JP2002067314A - 液滴吐出ヘッド - Google Patents

液滴吐出ヘッド

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JP2002067314A
JP2002067314A JP2000260704A JP2000260704A JP2002067314A JP 2002067314 A JP2002067314 A JP 2002067314A JP 2000260704 A JP2000260704 A JP 2000260704A JP 2000260704 A JP2000260704 A JP 2000260704A JP 2002067314 A JP2002067314 A JP 2002067314A
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diaphragm
boron
droplet
type impurity
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JP2000260704A
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English (en)
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Kunihiro Yamanaka
邦裕 山中
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度の振動板を得られない。 【解決手段】 振動板10を高濃度ボロンドープシリコ
ン層23で形成し、この高濃度ボロンドープシリコン層
23は吐出室6側表面のボロン濃度が5*1019(at
oms/cm3)以上で、且つ、ボロン濃度が吐出室6
側表面から振動板厚さ方向に0.1μmの位置で吐出室
6側表面の1.2倍以上になる濃度勾配を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置或いは画像形成装置として用い
るインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘ
ッドであるインクジェットヘッドとしては、インク滴を
吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(加圧液
室、圧力室、吐出室、インク流路等とも称される。)
と、液室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向
する電極とを備え、振動板を静電力で変形変位させて液
室インクを加圧することによってノズルからインク滴を
吐出させる静電型インクジェットヘッドがある。
【0003】このような静電型インクジェットヘッドに
おいては、振動板の機械的変位特性はインク摘吐出特性
に大きく影響し、振動板の薄膜化、高精度化が必要にな
るとともに、振動板と電極との間の微小ギャップを高精
度に確保しなければならない。
【0004】そこで、従来の静電型インクジェットヘッ
ドにあっては、特開平6−23986号公報、特開平6
−71882号公報、特開平9−267479号公報な
どに記載されているように、振動板を形成するシリコン
基板にボロンを拡散した高濃度ボロンシリコン層(高濃
度P型不純物シリコン層)を形成し、このシリコン基板
を電極を設けた基板と貼り合わせた後、異方性エッチン
グすることにより、高濃度ボロンシリコン層でエッチン
グストップすることから、高濃度ボロンシリコン層によ
る振動板を形成するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した高
濃度ボロンエッチングストップ層の形成には、板状の拡
散源(BNやB23)を用いた固体拡散法、BBr3
用いた気相拡散法、イオン注入法、B23を有機溶媒に
分散させウエハ上にスピンコートする塗布拡散法などが
あるが、これらの拡散法では、基板表面(電極基板と貼
り合わせた場合、電極側)からボロンを拡散するため、
振動板の厚さ方向でボロンの濃度分布は、吐出室と逆側
に高濃度領域(ピーク)が位置しやすく、吐出室側のエ
ッチングストップ領域でのボロンの濃度勾配が緩やかに
なりやすい。
【0006】しかしながら、振動板厚の薄膜化に伴って
