JP2002071815A - X線画像撮影装置 - Google Patents

X線画像撮影装置

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JP2002071815A
JP2002071815A JP2000254438A JP2000254438A JP2002071815A JP 2002071815 A JP2002071815 A JP 2002071815A JP 2000254438 A JP2000254438 A JP 2000254438A JP 2000254438 A JP2000254438 A JP 2000254438A JP 2002071815 A JP2002071815 A JP 2002071815A
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ray
grid
photoelectric conversion
sensor
foil
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JP2000254438A
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Yoshihiro Ogawa
善広 小川
Tomoyuki Tamura
知之 田村
Mitsuo Hiraoka
美津穂 平岡
Kazumi Nagano
和美 長野
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線画像撮影装置の散乱X線除去用グリッド
のX線透過率を向上させると共に、シンチレータ内の散
乱成分を減少させてMTFを向上させる。更には、グリ
ッドの縞目や、モアレ縞のない画像を、移動グリッドを
用いることなく実現する。 【解決手段】 X線画像撮影装置に用いるX線画像検出
部10の光電変換素子1に隣接して、それぞれの光電変
換素子1の間の不感体部分9aの直上に、分割された帯
状又は格子状の蛍光体等のシンチレータ3を配置する。
シンチレータ3に隣接して、散乱X線除去用グリッド1
1を配置し、同じ光電変換素子1の間の不感体部分9a
の直上に、散乱X線除去用グリッド内のX線吸収部材4
を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線画像撮影装置
に関し、特に、散乱線除去用グリッドと蛍光体を備える
X線ディジタル画像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、X線撮影の方法として、フィルム
/スクリーン法が最も一般的に用いられている。この方
法は、感光性フィルムと、X線に感度のある蛍光体とを
組み合わせて撮影する方法である。
【0003】この方法では、X線を照射すると発光する
希土類の蛍光体をシート状にしたものを、感光性フィル
ムの両面に密着して保持し、被写体を透過したX線を蛍
光体で光に換え、感光性フィルムでその光を捉える。そ
のフィルムを現像することで像が可視化される。
【0004】又、X線撮影の第2の方法として、コンピ
ューテッドラディオグラフィ(CR)と呼ばれる方法も
実用化されている。この方法は、放射線の透過画像を潜
像として蛍光体中にいったん蓄積した後に励起光を照射
することでその潜像を読み出す方式である。
【0005】ある種の蛍光体に放射線(X線、α線、β
線、γ線、電子線、紫外線等)を照射すると、この放射
線エネルギーの一部が蛍光体中に蓄積される。この蛍光
体に可視光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネル
ギーに応じて蛍光体が輝尽発光を示すことが知られてい
る。このような性質を示す蛍光体は、蓄積性蛍光体(輝
尽性蛍光体)と呼ばれている。
【0006】CR法を用いたX線画像撮影のシステムと
しては、蓄積性蛍光体を利用した放射線画像情報記録再
生システムが知られており、例えば、特開昭55−12
429号公報や同56−11395号公報に開示されて
いる。このシステムでは、まず、人体等の被写体の放射
線画像情報を蓄積性蛍光体のシートにいったん記録し、
このシートをレーザ光等の励起光で走査して輝尽発光さ
せる。そして、その輝尽発光光を光電的に読み取って得
た画像信号に基づいて、被写体の放射線画像を、写真感
