JP2002047569A - 遷移元素シリサイド薄膜の成膜方法 - Google Patents

遷移元素シリサイド薄膜の成膜方法

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JP2002047569A JP2000230650A JP2000230650A JP2002047569A JP 2002047569 A JP2002047569 A JP 2002047569A JP 2000230650 A JP2000230650 A JP 2000230650A JP 2000230650 A JP2000230650 A JP 2000230650A JP 2002047569 A JP2002047569 A JP 2002047569A
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Kensuke Akiyama
賢輔 秋山
Seishiro Oya
誠志郎 大屋
Hiroshi Funakubo
浩 舟窪
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Kanagawa Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炭化シリコンが混入せず、膜質のよい遷移元素
シリサイド薄膜を成膜する技術を提供する。 【解決手段】本発明の成膜方法では、カルボニル基を含
む有機金属化合物ガスと、シリコン原料ガスとを導入管
20内で混合させた後、真空槽2内に注入し、予め加熱
したシリコン基板12の表面に金属シリサイド薄膜を気
相成長させている。このように、カルボニル基を含む有
機金属化合物ガスをソースガスとして用いると、ガス中
の炭素原子は一酸化炭素ガスとなって気相に吸収され、
シリコン基板12の表面に付着することなく真空槽外へ
と排出される。そのため、シリコン炭化物がシリサイド
薄膜中に混入せず、良質な金属シリサイド薄膜を得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遷移元素シリサイド
薄膜の製造方法に関し、特に、発光・受光素子等に用い
られる鉄シリサイド薄膜の製造方法の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、発光素子と受光素子とを一つの素
子で兼ねる発光・受光素子が提案されている。この発光
・受光素子の一例を図5(a)、(b)の符号115に示
す。図5(a)は、発光・受光素子115の平面図であ
り、同図(b)は、同図(a)のA−A線断面図である。こ
の発光・受光素子115はn型のシリコン基板112を
有している。シリコン基板112の表面全面には、鉄シ
リサイド薄膜113が成膜されている。鉄シリサイド薄
膜113の表面には、図5(b)に示すようにリング状の
金属薄膜からなる表面電極114が形成されており、他
方、シリコン基板112の裏面全面には、金属からなる
裏面電極111が成膜されている。
【0003】かかる発光・受光素子115では、シリコ
ン基板112がn型であり、他方、鉄シリサイド薄膜1
13がp型であるため、鉄シリサイド薄膜113とシリ
コン基板112との間にpn接合が形成されている。表
面電極114はリング状に形成されており、鉄シリサイ
ド薄膜113は露出している。
【0004】かかる発光・受光素子115では、表面電
極114と裏面電極111との間に図示しない負荷を接
続した状態で、鉄シリサイド薄膜113に太陽光が入射
すると、光起電力効果により、n型のシリコン基板11
2からp型の鉄シリサイド薄膜113の方向に電流が流
れ、その電流が負荷に供給される。この場合には、発光
・受光素子115は光を受光して起電力を発生させる受
光素子として機能する。
【0005】これに対し、表面電極114に正電圧を印
加するとともに、裏面電極111に負電圧を印加する
と、p型の鉄シリサイド薄膜113からn型のシリコン
基板112に正孔が注入され、電子と再結合し、その結
合エネルギーが光に変換されて発光する。実用上は、鉄
シリサイド薄膜113上にp型シリコン層を形成し、そ
のp型シリコン層からも正孔が注入されるようにしても
