JP4204158B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に係り、より詳細には、オンデマンド式インクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク液滴をノズルから直接記録媒体上に噴射して記録する静電型アクチュエータを用いたインクジェットプリンタ用ヘッドの駆動方法については種々提案されている。その駆動方法には、大きく分けて、振動板と個別電極が直接接触しないように駆動する非接触駆動方法と、個別電極が振動板と直接接触する当接駆動方法の2種類の方法があり、これらについては、特開平7−214770号公報に開示されている。
【0003】
しかしながら、いずれの駆動方法にも長所,短所があり、特に、当接駆動方法においては、個々のヘッド間のバラツキの小さい安定した一定のインク吐出量が得られる(デジタル的)反面、インク吐出重量等の吐出特性をより多様に制御し、多階調に対応させることは困難であった。その技術課題を解決するために、特開平9−39235号公報には、静電型インクジェットヘッドの振動板と個別電極の長手方向のギャップを多段に形成したインクジェットが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
静電型アクチュエータの応用製品にオンデマンド型インクジェットヘッドがある。この静電型インクジェットヘッドの駆動方法には、前述のように、大きく分けて、振動板と個別電極が直接接触しないように駆動する非接触駆動方法と、個別電極が振動板と直接接触する当接駆動方法の2種類の方法が提案されている。非接触駆動方法の場合、個別電極や振動板に対する電気的,機械的ストレスが小さいため、比較的ヘッドの寿命が長いというメリットがあるものの、振動板の厚み等の形状の違いによる各振動板のバネ定数の不均一等の要因により、各ノズルから吐出されるインク量を一定にすることが困難であった。
【0005】
これに対し、個別電極が振動板と直接接触する当接駆動方法は、非接触駆動方法と異なり、常に、振動板が個別電極に接触する電圧以上で駆動するため、各ヘッドから吐出されるインクの吐出量がギャップ長で一義的に決定されるため、インク吐出量が安定する(特開平7−214770号公報)。しかし、この様な、当接駆動を行った場合、ヘッド間のバラツキの小さい安定した一定のインク吐出量が得られる(デジタル的)反面、インク吐出重量等の吐出特性をより多様に制御し、多階調に対応させることは困難であった。
【0006】
前記技術課題を解決するために、特開平9−39235号公報において、静電型インクジェットヘッドの振動板と個別電極の長手方向のギャップを多段に形成したインクジェットが開示された。しかしながら、この特開平9−39235号公報に記載の静電型インクジェットヘッドは、振動板と電極間の間隔(ギャップ)は相対的に大きな部分と小さな部分があり、それらが段階的に変化している構造とすることにより、駆動電圧の低電圧化を可能にするとともに、インク滴吐出量を段階的に制御することを可能とするものである。高密度化のトレンドの中で、以下の理由により駆動電圧が上昇し、駆動回路のコスト上昇を引き起こすという問題があった。
【0007】
インクジェットヘッドでは、高速,高画質の印字を行うためには、ノズルの高密度化が必要不可欠であるが、静電引力により振動板を駆動するインクジェットヘッドにおいて、ノズルピッチを狭くして高密度化するためには、個々の振動板におけるノズルピッチ方向の短辺長を短くする必要がある。ここで、式(1)より、静電引力による振動板の変位量は振動板短辺長の4乗に比例することから、高密度化を目的として振動板の短辺長を短くすると、変位量が著しく小さくなる。
【0008】
従って、変位を大きくして必要とするインク液滴の吐出量を確保するためには、式(1),式(2)より、振動板の厚さを薄くするか、振動板と個別電極のギャップ長を狭くするか、あるいは駆動電圧を大きくすることが必要となってくる。
【0009】
【数1】
【0010】
ここで、振動板の厚さ(h)を薄くすることは、振動板の剛性を低下し、インク吐出力の低下を引き起こすため、好ましくない。一方、振動板と個別電極のギャップに相当する電極間距離(t)を短くすることは、振動板の変位量の減少に伴ってインクの吐出量を減少し、インクかすれ等の原因になるので、好ましくない。そのため、駆動電圧を大きくすることで、高密度化に対応しようとしたが、電源,駆動回路のコストが高くなる問題があった。
【0011】
本発明の目的は、上述のごとき、問題点を解決し、高密度化に対応したインクジェットヘッドに対応できる静電型アクチュエータ・インクジェットヘッド及びそれらの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1のインクジェットヘッドの製造方法は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記レジストに露光/現像処理を行い、該露光/現像処理後に前記レジストの軟化温度以上の温度の熱処理を加えることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、使用するレジスト/装置/露光条件/現像条件において個々の開口が解像しないような複数の開口をもつとともに、前記開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスクを利用し、前記開口が解像しないような条件で露光/現像処理を行い、該露光/現像処理後にレジストの軟化温度以上の温度の熱処理を加えることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、所定の形状に加工されたレジストと前記基板もしくは基板上に形成された絶縁膜を同時にエッチングする工程終了後に、前記振動板が形成される基板と対向電極が形成される基板の接合面の少なくとも一部には2000Å以上の厚みのレジストが残っていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、レジストの非平行ギャップに対応する部分の両側に、非平行ギャップ部分のレジスト勾配よりも大きな勾配で形成される段差をレジストに設けることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上もしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、少なくとも非平行ギャップ形成領域に対応する部分においてギャップ形状に対応して段階的もしくは連続的な透過率分布を持つフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行い、前記露光処理は、縮小光学系からなる露光装置により行なうことを特徴とするものである。
【0017】
請求項6の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、使用するレジスト/装置/露光条件/現像条件において個々の開口が解像しないような複数の開口をもつとともに、前記開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスクを利用し、前記開口が解像しないような条件で露光/現像処理を行い、前記露光処理は、縮小光学系からなる露光装置により行なうことを特徴とするものである。
【0018】
請求項7の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程と、前記基板上もしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、少なくとも非平行ギャップ形成領域に対応する部分においてギャップ形状に対応して段階的もしくは連続的な透過率分布を持つフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行う工程を有し、前記露光/現像処理は、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、処理するレジスト/露光装置/露光条件において解像限界以下となるような複数の開口を有しているとともに前記開口の開口率はギャップ形状に対応して徐々に変化するようなパターンを有するフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行い、該露光処理は、露光位置をずらして複数回行うことを特徴とするものである。
【0019】
