JP2002014104A - Gvhdの検出方法 - Google Patents

Gvhdの検出方法

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JP2002014104A
JP2002014104A JP2000199067A JP2000199067A JP2002014104A JP 2002014104 A JP2002014104 A JP 2002014104A JP 2000199067 A JP2000199067 A JP 2000199067A JP 2000199067 A JP2000199067 A JP 2000199067A JP 2002014104 A JP2002014104 A JP 2002014104A
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uti
gvhd
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antibody
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Eizo Kakishita
榮三 垣下
Takahiro Okamoto
隆弘 岡本
Hiroyuki Takatsuka
広行 高塚
Shinji Yamada
真嗣 山田
Katsuaki Kato
克明 加藤
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Mochida Pharmaceutical Co Ltd
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Mochida Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】GVHDの早期検出に的確で有用な判断指標を
提示し、当該指標に基づくGVHDの検出方法、薬物治
療におけるGVHDの進展もしくは予防効果のモニタリ
ング方法、並びに、これらの方法を効果的に実施するた
めのキットを提供すること。 【解決手段】ヒトから採集された試料中のUTIの量を
測定することを特徴とするGVHDの検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GVHD(移植片
対宿主疾患)の検出方法、並びに当該検出に用いられる
測定キットに関する。詳細には、GVHDの患者から採
取される試料中のUTI(尿中トリプシンインヒビタ
ー)を測定することを特徴とするGVHDの検出方法、
並びに当該検出のためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】UTIは、ヒト由来の分子量約6700
0の酸性糖蛋白質であり、トリプシン、α−キモトリプ
シン、ヒアルロニダーゼ、顆粒球エラスターゼ、プラス
ミン等の多種の酵素に対する阻害作用やライソゾーム膜
安定化作用を有しこれらの作用に基づき、臨床的には急
性循環不全症ならびに急性膵炎の治療薬として用いられ
ている。
【0003】UTIの生物化学的性状は古くから知られ
ており、ファールバングらの総説においてUTI活性が
上昇する疾患として感染症、腎疾患以外に、心筋梗塞、
外科手術、白血病、悪性腫瘍が記載され、また正常妊娠
後期等においても、尿中***量が増加することが知られ
ている(Faarvang,H. J. ら Scand. J. Clin. Lab.Inv
est. 17(supp. 83)、1〜78頁、1965年;桑島
ら、炎症、9巻、3号、175〜182頁、1989
年)。しかしながら、これまでGVHDと生体中のUT
Iの濃度との関わりについては報告がなく、その病態と
尿中***量との関係についても知られてはいなかった。
【0004】GVHDは、免疫担当細胞であるリンパ球
が、移植片を拒絶し得ないような宿主に移植され生着
し、宿主の組織抗原に対して移植免疫反応を起こす結
果、ひきおこされる症状である。組織適合性の一致しな
い他人からの骨髄移植や輸血あるいは、臓器移植を受け
るときにしばしば発症する。
【0005】骨髄移植とは、レシピエント(受容者)の
血液系を破壊した上で、健常なドナー(提供者)から骨
髄、即ち血液系の基となる細胞集団(例えば幹細胞)を
移植することによって、レシピエントの内々でドナー由
来の血液系を再構成しようとする治療法である。レシピ
エントの血液系の破壊には、既に冒されている悪性疾患
を排除することおよび/またはレシピエントの免疫系を
抑制することを目的として放射線療法あるいは骨髄破壊
性高用量化学療法等が行われる。骨髄移植は、移植片で
ある骨髄細胞には造血幹細胞だけでなく免疫担当細胞も
含まれているので、移植片拒絶(graft rejection)を免
れてもGVHDが生じうる点で、他の臓器移植(腎、
肝、心など)とは異なっている(原田実根ら、「新しい
造血肝細胞移植」1〜7頁、1998年、第2刷、南江
堂)。
【0006】免疫不全の患者が検疫担当細胞の多い器官
の移植を受けると、GVHDが発現する危険性は高い。
従って、免疫系を再形成する目的で骨髄移植が行なわれ
る一時免疫不全の乳児および小児には重大な課題であ
り、また悪性疾患の治療のために骨髄移植を受ける患者
にとっても重大な課題である。なお、白血病の治療に対
