JP2002098202A - 歯付ベルト伝動装置及び事務用機器 - Google Patents

歯付ベルト伝動装置及び事務用機器

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JP2002098202A
JP2002098202A JP2000290906A JP2000290906A JP2002098202A JP 2002098202 A JP2002098202 A JP 2002098202A JP 2000290906 A JP2000290906 A JP 2000290906A JP 2000290906 A JP2000290906 A JP 2000290906A JP 2002098202 A JP2002098202 A JP 2002098202A
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tooth
belt
pulley
toothed
tooth groove
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JP2000290906A
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Hideaki Kawahara
英昭 川原
Masaki Ochiai
政喜 落合
Ryuichi Kido
隆一 城戸
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンタや複写機の事務用機器等に用いられ
る歯付ベルト伝動装置の歯付ベルト8の速度むらを可及
的に低減し、事務用機器の印字精度や画像品質の向上等
を図る。 【解決手段】 歯付ベルト10のベルト歯部13を、1
対の歯元部14と、凸形状の略円弧面からなる1対の歯
側面部15と、両歯側面部15同士を連続し、両歯側面
部15の円弧面に連続する円弧面部17及び両円弧面部
17を接続する1つの平面部18からなる歯先部16と
で構成する一方、歯付プーリ1,2の各プーリ歯溝部3
を、1対の歯頂円弧部4と、凹形状の円弧面からなる1
対の歯溝側面部5と、両歯溝側面部5同士を接続する歯
溝底部6とで構成し、ベルト10がプーリ1,2に巻き
付いた伝動状態で、ベルトランド部12とプーリ外径部
9とを非接触状態とする。ベルト歯部13のプーリ歯溝
部3への噛込時、対象のプーリ歯溝部3のベルト走行方
向前側に隣接するプーリ歯溝部3の後側歯元付近に対応
するベルトピッチラインPL上の点O′を中心として回
動させるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯付ベルト伝動装
置及びそれを用いた事務用機器に関し、特に、ベルトの
速度むら(速度変動)を低減させるための技術分野に属
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の歯付ベルトとして
は、ベルト歯部の形状が台形状であるものが一般的に用
いられていたが、より一層の高負荷を伝達したり、騒音
をより一層低減したりするという目的で、凸形状の側面
を有する歯部形状のベルトが提案され、現在では主流と
なっている。その歯形の1つが特開昭50―42252
号公報に示されるいわゆるSTPD歯形と呼ばれるもの
であり、他の1つが特開昭59―89852号公報に示
されたいわゆるHTD−II歯形と呼ばれるものである。
前者のSTPD歯形は、例えばバンドー化学(株)の商
品名「スーパートルクシンクロベルト」として、また後
者のHTD−II歯形は、ユニッタ(株)の商品名「パワ
ーグリップGTベルト」としてそれぞれ実用化されてい
る。
【0003】また、この他、事務用機器における可動部
の精密な位置決め駆動を目的として、特開昭64―74
341号公報に示される歯付ベルトも提案されている。
このものでは、図15に示すように、ベルト10′にお
ける本体11′のランドラインLL上に複数のベルト歯
部13′,13′,…(1つのみ示す)を一定ピッチで
設け、この各ベルト歯部13′は、歯幅方向中心線C2
に対し対称に配置された円弧面からなる歯元部14′,
14′と、この歯元部14′,14′に連続してかつ上
記歯幅方向中心線C2に対し対称に設けられた凸形状の
円弧面からなる歯側面部15′,15′と、この歯側面
部15′,15′に連続してかつ上記歯幅方向中心線C
2に対し対称に設けられた円弧面からなる円弧面部1
7′,17′とを備え、これら円弧面部17′,17′
同士は1つの平面からなる平面部18′により接続され
ている。そして、この歯付ベルト10′の歯付プーリ
1′との静的噛合い状態において、各ベルト歯部13′
の歯元部14′がプーリ歯溝部3′の歯頂円弧部4′と
略接触し、ベルト歯部13′のプーリ歯溝部3′でのバ
ックラッシュがベルト歯部13′の歯元から歯先にかけ
て漸次増大し、プーリ歯溝部3′の深さがベルト歯部1
3′の高さ以上になるように構成されている。
【0004】このものでは、プーリ歯溝部3′とのバッ
クラッシュをベルト歯部13′の歯元部14′でなくす
一方、そのプーリ歯溝部3′とのバックラッシュをベル
ト歯部13′の歯元から歯先にかけて漸増させてベルト
歯部13′を歯先に向かって細くし、このことでベルト
歯部13′とプーリ歯溝部3′の歯頂円弧部4′との噛
合い干渉を抑制して、この噛合い干渉に起因するベルト
ピッチラインPLの変動を低減するようにしている。
尚、図15中、5′はプーリ歯溝部3′における凹形状
の歯溝側面部、6′は歯溝底部である。また、ベルト1
0′のピッチラインPLはプーリ1′のピッチ円PCと
一致している。また、理解を容易にするために、図15
ではプーリ1′の外周部をベルト10′と共に展開して
示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、プリンタや
複写機に代表される事務用機器においては、歯付ベルト
伝動装置を利用した印字装置(画像印刷も含む)が一般
的に用いられている。この印字装置では、インクやハン
マ等の印字機構を装着したキャリッジを歯付ベルトに取
り付けて、この歯付ベルトを歯付プーリ間に掛け渡し、
プーリを正逆転させてキャリッジを往復動作させるよう
になっている。
【0006】そして、上記キャリッジによる印字精度や
画像品質を高めるために、歯付ベルトの走行時の速度む
ら(速度変動)を可能な限り低減することが要求され
る。特に、プリンタにおいては、近年、カラー印刷やそ
の高速化・高画質化が急速に進んでおり、歯付ベルトの
噛合振動(噛合いによる速度むら)が印字むらや画像む
らを引き起こすことがあるので、歯付ベルトの噛合速度
むらの低減が強く要求されている。
【0007】これらプリンタ等の事務用機器には、上記
STPD歯形やHTD−II歯形で歯部ピッチが3mm以
下(例えば3mm、2mm、1.5mm等)の歯付ベル
トが一般的に用いられており、その歯部の形状は8mm
ピッチや5mmピッチ等、比較的大きい歯部ピッチの歯
形をそのまま略相似的に縮小した形状が採用されてい
る。
【0008】しかしながら、これらの歯形は本来、高負
荷伝達の用途を目的として開発されたものであり、この
ため、上記速度むらを低減する要求については何等考慮
されていない。
【0009】尚、上記した特開昭64―74341号公
報に示される歯付ベルトは、速度むらの低減をある程度
考慮して提案されたものではあるが、その速度むらの低
減に最適な歯形とはなり得ておらず、速度むらを可及的
に低減するのに不十分であった。
【0010】すなわち、このように、歯付ベルトの速度
むら低減のための歯形状の研究等については、従来から
殆ど行われていないのが実情である。
