JP2002160653A - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御装置

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JP2002160653A
JP2002160653A JP2000357857A JP2000357857A JP2002160653A JP 2002160653 A JP2002160653 A JP 2002160653A JP 2000357857 A JP2000357857 A JP 2000357857A JP 2000357857 A JP2000357857 A JP 2000357857A JP 2002160653 A JP2002160653 A JP 2002160653A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】路面の反力が小さい場合や、大きい場合におい
て、ステアリングホイールから伝わってくる路面反力情
報が失われることなく、かつ路面の反力の変化に応じて
走行安定性に優れた操舵フィーリングを得ることができ
る電動パワーステアリング装置の制御装置を提供する。 【解決手段】制御装置20の中央処理装置(CPU)2
1の路面μ推定部100は、操舵角θ、車速V、操舵ト
ルクTh、モータ電流Imに基づいて右操舵評価関数比
αr、左操舵評価関数比αlを設定する。目標操舵トル
ク設定部32は、操舵角θ、車速V、右操舵評価関数比
αr、左操舵評価関数比αlに基づいて目標操舵トルク
Th*を設定する。電流指令値演算部31は操舵トルク
Th、目標操舵トルクTh*、車速V、モータ電流I
m、に基づいてアシスト電流指令値Iを演算する。CP
U21は、アシスト電流指令値Iに基づいてモータ6を
駆動制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や車両の操
舵系にモータによるアシスト力を付与する電動パワース
テアリング装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図17は、従来の自動車等に使用される
電動パワーステアリング装置に係る制御装置の概略を示
す。
【0003】ステアリングホイール41に連結したステ
アリングシャフト42には、トーションバー43が設け
られている。このトーションバー43には、トルクセン
サ44が装着されている。そして、ステアリングシャフ
ト42が回転してトーションバー43に力が加わると、
加わった力に応じてトーションバー43が捩れ、その捩
れをトルクセンサ44が検出している。
【0004】又、ステアリングシャフト42には減速機
45が固着されている。この減速機45には、モータ4
6の回転軸に取着したギア47が噛合されている。さら
に、減速機45にはピニオンシャフト48が固着されて
いる。ピニオンシャフト48の先端には、ピニオン49
が固着されるとともに、このピニオン49はラック51
と噛合している。
【0005】ラック51の両先端には、タイロッド52
が固設されている。このタイロッド52の両端には、ナ
ックル53が回動可能に連結されている。このナックル
53には、前輪54が固着されている。又、ナックル5
3は、クロスメンバ55に回動可能に連結されている。
【0006】従って、モータ46が回転すると、その回
転数は減速機45によって減少されてピニオンシャフト
48に伝達され、ラック&ピニオン機構50を介してラ
ック51に伝達される。そして、ラック51に固設され
たタイロッド52に連結されたナックル53は、モータ
46の回転方向に応じて右方向又は左方向に移動する。
なお、前輪54には車速センサ56が設けられている。
【0007】そして、前記モータ46の回転数及び回転
方向は、モータ駆動装置57から供給される正負のアシ
スト電流によって決定されている。このモータ駆動装置
57がモータ46に供給するアシスト電流は、モータ駆
動装置57を制御するアシスト電流決定手段58によっ
て演算されている。アシスト電流決定手段58は、トル
クセンサ44からの検出信号VTからその時々のステア
リングホイール41の操舵トルクThを演算するととも
に、車速センサ56からの検出信号からその時々の車速
Vを演算する。
【0008】そして、アシスト電流決定手段58は、こ
の演算した操舵トルクThと車速Vに基づいてアシスト
電流(アシスト電流指令値)を算出する。この算出は、
アシスト電流決定手段58内のメモリに予め記憶したア
シストマップから求められる。そして、アシスト電流決
定手段58はアシストトルクを発生させるモータ46の
電流を前記アシスト電流(アシスト電流指令値)となる
ように制御する。
【0009】しかし、前記アシストマップはある特定の
路面反力状況(例えば平坦アスファルト路)で設定した
値であって、路面反力状況が変わってしまう、すなわ
ち、雪路等の低μ路やタイヤの空気圧低下、タイヤの諸
元(摩耗、タイヤ種類等)が変わると、路面反力が変わ
り、そのため操舵力が変化してしまい、フィーリングの
悪化を招いていた。
【0010】又、操舵角θに対する操舵トルクThの立
ち上がり(ビルドアップ感)を操舵フィーリングの判定
の指標としているが、前記制御装置においては、操舵ト
ルクThと車速Vに対しアシスト電流を決定しているた
め、操舵角θに対し所定の操舵トルクThを出す(すな
わち、ビルドアップ感を出す)ためのマップデータを設
定することが非常に難しい問題があった。
【0011】又、早い操舵等をしてモータや減速機等に
よる慣性、粘性による外乱トルクが発生すると、アシス
ト電流決定手段ではこの外乱トルクを打ち消すことがで
きないため、別途慣性、粘性を打ち消す制御が必要であ
った。
【0012】又、左右に操舵した時の操舵トルクThの
ヒステリシスのコントロールが自由に設定できず、理想
の操舵フィーリングを実現するための自由度が低い問題
があった。
【0013】そこで、これらのような不具合を解決する
ために、本出願人は、操舵角θ、車速Vに応じて目標操
舵トルクTh*を設定し、操舵トルクThと目標操舵ト
ルクTh*及びモータ電流Imによりアシスト電流指令
値を決定してモータを制御(以下、MA−MT制御とい
う。)する装置を提案している。
【0014】すなわち、ステアリングシャフト42の操
舵角θを検出する操舵角センサ59(図17においては
2点鎖線で示す)を設け、この装置のアシスト電流決定
手段58は、操舵角センサ59からの操舵角θと車速V
に基づいて目標操舵トルクTh*を設定する。
【0015】さらに、操舵トルクTh、前記目標操舵ト
ルクTh*、及びモータのモータ電流Imとに基づいて
アシスト電流(アシスト電流指令値)を算出する。この
結果、車速Vと操舵角θに対する目標操舵トルクTh*
を自由に設定でき、操舵角θに対する操舵トルクThの
傾きが容易に設定可能となり、ビルドアップ感の適合が
容易に行われる。又、路面反力が低下したり、モータ6
やモータに接続される減速機等による粘性や慣性により
実操舵トルクが減少したり、増加したりしても、操舵ト
ルクThが目標操舵トルクTh*となるようにアシスト
電流(アシスト電流指令値)を調整する作用が働き、安
定した操作フィーリングの提供が可能となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
にMA−MT制御を行う制御装置においては、操舵角セ
ンサで検出した操舵角θと車速Vとに応じて目標操舵ト
ルクTh*を設定している。しかし、路面反力が変化し
ても、目標操舵トルクTh*は車速Vと操舵角θに対し
て一義的に決まって制御されるため、例えば路面反力が
低い凍結路を走行しても乾燥アスファルト路を走行して
いる場合と同じような操舵フィーリングとなる。
【0017】又、バンクを走行している場合に、例えば
右上から左下に傾斜しているバンクを走行すると、通常
油圧パワーステアリング装置等では、右操舵すると重
く、左操舵すると、軽くなるが、MA−MT制御では左
右とも同一の操舵フィーリングとなる。
【0018】このようにMA−MT制御を行うと、路面
情報(路面μ、路面の傾斜等)が運転者に伝わらない
(伝わりにくい)ため、不自然な操舵フィーリングとな
る問題があった。