する骨髄移植後の再発に対してドナーリンパ球輸注療法
(DLT)が行われるが、その最大の副作用がGVHD
であることも知られている(原田実根ら、「新しい造血
肝細胞移植」177〜182頁、前出)。また、臍帯血
幹細胞移植においても臍帯血バンクを介した非血縁者間
臍帯血幹細胞移植が行われつつあり、II度以上の急性G
VHDの合併率は30〜50%と報告されている(別冊
・医学のあゆみ、「血液疾患」、Ver.2436〜4
39頁、1998年)。
【0007】GVHDには、急性(骨髄移植後数週間以
内)もしくは慢性(移植後数ヶ月から数年続く)の両兆
候が現れうる。適当な総説としては、大野竜三ら「白血
病治療マニュアル」177〜184頁、1998年、第
4刷、南紅堂が参照されよう。急性GVHDの主な標的
臓器あるいは組織は皮膚、腸管、肝臓であり、症状とし
ては、斑丘疹、紅斑性発疹、下痢および肝炎として現
れ、また免疫再形成が、長時間の過酷な免疫抑制により
損なわれる。それぞれの臓器ごとに臨床的な重症度(sta
ge) が決められ、臓器毎の重症度の組み合わせによって
全身の重症度(grade) が決められている(Thomas ED ら
NEnglJMed292巻:832−843頁及び8
95−902頁,1975年)。
【0008】急性GVHDの診断については、臨床的症
状から以下の様に行われる。まず、皮膚については、手
掌や足底に紅斑が出現し、重症化するに従い、四肢、顔
面、体幹へと広がり、斑状丘疹から紅皮症へと進展し、
最終的には水泡を形成し落屑にいたることもある。鑑別
すべき皮膚症状として、HHV−6による皮疹、薬疹、
Stevens-Johnson 症候群などがあり、確定診断は皮膚生
検によっている。消化管症状としての下痢は、皮疹に数
日遅れて出現する。1日の下痢量や血便、閉塞性イレウ
スなどの所見による判断がある。鑑別すべき消化管症状
としては、前処置などの薬剤の副作用としての粘膜障
害、サイトメガロウイルスによる腸炎、細菌性腸炎など
があり、直腸生検が確定診断となる。
【0009】肝障害の特徴は、AST(GOT)、AL
T(GPT)、LDHなどの逸脱酵素の増加に比して、
ALP、γ−GTPなどの胆道系酵素や直接ビリルビン
の増加が著しく、血清総ビリルビンのレベルによりstag
e が区別される。鑑別すべき肝合併症としては、肝中心
静脈閉塞(VOD)、ウイルス性肝炎、シクロスポリン
等による薬剤性肝障害などがある。確定診断は肝生検に
より、経皮的肝生検に代わって経静脈的肝生検が推奨さ
れているが、我が国においてはまだ一般化していない。
また、重症急性GVHDの際には、皮疹に数日先だって
40度前後の高熱が出現することが多い。感染症との区
別として、ステロイド投与に著名な反応が認められると
きには、急性GVHDによる発熱の可能性が高い。その
他急性膵炎、急性細気管支炎、食道炎、胃炎なども報告
されている。
【0010】しかしながら、GVHDの検査所見に関し
ては、例えばIgE、インターフェロンやTNFが増加
することが知られてはいるが、IgEは増加しない例も
あり、インターフェロンやTNFではルーチンで測定す
ることは困難でいずれも(早期)診断に役立てられるこ
とは少なく、現在までのところ急性GVHDに特有の検
査所見はないとされている。
【0011】GVHDの予防は薬剤によるものと、骨髄
中からT細胞を除去する方法とがある。薬剤による予防
としては、例えば、移植後からメトトレキセートの静注
または経口での投与、移植前日から移植後におけるシク
ロスポリンやタクロリムス(FK506)の点滴静注、
或いは、前処置もしくは移植後の抗リンパ球細胞グロブ
リン(ALG)や抗胸腺細胞グロブリン(ATG)の投
与などが挙げられる。T細胞除去法としては、T細胞特
異的モノクロナール抗体を利用した除去や造血幹細胞の
表面マーカーであるCD34抗原に対するモノクロナー
ル抗体を用いて幹細胞を選択的に分離する方法等が挙げ
られる。しかし、適切なGVHD予防を行っても、重症
GVHDはある頻度で発症する。急性GVHDの治療
は、患者ごとのリスクによって開始時期も治療内容も異
なってくる。
【0012】軽症例ではプレドニン(1〜2mg/kg )に
よる治療を開始し、解熱、下痢量の減少が観られれば経
過を観察し、漸減中止する。GVHDの重症例では、強
力な免疫抑制療法を行わない限り救命は不可能である。
例えばシクロスポリンによる予防を行っていた症例で
は、FK506に変更し、メチルプレドニゾロンの大量
療法やALG或いはATGの投与を行うことが勧められ
るが、治療開始時期が多少でも遅れると救命は望み得な
い。急性GVHDが重症化すれば、体液・蛋白の喪失、
組織への体液貯留、臓器不全などの病態が進行し、やが
て間質性肺炎などの感染症を合併して致死的経過をたど
ることになる。上記のGVHD治療が奏功するまでの期
間の全身管理の良否も最終的な結果に影響する。
【0013】他方、慢性GVHDは、移植後100日以
降に出現する自己免疫様病変と免疫不全を特徴とする病
態である。慢性GVHDの進展形式は、1)急性GVH
Dからの移行(progressive type)、2)急性GVHD
が一旦消失した後の発症(quiescent type)、3)慢性
GVHDが初発するもの(de novo type)の3種類があ
り、急性GVHDからの移行は最も多く60%程度にも
上る。慢性GVHDの治療には、薬物としてはシクロス
