JP2002020690A - 親水性塗膜とその製造法並びにそれを用いた固体高分子電解質型燃料電池及び熱交換器 - Google Patents

親水性塗膜とその製造法並びにそれを用いた固体高分子電解質型燃料電池及び熱交換器

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JP2002020690A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性のある親水性塗膜が要請されており、
長期にわたって安定な電池性能を示す燃料電池などの実
現が困難であった。 【解決手段】 固体高分子電解質膜21を挟持する燃料
極22と酸化剤極23の両外面に、ガス通流溝25を備
えたセパレータ24を、ガス通流溝25が燃料極22あ
るいは酸化剤極23に面するように配置し、ガスシール
体27で気密に保持して構成する。セパレータ24の内
表面の少なくとも一部に、タンパク質とその表面上に界
面活性剤が吸着保持された親水性塗膜28を備え、セパ
レータに冷却水通流溝26を設けて燃料電池を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に塗布す
ることにより形成され、変成することにより長期にわた
り安定した濡れ性を発現し得る塗膜とその製造法及びそ
れを利用した固体高分子電解質型燃料電池及び熱交換器
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、基材の表面を保護する目的で多く
の塗膜が開発されているが、かかる塗膜のほとんどが撥
水性である。また、燃料電池や熱交換器の分野において
は、基材の親水処理が望まれている(特開平10−39
31号公報及び特開平5−126485号公報など)。
親水性を付与するために、一般的には、塗膜上にコロナ
放電処理を施したり、シリカゾルを塗布する方法が採用
されている。しかし、コロナ放電処理については、親水
化した塗膜の表面が時間の経過とともに撥水性に変化し
やすく、またシリカゾルを塗布する方法については、塗
膜へのシリカゾルの密着性に劣るため、シリカゾルが水
中へ溶出することがある。すなわち、いずれの場合にお
いても、塗膜の親水性を長期にわたって維持することは
困難であるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、上記問題点を
解決すべく、本発明は、長期にわたって安定な濡れ性を
備えた親水性塗膜及びその製造法を提供することを第1
の目的とする。また、本発明は、長期にわたって性能が
劣化しない高耐久性の固体高分子電解質型燃料電池及び
熱交換機を実現することを第2の目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】第1に、本発明は、タン
パク質からなる膜の表面に界面活性剤を有することを特
徴とする親水性塗膜に関する。前記界面活性剤がタンパ
ク質に吸着保持されているのが有効である。前記界面活
性剤が親水性置換基を有しており、前記タンパク質が分
子内に極性置換基を有するのが有効である。前記タンパ
ク質が水溶性であり、変成により水不溶性となるもので
あるのが有効である。前記タンパク質は、変成された場
合にβシート構造を有するものであるのが有効である。
また、前記親水性塗膜は、膜厚が100nm以下である
のが有効である。
【0005】さらに本発明は、少なくとも、(1)基材
に少なくともタンパク質と界面活性剤を含有する溶液を
塗布し、タンパク質からなる膜の表面に界面活性剤を有
する塗膜を、前記基材の表面に形成する工程、および
(2)前記塗膜を形成した後に前記タンパク質を変成す
る工程を含むことを特徴とする親水性塗膜の製造方法に
も関する。前記工程(1)においては、前記基材を前記
溶液中に一定時間浸漬した後、前記基材を前記溶液から
引き上げることによって、前記溶液を前記基材に塗布す
るのが有効である。
【0006】第2に、本発明は、固体高分子電解質膜、
前記電解質膜を挟持する一対の電極層、および前記電極
層の外側に配置されたガス通流溝を有する一対のセパレ
ータからなる単電池を積層してなり、一方のセパレータ
のガス通流溝にガス燃料を通流し、他方のセパレータの
ガス通流溝に酸化剤ガスを通流する固体高分子電解質型
燃料電池であって、前記セパレータのガス通流溝の内表
面に上記親水性塗膜が形成されていることを特徴とする
