JP2002155589A - 耐力壁及びその施工方法 - Google Patents

耐力壁及びその施工方法

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JP2002155589A
JP2002155589A JP2000356075A JP2000356075A JP2002155589A JP 2002155589 A JP2002155589 A JP 2002155589A JP 2000356075 A JP2000356075 A JP 2000356075A JP 2000356075 A JP2000356075 A JP 2000356075A JP 2002155589 A JP2002155589 A JP 2002155589A
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Kazuhiko Mori
和彦 森
Yuji Kurose
雄治 黒瀬
Ayumi Watabe
歩 渡部
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Iida Industry Co Ltd
Iida Sangyo Co Ltd
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Iida Industry Co Ltd
Iida Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度を確保しつつも施工を容易にすること 【解決手段】 間隔を設けて配設した二本の柱10と間
隔を設けて当該各柱10の端部に架設した二本の横架材
11とで構成した軸組に重着する板状の壁体1と、この
壁体1を軸組に固定する釘又は螺子等の固定部材の位置
決め部2とから成り、この位置決め部2を、壁体1の一
方の面で且つ各柱10及び各横架材11の軸方向に所定
の間隔で複数設けると共に、強度向上所望部位にあって
は、少なくとも一つの軸組の構成材10,11の繊維方
向に対して略直交方向に複数段設けること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物に設ける耐
力壁及びその施工方法に係り、特に耐力壁の強度向上並
びに組付作業性向上を図る為の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】現代日本における木造の低層住宅に採用
されている工法は、在来軸組工法とツ−バイフォ−工法
とに大別され、今日においてはその大部分が在来軸組工
法によって建設されている。
【0003】ここで、在来軸組工法で建設された建物に
は、この建物が地震や台風にみまわれた場合に、その建
物の倒壊や損傷を防止し,且つ居住者の生命を確保し,
更には居住者の財産を保護する為、壁内に耐力壁(筋交
い)と呼ばれる水平力抵抗要素が設けられている。例え
ば筋交いは、開口部を設けない壁において、図6に示す
が如く柱10と横架材(土台11a,胴差11b)等の
軸組材から成る軸組で構成された区画に斜めに配設され
た角材100であり(第一従来例)、耐力壁は、図7に
示すが如く軸組に張り付けられた面材又は壁パネル等の
壁体110である(第二従来例)。この場合の建物の構
造安定性を決める大きな要素としては、筋交いの量及び
その配置バランスの確保が挙げられる。
【0004】一方、昨今の建築業界を取り巻く環境とし
ては、阪神・淡路大震災以降、建物に要求される耐震性
能の向上が叫ばれており、住宅の性能の水準を測る為の
共通の物差しとして等級を規定する「住宅の品質確保の
促進等に関する法律(以下、「品確法(性能表示)」と
いう。)」が施行(平成12年4月1日から施行)され
た。この「品確法(性能表示)」の構造安定性能(耐震
等級,耐風等級)においては、建築基準法レベルの1.
2〜1.5倍の耐力壁量を確保したものを上位等級とし
て規定している。
【0005】また、今日の建築基準法においては、建物
の規模や形状に応じて必要な耐力壁(筋交い)の量及び
その配置バランスを規定している。ここで、耐力壁(筋
交い)の強度を示す数値たる壁倍率は、建築基準法施行
令第46条及び昭和56年建設省告示第1100号に、
筋交いの種類によって仕様規定として定められている。
この壁倍率は、数値が大きい程強度が高い。以下にその
抜粋を示す。
【0006】