ポリンA、FK506、プレドニゾロン、アザチオプリ
ン、サリドマイド等があるが、有効性のみならず副作用
の観点においても現状では満足の行くものはない。先述
のように、急性GVHDの存在が一番大きな慢性GVH
Dの発症要因であり、急性GVHDをいかに抑制するか
によって慢性GVHDの予防と治療を考えるべきとされ
ている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、GVH
Dの診断を早期に的確に行うことは、GVHDの発症リ
スクを背負う患者とりわけ骨髄移植患者にとって、GV
HDの予防や治療すなわち患者の救命や予後の管理に重
要である。しかし、未だ適当な検査所見が確立されてお
らず、既存の診断方法にはそれぞれ鑑別されるべき諸症
状が存在し、確定判断においても、患者に苦痛を与える
生検や薬物の反応を観察することが必要である。
【0015】従って、本発明の目的は、GVHDの検出
に的確で有用な判断指標を提示し、当該指標に基づくG
VHDの検出方法、薬物治療におけるGVHDの進展も
しくは予防効果のモニタリング方法、並びに、これらの
方法を効果的に実施するためのキットを提供することで
ある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、骨髄移植患者のGVH
Dの重症化、患者の血液中もしくは尿中のUTI濃度の
推移において、GVHDの重症化とUTI量の増加とに
著明な相関を見出した。とりわけ急性GVHDの重症化
と尿中へのUTI***量の増加とに強い相関を見出し
た。このことから本発明者らはGVHDの早期検出に的
確で有用な指標として、尿中のUTIの***量を選択し
急性GVHDの早期検出方法の提供、並びに当該検出の
ためのキットを提供することに成功し、本発明を完成す
るに至った。
【0017】本発明の第一の態様は、ヒトから採取され
た試料中のUTIを測定することを特徴とするGVHD
の検出方法である。好ましくは、GVHDが発症する恐
れのある状態の患者から採取された試料中のUTI量を
測定することを特徴とする急性GVHDの検出方法であ
る。
【0018】本発明の第二の態様は、骨髄移植患者にお
けるGVHDの検出を目的とする第一の態様記載の検出
方法である。
【0019】本発明の第三の態様は、試料として血液も
しくは尿を用いることを特徴とする第一ないし第二の態
様記載の診断方法である。
【0020】本発明の第四の態様は、少なくとも前処置
前、移植日、および移植後白血球回復期の3点で、試料
中のUTIの存在を測定する工程を含んでなる、本発明
の第一ないし第三の態様に記載の検出方法である。
【0021】好ましくは、前処置前、移植日、および移
植後白血球回復期の3点で測定した試料中のUTI量
が、下記関係式(1); {(c)−(b)}/{(b)−(a)}>0 (1) を満たし、より好ましくは、 {(c)−(b)}/{(b)−(a)}>1/3 (2) であることを、GVHD発症の判断の指標とする検出方
法である。なお、上記関係式(1)、(2)において、 (a):前処置前での試料中のUTI量の測定値 (b):移植日での試料中のUTI量の測定値 (c):移植後白血球回復期での試料中のUTI量の測
定値 である。UTI量の測定値は後述するクレアチニン補正
値を用いるのが好ましい。
【0022】試料は、例えば、患者から採取された尿も
しくは血液であって、採取された新鮮な試料を用いるこ
とができるが、−80℃程度に冷凍保存された試料を適
宜解凍して測定しても良い。また、尿に適当な保存剤も
しくは安定化剤(例えばホルマリン、トルエン、フェノ
ール、アジ化ナトリウム、或いは適当なプロテアーゼイ
ンヒビター(例えばベンザミン、トラネキサム酸等)
等)を添加して室温、好ましくは冷暗所にて保存した後
測定に供しても良い。
【0023】なお、移植後白血球回復期のUTI測定の
ため、移植日以後毎日測定することも可能であるが、所
定の間隔で測定することが好ましい。具体的には、1日
〜10日の任意の間隔で測定が可能であり、例えば2日
毎、3日毎、5日毎、7日毎、10日毎の間隔が挙げら
れる。試料の採取は、尿の場合、例えば採尿時刻を1日
の午前もしくは午後の何れかに設定するか、更に好まし
くは、採尿時刻を特定時刻±1時間以内に設定し、同じ
採尿時刻に採取された尿を用いる。採尿は、患者の自力
による排尿を採取するか、経尿道的に膀胱から直接採取
されたものであってもよい。
【0024】より早期の検出のためには、なるべく測定
間隔を短くし、上記関係式を満たした時点でGVHDへ
の移行を疑う。測定間隔は、また、患者のUTI測定値
の変化の個人差や容態等により、適宜変更される。以上
の第一〜第四の態様において、より好ましい態様は、試
料として尿を用いる当該GVHDの検出方法である。
【0025】本発明の第五の態様は、UTIの定量を行
なって急性GVHDを診断するために用いられるUTI
測定キットである。
【0026】本発明の第六の態様は、免疫反応により試
験試料中のUTIを測定する手段を有する急性GVHD
測定キットである。
【0027】本発明の第七の態様は、第五もしくは第六
の態様記載のGVHD測定キットによる急性GVHDの
モニター下に使用されることを特徴とする急性GVHD
の予防および/または治療剤である。第七の態様におい
て使用される薬物としては、メトトレキセート、シクロ
ホスファミド、アザチオプリン、ミゾリビン、シクロス
