JP2002116300A - 放射線発光パネル - Google Patents

放射線発光パネル

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JP2002116300A
JP2002116300A JP2000305753A JP2000305753A JP2002116300A JP 2002116300 A JP2002116300 A JP 2002116300A JP 2000305753 A JP2000305753 A JP 2000305753A JP 2000305753 A JP2000305753 A JP 2000305753A JP 2002116300 A JP2002116300 A JP 2002116300A
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phosphor
radiation
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layer
copolymer
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JP2000305753A
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Hiroshi Ogawa
博 小川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射線発光パネルを、画像ムラが少なく、蛍
光体の充填率が高い感度の良好なものとする。 【解決手段】 放射線発光パネルの蛍光体層を塗布によ
り形成する際に、蛍光体塗布液に、分子末端に1個の官
能基を有する共重合体または分子側鎖に複数個の官能基
を有する櫛型共重合体からなる高分子分散剤を含有させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体を利
用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネ
ルや、蛍光体によって透過放射線を可視光および/また
は紫外放射線に変換するためのX線写真用増感パネル等
の放射線発光パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法とし
て、たとえば特開昭55-12145号に記載されているような
輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られてい
る。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換
パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写
体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を
パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍
光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系
列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積され
ている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放
出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、
次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検
体の放射線画像を可視像として再生するものである。読
取りを終えたパネルは、残存する画像の消去が行なわれ
た後、次の撮影のために備えられる。すなわち、放射線
像変換パネルは繰返し使用されるものである。
【0003】この放射線像変換方法によれば、従来の放
射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写
真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で
情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利
点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回の撮影
ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この
放射線像変換方法では放射線像変換パネルを繰返し使用
するので資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0004】放射線像変換方法に用いられる放射線像変
換パネルは、基本構造として、無機または有機の支持体
とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるもの
である。蛍光体層の輝尽性蛍光体はX線などの放射線を
吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性
質を有するものであるから、被写体を透過したあるいは
被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例し
て放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パ
ネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネ
ルギーの蓄積像として形成される。この蓄積像は、上記
励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させ
ることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電
気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像
を画像化することが可能となる。
【0005】放射線像変換方法は上記のように非常に有
利な画像形成方法であるが、この方法に用いられる放射
線像変換パネルも従来の放射線写真法に用いられる増感
紙と同様に、高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性
など)の良好な画像を与えるものであることが望まれ
る。
【0006】放射線像変換パネルの感度は、基本的には
パネルに含有されている輝尽性蛍光体の総輝尽発光量に
依存し、この総発光量は蛍光体自体の発光輝度によるの
みならず、蛍光体層における蛍光体の含有量によっても
