JP2002001948A - インクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録装置

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JP2002001948A JP2000157883A JP2000157883A JP2002001948A JP 2002001948 A JP2002001948 A JP 2002001948A JP 2000157883 A JP2000157883 A JP 2000157883A JP 2000157883 A JP2000157883 A JP 2000157883A JP 2002001948 A JP2002001948 A JP 2002001948A
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット式記録ヘッドの駆動におい
て、駆動素子に供給する駆動電圧をオフ状態からオン状
態にする際に、駆動素子の電極電位の急激な上昇を緩和
する。 【解決手段】 駆動波形を供給するための駆動信号線5
8と、駆動信号線と駆動素子21との間に接続され、駆
動波形をオンオフ制御するための第1のスイッチ53
と、第1のスイッチと並列に接続されているとともに、
互いに直列に接続された第2のスイッチ54および整流
回路55と、第1のスイッチに第1のスイッチング信号
を供給する第1のスイッチ制御回路56と、第2のスイ
ッチに第2のスイッチング信号を供給する第2のスイッ
チ制御回路57とを備える。整流回路は駆動信号線から
駆動素子への電流の方向が順方向となるように設置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電振動子に駆動
信号を選択的に供給することでノズル開口部からインク
滴を吐出させる記録へッドを備えたインクジェット式記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタ等のインクジェ
ット式記録装置は、列状に並べた状態で形成された多数
のノズル開口部を備える記録ヘッドを備えている。この
記録ヘッドには、ノズル開口部に連通した圧力室と、こ
の圧力室を膨張及び収縮させることで圧力室内のインク
圧力を変化させる圧電振動子とを備えているものがあ
る。このような記録ヘッドでは、駆動信号を圧電振動子
に供給することでインク圧力を変化させ、ノズル開口部
からインク滴を吐出させる。
【0003】この種のインクジェット式記録装置では、
画質の向上と記録速度の向上という相反する要求を満た
すため、一つのノズル開口部から異なる量のインク滴を
吐出させる技術が提案されている。例えば、複数の波形
要素を接続して構成された一連の駆動信号から、必要な
波形要素を適宜選択し、この選択した波形要素を圧電振
動子に供給することにより、量が異なる複数種類のイン
ク滴を吐出させるように構成されている。
【0004】この記録ヘッドに用いられる各圧電振動子
は、理想的なコンデンサであると考えられている。すな
わち、圧電振動子の振動子電位(セグメント電位)は、
先の波形要素の供給停止時点における電位を保持し続け
ると考えられている。この考えに基づき、先に供給され
る波形要素の終端電位と、後に供給される波形要素の始
端電位とを同じレベルに揃えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
圧電振動子は絶縁抵抗を有しており、駆動信号を供給せ
ずに放置すると、自然放電によって振動子電位が次第に
降下することが判った。この振動子電位の降下は、例え
ば、圧電体層における圧電体の不均一性に起因して生じ
る。振動子電位の降下量は、先の波形要素の供給終了か
ら後の波形要素の供給開始までの時間、すなわち、駆動
信号の非供給期間が長いほど大きくなる。また、振動子
電位の降下は、膜厚が薄いほど(電界強度が強くなるほ
ど)顕著である。このため、昨今要求されている体積の
小さい(厚さが薄い)圧電振動子では、駆動信号の非供
給期間が極く短い時間であっても、振動子電位と後の波
形要素の始端電位との差が大きくなってしまう。
【0006】そして、振動子電位と後の波形要素の始端
電位との間の電位差が大きい状態で、後の波形要素が圧
電振動子に供給されると、波形要素の供給開始直後に圧
電振動子の電位が短時間で大きく変動する。その結果、
圧電振動子に急激な変形が生じ、インク滴を誤って吐出
させてしまうという問題が生じ得る。また、圧電振動子
に許容範囲を越えた大電流が流れるため、圧電振動子の
機能低下や、圧電振動子の破壊を招き得る。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、圧電振動子における電位の急激な上昇を
緩和することにより、インク滴の誤吐出や圧電振動子の
破壊を防止し、装置の信頼性を高めることを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために提案されたものであり、請求項1に記載の
ものは、ノズル開口部に連通した圧力室を膨張および収
縮させる圧電振動子を備える記録ヘッドと、複数の波形
要素から構成された一連の駆動信号を発生する駆動信号
発生手段と、必要な波形要素を選択して圧電振動子に供
給する波形要素供給手段とを備えたインクジェット式記
録装置において、前記波形要素供給手段によって選択さ
れる先の波形要素の終端電位と後の波形要素の始端電位
の電位差を補償する電位差補償手段を備えたことを特徴
とするインクジェット式記録装置である。
【0009】請求項2に記載のものは、前記電位差補償
手段は、駆動信号を供給するための駆動信号線と圧電振
動子との間に接続され、圧電振動子への波形要素の供給
を制御するための第1供給スイッチと、駆動信号線と圧
電振動子との間に第1供給スイッチと並列に接続される
と共に、互いに直列に接続された第2供給スイッチおよ
び整流回路と、第1供給スイッチに第1のスイッチング
信号を供給する第1のスイッチ制御回路と、第2供給ス
イッチに第2のスイッチング信号を供給する第2のスイ
ッチ制御回路とを備えて構成され、前記整流回路は、駆
動信号線から圧電振動子への電流の方向が順方向となる
ように接続されていることを特徴とする請求項1に記載
のインクジェット式記録装置である。
【0010】請求項3に記載のものは、前記駆動信号発
生手段が発生する駆動信号は、圧電振動子を変形させる
ための第1の波形要素と、低電位側に凸である部分を有
する第2の波形要素とを含み、第1のスイッチ制御回路
は、第1の波形要素の発生期間中の少なくとも一部の期
間で、第1供給スイッチを制御する第1のスイッチング
信号を生成し、第2のスイッチ制御回路は、第2の波形
要素が発生されている期間中における一定のタイミング
で、第2供給スイッチをオンに切換える第2のスイッチ
ング信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の
インクジェット式記録装置である。
【0011】請求項4に記載のものは、前記第2の波形
要素における最低電位レベルを、第2供給スイッチのオ
ン時点での圧電振動子の電位よりも低いレベルに設定し
たことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット式
記録装置である。
【0012】請求項5に記載のものは、前記第2のスイ
ッチ制御回路は、第2の波形要素の発生期間であって該
波形要素の電位レベルが上昇している期間内に、第2供