よい。この場合には、発光・受光素子115は発光素子
として機能する。このように、発光・受光素子115
は、発光素子と受光素子の両方の機能を兼ねた素子であ
る。
【0006】上述した構成の発光・受光素子115を製
造するには、シリコン基板表面に鉄シリサイド薄膜を成
膜する必要がある。シリコン基板表面に鉄シリサイドを
形成する方法には、シリコン基板表面に鉄を蒸着し、こ
れを400℃程度に加熱保持することでシリサイド化す
る蒸着法や、シリコン基板表面に鉄イオンを打ち込み、
その後の熱処理によってシリサイドを形成する注入法等
がある。しかしながら、これらの蒸着法や注入法では、
鉄シリサイドはシリコン基板表面で島状に凝集したり粒
状に形成されたりして、薄膜状に形成されない。このた
め、薄膜を成膜するにはCVD法が用いられている。
【0007】図6の符号101に、鉄シリサイド薄膜を
成膜するのに用いるCVD成膜装置の一例を示す。この
CVD成膜装置101は、真空槽102を有している。
真空槽102には真空排気系108が接続されており、
その内部を真空排気することができるように構成されて
いる。
【0008】真空槽102内部下方には載置台107が
配置されている。この載置台107は内部にヒータを備
え、かつその表面が平坦にされており、その表面に基板
を載置した状態で基板を昇温できるように構成されてい
る。
【0009】真空槽102には、ガス導入管105、1
06の一端が接続されている。ガス導入管105、10
6の他端は、それぞれガス導入装置103、104に接
続されている。各ガス導入管105、106には、それ
ぞれバルブ121、122が設けられ、ガス導入装置1
03、104には、それぞれモノシラン(SiH4)ガスと、
メタロセン(Fe(C5H5)2)ガスとが充填されており、モノ
シランガスと、メタロセンガスとをそれぞれガス導入管
105、106から真空槽102内に導入できるように
構成されている。各ガス導入管105、106には、流
量調整器133、134がそれぞれ設けられており、真
空槽102内に導入されるモノシランガス、メタロセン
ガスの流量をそれぞれ調整することができるように構成
されている。
【0010】かかるCVD成膜装置101を用いて、シ
リコン基板表面に鉄シリサイド薄膜を成膜するには、ま
ず真空槽102内を真空排気し、内部の真空状態を保っ
た状態でシリコン基板を真空槽102内に搬入し、載置
台107表面に載置する。その状態のシリコン基板を図
6の符号112に示す。
【0011】予め載置台107はヒータにより加熱され
ており、シリコン基板112が載置台107表面に載置
されると、シリコン基板112は昇温する。所定温度ま
でシリコン基板112が昇温されたら、モノシランガス
と、メタロセンガスとを流量調整器133、134で適
当な流量に調整しながら、それぞれガス導入管105、
106から真空槽102内に導入する。
【0012】すると、シリコン基板112表面で鉄シリ
サイドが気相成長し、シリコン基板112表面に鉄シリ
サイド薄膜が成膜される。かかるCVD法を用いると、
シリコン基板表面に大面積の薄膜を成膜することができ
る。
【0013】しかしながら、上述のCVD法では、原料
ガスとしてメタロセンガスを用いており、薄膜成長中
に、メタロセンガス中に含まれる炭素が鉄シリサイド中
に混入して、鉄シリサイド薄膜中に炭化シリコンが形成
されてしまう。このため薄膜の膜質が劣化してしまい、
発光・受光素子の使用に耐えるだけの膜質が得られなく
なってしまうという問題が生じていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解決するために創作されたものであり、その
目的は、膜質が良好な遷移元素シリサイド薄膜を成膜す
ることができる成膜方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、遷移元素に属する金属原子
を含む遷移元素原料ガスと、シリコン原子を含むシリコ
ン原料ガスとを反応室内に導入して、前記シリコン基板
の表面に遷移元素シリサイド薄膜を気相成長させる遷移
元素シリサイド薄膜の成膜方法であって、前記遷移元素
原料ガスとして、前記金属原子に、少なくとも一つ以上