請求項8の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程と、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、使用するレジスト/装置/露光条件/現像条件において個々の開口が解像しないような複数の開口をもつとともに、前記開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスクを利用し、前記開口が解像しないような条件で露光/現像処理を行う工程を有し、前記露光/現像処理は、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、処理するレジスト/露光装置/露光条件において解像限界以下となるような複数の開口を有しているとともに前記開口の開口率はギャップ形状に対応して徐々に変化するようなパターンを有するフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行い、該露光処理は、露光位置をずらして複数回行うことを特徴とするものである。
【0020】
請求項9の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上もしくは該基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、少なくとも非平行ギャップ形成領域に対応する部分においてギャップ形状に対応して段階的もしくは連続的な透過率分布を持つフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行い、前記レジストおよび前記基板もしくは該基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写するにあたり、前記レジストのエッチレートが前記基板もしくは該基板上に形成された絶縁層のエッチレートよりも大きいことを特徴とするものである。
【0021】
請求項10の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、前記ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上にもしくは該基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、使用するレジスト/装置/露光条件/現像条件において個々の開口が解像しないような複数の開口をもつとともに、前記開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスクを利用し、前記開口が解像しないような条件で露光/現像処理を行い、前記レジストおよび前記基板もしくは該基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写するにあたり、前記レジストのエッチレートが基板もしくは基板上に形成された絶縁層のエッチレートよりも大きいことを特徴とするものである。
【0022】
請求項11の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記レジストおよび前記基板もしくは該基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングする工程が枚様式の処理装置で複数枚の基板を処理する場合に所定の量に満たないエッチングを一旦行なったのちに最初の処理と処理順を逆にして所定量のエッチング処理を行なうことを特徴とするものである。
【0023】
請求項12の発明は、記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程と、前記振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状をもったレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する第一のエッチング工程と、少なくとも電極形成部分が完全に開口されたエッチングマスクによって前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層をエッチングする第二のエッチング工程を有し、前記第二のエッチング工程により形成された凹部内に個別電極を形成することを特徴とするものである。
【0024】
請求項13の発明は、前記第一のエッチング工程よりも第二のエッチング工程を後に行うことを特徴とするものである。
【0025】
請求項14の発明は、前記第二のエッチング工程のエッチングマスクが、第一のエッチング工程終了後に基板上に残ったレジストであることを特徴とするものである。
【0026】
請求項15の発明は、前記第二のエッチング工程でエッチングされる材料がシリコン基板上に形成された熱酸化膜であり、エッチャントがバッファード沸酸であることを特徴とするものである。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による静電型アクチュエータの概略構成を示す図で、図中、11は振動板、12は電極基板、13は静電力を発生するためのギャップ、14は基板電極で、該基板電極14は電極基板12の上に形成され、前記ギャップ13を介して前記振動板11に対向して配設され、該基板電極14と前記振動板11との間に電圧が印加された時に該振動板を変位させる。振動板11の材料としては、単結晶シリコン等の材料を用いることが耐久性等の観点で望ましいが、長期の耐久性を必要としないような目的であれば多結晶シリコンで形成してもよい。
【0037】
振動板11の厚さは、アクチュエータの使用目的,変位範囲,駆動する電圧等により最適に選択されるが、通常は、1.0μmから20μmの範囲で設定されることが多い。振動板11の形成方法としては、シリコンウエハーを材料として形成されることが多い。具体的には、シリコンウエハーを電極基板12と接合し、その後に、所望の振動板厚さまでシリコンウエハーを研磨する方法、又は、振動板を形成するシリコンウエハーに予め不純物を拡散しておき、接合後に不純物領域でのエッチング速度の差を利用してエッチング停止し、所望の振動板厚さを得る方法、又は、同様に、不純物を拡散して電気化学的に所望の厚さでエッチングを停止させる方法等がある。あるいは、いわゆるSOIウエハーと呼ばれる予め所定の厚さのシリコン薄膜が形成されているウエハーを用いて、振動板を形成させることもできる。
【0038】
多結晶シリコンで振動板を形成する場合には、予めギャップ13,基板電極14を形成した電極基板12のギャップ部をAl(アルミニウム)等のいわゆる犠牲材料で平坦化し、その上にシリコン薄膜11を成膜し、その後に、前記犠牲材料を除去することで形成することができる。この振動板11に振動板電極(図示せず)を別途形成してもよいが、通常の場合、不純物の拡散によりシリコン振動板11を低抵抗として、振動板と振動板電極を兼ねることが多い。このシリコン振動板は基板電極を向いている側に絶縁膜が形成されていてもよい。その場合、絶縁膜としてはSiO2等酸化膜系の絶縁膜、Si3N4等窒化膜系の絶縁膜を使用することができる。絶縁膜の形成方法としては成膜手法によることが多いが、振動板の表面を熱酸化し、表面に酸化膜の絶縁膜を形成してもよい。
【0039】
電極基板12としては単結晶シリコン,ガラス,セラミック等種々の材料を選択することができる。単結晶シリコンで電極基板を形成する場合には通常のシリコンウエハーを用いることができる。その厚さはシリコンウエハーの直径で異なるが、直径4インチのシリコンウエハーであれば厚さが500μm程度、直径6インチのシリコンウエハーであれば厚さは600μm程度であることが多い。シリコンウエハー以外の材料を選択する場合には、振動板シリコンと熱膨張係数の差が小さい方が振動板と接合する場合に、信頼性の点で有利である。例えば、ガラス材料であればコーニング社製♯7740,岩城硝子社製であればSW3,ホーヤ社製であればSD2等を用いることができる。
【0040】
電極基板12と振動板11との接合は、接着剤による接合でもよいが、より信頼性の高い物理的な接合、例えば、振動板11が単結晶シリコンで形成され、電極基板12がシリコンで形成される場合、酸化膜を介した直接接合法を用いることができ、又、電極基板12がガラスの場合、陽極接合が使用できる。電極基板12がシリコンで形成されていて、陽極接合を用いる場合には、電極基板12と振動板11との間にパイレックスガラスを成膜して、この膜を介して陽極接合を行ってもよい。
【0041】