ポリン、タクロリムス水和物、塩酸グスペリムス等の免
疫抑制剤の他、プレドニンやメチルプレドニゾロン等の
ステロイド剤、ALG、ATG等が例示される。
【0028】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
説明する。本発明は、GVHDが発生する恐れのある状
態のヒト、例えば造血幹細胞移植とりわけ骨髄移植を受
けた患者から得られる試料中のUTIを測定することを
特徴とするGVHDの発症の検出方法、並びに当該GV
HD検出のための測定キットである。GVHDが発生す
る恐れのある状態にあるヒトとは、例えば造血幹細胞移
植、ドナーリンパ球輸注療法(DLT)、輸血、臓器移
植を受けた患者が挙げられる。
【0029】本発明にいう「GVHD」は、免疫担当細
胞であるリンパ球が、移植片を拒絶し得ないような宿主
に移植され生着し、宿主の組織抗原に対して移植免疫反
応を起こす結果ひきおこされる急性もしくは慢性の疾病
をいう。本発明の検出方法により、早期に検出しうるG
VHDとして好適なものとしては、造血幹細胞移植とり
わけ骨髄移植或いは(非縁者間)臍帯血幹細胞移植に起
因するGVHD、ドナーリンパ球輸注療法(DLT)に
おけるGVHD、輸血に起因するGVHD、あるいは、
臓器移植に起因するGVHDがあげられ、より好ましく
は急性GVHDであり、更に好ましくは骨髄移植に起因
する急性GVHDが挙げられる。
【0030】ここで、「骨髄移植」とは、レシピエント
(受容者)の血液系を破壊した上で、健常なドナー(提
供者)から骨髄、即ち血液系の基となる細胞集団(例え
ば幹細胞)を移植することによって、レシピエントの内
々でドナー由来の血液系を再構成しようとする治療法で
ある。レシピエントの血液系の破壊には、既に冒されて
いる悪性疾患を排除することおよび/またはレシピエン
トの免疫系を抑制することを目的として放射線療法ある
いは骨髄破壊性高用量化学療法等が行われる。
【0031】「前処置」とは、例えば白血病の治療にお
ける骨髄移植に先立って、レシピエントの体内に残存す
る白血病細胞の根絶と移植骨髄生着のための免疫抑制を
目的として行われる、全身放射線照射および/または大
量の抗がん剤例えばシクロスポリン、シタラビン、ブス
ルファン、メルファラン或いはエトポシド等の単独もし
くは併用投与等の処置である。通常移植手術のおよそ1
週間前ごろから移植当日にかけて前処置が行われる。
【0032】従って、本発明において「前処置前」と
は、その前処置の以前の期間を意味するが、通常、前処
置の前2週間から前処置に入るまでの時期をいう。「移
植日」とは、レシピエントに対して、骨髄等の移植の施
術日もしくはその一両日である。
【0033】「移植後白血球回復期」とは、前処置によ
り激減したレシピエントの白血球数が、骨髄等の移植に
よりおよそ1000/mm3 以上に回復した時期をい
い、通常、骨髄等の移植の施術日から2〜3週間後であ
るが、患者の回復状況により1週間程度前後しうる。
【0034】特に、本発明の第四の態様では、少なくと
も前処置前、移動日、および移植後白血球回復期の3点
での試料中のUTI量を測定し、その測定値より、GV
HD発症を予想する判断指標とする。さらに好ましく
は、それぞれの測定値を(a)、(b)、(c)とした
場合に、試料中のUTI量が、下記関係式(1); {(c)−(b)}/{(b)−(a)}>0 (1) であることを、GVHD発症を予想する判断指標とす
る。さらに、尿中のUTI量が、 {(c)−(b)}/{(b)−(a)}>1/3 (2) である場合は、その後、施術日から約3〜4週間後に重
症の急性GVHD、例えば腸管、皮膚等において III度
以上の急性GVHDを発生する可能性が極めて大きいと
判断される。
【0035】本発明に使用されうるUTIの測定手法お
よび測定キットとしては、UTI量または濃度を測定で
きる試薬またはキットであれば特に限定されないが、例
えば、トリプシン活性の阻害作用を測定する酵素学的測
定法、UTIと抗UTI抗体との反応に基づく様々な免
疫学的測定方法およびかかる測定原理に基づくUTI測
定キットが挙げられる。
【0036】酵素学的測定方法は、自動分析機の使用に
より迅速に測定できるが、トリプシン活性の阻害量をみ
るため、特異性の面でやや劣る。改善された技術とし
て、試料中のα1−アンチトリプシン(α1−AT)を
不活性化させる前処理を行なう技術、例えばWO99/
49076号公報に開示された測定方法が利用され得
る。他方、免疫学的測定方法は、抗原抗体反応に基づく
ためUTIのみを正確に測定できる特徴を持つ。具体的
には、定量的検出方法として、ラジオイムノアッセイ法
(RIA)、蛍光免疫測定法、化学発光免疫測定法、及
び、酵素免疫測定法(EIA,ELISA)等が知られ
ており、定性的検出方法としては、赤血球凝集法、ラテ
ックス凝集反応比濁法(LAIA)、時間分解蛍光免疫
測定法(TR−FIA)、イムノクロマトグラフィーア
ッセイ(ICA)または電気化学的特異結合分析法(M
EDIA)(特開平5−264552号公報参照)等が
挙げられる。なお、LAIAにおける凝集促進剤として
ポリエチレングリコールを添加する改良技術として特開
平11−64334号公報に開示された技術も利用され
得る。
【0037】免疫学的測定方法に使用される抗UTI抗
体は、UTIに対して特異的に反応し抗原抗体反応を生