光材料等の記録材料やCRT等の表示装置に可視像とし
て出力させている。
【0007】又、X線撮影の第3の撮影方法として、半
導体センサを使用するものも知られている。
【0008】この半導体センサを用いるX線画像撮影シ
ステムでは、銀塩写真を用いる放射線写真システムと比
較して、極めて広い放射線露出域にわたって画像を記録
する。これは、実用的な利点である。すなわち、半導体
センサを用いたシステムでは、非常に広いダイナミック
レンジのX線を光電変換手段により読み取って変換した
電気信号を用いて、放射線画像を、写真感光材料等の記
録材料やCRT等の表示装置に可視像として出力させ
る。これによって、放射線露光量の変動に影響されない
放射線画像が出力される。
【0009】図6は、上述した半導体センサを用いた放
射線画像撮影システムの一例を示す図である。
【0010】103は、X線検出センサ104を内蔵し
たX線画像撮影装置である。本装置において、X線発生
装置101から発せられて被写体102を透過したX線
は、複数の光電変換素子が二次元に配置された検出面を
有するX線検出センサ104で検出される。この検出手
段104から出力される画像信号が画像処理手段107
でディジタル画像処理され、モニタ108に上記被写体
のX線画像が出力される。
【0011】上述した3種類のX線撮影方法において、
散乱X線除去用グリッド(グリッド)を用いる場合があ
る。このグリッドは、X線照射によって人体等の被写体
の内部で発生する散乱X線を除去するためのもので、X
線管球とフィルム等の検出器との間で、検出器の直前に
配置されて使用される。このグリッドを用いて撮影を行
うと、X線像のコントラストが改善される。
【0012】図7は、上述したグリッドの断面図であ
る。X線は、上方のA方向から照射される。110は、
X線の吸収率が高い箔で、通常は鉛が用いられる。11
1は、箔と箔の間にある中間物質で、X線吸収率の低い
アルミニウム、紙、木、合成樹脂、炭素繊維強化樹脂等
が用いられる。112は、箔110と中間物質111を
カバーする部材で、アルミ等が用いられる。尚、紙面に
垂直な別の部分の断面も同様の構造になっている。すな
わち、箔110は紙面に垂直方向に帯状に連続してい
る。
【0013】上述したグリッドを用いると、被写体の体
内で散乱されたX線による解像度の低下が防止される。
すなわち、箔110と平行に入射する1次光は、グリッ
ドを透過するが、箔110と或る傾きをもってグリッド
に入射する散乱X線は、箔110に吸収されてグリッド
を透過しない。
【0014】箔110は、光源であるX線源の直下とな
る中心部分については、110aのようにカバー112
に対して垂直で、周辺にいくにしたがって、110b、
110cのように中心部すなわちX線源の方向に傾くも
のが多い。この収束グリッドを用いる場合には、グリッ
ドとX線源の距離やそれらの中心を合わせて撮影する必
要がある。一方、箔を傾かせていないグリッドもあり、
これは平行グリッドと呼ばれている。
【0015】又、グリッドの散乱線除去の程度を表す指
標として、グリッド比という数字が用いられている。図
7において、グリッド比は、グリッドの中心部における
隣り合った箔110の間隔L1と、箔110の高さL2
との比を取ったもので、通常、箔の間隔を1として表す
ものである。例えば、図7において示したグリッドのグ
リッド比は、(L2/L1):1と表される。
【0016】グリッドは、一般に、グリッド比が6:
1、8:1、10:1、12:1、14:1等となるも
のが用いられる。グリッド比が高いほど散乱線除去の能
力は高くなるが、管球に対する傾きによる、いわゆる、
けられが多くなる。
【0017】又、1cmあたりの箔の数は、グリッド密
度(本/cm)として表される。同じグリッド密度にお
いてグリッド比が高くなると、散乱線の除去能力は向上
するが、中間物質111は厚くなってX線透過率が低下
する。
【0018】図8は、図6に示した放射線画像撮影シス
テムによるX線撮影に用いられるX線画像撮影装置のX
線画像検出部及びグリッドの断面図である。120は、
X線画像検出部で、絶縁基板122上に光電変換素子1
21を二次元に複数配置したものである。光電変換素子
121に隣接している123は、蛍光体である。蛍光体
123にX線を照射すると、蛍光体内123で蛍光物質
が励起され、光電変換素子121の分光感度波長領域に
