JP5087813B2 - めっき性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

めっき性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車車体などに用いて好適な高張力溶融亜鉛めっき鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板を含む。以下同じ。)およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の衝突安全性の向上、ならびに地球環境保全に鑑みた燃費改善のための軽量化の観点から、自動車用鋼板として、高張力溶融亜鉛めっき鋼板の適用が増加している。
【0003】
この高張力溶融めっき鋼板を得るには、めっき性に優れ、かつ溶融めっき浴を通過した後あるいはさらに合金化処理が施された後に所望の強度および加工性が得られる鋼板を下地鋼板に用いることが肝要である。
【0004】
一般に、鋼板の強度を増加させるには、SiやMnなどの添加が有効であるが、これらの元素を添加した下地鋼板を、例えば連続溶融亜鉛めっきライン(CGL:Continuous Galvanizing Line)にてめっき処理すると、めっき前の焼鈍工程で、下地鋼板表面にSi,Mnなどの濃化相が形成され、めっき性が低下することが知られている。
【0005】
この現象は、めっき前に還元性雰囲気で焼鈍する際に、該雰囲気はFeにとっては還元性雰囲気であっても、鋼中のSi,Mn等には酸化性雰囲気となるため、下地鋼板表面でSiやMnが選択酸化されて酸化物相が形成される結果、表面にこれらの元素の濃化が生じたものである。このような表面酸化物は、溶融亜鉛の鋼板に対する濡れ性を著しく低下させるため、高張力鋼板をめっき原板とする溶融亜鉛めっき鋼板ではめっき性が低下し、とりわけSiやMn等の含有量が高い場合には、部分的にめっきがなされない、いわゆる不めっきが生じるという問題があった。
【0006】
このような高張力鋼板におけるめっき性の低下を改善するものとして、例えば特開昭55-122865号公報には、めっき時の加熱に先立って高酸素分圧下で下地鋼板を強制的に酸化した後に還元する方法が、また特開昭58-104163号公報には、溶融めっきを施す前にプレめっきを行う方法が、それぞれ提案されている。
【0007】
しかし、前者の方法には、強制酸化での過程において、表面酸化物の制御が十分行われないこと、ならびに下地鋼板の組成およびめっき条件によっては必ずしも安定なめっきが保証されないところに問題があった。一方、後者の方法では、余分なプロセスを付与しなくてはならないため、製造コストの上昇を招くところに問題があった。
【0008】
また、特開平6-287684号公報には、P,SiおよびMnの添加量を最適化することにより、めっき性を改善した高強度鋼板が開示されている。さらに、特開平7-70723号公報および特開平8-85858号公報には、めっき前に予め再結晶焼鈍を施して表面酸化物を生成させ、この酸化物を酸洗除去した後、溶融亜鉛めっきを行う方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法によっても、Si含有量が高い鋼種では不めっきを完全に防止できないところに問題を残していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、従来技術が抱える上記の問題を解決すべく開発されたもので、特にSi,Mnの含有量が多い高張力鋼板を下地鋼板とする場合であっても、不めっきの発生の無い高張力溶融亜鉛めっき鋼板を提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
すなわち、下地鋼板の表層部の組織が、鋼板の表面から30μm以下の範囲のフェライト相の割合が面積率で90%以上となる組織とし、かつこの範囲のフェライト相の平均結晶粒径を3.5μm以下とすることによって、表面直下の地鉄内部に生成する粒界酸化物(内部酸化物)の生成を促進させる、換言すれば、下地鋼板最表層に生成する酸化物(表面酸化物)を低下させ、さらに酸洗をすることにより、めっき前熱処理でのSi,Mnの表面酸化が効果的に抑制され、めっき性が飛躍的に改善される(不めっきの発生が無い)ことの知見を得た。