非常に高精度な板厚の制御が要求されるようになってお
り、上述のようにエッチングストップ領域でのボロンの
濃度勾配が緩やかであると、板厚やエッチング(エッチ
ャントの流れ、温度ムラなど)に影響し、振動板を高精
度に厚み制御して形成することができず、振動板の板厚
がばらついてインク滴吐出特性にバラツキが生じるとい
う課題がある。
【0007】また、静電型インクジェットヘッドにおい
ては、駆動時に電極とのショート及び帯電を抑制するた
めに、振動板の吐出室側と逆側(電極基板と貼り合わせ
た場合は電極側) のシリコン面を酸化して絶縁膜であ
るシリコン酸化膜を形成するようにしている。
【0008】しかしながら、上述した従来の静電型イン
クジェットヘッドにあっては、吐出室と逆側に高濃度領
域(ピーク)が位置するため、形成されるシリコン酸化
膜にはボロンもしくはボロンの酸化物が含まれ、そのシ
リコン酸化膜は帯電しやすく、絶縁破壊耐圧が低くなる
という課題がある。
【0009】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、高精度、高密度及び高信頼性の液滴吐出ヘッド
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板が高濃度P
型不純物シリコン層からなり、この高濃度P型不純物シ
リコン層は、吐出室側表面のP型不純物濃度が5*10
19(atoms/cm3)以上で、且つ、P型不純物の
濃度が吐出室側表面から振動板厚さ方向に0.1μmの
位置で吐出室側表面の1.2倍以上になる濃度勾配を有
している構成としたものである。
【0011】また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振
動板が高濃度P型不純物シリコン層からなり、この高濃
度P型不純物シリコン層は吐出室側と反対側表面のP型
不純物濃度が5*1018(atoms/cm3)を超え
ない構成としたものである。
【0012】ここで、振動板の吐出室側と反対側表面に
はシリコン酸化膜を形成することが好ましい。
【0013】上記各本発明に係る液滴吐出ヘッドにおい
て、P型不純物がボロンであることが好ましい。また、
ボロンが注入エネルギー300keV以上のイオン注入
法を用いてドープされていることが好ましい。さらに、
ボロンがラピッドサーマルアニール法を用いて拡散及び
電気的活性化されていることが好ましい。また、液滴吐
出ヘッドとしては振動板と対向する電極を有し、振動板
を静電力で変形変位させて液滴を吐出させるものである
ことが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。本発明に係る静電型インクジ
ェットヘッドの一例について図1乃至図4を参照して説
明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2
は同ヘッドの透過状態で示す上面説明図、図3は同ヘッ
ドの振動板長手方向に沿う模式的断面説明図、図4は同
ヘッドの振動板短手方向に沿う模式的断面説明図であ
る。
【0015】このインクジェットヘッドは、第一シリコ
ン基板(第1基板)である流路基板1と、流路基板1の
下側に設けた第二シリコン基板(第2基板)である電極
基板3と、流路基板1の上側に設けた第三基板であるノ
ズル板4とを重ねて接合した積層構造体であり、これら
により、複数のノズル5、各ノズル5が連通するインク
流路である吐出室6、吐出室6に流体抵抗部7を介して
連通する共通インク室8などを形成している。
【0016】流路基板1には、シリコン基板(第一シリ
コン基板)を用いて、吐出室6及びこの吐出室6の底部
となる壁面を形成する振動板10、各吐出室6を隔てる
隔壁を形成する凹部、共通インク室8を形成する凹部な
どを形成している。この流路基板1の全面を熱酸化する
ことにより、振動板10の吐出室側と反対側表面(この
ヘッドでは電極基板側表面)に絶縁膜としてのシリコン
酸化膜11を0.05μm厚みで成膜し、インクジェッ
ト駆動時の絶縁破壊、ショートを防止している。
【0017】振動板10は、アルカリによるSiエッチ
ングにおいて高濃度P型不純物領域でエッチングレート
が非常に小さくなることを利用して形成している。すな
わち、流路基板1となるシリコン基板に振動板となる高
濃度P型不純物層である高濃度ボロンドープシリコン層