ギャップ13は、電極基板12の上に形成された基板電極14と振動板11との振動板短手方向における間隔が、周辺部が中央部より小さくなるように形成されている。その短辺方向,長辺方向の長さ,ギャップ深さ等の寸法はアクチュエータの使用目的,変位範囲,駆動する電圧等により選択されるが、一般的には、短辺長さは50〜500μm,長辺長さは200〜4000μm,ギャップ深さとしては0.1〜5.0μmの範囲で設定されることが多い。ギャップ13の具体的な形成方法については後述する。
【0042】
基板電極14としては、通常、半導体素子の形成プロセス等で一般的に用いられているAl,Cr,Ni等の金属材料が多く用いられる。また、不純物により低抵抗化した多結晶シリコン薄膜を用いてもよい。電極基板12がSiウエハーなど導電性を有する材料で形成される場合には、電極基板12と基板電極14との間には絶縁層を形成する必要がある。この場合、絶縁層としてはSiO2が用いられるのが一般的である。電極基板12にガラス等の絶縁性材料を用いる場合には、基板電極14との間に絶縁層を形成する必要はない。また、電極基板12がシリコンの場合には、基板電極として、不純物拡散領域を用いることができる。この場合、拡散に用いる不純物は基板シリコンの導電型と反対の導電型を示す不純物を用い、拡散領域周辺にpn接合を形成し、基板電極14と電極基板12とを電気的に絶縁する。種々の方法で形成した基板電極は、振動板との短絡を避けるために絶縁膜で覆う場合がある。その絶縁膜としてはSiO2等酸化膜系の絶縁膜、Si3N4等窒化膜系の絶縁膜を使用することができる。絶縁膜の形成方法としては成膜手法によることが多い。
【0043】
本発明による静電型アクチュエータは、従来の静電型アクチュエータより低電圧で駆動可能である。静電型アクチュエータは振動板電極(振動板が兼ねることが多い)とこれに対向して配置される基板電極との間に発生する静電力と振動板の剛性力の釣り合いにより動作する。この静電力は2つの電極間の距離の二乗に反比例するために、電極間距離が小さいほどより小さい電圧で所望の静電力を得ることができる。
【0044】
本発明による静電型アクチュエータでは、振動板電極と基板電極との間隔は周辺部が中央より小さくなっているために、駆動電圧の印加に従い、振動板の変位は距離が小さい周辺部から開始する。このときの変位開始電圧は振動板中央部の変位開始電圧より低い。振動板周辺部の変位開始に従い、振動板電極と基板電極との間隔は順次小さくなり、少しの電圧増加で大きな変位が得られる。よって、本発明による静電型アクチュエータは、従来の静電型アクチュエータに比べて低い電圧で駆動可能である。
【0045】
又、本発明による静電型アクチュエータは、振動板と基板電極との間に絶縁膜が形成されているため、振動板が基板電極と触れても短絡することがない。よって、本発明による静電型アクチュエータでは振動板の一部が対向する基板電極と触れるような動作も可能である。図1においては、説明を簡明にするために、アクチュエータを1つだけ示したが、同一基板上に、図示の静電型アクチュエータを複数個等しい間隔で配置し、静電アクチュエータアレーとして形成することも可能である。
【0046】
図2は、本発明による静電型アクチュエータのギャップ形状の実施例を示す断面図で、振動板21は単結晶シリコンで形成され、その厚さは8μmである。電極基板22は単結晶シリコンの(100)ウエハー,厚さ525μmのものを用いた。ギャップ23の形状は振動板21に向かって滑らかな凹形状に形成されている。その短辺長さは130μm,長辺長さは3000μm,ギャップ23の深さとしては0.3μmである。基板電極24は、厚さ3000オングストロームのTiN薄膜であり、RFスパッタ法により形成した。基板電極24の下地にはシリコンの熱酸化膜(図示せず)が1μmの厚さで形成されている。又、基板電極24はプラズマCVD法で成膜したシリコンの窒化膜(厚さ5000オングストローム)で保護される。振動板21と電極基板22との接合はシリコンの熱酸化膜を介した直接接合で行われた。
【0047】
図5は、図2に示した静電型アクチュエータのギャップ形成のプロセスを具体的に示したもので、図5(A)〜図5(E)に示すプロセスから成る。
図5(A):シリコンウエハーからなる電極基板材料52にフォトレジスト(OFPR−800)55を厚さ1μmに形成する。
【0048】
図5(B):次いで、フォトマスク56を用いてフォトレジスト55を露光する。このフォトマスク56は光が透過する領域は透過した光が散乱するように形成されており、そのため、フォトレジスト55の露光領域はマスク56の中央部で深く、マスク56の周辺部で浅く露光される。
【0049】
図5(C):露光の光強度,露光時間を調整し、レジスト55の露光領域が電極基板材料52に到達しないようにすると、現像後のレジスト形状は拡散マスクでの露光領域を反映して、図5(C)に示すように、滑らかな凹形状になる。
【0050】
図5(D):このレジスト層55と電極基板材料52を深さ方向に異方性ドライエッチするとエッチングの進行に従い、レジスト層55の滑らかな凹形状が電極基板材料52に転写される。エッチングガスとしてはSF6,O2の混合ガスを用いた。エッチングの条件はレジスト層55のエッチングレートと電極基板材料52のエッチングレートが等しくなるように調整した。こうすることにより、レジスト層55に形成したギャップ53の深さと電極基板材料52に形成される深さが等しく得られる。又、2つの材料のエッチングレート比を意識的に変えて、電極基板材料52に形成されるギャップ深さを調整することも可能である。
【0051】
図5(E):エッチング終了後、電極基板材料52上に残ったレジスト層55を除去して、本発明による静電型アクチュエータを構成するギャップ形状53が完成した。図5(D)では、振動板との接合面の保護のためにギャップの周辺にレジスト層を残してあるが、接合に問題がない場合にはレジスト層を残す必要はない。
【0052】
図3は、本発明によるギャップ形状の他の実施例を説明するための断面図で、この実施例においては、振動板31は単結晶シリコンで形成され、その厚さは5μmである。電極基板32はコーニング社製パイレックスガラス♯7740の、厚さ1μmのものを用いた。ギャップ33はその形状が振動板31に向かって周辺部が滑らかな凸形状に形成されている。その短辺長さは130μm,長辺長さは3000μm,ギャップ33の深さとしては0.5μmである。
【0053】
基板電極34は厚さ3000オングストロームのAl薄膜であり、RFスパッタ法により形成した。又、基板電極34はプラズマCVD法で成膜したシリコンの窒化膜(厚さ5000オングストローム)で保護されている。振動板31と電極基板32との接合は陽極接合で行われた。
【0054】
図6は、図3に示した静電型アクチュエータのギャップ形成プロセスを具体的に示したもので、図6(A)〜図6(E)に示すプロセスより成る。
図6(A):パイレックスガラス♯7740からなる電極基板材料62にフォトレジスト(OFPR−800)65を厚さ1μmに形成する。
図6(B):次いで、フォトマスクを用いてギャップとなる領域のフォトレジスト65を露光除去する。
図6(C):フォトレジスト65を開口した後に改めてフォトレジスト66を塗布する。レジスト66は段差のある形状に塗布されるので、レジスト66の開口部の周辺で形状が振動板側に向かって滑らかな凸形状に変化する。
【0055】
図6(D):このレジスト層(65,66)と電極基板材料62を深さ方向に異方性ドライエッチングすると、エッチングの進行に従い、レジスト層(65,66)の滑らかな凸形状が電極基板材料62に転写される。エッチングガスとしてはCF4,O2の混合ガスを用いた。エッチングの条件はレジスト層(65,66)のエッチングレートと電極基板材料62のエッチングレートが等しくなるように調整した。こうすることに、よりレジスト層(65,66)に形成したギャップ形状63の深さと電極基板材料62に形成される深さが等しく得られる。又、2つの材料のエッチングレート比を意識的に変えて、電極基板材料62に形成されるギャップ深さを調整することも可能である。
【0056】
図6(E):エッチング終了後、電極基板材料62上に残ったレジスト層を除去して、本発明による静電型アクチュエータを構成するギャップ形状が完成した。図6(D)では振動板との接合面の保護のためにギャップの周辺にレジスト層65を残してあるが、接合に問題がない場合にはレジスト層を残す必要はない。
【0057】