異なる。蛍光体の含有量が多いことは、X線等の放射線
に対する吸収も大きいことを意味するから、一層高い感
度が得られ、同時に画質(特に粒状性)が向上する。一
方、蛍光体層における蛍光体の含有量が一定である場合
には、蛍光体粒子が密に充填されているほどその層厚を
薄くすることができるから、散乱による励起光の広がり
を少なくすることができ、相対的に高い鮮鋭度を得るこ
とができる。
【0007】本出願人は、蛍光体が密に充填された蛍光
体層を持つ放射線像変換パネルの一つとして、蛍光体層
を圧縮処理することにより蛍光体層の空隙率を低下せし
めた放射線像変換パネルおよびその製造法をすでに出願
している(特開昭59−126299号、特開昭59−126300号参
照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の放射線像変換パ
ネルは、蛍光体層を圧縮処理することで、蛍光体層中の
蛍光体の密度をそれまでの放射線像変換パネルよりも高
くかつ密度ムラを少なくしたものであった。その結果、
この放射線像変換パネルは優れた鮮鋭度を持つものとな
ったが、このような圧縮処理によっても蛍光体の密度ム
ラが残ることがあり、それがパネルの発光量のムラとな
って画像の品位が充分でない場合があるという問題があ
った。
【0009】一般に、蛍光体層塗布液は、分散、塗布時
の高剪断時には、結合剤樹脂をよく溶解し、粘度は適度
に低く、分散時の剪断力が熱エネルギーとなってロスす
ることが少なく、蛍光体粒子の凝集塊を容易に解砕でき
るものであることが好ましく、一方、塗布後乾燥時の低
剪断時には、高粘度で流動しにくい、いわゆるチキソト
ロピックなものであることが好ましい。
【0010】すなわち、蛍光体粒子を均一に分散させる
ためには塗布液の粘度は低い方が好ましいが、一方で、
乾燥後に蛍光体粒子を均一に充填させかつ厚みも均一な
蛍光体塗膜を得るためには粘度の高い塗布液であること
が好ましいという、相反する性質が塗布液には要求され
ることとなり、蛍光体粒子の分散が良好でありながら、
ノイズが低くかつムラの少ない蛍光体層を得ることは容
易なことではない。
【0011】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、画像ムラが少なく、かつ蛍光体の充填率が高く感度
の良好な放射線発光パネルを提供することを目的とする
ものである。
【0012】なお、放射線増感スクリーンおよび放射線
像変換パネルの蛍光体層の結合剤中に親水性極性基を有
する結合剤を含有させることは特開平 10-246800号にも
開示されている。しかし、ここに記載されている発明の
第一の目的は、鮮鋭度の向上であり、そのために結合剤
または結合剤の一部に親水性官能基を無秩序に導入した
ものであり、本発明のように、分子末端に官能基を有す
る共重合体あるいは分子側鎖に複数個の官能基を有する
櫛型共重合体からなる高分子分散剤を用いることは示さ
れておらず、本発明を何ら示唆するものではない。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の放射線発光パネ
ルは、少なくとも支持体と該支持体上に設けられた蛍光
体層とからなる放射線発光パネルにおいて、前記蛍光体
層が、蛍光体と、分子末端に1個の官能基を有する共重
合体または分子側鎖に複数個の官能基を有する櫛型共重
合体からなる高分子分散剤とを含むことを特徴とするも
のである。
【0014】放射線発光パネルとは、輝尽性蛍光体を含
有する放射線像変換パネルの他、輝尽性でない蛍光体を
用いて透過放射線を可視光および/または紫外放射線に
変換するためのX線写真用増感パネルなども含む広い概
念である。
【0015】前記官能基は、塩基性型官能基であること
が好ましい。前記高分子分散剤の添加量は、前記蛍光体
に対して 0.001重量%から1重量%であることが好まし
い。前記蛍光体は、輝尽性蛍光体であってもよい。
【0016】
【発明の効果】本発明の放射線発光パネルは、蛍光体層
を、蛍光体と、分子末端に1個の官能基を有する共重合
体または分子側鎖に複数個の官能基を有する櫛型共重合
体からなる高分子分散剤とを含むものとしたので、蛍光
体粒子の分散性が向上するとともに蛍光体層塗布液の増
粘性が良好となり、塗布液の乾燥ゾーン内における急激
な乾燥や流動による蛍光体のムラが抑制されて、均一か
つ平滑な蛍光体塗膜を得ることができ、蛍光体の充填率
が高く、画像ムラの少ない感度の良好な放射線発光パネ
ルとすることができる。
【0017】すなわち、蛍光体層は塗工時の塗膜厚が約
500μmと厚いため、塗膜が乾固するまでには塗膜中で搬
送による振動や溶剤の蒸発による対流が発生するが、蛍
光体層塗布液に高分子分散剤を含有させることにより、
塗布液の粘度を高くすることが可能となり、塗布液の流
動を防止できるため、均一な充填度と厚みを有する乾燥
塗膜を得ることができると考えられる。しかも、上記の
ような高分子分散剤は増粘性でありながらも、結合剤樹
脂をよく溶解し、粘度は適度に低く、蛍光体粒子の凝集
塊を容易に解砕して、蛍光体粒子を均一に分散させるこ
とができるため、画像ムラが少なく、かつ蛍光体の充填
率の高い感度の良好な放射線発光パネルを得ることがで
きる。
【0018】なお、高分子分散剤の官能基を塩基性型官
能基とすることにより、蛍光体層塗布液に含まれる有機
溶剤や結合剤に対する溶解性が向上し、より蛍光体粒子
の分散性を向上させることができる。
【0019】また、高分子分散剤の添加量を、蛍光体に
対して 0.001重量%から1重量%とした場合には、上記
効果をより高めることができる。
【0020】なお、本発明は輝尽性でない蛍光体を用い
て透過放射線を可視光および/または紫外放射線に変換
するためのパネル、例えばX線写真用増感パネル等の蛍
光体層の画質向上にも有用であるが、輝尽性蛍光体を用
いた放射線像変換パネルにおいて極めて有用である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1は本発明の第一の実施
の形態を示す放射線発光パネルの部分断面図である。
【0022】図1に示すように一般に、放射線発光パネ
ルは、支持体3上に蛍光体層1と、この蛍光体層1の上
にさらに保護層2を積層してなるものである。保護層2
は、蛍光体層を物理的衝撃および化学的変質から保護す
るものである。以下、この放射線発光パネルを基準に、
各層について説明する。
【0023】まず、本発明の放射線発光パネルの蛍光体
層の蛍光体が輝尽性蛍光体である場合について述べる。
輝尽性蛍光体は、先に述べたように放射線を照射した
後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体である
が、実用的な面からは波長が400〜900nmの範囲にある励