【0019】従って、本発明は、前述した事情に鑑みて
なされたものであって、その目的は路面の反力が小さい
場合や、大きい場合において、ステアリングホイールか
ら運転者に伝わってくる路面反力情報が失われることな
く、かつ路面の反力の変化に応じて走行安定性に優れた
操舵フィーリングを得ることができる電動パワーステア
リング装置の制御装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、アシスト電流指令値に基
づいてモータを駆動制御する制御手段を備えた電動パワ
ーステアリング装置の制御装置において、モータ電流値
に基づいて、あるいはモータ電流値と操舵トルクに基づ
いて路面の反力を推定する推定手段と、入力した操舵
角、車速、及び路面の反力に基づいて目標操舵トルクを
設定する目標操舵トルク設定手段と、操舵トルク、前記
目標操舵トルク、及び前記モータのモータ電流値とに基
づいてアシスト電流指令値を演算するアシスト電流演算
手段と、を備えたことを要旨とする。
【0021】請求項2の発明は、請求項1において、前
記推定手段は、右操舵と左操舵に応じて、路面摩擦係数
をそれぞれ推定し、その路面摩擦係数を介して路面の反
力を推定するものであることを要旨とする。
【0022】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
において、前記推定手段は、路面摩擦係数を推定するに
当たり、過去に推定した路面摩擦係数を加味したなまし
処理を行うことを要旨とする。
【0023】請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3
のうちいずれか1項において、前記推定手段が推定した
路面摩擦係数が異常値か否かを検出する異常検出手段
と、前記異常検出手段が異常検出する以前の正常な路面
摩擦係数を記憶する記憶手段を備え、前記異常検出手段
が、前記推定手段の推定した路面摩擦係数を異常値であ
ると検出したとき、前記推定手段は、前記記憶手段に記
憶した正常な路面摩擦係数を推定した値と置き換えるこ
とを要旨とする。 (作用)従って、請求項1に記載の発明においては、制
御手段は、アシスト電流指令値に基づいてモータを駆動
制御する。推定手段は、モータ電流値に基づいて、ある
いはモータ電流値と操舵トルクに基づいて路面の反力を
推定する。目標操舵トルク設定手段は、入力した操舵
角、車速、及び路面の反力に基づいて目標操舵トルクを
設定する。アシスト電流演算手段は、操舵トルク、前記
目標操舵トルク、及び前記モータのモータ電流値とに基
づいてアシスト電流指令値を演算する。そのため、路面
の反力が小さければ路面反力情報が失われない程度に目
標操舵トルクを小さく設定し、路面の反力が大きければ
目標操舵トルクを大きく設定する。
【0024】請求項2に記載の発明においては、請求項
1に記載の作用に加えて、前記推定手段は、右操舵と左
操舵に応じて、路面摩擦係数をそれぞれ推定し、その路
面摩擦係数を介して路面の反力を推定する。
【0025】請求項3に記載の発明においては、請求項
1又は請求項2に記載の作用に加えて、前記推定手段
は、路面摩擦係数を推定するに当たり、過去に推定した
路面摩擦係数を加味したなまし処理を行う。
【0026】請求項4に記載の発明においては、請求項
1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の作用に加え
て、異常検出手段は、前記推定手段が推定した路面摩擦
係数が異常値か否かを検出する。記憶手段は、前記異常
検出手段が異常検出する以前の正常な路面摩擦係数を記
憶する。前記異常検出手段が、前記推定手段の推定した
路面摩擦係数を異常値であると検出したとき、前記推定
手段は、前記記憶手段に記憶した正常な路面摩擦係数を
推定した値と置き換える。
【0027】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明
を、自動車に搭載したラックアシスト型の電動パワース
テアリング装置の制御装置に具体化した実施形態を図1
〜図13に従って説明する。
【0028】図1は、電動パワーステアリング装置の概
略を示す。ハンドルとしてのステアリングホイール1に
連結したステアリングシャフト2には、トーションバー
3が設けられている。なお、説明の便宜上、ステアリン
グホイールを以下、ハンドルということがある。このト
ーションバー3には、トルクセンサ4が装着されてい
る。そして、ステアリングシャフト2が回転してトーシ
ョンバー3に力が加わると、加わった力に応じてトーシ
ョンバー3が捩れ、その捩れ、すなわちステアリングホ
イール1にかかる操舵トルクThをトルクセンサ4が検
出している。又、ステアリングシャフト2にはステアリ
ングシャフト2の操舵角θを検出する操舵角センサ17
が装着されている。これらのセンサ出力は制御装置20
へ供給される。
【0029】又、ステアリングシャフト2にはピニオン
シャフト8が固着されている。ピニオンシャフト8の先
端には、ピニオン9が固着されるとともに、このピニオ
ン9はラック10と噛合している。前記ラック10とピ
ニオン9とによりラック&ピニオン機構11が構成され
ている。前記ラック10の両端には、タイロッド12が
固設されており、そのタイロッド12の先端部にはナッ
クル13が回動可能に連結されている。このナックル1
3には、タイヤとしての前輪14が固着されている。
又、ナックル13の一端は、クロスメンバ15に回動可
能に連結されている。
【0030】又、ラック10と同軸的に配置された電動
モータ(以下、モータという)6は、モータ6が発生し
た補助操舵力をボールナット機構6aを介してラック1
0に伝達する。
【0031】従って、モータ6が回転すると、その回転
数はボールナット機構6aによって減少されてラック1
0に伝達される。そして、ラック10は、タイロッド1
2を介してナックル13に設けられた前輪14の向きを
変更して車両の進行方向を変えることができる。
【0032】前輪14には、車速センサ16が設けられ
ている。次に、前記電動パワーステアリング装置の制御
装置20の電気的構成を図1に示す。
【0033】トルクセンサ4は、ステアリングホイール
1の操舵トルクThを示す信号を出力している。操舵角
センサ17はステアリングシャフト2の操舵角θを示す
操舵角信号を出力している。車速センサ16は、その時
の車速Vを前輪14の回転数に相対する検出信号を制御
装置20へ出力する。又、制御装置20には、モータ6
に流れる駆動電流(モータ電流Im、モータ電流値に相
当)を検出するモータ駆動電流センサ18が電気的に接
続されており、モータ駆動電流センサ18からのモータ
電流Imを示す信号が供給されている。
【0034】制御装置20は、制御手段としての中央処
理装置(CPU)21、読み出し専用メモリ(ROM)
22及びデータを一時記憶する読み出し及び書き込み専
用メモリ(RAM)23を備えている。
【0035】このROM22には、CPU21により実
行される各種制御プログラムが格納されている。RAM
23は、CPU21が演算処理を行うときの演算処理結
果等を一時記憶する。RAM23は記憶手段に相当す
る。
【0036】前記CPU21は、制御手段、推定手段、
目標操舵トルク設定手段、異常検出手段、アシスト電流
演算手段に相当する。 (路面摩擦係数μの推定)ここで、本実施形態における
路面摩擦係数μ(以下、路面μという)の推定方法につ
いて説明する。
【0037】ある車速V、ある操舵角θにおける路面の
反力(以下、路面反力という)は、路面μにより変化す
ることが知られている。従って、基準となる路面μにお
けるある車速V、ある操舵角θに対する路面反力を予め
記憶しておき、演算で算出した路面反力と比較すること
により、路面μが推定できる。
【0038】路面反力はラック推力Fと等しく、ラック
アシスト型の電動パワーステアリング装置の場合、次式
でラック推力Fを表すことができる。 F = Fm + Fh ……(A) ここで、Fmはモータ6がアシストする推力、Fhはハ
ンドル操舵による推力であり、下記の式でそれぞれ求め
ることができる。
【0039】 Fm=2π・Tm・ηb/L ……(B) Fh=2π・Th・ηp/St ……(C) なお、Tmはモータトルク、ηbはボールナット機構6