のカルボニル基が結合してなる有機金属化合物のガスを
用いたことを特徴とする。請求項2記載の発明は、請求
項1記載の遷移元素シリサイド薄膜の成膜方法であっ
て、前記シリコン原料ガスとして、シランガス、ジシラ
ンガス又は有機シリコンガスのいずれか一種以上を含む
ガスを用いることを特徴とする。請求項3記載の発明
は、請求項1又は請求項2記載の遷移元素シリサイド薄
膜の成膜方法であって、前記有機金属化合物のガスとし
て、Fe(CO)5ガス又はFe(CO)12ガスのいずれか一方又は
両方を用いることを特徴とする。請求項4記載の発明
は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の遷移元
素シリサイド薄膜の成膜方法であって、前記遷移元素原
料ガスと、前記シリコン原料ガスとを混合した後に、前
記反応室内に導入することを特徴とする。
【0016】本発明では、例えばFe(CO)5ガスのよう
に、金属原子に一つ以上のカルボニル基が結合されて成
る有機金属化合物のガスと、例えばシランガス等のよう
なシリコン原料ガスとを原料ガスとして用い、基板を加
熱させることでシリコン基板表面に遷移元素シリサイド
を気相成長させている。
【0017】カルボニル基中には、炭素原子が含まれて
いるが、この炭素原子は、気相成長時には一酸化炭素ガ
スになって気相に吸収され、反応室外へと排出されるの
で、基板表面には付着しない。従って、カルボニル基を
1個も含まない有機金属ガスであるメタロセンガスを用
いた従来方法と異なり、シリコン炭化物がシリサイド薄
膜中に混入しない。従って、シリコン炭化物を含まない
膜質の良好な薄膜を成膜することができる。
【0018】なお、本発明の成膜方法において、Fe(CO)
5ガスのように、一つ以上のカルボニル基を有する有機
金属化合物のガスを、反応室に設けられた導入口を介し
て反応室に導入した場合には、反応室への導入口付近は
高温なので、導入口付近の反応室の内部壁面に金属が析
出してしまうことがあるが、本発明の成膜方法では、シ
リコン原料ガスと有機金属化合物のガスとを予め混合し
た後に反応室内へと導入している。この場合には、シリ
コン原料ガスと有機金属化合物のガスとが混合されるこ
とで互いに反応し、高温でもガスの状態を保つ中間生成
物が生成されるので、導入口付近の反応室の内部壁面に
鉄が析出して付着することなく、鉄シリサイド薄膜を成
膜することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下で図面を参照し、本発明の実
施形態について説明する。図1(a)の符号1に、本実施
形態の成膜方法を実施する装置であって、鉄シリサイド
薄膜の成膜に用いられるCVD成膜装置の一例を示す。
【0020】このCVD成膜装置1は、本発明の成膜方
法に用いられる反応室の一例である真空槽2を有してい
る。真空槽2には真空排気系8が接続されており、その
内部を真空排気することができるように構成されてい
る。
【0021】真空槽2内部下方には載置台7が配置され
ている。この載置台7は、その内部に図示しないヒータ
を備え、かつその表面が平坦にされており、その表面に
基板を載置した状態で基板を昇温させられるように構成
されている。
【0022】真空槽2外部には、二個のガス導入装置
3、4が設けられている。各ガス導入装置3、4には、
それぞれシリコン原子を含むシリコン原料ガスと、遷移
元素に属する金属原子を含む遷移元素原料ガスとが充填
されている。本実施形態では、シリコン原料ガスとして
モノシラン(SiH4)ガスを用い、遷移元素原料ガスとし
て、鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)ガスを用いている。
このうち、鉄ペンタカルボニルガスが充填されている側
のガス導入装置4は、その内部に冷却装置を有してお
り、内部に充填された鉄ペンタカルボニルガスを、−5
℃に冷却した状態にしている。
【0023】各ガス導入装置3、4には、それぞれガス
放出管5、6の一端が接続されている。各ガス放出管
5、6の他端は、ともに導入管20の一端に接続され、
各ガス放出管5、6には、それぞれバルブ21、22が
設けられており、各バルブ21、22を開くと、ガス放