じ、各測定法に必要な性質を有していれば良い。例えば
LAIAにおいては凝集反応を有するものであれば特に
制限されず、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体
若しくはポリクロナール抗体を含む抗血清等の何れでも
良い。抗体の種類も制限されず、各種免疫グロブリン例
えばIgA,IgE,IgG,IgM、IgDが使用で
きる。抗原の種類も制限されず、ラット、ウサギ、ヤギ
等由来の抗体が使用できる。これらの抗体は、免疫原と
してUTIを使用すること以外は、通常行われる抗体作
成方法により得られる(例えば、日本泌尿器学会74
巻、9号(1983年)に記載の方法)。反応液中の抗
UTI抗体の濃度は、測定感度と測定上限に影響するの
で、適量を実験によって求めることが望ましく、その
際、抗UTI抗体の力価や精製の程度を考慮して適量を
求めることができる。
【0038】これらの測定法に供される本発明の「キッ
ト」としては、酵素学的測定法用のキットとして、例え
ば、 トリプシン溶液+基質溶液+トリプシン以外のプロテ
アーゼ溶液から構成される測定キット、 トリプシン溶液+基質溶液+酸化剤溶液から構成され
る測定キット、 或いは、またはに更に緩衝液を加えた測定キット があり、例えばWO99/49076明細書記載の測定
キットAおよびキットBが参照される。これらのキット
には必要に応じUTI標準品や希釈溶媒が添付される。
【0039】免疫学的測定方法のキットとしては、例え
ば抗体を用いたサンドイッチEIA法を用いた該手段の
試薬としては、酵素標識抗UTI抗体、非酵素標識抗U
TI抗体、酵素基質及び発色剤が挙げられる。ここに記
載される酵素は例えばペルオキシダーゼ(HRP)が挙
げられる。すなわち、酵素標識抗UTI抗体がHRP標
識抗UTI抗体、非酵素標識抗UTI抗体が非標識抗U
TI抗体、酵素基質が過酸化水素水及び発色剤がテトラ
メチルベンジジン(TMB)発色剤となる。これら4試
薬により臓器移植後の臓器移植患者(レシピエント)の
UTI量を測定する手段の一例は構成される。該試薬を
含めたキットとしては、該試薬が含まれれば、特に免疫
反応または発色反応の検出を阻害するものを含まなけれ
ば、他に何が含まれていてもよい。例えば結合反応の場
であるプレート等含むことが好ましく、さらにプレート
が、非酵素標識抗UTI抗体がプレートに結合された抗
ウリナスタチン抗体結合プレートであればさらに好まし
い。また、必要に応じてプレートシール、抗体希釈液、
検体希釈液、洗浄液、発色停止剤または標準UTI液等
を含むことが好ましい。さらに測定するための機器とし
て、ピペット類、恒温層、試験管類、吸光度測定計等を
含んでいてもよい。
【0040】この試薬またはキットによる試料中のUT
I量の測定方法は、以下の通りである。まず非酵素標識
抗UTI抗体を固定したプレートに尿及び酵素標識抗U
TI抗体を添加し、非酵素標識抗UTI抗体と資料中の
UTIさらに酵素標識抗UTI抗体を結合させる。プレ
ートを洗浄して結合物を残渣と分離し、酵素基質と発色
剤を添加して発色の吸光度を測定する。同時に行った標
準UTIの測定値または予め求められている検量線よ
り、試料中のUTI濃度を求める。さらに尿中のUTI
量のクレアチニン補正値を求める場合は、公知の方法で
尿中クレアチニン量を測定し、下記式により換算量を求
める。 式 尿中UTI量のクレアチニン補正値(U/mg・Cr
e)=尿中UTI濃度(U/ml)×尿中クレアチニン
濃度(mg/ml)
【0041】また別の例として、抗体を用いた該手段の
試薬としては、酵素標識抗UTI抗体、非酵素標識抗U
TI抗体及び酵素基質が組み込まれたMEDIA法を利
用する試薬が挙げられる。ここに記載される酵素をHR
Pとした場合の各具体例はサンドイッチEIA法におけ
る説明と同様である。これら3試薬により臓器移植後の
臓器移植患者(レシピエント)の尿中UTI量を測定す
る手段の一例は構成される。該試薬を含めたキットとし
ては、該試薬が含まれれば、特に免疫反応または電気化
学反応の検出を阻害するものを含まなければ、他に何が
含まれていてもよい。例えば、反応の場(マトリクス)
及び電極等を含む反応装置(特開平5−264552号
公報参照)を含むことが好ましい。また、必要に応じて
抗体希釈液、検体希釈液、電子メディエーターまたは標
準UTI液等を含んでいてもよい。さらに測定するため
の付属品として、ピペット類、試験管類、電流測定計等
を含んでいてもよい。このMEDIA法による測定のた
めの試薬またはキットによる尿中UTI量の測定方法
は、以下の通りである。反応装置に尿及び酵素標識抗U
TI抗体を添加し、またはマトリクスに予め酵素標識抗
UTI抗体が含浸されている場合は反応装置に尿を添加
し、生じた電流の変化を測定する。同時に行った標準U
TIの測定値または予め求められている検量線より、尿
中のUTI濃度を求める。尿中のUTIのクレアチニン
補正値を求める場合は、上記に記載の方法で求める。
【0042】当該キットの具体例は、 1)定量的測定キットとして、 UTI−RIAキット:放射ラベルUTI(例えば
125 I −UTI)+固相化した抗UTI抗体+UTI標
準品から構成されるキット、或いは、固相化した抗UT
I抗体の代わりに抗UTI抗体+第二抗体を加えたキッ
トがあり、例えばBritt−Marieら(Bio
l.Chem.Hopper−Seyler、Vol.