【0011】本発明は斯かる諸点に鑑み、本発明者が上
記の如き事務用機器等に用いられる歯付ベルトの歯形状
を構成する種々の因子について解析及び実験を鋭意重ね
ることでなされたものであり、その目的は歯付ベルトの
速度むらを可及的に低減することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明者による研究の結果、ベルト歯部の側面を
凸形状の円弧面とした歯付ベルトにおいては、プーリに
巻き付いてベルト歯部が回動しながらプーリの歯溝部に
噛み合うとき、そのベルト歯部はベルトのピッチライン
上の点を中心として回動することに着目し、ベルト歯部
のプーリ歯溝部への噛合状態でベルト歯部間のランド部
をプーリ歯溝部間のプーリ外径部(歯頂部)から浮かせ
ることにより、ベルト歯部のプーリ歯溝部への噛合時の
ピッチライン上での回動中心をベルト走行方向前側にず
らして、ベルト歯部のプーリ歯溝部との噛合時の干渉を
さらに有効に抑制するようにした。
【0013】具体的には、請求項1の発明では、ピッチ
ライン上に抗張体が埋設されたベルト本体、及びこのベ
ルト本体のランドライン上に一定ピッチで設けられた複
数のベルト歯部を備えた歯付プーリと、プーリ外径ライ
ン上に一定ピッチで設けられた複数のプーリ歯溝部を備
えた歯付プーリとを組み合わせてなる歯付ベルト伝動装
置が対象である。
【0014】そして、上記歯付ベルトの各ベルト歯部
は、歯幅方向中心線に対し対称に配置された略円弧面か
らなる歯元部と、この歯元部に連続して歯部側面に位置
しかつ上記歯幅方向中心線に対し対称に設けられた凸形
状の略円弧面からなる歯側面部と、この両歯側面部の円
弧面の歯先側延長線よりも歯元側に位置し、両歯側面部
の円弧面に連続するように設けられた略円弧面からなる
円弧面部、及び両円弧面部を接続するように設けられた
略平面からなる1つの平面部からなる歯先部とで構成す
る。一方、歯付プーリの各プーリ歯溝部は、歯溝幅方向
中心線に対し対称に配置された略円弧面からなる歯頂円
弧部と、この歯頂円弧部に連続して歯溝幅方向中心線に
対し対称に設けられた凹形状の略円弧面からなる歯溝側
面部と、これら両歯溝側面部同士を接続するように設け
られた歯溝底部とで構成する。さらに、ベルトにプーリ
が巻き付いてベルトに張力が付与された伝動状態におい
て、ベルト本体のベルト歯部間のランド部とプーリ外径
部(歯頂部)とを非接触状態とする。
【0015】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
の対象と同様の歯付ベルト伝動装置として、歯付ベルト
の各ベルト歯部は、歯幅方向中心線に対し対称に配置さ
れた略円弧面からなる歯元部と、この歯元部に連続して
歯部側面に位置しかつ上記歯幅方向中心線に対し対称に
設けられた凸形状の略円弧面からなる歯側面部と、これ
ら両歯側面部の円弧面の歯先側延長線よりも歯元側に位
置し、両歯側面部の円弧面と連続しかつ歯幅方向中心線
上に中心点を持つ1つの円弧面からなる歯先部とで構成
する。一方、歯付プーリの各プーリ歯溝部は、歯溝幅方
向中心線に対し対称に配置された略円弧面からなる歯頂
円弧部と、この歯頂円弧部に連続して歯溝幅方向中心線
に対し対称に設けられた凹形状の略円弧面からなる歯溝
側面部と、これら両歯溝側面部同士を接続するように設
けられた歯溝底部とで構成する。そして、ベルトにプー
リが巻き付いてベルトに張力が付与された伝動状態にお
いて、ベルト本体のベルト歯部間のランド部とプーリ外
径部とを非接触状態とする。
【0016】これら発明の構成により、ベルトがプーリ
に巻き付くときには、ベルトのランド部がプーリ外径部
に円弧状に巻き付き、このランド部が巻き付いた後にベ
ルト歯部がプーリ歯溝部へ噛み込むが、このとき、ベル
ト歯部及びプーリ歯溝部の噛合時にベルトランド部とプ
ーリ外径部とが接触する通常の場合には、ベルト歯部
は、ベルト本体のピッチライン上においてベルト走行方
向前側の歯元付近における歯頂円弧部(プーリ歯溝部の
走行方向前側端部)に対応する点を回動中心(支点)と
して回動しながらプーリ歯溝部に噛み込む。これに対
し、この各発明のように、ベルトランド部とプーリ外径
部とが非接触状態となる構造では、ベルト歯部がプーリ
歯溝部へ噛み込む際、そのベルト歯部の回動中心は、上
記の如く噛み込もうとする対象のプーリ歯溝部のベルト
走行方向前側の歯元付近における歯頂円弧部に対応する
点ではなく、ベルトランド部がプーリ外径部から離れて
いることに起因して、上記対象のプーリ歯溝部のベルト
走行方向前側に隣接するプーリ歯溝部の後側歯元付近に
おける歯頂円弧部に対応する点にずれ、この点を回動中
心としてベルト歯部が回動しながら対象のプーリ歯溝部
に噛み込むようになる。このことで、上記ベルトランド
部とプーリ外径部とが接触状態である場合に比べて、ベ
ルト歯部の回動半径が大きくなり、その歯側面部の歯先
側の回動軌跡の突出量が小さくなってプーリ歯溝部の歯
溝側面部と干渉し難くなり、ベルト歯部はプーリ歯溝部
に滑らかに滑り込んで、ベルト歯部のプーリ歯溝部との
噛合い干渉に起因するベルトの速度むらをさらに小さく
することができる。
【0017】また、一般に、歯付ベルト伝動装置におけ
るプーリと歯付ベルトとの間の負荷の伝動は、プーリ歯
溝部及びベルト歯部間の噛合い伝動に加え、プーリ外径
部及びベルトランド部の間の摩擦伝動によってもなさ
れ、プーリの回転速度の変動がこれら2つの伝動態様に
よって歯付ベルトへ伝えられて、歯付ベルトの速度むら
が発生するが、ベルトランド部とプーリ外径部とが非接
触状態であると、上記プーリ及びベルト間の負荷伝動の
態様のうち、後者のプーリ外径部とベルトランド部との
摩擦伝動が取り除かれるので、このベルトランド部の摩
擦伝動によるプーリの回転速度変動のベルトへの伝達が
防止される。そして、ベルト歯部のうち、ベルトのラン
ドラインとプーリの外径ラインとの間の部分がその弾性
によりプーリの回転速度変動を吸収するようになり、こ
のプーリの回転速度変動が上記噛合い伝動によってベル
トへ伝達されるのを抑制して、ベルトの速度むらをさら
に小さくすることができる。
【0018】また、特に、請求項1の発明では、ベルト
歯部の歯先部は、両側面部の円弧面に連続するように設
けられた略円弧面からなる円弧面部と、これら両円弧面
部を接続するように設けられた略平面からなる1つの平
面部とで構成されているので、以下の作用効果を奏す
る。すなわち、プリンタの用途では、従動プーリ(図3
のプーリ2参照)を平プーリとして使用することがあ
り、その場合、ベルト歯部の歯先部が平プーリ外径部と
直接接触して走行するので、このベルト歯先部が略平面
であれば広い面積で荷重を受け持つこととなり、ピッチ
ラインの位置を安定させることができ、これによりベル
トの速度むらを抑えることができる。
【0019】一方、請求項2の発明では、ベルト歯部の
歯先部が、両歯側面部の円弧面と連続しかつ歯幅方向中
心線上に中心点を持つ1つの円弧面で構成されているの
で、請求項1の発明のように歯先部に平面部を有するも
の(図10仮想線参照)に比べ、ベルト歯部のプーリ歯
溝部への接触をさらに遅くすることができ(図10実線
参照)、その分、請求項3の説明で後述するようにベル
トの速度むらをより一層低減できる利点がある。
【0020】請求項3の発明では、上記歯付ベルトのラ
ンドライン上での歯元幅をWとしたとき、ベルト歯部の
歯側面部においてランドラインから歯高さ方向に0.3
W離れた基準位置での圧力角(以後、0.3W圧力角と
も記す)を26〜39°とする。こうすると、ベルトの
速度むらをさらに低減できて好ましい。
【0021】すなわち、ベルト歯部の側面を凸形状とし
た歯付ベルトにおいては、その側面の基準位置での圧力