【表1】
【0007】改正され平成12年6月1日から施行され
た建築基準法(以下、「改正建築基準法」という。)で
は、建物の床面積及び立面における見付面積によって各
階張間方向,桁行方向で定まる必要耐力壁量よりも、こ
の耐力壁の総長さに上記壁倍率を乗じた数値の方が大き
くなるように耐力壁を設けることを規定している。
【0008】しかしながら、特に規模が小さく且つ細長
い形状の住居用の建物を設計する場合、この建物に最低
限必要となる開口部(玄関や勝手口等の外部との出入
口,採光及び通風性を確保する為の窓用開口,各部屋へ
の出入口となる内部ドア等)を設けると、第二従来例の
如き耐力壁となり得る非開口部が殆ど残らなくなってし
まう。そして、その残り少ない非開口部に上記表1の内
の何れか1つの筋交いを設けたとしても、これだけでは
上記改正建築基準法で要求される耐力壁量を確保できな
い場合があり、このようなものは、前述した「品確法
(性能表示)」で上位等級を確保することは不可能に近
い、
【0009】ここで、居住性(採光,通風,或いは動線
等)を考慮した住宅の設計を行うにあたっては、出入口
用の開口や窓用の開口を確保するのは必須事項であり、
耐震性能や耐風性能を向上させる為にむやみに開口部を
無くして耐力壁(筋交い)の量を増やすことは、総合的
な性能を満足する住宅の建設において良策ではない。
【0010】以上の点を鑑みて、上記不都合を改善する
為に前述した第一及び第二の従来例の技術を用いた他の
従来例を以下に例示する。
【0011】先ず第一に、軸組材で囲まれた区画に、上
記表1の耐力壁(筋交い)を複数配置することによって
単位壁長さ当りの壁倍率を向上させるという手段が挙げ
られる。その具体例としては、図8に示すが如く、先ず
区画内に断面が厚さ45mm×幅90mmの木材から成
る図6に示す角材100(壁倍率2.0)を配設し、更に
区画の外側から厚さ7.5mm以上の構造用合板から成
る面材(壁体)110を図示しないJIS A5508
に規定されるN50釘を用い150mm間隔で軸組に留
め付ける(壁倍率2.5)、というものがある。これによ
り壁倍率は二つの仕様の壁倍率を合算して4.5とな
り、各々の仕様を単独で採用した場合の二倍に近い壁倍
率を確保している(第三従来例)。
【0012】次に、面材に地震や台風の如く建物が損傷
するような大きな負荷が水平方向に掛かると(即ち、建
物設置面並びに面材の面に対して略平行な後述する図1
2の矢印Fに示す面内せん断力が掛かると)、一般的に
は面材全体の中でもその固定部分が弱い為、面材全体が
破壊する前にその固定部分が破壊してしまう。この場
合、面材の構造性能を十分に活用し且つ大きな壁倍率を
確保する為には、面材を軸組材に対し如何にして強固に
留め付けるかが重要となる。これが為、第二に、構造用
合板に代表される構造用面材を用いた耐力壁を、軸組材
に強固に留め付けることによって単位壁長さ当りの壁倍
率を向上させるという手段が挙げられる。以下にその具
体例を示す。尚、この場合は、その手段が改正建築基準
法の仕様規定に合致しないので、建設大臣認定を取得す
ることが条件となる。
【0013】一つ目として示す手段は、安価で且つ施工
が容易な点から、今日の木造住宅における固定部材とし
て最も多く使われている一般的な釘又はビスを用いたも
のであり、具体的には、図7に示す第二従来例におい
て、図9に示すが如く面材(壁体)110を軸組材(柱
10,土台11a,胴差11b)に留め付ける為の釘1
15の本数を増加させたものである(第四従来例)。
【0014】次の手段は、面材(壁体)110の端部に
予め枠材113を設けた枠付き面材パネルを形成し、図
10に示すが如く枠材113を軸組材(柱10,土台1
1a,胴差11b)の区画内に嵌め込み、枠材113を
その内側から図11に示すが如く釘115で軸組材に固
定するというものである(第五従来例)。また、この第
五従来例の他の例としては、面材(壁体)の周縁部を残
して枠材を配設した図示しない面材パネルを予め形成し
た後、第五従来例の如く枠材113を軸組材の区画内に
嵌め込み、枠材をその内側から釘で軸組材に固定する。
しかる後、面材をその側面から釘で軸組材に固定すると
いうものもある。この場合、この他の例に相当するもの
としては特開平11−293817号公報に開示された
構造用耐力壁がある。
【0015】更に次の手段としては、図示しないが面材
又は壁パネル等の壁体と軸組材とを接着剤で固定する接