370、pp1157−1161、Nov.(198
9))が参照される。 UTI−EIAキット:抗UTI抗体+酵素(例えば
ペルオキシダーゼ)標識抗体+基質溶液から構成される
キットがあり、具体的には、Etsuoら(Clini
caChimicaActa.167、pp.155−
164(1987))、或いは、後述する本発明の実施
例4が参照される。また、固相化抗体+酵素標識抗体の
組み合わせとしては、ポリクロナール抗体同士の他、モ
ノクロナールとポリクロナールの組み合わせ、モノクロ
ナール同士の組み合わせの何れも利用可能である。これ
らのキットには適宜、UTI標準品、試料希釈液、反応
停止液等の付属品が添付されうる。 UTI−蛍光免疫測定キット:の酵素標識抗体の代
わりに、蛍光標識した抗体を用いて構成されるキットで
ある。 UTI−化学発光キット:の酵素標識抗体の代わり
に、化学発光物質で標識した抗体を用いて構成されるキ
ットである。
【0043】2)定性的検出方法 UTI−赤血球凝集法キット:赤血球に固相化した抗
ヒトUTI抗体+UTI標準品を構成とするキットであ
る。 UTI−LAIAキット:ラテックスに固相化抗ヒト
UTI抗体+UTI標準品を構成とするキット、例えば
後述の測定方法の実施例1−bが挙げられる。
【0044】本発明の「UTI測定キットによるGVH
Dのモニター下に使用されることを特徴とするGVHD
の予防および/または治療剤」とは、現在もしくは将来
上市され若しくは開発が指向される全ての薬剤が該当す
るが、好ましくは、本発明の診断方法で患者の症状をモ
ニターしつつ投薬されることにより、そのGVHDの予
防もしくは治療効果がより優れて発揮される薬剤であ
る。具体的には、メトトレキセート、シクロスポリン、
タクロリムス、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロ
ン、アザチオプリン、ミゾリビン、ALG、ATG等こ
れらの塩、これらの水和物ないし塩の水和物等が挙げら
れる。これらは単独もしくは適宜併用されてもよい。併
用する場合は、メトトレキセートとシクロスポリン、も
しくは、メトトレキセートとタクロリムス水和物との併
用が好ましく、あるいは、メトトレキセートとシクロス
ポリンとm−PSLの3剤併用、もしくは、メトトレキ
セートとタクロリムス水和物とm−PLSとの3剤併用
も好ましい。投与法としては、好ましくは経口投与もし
くは静脈内投与である。必要に応じ血中濃度をモニター
しながらの点滴静注が好ましい。
【0045】本発明のGVHDの早期検出方法は、上記
構成をとることにより、GVHD、特に急性GVHDの
発症を、早期に的確に検出することが可能である。とり
わけ骨髄移植患者におけるGVHDの早期検出に有用で
ある。本発明においては、試料としては好ましくは採取
された血液あるいは尿が使用される。とりわけ尿の使用
は、採取に特別な器具や技術を必要とせず安全かつ簡便
であり、患者への負担や検査担当者の安全確保等の観点
からも望ましい。このため、臨床検査、診断分野におい
て最も有用性の高い検出方法である。使用済み器具や試
料の廃棄についても問題が無い。少なくとも前処置前、
移植日、および移植後白血球回復期の3点で、試料中の
UTI量を測定し、その測定値をGVHDの発症の判断
指標とし、特に、試料中のUTI量が上記関係式(1)
を満たすことをGVHDの発症の判断指標とする本発明
の検出方法では、より的確にGVHDの発症を検出する
ことが可能である。また、本発明の検出方法により、G
VHDの進展をモニターしつつ患者に対し薬物による的
確な予防および/または治療が可能となる。本発明のG
VHDを早期検出するための測定キットは、上記構成を
採ることにより、GVHD発症の可能性を早期に、的確
かつ簡便に検出することができる。従って、本発明の検
出方法および測定キットは、GVHDの診断に、好適に
用いられる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて、さらに具体
的に説明する。 <GVHDの検出> (実施例1) (対象と方法)骨髄移植症例7例について、EIA法
(後述するキットの実施例4参照)を用いて、(a)前
処置前(移植2〜3週間前)、(b)移植日、(c)移
植後白血球回復期(移植後2〜3週間後)の3点で尿中
のUTI濃度を測定した。なお、患者にはGVHDの予
防のため通常量のサイクロスポリンAとメトトレキセー
トを投与した。
【0047】(判定方法)GVHD発症の傾向の有無
を、次の式で現される数値(R)により判定した。 R={(c)−(b)}/{(b)−(a)}>0 式中、 (a):前処置前での試料中のUTI量の測定値 (b):移植日での試料中のUTI量の測定値 (c):移植後白血球回復期での試料中のUTI量の測
定値 R>1/3のとき陽性(+:重症GVHD発症の恐れあ
り)、1/3≧R>0のとき擬陽性(±:GVHDの傾
向あり)とし、R≦0のときは陰性(−:重症GVHD
発症の恐れ無し)とした。
【0048】(結果)UTI濃度は、全症例で移植日に
上昇した。白血球回復期において、2症例(A氏、B
氏)はUTI値がさらに上昇し、他の5症例は低下した
(C氏〜G氏)。各測定値ならびに判定結果を下記第1
表に示す。また、本測定における尿中のUTI量の変化
を図1のグラフに示す。図1のグラフの縦軸は、尿中の
UTIの濃度(同時に測定したクレアチン濃度により補
正)を、横軸は、測定点(前処置前、移植日、移植後白
血球回復期)を表わす。
【0049】 ((a)〜(c)の測定値の単位:mg/L)