角が速度むらに極めて大きな影響を与える。この理由
は、ベルト歯部側面の凸形状の歯側面部が通常0.6W
前後の歯高さを有するので、その歯高さの中央となる基
準位置での「0.3W圧力角」が凸形状歯形の圧力角と
して実質的に有効な指標となるからである。
【0022】従来のSTPD歯形やHTD−II歯形を有
する歯付ベルトでは、高負荷伝動を目的としているの
で、高負荷時のベルトの歯飛び(ジャンピング)を避け
るために、歯部側面の上記0.3W圧力角は小さく設定
される。例えば歯部ピッチが1.5〜3.0mmのST
PD歯形では上記0.3W圧力角は25.1〜25.3
°の範囲に、また1.5〜3.0mmピッチのHTD−
II歯形では0.3W圧力角は20.8〜21.1°の範
囲にそれぞれ設定されている。これに対し、事務用機器
の用途に用いられる歯付ベルトは、軽負荷伝動条件下で
駆動されるものであるので、上記の如きベルトの歯飛び
を考慮する必要は殆どない。発明者の研究の結果によれ
ば、歯部側面の0.3W圧力角を26〜39°とするこ
とで、ベルトの速度むらを大きく低減できる。そして、
ベルトのスパン(プーリに巻き付いていない部分)でベ
ルトピッチラインがベルトスパンと直交する方向に上下
動することにより、噛合い速度むらが発生する。上記ピ
ッチラインの上下動量は、ベルト歯部がプーリ歯溝部に
滑り込む際に発生する反力と、その反力によってベルト
が上側に押し上げられたときに発生するベルト張力の分
力とによって決まる。このため、接触位置がベルト歯部
とプーリ歯溝部との完全噛合位置から離れるほどベルト
張力の分力が小さくなり、ピッチラインの押上げ量が大
きくなる。換言すれば、ベルト歯部のプーリ歯溝部への
接触が早期になされるほど速度むらが大きくなるのであ
る。
【0023】それ故、従来の歯部形状のように0.3W
圧力角が小さいと、ベルト歯部の側面がプーリ歯溝部の
側面に早く接触する(図5(b)参照)のに対し、本発
明のように0.3W圧力角が従来のものよりも大きい
と、ベルト歯部のプーリ歯溝部側面との接触は遅くなり
(図5(a)参照)、このことによってベルトの速度む
らを低減することができる。
【0024】一方、上記0.3W圧力角を無闇に大きく
することはできず、それが大き過ぎると、却って速度む
らが増大する。すなわち、上記のとおり、ベルト歯部の
側面はプーリ歯溝部の側面と接触した後に滑り込む反力
とベルト張力の分力とによってベルトスパンの移動量が
決まるが、そのとき、0.3W圧力角が大き過ぎると、
ベルト歯部がプーリ歯溝部に滑り込む際に発生する反力
の垂直方向(ベルトスパンと直交する方向)の成分が大
きくなり過ぎ、容易に滑り込めなくなってベルトピッチ
ラインが押し上げられるためである。
【0025】したがって、上記0.3W圧力角は、上記
の如く26〜39°にあれば最適の許容範囲が得られる
こととなり、従来の圧力角(例えば25.1〜25.3
°)を有するものに比べてベルトの速度むらの低減に極
めて有効である。
【0026】請求項4の発明では、歯付ベルトのランド
部を略平面とする。このことで、上記請求項1又は2の
発明の効果が有効に得られる。
【0027】請求項5の発明では、歯付ベルトのベルト
歯部の歯側面部と歯付プーリのプーリ歯溝部の歯溝側面
部とを略相似形として、ベルトにプーリが巻き付いてベ
ルトに張力が付与された伝動状態において、ベルト歯部
の歯側面部及びプーリ歯溝部の歯溝側面部の歯高さ方向
の各位置での圧力角を略等しくする。
【0028】上記のように、凸状円弧の歯側面部を有す
る歯付ベルトで、圧力角を適正範囲に大きく構成すれ
ば、プーリ歯溝部との接触を遅くすることができるた
め、ベルトそのものとして速度むらを低減させる効果を
有するが、プーリ歯溝形状との組合せにより、より一層
大きな効果を発揮できる。すなわち、ベルト歯形状とプ
ーリ歯溝形状の組合せにより速度むらの低減を狙った従
来技術として、上記した特開昭64―74341号公報
のものがある。このものは、前述のようにベルト歯部と
プーリ歯溝部との間のバックラッシュが歯先部から歯先
側に向かって漸増させる(つまりベルト歯側面の圧力角
よりも、プーリ歯溝側面の圧力角を小さくしたもの)こ
とにより、噛込み時のベルト歯のプーリ歯溝への干渉を
抑えることを狙ったものである(図15参照)。
【0029】しかし、この構成では、確かに無負荷の伝
動状態で干渉は殆ど起こらないが、現実には前述のよう
に通常の伝動状態で、与えられる負荷トルクの影響によ
り、ベルト歯部はプーリ歯溝部の位置に対し若干遅れた
位置で噛み込むので、ベルト走行方向後側の歯部側面が
プーリ歯溝部の側面に接触し、その後に滑り込む。この
とき、従来例のように、ベルト歯側面の圧力角よりも、
プーリ歯溝側面の圧力角を小さくすると、ベルト歯部側
面はプーリ歯溝部の歯頂円弧部に接触し、ベルト歯部は
プーリ歯溝部の歯頂円弧部に突き上げられながら噛み込
む(図6(b)参照)。これにより、プーリ歯溝部にス
ムーズに滑り込むことができず、ベルトピッチラインが
押し上げられて速度むらが増大してしまう。実際、有限
要素法を用いた速度むら解析において、ベルトとプーリ
の圧力角が同じものに対して、速度むらが悪化する結果
となる。
【0030】これに対し、請求項5の発明の構成によれ
ば、ベルト歯部の側面とプーリ歯溝部の歯溝側面との歯
高さ方向の各位置での圧力角が略等しいため、噛込み時
にベルト歯部側面がプーリ歯溝部側面に対し、均一に接
触してベルト歯部がプーリ歯溝部にスムーズに滑り込む
ようになり、ベルトピッチラインが押し上げられない
(図6(a)参照)。従って、ベルト歯部側面の圧力角
が従来よりも大きくベルト歯側面がプーリ歯溝側面との
接触が遅いことと相俟って、ベルトの速度むらを極めて
小さく抑えることができる。
【0031】請求項6の発明では、事務用機器として、
上記歯付ベルト伝動装置が装備されていて、その歯付ベ
ルトにキャリッジが取り付けられているものとする。こ
のことで、歯付ベルト伝動装置の作動時に、キャリッジ
を移動させて印字等をするとき、ベルトの速度むらによ
るキャリッジの速度変動が小さくなるので、キャリッジ
による印字精度や画像品質を高めることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図3は本発明の実
施形態1に係る歯付ベルト伝動装置Aの全体構成を示
し、この伝動装置Aは、プリンタや複写機に代表される
事務用機器に装備されるものである。図3において、1
は歯付プーリからなる駆動プーリ、2は同様の従動プー
リで、これらプーリ1,2は例えば水平方向に対向して
配置されている。両プーリ1,2間には歯付ベルト10
が噛合い状態で巻き掛けられ、この歯付ベルト10の下
側スパンにはインクやハンマ等の印字機構(図示せず)
を装着したキャリッジ24が取付部24aにて移動一体
に取付固定されており、駆動プーリ1,2を正転又は逆
転させて歯付ベルト10を走行移動させることにより、
キャリッジ24をプーリ1,2間で往復動作させるよう
にしている。
【0033】図2に拡大して示すように、上記歯付プー
リからなる駆動又は従動プーリ1,2は、外周のプーリ
外径ライン上のプーリ外径部9に一定ピッチで設けられ
た複数のプーリ歯溝部3,3,…(1つのみ図示する)
を備えている。この各プーリ歯溝部3は、その歯溝幅方
向中心線C1に対し対称に配置された円弧半径r1Pの
円弧面からなる1対の歯頂円弧部4,4と、これら両歯
頂円弧部4,4に連続して上記歯溝幅方向中心線C1に
対し対称に設けられ、ピッチ円PCの近傍(後述の如く
プーリ1,2に噛み合うベルト10の歯部13における
歯側面部15の円弧面中心点O1Bと同じ位置)に中心
点O1Pを有しかつ後述するベルト歯部13の歯側面部
15の円弧半径RBよりも若干大きい円弧半径RP(>