を所望の振動板厚さに作製できる位置に形成し、このシ
リコン基板をアルカリ異方性エッチングすることで、吐
出室6、共通吐出室8などを形成する際に、高濃度ボロ
ンドープシリコン層(高濃度P型不純物層)が露出した
時点でエッチングレートが極端に小さくなるので、吐出
室6、共通吐出室8及び高精度に板厚制御された振動板
10を形成することができる。なお、高濃度P型不純物
としては、ボロンの他、ガリウム、アルミニウム等も用
いることができる。
【0018】ここで、振動板10を形成する高濃度P型
不純物シリコン層は、吐出室6側表面のP型不純物濃度
が5*1019(atoms/cm3)以上で、且つ、P
型不純物の濃度が吐出室6側表面から振動板厚さ方向に
0.1μmの位置で1.2倍以上になる濃度勾配を有し
ている。これにより、高濃度P型不純物の濃度勾配が急
峻になり、高精度に厚み制御された振動板10を形成す
ることができる。
【0019】また、振動板10を形成する高濃度P型不
純物シリコン層は電極側表面(吐出室6と反対の面)の
P型不純物濃度が5*1018(atoms/cm3)以
下である。このようにシリコン酸化膜11を形成する表
面のP型不純物濃度が5*1018(atoms/c
3)以下であることにより、シリコン酸化膜11への
P型不純物の拡散を低減することができ、シリコン酸化
膜11の帯電性を低くして、絶縁破壊耐圧性を向上する
ことができる。
【0020】電極基板3には、シリコン基板(第二シリ
コン基板)を用いて、熱酸化法などで厚さ2μmのシリ
コン酸化膜12を形成し、シリコン酸化膜12上に低融
点ガラス層13が0.1μm形成されている。この低融
点ガラス層13を形成したシリコン酸化膜12に深さ
0.4μmの凹部14を形成して、この凹部14の底面
に振動板10に所定のギャップ16を置いて対向する電
極15を形成し、この電極15と振動板10によって、
振動板15を変位させて吐出室6の内容積を変化させる
アクチュエータ部を構成している。
【0021】ここでは、電極15は凹部14内に窒化チ
タンを0.1μmの厚さにスパッタし、この窒化チタン
を電極形状にパターン化して形成している。したがっ
て、このヘッドにおいては、電極基板3と流路基板1と
を接合した後のギャップ16の長さ(振動板10と電極
15との間隔)は、0.3μmとなっている。なお、電
極15は、窒化チタンに代えて、ドープドポリシリコン
やタングステンなどの高融点金属を用いることもでき
る。さらに、電極15は電極基板3の端部付近まで延設
して外部駆動回路と接続手段を介して接続するためのリ
ード部15a及び電極パッド部15bを形成している。
【0022】また、電極15の表面は電極パッド部15
bを除き0.1μm厚さのシリコン酸化膜などを被膜し
て絶縁層17を形成し、インクジェットヘッド駆動時の
絶縁破壊やショートが起こるのを防止するようにしてい
る。なお、電極基板3は硼珪酸ガラスなどのガラス基板
又はニッケル及びその合金などを材料を用いた電極が形
成されたガラス電極基板であっても良い。
【0023】さらに、ノズル板4は、厚さ50μmのコ
バール(Fe29−Ni−17Co)基板を用いて、ノ
ズル5、液体抵抗部7及び共通吐出室8へ外部からイン
クを供給するためのインク供給口19を形成している。
【0024】このインクジェットヘッドにおいては、電
極15に駆動回路(ドライバIC)によって0Vから3
5Vのパルス電位を印加し、電極15の表面がプラスに
帯電すると、対応する振動板10の下面はマイナス電位
に帯電する。したがって、振動板10は静電気の吸引作
用により下方へ撓む。次いで、電極15の電位をOFF
にすると、振動板10は復元する。これにより、加圧室
6内の圧力が急激に上昇し、ノズル5よりインク滴が吐
出される。次に、振動板10が再び電極15側へ撓むこ
とにより、インクが共通吐出室8より流体抵抗部7を通
じて加圧室6内に補給される。
【0025】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
の製造過程の一例について図5乃至図8を参照して説明
する。まず、図5(a)に示すように、(110)を面
方位とする厚さ500μmの低抵抗P型シリコン基板2
1にバッファ酸化膜22を200Åの厚さでを形成す
る。
【0026】その後、同図(b)に示すように、高濃度