固体高分子電解質型燃料電池に関する。この燃料電池に
おいては、前記固体高分子電解質型燃料電池を設置した
際に、前記セパレータにおいて、重力方向に対して最も
下位に位置する面のガス流通溝にのみ前記親水性塗膜が
形成されていること、またはさらにその他の面のガス流
通溝には撥水性塗膜が形成されているのが有効である。
【0007】さらに本発明は、少なくとも、バーナを臨
ませた燃焼室と、前記燃焼室に連通した高温ガス通路を
有する高温ガス通路体と、前記高温ガス通路体の内面に
設けられた複数のフィンと、前記高温ガス通路体の外面
において前記高温ガス通路体に面して冷媒を流通するパ
イプとを具備する熱交換器であって、前記フィンの表面
上に上記親水性塗膜が形成されていることを特徴とする
熱交換器に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係る親水性塗膜の最大の
特徴は、極性置換基を有するタンパク質から形成される
塗膜の表面に親水性置換基を有する界面活性剤が、両者
の親水性置換基相互間のイオン結合または共有結合から
なる化学結合を介して固定および保持されている点にあ
る。これにより、界面活性剤がタンパク質からなる膜の
表面に単に付着したいわゆる物理的結合状態とは異な
り、長期にわたって良好な濡れ性を維持することができ
る。また、タンパク質として水溶性のものを用いれば薄
膜化が可能であり、導電性などの基材自体の性質を損な
うことがないという利点がある。また、変成し得るもの
を用いれば、塗膜の内部においてタンパク質が変成して
不水溶化するため、長期にわたって塗膜自体の耐水性を
維持できるという利点がある。
【0009】すなわち、本発明は、タンパク質からなる
膜の表面に界面活性剤を有することを特徴とする親水性
塗膜に関する。ここで、本発明におけるタンパク質は、
膜形成能を有するものであればよく、例えば牛血清アル
ブミン(BSA)、人血清アルブミン、キモトリプシ
ン、ヘモグロビン、シトクロムC、ミオグロビン、なら
びにポリグルタミン酸およびポリアスパラギン酸などの
ポリアミノ酸、トリプトファン、メチオニン、ヒスチジ
ンなどがあげられる。なかでも、得られる親水性塗膜の
薄膜化の観点からは、牛血清アルブミン(BSA)、人
血清アルブミン、ヘモグロビンおよびポリグルタミン酸
などの、水溶性で変性によって水不溶性となるタンパク
質であるのがより好ましい。さらに、膜自体の耐熱性と
いう観点から、変性によってβシート構造を有する牛血
清アルブミン(BSA)および人血清アルブミンなどの
アルブミン系タンパク質を用いるのが好ましい。また、
界面活性剤の親水性置換基と相互作用し、イオン結合や
共有結合などの結合エネルギーの大きい化学結合を介し
て、界面活性剤を強固に固着保持するという理由から、
アミド基、カルボキシル基および水酸基などの極性置換
基を有するのが好ましい。
【0010】つぎに、本発明において用いることのでき
る界面活性剤としては、イオン結合または共有結合を介
して上述したタンパク質からなる塗膜に結合して固定化
され得るものであればよく、例えばドデシル硫酸ナトリ
ウム(SDS)、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムなどがあげられる。
【0011】本発明に係る親水性塗膜の製造方法につい
て工程ごとに説明する。まず、工程(1)において、基
材に少なくともタンパク質と界面活性剤を含有する溶液
を塗布し、タンパク質からなる膜の表面に界面活性剤を
有する塗膜を、前記基材の表面に形成する。ここで用い
る基材としては、上記タンパク質と界面活性剤を含む溶
液が塗膜を形成し得るものであれば特に制限はない。前
記溶液におけるタンパク質と界面活性剤の混合比として
は、膜表面が充分な親水性機能を発現するという点か
ら、75:25〜25:75(重量比)であればよい。
また、溶媒としては水を用いればよい。塗膜を形成する
方法としては、従来から用いられている方法を用いれば
よいが、操作が容易で均一な薄膜を形成することができ
るという点から、前記基材を前記溶液中に一定時間浸漬
した後、前記基材を前記溶液から引き上げることによっ
て、前記溶液を前記基材に塗布する浸漬法を用いるのが
有効である。
【0012】つぎに、工程(2)において、前記塗膜を
形成した後に前記タンパク質を変成させる。この工程
は、タンパク質を変性させて水不溶性とし、得られる親