RB)の凹形状の円弧面からなる1対の歯溝側面部5,
5と、これら両歯溝側面部5,5を連続するように設け
られた歯溝底部6とで構成され、この歯溝底部6は、両
歯溝側面部5,5同士を接続するように設けられた略円
弧面からなる円弧面部7,7と、該両円弧面部7,7同
士を接続するように設けられた略平面からなる1つの平
面部8とで構成されている(尚、図2においては、理解
を容易にするためにプーリ1,2の外周をベルト10と
共に展開した状態で示している)。
【0034】一方、上記歯付ベルト10は、図1に拡大
して示すように、弾性材からなるベルト本体11を備え
ている。このベルト本体11はゴム製又はポリウレタン
製であるのが好ましく、その他、例えば合成樹脂系等の
材料でもよい。ゴム製の場合、クロロプレンゴムが用い
られる他、NBR、SBR、EPDM等でもよく、その
ゴムの硬度はJIS−Aで65〜85°程度のものがよ
い。ベルト本体11をポリウレタン製とする場合、その
ポリウレタンは熱硬化性でかつエーテル系のものが用い
られるが、熱可塑性やエステル系のものでもよい。
【0035】また、上記ベルト本体11のピッチライン
PL上に抗張体としての心線(図示せず)が埋設されて
いる。この心線は、ベルト本体11がゴム製又はポリウ
レタン製のいずれであっても、主としてガラス繊維、ア
ラミド繊維が用いられ、カーボンやPBO等の繊維でも
よい。また、事務用機器の消費電力を低減するために、
ロストルクが小さくなるように細径の心線が望ましい。
【0036】また、ベルト10の速度むらを低減する狙
いからみて、ベルト10のピッチラインPLを安定して
維持するために、ベルト10の曲げ剛性を低くする点、
また、負荷がかけられたときの歯ピッチPBの維持によ
り噛合干渉を低減し、事務用機器の起動時の速度変動を
素早く減衰させるために、ベルト10の引張弾性率を高
くする点を考慮すると、高弾性率の心線を用いるのがよ
い。
【0037】上記ベルト本体11のランドラインLL上
には、歯元幅W(ベルト歯部13の後述する両方の歯側
面部15,15の歯元方向の円弧延長線とランドライン
LLとの交差位置間の寸法)を有する複数の歯部13,
13,…(1つのみ図示する)がベルト長さ方向に一定
の歯ピッチPBで形成され、この歯部13,13間にあ
るベルト本体11の底面に、ランドラインLL上に位置
するランド部12が設けられている。このランド部12
は、円弧面でもよいが、歯幅方向中心線C2に対し対称
に配置された円弧面からなる歯元部14,14によりベ
ルト歯部13側面と連続して接続された略平面で構成す
るのが望ましい。
【0038】また、上記ベルト歯部13のピッチPB
は、上記歯元幅Wに対し、PB=1.25W〜1.5W
とされ、特に、PB=1.37W〜1.47Wとするの
が好ましい。
【0039】上記の如くベルト本体11がゴム製である
場合、その歯部13の表面に合成繊維製の織布(図示せ
ず)が貼り付けられる。その織布はポリアミド繊維が望
ましいが、ポリエステル繊維でもよい。織布は通常、R
F処理、エポキシ処理、RFL処理等の接着処理が施さ
れ、糊ゴムにより処理される。この糊ゴム処理は、織布
の表裏両面に行われることもあるが、特に事務用機器の
用途ではベルト10表面からのゴム粉の飛散を嫌い、し
かもベルト10の速度むらの低減という目的からみてベ
ルト10表面の摩擦係数を低くしておく必要があるため
に、歯部13の表面となる側にゴム処理を行わないのが
好ましい。
【0040】一方、ベルト本体11がポリウレタン製で
ある場合、歯部13の表面に織布は設けられておらず、
ベルト本体11に心線のみが埋め込まれたものとなる。
【0041】本発明の特徴は、上記各ベルト歯部13及
びプーリ歯溝部3の形状にある。すなわち、図1に示す
ように、各ベルト歯部13は、そのベルト長さ方向両側
に、ベルト歯部13の歯幅方向中心線C2(ベルト長さ
方向の中心線)に対し対称に位置しかつランド部12に
連続する所定半径r1Bの円弧面からなる1対の歯元部
14,14と、これらの歯元部14,14に連続して歯
部13の側面に位置しかつ上記歯幅方向中心線C2に対
し対称に設けられ、円弧半径RBの凸形状の円弧面から
なる1対の歯側面部15,15と、これら両歯側面部1
5,15の円弧面の円弧状の歯先側延長線15aよりも
歯元側(内側)に位置し、両歯側面部15,15同士を
連続するように設けられた歯先部16とで構成され、こ
の歯先部16は、両歯側面部15,15に連続してかつ
上記歯幅方向中心線C2に対し対称に設けられた所定半
径r2Bの略円弧面からなる円弧面部17,17と、こ
れら両円弧面部17,17同士を連続するように設けら
れた1つの略平面からなる平面部18とで構成されてい
る。
【0042】上記各歯側面部15の円弧面の中心点O1
Bは、上記ベルト10のピッチラインPL上又はその近
傍に位置するのが望ましい。また、この各歯側面部15
の円弧面の円弧半径RBは、RB=0.7W〜1.5W
に設定するのがよく、特に、RB=0.8W〜1.3
W、さらにはRB=0.9W〜1.1Wとする好まし
い。
【0043】そして、上記歯付ベルト10のベルト歯部
13側面の歯側面部15においてランドラインLLから
歯高さ方向に0.3W離れた基準位置Dでの0.3W圧
力角θBはθB=26〜39°とされ、望ましくはθB
=28〜35°であり、そのうちθB=29〜33°が
好ましく、最適値はθB=31°(図示例のもの)であ
る。
【0044】また、図2に示す如く、上記ベルト歯部1
3の側面(歯幅方向の側面)とプーリ歯溝部3の側面
(歯溝幅方向の側面)とは互いに略相似形であり、ベル
ト10が各プーリ1,2に巻き付いてベルト10に張力
が付与された実際の伝動状態では、ベルト歯部13及び
プーリ歯溝部3の各側面の歯高さ方向の各位置でのベル
ト歯部13側面の圧力角とプーリ歯溝部3側面の圧力角
とが略等しく構成され、ベルト歯部13の歯先部16と
プーリ歯溝部3の歯溝底部6とが接触している一方、ベ
ルト本体11のランド部12はプーリ外径部9から所定
寸法だけ離れて該プーリ外径部9とは非接触状態にあ
る。
【0045】この実施形態においては、歯付ベルト10
がプーリ1,2に巻き付くときには、まず、そのベルト
10のランド部12がプーリ外径部9に円弧状に巻き付
き、このランド部12が巻き付いた後にベルト歯部13
がプーリ歯溝部3へ噛み込むが、このとき、ベルト歯部
13及びプーリ歯溝部3の噛合状態でベルトランド部1
2とプーリ外径部9とが接触するようになっている通常
の場合には、図4に仮想線にて示すように、ベルト歯部
13は、ベルト本体11のピッチラインPL上において
ベルト走行方向前側の歯元付近における歯頂円弧部4
(プーリ歯溝部3の走行方向前側端部)に対応する点O
を回動中心(支点)として回動しながらプーリ歯溝部3
に噛み込む。しかし、この実施形態では、ベルト歯部1
3及びプーリ歯溝部3の噛合時にベルトランド部12と
プーリ外径部9とは接触しないので、ベルト歯部13が
プーリ歯溝部3へ噛み込む際、そのベルト歯部13のピ
ッチラインPL上の回動中心は、上記ベルトランド部1
2とプーリ外径部9とが接触状態にある場合のように、
噛み込もうとする対象のプーリ歯溝部3のベルト走行方
向前側の歯元付近における歯頂円弧部4に対応する点O
ではなく、ベルトランド部12がプーリ外径部9から離
れている分だけ、上記対象のプーリ歯溝部3のベルト走
行方向前側に隣接するプーリ歯溝部3の後側歯元付近に
おける歯頂円弧部4に対応する点O′にずれ、ベルト歯
部13はこの点O′を回動中心として回動しながらプー
リ歯溝部3に噛み込むようになる。このことで、上記ベ
ルトランド部12とプーリ外径部9とが接触状態である
場合(図4で仮想線にて示す)に比べて、ベルト歯部1