図4は、本発明によるギャップ形状の更に他の実施例を説明するための断面図で、振動板41は、単結晶シリコンで形成され、その厚さは8μmである。電極基板42は単結晶シリコンの(100)ウエハー,厚さ525μmのものを用いた。ギャップ43の形状は振動板41に向かってギャップの短辺の開口部の周辺で形状が滑らかな凸形状に、又、開口部の中央部で滑らかな凸形状に形成されている。その短辺長さは130μm,長辺長さは3000μm,ギャップ深さとしては0.3μmである。基板電極44は厚さ3000オングストロームのTiN薄膜であり、RFスパッタ法により形成した。基板電極44の下地にはシリコンの熱酸化膜(図示せず)が1μmの厚さで形成されている。又、基板電極34はプラズマCVD法で成膜したシリコン窒化膜(厚さ5000オングストローム)で保護されている。振動板41と電極基板42との接合はシリコンの熱酸化膜を介した直接接合で行われた。
【0058】
図7は、図4に示した静電型アクチュエータのギャップ形成プロセスを具体的に示したもので、図7(A)〜図7(F)に示すプロセスより成る。
図7(A):シリコンウエハーからなる電極基板材料72にフォトレジスト(OFPR−800)76を厚さ1μmに形成する。
図7(B):次いで、フォトマスクを用いてギャップとなる領域のフォトレジストを露光除去する。
図7(C):フォトレジストを開口した後に改めてフォトレジスト76を塗布する。塗布後にこのレジスト層(75,76)を熱処理することによりレジスト76は熱による流動性を得て、その表面張力とのバランスによりレジスト75の開口部の周辺で形状が滑らかな凸形状又は開口部の中央部で滑らかな凸形状に変化する。
【0059】
図7(D):このレジスト層(75,76)と電極基板材料72を深さ方向に異方性ドライエッチングすると、エッチングの進行に従い、レジスト層(75,76)の滑らかな凹凸形状が電極基板材料72に転写される。エッチングガスとしてはSF6,O2の混合ガスを用いた。エッチングの条件はレジスト層(75,76)のエッチングレートと電極基板材料72のエッチングレートが等しくなるように調整した。こうすることによりレジスト層(75,76)に形成したギャップ形状の深さと電極基板材料72に形成される深さが等しく得られる。又、2つの材料のエッチングレート比を意識的に変えて、電極基板材料72に形成されるギャップ73の深さを調整することも可能である。
【0060】
図7(E):エッチング終了後、電極基板材料72上に残ったレジスト層75を除去して、本発明による静電型アクチュエータを構成するギャップ形状が完成した。なお、図7(E)では振動板との接合面の保護のためにギャップの周辺にレジスト層75を残してあるが、接合に問題がない場合にはレジスト層を残す必要はない。
【0061】
図8は、本発明による静電型アクチュエータを用いたインクジェットヘッドの一例を示す断面図で、図8(A)は正面図、図8(B)は側面図である。図8において、81は本アクチュエータの振動板を兼ねた液吐出用の液室形成部材であり、シリコンの(110)ウエハーを基板として異方性エッチングの手法により形成した。82は電極基板部材であり、シリコンの(100)ウエハーを用いて形成されている。83は滑らかな凹形状のギャップで、その深さは0.8μmである。84はギャップ内に形成された基板電極で、厚さ0.3μmのTiN薄膜で形成されている。この基板電極84はプラズマCVDの手法で形成した厚さ0.15μmのSiN膜で保護されている(図示せず)。85は振動板と電極基板接合のための酸化膜で、厚さ0.2μmである。振動板と電極基板との接合は酸化膜を介したシリコンの直接合法で行った。86はインク吐出のための加圧液室で短辺長は130μm,長辺長は3500μmである。87は流体抵抗用流路でその断面積は1200μm2,長さは200μmである。88は共通流路に開口されたインク供給用開口部で直径0.5mmである。89は加圧液室に連通する共通液室で長さ1500μmである。この共通液室89は複数の加圧液室に連通することもできる。90は単結晶シリコンの振動板で厚さは3μmである。この振動板90は液室86を形成する液室形成部材の一部であり、加圧液室,共通液室を形成する過程で形成される。その方法は振動板となる部分にボロン元素(B)を高濃度に拡散させ、液室を形成する異方性エッチングを振動板領域で停止させることで形成した。91はインク吐出のためのノズルでその直径は25μmである。92はノズル部を含むノズルプレートで、Niの電鋳法により形成され、インク吐出の表面が疎水性に処理されている。
【0062】
本インクジェットヘッドでは静電力によりシリコン振動板90を振動させて加圧液室86内部の圧力を上昇させ、その上昇力によりインク滴をノズル部91より吐出させる。吐出後、新たなインクは外部に連通する共通液室89から液体抵抗流路87を介して加圧液室86に補充される。吐出されるインク量は振動板90の変位により制御できる。
本インクジェットヘッドにおいて、振動板90の変位はギャップ周辺の振動板/基板電極間の間隔の小さいところから始まるので、低電圧で駆動できる。又、振動板90と基板電極84との間には絶縁膜があるので振動板を基板電極に接するまで振動板を変位させることもできる。
【0063】
なお、図8においては、説明を簡略化するために、インクジェットヘッドを1つだけ示したが、同一基板上に本インクジェットヘッドを複数等しい間隔で配置し、インクジェットヘッドアレーとして形成することも可能である。
【0064】
図9は、本発明によって製造されたインクジェットヘッドのアクチュエータ部の要部断面で、該アクチュエータの主要部は、従来のものと同様に、支持基板120,絶縁膜121,対向電極122,絶縁膜123,接着層124,隔膜110,振動板111から構成される。振動板111と対向電極122間(正確には絶縁膜123との間)には微少なギャップが形成されていて、振動板111と対向電極122間に電圧を加えると、静電力により振動板111が対向電極122側に変位し、その後、電圧を0に戻したときに変位している振動板111がその弾性力によって元の位置に戻ろうとする力によりインクを噴射させるものである。振動板111と対向電極122間のギャップは絶縁膜121中に堀込まれたくぼみとスペーサとしても用いられている接着層124とによって作られた間隔から対向電極122の厚みの差をとった大きさとなる。
【0065】
図9に示したアクチュエータでは、駆動電圧の低電圧化と噴射インク滴量の複数段階制御を目的として、片側においてはギャップ端から中心部に行くに従い振動板と対向電極間隔が徐々に広がるように、残り部分においては振動板と対向電極が平行となるようなギャップ形状となっている。対向電極122上の絶縁膜123は振動板111と対向電極122の短絡を防ぐものであり、同機能の絶縁膜を振動板側に形成してもよい。また、振動板と対向電極が接触しないような駆動方式で動作させる場合には省略する事も可能である。また、図9に示した例においては、絶縁層121に窪みを掘ったが、支持基板に窪みを掘りその上に均一な厚みで絶縁層を形成しても同様なギャップを形成することが可能である。さらに、支持基板としてガラス等の絶縁性の基板を用いた場合には、絶縁膜121は省略可能である。また、対向電極形成基板側に形成されたような窪みを振動板側に形成してギャップ作成することも可能である。更に、ギャップ形状はあくまで1例であり、目的に応じて他のギャップ形状にすることも可能である。
【0066】
図9に示した例においては、支持基板として<100>シリコンウェハを用い、絶縁膜121としては前記シリコンウェハ上に熱酸化により概ね2μm成長させた熱酸化膜を用いた。また、対向電極としてはAl、その上の絶縁膜としてはプラズマCVD法により成長させたSiO2膜を用いた。ギャップスペーサを兼ねる接着層124には感光性ポリイミドをもちいて熱圧着による接着をおこなった。隔壁110および振動板111には<110>シリコンウェハが用いられていて、さらに振動板111にはエッチングストップのために高濃度(6E19/cm3以上)のボロンドープがされている。ただし、これらはあくまで1実施例であり、同様な機能を持つ他材料を用いてもかまわない。
【0067】
本発明は、振動板とそれにギャップを挟んで対向する電極間のギャップ形成法に関するものであることから他部品の図示は省略したが、従来技術と同様に図9の構成のアクチュエータにインク供給路,流体抵抗,ノズルプレート等の部品と組み付けることにより、インクジェットヘッドが作成される。
【0068】
図10(A),(B)、図11(C),(D),(E),(F)、図12(G),(H),(I),図13は本発明によるインクジェットヘッド製造プロセスのフローを説明するための概略図である。
【0069】
図10(A):支持基板120となる<100>シリコンウェハ上に絶縁膜121となる熱酸化膜を2.0μm成長させ、フォトレジスト130をスピンコート/プリベークを行ったのち、個々の開口は解像しない多数の開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスク140を利用して露光処理を行う(以下、このようなフォトマスクをグラデーションマスクと呼ぶ)。