aのボールねじ効率、Lはそのボールねじリードであ
る。Thは操舵トルク、ηpは前記ラック&ピニオン機
構11のラック&ピニオンギヤ効率、Stはそのストロ
ーク比である。
【0040】従って、ラック推力Fは、下記の式とな
る。 F=(Tm・ηb・St/L + Th・ηp)・2π
/St ここで、ηbとηpとは、経験上その効率がほぼ等しい
と考えることができるから、 G(減速比)=St/L より、 F∝(Tm・G+Th)=f となる。
【0041】すなわち、路面反力(=ラック推力F)は
fに比例する。この結果、路面反力を表す評価関数とし
てf=Tm・G+Thを導入し、予め記憶しておいた基
準路面(本実施の形態では、アスファルト路としてい
る)における基準値としての基準路評価関数f0との評
価関数比α(=f/f0)を算出する。この評価関数比
αは路面μに比例した値であり、評価関数比αを算出す
ることは、路面μを推定することに相当する。
【0042】次に、図2〜図8を参照して、アシスト制
御を説明する。なお、以下のCPU21内部の機能の説
明では、「車速V」、「操舵トルクTh」、「操舵角
θ」等の各種パラメータは、説明の便宜上、それらの対
応する信号の意味として使用するものとする。
【0043】図2は、CPU21の制御ブロック図であ
る。この実施形態ではCPU21内部においてプログラ
ムで実行される機能を示している。例えば、位相補償器
30は独立したハードウエアではなく、CPU21内部
で実行される位相補償機能を示している。同じく図6及
び図7は、CPU21内部の構成はCPU21がプログ
ラムによって実行する処理機能を制御ブロック図で示し
ており、実際のハード構成を意味するものではない。
【0044】以下、CPU21の機能と動作を説明す
る。CPU21は、図2に示すように位相補償器30,
35、アシスト電流演算手段として電流指令値演算部3
1、目標操舵トルク設定手段として目標操舵トルク設定
部32、減算器33、電流制御部34、推定手段として
の路面μ推定部100等の機能を備えている。前記CP
U21には、後述する電流制御部34を備え、電流制御
部34では、モータ電流がアシスト指令電流値となるよ
うにモータ6をPWM演算を行い、その演算結果に基づ
いて駆動するようにされている。
【0045】(操舵角θの検出処理)操舵角センサ17
が出力した操舵角信号を、位相補償器35にて位相を進
ませる位相補償した後の値を操舵角θとして、目標操舵
トルク設定部32及び路面μ推定部100に出力する。
【0046】詳しく説明すると、位相補償器35は図3
に示すように微分器36とゲイン乗算部37と、加算器
38とから構成されている。微分器36では、操舵角セ
ンサ17からの操舵角信号を微分して操舵角速度θVを
求め、ゲイン乗算部37では、その操舵角速度θVに予
め設定したゲインTを乗算した値θV・Tを加算器38
に出力する。前記ゲインTは、操舵角信号の位相遅れに
より、操舵角信号に対する操舵トルク(実操舵トルク)
が狙った目標操舵トルクTh*に一致しない現象が生じ
ないように予め試験等よって得られた値に基づいて定め
られている。加算器38は、操舵角信号に対してθV・
Tを加算して位相を進ませた値(本実施形態では、これ
を操舵角θという。)とし、目標操舵トルク設定部32
及び路面μ推定部100に出力する。
【0047】(路面μの推定処理)図2に示すように前
記路面μ推定部100は、位相補償器35から操舵角
θ、車速センサ16から車速V、トルクセンサ4から操
舵トルクTh、モータ駆動電流センサ18からモータ電
流Imを入力し、右操舵評価関数比(右操舵路面反力情
報)αr、左操舵評価関数比(左操舵路面反力情報)α
lの設定を行う。
【0048】具体的に、右操舵評価関数比αr、左操舵
評価関数比αlの設定の仕方を、CPU21が実行する
路面μ推定制御プログラムのフローチャート(図5,6
参照)に従って説明する。
【0049】この路面μ推定制御プログラムのフローチ
ャートは、定時割り込みで実行される。まず、CPU2
1は、ステップ(以下、ステップをSという)1におい
て、車両の走行中その時々において、車速センサ16か
らの検出信号,トルクセンサ4からの検出信号、操舵角
センサ17からの検出信号及びモータ駆動電流センサ1
8からの検出信号をRAM23に読み込む。次に、S2
において、車速センサ16からの検出信号に基づいてそ
の時々の車速Vを演算するとともに、トルクセンサ4か
らの検出信号に基づいてステアリングホイール1のその
時々の操舵トルクThを演算する。又、操舵角センサ1
7からの検出信号に基づいて操舵角θを演算する。又、
操舵角θを微分して操舵角速度θVを演算する。
【0050】S3では、S2で算出した車速Vが判定車
速下限値V1と判定車速上限値V2(>V1)の範囲内
にあるか否かを判定する。この判定は路面μを推定する
のに適切な車速範囲内か否かを判定するためのものであ
る。S3で判定車速下限値V1と判定車速上限値V2と
の間にあれば、S4に移行し、そうでない場合にはこの
処理ルーチンを一旦終了する。
【0051】S4では、S2で算出した操舵角θの絶対
値が判定操舵角下限値θ1と判定操舵角上限値θ2(>
θ1)の範囲内にあるか否かを判定する。操舵角θは右
回転操舵と、左回転操舵があるため、右回転操舵を正、
左回転操舵を負とする。この判定は路面μを推定するの
に適切な操舵角範囲内か否かを判定するためのものであ
る。S4で操舵角θが判定操舵角下限値θ1と判定操舵
角上限値θ2との間にあれば、S5に移行し、そうでな
い場合にはこの処理ルーチンを一旦終了する。
【0052】S5では、S2で算出した操舵角速度θV
の絶対値が判定操舵角速度下限値θV1と判定操舵角速
度上限値θV2(>θV1)との範囲内にあるか否かを
判定する。操舵角速度θVは右回転の場合の角速度と、
左回転の場合の角速度があるため、右回転の場合を正、
左回転の場合を負とする。この判定は適切な操舵角速度
範囲内か否かを判定するためのものである。S5で操舵
角速度θVが判定操舵角速度下限値θV1と判定操舵角
速度上限値θV2との間にあれば、S6に移行し、そう
でない場合にはこの処理ルーチンを一旦終了する。
【0053】次のS6では、操舵角θと操舵角速度θV
の正負の符号が同じか否かを判定する。例えば、走行が
直進状態であるときの中立位置からステアリングホイー
ル1を左右いずれかの方向に操舵したときは、操舵角θ
と操舵角速度θVの符号は同じであり、ステアリングホ
イール1を一旦操舵してから、戻し(ハンドル戻し)の
場合は、操舵角θと操舵角速度θVとは符号が互いに反
対となる。
【0054】従って、操舵角θと操舵角速度θVの両者
の符号が同じときは、ステアリングホイール1(ハンド
ル)を切っているものとしてS7に移行し、符号が不一
致の場合には、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0055】S7では、S2で演算した操舵トルクTh
の絶対値が判定操舵トルク下限値Th1と判定操舵トル
ク上限値Th2の範囲内か否かを判定する。ここでの判
定は、車輪が縁石に当たったり、車輪が溝等に脱輪した
場合等の異常な状態の操舵トルクか否かを判定するので
ある。操舵トルクThがこの範囲以内である場合には、
S8に移行し、範囲外である、すなわち、異常であると
判定すると、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0056】次のS8では、モータ電流Imに基づいて
モータトルクTmを演算する。このモータトルクTmは
下記の式で算出する。 Tm=Kt・Im なお、Ktはモータ6のトルク定数である。
【0057】S8のモータトルクTm演算の処理の後、
S9においては右操舵か否かを判定する。操舵角θ≧0
の場合には、右操舵であるとしてS10に移行し、操舵
角θ<0の場合には左操舵であるとして、S20に移行
する。
【0058】ここでS10〜S16は右操舵評価関数比
αrの算出処理ルーチンであり、又、S20〜S26は
左操舵評価関数比αlの算出処理ルーチンである。右操
舵評価関数比αrの算出ルーチンについて説明すると、
S10では、右操舵瞬時評価関数frを算出する。すな
わち、右操舵瞬時評価関数frは、この制御サイクル時
に得られる右操舵瞬時評価関数のことであり、同右操舵
