を、前記の範囲に限定した理由について説明する。な
お、本発明に従う溶融めっき鋼板の製造方法では、再結
晶焼鈍までの工程すなわち熱延工程や冷延工程には特に
制限はなく、これらの工程については常法に従って行え
ば良い。 再結晶焼鈍 再結晶焼鈍は、再結晶温度以上に加熱(通常、CALを
使用)することにより、冷間圧延時に導入された歪みを
解放して、鋼板に必要な機械的特性と加工性を付与する
役割の他、鋼板の表面直下にSiやMnの内部酸化物層を形
成させるために行う。というのは、このような内部酸化
物層が存在すると、その後のめっき前加熱時に鋼板表面
でのSiやMnの酸化物の生成が起こらず、不めっきの発生
が抑制されるからである。
【0025】ここに、再結晶焼鈍が 750℃に満たないと
内部酸化物層の形成が不十分で、良好なめっき性が望め
ないので、再結晶焼鈍は 750℃以上で行う必要がある。
また、再結晶焼鈍は、露点が0℃以下, −45℃以上の還
元性雰囲気中で行う必要がある。というのは、露点が0
℃より高いと酸化物が主にFe酸化物となってSiやMnの内
部酸化物層が生成しにくくなり、一方露点が−45℃より
低くなっても酸素量が不足してSiやMnの内部酸化物層が
生成しにくくなるからである。また、還元性雰囲気とし
ては、窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、一酸化炭素
ガスの単独あるいはこれらのガスを2種以上混合したも
のとすれば良い。なお、再結晶焼鈍の温度履歴として
は、 800〜900 ℃で0〜120 秒間保持したのち、1〜10
0 ℃/s程度の速度で冷却するパターンが好ましい。
【0026】表面酸化物層の酸洗除去 還元雰囲気中での再結晶焼鈍により鋼板表面に生成した
SiやMnの酸化物を、除去するために酸洗する。酸洗液と
しては、3〜20mass%塩酸を用いるのが好ましく、また
酸洗時間は3〜60秒程度とするのが好適である。
【0027】めっき前加熱 酸洗により鋼板表面のSiやMnの酸化物を除去したのち、
めっき前加熱を行う。通常、このめっき前加熱はCGL
を用いればよい。そして、このめっき前加熱は、露点:
−20℃以下の還元性雰囲気中にて 650℃以上、850 ℃以
下の温度で行うものとする。というのは、露点が−20℃
より高い雰囲気では、鋼板表面に厚いFe酸化物が生成
し、めっき密着性の劣化を招くからである。また、焼鈍
温度が 650℃未満では鋼板表面が活性化せず、溶融金属
と鋼板との反応性が必ずしも十分でなく、一方850℃を
超えると鋼板表面にSiやMnの表面酸化物が再度生成し、
不めっきが発生するからである。また、その雰囲気につ
いては、必ずしもその全工程にわたって還元性雰囲気と
する必要はなく、鋼板が 400〜650 ℃まで加熱される段
階は酸化性雰囲気とし、それ以上の温度範囲のみを還元
性雰囲気とする方式でも良い。さらに、還元性雰囲気と
しては、窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、一酸化炭
素ガスの単独あるいはこれらのガスを2種以上混合した
ものとすればよい。なお、めっき前加熱時の温度履歴と
しては、 700〜800 ℃で0〜180 秒間保持したのち、1
〜100 ℃/s程度の速度で冷却するパターンが好ましい。
また、このめっき前加熱では、機械的性質を制御する必
要はなく、溶融めっき前に必要とするめっき原板の加熱
がなされれば良いが、このめっき前加熱を用いて機械的
性質の制御を行ってもよいのは言うまでもない。
【0028】溶融めっき ついで、本発明では、上記のめっき前加熱からの降温途
中で溶融めっきを施すが、このめっき方法は特に限定さ
れるものではなく、従来から公知の方法に従って実施す
れば良い。たとえば、溶融亜鉛めっき処理の場合には、
めっき前加熱した鋼板を、浴温が460〜490 ℃程度の溶
融亜鉛浴に浸漬して溶融めっきを行う。その際、浴に浸
入させる時の板温は 460〜500 ℃程度とするのが好適で
ある。このようにして溶融亜鉛浴に浸漬された鋼板は、
浴から引き上げられたのち、ガスワイピング処理などに
よってめっき付着量を調整され、溶融亜鉛めっき鋼板と
なる。さらに、このような溶融亜鉛めっき鋼板は、その
後に加熱合金化処理を施すことによって合金化溶融亜鉛
めっき鋼板とすることもできる。
【0029】なお、その他の溶融めっき処理としては、
溶融アルミニウムめっき、溶融亜鉛−アルミニウムめっ
き、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウムめっき等が
あり、これらについても従来公知の方法に従って溶融め
っき処理を施せば良い。また、溶融めっきの付着量につ
いては、片面当たり20〜100 g/m2程度とするのが好まし
い。
【0030】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1に示す種々の成分組成なる鋼片を、1200℃に加熱し、
仕上圧延温度:850〜900 ℃の条件で熱間圧延した。つ
いで、この熱延鋼帯を酸洗した後、圧下率:77%で冷間
圧延して板厚:0.7 mmの冷延板とし、さらに表2に示す
条件でCALおよびCGLを用いて再結晶焼鈍−酸洗−
めっき前加熱−溶融めっきの工程になる処理を行った。
なお、雰囲気ガスとしては、再結晶焼鈍では(7vol%H2
+N2)ガスを、まためっき前加熱では(5vol%H2+N2
ガスを用いた。特にNo.12 のめっき前加熱は、 600℃ま
では酸素を1 vol%含有する燃焼ガス雰囲気中で、一方
600℃以上では(10vol%H2+N2)ガス雰囲気中で行っ