【0070】
本実施例においては、レジスト130としては、TSMR CRB−2(粘度50cp品)を用い概ね2000rpmでスピンコートすることにより2.8μm程度の厚を得た。塗布後は90℃ 60secのプリベークをおこない、露光はg線ステッパー(型式:NSR1755G7A、NA:0.54、λ:436nm)にて装置的な露光量(透過率100%,パターンボケの問題がないような広いパターンでの露光量)700mJ/cm2、フォーカスオフセット量は10μmの条件でおこなった。
【0071】
図14は、ギャップ部分のマスクパターンのイメージを示す図で、所定のピッチで多数の開口Aが開いていてギャップ形状に対応して開口率を変化させている。図14はあくまで概念図であり、実際のマスクでの開口の数は通常もっと多い。本実施例においては、開口のピッチはウェハ上で1.6μm相当のピッチとした(ウェハ上では実際には開口しない条件で処理する)。この開口ピッチであれば、前記レジスト/露光装置/露光条件において個々の開口は解像しない。また、1/5の縮小露光系を用いているので、ウェハ状で1.6μmピッチとなるような開口はフォトマスク上では8μmピッチの開口となっている。このように、縮小露光系を用いているので、フォトマスク上での開口ピッチはウェハ上より大きくなるので、フォトマスクの寸法バラツキ(=開口率のバラツキ)は等倍露光系を用いたときよりも小さくなる。また、上記開口ピッチはあくまで1例であり、露光装置・露光条件・所望のパターン形状によって望ましい開口ピッチは変わってくる。
また、本実施例においては、グラデーションマスクを用いたが、ギャップ形状に対応した透過率分布を持つようなフォトマスクを用いても良い。そのようなフォトマスクは、たとえば、露光する波長の光に対し半透明の材料を用いその膜厚分布により透過率分布を制御することでも得られる。特に特殊な材料でなくとも、膜厚が薄ければ半透明になるので、例えばポリシリコン等でもかまわない。
【0072】
図10(B):つづいて現像処理をおこなうと、前述した開口ピッチ及び露光条件では個々の開口パターンは解像せずに、概ね平滑化された露光量分布に対応したレジスト残膜厚分布が得られる。微視的に見ると、レジスト表面には概ね平滑化されているものの多少残っている光強度分布に対応して、開口ピッチと同ピッチのさざ波状の凹凸が残るが、本実施例の条件ではその凹凸の高さは概ね200Å以下であり、特性上はなんら問題無いレベルである(図17に、模式図を拡大して示す)。また、レジストの種類、露光装置/露光条件、マスク設計等によっては、この凹凸が問題になる場合もあるが、その場合は現像後にレジストの軟化点以上の温度(例えば200℃)でベーク熱処理をおこなうことにより、その凹凸を小さくすることも可能である。また、一度で露光する場合の半分の露光量(本実施例においては350mJ/cm2)で露光をおこなったのち、開口ピッチの半分(本実施例においては0.8μm)露光位置をずらしてもう一度残り半分の露光(本実施例においては350mJ/cm2)を行うことにより、それぞれの露光で光強度の強いところと弱いところが互いに打ち消し合い、凹凸をなだらかにすることも可能である。
【0073】
本実施例においては、図15に示すような感度曲線のレジストを用いて図16に示すような開口率分布を持つフォトマスクを用いることにより、図10(B)に示したように斜面と平行な底面の逆台形形状の窪みを持つようなレジスト形状を形成した。また、本発明の方法によると、開口率の分布を変えることにより、本実施例のレジスト形状だけでなく、比較的自由なレジスト形状を得ることができる。
【0074】
図11(C):レジスト130および絶縁膜を同時にエッチングする事によりレジストの形状が絶縁膜に転写されていく。本実施例においては、CF4/O2ガス系を用いたRIEにより、レジストのエッチレート約9000Å/min,酸化膜のエッチレート約3000Å/minの条件でのエッチングを行った。
【0075】
図11(D):本実施例においてはレジストを完全にエッチングすることにより、レジスト形状を深さ方向に1/3に縮小したような窪みが絶縁膜121に形成される。プラズマ発光の強度変化からエッチングのエンドポイントを検出し、さらに、レジスト厚さの分布に応じて所定量のオーバーエッチング(実施例においては10%とした)を行う。前記エッチレートでエッチングを行うことにより、オーバーエッチング時に絶縁膜の段差上部分も若干エッチングされるが、一方でオーバーエッチング時には絶縁膜は形状を変えずに全体的に膜減りするのみなので、(もとのレジスト形状と)ギャップ深さ・幅はレジストと酸化膜のエッチレート比のみで決定される。レジスト上に形成される開口ピッチに対応したさざ波状の凹凸の高さもレジスト上での高さの1/3程度の70Å以下となり、特性にほとんど影響を与えない大きさとすることができた。このように、レジストのエッチレートがレジスト形状を転写される絶縁膜もしくは基板のエッチレートよりも大きくなる条件でエッチングを行うことにより、レジスト形成段階で生じる凹凸の高さより絶縁膜もしくは基板上での凹凸を小さくすることができる。
【0076】
図11(E):洗浄後に対向電極122となる材料をスパッタ法により成膜する。本実施例においてはAlを2000Å成膜した。成膜方法、材料、厚みはこれに限ったものではない。
【0077】
図11(F):フォトリソ/エッチング工程により対向電極122のパターン形成を行う。
【0078】
図11(G):レジスト除去/洗浄後、絶縁膜123をPE−CVD法により成膜する。本実施例ではTEOS+O2ガスを用いてシリコン酸化膜を1500Å成膜した。成膜方法、材料、厚みはこれに限ったものではない。
【0079】
図11(H):接着層250を塗布・パターン形成を行う。本実施例においては、接着層として感光性ポリイミドを用いているので、フォトリソ工程に準じたプロセスでパターン形成が可能である。
【0080】
図12(I):振動板形成領域120に少なくとも6E19/cm3以上のボロンドープを行った振動板/隔壁形成基板110となる<110>シリコンウェハと対向電極が形成された基板とを熱圧着により接着する。
【0081】
図13:隔壁となる部分をマスクして<110>KOHによりシリコンを異方性エッチングする。高濃度にボロンが拡散された領域でKOHでのエッチングがストップし、隔壁110が形成されると同時に振動板111が形成される。
【0082】
図18は本発明の他の実施例によって製造されたインクジェットヘッドアクチュエータ部の要部断面で、本実施例も、前述の実施例と同様に、支持基板120,絶縁膜121,対向電極122,絶縁膜123,隔膜110,振動板111から構成されているが、接着層を用いずに絶縁膜121を介して支持基板120と振動板111が直接接合により接合されている。本実施例のアクチュエータでは、噴射インク滴量の複数段階制御のさらなる多値化を目的として、一方の端から他方の端に行くに従い振動板と対向電極間隔が徐々に広がるようなギャップ形状となっている。また、絶縁膜123に掘られた窪みの形状は非平行ギャップを形成するために底面が斜面になっているとともに、振動板と対向電極122上の絶縁膜123がぶつからないようなスペースを確保できる程度の深さが最低でも必要であり、窪みの両端部においてはそれに必要な比較的急峻な傾きの段差が形成されている。
【0083】
本実施例においては、支持基板として<100>シリコンウェハを用い、絶縁膜121としては前記シリコンウェハ上に熱酸化により概ね2μm成長させた熱酸化膜を用いた。また、対向電極としてはTiN、その上の絶縁膜としてはプラズマCVD法により成長させたSiO2膜を用いた。隔壁110および振動板111には<110>シリコンウェハが用いられていて、さらに振動板111にはエッチングストップのために高濃度(6E19/cm3以上)のボロンドープがされている。振動板111と支持基板120は熱酸化膜を介した直接接合により接合した。ただし、これらはあくまで1実施例であり、同様な機能を持つ他材料を用いてもかまわない。また、本実施例のギャップ形状はあくまで1例であり、目的に応じて他のギャップ形状にすることも可能である。
【0084】
本発明は、振動板とそれにギャップを挟んで対向する電極間のギャップ形成法に関するものであることから他部品の図示は省略したが、従来技術と同様に、図18の構成のアクチュエータにインク供給路,流体抵抗,ノズルプレート等の部品と組み付けることにより、インクジェットヘッドが作成される。
【0085】
図19(A),(B)、図20(C),(D),(E),(F)、図21(G),(H)は、本実施例のプロセスのフローを説明するための概略図である。