給スイッチをオンに切り換えるための第2のスイッチン
グ信号を生成することを特徴とする請求項3又は請求項
4に記載のインクジェット式記録装置である。
【0013】請求項6に記載のものは、前記波形要素供
給手段によって選択される後の波形要素の始端電位を、
圧電振動子の電位降下に対応させて、選択される先の波
形要素の終端電位よりも低く設定する始端電位設定手段
により、前記電位差補償手段を構成したことを特徴とす
る請求項1に記載のインクジェット式記録装置である。
【0014】請求項7に記載のものは、後の波形要素
に、始端電位から先の波形要素の終端電位まで電位を復
帰させる電位補償要素を含ませたことを特徴とする請求
項6に記載のインクジェット式記録装置である。
【0015】請求項8に記載のものは、前記波形要素供
給手段は、全ての圧電振動子に電位補償要素を一括して
供給する補償要素一括供給手段を有することを特徴とす
る請求項7に記載のインクジェット式記録装置である。
【0016】請求項9に記載のものは、前記波形要素供
給手段は、所定の圧電振動子に対して電位補償要素を選
択的に供給する補償要素選択供給手段を有することを特
徴とする請求項7又は請求項8に記載のインクジェット
式記録装置である。
【0017】請求項10に記載のものは、前記始端電位
設定手段は、後の波形要素の始端電位を調整可能な始端
電位調整手段を有することを特徴とする請求項6から請
求項9の何れかに記載のインクジェット式記録装置であ
る。
【0018】請求項11に記載のものは、前記記録ヘッ
ド周辺における温度情報や湿度情報等の環境情報を取得
する環境情報取得手段を設け、前記始端電位調整手段
は、検出された環境情報に基づいて後の波形要素の始端
電位を設定することを特徴とする請求項10に記載のイ
ンクジェット式記録装置である。
【0019】請求項12に記載のものは、前記始端電位
調整手段は、先の波形要素の終端電位が高いほど先の波
形要素の終端電位から後の波形要素の始端電位までの電
位差が大きくなるように、後の波形要素の始端電位を設
定することを特徴とする請求項10又は請求項11に記
載のインクジェット式記録装置である。
【0020】請求項13に記載のものは、前記始端電位
調整手段は、先の波形要素の終端から後の波形要素の始
端までの時間が長いほど先の波形要素の終端電位から後
の波形要素の始端電位までの電位差が大きくなるよう
に、後の波形要素の始端電位を設定することを特徴とす
る請求項10又は請求項11に記載のインクジェット式
記録装置である。
【0021】請求項14に記載のものは、前記圧電振動
子の電位を検出する振動子電位検出手段を設け、始端電
位調整手段は、検出された振動子電位に基づいて後の波
形要素の始端電位を設定することを特徴とする請求項1
0に記載のインクジェット式記録装置である。
【0022】請求項15に記載のものは、ノズル開口部
に連通した圧力室を膨張および収縮させる圧電振動子を
備えた記録へッドと、複数の波形要素から構成された一
連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、必要な波
形要素を選択して圧電振動子に供給する波形要素供給手
段とを備えたインクジェット式記録装置において、前記
圧電振動子に印加された波形要素の終端電位を、波形要
素の印加終了後において維持する終端電位供給手段を備
えたことを特徴とするインクジェット式記録装置であ
る。
【0023】請求項16に記載のものは、前記終端電位
供給手段は、波形要素供給手段による圧電振動子への波
形要素の印加が絶たれた後に、波形要素の終端電位に相
当する電位を圧電振動子に供給することを特徴とする請
求項15に記載のインクジェット式記録装置である。
【0024】請求項17に記載のものは、前記波形要素
供給手段は、駆動信号中の波形要素を選択的に圧電振動
子に印加する第1選択スイッチを備え、終端電位供給手
段は、終端電位供給源より得られる波形要素の終端電位
に相当する電位を選択的に圧電振動子に印加するための
第2選択スイッチを備え、第1選択スイッチおよび第2
選択スイッチが択一的にオン状態となるように構成され
ていることを特徴とする請求項15または請求項16に
記載のインクジェット式記録装置である。
【0025】請求項18に記載のものは、前記第1選択
スイッチはプリンタコントローラによって制御されるラ
ッチ信号によって開閉制御され、第2選択スイッチはラ
ッチ信号の反転信号によってオンオフ制御されるように
構成されてなる請求項17に記載のインクジェット式記
録装置である。
【0026】請求項19に記載のものは、前記第2選択
スイッチは、第1選択スイッチがオフ状態に切り替わっ
たタイミングから所定時間経過後にオンされることを特
徴とする請求項17または請求項18に記載のインクジ
ェット式記録装置である。
【0027】請求項20に記載のものは、前記所定時間
を、5μsecから20μsecの範囲内に設定したこ
とを特徴とする請求項19に記載のインクジェット式記
録装置である。
【0028】請求項21に記載のものは、前記終端電位
供給源と第2選択スイッチとの間に電流制限手段を介在
させたことを特長とする請求項17から請求項20の何
れかに記載のインクジェット式記録装置である。
【0029】請求項22に記載のものは、前記電流制限
手段を、終端電位供給源と第2選択スイッチとの間に直
列接続した抵抗素子により構成したことを特徴とする請
求項21に記載のインクジェット式記録装置である。
【0030】請求項23に記載のものは、前記波形要素
供給手段は、駆動信号中の波形要素を選択的に圧電振動
子に印加する第1選択スイッチを備え、終端電位供給手
段は、終端電位供給源より得られる波形要素の終端電位
に相当する異なったレベルの電位を選択的に圧電振動子
に印加する第2選択スイッチを備え、第2選択スイッチ
は、第1選択スイッチによって圧電振動子に印加した波
形要素の終端電位に相当するレベルの電位を、択一的に
選択して圧電振動子に印加するように構成されているこ
とを特徴とする請求項15または請求項16に記載のイ
ンクジェット式記録装置である。
【0031】請求項24に記載のものは、前記圧電振動
子が、ピエゾ素子により構成されている請求項1から請
求項23の何れかに記載のインクジェット式記録装置で
ある。
【0032】請求項25に記載のものは、前記圧電振動
子は、圧電体層とこの圧電体層を挟むように配設された
電極とを備え、前記圧電体層の厚さが、1μmから20
μmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項
24の何れかに記載のインクジェット式記録装置であ
る。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。まず、波形要素の電位レベルが圧
電振動子の電位レベルよりも高くなった際に、整流回路
を通じて圧電振動子へ駆動信号を供給するようにした実
施形態について説明する。
【0034】ここで、図1は、インクジェット式記録装
置の全体構成を説明するブロック図である。このインク
ジェット式記録装置は、プリンタコントローラ1とプリ
ントエンジン2とから概略構成されている。
【0035】プリンタコントローラ1は、ホストコンピ
ュータ3等からの印刷データ等を受信するインターフェ
ース4と、各種データの記憶等を行うRAM5と、各種
データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM6
と、CPU等からなる制御部7と、発振回路8と、記録