ボロンドープシリコン層23を形成する。すなわち、イ
オン注入法により、ボロンを注入エネルギー:1Me
V、注入ドーズ:1E15/cm2でドープする。この
ようにイオン注入エネルギーを制御することにより、高
濃度ボロンドープシリコン層23のピーク濃度の位置を
制御する。
【0027】そして、ラピッドサーマルアニール法を用
いてボロンの活性化及び拡散を行う。すなわち、ランプ
光源にシリコン基板21の吸収波長に近い短波長(1μ
m程度)のアークランプを用いたランプアニール装置に
て、1100℃、60secのアニールを行うことによ
り、注入されたボロンの電気的に活性化及び拡散が行わ
れる。高温短時間熱処理であるラピッドサーマルアニー
ル法を用いることにより、効率良くボロンの活性化をし
拡散を抑制することができる。
【0028】なお、このようなラピッドサーマルアニー
ルの後、例えば900℃で30minなどのファーネス
アニールを追加してボロンの拡散を行うことにより、後
工程での熱処理でのボロンの再分布を抑制し、濃度分布
の制御性を向上させることができる。また、ここでは、
ランプアニール装置のランプ光源にアーランプを用いた
が、タングステンハロゲンランプなどの光源を用いても
良い。
【0029】このようにして得られた高濃度ボロンドー
プシリコン層23は、ファーネスアニールを追加しない
場合、図6に実線aで示すように、基板表面(後に電極
側表面)が3*1018(atoms/cm3)で、基板
表面から1.8μm程の深さ位置にピーク濃度を持ち、
基板表面から深さ2μmのボロン濃度は5*1019(a
toms/cm3)であり、深さ1.9μmのボロン濃
度は6.75*1019(atoms/cm3)あった。
【0030】すなわち、この高濃度ボロンドープシリコ
ン層23は、振動板厚さ2μmに制御するとき、吐出室
6側表面のボロン濃度が5*1019(atoms/cm
3)以上で、且つ、ボロンの濃度が吐出室6側表面から
振動板厚さ方向に0.1μmの位置(上記基板表面から
1.9μmの位置)で1.2倍以上の6.75*10 19
(atoms/cm3)になる濃度勾配を有している。
また、電極側表面(上記基板表面)のボロン濃度が5*
1018(atoms/cm3)以下である3*10
18(atoms/cm3)となっている。
【0031】なお、前述したファーネスアニール処理を
追加した場合のボロンのプロファイルは図6に一点鎖線
bで示すようになった。
【0032】図5に戻って、同図(c)に示すようにバ
ッファ酸化膜21を除去した後、同図(d)に示すよう
にシリコン基板21全面を酸化して、高濃度ボロンドー
プシリコン層23の表面(電極側表面となる)にシリコ
ン酸化膜11を形成する。ここでは、酸化条件をO2
ス6sccm、H2ガス9sccm、850℃、60分
で行い、その結果、約500Å厚さのシリコン酸化膜1
1を形成した。このシリコン酸化膜11がインクジェッ
ト駆動時の絶縁破壊、ショート、帯電を抑制することは
前述したとおりである。
【0033】次に、図7を参照して、上述したように高
濃度ボロンドープシリコン層23及びシリコン酸化膜2
2を形成した流路基板1となるシリコン基板21を、同
図(a)に示すように、シリコン酸化膜22側を接合面
として、凹部14、電極15などを形成した電極基板3
上に直接接合する。
【0034】この場合、電極基板3の接合しろは低融点
ガラス13であるため、800℃以下での接合が可能で
あるので、ここでは、減圧下においてプリボンドしたも
のを、800℃、30分の熱処理をすることにより直接
接合した。
【0035】なお、ここで、電極基板3はシリコン基板
ではなく、ガラス基板を用いた場合の接合方法について
簡単に説明する。電極15を形成する基板として、精度
良く両面を研磨した硼珪酸ガラス(例えばコーニング
社、商品名:7750等)を使用して、周知のフォトリ
ソグラフィー技術を用いて電極15を形成するためのレ
ジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクと
して、弗化水素水溶液などを用いて硼珪酸ガラスに電極
15を形成するための溝(凹部)14を形成する。
【0036】このときの溝14の掘り込み量は電極材料
の厚さと、電極15と振動板10との間に必要な空間量
を足した分だけ掘り込むことになる。もちろんプラズマ
エッチング装置などのドライエッチングにより溝14を