近い波長の蛍光が発せられる。
【0019】130は、図7に示したものと同様のグリ
ッドである。グリッド130は、X線吸収率の高い鉛等
の箔131と、X線吸収率の低いアルミ等からなる中間
物質132及びカバー部材133とからなっている。X
線の1次光134は、グリッドを通過して蛍光体123
に至る。一方、X線の散乱線成分135は、箔131と
平行ではなく或る角度を持って入射するため箔131に
当たって吸収される。
【0020】又、グリッド130は、B又はC方向に移
動できるように、図示しない指示機構によって支持され
ている。そして、共に図示しない駆動機構及び制御部に
よって、グリッド130は、撮影中に、B又はC方向に
移動する。したがって、X線画像検出部120で得られ
る画像には、グリッドが固定されている場合に検出され
るグリッドの縞目や、グリッドの箔と画素とのピッチの
差によって発生するモアレ縞等がない。
【0021】更に、固定グリッドを設けたX線平面検出
機が、特開平9−75332号公報に開示されている。
これには、X線平面検出機の不感部分にグリッドの鉛部
分を形成したものが開示されている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のX線画像撮影装置では、撮影時に照射するX線
の線量を少なくして被験者への被爆量を減らすことと、
良好な画像を得ることとを両立させるという点では大き
な問題があった。
【0023】すなわち、グリッドが鉛等のX線吸収重金
属とアルミ箔等の軽金属との積層体からなる場合には、
X線検出器に至るX線強度が低下してしまうという問題
があった。このX線強度低下の原因の一つは、図8に示
したX線検出器120に至るX線は、必ず中間物質13
2を通過しなければならないということにある。
【0024】中間物質には、上述したように、X線透過
率の高いアルミ等の材料が用いられるが、高いといって
も当然、透過率は100%ではない。例えば、1cmあ
たりの箔の枚数を表すグリッド密度が40本/cmで、
グリッド比が10:1の場合には、図8に示した鉛の箔
131の厚みL4を43μmとすると、中間物質132
の厚みL3は207μm(=(1cm/40)−L4)
となり、中間物質132の高さL5は2070μm(=
L3×10)となる。中間物質132をアルミにする
と、約2mmの厚さになり、X線の1次光の透過率は約
70%程度になる。したがって、30%のX線強度が損
失となってしまう。又、X線の入射方向から見て、箔1
31の鉛は約17%(=L4/(L3+L4))のX線
を透過しないので、前述の中間物質132の損失も考え
ると、全体で透過率は約60%程度(=0.7×(1−
0.17))となり、非常に大きな割合で、X線強度の
低下が起こってしまう。
【0025】グリッドによるX線の吸収を改良するため
に、X線平面検出機の不感部分に鉛箔を形成するもの
が、特開平9−75332号公報に開示されている。一
般に、X線平面検出機の1画素の大きさは、良好な解像
度を維持するためには、少なくとも200μm以下が好
ましい。一方、X線平面検出機の感度を向上するために
は、撮影画素部の有効検出部(放射線感応部)の面積
は、できるだけ大きいことが望まれる。よって、画素と
画素との間に相当する不感部分の幅は小さくなる。
【0026】したがって、不感部分に設けるグリッドの
鉛箔の厚さは、通常、20μmから80μm程度となる
必要がある。しかし、この薄さであると、グリッドの機
械的強度は低下する。特に、グリッド間を空隙にした場
合には、機械的強度の低下は大きくなる。更に、カセッ
テ撮影の場合のように、X線平面検出機の上に人間等の
被写体の荷重がかかる場合には、グリッドの変形が生
じ、撮影画像にグリッドの影が現れて、良好な画像とな
らない。
【0027】又、従来のX線撮影装置は、蛍光体が、す
べての光電変換素子を覆うような連続平面状のものとな
っている。したがって、図8において、グリッドを通過
してきたX線の1次光134が蛍光体123に至り、蛍
光体内123で発生する蛍光136がさまざまな方向に
向かう。よって、蛍光136は、発光した場所の直下の
光電変換素子121aだけでなく、隣接する別の光電変
換素子121bに至るものもある。
【0028】したがって、グリッド130によって、入
射する散乱線成分は除去することができるが、蛍光体1
23内の散乱線成分については除去することができず、