ヘッド9へ供給する駆動信号COMを発生する駆動信号
発生回路10と、ドットパターン(ビットマップ)に展
開された印字データや駆動信号等をプリントエンジン2
に送信するためのインターフェース11とを備えてい
る。なお、駆動信号発生回路10と制御部7は、本発明
における駆動信号発生手段を構成する。
【0036】インターフェース4は、例えばキャラクタ
コード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか
1つのデータまたは複数のデータからなる印刷データを
ホストコンピュータ3等から受信する。また、インター
フェース4は、ホストコンピュータ3に対してビジー
(BUSY)信号やアクノレッジ(ACK)信号等を出
力することができる。
【0037】RAM5は、受信バッファ5A、中間バッ
ファ5B、出力バッファ5Cおよびワークメモリ(図示
せず)等として利用されるものである。受信バッファ5
Aには、インターフェース4が受信したホストコンピュ
ータ3からの印刷データが一時的に記憶される。また中
間バッファ5Bには、中間コードデータが記憶される。
さらに出力バッファ5Cには、後述するようにドットパ
ターンに展開された印字データが記憶される。
【0038】ROM6は、前記したように、制御部7に
よって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ、
および、グラフィック関数等を記憶している。また、制
御部7は、受信バッファ5A内の印刷データを読み出し
て中間コードに変換し、変換した中間コードデータを中
間バッファ5Bに記憶させる機能を備えている。さら
に、制御部7は、中間バッファ5Bから読み出した中間
コードデータを、ROM6内のフォントデータおよびグ
ラフィック関数等を参照して印字データに展開する機能
も備えている。そして、この展開された印字データは、
必要な装飾処理が行われた後、出力バッファ5Cに記憶
される。
【0039】そして、1行分に相当する印字データが得
られると、この1行分の印字データは、インターフェー
スを介して記録ヘッド9にシリアル伝送される。また、
出力バッファ5Cから1行分の印字データが出力される
と、中間バッファ5Bの内容が消去され、制御部7は、
次の中間コードに対する展開を行う。
【0040】一方、プリントエンジン2は、キャリッジ
機構14と、紙送り機構15と、記録ヘッド9とから構
成されている。キャリッジ機構14は、記録ヘッド9を
搭載するキャリッジと、このキャリッジをタイミングベ
ルト等を介して走行させるパルスモータ等からなる。こ
のキャリッジ機構14は、記録動作における主走査を行
う。また、紙送り機構15は、紙送りモータおよび紙送
りローラ等からなり、記録紙を順次送り出すように作用
する。すなわち、紙送り機構15は記録動作における副
走査を行う。
【0041】記録ヘッド9は、図2に例示するように、
副走査方向に複数(例えば64個)のノズル開口部20
を有し、圧電振動子21の変形により、ノズル開口部2
0からインク滴を吐出させる構成とされる。この記録ヘ
ッド9は、圧力室22を形成したアクチュエータユニッ
ト23と、このアクチュエータユニット23の前面に接
合された流路ユニット24と、アクチュエータユニット
23の背面に、圧力室22に対応して形成された圧電振
動子21とを備えている。なお、本実施形態における圧
電振動子21は、撓み振動モードの圧電振動子であり、
ピエゾ素子によって構成されている。
【0042】アクチュエータユニット23は、圧力室2
2が形成された圧力室形成基板25と、この圧力室形成
基板25の前面に接合される蓋部材26と、圧力室形成
基板25の背面に接合されて圧力室22の背面側開口面
を塞ぐ振動板27とから構成されている。振動板27
は、例えば、弾性を有する薄いセラミック板によって構
成されている。蓋部材26には、圧力室22に連通した
第1インク流路28及び第2インク流路29を形成す
る。
【0043】流路ユニット24は、インク室形成基板3
1と、インク室形成基板31の前面に接合されるノズル
プレート32と、インク室形成基板31の背面に接合さ
れる供給口形成板33とから構成されている。
【0044】インク室形成基板31には、共通インク室
34とノズル連通口35とを形成する。また、ノズルプ
レート32には、ノズル開口部20を列状に並べた状態
で複数穿設する。そして、各ノズル開口部20…は、対
応するノズル連通口35に連通させてある。また、供給
口形成板33には、共通インク室34と第1インク流路
28とを連通するインク供給口36と、ノズル連通口3
5と第2インク流路29とを連通する連通口37とを設
ける。
【0045】そして、上記の構造を有する記録ヘッド9
には、共通インク室34から、インク供給口36、第1
インク流路28、圧力室22、第2インク流路29、連
通口37、及び、ノズル連通口35を通ってノズル開口
部20に至る一連のインク流路が形成されている。
【0046】圧電振動子21は、振動板27を挟んで圧
力室22の背面側に形成されている。この圧電振動子2
1は、圧電体層40と、圧電体層40の前面側に形成さ
れた下部電極41と、圧電体層40の背面側に圧電振動
子21を覆うようにして形成された上部電極42とから
構成され、圧電体層40を電極41,42で挟んでい
る。そして、圧電体層40の厚さは、20μm以下、好
ましくは12μm以下とすることで、十分な排除体積を
保ちつつも記録ヘッド9を小型化することができる。そ
して、現在の技術では、圧電体層40の厚さは、1μm
から12μmの範囲がさらに好ましい。
【0047】また、アクチュエータユニット23の両端
部には、基端部分が各圧電振動子21の上部電極42に
導通する接続端子43が配設されている。この接続端子
43の先端面には、フレキシブル回路基板44が接合さ
れており、接続端子43及び上部電極42を介して圧電
振動子21に駆動信号を供給する。
【0048】この記録ヘッド9では、駆動信号COMの
波形要素(圧電振動子21に供給されて圧電振動子21
を変形させる要素、後述する。)が供給されると上部電
極42と下部電極41との間に電位差が生じる。この電
位差により圧電振動子21は例えば、電界とは直交する
方向に収縮し、圧電振動子21及び振動板27は、圧力
室22側に突出するように撓んで圧力室22を収縮させ
る。なお、以下の説明において、上部電極42の電位を
振動子電位(セグメント電位)と称する。また、本実施
形態における下部電極41の電位は、接地電位(GND
電位)に調整されている。
【0049】そして、ノズル開口部20からインク滴を
吐出させる場合には、例えば、圧力室22を急激に収縮
させる。即ち、圧力室22が急激に収縮されると圧力室
22内はインク圧力が上昇し、この圧力上昇に伴ってノ
ズル開口部20からはインク滴が吐出される。また、イ
ンク滴の吐出後に、上部電極42と下部電極41との間
の電位差を少なくすると、圧電振動子21及び振動板2
7の変形が戻る。これにより、収縮されていた圧力室2
2内が膨張し、共通インク室34からインク供給口36
及び第1インク流路28を通して圧力室22にインクが
供給される。
【0050】次に、この記録ヘッド9の電気的構成につ
いて説明する。この記録ヘッド9は、図3に示すよう
に、ノズル開口部20の数に対応した複数のシフトレジ
スタ50A〜50Nと、複数のラッチ回路51A〜51
Nと、複数のレベルシフタ52A〜52Nと、複数の第
1供給スイッチ53A〜53Nと、複数の第2供給スイ
ッチ54A〜54Nと、整流素子として機能する複数の
ダイオード55A〜55Nと、複数の圧電振動子21A