瞬時評価関数frは下記の式で得られる。
【0059】fr=Tm・G+Th Gは前記したように減速比(定数)である。次のS11
では、基準路評価関数f0を割り出す。基準路評価関数
f0は図8に示すマップを参照して求める。このマップ
は横軸に操舵角θ、縦軸に基準路評価関数f0の値を備
え、複数の車速Vに応じた基準路評価関数f0を割り出
すことができるようになった3次元マップである。すな
わち、このマップは、ROM22に予め記憶されてお
り、車速Vと、操舵角θとが決定されれば、基準路評価
関数f0の値が選択できる。
【0060】同図に示すように、操舵角θが大きくなる
ほど、基準路評価関数f0の値がリニアに大きくなり、
又、車速Vが大きくなるほど、操舵角θが同じであれ
ば、基準路評価関数f0の値を大きくしている。
【0061】そして、右操舵瞬時評価関数frと、基準
路評価関数f0とに基づいて評価関数比(以下、右操舵
暫定評価関数比という。)αrx(=fr/f0)を算
出する。すなわち、S11では、右操舵暫定評価関数比
αrxの算出は、瞬時路面μの演算が行われたことに相
当する。
【0062】続く、S12では、なまし処理として加重
平均処理を行い、右操舵評価関数比αrを算出する。図
7はなまし処理の詳細を示すフローチャートである。ま
ず、S30において、加重平均回数値N2をインクリメ
ントする。続く、S31において、積算値Σαrを演算
する。Σαrの算出は、前回の制御サイクル時に算出し
た積算値Σαrに対して、今回求めた右操舵暫定評価関
数比αrxを加算するものである。
【0063】従って、積算値Σαrは、いくつかの過去
の制御サイクル時に求めた複数の評価関数比が加算され
たものである。続く、S32においては、積算回数チェ
ックを行う。すなわち、S30でインクリメントした加
重平均回数値N2が所定値N1(本実施形態では、30
回)以下か否かを判定する。
【0064】S32において、加重平均回数値N2がN
1以下であれば、S33において、S31で算出した積
算値Σαrを加重平均回数値N2(≦N1)で除して、
加重平均処理を行い、最終的に路面μにかかる右操舵評
価関数比αrを算出し、このフローを抜け出る。
【0065】前記S32において、加重平均回数値N2
がN1を越えていれば、S34において、加重平均処理
を行う。すなわち、S31で算出した積算値Σαrか
ら、前回の制御サイクル時に記憶した右操舵評価関数比
αrを減算したものを今回制御サイクル時の積算値Σα
rとし、RAM23に記憶する。
【0066】さらに、S34においては、前記算出した
今回制御サイクル時の積算値Σαrを所定値N1で除し
て加重平均処理を行い、最終的に路面μにかかる右操舵
評価関数比αrを算出した上で、RAM23に記憶す
る。又、S34において、前記所定値N1を加重平均回
数値N2としてRAM23に記憶する。このS32の処
理が終了すると、このフローを抜け出る。
【0067】前記S33、S34の加重平均処理はなま
し処理に相当する。以上のようにして、S12におい
て、最終的に路面μにかかる右操舵評価関数比αrを算
出する。この右操舵評価関数比αrの演算は、図2にお
いては、路面μ推定部(路面μ推定手段)100で実行
される。
【0068】話しは図6の路面μ推定制御プログラムの
フローチャートに戻るが、次のS13では、右操舵評価
関数比αrがαrmin ≦αr≦αrmax の範囲内か否か
を判定する。すなわち、この処理は、S12で算出され
た右操舵評価関数比αrが異常値ではないか否かを判定
するのである。なお、前記αrmin ,αrmax は実験等
で求められた値であり、予めROM22に格納されてい
る。
【0069】αr<αrmin 又は、αr>αrmax の場
合には、異常値であるとしてS17に移行する。αrが
αrmin ≦αr≦αrmax であれば、S14において、
αrの変化量を算出する。すなわち、前回制御サイクル
時に算出したαrとの差Δαrを算出するのである。そ
して、S15において、|Δαr|<Δαrmax である
か否かを判定する。すなわち、S14で算出された差Δ
αrが異常値ではないか否かを判定するのである。な
お、前記Δαrmax は実験等で求められた値であり、予
めROM22に格納されている。
【0070】|Δαr|≧Δαrmax の場合には、異常
値であるとしてS17に移行する。又、|Δαr|<Δ
αrmax である場合には、正常値であるとしてS16に
移行し、RAM23の所定領域であるバッファ領域にバ
ッファ処理(格納)して、このルーチンを一旦終了す
る。
【0071】前記S13及びS15から、S17に移行
した場合には、RAM23のバッファ領域に以前の制御
サイクル時に格納した正常な値である右操舵評価関数比
αrを読み出して、後に行われる各種制御補正値の計算
に供するために、所定の記憶領域に格納し、このルーチ
ンを一旦終了する。
【0072】このS17にて行う処理は、今回制御サイ
クル時に算出したαrがαrmin よりも小さい、又はα
rmax よりも大きい、あるいは、|Δαr|がΔαrma
x 以上の大きさであり、異常な値であるため、後の各種
制御補正値計算では使用させないようにするためであ
る。
【0073】次に、S9において、操舵角θ<0の場
合、左操舵であるとして、S20に移行する。左操舵評
価関数比αlの算出ルーチンについては、右操舵評価関
数比αrの算出ルーチンと同じ処理を行うため、右操舵
評価関数比αrの算出ルーチンの各ステップに相当する
ステップには、1桁の末尾番号を共通とし、20番台を
付している(S20〜S26参照)。
【0074】従って、左操舵評価関数比αlの算出ルー
チンは、上記の右操舵評価関数比αrの算出ルーチンに
おける説明中、右操舵評価関数比αrは左操舵評価関数
比αlに、frはflに、読み替えるものとする。又、
右操舵瞬時評価関数frは左操舵瞬時評価関数flに、
右操舵暫定評価関数比αrx(=fr/f0)は左操舵
暫定評価関数比αlx(=fl/f0)に、αrmin は
αlmin に、αrmaxはαlmax に、ΔαrはΔαl
に、Δαrmax はΔαlmax に読み替える。
【0075】又、左操舵評価関数比αlの算出ルーチン
のS22においての加重平均処理では、図7に示すS3
0〜S34に相当する処理がなされるが、この各ステッ
プにおいて、右操舵評価関数比αrは左操舵評価関数比
αlに、読み替えるものとする。又、同じく積算値Σα
rは、積算値Σαlに、右操舵暫定評価関数比αrx
(=fr/f0)は左操舵暫定評価関数比αlx(=f
l/f0)に読み替えることによって、その説明となる
ので、ここでは繰り返さない。
【0076】(MA−MT制御) (目標操舵トルクTh*の設定)次に、MA−MT制御
を実行するための目標操舵トルクTh*の設定について
説明する。
【0077】図2に示すように、目標操舵トルク設定部
32は、車速センサ16から車速V、操舵角センサ17
から操舵角θ、路面μ推定部100から右操舵評価関数
比αr、左操舵評価関数比αlを入力し、目標操舵トル
クTh*の設定を行う。
【0078】なお、目標操舵トルク設定部32は、右操
舵及び左操舵に応じて右用及び左用目標操舵トルク設定
マップを備えている。図11は右用目標操舵トルク設定
マップを示している。
【0079】以下、右用目標操舵トルク設定マップにつ
いて説明する。右用目標操舵トルク設定マップ(以下、
右操舵路面反力情報マップという。)は、互いに異なる
複数の右操舵評価関数比αrに対応して複数用意されて
いる。そして、その一つ一つの右操舵路面反力情報マッ
プには、互いに異なる複数の車速Vに対応して複数の目
標操舵トルク設定マップ(以下、右操舵車速対応マップ
という。)を備えている。右操舵車速対応マップは、車
速Vが大きくなるにつれて、車速Vが小さい場合に比し
て目標操舵トルクTh*の傾きが急になるように、すな
わち大きくなるように設定されている。
【0080】なお、左用目標操舵トルク設定マップにつ
いては、右用目標操舵トルク設定マップの右操舵路面反
力情報マップ、及び右操舵車速対応マップと同様の左操
舵路面反力情報マップ、及び左操舵車速対応マップを備
えている。
【0081】次に、具体的な目標操舵トルクTh*の設
定の仕方を、CPU21が実行する目標操舵トルク設定
ルーチンのフローチャート(図9,10参照)に従って
