JP2002129433A - 高伸縮性ポリエステル系複合繊維 - Google Patents

高伸縮性ポリエステル系複合繊維

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JP2002129433A
JP2002129433A JP2000316232A JP2000316232A JP2002129433A JP 2002129433 A JP2002129433 A JP 2002129433A JP 2000316232 A JP2000316232 A JP 2000316232A JP 2000316232 A JP2000316232 A JP 2000316232A JP 2002129433 A JP2002129433 A JP 2002129433A
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Yuko Ishii
祐子 石居
Masayuki Sato
正幸 佐藤
Masahide Matsumura
正英 松村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリエステル系異形断面繊維において、従来の
技術では達成できなかった、吸水性、速乾性、さらにふ
くらみ感、軽量感、ソフト性に優れ、加えてバイメタル
捲縮によるストレッチ性に優れた品位良好な高伸縮性ポ
リエステル系異形複合繊維を提供することができる。 【解決手段】2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ
方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合
繊維において、上記2種類のポリエステル重合体がいず
れもポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリ
エステルからなり、かつ断面形状が異形度1.7〜6.
0の異形であることを特徴とするポリエステル系複合繊
維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリトリメチレン
テレフタレートを主体としたサイドバイサイド型複合繊
維に関し、さらに詳しくは、単糸間およびマルチフィラ
メント間に十分な空隙を形成し、毛細管現象を利用した
吸水性、速乾性、さらにふくらみ感、軽量感、ソフト感
に優れ、加えてバイメタル捲縮によるストレッチ性に優
れた高伸縮性ポリエステル系複合繊維に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは機械的特性をはじめ、様
々な優れた特性を有しているため衣料用途のみならず幅
広く展開されている。また、近年はポリエステル繊維に
さらなる機能性や触感、外観を付与するために様々な検
討が行われている。とくに近年はポリエステルに吸水性
やドライ感、ソフト性、さらにストレッチ性を付与する
ため、種々の方法が採用されている。
【0003】例えば、吸水性を付与する方法としては、
ポリエステルの断面形状をシャープにして繊維間空隙を
つくる方法や、異形断面と丸断面の混繊糸とする方法が
ある。しかし、これにストレッチ性を付与するために
は、断面形状が潰れることなく、布帛全体として伸縮性
が発現する必要がある。
【0004】例えば、異形断面糸を使用した織物にスト
レッチ性を付与するために仮撚加工を施し、加撚/解撚
トルクを発現させた繊維を用いることにより、織物にス
トレッチ性を付与する方法があるが、このトルクは織物
表面のシボに転移し易い傾向があり、織物欠点となり易
い問題がある。このため、熱処理やS/Z撚りとするこ
とでトルクバランスを取り、ストレッチ性とシボ立ちに
よる欠点をバランスさせることも行われているが、概ね
ストレッチ性が低下しすぎることが問題となっていた。
しかも仮撚加工時に断面が潰れてしまうため、せっかく
の異形断面による吸水効果やふくらみ、軽量感が半減し
てしまうという問題点があった。
【0005】また仮撚を用いずに、ストレッチ性を付与
する方法として、織物中にポリウレタン系の弾性繊維を
混用する方法があるが、ポリウレタン系繊維を混用した
場合、ポリウレタン固有の性質として風合いが硬く、織
物の風合いやドレープ性が低下すると共に、ポリエステ
ル用の分散染料には染まり難く、汚染の問題がつきまと
うという問題があった。そのため、還元洗浄の強化など
染色工程が複雑になるばかりか、所望の色彩に染色する
ことが困難であった。
【0006】さらに一方、仮撚加工糸やポリウレタン系
繊維を用いずに吸水性とストレッチ性を得る方法とし
て、サイドバイサイド型複合を利用した潜在捲縮発現性
ポリエステル繊維が種々提案されている。潜在捲縮発現
性ポリエステル繊維とは、熱処理により捲縮が発現する
か、あるいは熱処理前より微細な捲縮が発現する能力を
有するポリエステル繊維のことをいい、通常の仮撚加工
糸とは区別されるものである。