3の回動半径が大きくなり、その歯側面部15の歯先側
の回動軌跡の突出量が小さくなってプーリ歯溝部3の歯
溝側面部5と干渉し難くなり、ベルト歯部13はプーリ
歯溝部3に滑らかに滑り込むことができる。このため、
干渉に伴って発生するプーリ1,2からの反力によりベ
ルト10のピッチラインPLが押し上げられて変動する
のを低減でき、噛合い干渉に起因するベルト10の速度
むらを小さくすることができる。
【0046】尚、図1及び図2に示す如く、上記回動中
心O′となるベルトピッチラインPLがベルト歯部13
における歯側面部15の円弧中心点O1Bよりも歯先側
に位置していると、同ベルトピッチラインPLがベルト
歯部13における歯側面部15の円弧中心点O1Bと同
じか又はそれよりも歯元側に位置している構造と比べ、
ベルト歯部13の歯側面部15の歯先側の回動半径が小
さくなり、そのベルト歯部13の回動に伴う回動軌跡が
プーリ歯溝部3の歯溝側面部5から離れるようになって
該歯溝側面部5と干渉し難くなり、ベルト歯部13はプ
ーリ歯溝部3にさらに滑らかに滑り込み、両者の噛合い
干渉に起因するベルト10の速度むらをより一層小さく
することができる。
【0047】また、一般に、プーリ1,2と歯付ベルト
10との間の負荷の伝動は、プーリ歯溝部3及びベルト
歯部13間の噛合い伝動に加え、プーリ外径部9及びベ
ルトランド部12の間の摩擦伝動によってもなされ、プ
ーリ1,2の回転速度の変動がこれら2つの伝動態様に
よって歯付ベルト10へ伝えられて、その歯付ベルト1
0の速度むらが発生するが、ベルトランド部12とプー
リ外径部9とが非接触状態であると、上記プーリ1,2
及びベルト10間の負荷伝動の態様のうち、後者のプー
リ外径部9とベルトランド部12との摩擦伝動が取り除
かれる。従って、このベルトランド部12の摩擦伝動に
よるプーリ1,2の回転速度変動のベルト10への伝達
が防止されるので、ベルト歯部13のうちベルト10の
ランドラインLLとプーリ1,2の外径ラインとの間の
部分の弾性によりプーリ1,2の回転速度変動が吸収さ
れるようになり、このプーリ1,2の回転速度変動が上
記噛合い伝動によってベルト10へ伝達されるのを抑制
して、ベルト10の速度むらをさらに小さくすることが
できる。
【0048】また、ベルト本体11がポリウレタン製で
ある歯付ベルト10において、そのベルト歯部13の歯
ピッチPBが1.5mm以下であるときには、心線をラ
ンド部12から離すために設ける凹部の寸法が極めて小
さく、金型の加工が難しいため、上記の如き凹部を設け
ずに、ランド部12上に直接心線を配設しているが、こ
の心線がプーリ外径部9に接触して傷付けられないよう
にすべく、ベルト10のランド部12がプーリ外径部9
と接触しない状態で使用される。そして、この実施形態
のようにベルト10のランド部12を略平面とすること
で、上記心線の位置を安定させることができる。
【0049】また、図5に示すように、歯付ベルト10
の各歯部13が歯付プーリからなる駆動プーリ1の各歯
溝部3に噛み込むとき、与えられる負荷トルクの影響に
よりベルト歯部13はプーリ歯溝部3の位置に対し若干
遅れた位置で噛み込むので、ベルト走行方向後側の歯部
13側面がプーリ歯溝部3の側面に接触した後にベルト
歯部13がプーリ歯溝部3に滑り込む。
【0050】そのとき、ベルト10のスパン(プーリ1
に巻き付いていない部分)でベルトピッチラインPLが
ベルトスパンと直交する方向に上下動することにより、
噛合い速度むらが発生し、上記ピッチラインPLの上下
動量は、ベルト歯部13がプーリ歯溝部3に滑り込む際
に発生する反力と、その反力によってベルト10が上側
に押し上げられたときに発生するベルト張力の分力とに
よって決まるため、接触位置がベルト歯部13とプーリ
歯溝部3との完全噛合位置から離れるほどベルト張力の
分力が小さくなってピッチラインPLの押上げ量が大き
くなり、ベルト歯部13のプーリ歯溝部3への接触が早
期であると速度むらが大きくなる。
【0051】したがって、従来の歯付ベルト10では、
図5(b)に示すように、上記したベルト歯部13側面
の0.3W圧力角θBが小さい(θB=20.8〜2
5.3°)ので、ベルト歯部13の側面がプーリ歯溝部
3の側面に早く接触するのに対し、この実施形態では、
図5(a)に示す如く、上記0.3W圧力角θBがθB
≧26°と従来よりも大きいので、ベルト歯部13のプ
ーリ歯溝部3側面との接触は遅くなり、このことによっ
てベルト10の速度むらを低減することができる。
【0052】一方、このように、ベルト歯部13の側面
はプーリ歯溝部3の側面と接触した後に滑り込む反力と
ベルト張力の分力とによってベルトスパンの移動量が決
まり、そのときに、0.3W圧力角θBが大き過ぎる
と、ベルト歯部13がプーリ歯溝部3に滑り込む際に発
生する反力の垂直方向(ベルトスパンと直交する方向)
の成分が大きくなり過ぎ、容易に滑り込めなくなってベ
ルトピッチラインPLが押し上げられ、却ってベルト1
0の速度むらが増大するが、この実施形態では、上記
0.3W圧力角θBはθB≦39°であるので、ベルト
歯部13がプーリ歯溝部3にスムーズに滑り込むように
なり、ベルト10の速度むらの増大を抑えることができ
る。つまり、0.3W圧力角θBの最適範囲をθB=2
6〜39°とすることで、ベルト10の速度むらを可及
的に低減することができる。
【0053】また、この実施形態では、ベルト歯部13
の側面とプーリ歯溝部3の側面との歯高さ方向の各位置
での圧力角が略等しいため、図6(a)に示すように、
ベルト歯部13の側面がプーリ歯溝部3の側面に対し均
一に接触してベルト歯部13がプーリ歯溝部3にスムー
ズに滑り込むこととなる。このため、図6(b)に示す
如く、プーリ歯溝部3の圧力角をベルト歯部13の圧力
角よりも小さくした場合のように、ベルト歯部13の側
面がプーリ歯溝部3の側面でなくて歯頂円弧部4に接触
してベルト歯部13がプーリ歯溝部3の歯頂円弧部4に
突き上げられることはなく、ベルト10の速度むらをさ
らに抑制することができる。
【0054】また、上記ベルト歯部13の歯側面に位置
する歯側面部15の円弧半径RBは、ランドラインLL
上での歯元幅Wに対し、RB=0.7W〜1.5Wとさ
れているので、次の作用効果が得られる。すなわち、上
記のように、0.3W圧力角θBを大きくすることによ
って、ベルト歯部13のプーリ歯溝部3への噛込み時に
ベルト歯部13のプーリ歯溝部3への接触が遅くなり、
これにより速度むらを小さくすることができるが、同じ
0.3W圧力角θBを有する歯形であっても、その歯形
の歯側面部15の円弧半径RBによってベルト歯部13
のプーリ歯溝部3への滑込み易さが異なるため、速度む
らに影響する。つまり、ベルト10のプーリ1,2への
噛込みにおいては、上記の如く、ベルト10のランド部
12がプーリ1,2の外径部9に円弧状に巻き付いた後
にベルト歯部13がプーリ歯溝部3へ噛み込むとき、そ
のベルト歯部13は、対象のプーリ歯溝部3よりもベル
ト走行方向前側のプーリ歯溝部3の後側歯元付近におけ
るピッチラインPL上の点O′を回動中心としてプーリ
歯溝部3に噛み込むが、歯側面部15の円弧半径RBが
大き過ぎると(例えばRB=1.6W)、図7(b)に
示すように、ベルト歯部13の歯先部16付近がプーリ
歯溝部3の側面に干渉しながら滑り込む一方、逆に歯側
面部15の円弧半径RBが小さ過ぎる場合(例えばRB
=0.65W)は、図7(c)に示す如く、ベルト歯部
13の側面がプーリ歯溝部3の歯頂円弧部4付近に干渉
しながら滑り込む虞れがあり、こうしてベルト歯部13
の歯先部16付近又は側面が干渉しながら滑り込むこと
によって、噛込み時に発生するプーリ1,2からの反力
が大きくなり、ピッチラインPLが押し上げられて速度
むらが大きくなる。