出管5、6を介してモノシランガスと、鉄ペンタカルボ
ニルガスとをそれぞれ導入管20内部へと導入できるよ
うに構成されている。導入管20の他端は、真空槽2に
設けられた導入口31に接続されており、導入管20に
モノシランガスと、鉄ペンタカルボニルガスとが導入さ
れると、導入管20内部で混合された後に、導入口31
から真空槽2内部へと導入されるように構成されてい
る。各ガス放出管5、6には、それぞれ流量調整器3
3、34が設けられており、モノシランガス、鉄ペンタ
カルボニルガスの流量を適当な流量に調整した後に、導
入管20を介して真空槽2内に導入できるように構成さ
れている。
【0024】上述した構成のCVD成膜装置1を用い
て、シリコン基板表面に鉄シリサイド薄膜を成膜するに
は、まず真空槽2内を真空排気し、内部の真空状態を保
った状態でシリコン基板を真空槽2内に搬入し、載置台
7表面に載置する。その状態のシリコン基板を図1の符
号12に示す。
【0025】予め載置台7はヒータにより加熱されてお
り、シリコン基板12は載置台7表面に載置されると昇
温する。所定の成膜温度(500℃)までシリコン基板1
2が昇温されたら、各バルブ21、22を開き、流量調
整器33、34を起動して、モノシランガスと、鉄ペン
タカルボニルガスとを適当な流量に調整しながら、それ
ぞれ導入管20へと導入する。すると、導入管20内で
モノシランガスと、鉄ペンタカルボニルガスとが混合さ
れ、その混合ガスが真空槽2内へと導入される。このと
き、各流量調整器33、34で、モノシランガス、鉄ペ
ンタカルボニルガスの流量をそれぞれ調整し、モノシラ
ンガスと、鉄ペンタカルボニルガスとの流量比が2:1
になり、真空槽2内部の圧力が3×10-2Paになるよ
うにする。
【0026】すると、シリコン基板12の表面に鉄シリ
サイドが気相成長し、シリコン基板12の表面に鉄シリ
サイド薄膜が成膜される。その鉄シリサイド薄膜を図1
(b)の符号13に示す。
【0027】その後、真空槽2内を排気し、1×10-1
Pa程度の水素雰囲気で基板温度を100℃以下に冷却
する。その後、真空槽2内を大気圧に復帰させ、シリコ
ン基板12を真空槽2外部へと取り出す。
【0028】本実施形態の成膜方法では、遷移元素原料
ガスとして鉄ペンタカルボニルガス用いており、その鉄
ペンタカルボニルガス中にも炭素原子が混入している
が、この鉄ペンタカルボニルガスは、カルボニル基を5
個有している。このため、薄膜成長中に炭素原子は、一
酸化炭素ガスとして気相中に吸収され、基板表面に付着
することなく真空槽外へと排気されるので、薄膜中には
シリコン炭化物が混入しないため、膜質の良好な薄膜を
成膜することができる。
【0029】本発明の発明者等は、上述した成膜方法の
効果を確認すべく、成長時間を1時間としてシリコン基
板表面に鉄シリサイド薄膜を成膜し、その鉄シリサイド
薄膜の特性を調べた。
【0030】図2は、鉄シリサイド薄膜におけるX線回
折の評価結果を示すグラフである。図2の横軸は、回折
の位置2θを示し、縦軸は2θ方向の散乱強度を示して
いる。図2の曲線(A)は、本実施形態のCVD法で成膜
された鉄シリサイド薄膜の評価結果を示し、図2の曲線
(B)は、メタロセンガスをソースガスに用いた従来のC
VD法で成膜された鉄シリサイド薄膜についての評価結
果を示している。また、図2中で符号40、46、4
7、48、50、56、57、58はともに鉄シリサイ
ド薄膜中のシリコン原子のスペクトルを示しており、符
号45、55はともに鉄シリサイドのスペクトルを示し
ている。また、符号41、42、43、44は炭化シリ
コンのスペクトルを示している。
【0031】シリコン原子のスペクトル40、46、4
7、48、50、56、57、58は、曲線(A)、(B)
のいずれにおいても現れているが、曲線(B)に、炭化シ
リコンのスペクトル41、42、43、44が現れてい
るのに対し、曲線(A)には炭化シリコンのスペクトルは
全く現れていない。さらに、曲線(A)における鉄シリサ
イドのスペクトル55は、曲線(B)における鉄シリサイ
ドのスペクトル45に比してそのピーク値が大きくなっ
ている。以上より、本実施形態のCVD法では炭化シリ
コンが混入せず、従来に比して膜質の良い鉄シリサイド