説明する。
【0082】なお、このフローチャートは図2における
目標操舵トルク設定部32の機能の説明に加えて、電流
指令値演算部31、電流制御部34の機能も説明する。
まず、S101において、操舵角θを読込み、今回の操
舵状態が右操舵(右方向への操舵)か否かを判断するた
めに、操舵角θを微分して操舵角速度θVを算出する。
そして、θV>0の際には今回右操舵であるとしS10
2に移行し、そうでない場合には、S107に移行す
る。
【0083】次のS102では、「前回の操舵状態」が
右か否かを判定する。この判定は、コンディションフラ
グが「1」又は「0」のいずれかになっているかによっ
て判定する。そして、S102において、「前回の操舵
状態」が右の場合(コンディションフラグが「1」の場
合)には、S103で、右操舵路面反力情報マップを選
択し、S104で「前回の操舵状態」を右の設定のまま
(コンディションフラグを「1」にセットする。)に
し、S113に移行する。
【0084】一方、S102で、「前回の操舵状態」が
右でないと判定した際(コンディションフラグが「0」
の場合)には、S105に移行し、左操舵路面反力情報
マップを選択し、S106で「前回の操舵状態」を右に
設定し直し(コンディションフラグを「1」にセットす
る。)、S113に移行する。
【0085】そして、S113では右操舵路面反力情報
マップを選択しているか否かを判定する。S113で右
操舵路面反力情報マップを選択していると判定した際に
は、S114において、右操舵評価関数比αr、車速
V、操舵角θに基づき目標操舵トルクTh*を求める以
下の処理を行う。
【0086】右操舵評価関数比αrに対し、予めROM
22に記憶されている複数の右操舵路面反力情報マップ
のうち、右操舵評価関数比αrに近い右操舵路面反力情
報に係る右操舵路面反力情報マップを検索する。この右
操舵評価関数比αrに近い、マップ側の右操舵評価関数
比をαr1,αr2とする(αr1≦αr<αr2)。
【0087】そして、車速Vに対し、予めROM22に
記憶されている右操舵評価関数比αr1における複数の
右操舵車速対応マップのうち、車速Vに近い車速に係る
右操舵車速対応マップを検策する。この車速Vに近い、
マップ側の車速をV1,V2とする(V1≦V<V
2)。
【0088】続いて、右操舵評価関数比αr1におけ
る、検索した車速V1,V2の右操舵車速対応マップか
ら、操舵角θに応じて仮目標操舵トルクTh1*,Th
2*をそれぞれ求める。
【0089】そして、以下の線形補間の式で「車速Vで
の目標操舵トルクTh11*」を求める。 Th11*=[(Th2*−Th1*)/(V2−V
1)]×(V−V1)+Th1* そして、右操舵評価関数比αr2においても、上記右操
舵評価関数比αr1と同様にして、車速Vでの目標操舵
トルクTh12*を求める。
【0090】次に、前記右操舵評価関数比αr、車速
V、操舵角θにおける目標操舵トルクTh*は右操舵評
価関数比αrに対する以下の線形補間の式で求める。 Th*=[(Th12*−Th11*)/(αr2−α
r1)]×(αr−αr1)+Th11* このようにして、S114では右操舵評価関数比αr、
車速V、操舵角θに基づき目標操舵トルクTh*を求め
ると、S116に移行する。
【0091】一方、S113で右操舵路面反力情報マッ
プを選択していないと判定した際には、S115におい
て、左操舵評価関数比αl、車速V、操舵角θに基づき
目標操舵トルクTh*を求める処理を行う。このときの
目標操舵トルクTh*の求め方は、左操舵評価関数比α
lに対し、予めROM22に記憶されている複数の左操
舵路面反力情報マップのうち、左操舵評価関数比αlに
近い左操舵路面反力情報に係る左操舵路面反力情報マッ
プを検索し、以下、検索した結果の左操舵路面反力情報
マップを基にして、S114と同様の処理を行う。
【0092】従って、S115の処理においては、S1
14の右操舵評価関数比αr,αr1,αr2を左操舵
評価関数比αl,αl1,αl2に、右操舵路面反力情
報マップを左操舵路面反力情報マップに、右操舵車速対
応マップを左操舵車速対応マップに読み替えることによ
って、その説明となるので、説明の便宜上ここでは繰り
返し説明しない。
【0093】この結果、S115では左操舵評価関数比
αl、車速V、操舵角θに基づき目標操舵トルクTh*
を求め、S116に移行する。S116では、目標操舵
トルクTh*、操舵トルクTh、モータ電流Imに基づ
き、アシスト電流指令値Iを算出する。なお、このS1
16は図2における電流指令値演算部31に相当し、ア
シスト電流指令値Iの算出の仕方の詳しい説明は後述す
る。
【0094】S116からS117に移行すると、アシ
スト電流指令値Iに基づきPI制御を行い、モータ電流
Imがアシスト電流指令値Iに一致するように制御を行
い、このルーチンを終了する。
【0095】一方、S101において、θV>0でない
と判定した際には、S107に移行する。S107にお
いて、θV<0の際には今回左操舵であるとしてS10
8に移行し、そうでない場合には保舵していると判定
し、操舵路面反力情報マップ及び操舵状態(操舵の方
向)は前回の制御サイクル時のものを選択してS113
に移行する。
【0096】次のS108では、「前回の操舵状態」が
左か否か(コンディションフラグが「0」か否か)を判
定し、「前回の操舵状態」が左の場合(コンディション
フラグが「0」の場合)には、S109で、左操舵路面
反力情報マップを選択し、S110で「前回の操舵状
態」を左の設定のまま(コンディションフラグを「0」
に設定)にし、S113に移行する。
【0097】一方、S108で、「前回の操舵状態」が
左でないと判定した際には、S111に移行し、右操舵
路面反力情報マップを選択し、S112で「前回の操舵
状態」を左に設定し直し(コンディションフラグを
「0」に設定)、S113に移行する。
【0098】上記のようにして目標操舵トルク設定ルー
チンのフローチャートは処理される。なお、S101〜
S115は図2における目標操舵トルク設定部32にて
処理され、S116は図2における電流指令値演算部3
1で処理される。又、S117は図2における電流制御
部34で処理される。
【0099】この結果、右操舵を継続している場合に
は、車速V、操舵角θ、及び右操舵評価関数比αrに基
づき、目標操舵トルクTh*を決定し、その目標操舵ト
ルクTh*に応じてアシスト電流指令値Iを設定する。
又、左操舵を継続している場合には、車速V、操舵角
θ、及び左操舵評価関数比αlに基づき、目標操舵トル
クTh*を決定し、その目標操舵トルクTh*に応じて
アシスト電流指令値Iを設定する。
【0100】次に電流指令値演算部31について説明す
る。図2に示すように、トルクセンサ4から入力された
操舵トルクThは、位相補償器30で操舵系の安定を高
めるために位相補償され、電流指令値演算部31に入力
される。又、車速センサ16で検出された車速V、モー
タ駆動電流センサ18で検出されたモータ電流Im及び
目標操舵トルク設定部32からの目標操舵トルクTh*
はそれぞれ電流指令値演算部31に入力される。
【0101】電流指令値演算部31は、入力された操舵
トルクTh、車速V、目標操舵トルクTh*、モータ電
流Imに基づいて、モータ6に供給する電流の制御目標
値である車速感応アシスト指令値(アシスト電流指令値
に相当する、以下、アシスト電流指令値という。)Iを
決定する。
【0102】電流指令値演算部31は、図12に示すよ
うに不感帯幅設定部25、車速感応アシストトルク演算
部26とを備えている。不感帯幅設定部25は、車速V
に基づき、図13に示すように、ROM22に予め格納
された不感帯幅マップMPを使用して、通電しない操舵
トルクの不感帯幅T0を求め、車速感応アシストトルク
演算部26に供給する。なお、不感帯幅マップMPは、
車速Vと、不感帯幅T0からなる二次元マップからな
り、車速Vから、一義的に不感帯幅T0が求められる。
【0103】車速感応アシストトルク演算部26は、図
4に示すように、目標操舵トルク設定部32で求められ
た目標操舵トルクTh*が前記不感帯幅T0(すなわ
ち、図4では、不感帯幅T0は、−T0〜T0の間のこ
とである。)の中にある場合には、アシスト電流指令値
Iを0と決定し、この値を減算器33に出力する。