【0055】しかし、この実施形態のように、ベルト歯
部13の歯側面部15の円弧半径RBがベルト歯元幅W
と略等しければ(RB=0.7W〜1.5W)、図7
(a)に例示するように、上記の如き干渉は殆ど発生せ
ず、滑らかに滑り込むことができて速度むらが小さくな
る。よって、歯側面部15の円弧半径RBが歯元幅Wに
対し、RB=0.7W〜1.5Wの範囲であれば、ベル
ト10の速度むらの低減に有効である。
【0056】また、歯付ベルト10の歯ピッチPBは、
歯元幅Wに対し、PB=1.25W〜1.5Wとされて
いるので、以下の作用効果を奏する。すなわち、ベルト
10の速度むらを低減させるためには、ベルト10の歯
ピッチPBができるだけ小さくてプーリ歯数が多い方
が、多角形効果が小さく(より一層円に近く)なるの
で、有利であり、PB=1.5W以下であれば、従来の
ものに比べて、速度むらが小さくなる。一方、PB=
1.25W未満では、プーリ外径部9が狭くなり過ぎ、
プーリ1,2の強度や加工性に問題がある。このため、
この実施形態のように、PB=1.25W〜1.5Wと
することで、プーリ1,2の強度や加工性の問題を招く
ことなく、ベルト10の速度むらを低減することができ
る。
【0057】さらにまた、ベルト歯部13の歯先部16
に略平面の平面部18が設けられている一方、プーリ歯
溝部3の歯溝底部6に略平面の平面部8が設けられてい
るので、ベルト10がプーリ1,2に完全に噛み合った
状態では、ベルト歯部13の歯先部16における平面部
18全体をプーリ歯溝部3の歯溝底部6における平面部
8が広い面積で受けることになり、完全噛合い時のベル
ト10の心線位置(ピッチラインPL)をより安定させ
て、ベルト10の速度むらをさらに低減することができ
る。
【0058】以上のようにベルト10の速度むらが可及
的に低減されることによって、事務用機器の印字精度や
画像品質の向上等を図ることができる。
【0059】また、上記プーリ1,2における各プーリ
歯溝部3の歯溝底部6が略平面であるので、プーリ歯溝
部3の歯溝底部6をベルト歯部13の歯先部16と同じ
略平面形状とすることができる。尚、この実施形態1に
おいて、プーリ歯溝部3の歯溝底部6のみを、プーリ中
心方向に中心を持つ円弧面で形成してもよい。
【0060】(実施形態2)図8及び図9は本発明の実
施形態2を示し(尚、以下の各実施形態では図1及び図
2と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説
明は省略する)、この実施形態では、ベルト歯部13の
形状を変えたものである。
【0061】すなわち、この実施形態では、図9に示す
如く、上記実施形態1と同様に、プーリ1,2における
各プーリ歯溝部3は、歯溝幅方向中心線C1に対し対称
に配置された円弧面からなる歯頂円弧部4,4と、この
歯頂円弧部4,4に連続して歯溝幅方向中心線C1に対
し対称に設けられた凹形状の円弧面からなる歯溝側面部
5,5と、これら両歯溝側面部5,5同士を連続するよ
うに設けられた円弧面部7,7及び平面部8からなる歯
溝底部6とで構成されている。
【0062】一方、図8及び図9に示すように、歯付ベ
ルト10の各ベルト歯部13は、実施形態1とは異な
り、そのベルト長さ方向両側に、ベルト歯部13の歯幅
方向中心線C2に対し対称に位置しかつランド部12に
連続する所定半径r1Bの円弧面からなる1対の歯元部
14,14と、この歯元部14,14に連続して歯部1
3側面に位置しかつ上記歯幅方向中心線C2に対し対称
に設けられた円弧半径RBの凸形状の円弧面からなる1
対の歯側面部15,15と、この両歯側面部15,15
同士を連続するように設けられ、上記ベルト歯部13の
歯幅方向中心線C2上に中心点O2Bを持つ円弧半径r
TBの1つの円弧面からなる歯先部16とで構成されて
いる。
【0063】そして、上記実施形態1と同様に、上記各
ベルト歯部13側面の歯側面部15の基準位置Dでの
0.3W圧力角θBはθB=26〜39°とされ、望ま
しくはθB=28〜35°で、そのうちθB=29〜3
3°が好ましく、最適値はθB=31°(図示例のも
の)である。
【0064】さらに、上記ベルト歯部13側面とプーリ
歯溝部3の側面とは略相似形で、ベルト10がプーリ
1,2に巻き付いてベルト10に張力が付与された伝動
状態では、ベルト歯部13及びプーリ歯溝部3の各側面
の歯高さ方向の各位置でのベルト歯部13側面の圧力角
とプーリ歯溝部3側面の圧力角とが略等しく構成され、
かつベルト歯部13の歯先部16とプーリ歯溝部3の歯
溝底部6とが接触し、ベルト本体11のランド部12は
プーリ外径部9から離れて両者は非接触状態にある。そ
の他の構成は実施形態1と同様である。
【0065】したがって、この実施形態においても、上
記実施形態1と同様の作用効果が得られる。そのことに
加え、各ベルト歯部13の歯先部16が1つの円弧面で
構成されているので、図10で実線にて示すように、ベ
ルト歯部13のプーリ歯溝部3への接触をさらに遅くす
ることができ、単に0.3W圧力角θBを大きくするの
みの実施形態1の構造(図10に仮想線にて示す)に比
べ、ベルト10の速度むらをさらに有効に低減できる利
点がある。
【0066】(実施形態3)図11は実施形態3を示
し、この実施形態では、歯付ベルト10における各ベル
ト歯部13は、上記実施形態2と同様に、その先端部
に、1つの円弧面からなる歯先部16がベルト長さ方向
両側の両歯側面部15,15同士を連続するように設け
られている。
【0067】これに対し、プーリ1,2における各プー
リ歯溝部3の歯溝底部6は、歯溝幅方向中心線C1上に
中心点O2Pを持ちベルト歯部13の歯先部16の円弧
半径rTBよりも少し大きい円弧半径rTPの1つの円
弧面で構成されている。その他は実施形態2と同様の構
成である。
【0068】この実施形態の場合、各プーリ歯溝部3の
歯溝底部6が各ベルト歯部13の歯先部16の円弧面の
半径rTBよりも少し大きい半径rTP(>rTB)を
持つ円弧面で形成されているので、ベルト10のプーリ
1,2への噛込み時、ベルト歯部13の側面がプーリ歯
溝部3の側面により一層滑らかに滑り込む。しかも、ベ
ルト歯部13の歯先部16が歯側面部15と連続的に設
けられた円弧面であり、またプーリ歯溝部3の歯溝底部
6が歯溝側面部5と連続的に設けられた円弧面であるの
で、ベルト10とプーリ1,2とが完全噛合い状態に至
る瞬間まで、ベルト歯部13の側面のみならず歯先部1
6までもがプーリ歯溝底部6に滑らかに滑り込むように
なる。これらの作用により、ピッチラインPLの上下量
が殆ど起こらず、ベルト10の速度むらを極めて小さく
することができる。
【0069】また、プーリ歯溝部3の歯溝底部6はベル
ト歯部13の歯先部16の円弧半径rTBよりも若干大
きい半径rTPの円弧面で構成されているので、この場
合もやはり、ベルト歯部13の歯先部16円弧面の略全
体をプーリ歯溝部3における歯溝底部6の円弧面の広い
面積で受けることができ、完全噛合い時のベルト10の
心線位置を安定させて、ベルト10の速度むらを低減す
ることができる。
【0070】(他の実施形態)尚、上記各実施形態は、
プリンタや複写機等の事務用機器に装備された歯付ベル
ト10及び伝動装置Aについて説明しているが、本発明
は、事務用機器以外の歯付ベルト及び伝動装置に対して
も適用できるのはいうまでもない。
【0071】
【実施例】次に、具体的に実施した実施例について説明
する。ベルト及びプーリからなる伝動装置を製作して、
そのベルトの速度むらを測定装置で測定する台上試験を
実施した。すなわち、本発明例として、図1及び図2に
示す実施形態1の構成で歯付ベルト及び歯付プーリを製
作した。具体的には、ベルトの0.3W圧力角が29.