起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍
光体であることが望ましい。本発明の放射線像変換パネ
ルに用いられる輝尽性蛍光体の例としては、特開昭48−
80487号に記載されているBaSO4 :AXおよび特開昭48−80
489号に記載されているSrSO4:AXで表される蛍光体、特
開昭53−39277号に記載されているLi2B4O7:Cu,Ag、特開
昭54−47883号に記載されているLi2O・(B2O2)x:Cuおよび
Li2O・(B2O2)x:Cu,Ag、米国特許第3,859,527号明細書に
記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、ThO2:Er、およ
びLa2O2S:Eu,Sm、特開昭55-12142号に記載されている Z
nS:Cu,Pb、BaO・xAl2O3:Eu(ただし、0.8≦x≦10)、お
よび、MIIO・xSiO2 :A(ただし、MIIはMg,Ca,Sr,Zn,
Cd、またはBaであり、AはCe,Tb,Eu,Tm,Pb,Tl,Bi
またはMnであり、xは0.5≦x≦2.5である)、特開昭55-
12143号に記載されている (Ba1-X-y ,MgX ,Cay )FX:aEu
2+(ただし、X はClおよびBrのうちの少なくとも一種で
あり、xおよびyは、0<x+y≦0.6、かつxy≠0であ
り、aは、10-6≦a≦5×10-2である)、特開昭55-1214
4号に記載されている LnOX:xA(ただし、LnはLa,Y,G
d、およびLuのうちの少なくとも一種、XはClおよびBrの
うちの少なくとも一種、AはCeおよびTbのうちの少なく
とも一種、そして、xは、0<x<0.1である)、特開
昭55-12145号に記載されている(Ba1-X,M2+ X)FX:yA(た
だし、M2+はMg,Ca,Sr,Zn、およびCdのうちの少なく
とも一種、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一
種、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,YbおよびEr
のうちの少なくとも一種、そしてxは0≦x≦0.6、y
は0≦y≦0.2である)、特開昭55−843897号に記載さ
れているBaFX:xCe・yAで表される蛍光体 特開昭55-160078号に記載されているMIIFX・xA:yLn(た
だし、MIIはBa,Ca,Sr,Mg,ZnおよびCdのうちの少な
くとも一種、AはBeO,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO,Al
2O3,Y2O3,La2O3,In2O3,SiO2,TiO2,ZrO2,GeO2,S
nO2,Nb2O5,Ta2O5およびThO2 のうちの少なくとも一
種、LnはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Sm
およびGdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびI
のうちの少なくとも一種であり、xおよびyはそれぞれ 5
×10-5≦x≦0.5、および0<y≦0.2である)の組成式で
表わされる蛍光体、特開昭56-116777号に記載されてい
る(Ba1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリ
ウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜
鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩
素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aはジ
ルコニウムおよびスカンジウムのうちの少なくとも一種
であり、a、x、y、およびzはそれぞれ 0.5≦a≦1.
25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦1
0-2である)の組成式で表わされる蛍光体、特開昭57-23
673号に記載されている(Ba1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zB
(ただし、M II はベリリウム,マグネシウム,カルシウ
ム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少
なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少
なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ
0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、およ
び0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭57-23675号に記載されている(Ba1-X,MII X)F2・aB
aX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウム,マグネシウ
ム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウ
ムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ
素のうちの少なくとも一種、Aは砒素および硅素のうち
の少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれ
ぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1
および0<z≦5×10-1である)の組成式で表わされる
蛍光体、特開昭58-69281号に記載されている MIIIOX:xC
e(ただし、MIIIはPr,Nd,Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,E
r,Tm,YbおよびBiからなる群より選ばれる少なくとも
一種の三価金属であり、XはClおよびBrのうちのいずれ
か一方あるいはその両方であり、xは0<x<0.1であ
る)の組成式で表わされる蛍光体、特開昭58-206678号
に記載されているBa1-XMX/2X/2FX:yEu2+(ただし、M
はLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少な
くとも一種のアルカリ金属を表わし;Lは、Sc,Y,L