着工法がある(第六従来例)。この場合、上記第四及び
第五の従来例が釘又はビス等の固定部材を用いて面材
(壁パネル)と軸組材とを「点」で固定するのに対し
て、第六従来例の如き接着工法では接着剤が「面」で固
定するので、高い留め付け強度を確保することが可能で
ある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た第一及び第二の従来例にあっては、前述したが如き種
々の不都合があった。ここで、第一従来例にあっては、
軸組材で囲まれた区画内に角材100を配設しているの
で、壁面に断熱材を充填する時の妨げになり組付作業効
率が悪い、という不都合があった。更に、断熱材を充填
した部分と角材100のある部分とでは同じ壁でも断熱
性能に差異が生じ、住居としては好ましからぬ状況とな
ってしまう、という不都合があった。
【0017】また、前述した第三従来例では、第一従来
例と同様に軸組材で囲まれた区画内に角材100を配設
しているので、壁面に断熱材を充填する際の組付作業効
率の低下,同一壁面内の断熱性能の差異という不都合に
加えて、建て方施工の合理化や品質確保等を目的とした
パネル工法を採用する際に、壁パネルと角材100が干
渉する場合が多く大きな弊害となる。また更に、耐力壁
の施工時に角材100の取り付けと面材(壁体)110
の留め付けという二つの工程を経なければならいので、
現場での組付け作業の簡略化,工期の短縮,或いはコス
トダウン等の住宅メーカーの命題とされる事項に相反す
る状況を引き起こす、という不都合があった。
【0018】次に、前述した第四から第六の従来例で
は、上記第三従来例の不都合を改善することはできる
が、以下に示すが如く新たな不都合が生じる。
【0019】先ず、第四従来例について説明する。この
第四従来例において、釘115を用いて面材110を留
め付けた際のその強度を決める要因は、釘自体の強度
(その強度を決定する特性としては材種,長さ,太さ,
又は断面形状がある)と、面材110を留め付ける為に
用いた釘の総本数である。しかしながら、例えば同一形
状の面材110で比較した場合、釘115の本数を増加
させることによって、軸組材の繊維方向(軸方向)で隣
り合う釘115の間隔が狭くなる。これが為、釘115
を介し軸組材にその繊維方向に対して略直交方向の負荷
が掛かると、軸組材に繊維方向の図9に示す割裂破壊D
が生じてしまう、という不都合があった。そして、これ
により釘115がある程度の本数を超えると固定強度が
向上しなくなってしまう。
【0020】更に、この第四従来例にあっては、釘11
5の本数を増加させる為にその留め付け間隔を具体的数
値として規定する場合、その間隔を遵守する為に釘打ち
位置を計測する作業が必要となり、また、釘打ち位置の
墨出し(印を付ける)作業が必要となるので、施工現場
での作業効率の低下を招く、という不都合があった。
【0021】続いて、第五従来例にあっては、前述した
が如く面材110に面内せん断力が掛かった場合に、図
11及び図12に示すが如く面材パネルが配設されてい
る区画の柱脚部には引抜力が掛かる。このとき面材パネ
ルの枠材113と土台11a及び胴差11bを留め付け
ている釘115が抜け、面材パネル全体の耐力が向上し
なくなり、場合によってはそこから破壊に至ってしまう
という不都合があった。ここで、前述した第四従来例に
て図12に示す面内せん断力Fが掛かった場合は、釘1
15に図13(a)の如くせん断力(釘115の軸直角
方向に働く力)が掛かるので面材110と軸組材との固
定部分での強度を確保することができる。これに対し
て、この第五従来例では、釘115に図13(b)の如
く引抜力(釘115の軸方向に働く力)が掛かるので上
述したが如く釘115が抜け、枠材113と軸組材との
固定部分での強度を保つことができない。即ち、この第
五従来例は、せん断力と比して抵抗力の小さい引抜力が
掛かるように釘115が設けられているので、面材パネ
ル全体の強度向上を図り難い。
【0022】ここで、第五従来例の他の例は、上記第五
従来例よりも強度の向上を図ることができるが、この場
合にあっても第五従来例と同様に釘115の抜けが生じ
る虞がある。また、この第五従来例の他の例は、面材1
10の一方の面側から軸組材に固定する工程と,その他
方の面側から軸組材に固定する工程とが必要となる為、
即ち面材110の一方側のみでの施工ができないので、
作業手間がかかり且つ作業時間を要してしまう、という