また、合金化処理が引き続き行われる場合には、下地鋼板表面から30μm以下の範囲にわたって上記したように実質的なフェライト単相とすることにより、溶融めっき層と下地鋼板との合金化が促進されることも併せて見出した。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0011】
この発明の要旨構成は次の通りである。
1.下地鋼板に溶融亜鉛めっきを施してなる溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記下地鋼板の組成は、C:0.1mass%以下、Si:0.3〜2.Omass%およびMn:1.0〜3.0mass%を含有し、さらにNb、Ti、VおよびZrのうちから選んだ1種または2種以上:0.01〜0.5mass%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成であり、前記下地鋼板の板厚中央部の組織は、面積率で88%以下のフェライト相と、マルテンサイト相、ベイナイト相および残留オーステナイト相の少なくともいずれか1相との複合組織であり、前記下地鋼板の板厚表層部の組織は鋼板表面から1μm以上30μm以下の範囲につき面積率で90%以上のフェライト相であり、かつ前記板厚表層部のフェライト相の平均結晶粒径が3.5μm以下であることを特徴とする、高張力溶融亜鉛めっき鋼板。
【0012】
2.上記1において、前記下地鋼板の組成が、さらに、Mo:0.01〜0.5mass%およびNi:0.05〜0.5mass%のうちから選んだ少なくとも1種を含有する組成になることを特徴とする、上記1.に記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板。
【0013】
3.板に溶融亜鉛めっきを施してなる溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、C:0.1mass%以下、Si:0.3〜2.0mass%およびMn:1.0〜3.0mass%を含有し、さらにNb、Ti、VおよびZrのうちから選んだ1種または2種以上:0.01〜0.5mass%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、加熱温度1050〜1280℃で、かつ、スラブ表面にFeOを生成させる炉内雰囲気で加熱し、熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延し、再結晶焼鈍し、酸洗し、めっき前熱処理して前記1に記載の下地鋼板とし、さらに前記下地鋼板をめっき処理することを特徴とする、高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体的に説明する。
まず、この発明において、下地鋼板の組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.1mass%以下
Cは、マルテンサイト相や低温ベイナイト相などの生成を通じて強度の上昇に寄与し、またTi,Nb,V,Zr等の炭化物の析出により強度の上昇に寄与する元素である。しかし、0.1mass%を超える添加はスポット溶接性の劣化を招くので、Cは0.1mass%以下に限定した。
【0015】
Si:0.3〜2.0mass%
Siは、固溶強化元素であるだけでなく、フェライト相中の固溶C量を減少させることにより、加工性を向上させる作用があるため、高強度、高加工性の高張力冷延鋼板には必須の元素である。しかしながら、含有量が0.3mass%に満たないと、上記の効果が得られず、一方2.0mass%を超えると、加工性が阻害され、まためっき前の酸洗でSi酸化物が多量に残り、不めっきが発生するため、Siは0.3〜2.0mass%の範囲に限定した。
【0016】
Mn:1.0〜3.0mass%
Mnは、焼き入れ性に寄与し、マルテンサイト相を生成して強度の高い冷延鋼板とするために不可欠な元素である。しかし1.0mass%未満では、その添加効果に乏しく、一方3.0mass%を超えると、過度に硬化して延性の劣化を招くだけでなく、スポット溶接性およびめっき性を著しく損なうので、Mnは1.0〜3.0mass%の範囲に限定した。
【0017】
Nb,Ti,VおよびZr:0.01〜0.5mass%
Nb,Ti,VおよびZrはいずれも、微細な炭化物を生成し、再結晶時に結晶粒の粗大化を防いで、微細な結晶組織とし、しかも表面の微細結晶組織は表面直下の粒界酸化物の生成を促進して、めっき性の向上に寄与する。このような効果を得るには、いずれの元素も0.01mass%以上の添加が必要であるが、0.5mass%を超えて多量に添加すると加工性やスポット溶接性が低下するので、これらの元素は単独添加または複合添加いずれの場合も0.01〜0.5mass%の範囲で含有させるものとした。