【0007】例えば、特開昭63−219628号公報
には、サイドバイサイド型複合繊維の繊維断面をW型と
し、特開平2−68311号公報にはサイドバイサイド
型複合繊維の繊維断面をL字型とし、深みのある色と絹
様な風合いを有する繊維を得る方法が、また特開平4−
214433号公報には、扁平サイドバイサイド型複合
繊維同士を混繊し、ふくらみと張りのある絹様織編物を
得る方法が開示されている。これらの提案によるサイド
バイサイド型複合繊維は確かに絹様な風合いを持つ織編
物をそれぞれ得ることはできるが、高い吸水性を同時に
得られる織編物を得ることはできない。
【0008】一方、ポリトリメチレンテレフタレート繊
維は伸長弾性回復率が優れ、ヤング率が低く、染色性が
良好で、化学的にも安定しており、特開昭52−532
0号公報や特開昭52−8124号公報などにみられる
ように単成分では古くから知られているが、複合および
異形断面化による捲縮特性、ドライ感、軽量感および吸
水性をもつ優れた織編物は得られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術では達成できなかった、吸水性、速乾性、さらにふく
らみ感、軽量感、ソフト感に優れ、加えてバイメタル捲
縮によるストレッチ性に優れた高伸縮性ポリエステル系
異形複合繊維を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、2
種類のポリエステル系重合体が繊維の長さ方向に沿って
サイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維におい
て、上記2種類のポリエステル重合体がいずれもポリト
リメチレンテレフタレートを主体とするポリエステルか
らなり、かつ断面形状が異形度1.7〜6.0の異形で
あることを特徴とするポリエステル系複合繊維によって
達成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0012】本発明の高伸縮性ポリエステル系異形複合
繊維(以下、単に複合繊維と略す)は、2種類のポリエ
ステル系重合体が繊維の長さ方向に沿ってサイドバイサ
イド型に貼り合わされた複合繊維であり、それを構成す
る2種類のポリエステル重合体は、いずれもポリトリメ
チレンテレフタレート(以下、PTTと略す)を主体と
したポリエステルであり、さらに複合断面が異形度1.
7〜6.0の異形であることが重要である。
【0013】PTT繊維は、代表的なポリエステル繊維
であるPETやポリブチレンテレフタレート(以下PB
Tと略記する)繊維と同等の力学的特性や化学的特性を
有しつつ、伸長回復性が極めて優れている。これは、P
TTの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチ
レン鎖がゴーシュ−ゴーシュの構造(分子鎖が90度に
屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用
(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレ
キシビリティーが高いことから、メチレン基の回転によ
り分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。
【0014】このように、高収縮成分(高粘度成分)、
低収縮成分(低粘度成分)ともにPTTとし、融点、ガ
ラス転移点を合わせることで、紡糸工程でより高粘度成
分に応力集中させることができ、収縮率差を大きくする
ことができる。
【0015】このようにして得られた複合繊維はPTT
とPETの複合繊維と比較して、細かい多数の捲縮を発
現しており、連続的な引っ張りに対してもストレッチバ
ック性が低下することがなく、異形断面糸のスプリング
構造を安定して得ることができるのである。また、もう
一つの特徴として両成分をPTTとすることにより、繊
維のヤング率を大幅に低くできるので、よりソフトで弾
発性に優れた捲縮糸が得られる。
【0016】片方の成分をポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略す)とし、もう片方をPTTとするこ
とによってもストレッチ性と本発明のもう一つの目的で
ある吸水性を得ることはある程度可能であるが、PET
成分のヤング率が高いため、ソフト性が低下してしま
う。さらに、両成分をPTTとすることにより、染色性
や耐アルカリ性も向上する。
【0017】PTTポリマはPETと比較して、濃染化
傾向にあり、またアルカリ減量速度が遅いという特徴が
ある。そのため、片方の成分がPETであると、染色斑
を起こしたり、PTT成分側のアルカリ減量が進行せ
ず、複合断面が左右非対称となってしまい、均一な捲縮
形態が得られなくなってしまう。以上のことから、両成
分をPTTポリマとすることが重要なのである。
【0018】また、本発明の複合繊維は、固有粘度の異