不都合があった。
【0023】続いて第六従来例にあっては、前述したが
如く接着工法を用いているので、第一に、接着剤が湿式
である,その可使時間が決まっている,或いはその保管
方法が決められている等その取り扱いが容易でない、と
いう不都合があった。第二に、接着剤が湿式である,そ
の塗布に時間を要する,或いはその塗布後早期に取り付
ける必要がある等施工が容易でない、という不都合があ
った。第三に、壁体の配置や取り付け精度が十分でない
場合や建て方工事の内容に誤りがあった場合に容易に手
直しができない、という不都合があった。このように、
接着工法は現場施工において釘又はビス等の固定部材を
用いる場合には無かった弊害があるので、強度上の優位
性はあっても実際の採用実績は未だ低いのが現状であ
る。
【0024】本発明は、かかる従来例の有する不都合を
改善し、特に高い強度を確保しつつも施工が容易な耐力
壁及びその施工方法を提供することを、その目的とす
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為、
請求項1記載の発明では、間隔を設けて配設した二本の
柱と間隔を設けて当該各柱の端部に架設した二本の横架
材とで構成した軸組に重着する板状の壁体と、この壁体
を軸組に固定する釘又は螺子等の固定部材の位置決め部
とから成り、この位置決め部を、壁体の一方の面で且つ
各柱及び各横架材の軸方向に所定の間隔で複数設けると
共に、強度向上所望部位にあっては、少なくとも一つの
軸組の構成材の繊維方向に対して略直交方向に複数段設
けている。
【0026】請求項2記載の発明では、間隔を設けて配
設した二本の柱と間隔を設けて当該各柱の端部に架設し
た二本の横架材とで構成した軸組に板状の壁体を重着す
る第一工程と、壁体と各柱及び各横架材との重合部分
を、この柱及び横架材の軸方向に所定の間隔を設けて釘
又は螺子等の固定部材で複数箇所固定し、且つ、この各
重合部分の強度向上所望部位にあっては、少なくとも一
つの軸組の構成材の繊維方向に対して略直交方向に固定
部材で複数箇所固定する第二工程とを有している。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に係る耐力壁の一実施形態
について図1から図5に基づいて説明する。
【0028】先ず、本実施形態の耐力壁の構成を図1に
基づいて説明する。
【0029】この耐力壁は、構造用合板,MDF,或い
はOSB等の面材又はこの面材を主要構成材とする壁パ
ネル等の略矩形の壁体1が、木材から成る四本の軸組材
(柱10及び横架材11)で構成された略矩形の軸組に
釘又はビス等の図示しない固定部材を用いて留め付けら
れたものである。この場合、下部側の横架材11は、1
階にあっては土台のことを,中層階にあっては下側の胴
差のことを,最上階にあっては胴差のことをいう。上部
側の横架材11は、1階にあっては胴差のことを,中層
階にあっては上側の胴差のことを,最上階にあっては小
屋桁のことをいう。
【0030】後述するように本実施形態では、壁体1
を、柱10に対してはその柱芯以上,下部側の横架材1
1に対してはその上端から80mm以上,上部側の横架
材11に対してはその下端から50mm以上重合させ、
しかる後釘打ちしている。これが為、その際に容易に釘
打ちできるように、各重合面の裏面に釘打ち位置を示す
例えば十字状の複数のマーキング(位置決め部)2が、
壁体1の端面と略平行に施される。以下、このマーキン
グ2の位置について詳述する。
【0031】マーキング2は、柱10との重合部分にあ
っては、100mm間隔で且つその重合部分の略中央位
置に施される。ここで、前述したように壁体1と軸組材
とを釘又はビス等の固定部材で留め付ける場合の留め付
け強度の向上を図る為には、固定部材自体の強度を向上
したり、その本数を増加したりすればよい。しかしなが
ら、固定部材の本数を極端に増加させると隣り合う固定
部材の間隔が狭くなり、それが原因となって横架材11
が繊維方向の割裂破壊を起し、耐力壁の強度が向上しな
いという前述した第四従来例の如き不都合が生じる。こ
れが為、本実施形態では、横架材11の繊維方向におけ
る釘の間隔を確保しながらその本数を増加させる手段と
して、横架材11の繊維方向と略直交方向に釘を増加さ
せる。
【0032】この場合の横架材11との重合部分のマー
キング2は、下部側の横架材11の場合、その上端から
25mm下方に100mm間隔で1列目のマーキング2