【0086】
図19(A):支持基板120となる<100>シリコンウェハ上に絶縁膜121となる熱酸化膜を2.0μm成長させ、フォトレジスト130をスピンコート/プリベークを行ったのち、グラデーションマスクを利用して露光処理を行う。本実施例においては、レジスト130はTSMR CRB−2(粘度50cp品)を用い概ね2000rpmでスピンコートすることにより2.8μm程度の厚を得た。塗布後は90℃ 60secのプリベークをおこない、露光はg線ステッパー(型式:NSR1755G7A、NA:0.54、λ:436nm)にて装置的な露光量(透過率100%,パターンボケの問題がないような広いパターンでの露光量)700mJ/cm2、フォーカスオフセット量は10μmの条件でおこなった。
【0087】
グラデーションマスクの設計は前記実施例と同様に1.6μmピッチで多数の開口を配置したが、ギャップ形状が異なることに対応し開口率分布は前記実施例と異なり図22に示すような分布とした。
つづいて現像処理をおこなうことにより、図示されるような底部がなだらかな斜面になっていて、その両端に底部の傾斜と比較し急峻な(本実施例では垂直に近い)傾きの段差を持つようなレジスト形状が得られる。本実施例においては前記段差は小さい方で約1.2μmとなっている。
【0088】
図19(B):レジスト130および絶縁膜を同時にエッチングする事によりレジストの形状が絶縁膜に転写されていく。本実施例においては、CF4/O2ガス系を用いたRIEにより、レジストのエッチレート約8000Å/min,酸化膜のエッチレート約3200Å/minの条件でのエッチングを行った。また、本実施例においては枚葉式のRIE装置を用いていたが、枚葉式の装置において複数枚(通常25枚)ウェハの連続処理をおこなうと、処理順に応じて徐々にエッチレートが変化していくことがある。そこで、本実施例においては、まず、所定の深さが得られるエッチング時間の概ね半分の時間エッチングの連続処理を行った後、最初のエッチングとは処理するウェハの順番を逆にして残り半分程度のエッチングの連続処理を行った。
【0089】
図20(C):本実施例においては段差上部のレジストが4000Å程度残る程度までエッチングを行うことによりエッチングされた部分のレジスト形状を深さ方向に1/2.5に縮小したような窪みが絶縁膜121に形成される。本実施例においては段差上部のレジストを2000Å以上残すことによりその部分の酸化膜表面がエッチングダメージを受けて荒れることが無いので、その面を接合面として振動板のシリコン面との直接接合が可能である。なお、レジストの残厚が2000Å未満になると、レジストが残っていても表面荒れが生じてしまうことが実験により確認されている。
また、前工程で底部のなだらかな斜面の両側にほぼ垂直な段差を持つレジスト形状を形成していたので、エッチングレートのバラツキによりレジストのエッチング量がばらついても、振動板の振動領域幅を規定する窪み上部の幅のバラツキはわずかである。ちなみに、振動の変位は振動板の振動領域幅の概ね4乗に比例するので、その寸法バラツキを小さくおさえることは重要である。
【0090】
図20(D):レジスト除去および洗浄後に対向電極230となる材料をスパッタ法により成膜する。本実施例においてはTiNを2000Å成膜した。成膜方法、材料、厚みはこれに限ったものではない。
【0091】
図20(E):フォトリソ/エッチング工程によって対向電極122のパターン形成を行う。本実施例においては、対向電極122となる部分以外に直接接合の接合面となる段差上部の部分にも対向電極材料122aであるTiNを残すようにパターン形成を行った。
【0092】
図20(F):レジスト除去/洗浄後、絶縁膜123をPE−CVD法により成膜した後、対向電極122及びその側面を覆うようなレジストパターンをフォトリソ工程により形成する。本実施例では絶縁膜には、TEOS+O2ガスを用いてシリコン酸化膜を1500Å成膜した。成膜方法、材料、厚みはこれに限ったものではない。
【0093】
図21(G):前工程でパターン形成したレジストをマスクに段差上部分に残っていた絶縁膜をエッチングする。エッチングはバッファーフッ酸を用いてウェットで行っても良いし、例えばCHF3+CF4ガスを用いてドライエッチングで行っても良い。いずれにしてもこの段階では下のTiN層でエッチングがストップするので、直接接合面となる酸化膜表面はエッチングダメージを受けない。
つづいて、レジスト除去を行った後、前工程でパターニングされた絶縁膜123をマスクとして、アンモニア水+過酸化水素水+純水のエッチャントによりTiNをエッチングする。このエッチャントでは酸化膜はほとんどエッチングおよびダメージを受けないため、段差上部の酸化膜表面は直接接合可能な表面性が保たれる。
【0094】
図21(H):振動板形成領域120に少なくとも6E19/cm3以上のボロンドープを行った振動板/隔壁形成基板110となる<110>シリコンウェハと対向電極が形成された基板を直接接合により接合する。次に隔壁となる部分をマスクして<110>KOHによりシリコンを異方性エッチングする。高濃度にボロンが拡散された領域でKOHでのエッチングがストップし、隔壁110が形成されると同時に振動板111が形成され本実施例のアクチュエータ主要部が完成する。
【0095】
図23(A),(B),(C)は更に他の実施例の製造プロセスを説明するための概略図であるが、その出来上がりの形状は前記実施例の図21(H)と概ね等しい形状となる。
【0096】
図23(A):支持基板120となる<100>シリコンウェハ上に絶縁膜121となる熱酸化膜を2.0μm成長させ、フォトレジスト130をスピンコート/プリベークを行ったのち、グラデーションマスクを利用して露光処理を行う。 本実施例においては、レジストはTSMR CRB−2(粘度50cp品)を用い概ね2000rpmでスピンコートすることにより2.8μm程度の厚を得た。塗布後は90℃ 60secのプリベークをおこない、露光はg線ステッパー(型式:NSR1755G7A、NA:0.54、λ:436nm)にて装置的な露光量(透過率100%,パターンボケの問題がないような広いパターンでの露光量)700mJ/cm2、フォーカスオフセット量は10μmの条件でおこなった。
【0097】
グラデーションマスクの設計は先の実施例と同様に1.6μmピッチで多数の開口を配置したが、ギャップ形状が異なることに対応し開口率分布は先の実施例と異なり図22に示すような分布とした。つづいて現像処理をおこなうことにより、図示されるような底部がなだらかな斜面になっていて、その両端に底部の傾斜と比較し急峻な(本実施例では垂直に近い)傾きの段差を持つようなレジスト形状が得られる。本実施例においては前記段差は小さい方で約1.2μmとなっている。
【0098】
図23(B):レジスト130および絶縁膜を同時にエッチングする事によりレジストの形状が絶縁膜に転写されていく。本実施例においては、CF4/O2ガス系を用いたRIEにより、レジストのエッチレート約8000Å/min,酸化膜のエッチレート約3200Å/minの条件でのエッチングをおこなう。エッチング量としては概ね底面のなだらかな斜面のレジストがちょうどすべてエッチングされる程度のエッチング量とした。
【0099】
図23(C):バッファードフッ酸により、絶縁膜121(熱酸化膜)を約4000Åエッチングを行う。BHFによる熱酸化膜のエッチングは非常に均一であり、エッチング量のバラツキはウェハ内±1%以下、ロット内で±1.5%以下程度に抑えることが可能であるので段差深さのバラツキを小さすることができる。また、BHFによるエッチングでは多少サイドエッチが入るがこの条件では概ね1μm以下であり特性上はほとんど問題にならない。また、工程短縮のためにドライエッチのみで段差形成する場合でも、レジストと絶縁膜の選択比を所定の値に制御する必要のある非平行段差を形成するステップと選択比を厳密に制御する必要のない全体的に均一に段差を深くするステップでエッチング条件を変えることにより、段差深のバラツキを少なくすることが可能である。
【0100】
本実施例においてはBHFによるウェットエッチのマスクには非平行ギャップ形成のためにグラデーションマスクにより形成されたレジストのレジストと絶縁膜を同時にエッチングする工程後に残った部分を利用したが、別途形成してもかまわない。
また、先にウェットエッチにより均一な段差を形成した後、グラデーションマスクを利用して非平行ギャップを形成することも可能であるが、図24に示すように、先に形成した段差によりレジスト膜厚に分布ができるため、その点に注意してマスク設計をする必要がある。以下、前記実施例と同様にしてインクジェットヘッドが形成される。