〜21Nとを備えている。
【0051】そして、シフトレジスタ50、ラッチ回路
51、レベルシフタ52、第1供給スイッチ53、及
び、第2供給スイッチ54は、本発明の波形要素供給手
段として機能し、一連の駆動信号から必要な波形要素を
選択し、選択した波形要素を圧電振動子21に供給す
る。これにより、ノズル開口部20毎に、インク滴の吐
出、非吐出を制御する。
【0052】ドットパターンデータに展開された印字デ
ータSIは、発振回路8からのクロック信号(CK)に
同期して、インターフェース11を通じてシリアル伝送
され、シフトレジスタ50A〜50Nに入力される。そ
して、ラッチ信号LATに同期してラッチ回路51A〜
51Nにラッチされる。ラッチされた印字データは、レ
ベルシフタ52A〜52Nによって第1供給スイッチ5
3A〜53Nを駆動できる電圧まで増幅される。この増
幅された印字データは、第1供給スイッチ53A〜53
Nに供給される。また、第2供給スイッチ54A〜54
Nには、駆動信号発生回路10が生成した共通のスイッ
チング信号SW2が供給される。
【0053】第1供給スイッチ53A〜53Nの入力側
には、駆動信号発生回路10からの駆動信号COMが入
力され、出力側には圧電振動子21A〜21Nが接続さ
れている。また、駆動信号線と圧電振動子21A〜21
Nとの間には、第1供給スイッチ53と並列に、第2供
給スイッチ54A〜54Nとダイオード55A〜55N
とが直列に接続されている。そして、これらのダイオー
ド55A〜55Nは、駆動信号線から圧電振動子21A
〜21N側への電流の方向が順方向となるように接続さ
れている。
【0054】前記した印字データは、第1供給スイッチ
53の動作を制御する。例えば、第1供給スイッチ53
に加わる印字データが“1”である期間中は、第1供給
スイッチ53が接続状態になって駆動信号COMが圧電
振動子21に供給される。そして、供給された駆動信号
に応じて圧電振動子21は変形し、この変形に伴ってノ
ズル開口部20からはインク滴が吐出する。一方、第1
供給スイッチ53に加わる印字データが“0”の期間中
は、圧電振動子21への駆動信号の供給が遮断される。
【0055】なお、印字データが“0”の期間におい
て、各圧電振動子21の振動子電位は、駆動信号の供給
停止直後は供給停止時点の電位を保持するが、その後、
時間の経過に伴って次第に電位が降下する。これは、各
圧電振動子21の絶縁抵抗に起因する放電現象によるも
のと考えられる。
【0056】また、共通のスイッチング信号SW2は、
第2供給スイッチ54の動作を制御する。例えば、スイ
ッチング信号SW2が“オン”である期間中は、第2供
給スイッチ54が接続状態になる。一方、スイッチング
信号SW2が“オフ”である期間中は、第2供給スイッ
チ54が非接続状態になる。
【0057】次に、記録ヘッド9の駆動装置について説
明する。ここで、図4は、駆動装置の構成を示すブロッ
ク図である。この駆動装置は、本発明における電位差補
償手段の一種であり、第1供給スイッチ53と、第2供
給スイッチ54と、ダイオード55と、圧電振動子21
と、シフトレジスタ50、ラッチ回路51及びレベルシ
フタ52の組からなる第1のスイッチ制御回路56と、
駆動信号発生回路10により構成された第2のスイッチ
制御回路57とを備えている。圧電振動子21の一方の
電極である下部電極41は接地されており、他方の電極
である上部電極42は第1供給スイッチ53を介して駆
動信号線58に接続されている。第2供給スイッチ54
は、ダイオード55と直列に接続されており、ダイオー
ド55は、駆動信号COM側から圧電振動子21側にの
み電流が流れるように接続されている。これらの第2供
給スイッチ54およびダイオード55の組は、駆動信号
線58と圧電振動子21との間に、第1供給スイッチ5
3と並列に接続されている。なお、第2供給スイッチ5
4及びダイオード55に関し、第2供給スイッチ54を
圧電振動子21側に、ダイオード55を駆動信号線58
側にそれぞれ配置してもよい。
【0058】第1のスイッチ制御回路56は、印字デー
タSIに応じて第1のスイッチング信号SW1を生成
し、第1供給スイッチ53に供給している。また、第2
のスイッチ制御回路57は、印字データSIに拘わらず
常に一定のタイミングで第2のスイッチング信号SW2
を生成し、第2供給スイッチ54に供給している。
【0059】次に、この駆動装置の動作について説明す
る。ここで、図5は、本実施形態における第1供給スイ
ッチ53および第2供給スイッチ54のオンオフ制御を
説明する図である。また、図6は、駆動信号COMと、
圧電振動子21の電位(振動子電位)SEGの変化、詳
しくは、図4におけるP点の電位の変化を説明する図で
ある。
【0060】図6(a)に示すように、印刷周期Tの駆
動信号COMは、期間T1に発生する第1波形要素W1
(P0〜P6´)と、この第1波形要素W1に引き続い
て期間T2a,T2bに発生する第2波形要素W2(P
6´〜P12)から構成されている。また、第2波形要
素W2は、低電位側(図における下側)に凸である部分
を有する。そして、第1波形要素W1は本発明における
第1の波形要素であり、第2波形要素W2は本発明にお
ける第2の波形要素である。この駆動信号COMにおけ
る最低電位は接地電位(0V)であり、最大電位VHは
36Vである。そして、圧電振動子21の圧電体層40
には、印加された駆動信号COMの電圧に応じた強さの
電界が作用する。なお、第1波形要素W1の始端(P
0)は、前の印刷周期Tにおける第2波形要素W2の終
端(P12)であり、同様に、第2波形要素W2の終端
(P12)は次の印刷周期Tにおける第1波形要素W1
の始端(P0)である。また、印刷周期Tは、記録装置
における印刷速度を規定する。
【0061】図6(b)に示すように、インク滴を吐出
する場合、第1供給スイッチ53は、期間T1において
オンされ、駆動信号COMに従って圧電振動子21が駆
動される。また、この第1供給スイッチ53は、期間T
2a,T2bにおいてオフされる。そして、第1供給ス
イッチ53がオフになると、振動子電位SEGは自然放
電により徐々に降下する。一方、第2供給スイッチ54
は、期間T1およびT2aではオフであり、期間T2b
においてオンされる。しかし、期間T2bの初期では、
駆動信号COMの電位レベルの方が振動子電位よりも低
いので、ダイオード55には逆方向電圧がかかり、電流
は流れない。その後、駆動信号COMの電位レベルが上
昇し、振動子電位SEGよりも駆動信号COMの電位レ
ベルの方が高くなると、ダイオード55には順方向電圧
がかかるので、振動子電位SEGは駆動信号COMの電
圧変化に伴って変化する。
【0062】一方、図6(c)に示すように、インク滴
を吐出しない場合、第1供給スイッチ53は、すべての
期間T1,T2a,T2bにおいてオフであり、振動子
電位SEGは、徐々に降下している。第2供給スイッチ
54は、期間T1およびT2aではオフであり、期間T
2bにおいてオンされる。しかし、期間T2bの初期で
は、駆動信号COMの電位レベルの方が圧電振動子21
の電極電位よりも低いので、ダイオード55には逆方向
電圧がかかり、電流は流れない。その後、駆動信号CO
Mの電位レベルが上昇し、圧電振動子21の振動子電位
SEGよりも駆動信号COMの電位レベルの方が高くな
ると、ダイオード55には順方向電圧がかかるので、振
動子電位SEGは駆動信号COMの電圧変化に伴って変
化する。
【0063】そして、図6(c)の場合には、振動子電
位SEGは、期間T2bの駆動信号COMの波形に従っ