【0018】
以上、必須成分について説明したが、この発明では、上記成分に加えて、さらに以下の成分を適宜含有させることができる。
Mo:0.01〜0.5mass%
Moは、Si,Mnの拡散を抑制して表面酸化物の生成を抑制する一方、内部酸化物の生成を促進して、めっき性を改善する。しかしながら、含有量が0.01mass%未満ではその添加効果に乏しく、一方、0.5mass%を超えると、熱延板の表面性状が悪くなるため、Moは0.01〜0.5mass%の範囲に限定した。
【0019】
Ni:0.05〜0.5mass%、Cu:0.05〜0.5mass%
Ni,Cuはいずれも、再結晶焼鈍時およびめっき前熱処理時に、下地鋼板表面にSiO2が生成するのを阻害し、めっき性を改善する作用がある。しかしながら、含有量が0.05mass%未満ではその添加効果に乏しく、一方0.5mass%を超えると、熱延板の表面性状が悪化するため、それぞれ0.05〜0.5mass%の範囲に限定した。
【0020】
以上、この発明に従う成分組成範囲について説明したが、この発明では成分組成範囲を上記の範囲に限定するだけでは不充分で、以下に述べるとおり、鋼組成も併せて特定することが重要である。
すなわち、下地鋼板の板厚表層部である鋼板表面から板の厚さ方向に30μm以下の範囲について、フェライト相の占める割合を面積率で90%とし、かつこのフェライト相の平均結晶粒径を3.5μm以下にする必要がある。
というのは、不めっき発生を抑制するには、表層をできるだけフェライト相とするのが有効であり、そのためには、下地鋼板表面から深さ方向に30μm以下の範囲にわたって面積率で90%以上がフェライト相となるような組成にすることが不可欠だからである。ここで、面積率を測定するには、圧延方向に垂直な板厚方向断面(L断面)における面積率を測定する。
【0021】
すなわち、下地鋼板の板厚表層部が表面から深さ方向に1μm 以上30μm以下の範囲について、フェライト相の面積率で90%以上とすることによって、不めっきの発生が著しく抑制され、加工後の肌荒れも著しく改善される。さらに、合金化処理を施す場合、合金化が促進され、めっきムラが改善される。
なお、不めっきの発生を抑制するには、下地鋼板の板厚表層部が表面から深さ方向に1μm 以上の範囲がフェライト相の面積率で90%以上である実質的なフェライト単相組織である必要がある。しかしながら、かような実質的なフェライト単相組織の範囲が表面から深さ方向に30μmを超えると、強度および延性が低下して、加工後の肌荒れが顕著となるため、実質的なフェライト単相組織の厚みの上限値は30μmとした。
【0022】
また、前記板厚表層部のフェライト相の平均結晶粒径が3.5μmを超えると、十分な粒界面積が得られず、酸素が粒界拡散により鋼板内部に侵入して内部酸化物を形成する効果が薄れ、その結果、めっき性の大幅な向上が望めなくなるので、前記のフェライト相の平均結晶粒径は3.5μm以下とした。
【0023】
一方、板厚中央部の組織は、強度確保の観点から、フェライト相と、マルテンサイト相、ベイナイト相および残留オーステナイト相の少なくともいずれか1相との複合組織とする必要がある。
ここで、板厚中央部とは、鋼板の厚さ方向において、表面からの距離が30μmよりも大きい中央領域を意味する。
【0024】
次に、この発明の製造条件について説明する。
前記の好適成分組成に調整した溶鋼を、常法に従ってスラブとした後、熱延に先立って加熱を施すが、この発明では、この加熱工程が重要である。すなわち、この加熱により表面から100μm〜2mm程度の脱炭層を形成させることで、最終工程の焼鈍後の、冷延鋼板(下地鋼板)の板厚表層部に脱炭層(実質的フェライト層)が形成され、その結果、めっき性に優れる鋼板を得られるからである。ここに、加熱温度は1050〜1280℃とする。また炉内雰囲気は、スラブ表面にポーラスなFeOが生成する雰囲気とする。たとえば露点:+30〜+50℃、O2:1〜10vol% 、CO2:5〜15vol%、残部N2またはArの混合ガス組成、あるいは大気雰囲気が有利に適合する。
【0025】
ついで、常法に従う熱間圧延後、酸洗を施す。この酸洗は、塩酸、硫酸およびリン酸のうちから選んだいずれを使用してもでもよいが、表層のスケールのみを酸洗することが肝要であり、過度の酸洗は脱炭層を消失させてしまうので、酸濃度は3〜10mass%とし、40〜90℃で10〜30秒の酸洗を施すことが好ましい。