水性塗膜に長期にわたる耐水性を付与する工程である。
タンパク質を変性させる方法は、用いるタンパク質の種
類によってことなるが、加熱による変性に熱を利用する
のが好ましく、その他にも赤外線照射などの方法も利用
可能である。また、前記親水性塗膜は、膜厚が100n
m以下であるのが有効である。膜厚の下限は、10nm
程度であればよい。膜厚の制御は、タンパク質と界面活
性剤からなる混合溶液の濃度の変更や基材の引き上げ速
度を変えるなどの方法で行えばよい。
【0013】本発明に係る親水性塗膜は、種々の用途に
用いることができる。なかでも、固体高分子電解質型燃
料電池および熱交換器に応用するのが有効である。すな
わち、本発明は、第2に、固体高分子電解質膜、前記電
解質膜を挟持する一対の電極層、および前記電極層の外
側に配置されたガス通流溝を有する一対のセパレータか
らなる単電池を積層してなり、一方のセパレータのガス
通流溝にガス燃料を通流し、他方のセパレータのガス通
流溝に酸化剤ガスを通流する固体高分子電解質型燃料電
池であって、前記セパレータのガス通流溝の内表面に上
記親水性塗膜が形成されていることを特徴とする固体高
分子電解質型燃料電池に関する。
【0014】この燃料電池においては、前記固体高分子
電解質型燃料電池を設置した際に、前記セパレータにお
いて、重力方向に対して最も下位に位置する面のガス流
通溝にのみ前記親水性塗膜が形成されていること、また
はさらにその他の面のガス流通溝には撥水性塗膜が形成
されているのが有効である。さらに本発明は、少なくと
も、バーナを臨ませた燃焼室と、前記燃焼室に連通した
高温ガス通路を有する高温ガス通路体と、前記高温ガス
通路体の内面に設けられた複数のフィンと、前記高温ガ
ス通路体の外面において前記高温ガス通路体に面して冷
媒を流通するパイプとを具備する熱交換器であって、前
記フィンの表面上に上記親水性塗膜が形成されているこ
とを特徴とする熱交換器に関する。
【0015】上記親水性塗膜を燃料電池用のセパレータ
のガス通流溝表面に設け、固体高分子電解質型燃料電池
を構成した場合、電池反応の結果ガス通流溝中に形成さ
れる生成水が親水性塗膜によって、セパレータ表面とよ
り小さな接触角をなして水滴となる。そのため、ガス通
流溝を閉塞するほどの水滴には成長せず、また親水性塗
膜表面を伝って、ガス通流溝に留まることなく、所定の
流路まで導かれることになり、ガスの閉塞による電池電
圧の低下は起こらない。さらに、タンパク質として水溶
性のものを用いた場合、塗膜形成工程において、水の表
面張力によってセパレータ表面から不要な水溶液がより
容易に除去できる。そのため、塗膜の薄膜化が可能にな
り、セパレータ自体の導電性を損なうことはなく、抵抗
増加による電池電圧の低下は起こらない。
【0016】また、この親水性塗膜を熱交換器のフィン
表面に設けた場合、熱交換器の運転中、冷媒によって燃
料ガスが極度に冷やされた結果、フィン表面近くに発生
した水分は親水性塗膜によって、フィン表面とより小さ
な接触角をなして水滴となる。そのため、ガス通路を閉
塞するほどの水滴には成長せず、また親水性塗膜表面を
伝って、ガス通路に留まることなく、所定の流路まで導
かれることになり、ガスの閉塞による熱交換効率の低
下、燃焼特性の劣化および腐食などの機器の信頼性面で
の問題は起こらない。なお、固体高分子電解質型燃料電
池においては、親水性塗膜はセパレータの内表面全面に
設けるのがより効果的ではあるが、全面でなく、燃料電
池を設置した際にセパレータのガス通流溝において、重
力方向に対し最も下側に位置する面にのみ設けても排水
効果を向上させることができる。
【0017】これは、前記親水性処理面以外に付着した
水滴は、それに働く重力のために、その下側に設けた親
水性処理面上に滴下することになり、親水性処理面の表
面を伝ってガス通流溝に留まることなく、燃料電池の外
部に効率よく排出されることになるからである。また、
親水性塗膜面以外の面に撥水性塗膜を形成した場合、排
水効率がより向上する。水滴のセパレータ表面に対する
接着強度がより小さくなるため、より重力によって滴下
しやすくなるためである。以下に、本発明について実施
例を用いて説明するが、本発明はこれらのみに限定され
るものではない。
【0018】
【実施例】《実施例1:固体高分子電解質型燃料電池へ
の応用》図1は、燃料電池用セパレータのガス通流溝の
表面に本発明の親水性塗膜を形成する方法を示す模式図