て緩やかに変化する。この結果、圧電振動子21を正常
に動作させることができる。即ち、誤ってインク滴が吐
出されたり、過剰な電流が圧電振動子21に流れること
を防止することができる。
【0064】このような動作を実現するために、第2波
形要素W2の最低電位レベルVM´を、第2供給スイッ
チ54のオン時点での圧電振動子21の電位よりも低い
レベルに設定している。即ち、この最低電位レベルVM
´を、P0の時点で第1供給スイッチ53がオフされた
際におけるP9の時点での振動子電位SEGよりも低く
設定している。また、第2供給スイッチ54は、第2の
波形要素の発生期間であって電位レベルが上昇している
期間内に、第2供給スイッチ54をオンに切り換える第
2のスイッチング信号を生成する。即ち、第2波形要素
W2のうちで、電位レベルが負でない有限な上昇率で上
昇する部分においてオフからオンに切り換えられてい
る。ここで、「負でない有限の上昇率で上昇する」と
は、上昇率が無限大となるようなステップ状の上昇では
なく、変化率が0または正の有限の値をとるように緩や
かに上昇することを意味している。
【0065】更に、本実施形態では、すべての第2供給
スイッチ54は、インク滴の吐出或いは非吐出に拘わら
ず、同じタイミングでオンオフ制御される。これによ
り、すべての第2供給スイッチ54のオンオフ制御を、
1つの制御信号で行うように構成することができ、その
制御の簡略化を図ることができる。
【0066】次に、第1供給スイッチ53および第2供
給スイッチ54のオンオフ制御のパターンを異ならせた
第2実施形態について説明する。ここで、図7は、第2
実施形態における第1供給スイッチ53および第2供給
スイッチ54のオンオフ制御を説明する図である。ま
た、図8は、駆動信号COMと、振動子電位SEGの変
化を示す説明図である。
【0067】この第2実施形態においても、図4に示し
た駆動装置がそのまま使用される。図5と図7の比較か
ら分かるように、第2実施形態では、インク滴の吐出時
において、期間T2a,T2bにも第1供給スイッチ5
3がオンに保たれる点が第1実施形態と異なる。他は第
1実施形態と同じである。この結果、図8(b)に示さ
れているように、期間T1a,T2bでは、駆動信号C
OMの変化に伴って振動子電位SEGが変化している。
また、図8(c)に示すように、この第2実施形態にお
いても、期間T2bで駆動信号COMの電位レベルが、
圧電振動子21の振動子電位SEGよりも高くなると、
ダイオード55には順方向電圧がかかるので、振動子電
位SEGは駆動信号COMの電圧変化に伴って変化す
る。これにより、圧電振動子21の電極電位の急激な上
昇を緩和し、圧電振動子21を正常に動作させることが
できる。
【0068】ところで、上記の各実施形態では吐出され
るインク滴の量が一種類であった。しかし、本発明は、
インク滴の量が異なる複数種類のインク滴を、同一のノ
ズル開口部20から吐出可能な記録装置にも適用するこ
とができる。以下、このように構成した第3実施形態に
ついて説明する。ここで、図9は、第3実施形態におけ
る第1供給スイッチ53および第2供給スイッチ54の
オンオフ制御を説明する図である。また、図10から図
12は、駆動信号COMと振動子電位SEGの変化を示
す説明図である。なお、この第3実施形態においても、
図4に示した駆動装置がそのまま使用される。
【0069】図10に示すように、駆動信号COMは、
量が異なる2種類のインク滴(大インク滴、中インク
滴)を吐出するための2種類の波形を一連に接続した信
号である。この第3実施形態において、大インク滴はイ
ンク滴の体積が略20pL(ピコリットル)のインク滴
であり、中インク滴はインク滴の体積が略8pLのイン
ク滴である。
【0070】第1の波形W10は、期間T1に発生する
第1波形要素W11(P20〜P29´)と、期間T2
a,T2bに発生する低電位側に凸である部分を有する
第2波形要素W12(P29´〜P34)とから構成さ
れている。また、第2の波形W20は、期間T1´に発
生する第1波形要素W21(P34〜P40´)と、期
間T2a´,T2b´に発生する低電位側に凸である部
分を有する第2波形要素W22(P40´〜P46)と
から構成されている。
【0071】図9(a)及び図10(b)に示すよう
に、大インク滴を吐出する場合、第1供給スイッチ53
は、第1の波形W10のすべての期間T1,T2a,T
2bにおいてオフである。また、第1供給スイッチ53
は、第2の波形W20の期間T1´においてオンされ、
期間T2a´,T2b´においてオフされる。一方、第
2供給スイッチ54は、第1の波形W10の期間T1,
T2aにおいてはオフされており、期間T2bにおいて
オンされる。同様に、第2供給スイッチ54は、第2の
波形W20の期間T1´およびT2a´ではオフであ
り、期間T2b´において再びオンされる。
【0072】この大インク滴を吐出する場合において、
図10と図6との比較から分かるように、図10(b)
に示す第1の波形W10の期間においては、図6(c)
に示した非吐出時とほぼ同じ動作が行われる。同様に、
第2の波形W20の期間においては、図6(b)に示し
た吐出時とほぼ同じ動作が行われる。従って、大インク
滴を吐出する場合でも、第1実施形態と同様に振動子電
位SEGの急激な上昇を緩和することができる。そし
て、このような動作を実現するために、第2の波形要素
W12の最低電位レベルVM”を、第2供給スイッチ5
4のオン時点(つまり、P31)での圧電振動子21の
電位よりも低いレベルに設定している。同様に、第2波
形要素W22の最低電位レベルVM´もまた、第2供給
スイッチ54のオン時点(つまり、P43)での圧電振
動子21の電位よりも低いレベルに設定している。
【0073】また、図11(b)に示すように、中イン
ク滴を吐出する場合、第1供給スイッチ53は、第1の
波形W10の期間T1においてオンされ、期間T2a,
T2bにおいてオフされる。また、第1供給スイッチ5
3は、第2波形要素W20のすべての期間T1´,T2
a´,T2b´においてオフである。一方、第2供給ス
イッチ54は、第1波形要素W10の期間T1およびT
2aにおいてはオフされており、期間T2bにおいてオ
ンされる。同様に、第2供給スイッチ54は、第2の波
形W20の期間T1´およびT2a´ではオフであり、
期間T2b´において再びオンされる。
【0074】ここで、図11と前述した図6との比較か
ら分かるように、図11(b)に示す第1の波形W10
の期間においては、図6(b)で説明した吐出時とほぼ
同じ動作が行われる。また、第2の波形W20の期間に
おいては、図6(c)に示した非吐出時とほぼ同じ動作
が行われる。従って、中インク滴を吐出する場合でも、
第1実施形態と同様に振動子電位SEGの急激な上昇を
緩和することができる。そして、このような動作を実現
するために、第1の波形W10の第2の波形要素W12
の最低電位レベルVM”を、第2供給スイッチ54のオ
ン時点(つまり、P31)での圧電振動子21の電位よ
りも低いレベルに設定している。同様に、第2波形要素
W22の最低電位レベルVM´もまた、第2供給スイッ
チ54のオン時点(つまり、P43)での圧電振動子2
1の電位よりも低いレベルに設定している。
【0075】また、図12(b)に示すように、インク
滴を吐出しない場合、第1供給スイッチ53は、2種類
の波形W10,W20のすべての期間T1〜T2b´に
おいてオフである。一方、第2供給スイッチ54は、第
1の波形W10の期間T1およびT2aにおいてはオフ