a,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,Lu,Al,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少
なくとも一種の三価金属を表わし;X は、Cl,Brおよび
Iからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを
表わし;そして、xは10-2≦x≦0.5、yは0<y≦0.1
である)の組成式で表わされる蛍光体、特開昭59-27980
号に記載のBaFX・xA:yEu2+(ただし、Xは、Cl,Brおよ
びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン
であり;Aはテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物であ
り;そして、xは10-6 ≦x≦0.1、yは0<y≦0.1 で
ある)の組成式で表わされる蛍光体、特開昭59−38278
号に記載されているxM3(PO4)2・NX2:yA、M3(PO4)2:yAお
よびnReX3・mAX′2:xEu、nReX3・mAX′2:xEu,ySm、MIX
・aMIIX′2・bMIIIX″3:cAで表される蛍光体、特開昭59
-47289号に記載されているBaFX・xA:yEu2+(ただし、X
は、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも
一種のハロゲンであり;Aは、ヘキサフルオロケイ酸,ヘ
キサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウ
ム酸の一価もしくは二価金属の塩からなるヘキサフルオ
ロ化合物群より選ばれる少なくとも一種の化合物の焼成
物であり;そして、xは10-6≦x≦0.1、yは0<y≦
0.1 である)の組成式で表わされる蛍光体、特開昭59-5
6479号に記載されているBaFX・xNaX′:aEu2+(ただし、X
およびX′は、それぞれCl、Br、およびIのうちの少な
くとも一種であり、xおよびaはそれぞれ0<x≦2、
および0<a≦0.2である)の組成式で表わされる蛍光
体、特開昭59-56480号に記載されているMIIFX・xNaX′:
yEu2+:zA(ただし、MIIは、Ba,SrおよびCaからなる群
より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であ
り;X およびX′は、それぞれCl,BrおよびIからなる
群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aは、
V,Cr,Mn,Fe,CoおよびNiより選ばれる少なくとも一
種の遷移金属であり;そして、xは0<x≦2、yは0
<y≦0.2、およびzは0<z≦10-2である)の組成式
で表わされる蛍光体、特開昭59-75200号に記載されてい
る MIIFX・aMIX′・bM′IIX″2・cMIIIX3・xA:yEu2+(た
だし、MIIはBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少
なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI はLi,N
a,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも
一種のアルカリ金属であり;M′IIはBeおよびMgからなる
群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;MIII
はAl,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくと
も一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;XはC
l,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種
のハロゲンであり;X′,X″および Xは、F,Cl,Brお
よびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲ
ンであり;そして、aは0≦a≦2、bは0≦b≦1
0-2、cは0≦c≦10-2、かつa+b+c≧10-6 であり;x
は0<x≦0.5、yは0<y≦0.2 である)の組成式で
表わされる蛍光体、特開昭60-84381号に記載されている
MII X2・aMIIX′2:xEu2+(ただし、MIIはBa,Srおよび
Caからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ
土類金属であり;XおよびX′はCl,BrおよびIからなる
群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、か
つ X≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<
x≦0.2である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
特開昭60-101173号に記載されているMIIFX・aMI X′:xE
u2+(ただし、MII Ba,SrおよびCaからなる群より選
ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI
はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種の
アルカリ金属であり;XはCl,BrおよびIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;X′はF,C
l,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種
のハロゲンであり;そしてaおよびxはそれぞれ0≦a
≦4.0および0<x≦0.2である)の組成式で表わされる
輝尽性蛍光体、特開昭62-25189号に記載されているM
I X:xBi( ただし、MI はRbおよびCsからなる群より選
ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X はCl,
BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値であ
る)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、などをあげる
ことができる。
【0024】また、上記特開昭60-84381号に記載されて
いるMIIX2・aMIIX′2:xEu2+輝尽性蛍光体には、以下に
示すような添加物がMIIX2・aMIIX′2 1モル当り以下の割
合で含まれていてもよい。