形成しても良い。レジスト除去後、溝14の底面にメタ
ル(例えば、ニッケル合金)を堆積させ、このメタルを
エッチングなどの手法を用いて電極形状にパターニング
することにより電極15を形成する。
【0037】そして、このようにしてできた電極基板3
に流路基板1となるシリコン基板21を静かに接合さ
せ、400℃に加熱した後、シリコン基板21のシリコ
ンウェハ側に正電圧を印加、硼珪酸ガラス側に負電位を
与えることにより、陽極接合を行う。このとき、シリコ
ン基板のシリコンウェハ側に定電圧(500V)を印加
する代わりに、パルス電圧を印加しても良い。この接合
は、電流を観察し、接合時電流がピークに達した後10
分間保持し、電圧の印加を解除した後、炉冷することに
より完了する。
【0038】図7に戻って、同図7(b)に示すよう
に、厚さ500μmのシリコン基板21を厚さ100μ
mまで研磨によって薄くする。続いて、同図(c)に示
すように、接合した電極基板3及びシリコン基板21の
全面にLP−CVDによりシリコン窒化膜24を形成す
る。
【0039】そして、シリコン基板21上のシリコン窒
化膜24上にレジストをコートし、露光、現像により吐
出室6や共通吐出室8などの形状のレジストパターンを
形成する。このとき、電極基板3の電極15と吐出室6
のパターンの位置が一致するようにIR光によりアライ
メントする。次に、同図(d)に示すように、レジスト
の開口部のシリコン窒化膜24をドライエッチによりエ
ッチング除去した後、レジストを除去して、シリコン窒
化膜25のマスクパターンを形成する。
【0040】次に、IPA(イソプロピルアルコール)
を1.5vol%添加した30wt%の水酸化カリウム
水溶液によって温度85℃にてシリコン基板21の異方
性エッチングを行う。このエッチング液では結晶面方位
(110)のシリコン基板21のエッチングは1.5μ
m/分の速さで進行する。エッチングが進行し高濃度ボ
ロンドープシリコン層23に達すると、エッチレートは
低下する。エッチングが進むにつれてボロン濃度が高く
なっていくので、ボロン濃度に対応してエッチレートが
低下する。ボロン濃度に対するエッチングレートの関係
は図8に示すようになる。
【0041】この場合、エッチングは時間で管理した。
すなわち、厚さ100μmの低濃度ボロンドープの結晶
面方位(110)のシリコン基板21が貫通するエッチ
ング時間より30分長い時間、つまりオーバーエッチン
グ時間を30分に設定した。IPAを添加した30wt
%のKOH、85℃では、厚さ100μmの結晶面方位
(110)のシリコン基板は80分で貫通したので、エ
ッチング時間を110分に設定した。エッチング終了時
にはエッチレート比は1/150に低下しており、図7
(e)に示すように、高濃度ボロンドープシリコン層2
3からなる厚さ2μmの振動板10が得られ、同時に吐
出室6も形成された流路基板1が得られる。
【0042】以上のようにして得られた振動板10の厚
さ(板厚)制御は非常に良く、ウエハ面内でのバラツキ
3σは2±0.04μmであった。このバラツキ3σ(板
厚のバラツキ)のほとんどはボロン層の形成時に生じる
もので、板厚やエッチング(エッチャントの流れ、温度
ムラなど)に起因するバラツキ3σは、図9に実線aで
示すようにエッチングストップ領域での急峻なボロン濃
度プロファイルの存在によって軽減されている。
【0043】ここで、ボロンストップ領域(シリコン基
板の電極側表面=基板表面から1.9μm〜2μm深
さ)のボロン濃度勾配と振動板板厚のバラツキ3σを調
べたところ、基板表面から深さ2μmのボロン濃度は5
*1019(atoms/cm3)であり、深さ1.9μ
mのボロン濃度は6*1019(atoms/cm3)で
ある(図9に一点鎖線bで示すように、0.1μm異な
る深さで、濃度1.2倍)を持つサンプルで、板厚のバ
ラツキが3σで±0.05μmを実現することができ
た。これにより、インクジェットヘッドの高集積化によ
って板厚が1μmという薄い振動板が要求される場合で
も、板厚のバラツキを3σで5%が可能になる。
【0044】これに対して、比較例として、同図に二点
鎖線cで示すように、ボロンを100keV、2E16
(/cm2)で注入し、1050℃、4hrのアニール
にて形成したボロンストップ領域のボロン濃度プロファ
イルのサンプルでは、振動板板厚のバラツキは3σで±