薄膜を成膜することができることがわかる。
【0032】また、本発明の発明者等は、本実施形態の
成膜方法によりシリコン基板表面に成膜された鉄シリサ
イド薄膜を、オージェ電子分光法により分析した。図3
は、本実施形態の成膜方法で成膜された鉄シリサイド薄
膜のオージェ電子分光分析法の評価結果を示すグラフで
ある。
【0033】図3の横軸はスパッタ時間を示している。
このスパッタ時間は、鉄シリサイド薄膜の膜厚方向の深
さに対応している。また、縦軸は、オージェ電子のスペ
クトル強度を示しており、薄膜中の元素濃度に対応して
いる。
【0034】図3中の曲線(C)は、シリコン原子のスペ
クトルを示し、曲線(D)は、鉄原子のスペクトルを示し
ている。また、曲線(E)は、酸素原子のスペクトルを示
し、曲線(F)は、炭素原子のスペクトルを示している。
【0035】図3に示すように、本実施形態の鉄シリサ
イド薄膜では、曲線(C)、曲線(D)がほぼ一定の強度で
現れているのに対し、曲線(E)、曲線(F)は表面付近に
わずかに現れるのみであって、ほとんど現れていない。
以上より、この鉄シリサイド薄膜中では、鉄原子とシリ
コン原子はほぼ一定の割合で存在しているが、炭素原子
と酸素原子は、仮に存在していても検出限界以下程度の
量であることがわかる。このことからも、本実施形態の
CVD法では、炭素原子が鉄シリサイド薄膜中にはほと
んど混入しないことが確認できた。
【0036】さらに、本発明の発明者等は、本実施形態
の成膜方法によりシリコン基板表面に成膜された鉄シリ
サイド薄膜表面にレーザ光を照射した場合に、薄膜表面
で生じる表面発光の強度分布を調べた。
【0037】図4は、鉄シリサイド薄膜表面にレーザ光
を照射して表面発光させたときの発光強度分布を示す図
である。図4の横軸は、発光した光の測定波長を示し、
縦軸は、発光強度を示している。図4中の曲線(H)は、
本実施形態の成膜方法で成膜された鉄シリサイド薄膜の
発光強度のスペクトルを示しており、曲線(I)は、ソー
スガスとしてフェロセン(C5H5)Fe(C5H5)ガスを用い、従
来の成膜方法で成膜された鉄シリサイド薄膜の発光強度
のスペクトルを示している。
【0038】フェロセンガスを用いて成膜された鉄シリ
サイド薄膜に対応する曲線(I)では、スペクトルは一定
であり、全く発光強度のスペクトルは現れておらず、全
く表面発光が生じていないが、曲線(H)では、測定波長
が15600nm付近で、大きなスペクトルのピーク50
が現れ、強い表面発光が現れていることがわかる。な
お、上述したように鉄ペンタカルボニルガスを真空槽2
内部に導入する際に、鉄ペンタカルボニルガスのみを単
独で真空槽2内に導入すると、鉄ペンタカルボニルガス
が真空槽内に導入される導入口付近の温度が200℃以
上の高温になるため、導入口付近の真空槽2の内部壁面
に鉄が析出して付着してしまう場合があるが、本実施形
態の成膜方法では、導入管20内で鉄ペンタカルボニル
ガスとモノシランガスとを混合した後に、真空槽2内部
に導入している。このため、導入管20内部で鉄ペンタ
カルボニルガスとモノシランガスとが反応して中間生成
物のガスが形成される。この中間生成物は、常温より高
く、成膜時の基板温度よりも低い温度であるガス導入口
31付近の真空槽2内部の温度(200℃程度)程度では
気体の状態を保つので、ガス導入口31に鉄が析出して
付着することなく、鉄シリサイド薄膜を成膜することが
できる。
【0039】また、本実施形態では、遷移元素原料ガス
として鉄ペンタカルボニルガス(Fe(CO)5)を用いている
が、鉄シリサイド薄膜を成膜する際に用いられる遷移元
素原料ガスはこれに限られるものではなく、例えば鉄ド
デカンカルボニル(Fe(CO)12)ガスを用いてもよい。
【0040】また、本実施形態では、鉄シリサイド薄膜
を成膜しているが、本発明の遷移元素シリサイド薄膜は
これに限らず、例えば、タングステンシリサイドや、チ
タンシリサイドの成膜にも適用可能である。このとき、
タングステンシリサイド薄膜を成膜する場合には、遷移
元素原料ガスとしてタングステンヘキサカルボニル(W(C
O)6)ガスを用いればよく、チタンシリサイド薄膜を成膜
する場合には、遷移元素原料ガスとしてチタンヘキサカ