である。まず、タンパク質である牛血清アルブミン(B
SA)、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(S
DS)を用意した。BSAの1重量%水溶液にBSAに
対し50重量%のSDSを添加し、充分撹拌混合してB
SA及びSDSからなる水溶液を得た。続いて、カーボ
ン粉末とフェノール樹脂を混合したものを所定の金型に
入れて加熱しながら圧縮成形し、燃料電池用のセパレー
タ11を得た。前記BSA及びSDSからなる水溶液1
2の中に、セパレータ11を3分間浸漬した後(図1の
(a))、セパレータ11を水溶液中から引き上げ、3
0分間空気中に保持した(図1の(b))。その後、1
50℃で30分間熱処理し、セパレータ11のガス通流
溝13に親水性塗膜14の形成を完成した(図1の
(c))。
【0019】こうして完成した親水性塗膜14の濡れ性
を水に対する接触角で評価したところ、親水性塗膜14
を設けた部分の接触角は13°であった。一方、塗膜の
無い部分の接触角は95°であり、親水性塗膜14を設
けることで濡れ特性が著しく向上していることがわかっ
た。また、前記親水性塗膜14の膜厚を段差計で測定し
たところ、100nmであり、極めて薄い膜が得られて
いることがわかった。さらに、BSAの構造変化を赤外
線分光により調べたところ、熱処理前のものではαヘリ
ックス構造が支配的であるのに対して、熱処理後では化
学構造的に安定なβシート構造に転移していることがわ
かった。つぎに、この親水性塗膜14を形成したセパレ
ータを80℃の温水中に1000時間浸漬し、耐久性を
評価したところ、表面の濡れ性に変化はなく、長期耐久
性が確認された。これは界面活性剤であるSDSがタン
パク質であるBSA表面にイオン結合などの化学結合を
介して安定に吸着保持されているためであると考えられ
る。
【0020】ついで、前記方法で作製したセパレータを
用いて固体高分子電解質型燃料電池を製造した。図2
は、本発明に係る固体高分子電解質型燃料電池を構成す
る単電池の構造を模式的に示す概略部分分解断面図であ
る。固体高分子電解質膜21を挟持する燃料極22と酸
化剤極23の両外面に、ガス通流溝25に前記親水性塗
膜28を形成したセパレータ24を、ガス通流溝25が
燃料極22あるいは酸化剤極23に面するように配置
し、ガスシール体27で気密に保持した。本実施例で
は、固体高分子電解質膜21として、ナフィオン膜(デ
ュポン社製)を用いた。ここで、固体高分子電解質膜2
1の含水状態を飽和に維持するため、飽和状態に加湿し
て供給される反応ガスの水分、及び燃料電池の発電に際
し生成された反応生成水の水分が、過飽和状態となって
液化し、セパレータ24のガス通流溝25に水滴として
付着する事態が生じる。
【0021】これに対し、本発明によれば、ガス通流溝
25の表面に親水性塗膜28が形成されているため、ガ
ス通流溝25を閉塞するほどの水滴には成長せず、親水
性塗膜28の表面を伝ってガス通流溝25に留まること
なく、所定の流路まで導かれることになり、反応ガスの
供給が不足する危険性が回避され反応ガスが安定して均
一に通流することとなる。また、親水性塗膜28は薄い
ため、塗膜形成による抵抗値の増大は無く、電池電圧の
低下は確認されることはなかった。さらに、本実施例で
作製した固体高分子電解質型燃料電池は、2000時間
連続駆動後も初期の電池電圧を示し、長期にわたって耐
久性のあるものであった。なお、図2に示した構成にお
いては、セパレータ24に冷却水通流溝26を設けて単
電池を冷却したが、これに限るものでなくセパレータ以
外の別途構成部品にこの冷却機能を持たせてもよい。
【0022】なお、本実施例ではセパレータのガス通流
溝全面に親水性塗膜を設けたが、燃料電池を設置した場
合、セパレータのガス通流溝において重力方向に対し最
も下側に位置する面にのみ親水性塗膜を設けても同様の
効果が得られた。また、燃料電池を設置した場合、セパ
レータのガス通流溝において重力方向に対し最も下側に
位置する面にのみ親水性塗膜を設け、他の面には撥水性
塗膜を設けても同様の効果が得られた。
【0023】《実施例2:熱交換器への応用》図3は、
熱交換器に用いる高温ガス通路体の内面に設けたフィン
の表面に本発明に係る親水性塗膜を形成する方法を示し
た模式図である。まず、タンパク質として牛血清アルブ
ミン(BSA)、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリ
ウム(SDS)を用意した。BSAの1重量%水溶液に
BSAに対し50重量%の割合でSDSを添加し、充分
撹拌混合し、BSA及びSDSからなる水溶液を得た。
続いて、フィン33を有する高温ガス通路体31を前記
BSA及びSDSからなる水溶液32の中に3分間浸漬
した後(図3の(a))、高温ガス通路体31を水溶液
中から引き上げ、30分間空気中で保持した(図3の
(b))。その後、150℃で30分間熱処理し、高温
ガス通路体31のフィン33の表面に親水性塗膜34の
形成を完成した(図3の(c))。
【0024】こうして完成した親水性塗膜34の濡れ性
を水に対する接触角で評価したところ、親水性塗膜34
を設けた部分の接触角は13°であった。一方、塗膜の
無い部分の接触角は95°であり、親水性塗膜34を設
けることで濡れ特性が著しく向上していることがわかっ
た。また、前記親水性塗膜34の膜厚を段差計で測定し
たところ、100nmであり、極めて薄いことがわかっ
た。また、BSAの構造変化を赤外線分光により調べた
ところ、熱処理前のものではαヘリックス構造が支配的
であるのに対して、熱処理後では化学構造的に安定なβ
シート構造に転移していることがわかった。さらに、こ
の親水性塗膜34を形成したフィンを有する高温ガス通
路体を80℃の温水中に1000時間浸漬し、耐久性を
評価したところ、表面の濡れ性に変化はなく、長期耐久
性が確認された。これは界面活性剤SDSがタンパク質
BSA表面にイオン結合等の化学結合を介して安定に吸
着保持されているためと考えられる。
【0025】続いて、前記方法で作製した高温ガス通路
体を用いて熱交換器を製造した。図4は、本実施例に係
る熱交換器の構成を示す概略斜視図である。高温ガス通
路体41の内面にはフィン43が設けられており、フィ
ン43の表面には親水性塗膜42が設けられている。ま
た、高温ガス通路体41の外面には、それに面して冷媒
が流れるパイプ44が設けられている。高温ガス通路体
41はバーナ45を臨ませた燃焼室46に連通して取り
付けられる。通常、熱交換器の運転中、冷媒によって燃
料ガスが極度に冷やされた結果、フィン43の表面上に
発生した水分が過飽和状態となって液化し、高温ガス通
路体41のフィン43の表面に水滴として付着する事態
が生じる。
【0026】これに対し、本発明に係る熱交換器におい
ては、フィン43の表面に親水性塗膜42が形成されて
いるため、ガス通路を閉塞するほどの水滴には成長せ
ず、親水性塗膜42の表面を伝ってガス通路に留まるこ
となく、所定の流路まで導かれることになり、反応ガス
の供給が不足する危険性が回避され反応ガスが安定して
均一に通流することとなる。また、ここで作製した熱交
換器は、2000時間連続駆動後も初期の熱変換効率を
示し、長期にわたって耐久性のあるものであった。本発
明の親水性塗膜は本実施例に記載した燃料電池や熱変換
器への応用に限るものではなく、調理器などの各種製品
にも応用することが可能である。
【0027】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、タンパク
質を主成分とし、その表面上に界面活性剤を有する塗膜
を用いることで濡れ特性の優れた親水性塗膜が実現でき
る。タンパク質が極性基を有している場合、界面活性剤
がその表面上に吸着保持されるためにより安定性が向上
し、さらにはタンパク質が水溶性である場合は、薄膜化
が可能であるため導電性などの下地の性能を保持でき
る。また、前記親水性塗膜をガス通流溝表面に設けたセ
パレータを用いて固体高分子電解質型燃料電池を構成す
ることで、反応ガス通流溝での水滴による閉塞が抑制さ
れ、反応ガスが安定して均一に通流する長期耐久性のあ
る固体高分子電解質型燃料電池が得られる。さらに、前
記親水性塗膜をフィン表面に設けた高温ガス通路体を用
いて熱交換器を構成することで、ガス通路での水滴によ
る閉塞が抑制され、反応ガスが安定して均一に通流する
長期耐久性のある熱交換機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池用セパレータのガス通流溝の表面に本
発明の親水性塗膜を形成する方法を示す模式図である。
【図2】本発明に係る固体高分子電解質型燃料電池を構
成する単電池の構造を模式的に示す概略部分分解断面図
である。
【図3】熱交換器に用いる高温ガス通路体の内面に設け