【0026】
その後、常法に従って冷間圧延を施した後、再結晶焼鈍を施す。この再結晶焼鈍は、オーステナイト粒を粗大化させない条件で行うことが必要である。例えば、焼鈍温度はAc3変態点温度〜Ac3変態点温度+50℃、露点は−45℃〜0℃、また雰囲気ガスとしてはAr,N2,H2の単独または混合ガスを用いることが好ましい。そして、かような条件下で再結晶温度以上の温度に1〜120秒間保持した後、1〜100℃/sの速度で急冷して、マルテンサイト組織を生成することが好ましい。
【0027】
さらに、焼鈍後の酸洗は、主に焼鈍で生成された表面のSi,Mnの酸化物(表層酸化物)の除去を目的として行う。ここに、酸洗液としては3〜20mass%の塩酸を用いるのが好ましい。また、酸洗時間は3〜60秒とするのが好適である。
【0028】
その後、めっき前熱処理およびめっき処理を施すための下地鋼板とするには、次のようなめっき前熱処理を行う。まず、めっき前熱処理については、Acl変態点温度以上、Ac3変態点温度以下のフェライト相とオーステナイト相との2相領域の加熱とすることで、フェライト相からCを排出させることにより、フェライト相自身の延性の改善が達成され、またオーステナイト相中のC量の濃縮により、Ms変態点温度が低下して、残留オーステナイト相が生成することによって加工性を向上させる効果を奏する。そして、上記2相領域の熱処理後、さらにArl変態点温度以下で保持して、一部をベイナイトに変態させる、結晶粒微細化のための熱処理を施してもよい。この結晶粒微細化工程では、温度が650℃未満では下地鋼板表面が活性化せずにめっき性が低下するので650℃以上とすることが望ましい。また、いずれの熱処理も下地鋼板表面が酸化されるとめっき性が損われるので、露点:−20℃以下で、Ar,N2,H2またはこれらの混合ガス中で熱処理することが肝要である。
【0029】
【実施例】
表1に示す種々の成分組成からなるスラブを、表2に示す条件で加熱した後、仕上げ圧延温度:850〜900℃で熱間圧延を施して厚み:4.5mmの熱延板とした。ついでこの熱延板を、酸洗(5mass%HCl、10秒×50℃)した後、冷延し、しかる後に0.8mm厚まで冷間圧延した。
その後、露点:−30℃、5vol%H2、残り:N2の雰囲気中にて、900℃、60秒の再結晶焼鈍を施した後、5mass% HClの溶液(60℃)中に5秒間浸漬する酸洗処理を行った。
【0030】
ついで、溶融亜鉛めっき設備において、露点:−40℃、7vol%H2、残り:Nの雰囲気中にて、750℃、40秒のめっき前熱処理を施して下地鋼板とした後、浴温:470℃、浸入板温:470℃、めっき浴のAl含有率:0.14mass%、めっき付着量:50g/m2(片面あたり)、めっき時間1秒の条件で、溶融亜鉛めっき処理を施した。なお、一部については、その後490℃、60秒の合金化処理を施して、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。
【0031】
かくして得られた各種めっき鋼板の板厚表層および板厚中央部の組織ならびに板厚表層部のフェライト相の結晶粒径について調査した。また併せて引張特性、めっき性および合金化ムラの有無について調査を行った。
得られた結果を表3に示す。なお、表3の全No.で表層にフェライト相が認められた。
【0032】
まず、下地鋼板の板厚表層部に存在する、面積率で90%以上のフェライト相となる実質的なフェライト単相組織の厚さを測定した。そのために、表層のフェライト相(α相)の面積率は、めっき鋼板をそのL断面が観察面となるよう樹脂に埋め込み、ナイタールでエッチングした後、走査電子顕微鏡で撮影した写真に対して画像処理(二値化)を施し、10視野評価による平均値を求めて算出した。
【0033】
また、下地鋼板の板厚表層部のフェライト相の平均結晶粒径は、めっき鋼板をそのL断面が観察面となるよう樹脂に埋め込み、ナイタールでエッチングした後、走査電子顕微鏡による倍率1000倍での観察を行ない、その10視野のフェライト単相領域内について、切断法(縦3本×横3本)により、結晶粒径の平均値を求めて算出した。なお、実質的なフェライト単相組織の厚さが5μm を超える場合は下地鋼板の表層から5μm の範囲のみを測定した。
【0034】
さらに、めっき性の評価は、上記のようにして得られた各溶融亜鉛めっき鋼板について、40×80mmの試験片を10枚採取して0.5mm以上の不めっきが1枚でも観察された場合は不合格とした。また、さらに合金化処理を施した場合については、合金化ムラの有無で判断した。