た。 ・溶融亜鉛めっき条件 浴温:470 ℃ 浸入板温:470 ℃ Al含有率:0.14mass% めっき付着量:50 g/m2 (片面当たり) めっき時間:1秒
【0031】かくして得られた各溶融亜鉛めっき鋼板か
らそれぞれ、40mm×80mm寸法の試験片を各 100枚採取
し、直径:1mm以上の不めっきが1個でも観察された試
験片は不合格とした。表2に、その合格枚数の比率から
求めた合格率を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】表2から明らかなように、発明例はいずれ
も、比較例に比べて良好なめっき性を有していることが
分かる。また、発明例1および3については、 490℃で
60秒の合金化処理を行ったが、合金化むらの発生は全く
観察されなかった。
【0035】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、高張力鋼板
でありながら、不めっきの発生がほとんどない溶融亜鉛
めっき鋼板をはじめとする各種溶融めっき鋼板を安定し
て得ることができる。従って、本発明の鋼板を、自動車
鋼板として供することにより、自動車の軽量化並びに低
燃費化が格段に向上する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 2/40 C23C 2/40 (72)発明者 望月 一雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA05 AA23 AB02 AB42 AC12 AE11 4K037 EA01 EA02 EA04 EA13 EA15 EA16 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EB06 EB08 FA03 FC04 FJ02 FJ05 FJ06 GA05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の表面に溶融めっき層をそなえる高張
    力溶融めっき鋼板であって、該めっき鋼板が、 C:0.010 mass%以下、 Si:0.25mass%以上、1.2 mass%以下、 Mn:0.50mass%以上、3.0 mass%以下、 Nb:0.005 mass%以上、0.2 mass%以下、 Ti:0.030 mass%以下、 B:0.005 mass%以下、 Al:0.10mass%以下、 P:0.100 mass%以下、 S:0.010 mass%以下、 N:0.010 mass%以下 を、1.5 ×Si(mass%)<Mn(mass%)を満足する範囲
    で含有し、さらに Cu:0.5 mass%未満、 Ni:1.0 mass%未満、 Mo:1.0 mass%未満 のうちから選んだ1種または2種以上を合計で0.03mass
    %以上、1.5 mass%以下の範囲で含有し、残部はFeおよ
    び不可避的不純物の組成になる高張力鋼板を、露点が0
    ℃以下、−45℃以上の還元性雰囲気中にて 750℃以上の
    温度で再結晶焼鈍し、冷却後、鋼板の表面に生成した酸
    化物を酸洗除去した後、再度、露点が−20℃以下の還元
    性雰囲気中にて 650℃以上、850 ℃以下の温度に加熱
    し、この再加熱温度からの降温途中で溶融めっき処理を
    施して得たものである、ことを特徴とする高張力溶融め
    っき鋼板。
  2. 【請求項2】C:0.010 mass%以下、 Si:0.25mass%以上、1.2 mass%以下、 Mn:0.50mass%以上、3.0 mass%以下、 Nb:0.005 mass%以上、0.2 mass%以下、 Ti:0.030 mass%以下、 B:0.005 mass%以下、 Al:0.10mass%以下、 P:0.100 mass%以下、 S:0.010 mass%以下、 N:0.010 mass%以下 を、1.5 ×Si(mass%)<Mn(mass%)を満足する範囲
    で含有し、さらに Cu:0.5 mass%未満、 Ni:1.0 mass%未満、 Mo:1.0 mass%未満 のうちから選んだ1種または2種以上を合計で0.03mass
    %以上、1.5 mass%以下の範囲で含有し、残部はFeおよ
    び不可避的不純物の組成になる高張力鋼板を、露点が0
    ℃以下、−45℃以上の還元性雰囲気中にて 750℃以上の
    温度で再結晶焼鈍し、冷却後、鋼板の表面に生成した酸
    化物を酸洗除去した後、再度、露点が−20℃以下の還元
    性雰囲気中にて 650℃以上、850 ℃以下の温度に加熱
    し、この再加熱温度からの降温途中で溶融めっき処理を
    施す、ことを特徴とする高張力溶融めっき鋼板の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006089787A (ja) * 2004-09-22 2006-04-06 Nisshin Steel Co Ltd 耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法
JP2017115205A (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 日新製鋼株式会社 めっき密着性に優れた溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法

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