されており、期間T2bにおいてオンされる。同様に、
第2供給スイッチ54は、第2の波形W20の期間T1
´およびT2a´ではオフであり、期間T2b´におい
て再びオンされる。
【0076】ここで、図12と前述した図6との比較か
ら分かるように、図12(b)に示すインク滴の非吐出
時においては、第1の波形W10のすべての期間および
第2の波形W20のすべての期間において、図6(c)
に示した非吐出時とほぼ同じ動作が行われる。従って、
インク滴を吐出しない場合でも、第1実施形態と同様に
圧電振動子21の電極電位の急激な上昇を緩和すること
ができる。
【0077】このように、異なる複数の波形要素を含む
駆動信号COMを用いた第3実施形態においても、圧電
振動子21の振動子電位の急激な上昇を緩和して各圧電
振動子21を正常に動作させることができ、誤ってイン
ク滴が吐出されたり、過剰な電流が圧電振動子21に流
れることを防止することができる。
【0078】ところで、上記した各実施形態では、整流
回路としてのダイオード55を通じて圧電振動子21へ
波形要素を供給していた。しかし、本発明は、この構成
に限定されるものではない。例えば、選択される後の波
形要素の始端電位を、圧電振動子21の電位降下に対応
させて、選択される先の波形要素の終端電位よりも低く
設定する始端電位設定手段を設けてもよい。以下、この
ように構成した第4実施形態について説明する。
【0079】図13に示すように、本実施形態のインク
ジェット式記録装置もまた、プリンタコントローラ1と
プリントエンジン2とから構成されている。この図13
において、上記の各実施形態と同じ部分には、同じ符号
を付して示してある。本実施形態では、次の点が上記の
実施形態と相違する。即ち、センサ等からの検出信号等
をデジタルデータに変換して制御部7に出力するA/D
変換回路61をプリンタコントローラ1に設けている点
と、記録ヘッド9が、図13に示すように、シフトレジ
スタ50、ラッチ回路51、レベルシフタ52、スイッ
チ回路62及び圧電振動子21を備えて構成されている
点と、記録ヘッド9に、環境情報取得手段として機能す
る湿度センサ63と温度センサ64とを設けてある点と
が相違する。なお、スイッチ回路62は、上記実施形態
の第1供給スイッチ53と同じ機能を有する。
【0080】そして、本実施形態では、駆動信号発生回
路10が本発明の始端電位設定手段(つまり、電位差補
償手段)として機能し、制御部7と駆動信号発生回路1
0の組が、始端電位調整手段、及び駆動信号発生手段と
して機能する。また、シフトレジスタ50、ラッチ回路
51、レベルシフタ52、及び、スイッチ回路62の組
は、本発明の波形要素供給手段として機能する。
【0081】これらのシフトレジスタ50、ラッチ回路
51、レベルシフタ52、スイッチ回路62、及び圧電
振動子21は、図14に示すように、それぞれ、各ノズ
ル開口部20毎に設けたシフトレジスタ50A〜50
N、ラッチ回路51A〜51N、レベルシフタ52A〜
52N、スイッチ回路62A〜62N、圧電振動子21
A〜21Nから構成されており、シフトレジスタ50、
ラッチ回路51、レベルシフタ52、スイッチ回路6
2、圧電振動子21の順で電気的に接続されている。
【0082】また、湿度センサ63は、記録ヘッド9の
周辺における湿度を検出し、検出信号(即ち、湿度情
報)をA/D変換回路61に出力する。同様に、温度セ
ンサ64は記録ヘッド9の周辺における温度を検出し、
検出信号(即ち、温度情報)をA/D変換回路61に出
力する。なお、これらの湿度センサ63及び温度センサ
64からの検出信号は、本発明の環境情報に相当する。
【0083】次に、駆動信号を記録ヘッド9(圧電振動
子21)に供給する制御について説明する。図15は、
駆動信号発生手段(駆動信号発生回路10、制御部7)
によって発生される駆動信号COMの波形を示した図で
ある。この図15に例示した駆動信号は、インク滴をノ
ズル開口部20から吐出させ得る一連の信号である。そ
して、駆動信号発生手段は、この駆動信号を例えば7.
2kHzの印刷周期Tで発生する。また、シフトレジス
タ50、ラッチ回路51、レベルシフタ52、及び、ス
イッチ回路62(つまり、波形要素供給手段)は、一連
の駆動信号から必要な波形要素を選択し、選択した波形
要素を圧電振動子21に供給する。これにより、ノズル
開口部20毎に、インク滴の吐出、非吐出を制御する。
【0084】以下、駆動信号の中から必要な波形要素を
選択し、圧電振動子21に供給する手順について詳細に
説明する。図15に示した駆動信号は、期間T1の第1
波形要素(P0〜P9)と、期間T2の第2波形要素
(P9〜P12)とに分割されている。
【0085】第1波形要素はインク滴を吐出させるため
の波形要素であり、インク滴を吐出させる場合に波形要
素供給手段によって選択され、また、インク滴を吐出さ
せない場合には選択されない。また、第2波形要素は、
放電により降下した振動子電位を補償するために圧電振
動子21を充電する波形要素であり、インク滴の吐出、
非吐出に拘わらず波形要素供給手段によって選択され
る。つまり、この第2波形要素は、本発明の補償要素一
括供給手段として機能するシフトレジスタ50、ラッチ
回路51、レベルシフタ52、及び、スイッチ回路62
によって、全ての圧電振動子21に対して一括して供給
される。
【0086】第1波形要素(P0〜P9)には、充填波
形要素、吐出波形要素、及び、制振波形要素を含ませて
ある。ここで、充填波形要素は、圧力室22を膨張させ
て圧力室22内にインクを充填させるように圧電振動子
21を作動させる要素であり、第1波形要素におけるP
1〜P3の部分が該当する。吐出波形要素は、圧力室2
2を急激に収縮させてノズル開口部20からインクを吐
出させるように圧電振動子21を変形させる要素であ
り、第1波形要素におけるP3〜P5の部分が該当す
る。制振波形要素は、インク滴の吐出直後におけるメニ
スカスの波打ちを短時間で制止させるための要素であ
る。なお、メニスカスとは、ノズル開口部20における
インクの湾曲した面(自由表面)のことを意味する。こ
の駆動信号では、第1波形要素におけるP5〜P6の部
分が制振波形要素に該当する。
【0087】上記した波形要素供給手段は、この第1波
形要素の選択を1ビットの印字データに基づいて行う。
例えば、印字データが“1”の場合には、第1波形要素
が選択されて、第1波形要素と第2波形要素とが一連に
つながった波形信号が圧電振動子21に供給される。一
方、印字データが“0”の場合には、第1波形要素は選
択されずに第2波形要素のみが圧電振動子21に供給さ
れる。
【0088】上記の第2波形要素(P9〜P12)に
は、電位補償要素を含ませてある。この電位補償要素
は、自然放電等によって降下した振動子電位を補償する
ものであり、圧電振動子21を充電する。本実施形態で
は、第2波形要素におけるP10〜P11の部分が電位
補償要素に該当する。
【0089】そして、この第2波形要素の始端電位(P
9の電位)は、基準電位としての中間電位VMよりも少
し低い補償中間電位VM´に設定してある。これは、圧
電振動子21の振動子電位の降下に対応させるためであ
る。
【0090】即ち、この第2波形要素は、インク滴の吐
出、非吐出に拘わらず選択されるが、インク滴を吐出さ
せない場合、現印刷周期Tにおける第2波形要素(本発
明の後の波形要素に相当する)は、前印刷周期Tにおけ
る第2波形要素(本発明の先の波形要素に相当する)と
組になる。つまり、前印刷周期Tにおいて第2波形要素
の供給が終了すると、スイッチ回路62が非接続状態に