【0050】本発明の検出方法により、7名中2名がG
VHD陽性と判定された。なお、GVHD陽性と判定さ
れた2名(A氏およびB氏)中、A氏は移植後21日目
に、腸管および皮膚において III度の急性GVHDを引
き起こした。B氏は移植後34日目に、腸管において I
II度の急性GVHDを引き起こした。それぞれの患者に
対してシクロスポリンAを概ね倍量とプレドニゾロンを
投薬して管理を継続したところ予後は良好に回復しGV
HDは寛解するに至った。また、GVHD陽性と判定さ
れなかった患者はそのまま移植骨髄が生着を続け、病態
として特に問題はなかった。
【0051】<UTI量の測定方法および測定キット> 実施例2:ラテックス凝集免疫比濁法 2−a)測定方法 比濁計LA−2000(Analytical instruments Co.,
LTD,東京)を使用し、ラテックス凝集免疫比濁法を用い
てUTI量を自動測定する。測定原理は、ポリスチレン
ラテックスビーズ(栄研化学、直径0.1μm)にウサ
ギ抗ヒトUTI抗体をコーティングし、UTIを37℃
で反応させ、結果生じるラテックス凝集体の濁度を測定
波長585nmで測定する。標準物質は持田製薬(株)
製のUTIを用い、反応時間は反応開始後100秒と5
00秒の間の400秒における濁度差から抗原量(UT
I)を求める。なお、ウサギ抗ヒトUTI抗体は、ウリ
ナスタチンをフロイントアジュバント(Difco ,US
A)と混合して油中水型エマルジョンをつくりこれをウ
サギに免疫して抗血清を得る。
【0052】2−b)測定キット <1> ウサギ抗ヒトUTI抗体をコーティングしたポリス
チレンラテックスビーズ <2> 標準物質 その他:必要に応じ、比濁計(例:LA−2000)
【0053】実施例3:酵素法 3−a)測定方法 N−α−ベンゾイル−DL−アルギニン−p−ニトロア
ニリドを基質とし、ウシ膵トリプシン(シグマ社)によ
る分解を阻止しうる尿中UTI値をUTI等量として、
COBAS FARA(ロッシュ社)を用いて自動測定
する。
【0054】3−b)測定キット <1> 基質(N−α−ベンゾイル−DL−アルギニン−p
−ニトロアニリド) <2> ウシ膵トリプシン(シグマ社) <3> UTI標準品
【0055】実施例4:サンドイッチ法 4−A.測定方法(ポリクロナール抗体使用) 4−A−1−a)尿中のUTI測定方法 UTIに対するポリクロナール抗体を用いた1ステップ
サンドイッチEIA法により試料中のUTI量を定量す
る。具体的には、UTI抗体を固相化したプレート(9
6ウェル:NUNC社製)に、1000倍希釈した試料
20μLを分注し、ペルオキシダーゼ標識UTI抗体溶
液(0.25μg/mL)80μLを添加して37℃で
30分間反応させる。反応後、0.05%Tween2
0を含む生理食塩水でプレートを洗浄し、基質溶液(テ
トラメチルベンジジン、BioFXLaborator
ies社)を加えて反応させ(遮光下、室温10分)、
0.5M硫酸100μLにて停止した後マイクロプレー
トリーダー(THERMOmax、Molecular
Devices社)450nm(副波長630nm)の
吸光度を測定する。UTI標準品を用いた同様の操作か
ら得られた標準曲線に基づいて試料中のUTI量を算出
する。
【0056】4−A−1−b)測定キット構成 <1> UTI抗体(ポリクロナール抗体もしくはモノクロ
ナール抗体)を固相化したプレート <2> ペルオキシダーゼ標識UTI抗体溶液 <3> 基質溶液 その他付属品として、 <4> プレート洗浄液 <5> 試料希釈液 <6> 反応停止液 <7> マイクロプレートリーダー <8> UTI標準品
【0057】4−A−2−a)血中のUTIの測定方法 血液50μLを1.5mLのエッペンドルフチューブに
とり、生理食塩水150μL、次いで40%過塩素酸水
溶液50μLを添加し、約5秒攪拌する。15000r
pmで10分遠心し、上清100μLを分取する。更に
0.8MNaOH150μL、1MTris−HCl
(pH8.0)50μLを添加混合して300μLの1
5倍希釈試料とする。この希釈試料に尿中UTIキット
希釈液を加え900倍希釈試料とする。この試料20μ
Lを用いて4−A−1−a)のプロトコールに従って血
中のUTI量を測定する。なお、この前処理方法を使用
して、全血以外の血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘ
パリン採血)中のUTIを測定可能である。
【0058】4−A−2−b)血中UTIの測定キット 4−A−1−b)の尿中UTI測定キット<1> 〜<8> に
更に以下の構成を付加する。 <9> 40%過塩素酸水溶液 <10>生理食塩水 <11>0.8MNaOH水溶液 <12>1MTris-HCl(pH8.0) その他:小型遠心機
【0059】4−B. 測定法(モノクロナール抗体) 4−B−a) 測定法4−A−1−a)もしくは4−A−2−a)にお
いてポリクロナール抗体の代わりに後述のUTIモノク
ロナール抗体を使用して、試料(血液)中のUTI量を
算出する。 4−B−b)測定キット 4−A−1−b)もしくは4−A−2−b)の測定キッ
トにおけるポリクロナール抗体に代え後述のUTIモノ
クロナール抗体を用いてキットを構成する。
【0060】(参考例)実施例4のサンドイッチ法で用
いる各種プレートの調整方法を記す。 i)UTI抗体固相化プレート マイクロタイタープレート(Immuno module Maxisorp,
Nalge Nunc International)にポリクロナール抗体溶液