が,この1列目から更に25mm下方に100mm間隔
で2列目のマーキング2が施される。また上部側の横架
材11の場合、その下端から15mm上方に100mm
間隔で1列目のマーキング2が,この1列目から更に1
5mm上方に100mm間隔で2列目のマーキング2が
施される。
【0033】ここで、横架材11は一般的にその軸方向
に繊維がはしったものが使用されているので、上述した
が如く横架材11の軸方向に対して略直交方向に二段の
マーキング2を施し、即ち横架材11の繊維方向に対し
て略直交方向に二段で固定することによって前述した第
四従来例の如き横架材11の割裂破壊を有効に防止する
ことができる。この場合、横架材11との固定は、必ず
しも本実施形態の如く二段に限定するものではない。ま
た、マーキング2の位置(上述した数値)にあっても、
必ずしも本実施形態の数値に限定するものではない。
【0034】以上示したマーキング2は、耐力壁が施工
現場に搬入される前段階(例えば面材製造工場等)で予
め壁体1に施されており、本実施形態では耐力壁の商品
名や建設大臣認定の証等と共に印刷されている。これが
為、現場での墨出し作業を不用とし、更には現場の施工
担当者は、釘打ち位置を計測しながら施工する必要が無
くなるので、作業時間の短縮を図ることができる。ま
た、現場監理者が施工状況の検査をする際も釘打ち位置
を計測する必要は無く、マーキング2上に釘が打ってあ
るか否かを判定することで容易に検査することができ
る。この場合、必ずしも本実施形態の如く印刷されたマ
ーキング2に限定するものではなく、例えばポンチ等を
用いて打刻したものでもよい。また、マーキング2の形
状にあっても、必ずしも本実施形態の如く十字状に限定
するものではなく、例えば円形状のものでもよい。
【0035】尚、本実施形態では略矩形の壁体1を例示
したが、必ずしもその形状に限定するものではなく、壁
体や軸組が種々の形状から成るものであってもよい。こ
れにより、多種多様な地域(例えば建物を建築する際の
敷地等)に、更にはユーザーの要望(例えば建物のデザ
イン等)に容易に対応することができる。
【0036】次に、本実施形態の耐力壁の施工方法を説
明する。
【0037】先ず、図2に示すが如く壁体1を軸組材
(柱10,横架材11)に重合させて配設する。具体的
には、柱10に対してはその柱芯以上、即ち柱10の半
分以上の面にて重合させる。また、下部側の横架材11
に対してはその上端から80mm以上,上部側の横架材
11に対してはその下端から50mm以上重合させる。
この場合、壁体1と軸組材(柱10,横架材11)との
重合部分は、必ずしも本実施形態の数値に限定するもの
ではなく、適宜必要強度,固定位置等を考慮して決定す
ればよい。
【0038】次に、壁体1と柱10との重合部分にあっ
ては、前述したが如く壁体1に施された複数のマーキン
グ2部分に軸径が大きいJIS A5508に規定され
るCN65釘を打ち込み固定し、壁体1と横架材11と
の重合部分にあっても、同様にCN65釘を用いて固定
する。即ち、柱10との重合部分にあっては100mm
間隔を確保し、壁体1と横架材11との重合部分にあっ
ては100mm間隔を確保し且つ二段で固定される。
尚、使用する釘は、必ずしもCN65釘に限定するもの
ではない。
【0039】この場合、図1に示す下部側の横架材11
との重合部分では、先ずその横架材11の上端から25
mm下方の1列目のマーキング2を釘打ちし、この1列
目の釘から更に25mm下方の2列目のマーキング2を
釘打ちする。また、図1に示す上部側の横架材11との
重合部分では、先ずその横架材11の下端から15mm
上方の1列目のマーキング2を釘打ちし、この1列目の
釘から更に15mm上方の2列目のマーキング2を釘打
ちする。
【0040】以上示した本発明に係る耐力壁について、
その構造耐力の性能向上効果を、国が耐力壁の性能評価
を行う場合に規定する木質系耐力壁の面内せん断試験方
法に基づいて実験し確認したのでその結果を以下に示
す。この試験は、改正建築基準法第68条の26第5項
に規定する第3項の同法第77条の56の規定の定める
ところにより指定する者、即ち公的試験機関である(財)
建材試験センターで実施した。
【0041】本試験では、面材(構造用合板)を軸組材
に固定する方法として以下に示す三種類の固定方法の試
験体を用いて実験した。
【0042】第一の試験体Aは、図3に示すが如く、前