【0104】目標操舵トルクTh*が不感帯幅T0の範
囲外の場合には、現時点での操舵トルクThとモータ電
流Imで演算されるラック推力と、目標操舵トルクTh
*、アシスト電流指令値Iでのラック推力が釣り合うよ
うにアシスト電流指令値Iを設定する。
【0105】以下に、本実施形態のラックアシスト型の
電動パワーステアリング装置の制御装置の場合の、アシ
スト電流指令値Iの決定の仕方について説明する。ラッ
クアシスト型の場合、操舵トルクTh、モータ電流Im
の時のラック推力Fは下記の(A)式で求まる。
【0106】F = Fm + Fh ……(A) ここで、Fmはモータ6がアシストする推力、Fhはハ
ンドル操舵による推力であり、下記の式でそれぞれ求め
ることができる。
【0107】 Fm=2π・Tm・ηb/L ……(B) Fh=2π・Th・ηp/St ……(C) 上記(B)中、Tmはモータトルクを表し、 Tm=Kt×Im ……(D) で求まる。
【0108】なお、Tmはモータトルク、ηbはボール
ナット機構6aのボールねじ効率、Lはそのボールねじ
リードである。Thは操舵トルク、ηpは前記ラック&
ピニオン機構のラック&ピニオンギヤ効率、Stはその
ストローク比である。又、Ktはトルク定数である。
【0109】従って、上記の(A)式を用いて、車速
V、操舵角θにおける目標操舵トルクTh*、アシスト
電流指令値Iのときのラック推力F(以下、この推力を
F(Th*,I)で表す。)と、操舵トルクTh、モー
タ電流Imのときのラック推力F(以下、この推力をF
(Th,Im)で表す。)が等しくなるようにアシスト
電流指令値Iを設定する。
【0110】F(Th*,I)=F(Th,Im)に、
上記(B)、(C)、(D)を代入して、Iを求めれ
ば、下記の式となる。 I=Im+ (Th−Th*)L・ηp/(St・Kt
・ηb) このようにして得られたアシスト電流指令値Iを減算器
33に出力する。
【0111】なお、アシスト電流指令値Iが目標操舵ト
ルクTh*と逆符号、すなわち、逆アシストとなる場合
には、アシスト電流指令値Iをゼロと決定して、減算器
33に出力する。
【0112】減算器33は実際のモータ電流Imとの差
に相当する信号(アシスト電流制御値に相当する)を電
流制御部34に出力する。電流制御部34は本実施形態
では、公知のPI制御を行うようにされており、減算器
33の出力と実際のモータ電流Imとの差に相当する信
号に基づいてフィードバック制御を行うべくモータ駆動
装置24に供給する。すなわち、電流制御部34では、
モータ電流がアシスト指令電流値となるようにモータ6
をPWM演算を行い、その演算結果に基づいて駆動す
る。
【0113】この結果、モータ駆動装置24を介してモ
ータ6を駆動制御することにより、モータ6による適正
なアシスト力が得られる。上記実施形態の電動パワース
テアリング装置の制御装置によれば、以下のような効果
を得ることができる。
【0114】(1)本実施形態においては、操舵角θ、
車速V、操舵トルクTh、モータ電流Imに応じて右操
舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlを設定した。
そして、車速V、操舵角θ、右操舵評価関数比αr、左
操舵評価関数比αlに応じて目標操舵トルクTh*を設
定した。さらに、操舵トルクThと目標操舵トルクTh
*及びモータ電流Imによりアシスト電流指令値Iを制
御(MA−MT制御)するようにした。
【0115】この結果、路面反力が小さければ路面反力
情報としての右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比
αlが失われない程度に目標操舵トルクTh*を小さく
設定し、路面反力が大きければ目標操舵トルクTh*を
大きく設定できる。これにより、路面反力情報に応じて
補正された目標操舵トルクTh*をMA−MT制御に用
いることができる。
【0116】従って、凍結路などのような路面反力が小
さい場合でも路面反力情報(右操舵評価関数比αr、左
操舵評価関数比αl)が失われることなく、かつ路面反
力の変化に応じて走行安定性に優れた操舵フィーリング
を得ることができる。
【0117】(2)本実施形態においては、右操舵して
いる場合には、車速V、操舵角θ、及び右操舵評価関数
比αrに基づき、目標操舵トルクTh*を決定し、その
目標操舵トルクTh*に応じてアシスト電流指令値Iを
設定する。又、左操舵している場合には、車速V、操舵
角θ、及び左操舵評価関数比αlに基づき、目標操舵ト
ルクTh*を決定し、その目標操舵トルクTh*に応じ
てアシスト電流指令値Iを設定する。
【0118】従って、バンク等を走行している場合でも
右操舵と左操舵との操舵感覚が異なることなく、かつ走
行安定性に優れた操舵フィーリングを得ることができ
る。 (3)本実施形態においては、CPU21(推定手段)
は、路面μを推定するに当たり、S12において、過去
に推定した路面μを加味した加重平均処理(なまし処
理)を行うようにした。このため、加重平均処理によっ
て、ばらつきを減らし、より正確な値を推定できる。
【0119】例えば、路面の状態(悪路、砂利道等)に
より、車両がピッチング(上下に振動)する影響や、路
面の状態、タイヤの状態によって、瞬時に計算している
路面μの値にばらつきが生じ、正確な値を算出すること
が難しくなる。本実施形態では、数十回程度(S24に
おいて30回)の加重平均(サンプリング10msとした
場合、数msの平均)によるなまし処理を行うことによ
り、ばらつきを抑えることができ、より正確な路面μを
算出できる。
【0120】(4)本実施形態においては、CPU21
は、異常検出手段として、右操舵のときに推定した路面
μが異常値か否かを検出するようにした。すなわち、S
13においては、右操舵評価関数比αrがαrmin ≦α
r≦αrmax の範囲内か否かを判定して、S12で算出
された右操舵評価関数比αrが異常値ではないか否かを
判定するようにした。
【0121】又、S23では、左操舵のときに推定した
路面μが異常値か否かを検出するようにした。すなわ
ち、S23においては、左操舵評価関数比αlがαlmi
n ≦αl≦αlmax の範囲内か否かを判定して、S22
で算出された左操舵評価関数比αlが異常値ではないか
否かを判定するようにした。
【0122】この結果、仮に異常検出が行われない場合
には、トルクセンサ4、モータ駆動電流センサ18の検
出信号や、推定演算に異常があった場合、操舵フィーリ
ングに違和感が生じるだけでなく、ハンドル操舵が急に
軽くなり、切れすぎたり、逆に重くて切れなくなること
があるが、本実施形態では、このようなことがなくな
る。
【0123】(第2実施形態)次に第2実施形態を図1
4及び図15を参照して説明する。前記第1実施形態で
は、路面μの推定を、モータ電流Im、操舵トルクTh
に基づいて推定したが、本実施形態ではモータ電流Im
に基づいて路面μを推定している。
【0124】なお、第1実施形態と同一構成又は相当す
る構成については同一符号を付してその説明を省略す
る。又、本実施形態においても、電動パワーステアリン
グ装置は第1実施形態と同様のハード構成を備えている
ものとする。
【0125】図14は、本実施形態の制御装置20の電
気的構成の一部である路面μ推定手段60を示してお
り、同図において、CPU21内部構成はプログラムで
実行される機能を示している。例えば、路面μ推定手段
60は独立したハードウエアではなく、CPU21内部
で実行される路面μ推定処理を示している。
【0126】なお、同図においては、第1実施形態の構
成中、位相補償器30、電流指令値演算部31、目標操
舵トルク設定部32、減算器33、電流制御部34、位
相補償器35は説明の便宜上省略されているが、本実施
形態においても、CPU21はこれらの機能(構成)を
備えている。
【0127】路面μ推定手段60には、車速センサ1
6、モータ駆動電流センサ18、絶対舵角検出手段90
が電気的に接続され、車速V、モータ電流Im、絶対操
舵角(以下、絶対舵角という)θZを入力し、絶対舵角
θZ、車速Vの所定条件を満たした際に、モータ電流I
mに基づいて路面反力の推定を行うべく、すなわち、路
面μの推定を行う。絶対舵角検出手段90は、ステアリ