【0110】
【発明の効果】
本発明には、インクジェットヘッド製造方法によれば、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程により、階段形状の段差や非平行形ギャップ形状をフォトリソ/エッチングといった通常の半導体製造で使用されている技術によって作成することにより大量生産が可能となる。
【0113】
更には、露光/現像処理後にレジストの軟化温度以上の温度の熱処理を加えることにより透過率の段階的な変化や開口ピッチに対応したレジストの微細な凹凸を小さくすることができるので、より高性能・高信頼性のインクジェットヘッドを製造する事が可能となる。
【0114】
また、所定の形状に加工されたレジストと基板もしくは基板上に形成された絶縁膜を同時にエッチングする工程終了後に、振動板が形成される基板と対向電極が形成される基板の少なくとも一部に2000Å以上の厚みのレジストを残すことによりその部分に表面荒れが発生しないので、後の工程で平坦化等特別な処理をすることなく振動板形成基板と対向電極形成基板を直接接合する事が可能となり、特性のバラツキの少ないインクジェットヘッドの製造が可能となる。
【0115】
また、レジストの非平行ギャップに対応する部分の両側に、非平行ギャップ部分のレジスト勾配よりも大きな勾配で形成される段差をレジストに設けることにより、エッチング量がばらつきに起因するギャップ幅のバラツキを小さくすることが可能となり特性バラツキの少ないインクジェットヘッドの製造が可能となる。
【0116】
また、基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、ギャップ形状に対応して開口率が徐々に変化する複数の開口部が形成されたフォトマスクを利用し縮小光学系をもった露光装置によりレジストに露光/現像処理を行うことから、フォトマスク上では開口の大きさや開口のピッチがウェハ上よりも大きく作成する事になることから、フォトマスク作成時の相対的なバラツキを小さくすることができるので、特性バラツキの小さなインクジェットヘッドを製造する事が可能となる。
【0117】
また、基板上もしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、ギャップ形状に対応して開口率が徐々に変化する複数の開口部が形成されたフォトマスクを利用して露光処理を行なうにあたって、露光位置をずらして複数回の露光処理を行うことにより、マスクの開口ピッチに対応したレジストの微細な凹凸を小さくすることができるので、より高性能・高信頼性のインクジェットヘッドを製造する事が可能となる。
【0118】
また、レジストおよび基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写にあたり、前記レジストのエッチレートを基板もしくは基板上に形成された絶縁層のエッチレートよりも大きくすることにより、レジスト上に比べ基板もしくは基板上でのマスクの開口ピッチに対応したレジストの微細な凹凸は小さくすることができるので、より高性能・高信頼性のインクジェットヘッドを製造する事が可能となる。
【0119】
また、レジストおよび基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングする工程が枚様式の処理装置で複数枚の基板を処理する場合に所定の量に満たないエッチングを一旦行なったのちに最初の処理と処理順を逆にして所定量のエッチング処理を行なうことにより処理順によるエッチングスピードの変動の影響を小さくすることができるので、特性バラツキの小さなインクジェットヘッドを製造する事が可能となる。
【0120】
また、非平行形状を形成する為のレジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングする第一のエッチング工程と全体を均一にエッチングする第二のエッチング工程のそれぞれに対して最適なエッチング条件を選択することによりより高精度のギャップ形成が可能となるので、特性バラツキの小さなインクジェットヘッドを製造する事が可能となる。
【0121】
また、レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングする第一のエッチング工程よりも第二のエッチング工程を後に行うことにより、第一のエッチング工程前のレジスト膜厚がより均一に塗布可能となりギャップ形状をより精密に制御することが可能となるので、特性バラツキの小さなインクジェットヘッドを製造する事が可能となる。
【0122】
また、第二のエッチング工程のエッチングマスクとして第一のエッチング工程終了後に基板上に残ったレジストを用いることにより工程を短縮することができるので、製造コストの低減が可能となる。
【0123】
また、第二のエッチング工程で形成される段差がシリコン基板上に形成された熱酸化膜のバッファー沸酸によるエッチングにより形成されることからきわめて均一性が高く高精度のエッチングが可能となるので、特性バラツキの小さなインクジェットヘッドを製造する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 静電型アクチュエータの概略構成を示した図である。
【図2】 ギャップ形状の一例を示すための図である。
【図3】 ギャップ形状の他の例を示すための図である。
【図4】 ギャップ形状の更に他の例を示すための図である。
【図5】 図2に示した静電型アクチュエータのギャップ形成のプロセスを具体的に示した図である。
【図6】 図3に示した静電型アクチュエータのギャップ形成のプロセスを具体的に示した図である。
【図7】 図4に示した静電型アクチュエータのギャップ形状のプロセスを具体的に示した図である。
【図8】 静電型アクチュエータを用いたインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
【図9】 本発明によって製造されたインクジェットヘッドのアクチュエータ部の要部断面である。
【図10】 本発明によるインクジェットヘッド製造プロセスのフローを説明するための概略図である。
【図11】 本発明によるインクジェットヘッド製造プロセスの一部のフローを説明するための概略図である。
【図12】 図11に示したインクジェットヘッド製造プロセスの続きのフローを説明するための概略図である。
【図13】 図12に示したインクジェットヘッド製造プロセスの続きのフローを説明するための概略図である。
【図14】 ギャップ部分のマスクパターンのイメージを示す図である。
【図15】 レジストの感度曲線を示す図である。
【図16】 フォトマスクの開口率分布の例を示す図である。
【図17】 露光部の凹凸を模式図を拡大して示す図である。
【図18】 本発明の他の実施例によって製造されたインクジェットヘッドアクチュエータ部の要部断面である。
【図19】 図18に示したインクジェットヘッドアクチュエータの製造プロセスのフローを説明するための概略図である。
【図20】 図19の続きのプロセスのフローを説明するための概略図である。
【図21】 図20の続きのプロセスのフローを説明するための概略図である。
【図22】 フォトマスクの開口率分布の他の例を示す図である。
【図23】 本発明の更に他の実施例の製造プロセスを説明するための概略図である。
【図24】 レジスト膜厚の分布に段差がある場合の例を示す図である。
【符号の説明】
11,21,31,41…振動板、12,22,32,42…電極基板、13,23,33,43…ギャップ、14,24,34,44…基板電極、110…隔膜、111…振動板、120…支持基板、121…絶縁膜、122…対向電極、123…絶縁膜、124…接着層、130…フォトレジスト。
Claims (15)