述した表1に示す改正建築基準法の仕様規定(7.5m
m以上の構造用合板をN50以上の釘で150mm以下
の間隔で軸組に留め付け)に準じ、厚さ12mmの面材
(構造用合板)1Aを、側面からN50釘20を用いて
全て150mm間隔で軸組材(柱10,土台11a,胴
差11b)に固定したものである。
【0043】第二の試験体Bは、図4に示すが如く厚さ
12mmの面材(構造用合板)1Aの上下に枠材3を設
け、且つこの面材1Aと枠材3とをJIS A5508
に規定されるCN50釘21を用いて100mm間隔で
固定した壁パネルを予め製作し、しかる後、先ず面材1
Aを、側面からCN50釘21を用いて100mm間隔
で軸組材(柱10,土台11a,胴差11b)に固定す
る。更に枠材3を、JIS A5508に規定されるN
90釘22を用いて150mm間隔で前述した第五従来
例の如く土台11a及び胴差11bに固定したものであ
る。この第二の試験体Bは、上記第一の試験体Aに比べ
て面材1Aと軸組材とを留める釘の長さを長くすると共
に太さを太くし且つその釘の打ち込み間隔を狭くし、更
に上下の枠材3を介して留め付けることによって面材1
Aと土台11a及び胴差11bとの固定度を第一の試験
体Aよりも向上させている。
【0044】第三の試験体Cは、図5に示すが如く厚さ
12mmの面材(構造用合板)1Aを、柱10に対して
は側面からCN65釘23を用いて100mm間隔で固
定し、土台11a及び胴差11bに対しては側面からC
N65釘23を用いて100mm間隔で且つ二段にて固
定したものである。即ち、この第三の試験体Cは、前述
した本実施形態に準じた方法で固定したものである。
【0045】上記第一の試験体Aの実験では、面材1A
に打ち込まれる釘自体の強度及びその総本数が少ない
為、試験開始後比較的早い段階で土台11aと面材1A
との留め付け部分から釘が抜け始めた。即ち、他の試験
体B,Cに比べて性能に劣る結果となった。
【0046】上記第二の試験体Bの実験では、第一の試
験体Aに比べて枠材3を介して留め付けることによって
面材1Aと土台11a及び胴差11bとの固定度を強化
してその性能の向上を図ったが、前述した第五従来例に
示したが如き引抜力が柱10に掛かり、枠材3を留めて
いる釘22が抜け始めた。即ち、大幅な耐力性能の向上
には至らなかった。
【0047】上記第三の試験体Cの実験では、土台11
a及び胴差11bに対しては側面から釘23を用いて1
00mm間隔で且つ二段にて固定することによって釘2
3の本数を増やしたので、第二の試験体Bの如き釘の抜
けが起こらなかった。更には前述した第四従来例の如き
土台11aの割裂破壊も生じなかった。即ち、この結果
から、面材1Cの耐力性能(強度)が他の試験体B,C
に比べて大幅に向上していることがわかる。
【0048】ここで、下記表2に上記三種類の試験体
A,B,Cの実験結果から求めた壁倍率の値を示す。
【0049】
【表2】
【0050】この表2の結果からも、第三の試験体Cが
他の試験体B,Cに比べて耐力壁の耐力性能が大幅に向
上していることがわかる。即ち、前述した本実施形態の
如く横架材11に対して太い釘を用いて二段で固定し、
これにより釘の本数を増加させることによって耐力壁の
耐力性能を大幅に向上させることができる、ということ
が実証された。
【0051】
【発明の効果】本発明に係る耐力壁は、壁体と横架材と
の重合部分にあっては、横架材の繊維方向と略直交方向
に固定部材を増加させているので、横架材の繊維方向の
固定部材の間隔(即ち、割裂破壊が生じない間隔)を確
保しながらその本数を増加させることが可能となり、壁
体の耐力性能(強度)を大幅に向上させることができ
る。また、壁体をその側面から固定部材で固定するの
で、その壁体に面内せん断力が掛かった際の固定部材に
掛かる荷重は、軸方向の引抜力ではなくせん断力である
為、固定部材の抜けが発生し難くなる。即ち、これらに
より壁倍率を大幅に且つ有効に向上させることができ
る。
【0052】更にまた、壁体に予め固定部材用の位置決
め部を設けることによって、現場での墨出し作業を不用
とし、更には現場の施工担当者は、固定位置を計測しな
がら施工する必要が無くなるので、作業時間の短縮を図
ることができる。これに加えて、現場監理者が施工状況
の検査をする際も固定位置を計測する必要は無く、位置
決め部上に固定部材があるか否かを判定することで容易
に検査することができる。
【0053】以上のように、筋交い等の角材を用いずに