切り換わり圧電振動子21に対する波形要素の供給が停
止する。そして、圧電振動子21の振動子電位は、第2
波形要素の供給終了時点では第2波形要素の終端電位
(P12の電位)である中間電位VMとなっているが、
自然放電等により時間の経過に伴って次第に下降する。
【0091】そこで、駆動信号発生回路10(始端電位
設定手段)は、第2波形要素の始端電位を、圧電振動子
21の電位降下分だけ中間電位VMよりも低い補償中間
電位VM´に設定する。これにより、現印刷周期Tの第
2波形要素の供給開始直後における振動子電位の急激な
変化を防止することができる。このため、圧電振動子2
1の急激な変形を防止でき、インク滴の誤吐出や圧電振
動子21の破壊を防止することができる。従って、装置
の信頼性を高めることができる。
【0092】なお、第2波形要素の始端電位である補償
中間電位VM´は、例えば、測定に基づいて設定する。
つまり、温度や湿度等の環境条件を種々異ならせて圧電
振動子21の電位降下のばらつきを測定し、ばらつきの
範囲の略中間値に設定する。
【0093】そして、本実施形態では、圧電振動子21
の電位降下分である中間電位VMと補償中間電位VM´
との電位差を、中間電位VMの1割程度に設定してあ
る。
【0094】次に、インク滴の吐出時における記録ヘッ
ド9の動作、つまり、第1波形要素が選択されてインク
滴の吐出波形が圧電振動子21に供給された場合の動作
について説明する。なお、この説明は、図15の吐出/
吐出波形を参照して行う。
【0095】このインク滴を吐出させる場合には、駆動
信号における第1波形要素と第2波形要素とを続けて圧
電振動子21に供給する。従って、この吐出波形では、
まず、中間電位VMを所定時間保持する(P0〜P
1)。そして、中間電位VMから所定の電位勾配θ1で
電位を下降させ(P1〜P2)、最低電位VLに達した
らこの最低電位VLを所定時間保持する(P2〜P
3)。最低電位VLを保持したら、急勾配に設定した電
位勾配θ2に沿って最低電圧VLから最大電圧VHまで
急激に電圧を上昇させ(P3〜P4)、最大電位VHを
所定時間保持する(P4〜P5)。最大電位VHを保持
したら、電位勾配θ3に沿って電圧を下降させて中間電
位VMに復帰させる(P5〜P6)。その後、緩やかに
補償中間電位VM´まで電位を下降させ(P7〜P
8)、この補償中間電位VM´を所定時間保持し(P8
〜P10)、緩やかに電位を上昇させて中間電位VMに
復帰させる(P10〜P11)。なお、この吐出波形に
おいて、電位勾配θ1、及び、θ3は、インク滴が吐出
しない程度の勾配に設定する。
【0096】この吐出波形を圧電振動子21に供給する
ことにより振動子電位が変化し、圧電振動子21は変形
する。そして、圧電振動子21の変形により、圧力室2
2の容積が変化してインク滴が吐出される。
【0097】即ち、この吐出波形を供給すると圧電振動
子21は、前印刷周期Tの第2波形要素に続けて中間電
位VMを所定時間保持する(P0〜P1)。そして、充
填波形要素(P1〜P3)が圧電振動子21に供給され
ることにより、中間電位VMから最低電位VLまで振動
子電位が下降し、この最低電位VLが保持される。この
電位変化により圧電振動子21が変形し、圧力室22は
中間電位VMに対応する基準容積から最低電位VLに対
応する最大容積まで膨張し、この最大容積を所定時間維
持する。次に、吐出波形要素(P3〜P5)が供給され
て、振動子電位は、最低電位VLから最大電位VHまで
急速に上昇する。この電位変化により圧電振動子21が
変形し、圧力室22は、最大容積から最小容積まで急激
に収縮する。この収縮によって圧力室22内のインク圧
力が高まりノズル開口部20からインク滴が吐出する。
続いて、制振波形要素(P5〜P6)が供給されること
により、振動子電位は、最大電位VHから中間電位VM
まで復帰する。この電位変化により、圧電振動子21が
変形し、メニスカスの波打ちを短時間で静止させるよう
に圧力室22が基準の容積(中間電位VMに対応する容
積)まで膨張する。制振波形要素が供給されたならば、
微膨張要素(P7〜P8)と電位補償要素(P9〜P1
0)が順次圧電振動子21に供給される。
【0098】次に、インク滴の非吐出時における記録ヘ
ッド9の動作、つまり、第1波形要素が選択されないで
インク滴の非吐出波形が圧電振動子21に供給された場
合の動作について説明する。なお、この説明は、図15
の非吐出/非吐出波形に基づいて行う。ここで、非吐出
/非吐出波形におけるP0〜P9の部分は、振動子電位
である。
【0099】この非吐出波形では、駆動信号の第2波形
要素のみが選択的に圧電振動子21に供給される。従っ
て、この非吐出波形では、まず、補償中間電位VM´を
所定時間保持し(P9〜P10)、緩やかに設定された
電位勾配θ4に沿って補償中間電位VM´から中間電位
VMまで電位を上昇させる(P10〜P11)。そし
て、中間電位VMに達したらこの中間電位VMを保持す
る(P11〜P12)。
【0100】この非吐出波形を圧電振動子21に供給す
ることにより振動子電位が変化するが、圧力室22の容
積変化は生じずインク滴は吐出されない。即ち、前印刷
周期Tにおける第2波形要素(本発明の先の波形要素に
相当する)の終端(P12)で、圧電振動子21に対す
る波形要素の供給が絶たれる。この供給が絶たれた状態
は、現印刷周期Tにおける第2波形要素(本発明の後の
波形要素に相当する)の始端(P9)が到来するまで継
続する。そして、この始端(P9)から圧電振動子21
に対する第2波形要素の供給が開始する。
【0101】ここで、上記したように、第2波形要素の
始端電位(P9の電位)を、前印刷周期Tにおける第2
波形要素の終端電位(P12の電位)である中間電位V
Mよりも、圧電振動子21の電位降下分だけ低い補償中
間電位VM´に設定してあるため、第2波形要素の供給
開始直後において、波形要素の非供給期間(P0〜P
9)において降下した振動子電位と、第2波形要素の始
端電位とを、同等な電位レベルに揃えることができる。
これにより、第2波形要素の供給開始直後における振動
子電位の急激な変化を防止することができる。従って、
圧電振動子21の急激な変形を防止できる。
【0102】この第2波形要素を供給すると圧電振動子
21は、まず、補償中間電位VM´が所定時間保持され
(P9〜P10)、その後、電位補償要素(P10〜P
11)が供給されて中間電位VMに復帰し、この中間電
位VMが所定時間保持される(P11〜P12)。電位
補償要素が供給されることにより、振動子電位は、補償
中間電位VM´から中間電位VMまで復帰するが、補償
中間電位VM´から中間電位VMまでの電位の変化量は
小さく、且つ、この電位補償要素の電位勾配θ4も非常
に緩やかである。このため、圧電振動子21の変形量は
極く僅かであり、その上、圧電振動子21は比較的ゆっ
くりと変形する。従って、圧力室22内における圧力変
動は殆どなく、インク滴は吐出しない。
【0103】このように、本実施形態では、後の波形要
素となる現印刷周期Tの第2波形要素に、電位補償要素
(P10〜P11)を含ませている。そして、この電位
補償要素によって振動子電位を、前印刷周期Tの第2波
形要素(先の波形要素)の終端電位である中間電位VM
に復帰させている。
【0104】これにより、振動子電位の降下分を補償す
ることができる。また、この中間電位VMは、次の印刷
周期における第1波形要素の始端(即ち、接続される波
形要素の接続端)と同じ電位レベルであるため、この第
1波形要素の始端との接続を円滑に行わせることができ
る。