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記レジストに露光/現像処理を行い、該露光/現像処理後に前記レジストの軟化温度以上の温度の熱処理を加えることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、使用するレジスト/装置/露光条件/現像条件において個々の開口が解像しないような複数の開口をもつとともに、前記開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスクを利用し、前記開口が解像しないような条件で露光/現像処理を行い、該露光/現像処理後にレジストの軟化温度以上の温度の熱処理を加えることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、所定の形状に加工されたレジストと前記基板もしくは基板上に形成された絶縁膜を同時にエッチングする工程終了後に、前記振動板が形成される基板と対向電極が形成される基板の接合面の少なくとも一部には2000Å以上の厚みのレジストが残っていることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、レジストの非平行ギャップに対応する部分の両側に、非平行ギャップ部分のレジスト勾配よりも大きな勾配で形成される段差をレジストに設けることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上もしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、少なくとも非平行ギャップ形成領域に対応する部分においてギャップ形状に対応して段階的もしくは連続的な透過率分布を持つフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行い、前記露光処理は、縮小光学系からなる露光装置により行なうことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、使用するレジスト/装置/露光条件/現像条件において個々の開口が解像しないような複数の開口をもつとともに、前記開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスクを利用し、前記開口が解像しないような条件で露光/現像処理を行い、前記露光処理は、縮小光学系からなる露光装置により行なうことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程と、前記基板上もしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、少なくとも非平行ギャップ形成領域に対応する部分においてギャップ形状に対応して段階的もしくは連続的な透過率分布を持つフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行う工程を有し、前記露光/現像処理は、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、処理するレジスト/露光装置/露光条件において解像限界以下となるような複数の開口を有しているとともに前記開口の開口率はギャップ形状に対応して徐々に変化するようなパターンを有するフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行い、該露光処理は、露光位置をずらして複数回行うことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成さ れた絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程と、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、使用するレジスト/装置/露光条件/現像条件において個々の開口が解像しないような複数の開口をもつとともに、前記開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスクを利用し、前記開口が解像しないような条件で露光/現像処理を行う工程を有し、前記露光/現像処理は、前記基板上にもしくは基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、処理するレジスト/露光装置/露光条件において解像限界以下となるような複数の開口を有しているとともに前記開口の開口率はギャップ形状に対応して徐々に変化するようなパターンを有するフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行い、該露光処理は、露光位置をずらして複数回行うことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上もしくは該基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、少なくとも非平行ギャップ形成領域に対応する部分においてギャップ形状に対応して段階的もしくは連続的な透過率分布を持つフォトマスクを利用して前記レジストに露光/現像処理を行い、前記レジストおよび前記基板もしくは該基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写するにあたり、前記レジストのエッチレートが前記基板もしくは該基板上に形成された絶縁層のエッチレートよりも大きいことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、前記ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記基板上にもしくは該基板上に形成された絶縁層上にレジストを塗布後、使用するレジスト/装置/露光条件/現像条件において個々の開口が解像しないような複数の開口をもつとともに、前記開口がギャップ形状に対応した開口率分布で配置されているフォトマスクを利用し、前記開口が解像しないような条件で露光/現像処理を行い、前記レジストおよび前記基板もしくは該基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写するにあたり、前記レジストのエッチレートが基板もしくは基板上に形成された絶縁層のエッチレートよりも大きいことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも 一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程を有し、前記レジストおよび前記基板もしくは該基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングする工程が枚様式の処理装置で複数枚の基板を処理する場合に所定の量に満たないエッチングを一旦行なったのちに最初の処理と処理順を逆にして所定量のエッチング処理を行なうことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 記録液を吐出するノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、振動板に対して非平行なギャップを介して個別電極が対向配置された電極基板を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させ記録液を前記ノズル吐出口から吐出させ記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状のレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する工程と、前記振動板基板もしくは電極基板の少なくとも一方の基板において、ギャップの位置に対応して、前記基板上もしくは前記基板上に形成された絶縁層上に所定の形状をもったレジストを形成する工程と、前記レジストおよび前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層を同時にエッチングすることにより前記レジスト形状を所定の比率で前記基板もしくは前記絶縁層に転写する第一のエッチング工程と、少なくとも電極形成部分が完全に開口されたエッチングマスクによって前記基板もしくは基板上に形成された絶縁層をエッチングする第二のエッチング工程を有し、前記第二のエッチング工程により形成された凹部内に個別電極を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第一のエッチング工程よりも第二のエッチング工程を後に行うことを特徴とする請求項12記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第二のエッチング工程のエッチングマスクが、第一のエッチング工程終了後に基板上に残ったレジストであることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第二のエッチング工程でエッチングされる材料がシリコン基板上に形成された熱酸化膜であり、エッチャントがバッファード沸酸であることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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