なるPTTをサイドバイサイドに複合させて各々の収縮
率差により捲縮を発現するものである。固有粘度差が大
きいほどストレッチ性も向上するが、片側成分の粘度が
低すぎて繊維形成能がなかったり、逆に高すぎて特殊な
紡糸装置が必要になるようでは実用的ではない。また、
各成分間の粘度差により、吐出孔直下での糸条の「曲が
り現象」の度合いが決まり、それが製糸性に大きく影響
する。そのため、低粘度PTTの固有粘度(IV)は
0.6以上であることが好ましい。0.6以上であるこ
とによって繊維形成性が向上し、製糸性が良好になる。
低粘度PTTの固有粘度(IV)が0.6未満であると
重合度が低すぎるため繊維形成能が乏しく、製糸性が不
良で、得られる糸の強度が低いといった問題が発生す
る。また、PTTの高粘度成分と低粘度成分との固有粘
度の差ΔIVを0.3以上とすることにより捲縮特性に
優れた原糸となるが、0.5以上と大きくすると、さら
に伸縮性の優れた原糸となるのでより好ましい。一方、
固有粘度の差ΔIVが1.2を越えると、得られる糸の
捲縮特性は良好であるものの、紡糸糸条が高粘度成分側
に過度に曲がるため、長時間にわたって安定して製糸す
ることができず、好ましくない。したがって安定した製
糸性とストレッチ回復性の両方を満たすため、ΔIVは
0.3以上1.2以下とすることが好ましい。
【0019】なお、本発明でいう粘度とは固有粘度(I
V)を指し、オルトクロロフェノール中に試料を溶かし
て測定した値である。
【0020】また、両成分の複合比率は製糸性および捲
縮特性を発現させる点で、高収縮成分:低収縮成分=7
5:25〜35:65(重量%)の範囲が好ましく、6
5/35〜45/55の範囲がより好ましい。
【0021】本発明でいうPTTとは、テレフタル酸を
主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たる
グリコール成分として得られるポリエステルである。た
だし、20モル%、より好ましくは10モル%以下の割
合で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分を含む
ものであってもよい。共重合可能な化合物として、例え
ばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなどのジオール類を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。また、必要に応じて、艶消し
剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナ
の微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導
体、着色顔料などを添加してもよい。
【0022】また、本発明の複合繊維の繊維断面形状
は、異形度1.7〜6.0の異形断面であることが重要
である。本発明の複合繊維で吸水性、ふくらみ感、軽量
感、ソフト性に加えてストレッチ性を付与するために、
異形度の範囲が重要であり、異形度を1.7以上とする
ことによって繊維単糸間およびマルチフィラメント間で
の空隙が増し、上記特徴が向上する。ただしあまり異形
度を大きくすると繊維が割れたりフィブリル化が起こ
り、製織性が不良になったり、製品の品位が低下するた
め、異形度は6.0以下とすることが重要である。上記
特徴を十分に発現し、かつ製織性を維持するためには異
形度は2.0〜4.0の範囲がより好ましい。なお、本
発明でいう異形度とは以下の方法によって求めたもので
ある。
【0023】(異形度)=L1/L2 ただし、L1:繊維横断面の外接円の直径 L2:繊維横断面の内接円の直径 さらに本発明の複合繊維において、ドライ感、軽量感お
よび吸水性を付与するためには、繊維の断面形状が多葉
断面形状をした異形断面であることが好ましい。十分な
ドライ感、軽量感および吸水性を付与するためには3〜
6個の凹部をもつ多葉断面形状とすることが好ましい。
断面形状の凹部が3〜6個の場合、繊維単糸間に形成さ
れる空隙が十分にあり、毛細管現象による吸水性および
繊維単糸間の空隙による軽量感や多葉断面化によるドラ
イ感を十分に発現することができる。
【0024】本発明の効果をより発現するため、上記断
面形状に加え、凹部の深さが図1(b)に示すように隣
接する凸部間の接線A、凹部の最深部と接線Aの垂線B
とし、その比率A/Bが2.0以上であることが好まし
い。より好ましくは3.5以上12以下である。
【0025】また、本発明の複合繊維の2成分間の複合
界面は、繊維断面において直線的であるほうが捲縮発現
能が高くなり、ストレッチ性も向上する。
【0026】このように、本発明によれば、織物拘束下
での捲縮発現能力を改善した、吸水性のあるストレッチ
素材を得ることができるが、衣料用用途などで使用する
上で、特に品位の問題は重要である。本発明のように固
有粘度差のあるポリマーをサイドバイサイドに複合した