壁体を本発明の如く固定部材で固定するのみで高い壁倍
率を確保する事ができるので、例えば装飾が施された壁
パネルを建築物へ採用する際に好適であり、更にはその
作業が容易である。また、筋交いを壁内に設けずとも高
強度を得ることができるので、壁の断熱工事を容易にし
且つこれにより断熱性能の不均等化を防止することがで
きる。このように、施工時の作業効率を向上させること
が可能である為、工期の短縮やコストダウンを有効に図
ることができるという、従来にない優れた耐力壁を得る
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐力壁の一実施形態を示す正面図
である。
【図2】本実施形態の耐力壁を示す図であって、その釘
打ち前の状態を示す正面図である。
【図3】面内せん断試験に用いた第一の試験体を示す正
面図である。
【図4】面内せん断試験に用いた第二の試験体を示す正
面図である。
【図5】面内せん断試験に用いた第三の試験体を示す正
面図である。
【図6】第一従来例に係る筋交いを示す斜視図である。
【図7】第二従来例に係る耐力壁を示す斜視図である。
【図8】第三従来例に係る耐力壁を示す分解斜視図であ
る。
【図9】第四従来例に係る耐力壁を示す部分斜視図であ
る。
【図10】第五従来例に係る耐力壁を示す分解斜視図で
ある。
【図11】第五従来例に係る耐力壁を示す図であって、
その組付け状態を示す部分斜視図である。
【図12】耐力壁に掛かる面内せん断力の説明図であ
る。
【図13】図13は釘に掛かる負荷を示す図であって、
図13(a)はせん断力の説明図、図13(b)は引抜
力の説明図である。
【符号の説明】
1 壁体 2 マーキング(位置決め部) 10 柱 11 横架材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡部 歩 東京都武蔵野市境南町3丁目13番14号 株 式会社飯田産業内 Fターム(参考) 2E002 EA01 FA03 FB07 HA03 HB01 JC02 JC03 JD01 MA04 MA07 NA01 NB01 NC01 PA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 間隔を設けて配設した二本の柱と間隔を
    設けて当該各柱の端部に架設した二本の横架材とで構成
    した軸組に重着する板状の壁体と、該壁体を当該軸組に
    固定する釘又は螺子等の固定部材の位置決め部とから成
    り、 この位置決め部を、前記壁体の一方の面で且つ前記各柱
    及び各横架材の軸方向に所定の間隔で複数設けると共
    に、強度向上所望部位にあっては、少なくとも一つの前
    記軸組の構成材の繊維方向に対して略直交方向に複数段
    設けることを特徴とした耐力壁。
  2. 【請求項2】 間隔を設けて配設した二本の柱と間隔を
    設けて当該各柱の端部に架設した二本の横架材とで構成
    した軸組に板状の壁体を重着する第一工程と、 前記壁体と前記各柱及び各横架材との重合部分を、該柱
    及び横架材の軸方向に所定の間隔を設けて釘又は螺子等
    の固定部材で複数箇所固定し、且つ、該各重合部分の強
    度向上所望部位にあっては、少なくとも一つの前記軸組
    の構成材の繊維方向に対して略直交方向に前記固定部材
    で複数箇所固定する第二工程と、 を有することを特徴とした耐力壁の施工方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009138474A (ja) * 2007-12-07 2009-06-25 Tokyo Goban Kogyo Kumiai 厚物構造用合板の外直張り木造軸組耐力壁構造
JP2010121315A (ja) * 2008-11-18 2010-06-03 Shinshu Univ 木質系建物の高剛性耐力壁装置
JP2013224581A (ja) * 2013-08-06 2013-10-31 Shinshu Univ 木質系建物の高剛性耐力壁装置
JP2014083845A (ja) * 2012-10-26 2014-05-12 Yoshimura Juko Co Ltd 心持ち角材及び心持ち角材の乾燥前処理方法及び心持ち角材の使用方法

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