100μLを分注し、室温で一晩放置して抗体を固相化
し、洗浄後、 0.1%Tween20 溶液および4%ラクトース
溶液でコーティングを行い、乾燥後、乾燥剤とともにチ
ャック付きラミネート袋に保存したものを使用した。
【0061】iia)UTIポリクロナール抗体 日本白色家兎に2週間に1回、耳静脈に精製UTI溶液
(持田製薬(株)製UTI500μg/mL)を投与し
た。採血した抗血清より、UTIとの反応性を指標に反
応性の高い抗血清を選択した。抗血清は50%飽和硫酸
アンモニウムで塩析後、Protein A Sepharose カラム
(アマシャム・ファーマ・バイオテック)にて精製し、
ポリクロナール抗体とした。
【0062】iib)UTIモノクロナール抗体 精製UTI(100μg)をフロイント完全アジュバン
トと混合し雌BALB/cマウス(5−10週齢)の腹
腔に投与した。最終投与3日後にマウス脾臓よりリンパ
球を採集し、ポリエチレングリコールを用いてミエロー
マ(P3×63−Ag.8.U・1)と融合した。定法
に従いHATセレクションを行いハイブリドーマを作成
し、精製UTIとの結合を指標によりELISA法に
て、ヒトUTIと反応するモノクロナール抗体を得た。
得られたハイブリドーマを無血清培地(PFHM−II 、
GIBCO)で培養し、上清中に産生した抗体をPro
tein−Aカラム(アマシャムファルマシアバイオテ
ク)を用いて精製し、モノクロナール抗体とした。
【0063】iii )酵素標識UTI抗体の作成 中根らの方法(Peroxidase-labeled antibody :a new
method of conjugation :22巻、1084−1091
頁、1974年)に従い、ペルオキシダーゼ(東洋紡社
製)を過ヨウ素酸により活性化し、UTIポリクロナー
ル抗体と反応させた。反応後、透析を行い、ペルオキシ
ダーゼ標識UTI抗体を得た。使用した抗体量を液量で
割ったものを濃度とした。
【0064】
【発明の効果】本発明のGVHDの検出方法ならびにキ
ットにより、GVHD発症を早期に的確に検出すること
が可能になる。とりわけ骨髄移植患者におけるGVHD
の早期検出に有用である。また、本発明の検出方法によ
り、急性GVHDの進展をモニターしつつ患者に対し薬
物による的確な予防および/または治療が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 移植前後の尿中UTI量の変化を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 真嗣 大阪府大阪市西区南堀江1−14−28 ヤマ ゴビル7F (72)発明者 加藤 克明 東京都新宿区四谷一丁目7番地 持田製薬 株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA16 AA25 CA25 CA26 CB03 DA44 FA26 FA29 FB01 FB03 FB07 FB12 FB13 GC15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトから採集された試料中のUTIの量を
    測定することを特徴とするGVHDの検出方法。
  2. 【請求項2】骨髄移植におけるGVHDの検出を目的と
    する請求項1に記載のGVHDの検出方法。
  3. 【請求項3】前記試料として、尿を用いることを特徴と
    する請求項1ないし2記載のGVHDの検出方法。
  4. 【請求項4】少なくとも前処置前、移植日、および移植
    後白血球回復期の3点で、試料中のUTIの存在を測定
    する工程を含んでなる、請求項1〜3のいずれかに記載
    のGVHDの検出方法。
  5. 【請求項5】前処置前、移植日、および移植後白血球回
    復期の3点で、試料中のUTIの存在を測定する工程を
    含んでなり、試料中のUTI量の測定値が、下記関係式
    (1)を満たすことを、GVHDの発症の指標として判
    定することを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載
    のGVHDの検出方法; {(c)−(b)}/{(b)−(a)}>0 (1) 式中、 (a):前処置前での試料中のUTI量の測定値 (b):移植日での試料中のUTI量の測定値 (c):移植後白血球回復期での試料中のUTI量の測
    定値。
  6. 【請求項6】UTIの定量を行なって急性GVHDを診
    断するために用いられるUTI測定キット。
  7. 【請求項7】免疫反応により試験試料中のUTIを測定
    する手段を有する急性GVHDの測定キット。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007051980A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Okayama Univ 移植片対宿主病の検査方法、検査用試薬ならびに予防薬および/または治療薬のスクリーニング方法
EP2527458A3 (en) * 2006-05-02 2012-12-26 Therakos, Inc. Methods and reagents for detecting susceptilbility to graft versus host disease

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