【0025】特開昭60−166379号に記載されているbM
IX″(ただし、MIはRbおよびCsからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ金属であり、X″はF,Cl,B
rおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンであり、そしてbは0<b≦10.0である);特開
昭60-221483号に記載されているbKX″・cMgX2 ・dM
III X′3(ただし、MIII はSc,Y,La,Gdおよび Luか
らなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であ
り、X″、X およびX′はいずれもF,Cl,BrおよびIか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
り、そしてb、cおよびdはそれぞれ、0≦b≦2.0、
0≦c≦2.0、0≦d≦2.0であって、かつ2×10-5≦b+c
+dである);特開昭60-228592号に記載されている yB
(ただし、yは2×10-4≦y≦2×10-1である);特開昭60
-228593号に記載されている bA(ただし、AはSiO 2 およ
びP2O5からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物
であり、そしてbは10-4 ≦b≦2×10-1 である);特開昭
61−120883号に記載されているbSiO(ただし、bは0<b
≦3×10-2 である);特開昭61−120885号に記載されて
いるbSnX″2 (ただし、X″はF,Cl,BrおよびIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そ
してbは0<b≦10-3である);特開昭61-235486号に記
載されているbCsX″・cSnX2 (ただし、X″およびX はそ
れぞれF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲンであり、そしてbおよびcはそれ
ぞれ、0<b≦10.0 および10-6≦c≦2×10-2であ
る);および特開昭61-235487号に記載されているbCs
X″・yLn3+(ただし、X″はF,Cl,BrおよびIからなる
群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、Lnは
Sc,Y,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb
およびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土
類元素であり、そしてbおよびyはそれぞれ、0<b≦
10.0および10 -6≦y≦1.8×10-1である)。
【0026】上記の輝尽性蛍光体のうち、二価ユーロピ
ウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体および
セリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体は高輝
度の輝尽発光を示すので特に好ましい。ただし、本発明
に用いられる輝尽性蛍光体は上述の蛍光体に限られるも
のではなく、放射線を照射したのちに励起光を照射した
場合に輝尽発光を示す蛍光体であればいかなるものであ
ってもよい。
【0027】また、本発明の放射線発光パネルが、輝尽
性ではない蛍光体を用いて透過性放射線を可視光および
/または紫外放射線に変換するためのパネル、たとえば
放射線増感スクリーンの場合、これに使用される蛍光体
としては、タングステン酸塩系蛍光体(CaWO4 、MgW
O4 、CaWO4 :Pbなど)、テルビウム賦活希土類酸硫化物
系蛍光体(Y2O2S:Tb、Gd2O2S:Tb、La2O2S:Tb、(Y,Gd)2O
2S:Tb、(Y,Gd)O2 S:Tb,Tmなど)、テルビウム賦活希土
類リン酸塩系蛍光体(YPO4 :Tb、GdPO4 :Tb、LaPO4 :Tb
など)、テルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍
光体(LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,T
m、LaOCl:Tb,Tm、LaOBr:Tb、GdOBr:Tb、GdOCl:Tbな
ど)、ツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体
(LaOBr:Tm、LaOCl:Tmなど)、硫酸バリウム系蛍光体
(BaSO4 :Pb、BaSO4 :Eu2+、(Ba,Sr)SO4 :Eu2+など)、
2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属リン酸塩系蛍
光体(Ba3 (PO4)2:Eu2+、Ba3(PO4)2 :Eu2+など)、2価の
ユーロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物
系蛍光体(BaFCl:EU2+、BaFBr:Eu2+,BaFCl:EU2+,Tb、Ba
FBr:Eu2+,Tb、BaF2 ・BaCl2 ・KCl:Eu2+、(Ba・Mg)F2・BaCl
2・KCl:Eu 2+など)、ヨウ化物系蛍光体(CsI:Na、CsI:T
l、NaI、KI:Tlなど)、硫化物系蛍光体(ZnS:Ag、(Zn,C
d)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Alなど)、リン酸
ハフニウム系蛍光体(HfP2O7 :Cuなど)、タンタル酸塩
系蛍光体(YTaO4 、YTaO4 :Tm、YTaO4 :Nb、(Y,Sr)TaO
4-x :Nb、LuTaO4、LuTaO4 :Nb、(Lu,Sr)TaO4-x :Nb、Gd
TaO4 :Tm、Gd2O3・Ta2O5・B2O3:Tbなど)を好ましくあげ
ることができる。但し本発明に用いられる蛍光体はこれ
らに限定されるものではなく、放射線の照射によって可
視または近紫外領域の発光を示す蛍光体であれば使用す
ることができる。
【0028】以下には、輝尽性蛍光体を用いた放射線像
変換パネルについて説明するが、X線写真用増感パネル
の場合も、公知の材料、方法により同様に作製すること
ができる。
【0029】本発明に用いられる結合剤としては、常温
で弾力を持ち、加熱されると流動性を持つようになる熱
可塑性エラストマーが好適に用いられる。熱可塑性エラ
ストマーの例としては、ポリスチレン、ポリオレフィ
ン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリブ
タジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、天然
ゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレ
ン、スチレン−ブタジエンゴム、シリコンゴムなどをあ
げることができる。
【0030】上記の熱可塑性エラストマーのうち、軟化
温度または融点が30℃〜300℃であるものが一般的に用
いられるが、30℃〜200℃のものを用いることが好まし
く、30℃〜150℃のものを用いることがより好ましい。
【0031】上記結合剤を輝尽性蛍光体、溶剤とともに
充分に混合して結合剤溶液中に輝尽性蛍光体が均一に分
散した塗布液を調製する。
【0032】溶例としては、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコ
ールなどの低級アルコール;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、な
どのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど
の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;エチレン
グリコールモノプロピルエーテル、などのエーテル;ト
ルエン、キシレン、シクロヘキサン、などの炭化水素;
および、それらの混合物をあげることができる。
【0033】塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との
混合比は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光
体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と蛍光
体との混合比は、1:1乃至1:100(重量比)の範囲から選
ばれ、そして特に1:8乃至1:40(重量比)の範囲から選
ぶのが好ましい。
【0034】蛍光体層に含まれる高分子分散剤は、分子
末端に1個の官能基を有する共重合体または分子側鎖に
複数個の官能基を有する櫛型共重合体からなる。ここ
で、櫛型共重合体とは、図2(図2は櫛型共重合体の概
念的模式図である。)に示すような分子構造をした共重
合体である。図2中、RはOH基、アミン基、アミノ基、
第4級アンモニウム塩基等の塩基性官能基を表す。分子
側鎖に複数個の官能基を有する櫛型共重合体は、有機溶
剤およびバインダーに対する溶解性が良いか比較的良い
こと、人体に有毒でなく有害性が少ないこと、着色が無
く蛍光体の発光効率を低下させることがないこと、なる
べく安価であることが必要であり、アミン基やアミノ基
であることが好ましい。
【0035】図2で、ギザギザで示される主鎖、及び、
ひも状に示される側鎖はビニル系化合物の共重合体また
は重合体、あるいはポリエステル化合物等のマクロマー
あるいはポリマーである。分子量(Mw)は約1万から100
万であることが好ましく、特に5万から50万程度である
ことが好ましい。
【0036】高分子分散剤が分子末端に1個の官能基を
有する共重合体である場合、ここでいう官能基も上記の
櫛型共重合体と同様、OH基、アミン基、アミノ基、第4
級アンモニウム塩基等の塩基性官能基であり、アミン基
やアミノ基であることがより好ましい。分子量(Mw)は
約2000から10万であることが好ましい。
【0037】高分子分散剤の添加量は蛍光体に対して、
0.0001重量%から5重量%であることが好ましく、より
好ましくは0.001重量%から1重量%、さらには0.01重量
%から0.5重量%であることが好ましい。
【0038】本発明の分子末端に1個の官能基を有する
共重合体または分子側鎖に複数個の官能基を有する櫛型
共重合体からなる高分子分散剤は、ゼネカ(株)よりソル
スパース 9000、13000シリーズ、17000、18000、24000G
R、24000SC、28000、32000シリーズ、33500、38500の商
品名で市販されているのでこれを利用してもよく、この
うち24000GRを用いることがより好ましい。
【0039】なお、塗布液には、形成後の蛍光体層中に
おける結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるため
の可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。
そのような目的に用いられる可塑剤の例としては、リン
酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニ
ルなどのリン酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸
ジメトキシエチルなどのフタル酸エステル;グリコール
酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリル
ブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチ
レングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチ
レングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリ
エチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステル
などをあげることができる。
【0040】上記のようにして調製された蛍光体と結合
剤とを含有する塗布液を、シート形成用の仮支持体の表
面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成す
る。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえばエクス
トルージョンコーター、スライドコーター、ドクターブ
レード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いる
ことにより行なうことができる。
【0041】仮支持体は、例えば、ガラス、金属の板、
あるいは従来の放射線写真法における増感紙(または増
感用スクリーン)の支持体として用いられている各種の
材料、あるいは放射線像変換パネルの支持体として公知
の材料から任意に選ぶことができる。そのような材料の
例としては、セルロースアセテート、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、
ポリイミド、ポリカーボネートなどのプラスチック物質
のフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔など
の金属シート、通常の紙、バライタ紙、レジンコート