場合、得られる糸の捲縮特性は良好であるものの、紡糸
糸条が高粘度成分側に曲がるため、製糸性が悪化し、結
果として繊維の長手方向での太さ斑を生じ、結果として
布帛としたときにシボ斑が生じ、品位が低下するので好
ましくない。したがって安定した製糸性とストレッチ
性、良好な品位を満たすため、繊度変動率U%は2%以
下であることが好ましい。
【0027】本発明の高伸縮性ポリエステル系複合繊維
は単独で用いることも可能であるが、低収縮糸や自発伸
長糸と混繊して用いると、ストレッチ性にふくらみ感や
反発感を付与することができ、好ましい。
【0028】本発明の特徴を生かす用途としては、織
物、編物、不織布など、目的に応じて適宜選択でき、シ
ャツ、ブラウス、パンツ、スーツ、ブルゾン等に好適に
用いることができる。
【0029】次に、本発明の複合繊維の好ましい製法を
説明する。
【0030】本発明の複合繊維は、固有粘度の異なる2
種類のPTTをそれぞれに配し、吐出孔上部で合流さ
せ、サイドバイサイド複合流を形成させた後、所望の断
面形状を得るための吐出孔から吐出される。吐出された
糸条は冷却され、固化した後、一旦巻き取ってから延伸
する2工程法によって製造してもよいし、紡糸引取り
後、そのまま延伸する直接紡糸延伸法によって製造して
もよい。
【0031】また、紡糸温度はPTTのため、250〜
270℃とすることが好ましい。
【0032】また、複合繊維の繊度変動率U%を2%以
下とするためには紡糸速度を2000m/分以下、より
好ましくは1500m/分以下とする。特に、口金の計
量性を向上させたり、口金面深度を下げ、口金面からチ
ムニーまでに存在するスペースを極力なくすことによっ
て吐出した糸条を均一に冷却すること、さらには引き取
り時の紡糸張力をアップすることなどが効果的である。
また、延伸工程では擦過体上を滑らせながら高倍率で延
伸することである。操業性を考慮すると40%以下の破
断伸度になるように延伸することが好ましく、35%以
下の破断伸度になるように延伸することがさらに好まし
い。前記擦過体による摩擦抵抗により、延伸張力を高め
ることができるため、内部歪みの増大によりU%も向上
する。さらに延伸性、高次工程での取り扱い性から、熱
セット温度は110〜170℃の範囲が好ましい。ま
た、延伸温度は50〜80℃とすることが好ましい。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例でさらに具体的に説明
する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用い
た。 A.固有粘度(IV) オルソクロロフェノール(以下OCPと略記する)10
ml中に試料ポリマを0.8g溶かし、25℃にてオス
トワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求
め、IVを算出した。
【0034】 ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0) IV=0.0242ηr+0.2634 ここで、η:ポリマ溶液の粘度、 η0:OCPの粘度、 t:溶液の落下時間(秒)、 d:溶液の密度(g/cm3)、 t0:OCPの落下時間(秒)、 d0:OCPの密度(g/cm3) B.異形度 未延伸糸の断面写真を撮影し、以下の方法によって求め
た。
【0035】(異形度)=L1/L2 ただし、L1:繊維横断面の外接円の直径 L2:繊維横断面の内接円の直径 C.繊度変動率(U%) 糸長手方向の太さ斑(ノーマルテスト)はツェルベガー
ウースター(株)社製USTER TESTER MO
NITOR Cで測定した。条件は、糸速度50m/分
で1分間供給し、ノーマルモードで平均偏差率(U%)
を測定した。 D.捲縮数 100℃の沸騰水中で15分間処理し、単糸1cm当た
りの山の数を測定した 。E.吸水性 バイレック法で長さ12cm×幅1cmの短冊状サンプ
ルの下端を20±2℃の蒸留水中に浸漬し、10分後の
吸水高さ(cm)とした。 F.風合い特性(ドライ感、軽量感、ストレッチ性、ソ
フト感) 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、「極めて優れている」は○○、「優れてい
る」は○、「普通」は△、「劣っている」は×の4段階
評価で示した。なお、基準試料にはポリエチレンテレフ
タレートからなる56dtex−12filの丸断面糸
を用いて、上記試料と同様に製織、加工を施したものを
用い、これを「劣っている:×」とした。
【0036】実施例1 固有粘度(IV)が1.24のホモPTTと固有粘度
(IV)が0.74のホモPTTをそれぞれ別々に溶融
し、紡糸温度260℃で図1(d)に示す構造を有する
12孔の複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50
で吐出し、紡糸速度1400m/分で引取り165デシ
テックス、24フィラメントのサイドバイサイド型4葉