ルボニル(Ti(CO)6)ガスを用いればよい。
【0041】また、シリコン原料ガスとしてモノシラン
(SiH4)ガスを用いたが、本発明のシリコン原料ガスはこ
れに限られるものではなく、例えばジシラン(Si2H6)ガ
スのような他のシラン系ガスを用いてもよいし、あるい
は有機シリコンガスを用いてもよい。
【0042】さらに、本実施形態では、ガス放出管5、
6と導入管20とを直結させ、各ガス放出管5、6から
放出されたモノシランガスと、鉄ペンタカルボニルガス
とを導入管20内部で混合させているが、本発明はこれ
に限らず、例えばガス放出管5、6と導入管20との間
に混合室を設け、この混合室内でモノシランガスと、鉄
ペンタカルボニルガスとを混合させた後に、その混合ガ
スを導入管20から真空槽2内部へと導入するように構
成してもよい。
【0043】
【発明の効果】膜質の良い遷移元素シリサイド薄膜を成
膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a):本発明の一実施形態の遷移元素シリサイ
ド薄膜の成膜方法を実施するCVD装置の構成を説明す
る図 (b):本実施形態の成膜方法によってシリコン基板表面
に鉄シリサイド薄膜が成膜された状態を説明する断面図
【図2】本発明の一実施形態の成膜方法と、従来の成膜
方法により成膜された各鉄シリサイド薄膜の、X線回折
の評価結果を示すグラフ
【図3】本発明の一実施形態の成膜方法と、従来の成膜
方法により成膜された各鉄シリサイド薄膜の、オージェ
分光法による分析結果を示すグラフ
【図4】本発明の一実施形態の成膜方法と、従来の成膜
方法により成膜された各鉄シリサイド薄膜の表面にレー
ザ光を照射した場合の、表面発光のスペクトル強度を説
明するグラフ
【図5】(a):発光・受光素子の一例を示す平面図 (b):発光・受光素子の一例を示す断面図
【図6】従来の成膜方法を実施する成膜装置の構成を説
明する図
【符号の説明】 2……真空槽(反応室) 3、4……ガス導入装置
5、6……ガス放出管 20……導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K030 AA06 AA09 AA12 BA07 BA18 BA20 BA48 CA04 CA12 FA10 LA18 5F041 AA31 CA22 CA33 CA46 5F045 AA04 AB30 AC01 AC07 AD08 AD09 AE13 AF03 CA09 CA13 5F051 AA20 BA11 CB12 CB29 DA03 GA04 GA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遷移元素に属する金属原子を含む遷移元素
    原料ガスと、シリコン原子を含むシリコン原料ガスとを
    反応室内に導入して、前記シリコン基板の表面に遷移元
    素シリサイド薄膜を気相成長させる遷移元素シリサイド
    薄膜の成膜方法であって、 前記遷移元素原料ガスとして、前記金属原子に、少なく
    とも一つ以上のカルボニル基が結合してなる有機金属化
    合物のガスを用いたことを特徴とする遷移元素シリサイ
    ド薄膜の成膜方法。
  2. 【請求項2】前記シリコン原料ガスとして、シランガ
    ス、ジシランガス又は有機シリコンガスのいずれか一種
    以上を含むガスを用いることを特徴とする請求項1記載
    の遷移元素シリサイド薄膜の成膜方法。
  3. 【請求項3】前記有機金属化合物のガスとして、Fe(CO)
    5ガス又はFe(CO)12ガスのいずれか一方又は両方を用い
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遷移元
    素シリサイド薄膜の成膜方法。
  4. 【請求項4】前記遷移元素原料ガスと、前記シリコン原
    料ガスとを混合した後に、前記反応室内に導入すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載
    の遷移元素シリサイド薄膜の成膜方法。
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