0.08μmであった。
【0045】なお、板厚が1μmの振動板10を高精度
に形成するためには、上述したボロンの注入エネルギー
はピーク濃度をシリコン基板21表面から深さ1.7μ
m前後(図6参照)に位置させるために300keV以
上にすることが好ましい。
【0046】次に、高濃度ボロンドープシリコン層から
なる振動板10の電極側表面に形成するシリコン酸化膜
11について、酸化するシリコン基板21のボロン濃度
とシリコン酸化膜11の帯電性、及び絶縁破壊耐圧に関
して試験した。ここでの、帯電性の評価は、あらかじめ
所定の電圧を印加した電極15(実際には絶縁層17表
面)をシリコン酸化膜11(厚さ500Å)に接触(接
触時間では3分間)させることにより帯電させ、シリコ
ン酸化膜11表面の電位を測定して行った。
【0047】帯電残留性評価試験結果を図10に、絶縁
破壊耐圧評価試験結果を図11に示している。これらの
試験結果から分かるように、帯電性、絶縁破壊耐性はシ
リコン酸化膜11を形成するシリコン基板21表面のボ
ロン濃度が高い程悪い傾向がある。絶縁破壊耐圧に関し
ては酸化膜厚の増加や電極15上の酸化膜(絶縁層)1
7で対応することが可能であるが、帯電性を考慮する
と、シリコン酸化膜11を形成するシリコン基板21表
面のボロン濃度は5*1018(/cm3)以下にするこ
とが好ましいことが分かる。
【0048】前述したように、高濃度ボロンドープシリ
コン層23を用いたエッチングストップにより振動板1
0を形成するためには、エッチングストップ領域には高
濃度ボロン領域が必要であり、また振動板10の電極1
5側表面にシリコン酸化膜11を形成するには、前記の
ように5*1018(/cm3)以下の低濃度ボロン領域
が必要である。すなわち、全体として形成される振動板
10は、吐出室6側から板厚方向(電極側)に向かっ
て、高濃度ボロン領域/低濃度ボロン領域/シリコン酸
化膜という構成にすることにより、高精度に厚み制御さ
れた耐帯電性、耐絶縁破壊性に優れた振動板とすること
ができる。
【0049】なお、上記実施形態においては、振動板の
変位方向とインク滴吐出方向が同じになるサイドシュー
タタイプのインクジェットヘッドを例として説明した
が、振動板の変位方向とインク滴吐出方向が直交する方
向になる(この場合、第三基板は単なる蓋部材とな
る。)エッジシュータタイプのインクジェットヘッドに
おいても適用することができ、クロストークの低減、接
合面積を大きくすることができる。
【0050】また、上記各実施形態においては本発明を
静電型インクジェットヘッドに適用した例で説明した
が、インク滴を吐出するインクジェットヘッド以外に
も、例えば液体レジストを吐出するための液滴吐出ヘッ
ドなどにも同様に適用することができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、振動板が高濃度P型不純物シリコ
ン層からなり、この高濃度P型不純物シリコン層は、吐
出室側表面のP型不純物濃度が5*1019(atoms
/cm3)以上で、且つ、P型不純物の濃度が吐出室側
表面から振動板厚さ方向に0.1μmの位置で1.2倍
以上になる濃度勾配を有している構成としたので、高精
度に振動板の厚さを制御することができ、滴吐出特性に
優れた信頼性の高いヘッドが得られる。
【0052】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板が高濃度P型不純物シリコン層からなり、この高濃
度P型不純物層の吐出室側と反対側表面のP型不純物濃
度が5*1018(atoms/cm3)を超えない構成
としたので、帯電性、絶縁破壊耐圧性に優れた振動板を
形成することができ、滴吐出特性に優れた高信頼性のヘ
ッドを得ることができる。
【0053】ここで、振動板の吐出室側と反対側表面に
はシリコン酸化膜を形成することにより、帯電性、絶縁
破壊耐圧性に優れた振動板を得ることができる。
【0054】上記各本発明に係る液滴吐出ヘッドにおい
て、P型不純物としてボロンを用いることにより、高濃
度P型不純物層の形成を容易に行うことができる。ま
た、ボロンを注入エネルギー300keV以上のイオン
注入法を用いてドープすることで、容易に、高濃度領域
(ピーク)を基板表面から深いエッチストップ位置に近い
位置に形成して、エッチストップ領域で急峻なボロン濃