画像のMTFを低下させてしまうという問題があった。
加えて、光電変換素子の信号強度を向上させるために蛍
光体123の厚みを増加させて、発光する光の強度を上
げようとすると、この傾向はさらに強まってX線撮影装
置の感度向上のための障害となってしまう。
【0029】そこで、本発明は、グリッドによるX線散
乱線成分の除去を従来どおり行いつつ、グリッドを透過
する際のX線強度の低下量を低減して、画質を低下させ
ることなく、被験者への被爆線量を低減すること、蛍光
体内の散乱成分を低減して、各光電素子間のクロストー
クを低減し、MTFを改善すること、及びグリッドの縞
目やモアレ縞のない良好な画像を得ることを課題として
いる。
【0030】更に、本発明は、グリッドを移動する機構
を不要にして、可動部のない、安価でメンテナンスフリ
ーの安定した装置とすること、グリッド補強樹脂を入れ
て、グリッドの耐荷重強度を増加させること、グリッド
補強樹脂を接着性樹脂にして、耐荷重強度をより一層増
加させること、及びカセッテ撮影の信頼性を向上させる
ことをも課題としている。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、基板上に形成された光電変換素子の2次元
配列を有するセンサと、蛍光体層及びX線透過層との積
層体をX線吸収体によって上記2次元配列に区画したグ
リッド体とを備え、上記センサ上に上記グリッド体を搭
載したX線画像撮影装置であって、上記蛍光体層を、上
記光電変換素子の各受光面上に積層し、上記X線透過層
を、上記各蛍光体層のX線入射面に積層し、上記X線吸
収体を、上記光電変換素子同士の間隙上に位置させると
ともに、上記光電変換素子の受光面と垂直に配置する。
【0032】ここで、上記X線吸収体を、上記光電変換
素子同士の間隙上に位置させるとともに、上記センサの
中央部では上記光電変換素子の受光面と垂直に配置し、
上記センサの周辺に向かうにしたがって上記センサの中
心部側に徐々に傾けて配置するものに置き換えてもよ
い。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について説明する。
【0034】図1、図2は、それぞれ、実施形態1のX
線画像撮影装置に用いるX線画像検出部の断面図及び平
面図である。10はX線画像検出部である。X線画像検
出部10は、絶縁基板2、光電変換素子1及び符号11
の部分からなっている。11は、グリッド及び蛍光体部
である。
【0035】光電変換素子1は、紙面に垂直な方向の平
面内に2次元的に複数個分布している。光電変換素子1
は、半導体プロセスによって絶縁基板2の上に形成され
ている。絶縁基板2には通常、ガラス板が用いられる。
ガラス板を用いるのは、光電変換素子1等を形成する半
導体素子との間に化学作用がないこと、半導体プロセス
中の高温に耐えること、寸法が安定すること、平面精度
が良好なこと等の理由からである。9aは、隣り合う光
電変換素子1の間の隙間で、入射光に対して感度のない
不感体部分である。
【0036】グリッド及び蛍光体部11は、蛍光体等の
シンチレータ3、箔4及び中間物質5からなっている。
シンチレータ3は、光電変換素子1に隣接して設けられ
ている。箔4は、X線の吸収率の高い箔で、通常、鉛が
用いられる。
【0037】中間物質5は、箔4の間にあるグリッド補
強用樹脂で、X線吸収率の低い合成樹脂や炭素繊維強化
樹脂等が用いられる。合成樹脂の材料としては、機械的
強度の高いプラスチック樹脂を用いることが好ましい。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン
テレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン又は
ポリエーテルスルフォンが用いられる。更に、箔4の材
料である鉛等と接着性のよい、多官能アクリル基を有す
る紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂、さらに熱硬化性エポキ
シ樹脂等を用いることが好ましい。
【0038】箔4に対して接着性の良い樹脂を、中間物
質5の材料として用いることで、X線吸収材料である箔
4とグリッド補強樹脂である中間物質5との密着性が向
上し、中間物質5の材料がポリカーボネート等の接着性
の無い樹脂材料である場合と比較して、外部応力に対す