2°で、プーリの0.3W圧力角も同じ29.2°と
し、プーリと噛み合った状態でベルト本体のベルト歯部
間のランド部とプーリ外径部とが非接触状態となる歯付
ベルト、及び歯付ベルトを製作した(本発明例)。
【0072】これに対し、従来例として、ベルトの0.
3W圧力角が25.3°で、プーリの0.3W圧力角も
同じ25.3°で、プーリと噛み合った状態でベルト本
体のベルト歯部間のランド部とプーリ外径部とが接触状
態となる歯付ベルトと、歯付ベルトとを製作した。
【0073】その各々の寸法は下記の表1のとおりであ
る。尚、寸法値はベルト歯部のピッチ(2.117m
m)を「1.0」とする指数で表している。
【0074】
【表1】
【0075】具体的には、歯付ベルトは歯ピッチ2.1
17mmの円弧歯形状の歯部を持つゴム製のもので、そ
のゴムは硬度70°のクロロプレンゴムで、心線は径
0.3mmのガラス繊維からなる。織布はポリアミドウ
ーリー加工糸からなり、RF処理と、裏面のみのゴム糊
処理とを施した。
【0076】そして、これらの歯付ベルトについて、実
際の走行時の速度むらを図12に示すベルト速度むら測
定装置により測定した。この測定装置は、試験用の歯付
ベルト10を巻き掛ける歯付プーリからなる駆動及び従
動プーリ1,2を備えており、その従動プーリ2への静
荷重DWによりベルト張力を付与しかつ従動プーリ2を
無負荷にした状態で駆動プーリ1を図で矢印の方向に回
転させ、そのときのベルト10の緩み側スパンにおいて
駆動プーリ1の軸心からd1=10mm離れた部位に対
し、その部位からベルト側方にd2=100±2mm離
れた位置のプローブ43からレーザ光43aを当て、そ
のプローブ43の出力信号に基づいて速度むら測定器4
4によりベルト40の速度むらを測定し、この速度むら
の周波数をFFT45により解析してパソコン46に取
り込み、そのデータをプリンタ47によりプリントする
ようにしたものである。この速度むら測定装置の測定デ
ータを図13に、またベルト10の速度むらの周波数を
分析したデータを図14にそれぞれ示す(図14(a)
は本発明例2を、図14(b)は従来例をそれぞれ示し
ている)。本発明例及び従来例のそれぞれの噛み合い周
波数での速度変動をみると、本発明例が0.03%であ
るのに対し、従来例は0.13%であり、このことによ
って、本発明の構成によりベルトの速度変動が著しく低
減されることが裏付けられた。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1では、歯
付ベルトと歯付プーリとを組み合わせてなる歯付ベルト
伝動装置として、歯付ベルトの各ベルト歯部を、略円弧
面からなる1対の歯元部と、凸形状の略円弧面からなる
1対の歯側面部と、この歯側面部の円弧面の歯先側延長
線よりも歯元側に位置する歯先部とで構成して、この歯
先部は両歯側面部の円弧面に連続するように設けられた
略円弧面からなる円弧面部と、両円弧面部を接続するよ
うに設けられた略平面からなる1つの平面部とからなる
ものとする一方、歯付プーリの各プーリ歯溝部を、円弧
面からなる1対の歯頂円弧部と、凹形状の円弧面からな
る1対の歯溝側面部と、両歯溝側面部同士を接続する歯
溝底部とで構成し、ベルトがプーリに巻き付いてベルト
に張力が付与された伝動状態で、ベルト本体のベルト歯
部間のランド部とプーリ外径部とが非接触状態となるよ
うにした。また、請求項2の発明では、請求項1の発明
と同様の構成において、ベルト歯部の歯先部を、両歯側
面部の円弧面と連続しかつ歯幅方向中心線上に中心点を
持つ1つの円弧面からなるものとした。従って、これら
の発明によると、ベルト歯部がプーリ歯溝部へ噛み込む
際に、対象のプーリ歯溝部のベルト走行方向前側に隣接
するプーリ歯溝部の後側歯元付近における歯頂円弧部に
対応するベルトピッチライン上の点を回動中心として回
動しながらプーリ歯溝部に噛み込むようにして、ベルト
歯部の歯側面部の歯先側の回動軌跡をプーリ歯溝部の歯
溝側面部から離してそれと干渉し難くすることができ
る。しかも、プーリ及びベルト間の負荷伝動の態様のう
ち、プーリ外径部とベルトランド部との摩擦伝動を取り
除いて、ベルトランド部の摩擦伝動によるプーリの回転
速度変動のベルトへの伝達を防止し、ベルト歯部のベル
トランドラインとプーリ外径ラインとの間の部分の弾性
によりプーリの回転速度変動を吸収して、プーリの回転
速度変動がベルトへ伝達されるのを抑制することができ
る。よって、これらの相乗効果により、ベルトの速度む
らをさらに小さくすることができる。
【0078】請求項3の発明によると、上記歯付ベルト
におけるランドライン上での歯元幅をWとして、ベルト
歯部の歯側面部においてランドラインから歯高さ方向に
0.3W離れた基準位置での0.3W圧力角を26〜3
9°としたことにより、ベルト歯部のプーリ歯溝部への
噛合時にベルト歯部の側面をプーリ歯溝部の側面に遅く
接触させるとともに、ベルト歯部がプーリ歯溝部に滑り
込む際に発生する反力の垂直方向の成分を小さくして、
容易に滑り込ませることができ、歯付ベルトの速度むら
をさらに低減することができる。
【0079】請求項4の発明によれば、歯付ベルトのラ
ンド部を略平面としたことにより、上記請求項1又は2
の発明の効果が有効に得られる。
【0080】請求項5の発明によると、ベルト歯部の歯
側面部をプーリ歯溝部の歯溝側面部と略相似形とし、ベ
ルトがプーリに巻き付いてベルトに張力が付与された伝
動状態で、ベルト歯部及びプーリ歯溝部の各側面の歯高
さ方向の各位置でのベルト歯部側面の圧力角とプーリ歯
溝部側面の圧力角とを略等しくしたことにより、伝動状
態でのベルト歯部のプーリ歯溝部への噛込み時にベルト
歯部側面がプーリ歯溝部側面に均一に接触してベルト歯
部がプーリ歯溝部にスムーズに滑り込むようになり、ベ
ルトピッチラインの押上げを抑えて、ベルトの速度むら
をさらに低減することができる。
【0081】請求項6の発明によると、上記歯付ベルト
伝動装置が装備されていて、その歯付ベルトにキャリッ
ジが取り付けられている事務用機器としたことにより、
その事務用機器のキャリッジの速度変動を小さくして印
字精度や画像品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1における歯付ベルトの歯部
を拡大して示す断面図である。
【図2】実施形態1における歯付ベルト伝動装置の歯付
ベルトの歯部が歯付プーリに噛み合った状態を展開して
示す拡大断面図である。
【図3】歯付ベルト伝動装置の全体構成を概略的に示す
正面図である。
【図4】ベルト歯部が回動しながらプーリ歯溝部に噛み
合うときの回動中心の違いによる差を示す図である。
【図5】歯付ベルトの歯部が歯付プーリの歯溝部に噛み