ングホイール1の操舵時の絶対舵角θZを検出するため
のものであり、絶対角度センサ等にて構成されている。
絶対舵角は、予め設定された基準位置からの角度をい
う。
【0128】(第2実施形態の作用)さて、上記のよう
に構成された電動パワーステアリング装置の制御装置2
0において、路面μ推定制御プログラムを実行したとき
の作用を説明する。この制御プログラムは、車速Vが0
のとき、すなわち、自動車が停止した状態で、据え切り
を行った際に、路面反力の推定を行うべく、路面μを推
定するものである。
【0129】なお、この路面μ推定制御プログラムは第
1実施形態と同様にROM22に格納されており、定時
割り込みで実行される。S50では、ROM22から基
準路面μ、基準モータ電流Im0を読込みするととも
に、絶対舵角θZを入力する。基準路面μは、本実施形
態ではドライ路(乾燥路)であるアスファルト路の路面
摩擦係数であり、車速Vが0のときに、絶対舵角θZが
所定の舵角(基準舵角)に操舵したときの値を採用して
いる。なお、基準舵角θ0は、ある所定の範囲を持つ。
基準モータ電流Im0は前記基準路面μを決定した際の
モータ電流であり、これらは予め測定され、ROM22
に記憶されている。
【0130】S51では、入力した絶対舵角(入力舵
角)θZが基準舵角θ0の範囲内か否か判定し、基準舵
角θ0の範囲内でなければ、このフローチャートを一旦
終了する。又、基準舵角θ0の範囲内であれば、S52
で車速Vを入力し、S53に移行するS53では、車速
Vが0であるか否かを判定する。車速Vが0でなけれ
ば、すなわち自動車が停止していなければ、このフロー
チャートを一旦終了し、そうでなければ、S54でモー
タ電流Imを入力する。
【0131】S55では下記の式でモータ電流比較演算
を行い、モータ電流比Irを算出する。 Ir= Im/Im0 ……(1) そして、次のS56で、下記の式に基づいて路面μ演算
を行った後、このフローチャートを一旦終了する。
【0132】 路面μ=基準路面μ × Ir ……(2) 本実施形態では、S50〜S56のステップは路面μ推
定手段60に相当する。そして、このように算出して得
られた路面μは、目標操舵トルク設定部32に供され
る。
【0133】本実施形態での目標操舵トルク設定部32
は、共通目標操舵トルク設定マップを備えている。共通
目標操舵トルク設定マップは、路面μ、車速V、操舵角
θ、目標操舵トルクTh*からなるマップから構成され
ており、路面μ、車速V、操舵角θが入力されると、一
義的に、目標操舵トルクTh*が割り出されるようにさ
れている。すなわち、目標操舵トルクTh*は、路面
μ、車速V、操舵角θをそれぞれ変えた値の元で行った
実験によって得られた値がマップ化されて、予めROM
22に格納されている。
【0134】従って、目標操舵トルク設定部32は、車
速V、操舵角θ、路面μに応じて目標操舵トルクTh*
を設定する。以下、第1実施形態と同様に、操舵トルク
Thと目標操舵トルクTh*及びモータ電流Imにより
アシスト電流指令値Iを制御(MA−MT制御)する。
【0135】こうすると、路面反力が小さければ路面反
力情報としての路面μの情報が失われない程度に目標操
舵トルクTh*を小さく設定し、路面反力が大きければ
目標操舵トルクTh*を大きく設定できる。
【0136】従って、この場合においても、凍結路など
のような路面反力が小さい場合でも路面反力情報(路面
μの情報)が失われることなく、走行安定性に優れた操
舵フィーリングを得ることができる。
【0137】上記実施形態の電動パワーステアリング装
置の制御装置によれば、以下のような効果を得ることが
できる。 (1)本実施形態においては、モータ電流Im(モータ
電流値)に基づいて路面反力の推定を行うべく、路面μ
を推定するCPU21(推定手段)を備えた。すなわ
ち、CPU21は路面μ推定手段60を備えるようにし
た。
【0138】従って、自動車が積雪路やアイスバーン路
を走行する場合にも操安性を向上することができる。本
実施形態では、第1実施形態よりもさらにパラメータ数
を少なくして、モータ電流Im(モータ電流値)のみに
基づいて路面μを推定しているため、第1実施形態より
もさらに演算時間も短くて済み、使用するCPU21を
構成するマイコンは高性能が要求されることはなく、安
価なものでも構成することができる。
【0139】しかも、パラメータが少ないと、検出時に
おけるノイズが入る確率も少なくなるため、ノイズの影
響をそれだけ少なくて済み、路面μの推定を精確に行う
ことができる。
【0140】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ○前記第1実施形態では、ラックアシスト型の電動パワ
ーステアリング装置の制御装置において、MA−MT制
御を行うように構成したが、図16に示すようにコラム
及びピニオンアシスト型の電動パワーステアリング装置
の制御装置に具体化してもよい。
【0141】なお、図16において、ステアリングシャ
フト2には減速機5が固着されている。この減速機5に
はモータ6の回転軸に取着したギア7が噛合されてい
る。さらに、減速機5にはピニオンシャフト8が固着さ
れている。他の構成は、第1実施形態と同様の構成を備
えているため詳細な説明は省略する。
【0142】又、この態様においては、第1実施形態の
電気的構成と同様の構成を採用し、アシスト電流指令値
Iの決定の仕方についてのみ、第1実施形態と異なるた
め、このアシスト電流指令値Iの決定の仕方について以
下説明する。
【0143】コラム及びピニオンアシスト型の場合、操
舵トルクTh、モータ電流Imの時のラック推力Fは次
式(E)で求まる。 F(Th,Im)=2π(Th+Kt・Im・G・ηg)・ηp/St…(E) なお、Thは操舵トルク、ηpはラック&ピニオンギヤ
効率、Stはそのストローク比である。又、Ktはトル
ク定数、Gは減速機5の減速比、ηgは減速機5の減速
機効率である。
【0144】従って、上記式(E)を用いて、車速V、
操舵角θにおける目標操舵トルクTh*、アシスト電流
指令値Iのときのラック推力F(以下、この推力をF
(Th*,I)で表す。)と、操舵トルクTh、モータ
電流Imのときのラック推力F(以下、この推力をF
(Th,Im)で表す。)が等しくなるようにアシスト
電流指令値Iを設定する。
【0145】F(Th*,I)=F(Th,Im)に、
上記(E)式を代入して、Iを求めれば、下記の式とな
る。 I=Im+(Th−Th*)/(Kt・G・ηg) このようにして得られたアシスト電流指令値Iを減算器
33に出力する。
【0146】なお、アシスト電流指令値Iが目標操舵ト
ルクTh*と逆符号、すなわち、逆アシストとなる場合
には、アシスト電流指令値Iをゼロと決定して、減算器
33に出力する。
【0147】なお、他の処理は第1実施形態と同様に処
理する。又、このような変更を第2実施形態に具体化し
てもよい。 ○ 第1実施形態では、右操舵、左操舵に応じて、右操
舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlを介して各操
舵における路面μを推定するようにし、各操舵に応じた
目標操舵トルクを設定して、MA−MT制御を行った。
これに代えて、右操舵、左操舵に関わりなく、共通の評
価関数比αを求めてもよい。
【0148】すなわち、操舵角θ、車速V、操舵トルク
Th、モータ電流Imに応じて操舵評価関数比αを設定
し、車速V、操舵角θ、操舵評価関数比αに応じて目標
操舵トルクTh*を設定する。さらに、操舵トルクTh
と目標操舵トルクTh*及びモータ電流Imによりアシ
スト電流指令値Iを制御(MA−MT制御)する。
【0149】こうすると、路面反力が小さければ路面反
力情報としての操舵評価関数比αが失われない程度に目
標操舵トルクTh*を小さく設定し、路面反力が大きけ
れば目標操舵トルクTh*を大きく設定できる。
【0150】従って、この場合においても、凍結路など
のような路面反力が小さい場合でも路面反力情報(操舵
評価関数比α)が失われることなく、かつ路面反力の変
化に応じて走行安定性に優れた操舵フィーリングを得る
ことができる。
【0151】○第1、第2実施形態では路面反力に反映
されるものとして路面μ(路面側の状況)に着目し、推
定手段として路面μ推定部100、路面μ推定手段60