断面の未延伸糸を得た。この異形複合断面繊維の異形度
は3.8、A/Bは2.2であり、さらにホットロール
−熱板系延伸機(接糸長:20cm、表面粗度:3S)
を用い、ホットロール温度70℃、熱板温度145℃、
延伸倍率3.0倍で延伸して55デシテックス、24フ
ィラメント(単繊維繊度2.3デシテックス)の延伸糸
を得た。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり、延伸糸の
品位も良好であった。さらにこの繊維から布帛を作り、
吸水性を測定すると、9.4cmと大変優れた特性を示
し、ドライ感・軽量感・ソフト感があり、ストレッチ性
にも大変優れていることが分かった。
【0037】実施例2 固有粘度(IV)が1.27のホモPTTと固有粘度
(IV)が0.95のホモPTTの組み合わせとし、3
葉断面、異形度2.1、A/B=7.3の異形断面糸と
した以外は実施例1と同様の方法で評価した。延伸糸の
U%も0.89と良好であり、この複合糸を用いて布帛
としたところ、吸水性は8.8cmであった。また、実
施例1には及ばないものの、高捲縮によるストレッチ性
・ソフト性、軽量性に大変優れた布帛を得ることができ
た。
【0038】実施例3 固有粘度(IV)が1.27のホモPTTと固有粘度
(IV)が1.05のホモPTTの組み合わせとし、異
形度を3.5、A/B=2.6としたほかは実施例1と
同様にして評価した。吸水性は7.9cmで、良好な結
果を示した。実施例3は実施例1や実施例2には及ばな
いものの、品位良好でソフトで吸水性・軽量性に優れた
ストレッチ布帛を得ることができた。
【0039】比較例1 固有粘度(IV)が1.34のホモPTTと固有粘度
(IV)が0.96のホモPBTの組み合わせとした以
外は実施例1と同様の方法で評価した。吸水性は6.3
cmで、比較的良好であったが、ストレッチ性、ソフト
性は実施例1〜3と比較するとポテンシャルが低く、全
体として特徴のあるものは得られなかった。
【0040】比較例2 固有粘度(IV)が1.30のホモPPTと固有粘度
(IV)が0.62のホモPETの組み合わせとし、紡
糸温度270℃で紡糸、第1ホットロール温度85℃で
延伸した以外は実施例1と同様の方法で評価した。吸水
性は6.5cmで良好であったが、布帛としたときのソ
フト性・ストレッチ性はが実施例1〜3と比較して劣っ
た。吸水性は良好であったが、全体としては特に優れた
ものにはならなかった。
【0041】比較例3 実施例1において、複合断面形状を丸断面とした他は実
施例1と同様にして複合断面糸を得た。比較例3はスト
レッチ性は大変優れていたが、異形断面ではないため、
繊維間空隙が少なく、吸水性に劣るものであった。
【0042】比較例4 実施例2において、口金吐出孔のスリットの形状を変え
て異形度を1.6となるようにして紡糸した結果、製糸
性は良好であったが、吸水性が5.5cmであり、異形
断面の単独糸の仮撚糸よりも劣ってしまった。
【0043】比較例5 実施例2において、口金吐出孔のスリットの形状をシャ
ープにして異形度6.5となるようにして紡糸したが、
糸切れが多発した。また製織時には毛羽が多く発生し
て、品位が悪いものとなってしまい評価できなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明の複合繊維を用いることにより、
単糸間およびマルチフィラメント間に十分な空隙を形成
し、毛細管現象を利用した吸水性、速乾性、さらにはふ
くらみ感、軽量感、ソフト感に優れ、加えてバイメタル
捲縮によるストレッチ性に優れた品位良好な布帛を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維の繊維横断面形状の例を示す断面
図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種類のポリエステル系重合体が繊維の長
    さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複
    合繊維において、上記2種類のポリエステル重合体がい
    ずれもポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポ
    リエステルからなり、かつ断面形状が異形度1.7〜
    6.0の異形であることを特徴とするポリエステル系複
    合繊維。
  2. 【請求項2】前記異形断面が3個以上の凹部を有する多
    葉断面形状であることを特徴とする請求項1に記載の高
    伸縮性ポリエステル系複合繊維。
  3. 【請求項3】繊度変動率U%が2%以下であることを特
    徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系複合
    繊維。
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