るグリッド11の機械的強度が増加する。
【0039】X線吸収材料である箔4は、それぞれ、不
感体部分9aの直上に形成され、箔4の厚みと不感体部
分9aの幅はほぼ一致したものになっている。又、シン
チレータ3は、箔4によって分割されている。グリッド
補強樹脂である中間物質5は、隣り合った箔4と箔4と
の間で、シンチレータ3の直上に形成されている。
【0040】図2は、図1のD方向から見た平面図であ
る。斜線部で表された略正方形の形状の領域1a、1b
は、光電変換素子1の1画素であり、図1に示した1
a、1bに対応している。箔4及びグリッド補強樹脂で
ある中間物質5は、図2における紙面上下方向に連続し
て形成されている。グリッド補強樹脂5の直下に形成さ
れている光電変換素子1は、上述したように略正方形で
2次元的に分布している。したがって、図1に示した箔
4の直下にある不感体部分9aに対して略直交して、不
感体部分9bが紙面左右方向に存在する。
【0041】次に、図1、図2に示したX線画像検出部
10にX線が入射した場合について説明する。
【0042】X線の1次光6は、箔4に対して略平行に
入射するため、グリッド補強樹脂である中間物質5を通
過してシンチレータ3に至り、シンチレータ3の内部
で、光電変換素子1に対して感度のある波長の蛍光8を
発光する。蛍光8は色々の角度に出射されるが、箔4に
吸収されるので、左右方向に隣接する別の光電変換素子
1に至ることはない。一方、X線の散乱線成分7は、箔
4に対して平行でなく、ある角度をもって入射するた
め、箔4にあたって吸収され、光電変換素子1に至るこ
とはない。
【0043】図2で示したように、箔4は図2の上下方
向に連続であるから、図1に示した断面では、X線の散
乱線成分7及びシンチレータ3の散乱は遮蔽されない。
しかしながら、通常のフィルム、スクリーン系の撮影方
式で用いられるように、グリッドの箔の連続している方
向(図2の上下方向)を通常被験者の体軸と略一致させ
ることで、大部分の散乱線成分は除去される。
【0044】実施形態1を要約すると、箔4は、光電変
換素子1の間の不感体部分9a上にのみ存在するので、
光電変換素子1上のシンチレータ3に入射するX線を遮
ることはない。したがって、従来の装置における、中間
物質と箔の厚みの割合(開口率)で決まるX線透過率の
低下という不具合がおこらない。例えば、従来の装置の
説明で述べたグリッド比が10:1の場合、鉛の箔の厚
みを43μm、中間物質の厚みを207μmとすると、
約17%(=43/(43+207))のX線を透さな
い。すなわち、開口率83%である。これに対し、本実
施形態では、グリッド部を形成していながら、開口率は
100%である。したがって、同じ光電変換素子を用い
た場合でも、感度が約20%(=100/83)向上し
たことに相当し、被験者への被爆線量が抑えられる。
【0045】又、入射するX線の散乱線成分の除去だけ
でなく、発光した蛍光の散乱も除去することで、光電素
子間のいわゆるクロストークが減少する。したがって、
MTFが向上し、良好な画像が得られる。
【0046】尚、実施形態1では、シンチレータ3が図
2の上下方向に対して連続に形成されたものを述べた
が、光電変換素子1の略正方形形状に対応して、不感体
部分9bの上部のシンチレータ3を除いた形状としても
よい。この場合には、上下方向のMTFも向上する。
又、前述したグリッド比が約3:1以上であれば、散乱
線の除去が良好に行われる。
【0047】図3は、実施形態2のX線画像撮影装置に
用いるX線画像検出部20の断面図である。図1、図2
と同一の符号は同一の部材を表す。
【0048】図1、図2に示した実施形態1と図3に示
す実施形態2の異なる点は、グリッド部21の形状にあ
る。図1に示したように、実施形態1では、グリッド1
1内の箔4がお互いにすべて平行に配置された平行グリ
ッドであるのに対して、図2に示す実施形態2では、グ
リッド部21は、いわゆる収束グリッドとなっている。
【0049】すなわち、中心線26付近の箔23aは、
光電変換素子1aの検出面に対して垂直であるが、周辺
にいくにしたがって、箔23は、検出面の垂線25から
中心線26側へ傾いていく。周辺部の箔23bと中心線
26とのなす角度θは、中心線26付近では0である
が、中心線26から左右方向に離れるにしたがって増加
していく。図3において、箔23の上方の延長線は、中