を用いたが、路面側の状況ではなくタイヤ(前輪14)
側の状況を推定して各制御に反映させるようにしても良
い。
【0152】なお、本明細書では、路面側の状況、タイ
ヤ側の状況をはじめ、路面反力に反映される状況を総称
して路面反力情報と定義している。前記タイヤ(前輪1
4)側の状況とは、夏季用タイヤ、冬季用タイヤといっ
たタイヤ種別、タイヤ空気圧、タイヤの摩耗具合等であ
る。夏季用タイヤの方が冬季用タイヤよりも接地抵抗が
小さくされており、タイヤ空気圧が大きいほど接地面積
が小さくなるので接地抵抗も小さくなり、タイヤの摩耗
が大きいほど接地抵抗が小さくなる。
【0153】そこで、基準となるタイヤ種別におけるあ
る車速V、ある操舵角θに対する路面反力を予め記憶し
ておき、演算で算出した路面反力と比較することによ
り、タイヤ種別が推定できる。そして、先の各実施形態
と同様、基準評価関数との右操舵評価関数比αr、左操
舵評価関数比αlを算出し、この右操舵評価関数比α
r、左操舵評価関数比αlとゲインとが対応した2次元
マップを用いて各制御を行うことができる。タイヤ空気
圧、タイヤ摩耗についても同様である。
【0154】○さらにいえば、路面反力には、車両の重
心位置も反映される。すなわち、前輪操舵車両であれ
ば、上り坂なら車両の重心は後方へ移動して前輪14の
接地抵抗は小さく、下り坂ならば前輪14の接地抵抗は
大きい。又、車両後部の積載荷重が大きければ、重心は
後方へ移動して前輪14の接地抵抗は小さく、前部の積
載荷重が大きければ前輪14の接地抵抗は大きい。又、
加減速時にも、同様の重心移動が発生する。
【0155】そこで、各実施形態、前記別例と同様の手
段によって車両の重心位置を推定し、基準評価関数との
右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlを算出
し、この右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αl
とゲインとが対応した2次元マップを用いて各制御を行
うことができる。
【0156】○前記第1実施形態では、なまし処理とし
て加重平均処理を行ったが、なまし処理としてローパス
フィルタを使用したり、移動平均処理を行っても良い。 ○前記第1実施形態では、路面μが異常であるか否か
を、右操舵評価関数比αr、及び左操舵評価関数比αl
が予め設定した値の範囲内か否か(S13,S23参
照)、並びに右操舵評価関数比αrの増減を表す|Δα
r|、及び左操舵評価関数比αlの増減を表す|Δαl
|が予め設定した範囲内か否かによって判定した。
【0157】これに代えて、右操舵評価関数比αr、及
び左操舵評価関数比αlがあり得ない値を示した場合
に、異常と判定してもよい。又、右操舵瞬時評価関数f
rや左操舵瞬時評価関数flがあり得ない異常値である
か否かを判定するようにしてもよい。
【0158】
【発明の効果】請求項1〜4に記載の発明によれば、凍
結路などのような路面の反力が小さい場合でも路面反力
情報が失われることなく、かつ路面の反力の変化に応じ
て走行安定性に優れた操舵フィーリングを得ることがで
きる。
【0159】請求項2に記載の発明によれば、右操舵、
及び左操舵において、それぞれ独立して路面摩擦係数を
推定しているため、左右のそれぞれの操舵で、路面摩擦
係数に起因した路面の反力が異なる状況においても、正
しくその状況を認識することができる。
【0160】請求項3に記載の発明によれば、路面摩擦
係数を推定するに当たり、過去に推定した路面摩擦係数
を加味したなまし処理を行うため、なまし処理によっ
て、路面摩擦係数のばらつきを減らし、より正確な値を
推定できる。
【0161】請求項4に記載の発明によれば、推定した
路面摩擦係数が異常値の際には、正常な路面摩擦係数と
置き換えるため、操舵フィーリングに違和感が生じるこ
とがなく、ハンドル操舵が急に軽くなったり、切れすぎ
たり、逆に重くて切れなくなることはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態における電動パワーステアリング
装置の制御装置の概略図。
【図2】 同じく制御装置のブロック図。
【図3】 同じく位相補償器の機能ブロック図。
【図4】 同じく不感帯の説明図。
【図5】 路面μ推定制御プログラムのフローチャー
ト。
【図6】 路面μ推定制御プログラムのフローチャー
ト。
【図7】 加重平均処理のフローチャート。
【図8】 基準路評価関数f0を求めるためのマップ。
【図9】 目標操舵トルク設定ルーチンのフローチャー
ト。
【図10】 目標操舵トルク設定ルーチンのフローチャ
ート。
【図11】 目標操舵トルク設定マップの説明。
【図12】 電流指令値演算部のブロック図。
【図13】 不感帯幅の算出の説明図。
【図14】 第2実施形態の制御装置のブロック図。
【図15】 同じく路面μ推定制御プログラムのフロー
チャート。
【図16】 他の実施形態の電動パワーステアリング装
置に係る制御装置の概略図。
【図17】 従来の電動パワーステアリング装置に係る
制御装置の概略図。
【符号の説明】
6…モータ、21…CPU(制御手段、目標操舵トルク
設定手段、異常検出手段、アシスト電流演算手段、推定
手段)、23…RAM(記憶手段)、I…アシスト電流
指令値、Im…モータ電流値としてのモータ電流、θ…
操舵角、V…車速、Th…操舵トルク、Th*…目標操
舵トルク、μ…路面摩擦係数。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 137:00 B62D 137:00 (72)発明者 加藤 博章 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 Fターム(参考) 3D032 CC05 CC08 CC10 DA03 DA15 DA23 DA64 DC17 DD02 DD17 EA01 EB04 EC23 GG01 3D033 CA03 CA13 CA16 CA17 CA20 CA21

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アシスト電流指令値に基づいてモータを
    駆動制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング
    装置の制御装置において、 モータ電流値に基づいて、あるいはモータ電流値と操舵
    トルクに基づいて路面の反力を推定する推定手段と、 入力した操舵角、車速、及び路面の反力に基づいて目標
    操舵トルクを設定する目標操舵トルク設定手段と、 操舵トルク、前記目標操舵トルク、及び前記モータのモ
    ータ電流値とに基づいてアシスト電流指令値を演算する
    アシスト電流演算手段と、を備えたことを特徴とする電
    動パワーステアリング装置の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記推定手段は、右操舵と左操舵に応じ
    て、路面摩擦係数をそれぞれ推定し、その路面摩擦係数
    を介して路面の反力を推定するものであることを特徴と
    する請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記推定手段は、路面摩擦係数を推定す
    るに当たり、過去に推定した路面摩擦係数を加味したな
    まし処理を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記推定手段が推定した路面摩擦係数が
    異常値か否かを検出する異常検出手段と、 前記異常検出手段が異常検出する以前の正常な路面摩擦
    係数を記憶する記憶手段を備え、 前記異常検出手段が、前記推定手段の推定した路面摩擦
    係数を異常値であると検出したとき、前記推定手段は、
    前記記憶手段に記憶した正常な路面摩擦係数を推定した
    値と置き換えることを特徴とする請求項1乃至請求項3
    のうちいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装
    置の制御装置。
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