紙、二酸化チタンなどの顔料を含有するビグメント紙、
ポリビニルアルコールなどをサイジングした紙、アルミ
ナ、ジルコニア、マグネシア、チタニアなどのセラミッ
クスの板あるいはシートなどをあげることができる。
【0042】仮支持体上に蛍光体層形成用塗布液を塗布
し、乾燥ののち、仮支持体からはがして放射線像変換パ
ネルの蛍光体層となる蛍光体シートとする。従って、仮
支持体の表面には予め離型剤を塗布しておき、形成され
た蛍光体シートが仮支持体からはがし易くなるようにし
ておくことが好ましい。
【0043】次に、上記のように形成した蛍光体シート
とは別に、放射線像変換パネルの支持体を用意する。こ
の支持体は、蛍光体シートを形成する際に用いる仮支持
体と同様の材料から任意に選ぶことができる。
【0044】支持体と蛍光体層の結合を強化するため、
あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質
(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、蛍光体層が設
けられる側の支持体表面にポリエステル共重合体、アク
リル樹脂共重合体などの高分子物質を塗布して接着性付
与層としたり、あるいは二酸化チタンなどの光反射性物
質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの
光吸収性物質からなる光吸収層等を設けることが知られ
ている。本発明において用いられる支持体についても、
これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は
放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選
択することができる。
【0045】さらに、特開昭59−200200号に記載されて
いるように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的
で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の蛍光体層側の
表面に接着性付与層、光反射層あるいは光吸収層などが
設けられている場合には、その表面を意味する)には微
小の凹凸が形成されていてもよい。
【0046】分散塗工によって得られた蛍光体シート
は、支持体上に載せて結合剤の軟化温度または融点以上
の温度で、圧縮しながら支持体上に接着する。蛍光体シ
ートは櫛型共重合体により塗膜が均質化されているの
で、これに加圧処理を加えることで、蛍光体の充填率を
より高めることができ、蛍光塗膜を均一に圧縮すること
ができる。
【0047】圧縮処理のために使用される圧縮装置の例
としては、カレンダーロール、ホットプレスなど一般に
知られているものをあげることができる。たとえば、カ
レンダーロールによる圧縮処理は、支持体上に分散塗工
によって得た蛍光体シートを載せ、結合剤の軟化温度ま
たは融点以上に加熱したローラーの間を一定の速度で通
過させることにより行なわれる。ただし、本発明に用い
られる圧縮装置はこれらのものに限られるものではな
く、上記のようなシートを加熱しながら圧縮することの
できるものであればいかなるものであってもよい。圧縮
の際の圧力は、5MPa以上であることが好ましい。
【0048】通常の放射線像変換パネルにおいては、前
述のように支持体に接する側とは反対側の蛍光体層の表
面に、蛍光体層を物理的および化学的に保護するための
透明な保護膜が設けられている。このような透明保護膜
は、本発明による放射線像変換パネルについても設置す
ることが好ましい。
【0049】透明保護膜は、たとえば、フッ素樹脂共重
合体、酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロ
ース誘導体;あるいはポリメチルメタクリレート、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボ
ネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポ
リマーなどの透明な合成樹脂を適当な溶媒に溶解して調
製した溶液を蛍光体層の表面に塗布する方法により形成
することができる。あるいは、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどから
なるプラスチックシート;および透明なガラス板などの
保護膜形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適
当な接着剤を用いて接着するなどの方法によっても形成
することができる。保護膜の膜厚は、約0.1〜20μmの範
囲であることが好ましい。
【0050】さらに、得られる画像の鮮鋭度を向上させ
る目的で、上記の少なくともいずれかの層に励起光を吸
収し、輝尽発光光は吸収しないような着色層を加えても
よい(特公昭59−23400号参照)。
【0051】以下、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。
【実施例】(実施例1)まず、蛍光体シートを作製し
た。蛍光体としてBaFBr0.85I0.15:Eu2+(粒子サイズ3
μmφ/7μmφ=5/5)1000部、結合剤としてポリウレタン
樹脂(大日本インキ化学(株)製:パンデクスT-5205の精
製品、15%メチルエチルケトン(MEK)溶液)236.6部、架
橋剤としてポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業
(株)、コロネートHX(固形分100%))4.5部、黄変防止剤と
してエポキシ樹脂(油化シエルエポキシ(株)製:EP1001
の50%MEK溶液)20.0部、着色剤として群青(第一化成
工業(株)、SM-1)0.02部、分子側鎖に複数個の塩基性官
能基を有する櫛型共重合体(ゼネカ(株)製ソルスパース
24000GR)0.5部を、MEK に加え、ディスパーで分散し、
粘度が4Pa・s(20℃)の塗布液を調製した。
【0052】これをシリコン系離型剤が塗布されている
ポリエチレンテレフタレート(仮支持体、厚み180μm)
上に塗布し、乾燥した後、仮支持体から剥離して蛍光体
シート(厚み250μm)を形成した。
【0053】次に、反射(下塗)層を形成した。酸化ガ
ドリニウム(Gd2 O3 )の微細粒子(全粒子の90重量%
の粒子の粒子径が1〜5μmの範囲にあるもの)を30部、
結合剤として軟質アクリル樹脂(クリスコートP-1018G
S、20%溶液;大日本インキ化学工業(株))30部、フタ
ル酸エステルを3.5部、導電剤としてZnOウイスカーを10
部、着色剤として群青を0.4部を、MEKに加え、ディスパ
ーを用いて分散、混合して、粘度が0Pa・s(20℃)の反