心線26の上方の1点で交わるようにする。
【0050】上述した実施形態2のX線画像検出部20
を用いたX線画像撮影装置で、各箔23の延長線の交点
にX線管球を配置して撮影すれば、周辺部においても、
グリッド21の箔23bによる所謂けられのない画像が
得られる。すなわち、周辺部の光強度の低下のない、良
好な画像が得られる。
【0051】図4は、実施形態3のX線画像撮影装置に
用いるX線画像検出部30の断面図である。図1、図2
と同一の符号は同一の部材を表す。
【0052】図4に示すX線画像検出部30は、図1に
示したX線画像検出部10の変形の形態であり、X線吸
収材料4の表面に蛍光反射層4aを設けたものである。
【0053】X線吸収材料4の表面に形成された蛍光反
射層4aによって蛍光体等のシンチレータ32で発生し
た蛍光8は、周囲に散乱するものの、中間物質5を挟ん
で向かい側の蛍光反射層4aによって反射され、センサ
の受光部1aに到達するものが多くなる。更に、グリッ
ド補強樹脂である中間物質5の最外層の表面に蛍光反射
層5aを設ければ、シンチレータ32から発生した蛍光
8が、反射層に囲まれた内部から外部に拡散することが
少なくなる。したがって、シンチレータの蛍光取り出し
効率が向上する。
【0054】実施形態3によれば、蛍光の散乱線成分も
センサに効率よく送り届けられ、図1、図2に示した実
施形態1で用いたものよりも高感度のX線平面センサと
なる。
【0055】以上説明した実施形態においては、グリッ
ド部の表面や、グリッド部と蛍光体部、蛍光体部と光電
変換素子部の間に、カバー部や接着層があってもよい。
【0056】続いて、上述した実施形態の製造方法につ
いて、具体例に則して説明する。
【0057】[実施例−1]図1に示した箔4として、
X線吸収材料となる厚さ30μmの鉛箔を、中間物質5
として、グリッド補強樹脂となる厚さ130μmのポリ
エチレンテレフタレートを準備する。更に、シンチレー
タ3用の蛍光体塗布ペーストとして、酸硫化ガドリニウ
ムとテルビウム(3%含有)を80重量部、酢酸セルロ
ースを10重量部、エチルセルソルブ溶剤10重量部準
備する。
【0058】図5(a)に示すように、鉛箔4の表面
に、端部の位置設定をしたポリエチレンテレフタレート
5を中間物質として重ねる。そして、図5(b)に示す
ように、上述した蛍光体塗布ペースト51の材料を用い
て蛍光体12をスクリーン印刷で形成することで、1層
目を作成する。次に、溶剤が完全に乾燥しない状態で、
図5(c)に示すように、2層目の鉛箔4を、スクリー
ン印刷で形成された蛍光体12及び中間物質5の上に重
ね、続いて、2層目の他方の表面に、1層目と同じ位置
になるようにポリエチレンテレフタレート5を重ねる。
そして、上述した蛍光体塗布ペーストの材料を用いて蛍
光体12をスクリーン印刷で形成し、2層目を作成す
る。この作業を繰り返すことで、図5(d)に示すよう
に、多層のグリッド母材を作製し、所定のサイズに切
断、研磨することにより、図1に示したようなグリッド
11が形成される。
【0059】完成した、蛍光体を含有するグリッドを、
1画素の大きさが160μm×160μmである半導体
光電変換素子からなる平面センサの表面に積層すると、
図11に示したX線画像撮影装置に用いるX線画像検出
部10が形成された。
【0060】[実施例−2]実施例1の製造方法で用い
た中間物質用のグリッド補強樹脂を、紫外線硬化樹脂で
あるユニデック806 大日本インキ製に変更しても、
図1に示したようなグリッド11を有するX線画像検出
部10が形成された。本実施例のグリッドの機械的強
度、すなわち、グリッドに鉛直に荷重をかけたときのグ
リッドの変形荷重は、実施例1の2倍であった。X線吸
収材料としての箔4とグリッド補強樹脂としての中間物
質5との密着性は実施例1のものよりも優れていた。
【0061】[実施例−3]X線吸収材料4として、厚
さ20μmの鉛箔の表面の両面にアルミの薄膜を30n
m形成したものを用い、実施例2の製造方法にしたがっ
て、図4に示したようなグリッド31を有するX線画像
検出部30を作製した。又、グリッド最外装表面にも、
アルミ反射膜5aを30nm形成した。アルミ薄膜の形
成には、直流スパッタ方式を採用した。
【0062】作製したX線画像検出部30を用いたX線
画像撮影装置は、実施例2のX線画像検出部20を用い
たX線画像撮影装置と比較して、蛍光体の発光量が1.