合う状態を概略的に示す説明図である。
【図6】歯付ベルトの歯部側面と歯付プーリの歯溝部側
面との圧力角の相違に応じた噛合状態を示す図5相当図
である。
【図7】ベルト歯部の歯側面部の円弧半径の大きさに応
じた噛合状態を示す図5相当図である。
【図8】本発明の実施形態2における歯付ベルトの歯部
を示す図1相当図である。
【図9】実施形態2を示す図2相当図である。
【図10】実施形態2において歯付ベルトの歯部が歯付
プーリの歯溝部に噛み合う状態を概略的に示す図5相当
図である。
【図11】実施形態3を示す図2相当図である。
【図12】ベルトの速度むら測定装置を示す図である。
【図13】ベルトの速度むら測定装置の測定データを示
す図である。
【図14】ベルトの速度むらの周波数を分析したデータ
を示す図である。
【図15】従来の歯付ベルトの歯部が歯付プーリに噛み
合った状態を示す図2相当図である。
【符号の説明】
A 歯付ベルト伝動装置 1,2 プーリ 3 プーリ歯溝部 4 歯頂円弧部 5 歯溝側面部 6 歯溝底部 7 円弧面部 8 平面部 9 プーリ外径部 C1 歯溝幅方向中心線 O2P 中心点 rTP 円弧半径 10 歯付ベルト 11 ベルト本体 12 ランド部 13 ベルト歯部 14 歯元部 15 歯側面部 16 歯先部 17 円弧面部 18 平面部 D 基準位置 PL ピッチライン LL ランドライン C2 歯幅方向中心線 O2B 中心点 rTB 円弧半径 θB 0.3W圧力角 W 歯元幅 O′ 回動中心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城戸 隆一 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15号 バンドー化学株式会社内 Fターム(参考) 2C480 CA01 CA09 DA04 DA16 3J031 AA01 BB05 CA04 3J049 AA03 BF02 BH04 CA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチライン上に抗張体が埋設されたベ
    ルト本体と、該ベルト本体のランドライン上に一定ピッ
    チで設けられた複数のベルト歯部とを備えた歯付ベルト
    と、 プーリ外径ライン上に一定ピッチで設けられた複数のプ
    ーリ歯溝部を備えた歯付プーリとを組み合わせてなる歯
    付ベルト伝動装置であって、 上記歯付ベルトの各ベルト歯部は、歯幅方向中心線に対
    し対称に配置された略円弧面からなる歯元部と、 上記歯元部に連続して歯部側面に位置しかつ上記歯幅方
    向中心線に対し対称に設けられた凸形状の略円弧面から
    なる歯側面部と、 上記両歯側面部の円弧面の歯先側延長線よりも歯元側に
    位置し、両歯側面部の円弧面に連続するように設けられ
    た略円弧面からなる円弧面部と、該両円弧面部を接続す
    るように設けられた略平面からなる1つの平面部とから
    なる歯先部とで構成されている一方、 上記歯付プーリの各プーリ歯溝部は、歯溝幅方向中心線
    に対し対称に配置された略円弧面からなる歯頂円弧部
    と、 上記歯頂円弧部に連続して歯溝幅方向中心線に対し対称
    に設けられた凹形状の略円弧面からなる歯溝側面部と、 上記両歯溝側面部同士を接続するように設けられた歯溝
    底部とで構成されており、 ベルトにプーリが巻き付いてベルトに張力が付与された
    伝動状態において、ベルト本体のベルト歯部間のランド
    部とプーリ外径部とが非接触状態にあることを特徴とす
    る歯付ベルト伝動装置。
  2. 【請求項2】 ピッチライン上に抗張体が埋設されたベ
    ルト本体と、該ベルト本体のランドライン上に一定ピッ
    チで設けられた複数のベルト歯部とを備えた歯付ベルト
    と、 プーリ外径ライン上に一定ピッチで設けられた複数のプ
    ーリ歯溝部を備えた歯付プーリとを組み合わせてなる歯
    付ベルト伝動装置であって、 上記歯付ベルトの各ベルト歯部は、歯幅方向中心線に対
    し対称に配置された略円弧面からなる歯元部と、 上記歯元部に連続して歯部側面に位置しかつ上記歯幅方
    向中心線に対し対称に設けられた凸形状の略円弧面から
    なる歯側面部と、 上記両歯側面部の円弧面の歯先側延長線よりも歯元側に
    位置し、両歯側面部の円弧面と連続しかつ歯幅方向中心
    線上に中心点を持つ1つの円弧面からなる歯先部とで構
    成されている一方、 上記歯付プーリの各プーリ歯溝部は、歯溝幅方向中心線
    に対し対称に配置された略円弧面からなる歯頂円弧部
    と、 上記歯頂円弧部に連続して歯溝幅方向中心線に対し対称
    に設けられた凹形状の略円弧面からなる歯溝側面部と、 上記両歯溝側面部同士を接続するように設けられた歯溝
    底部とで構成されており、 ベルトにプーリが巻き付いてベルトに張力が付与された
    伝動状態において、ベルト本体のベルト歯部間のランド
    部とプーリ外径部とが非接触状態にあることを特徴とす
    る歯付ベルト伝動装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の歯付ベルト伝動装置に
    おいて、 歯付ベルトのランドライン上での歯元幅をWとしたと
    き、ベルト歯部の歯側面部においてランドラインから歯
    高さ方向に0.3W離れた基準位置での圧力角が26〜
    39°であることを特徴とする歯付ベルト伝動装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つの歯付ベル
    ト伝動装置において、 歯付ベルトのランド部が略平面であることを特徴とする
    歯付ベルト。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つの歯付ベル
    ト伝動装置において、 歯付ベルトのベルト歯部の歯側面部と歯付プーリのプー
    リ歯溝部の歯溝側面部とは略相似形であり、 ベルトにプーリが巻き付いてベルトに張力が付与された
    伝動状態において、ベルト歯部の歯側面部及びプーリ歯
    溝部の歯溝側面部の歯高さ方向の各位置での圧力角が略
    等しく構成されていることを特徴とする歯付ベルト伝動
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1つの歯付ベル
    ト伝動装置が装着されていて、 歯付ベルトにキャリッジが取り付けられていることを特
    徴とする事務用機器。
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