【0035】
【表1】
Figure 0005087813
【0036】
【表2】
Figure 0005087813
【0037】
【表3】
Figure 0005087813
【0038】
表3に示したとおり、高張力溶融亜鉛めっき鋼板(No.1,4,6,8 ,9,12および14)はいずれも、下地鋼板の板厚表層部のフェライト(α)相の面積率、下地鋼板の板厚表層部の実質的なフェライト単相組織のフェライト相の平均結晶粒径、および板厚中央部の組織要件を満足しているので、引張特性に優れるのはいうまでもなく、優れた溶融亜鉛めっき性および合金化溶融亜鉛めっき性を得ることができる。
【0039】
これに対し、比較鋼No.2、3、5、10、11、13は、下地鋼板の表面から深さ方向に十分な脱炭がなされておらず、板厚表層部のフェライト相がL断面面積率で90%に満たないため、めっき性に劣っていた。また、比較鋼No.15の、下地鋼板の板厚表層部はフェライト単相を示したが、粒径が大きすぎたため、内部酸化物の量が不十分で、表面から深さ方向に酸化されてしまい、不めっきの発生が避けられなかった。さらに、比較鋼No.16は、Si,Mn濃度が低く、めっき性には優れていたが、下地鋼板の組織が全板厚にわたりフェライト単相であるので強度が劣っていた。
【0040】
【発明の効果】
かくして、この発明によれば、高張力を満足した上で、不めっき欠陥の発生がない、高張力溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
したがって、この発明鋼板を自動車用鋼板に供することによって、自動車の衝突安全性の向上、ならびに地球環境保全に鑑みた燃費改善のための軽量化を達成することができ、その工学的価値は極めて大きいといえる。

Claims (3)

  1. 下地鋼板に溶融亜鉛めっきを施してなる溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記下地鋼板の組成は、C:0.1mass%以下、Si:0.3〜2.Omass%およびMn:1.0〜3.0mass%を含有し、さらにNb、Ti、VおよびZrのうちから選んだ1種または2種以上:0.01〜0.5mass%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成であり、前記下地鋼板の板厚中央部の組織は、面積率で88%以下のフェライト相と、マルテンサイト相、ベイナイト相および残留オーステナイト相の少なくともいずれか1相との複合組織であり、前記下地鋼板の板厚表層部の組織は鋼板表面から1μm以上30μm以下の範囲につき面積率で90%以上のフェライト相であり、かつ前記板厚表層部のフェライト相の平均結晶粒径が3.5μm以下であることを特徴とする、高張力溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 請求項1において、前記鋼板の組成が、さらに、Mo:0.01〜0.5mass%およびNi:0.05〜0.5mass%のうちから選んだ少なくとも1種を含有する組成になることを特徴とする、高張力溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 板に溶融亜鉛めっきを施してなる溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、C:0.1mass%以下、Si:0.3〜2.0mass%およびMn:1.0〜3.0mass%を含有し、さらにNb、Ti、VおよびZrのうちから選んだ1種または2種以上:0.01〜0.5mass%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、加熱温度1050〜1280℃で、かつ、スラブ表面にFeOを生成させる炉内雰囲気で加熱し、熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延し、再結晶焼鈍し、酸洗し、めっき前熱処理して請求項1に記載の下地鋼板とし、さらに前記下地鋼板をめっき処理することを特徴とする、高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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