射(下塗)層形成用塗布液を調製した。厚さ300μmのポ
リエチレンテレフタレート支持体上に均一塗布した後、
塗布膜の乾燥を行ない、支持体上に反射層(層厚:20μ
m)を形成した。
【0054】さらに、支持体上に形成された反射層上
に、先に作製しておいた蛍光体シートを載せ、圧縮を行
った。圧縮は、カレンダーロールを用いて、50Mpa の圧
力、上ロール温度を90℃、下ロール温度を75℃、そして
送り速度を2.0m/分の条件にて連続的に行なった。この
圧縮により蛍光体シートと支持体とは完全に融着した。
融着後の蛍光体層の厚さは220μmであった。
【0055】次に、保護層を形成した。フッ素系樹脂と
してフルオロオレフィン・ビニルエーテル共重合体(ル
ミフロン LF-504X(40%溶液)、旭硝子(株)製)50部、架
橋剤としてポリイソシアネート(スミジュールN3500、
住友化学(株)製)9部、滑り剤として反応性シリコーン
(サイラプレーンFM-DA26、チッソ(株)製)0.3部、触媒
としてジブチルチンジラウレート(KS1260、共同薬品
(株)製)0.003部、メラミン樹脂粒子としてエポスターS
6)10部を、MEKに溶解して、粘度30mPa・sの塗布液を調
製した。この塗布液を9μmのポリエチレンテレフタレー
ト上に塗布した後、120℃で 30分間熱処理して熱硬化さ
せるとともに乾燥した後、裏面にポリエステル系の接着
剤層を設けて接着剤層と蛍光体層を100℃、5MPaで熱厚
着させて保護膜を設けた。
【0056】最後に、縁貼りを行った。シリコーン系ポ
リマー(ポリジメチルシロキサン単位を有するポリウレ
タン、ダイアロマーSP-3023(15wt%溶液(溶媒:MEKとト
ルエンの混合溶媒))、大日精化(株)製)70部、架橋剤と
してポリイソシアネート(クロスネートD-70(50wt%溶
液)、大日精化(株)製)3部、黄変防止剤としてエポキシ
樹脂(EP1001(固形);油化シエルエポキシ(株)製) 0.6
部、滑り剤として反応性シリコーン(サイラプレーン F
M-DA26、チッソ(株)製)0.13部をMEK 15部に加え、溶解
させて、縁貼り形成用塗布液を調製した。
【0057】先に作製した支持体、反射層、蛍光体層及
び保護膜から構成されたパネルの各側面に縁貼り形成用
塗布液を塗布し、室温で充分乾燥させて、膜厚25μm の
縁貼り硬化皮膜を形成し、支持体、下塗層、蛍光体層、
保護膜及び縁貼り硬化皮膜から構成された放射線像変換
パネルを製造した。
【0058】(実施例2)実施例1において、蛍光体シ
ート組成の分子側鎖に複数個の塩基性官能基を有する櫛
型共重合体を、分子末端に1個の塩基性官能基を有する
直鎖高分子であるソルスパース9000にした以外は同様に
して放射線像変換パネルを製造した。
【0059】(実施例3)実施例1において、蛍光体シ
ート組成の分子側鎖に複数個の塩基性官能基を有する櫛
型共重合体の添加量を1部にした以外は同様にして放射
線像変換パネルを製造した。
【0060】(比較例1)実施例1において、蛍光体シ
ート組成の分子側鎖に複数個の塩基性官能基を有する櫛
型共重合体を添加しなかった以外は同様にして放射線像
変換パネルを製造した。
【0061】(比較例2)比較例1において、蛍光体シ
ートの結合剤として用いたポリウレタン樹脂に換えて、
イソホロンジイソシアネート/アジピン酸/ 1,6−ヘキ
サンジオール/ネオペンチルグリコール=50/20/20/1
0、SO3 Na=10-6 モル/gのポリウレタンを使用した以
外は同様にして放射線像変換パネルを得た。
【0062】(比較例3)実施例1において、蛍光体シ
ート組成の分子側鎖に複数個の塩基性官能基を有する櫛
型共重合体に換えて、複数個の酸性官能基を有する櫛型
共重合体であるソルスパース26000を使用した以外は同
様にして放射線像変換パネルを得た。
【0063】(放射線像変換パネルの画質評価)放射線
像変換パネルに、管電圧80kVpのX線を照射したのち、H
e-Neレ−ザ−光(632.8nm)で走査して蛍光体を励起し、
蛍光体層から放射される輝尽発光を受光して電気信号に
変換し、これを画像再生装置によって画像として再生し
て表示装置上に画像を得た。得られた蛍光体層から輝尽
発光光量測定し、また、得られた画像の変調伝達関数
(MTF)(空間周波数:2サイクル/mm)により鮮鋭度
を、また0.1mRの線量における粒状性(RM)を測定し
た。発光ムラは 35.5cm角の放射線像変換パネル内を 3c
m角に区切り、各区画の発光量の平均値の差によって評
価した。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】 上記の結果から明らかなように、本発明の放射線像変換
パネルは、分子末端に1個の官能基を有する共重合体ま
たは分子側鎖に複数個の官能基を有する櫛型共重合体か
らなる高分子分散剤を蛍光体層に含有させたので、蛍光
体粒子を蛍光体層に均一に分散させることができ、発光
量、鮮鋭度、粒状性が従来と同等以上で、発光ムラが大
幅に改善され、画像ムラの少ない良好な放射線像変換パ
ネルが得られた。
【0065】一方、従来のように、単に直鎖状の分子の
一部にランダムまたは不均一に官能基を有する結合剤を
使用しただけの場合(比較例1,2)や、酸性官能基を
有する高分子分散剤(比較例3)では発光ムラは改善さ
れなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す放射線発光パ
ネルの部分断面図
【図2】櫛型共重合体の概念的模式図
【符号の説明】
1 蛍光体層 2 保護層 3 支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01T 1/00 G01T 1/00 B G03B 42/02 G03B 42/02 B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも支持体と該支持体上に設けら
    れた蛍光体層とからなる放射線発光パネルにおいて、前
    記蛍光体層が、蛍光体と、分子末端に1個の官能基を有
    する共重合体または分子側鎖に複数個の官能基を有する
    櫛型共重合体からなる高分子分散剤とを含むことを特徴
    とする放射線発光パネル。
  2. 【請求項2】 前記官能基が塩基性型官能基であること
    を特徴とする請求項1記載の放射線発光パネル。
  3. 【請求項3】 前記高分子分散剤の添加量が前記蛍光体
    に対して 0.001重量%から1重量%であることを特徴と
    する請求項1または2記載の放射線発光パネル。
  4. 【請求項4】 前記蛍光体が輝尽性蛍光体であることを
    特徴とする請求項1、2または3記載の放射線発光パネ
    ル。
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