度プロファイルを持たせ、或いは、吐出室側と反対面の
濃度を低濃度に抑えることができる。
【0055】また、ボロンをラピッドサーマルアニール
法を用いて拡散及び電気的活性化することで、ボロンの
電気的活性化を効率的に行い、かつ拡散を抑制すること
により、急峻なプロファイルや吐出室側と反対面の濃度
を低濃度に抑えることが容易になる。
【0056】さらに、振動板と対向する電極を有し、振
動板を静電力で変形変位させて液滴を吐出させる構成に
することで、高信頼性のヘッドを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電型インクジェットヘッドの分
解斜視説明図
【図2】同ヘッドの透過状態で示す上面説明図
【図3】同ヘッドの振動板長手方向に沿う模式的断面説
明図
【図4】同ヘッドの振動板短手方向に沿う模式的断面説
明図
【図5】同ヘッドの流路基板の製造工程の説明に供する
説明図
【図6】図5(c)の段階における高濃度ボロンドープ
シリコン層の濃度分布図
【図7】同ヘッドの製造工程の説明に供する説明図
【図8】ボロン濃度に対するエッチングレートの関係の
説明に供する説明図
【図9】エッチングストップ領域でのボロン濃度プロフ
ァイルの異なる例を説明する説明図
【図10】振動板の帯電残留性評価試験結果の説明に供
する説明図
【図11】振動板の絶縁破壊耐圧評価試験結果の説明に
供する説明図
【符号の説明】
1…流路基板、3…電極基板、4…ノズル板、5…ノズ
ル、6…吐出室、10…振動板、11…シリコン酸化
膜、12…酸化膜、13…低融点ガラス層、15…電
極、21…シリコン基板、23…高濃度ボロンドープシ
リコン層。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通する吐出室と、この吐出室の壁面を形成する振動板
    と、この振動板を変形変位をさせることで前記ノズルか
    ら液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動
    板が高濃度P型不純物シリコン層からなり、この高濃度
    P型不純物シリコン層は、吐出室側表面のP型不純物濃
    度が5*1019(atoms/cm3)以上で、且つ、
    P型不純物の濃度が吐出室側表面から振動板厚さ方向に
    0.1μmの位置で吐出室側表面の1.2倍以上になる
    濃度勾配を有していることを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通する吐出室と、この吐出室の壁面を形成する振動板
    と、この振動板を変形変位させることで前記ノズルから
    液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板
    が高濃度P型不純物シリコン層からなり、この高濃度P
    型不純物シリコン層の前記吐出室側と反対側表面のP型
    不純物濃度が5*1018(atoms/cm3)を超え
    ないことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記振動板の前記吐出室側と反対側表面にシリコン
    酸化膜を形成していることを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記P型不純物がボロンであるこ
    とを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記ボロンが注入エネルギー300keV以上のイ
    オン注入法を用いてドープされていることを特徴とする
    液滴吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記ボロンがラピッドサーマルアニール法を用いて
    拡散及び電気的活性化されていることを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記振動板と対向する電極を有
    し、前記振動板を静電力で変形変位させて前記液滴を吐
    出させることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
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