3倍に向上した。
【0063】以上説明した実施例においては、グリッド
部、蛍光体部、光電変換素子部を、一体的に形成しても
よい。又、ある部分に分けて別体として形成してから、
結合してもよい。
【0064】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、グリッド
によるX線散乱線成分の除去を従来どおり行いつつ、グ
リッドを透過する際のX線強度の低下量を低減すること
ができる。したがって、画質を低下させることなく、被
験者への被爆線量を低減することができる。
【0065】又、シンチレータ内の散乱成分を低減する
ことができる。したがって、各光電素子間のクロストー
クが低減され、MTFが改善される。
【0066】更に、グリッドの縞目やモアレ縞のない良
好な画像が得られる。
【0067】加えて、グリッドを移動する機構が不要な
ため、可動部のない、安価でメンテナンスフリーの安定
した装置となる。
【0068】又、グリッド補強樹脂を入れることで、グ
リッドの耐荷重強度が増加する。
【0069】更に、グリッド補強樹脂を接着性樹脂にす
ることで、耐荷重強度がより増加する。
【0070】加えて、カセッテ撮影の信頼性が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の断面図
【図2】本発明の第1の実施形態の平面図
【図3】本発明の第2の実施形態の断面図
【図4】本発明の第3の実施形態の断面図
【図5】本発明のグリッドの製造方法の模式図
【図6】X線画像撮影システムの説明図
【図7】従来のグリッドの断面図
【図8】従来のグリッドの断面図
【符号の説明】
1 光電変換素子 2 絶縁基板 3 シンチレータ 4 X線吸収箔 5 グリッド補強樹脂 6 X線の1次光 7 X線の散乱線成分 8 蛍光 9 不感体部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平岡 美津穂 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 長野 和美 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2G088 FF02 GG19 GG20 JJ05 JJ15 JJ30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された光電変換素子の2次
    元配列を有するセンサと、蛍光体層及びX線透過層との
    積層体をX線吸収体によって前記2次元配列に区画した
    グリッド体とを備え、前記センサ上に前記グリッド体を
    搭載したX線画像撮影装置であって、 前記蛍光体層を、前記光電変換素子の各受光面上に積層
    し、 前記X線透過層を、前記各蛍光体層のX線入射面に積層
    し、 前記X線吸収体を、前記光電変換素子同士の間隙上に位
    置させるとともに、前記光電変換素子の受光面と垂直に
    配置することを特徴とするX線画像撮影装置。
  2. 【請求項2】 基板上に形成された光電変換素子の2次
    元配列を有するセンサと、蛍光体層及びX線透過層との
    積層体をX線吸収体によって前記2次元配列に区画した
    グリッド体とを備え、前記センサ上に前記グリッド体を
    搭載したX線画像撮影装置であって、 前記蛍光体層を、前記光電変換素子の各受光面上に積層
    し、 前記X線透過層を、前記各蛍光体層のX線入射面に積層
    し、 前記X線吸収体を、前記光電変換素子同士の間隙上に位
    置させるとともに、前記センサの中央部では前記光電変
    換素子の受光面と垂直に配置し、前記センサの周辺に向
    かうにしたがって前記センサの中心部側に徐々に傾けて
    配置することを特徴とするX線画像撮影装置。
  3. 【請求項3】 前記X線吸収体の延長線方向を一点で交
    わらせ、その位置にX線光源を配置することを特徴とす
    る請求項2記載のX線画像撮影装置。
  4. 【請求項4】 前記X線透過層のX線入射面に蛍光反射
    膜を設けたことを特徴とする請求項1、2のいずれか一
    つに記載されたX線画像撮影装置。
  5. 【請求項5】 前記X線吸収体と前記積層体との区画部
    分に蛍光反射層を設けたことを特徴とする請求項1、2
    のいずれか一つに記載されたX線画像撮影装置。
  6. 【請求項6】 前記X線透過層は、接着性樹脂層である
    ことを特徴とする請求項1、2のいずれか一つに記載さ
    れたX線画像撮影装置。
  7. 【請求項7】 前記基板と垂直な方向での前記積層体の
    長さL2、前記基板と平行な方向での前記積層体の長さ
    L1として、 L2/L1の数値が3以上で10未満であることを特徴
    とする請求項1、2のいずれか一つに記載されたX線画
    像撮影装置。
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