たフィンの表面に本発明に係る親水性塗膜を形成する方
法を示す模式図である。
【図4】実施例2における熱交換器の構成を示す概略斜
視図である。
【符号の説明】
11 セパレータ 12 タンパク質および界面活性剤からなる水溶液 13 ガス通流溝 14 親水性塗膜 21 固体高分子電解質膜 22 燃料極 23 酸化剤極 24 セパレータ 25 ガス通流溝 26 冷却水通流溝 27 ガスシール体 28 親水性塗膜 31 高温ガス通路体 32 タンパク質および界面活性剤からなる水溶液 33 フィン 34 親水性塗膜 41 高温ガス通路体 42 親水性塗膜 43 フィン 44 パイプ 45 バーナ 46 燃焼室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 8/02 H01M 8/02 R 8/10 8/10 Fターム(参考) 3L103 AA40 CC27 DD06 DD08 DD36 DD68 4D075 DC16 DC19 EA06 EB07 EC35 4J038 BA191 GA06 GA09 JA14 JA45 KA09 MA08 MA09 NA06 PA18 PB09 5H026 AA06 BB04 CC03 EE17

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質からなる膜の表面に界面活性
    剤を有することを特徴とする親水性塗膜。
  2. 【請求項2】 前記界面活性剤が親水性置換基を有して
    おり、前記タンパク質が分子内に極性置換基を有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の親水性塗膜。
  3. 【請求項3】 前記タンパク質が水溶性であり、変成に
    より水不溶性となることを特徴とする請求項1または2
    記載の親水性塗膜。
  4. 【請求項4】 変成された前記タンパク質がβシート構
    造を有することを特徴とする請求項3記載の親水性塗
    膜。
  5. 【請求項5】 少なくとも、(1)基材に少なくともタ
    ンパク質と界面活性剤を含有する溶液を塗布し、タンパ
    ク質からなる膜の表面に界面活性剤を有する塗膜を、前
    記基材の表面に形成する工程、および(2)前記塗膜を
    形成した後に前記タンパク質を変成する工程を含むこと
    を特徴とする親水性塗膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 固体高分子電解質膜、前記電解質膜を挟
    持する一対の電極層、および前記電極層の外側に配置さ
    れたガス通流溝を有する一対のセパレータからなる単電
    池を積層してなり、一方のセパレータのガス通流溝にガ
    ス燃料を通流し、他方のセパレータのガス通流溝に酸化
    剤ガスを通流する固体高分子電解質型燃料電池であっ
    て、 前記セパレータのガス通流溝の内表面に請求項1〜4の
    いずれかに記載の親水性塗膜が形成されていることを特
    徴とする固体高分子電解質型燃料電池。
  7. 【請求項7】 前記固体高分子電解質型燃料電池を設置
    した際に、前記セパレータにおいて、重力方向に対して
    最も下位に位置する面のガス流通溝にのみ前記親水性塗
    膜が形成されていること、またはさらにその他の面のガ
    ス流通溝には撥水性塗膜が形成されていることを特徴と
    する固体高分子電解質型燃料電池。
  8. 【請求項8】 少なくとも、バーナを臨ませた燃焼室
    と、前記燃焼室に連通した高温ガス通路を有する高温ガ
    ス通路体と、前記高温ガス通路体の内面に設けられた複
    数のフィンと、前記高温ガス通路体の外面において前記
    高温ガス通路体に面して冷媒を流通するパイプとを具備
    する熱交換器であって、 前記フィンの表面上に請求項1〜4のいずれかに記載の
    親水性塗膜が形成されていることを特徴とする熱交換
    器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101181821B1 (ko) * 2004-11-29 2012-09-11 삼성에스디아이 주식회사 연료 전지 시스템 및 그 스택
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