【0105】以上要するに本実施形態では、波形要素が
供給されていない非供給期間における振動子電位の降下
分を見越して、後の波形要素の始端電位(現印刷周期T
の第2波形要素の始端電位)を、先の波形要素の終端電
位(前印刷周期Tの第2波形要素の終端電位)よりも低
く設定している。これにより、後の波形要素を圧電振動
子21に供給する際において、波形要素の電位と振動子
電位との電位差を極く少なくすることができる。このた
め、後の波形要素の供給開始直後における圧電振動子2
1の急激な電位上昇を防止することができ、インク滴の
誤吐出を防止でき、また、圧電振動子21の破壊も防止
できる。
【0106】ところで、駆動信号の非供給期間における
振動子電位の降下は、温度や湿度といった環境によって
変化し、高温多湿の条件下では大きく降下する。この点
に着目して、制御部7(始端電位調整手段)に、後の波
形要素の始端電位(P9の電位、つまり、補償中間電位
VM´)を調整させ、始端電位が調整された駆動信号を
駆動信号発生回路10から発生させるようにしてもよ
い。
【0107】例えば、制御部7は、湿度センサ63から
の湿度情報と温度センサ64からの温度情報とに基づい
て、記録ヘッド9の周辺における湿度や温度を認識す
る。そして、認識した湿度と温度に基づき、ROM6に
記憶されたテーブルデータを参照し、後の波形要素にお
ける始端電位を設定する。これにより、記録ヘッド9の
周辺の湿度や温度に応じて変化する振動子電位の降下分
に適した始端電位を設定することができる。従って、後
の波形要素の供給開始直後における圧電振動子21の急
激な電位上昇を確実に防止することができる。
【0108】また、上記の実施形態では、波形要素供給
手段が備える補償要素一括供給手段を、シフトレジスタ
50、ラッチ回路51、レベルシフタ52、及び、スイ
ッチ回路62によって構成したものを例示したが、この
補償要素一括供給手段を、シフトレジスタ50、ラッチ
回路51、レベルシフタ52、及び、スイッチ回路62
とは別個の回路によって構成してもよい。
【0109】次に、第5実施形態について説明する。こ
の第5実施形態では、一印刷周期Tの中で、大インク滴
と中インク滴とを選択的に吐出させる。即ち、大インク
滴を吐出させる大ドット駆動信号と、中インク滴を吐出
させる中ドット駆動信号とを、選択的にを圧電振動子2
1に供給する。ここで、本実施形態でも第3実施形態と
同様に、大インク滴は約20pLのインク滴であり、中
インク滴は約8pLのインク滴である。
【0110】図16は、駆動信号発生手段(駆動信号発
生回路10、制御部7)によって発生される駆動信号の
波形を示した図である。例示した駆動信号は、大インク
滴と中インク滴とを同一のノズル開口部20から吐出さ
せ得る一連の信号であり、大インク滴を吐出させ得る波
形要素の前に、中インク滴を吐出させ得る波形要素を配
置している。なお、装置構成などの他の構成について
は、第4実施形態と同じである。
【0111】本実施形態において、駆動信号発生手段
は、この駆動信号を例えば7.2kHzの印刷周期Tで
発生する。また、波形要素供給手段(シフトレジスタ5
0、ラッチ回路51、レベルシフタ52、及び、スイッ
チ回路62)は、一連の駆動信号から必要な波形要素を
選択し、選択した波形要素を圧電振動子21に供給す
る。つまり、大インク滴を吐出させ得る大ドット駆動信
号や中インク滴を吐出させるための中ドット駆動信号を
圧電振動子21に供給する。
【0112】以下、駆動信号の中から必要な波形要素を
圧電振動子21に供給する手順について詳細に説明す
る。
【0113】図16に示す駆動信号は、期間T1の第1
波形要素(P20〜P31)と、期間T2の第2波形要
素(P31〜P34)と、期間T3の第3波形要素(P
34〜P43)と、期間T4の第4波形要素(P43〜
P46)とに分割されている。そして、第1波形要素、
第2波形要素、第3波形要素、及び、第4波形要素の順
で一連に接続されている。また、第1波形要素の始端
(P20)は前印刷周期における第4波形要素の終端
(P46)であり、第4波形要素の終端(P46)は次
印刷周期における第1波形要素の始端(P20)であ
る。
【0114】大ドット駆動信号は、第2波形要素と第3
波形要素と第4波形要素とを波形要素供給手段が選択す
ることにより、圧電振動子21に供給される。また、中
ドット駆動信号は、第1波形要素と第2波形要素と第4
波形要素とを波形要素供給手段が選択することにより、
圧電振動子21に供給される。ここで、第1波形要素と
第3波形要素は、インク滴を吐出させるための波形要素
である。詳しくは、第1波形要素は中インク滴を吐出さ
せる際に選択される波形要素であり、第3波形要素は大
インク滴を吐出させる際に選択される波形要素である。
【0115】また、第2波形要素と第4波形要素は、放
電により降下した振動子電位を補償するために圧電振動
子21を充電する波形要素であり、インク滴の吐出、非
吐出に拘わらず波形要素供給手段によって選択される。
つまり、これらの第2波形要素及び第4波形要素は、波
形要素供給手段(補償要素一括供給手段)によって、全
ての圧電振動子21に対して一括して供給される。
【0116】波形要素供給手段は、波形要素の選択を2
ビットの印字データに基づいて行う。即ち、印字データ
の上位ビットを期間T1の第1波形要素に対応させ、下
位ビットを期間T3の第3波形要素に対応させている。
【0117】そして、波形要素供給手段は、“01”に
設定された印字データに基づいて第2波形要素と第3波
形要素と第4波形要素とを選択し、大ドット駆動信号を
圧電振動子21に供給する。つまり、駆動信号における
第2波形要素の始端(P31)が到来したタイミングで
スイッチ回路62を接続状態にして、この接続状態を第
4波形要素の終端(P46)まで維持することで、大ド
ット駆動信号を供給する。
【0118】同様に、波形要素供給手段は、“10”に
設定された印字データに基づいて第1波形要素と第2波
形要素と第4波形要素とを選択して、中ドット駆動信号
を圧電振動子21に供給する。つまり、駆動信号におけ
る第1波形要素の始端(P20)からスイッチ回路62
を接続状態にし、第2波形要素の終端(P34)が到来
したタイミングでスイッチ回路62を非接続状態にす
る。その後、第4波形要素の始端(P43)が到来した
タイミングでスイッチ回路62を再度接続状態にして、
この接続状態を第4波形要素の終端(P46)まで維持
することで、中ドット駆動信号を供給する。
【0119】また、ノズル開口部20からインク滴を吐
出させない場合には、印字データは“00”に設定され
る。このように印字データが“00”に設定されている
場合には、波形要素供給手段は、第2波形要素と第4波
形要素とを選択し、これらの波形要素を圧電振動子21
に供給する。つまり、駆動信号における第2波形要素の
始端(P31)からスイッチ回路62を接続状態にし、
この第2波形要素の終端(P34)が到来したタイミン
グでスイッチ回路62を非接続状態にする。その後、第
4波形要素の始端(P43)が到来したタイミングでス
イッチ回路62を再度接続状態にして、この接続状態を
第4波形要素の終端(P46)まで維持する。
【0120】次に、駆動信号を構成する波形要素につい
て説明する。図16に示した駆動信号は、収縮波形要
素、充填波形要素、吐出波形要素、制振波形要素、及
び、電位補償要素を含んでいる。
【0121】ここで、収縮波形要素は、インク滴を吐出
させない程度に圧力室22を収縮させるように圧電振動
子21を変形させる要素である。
【0122】そして、この駆動信号では、収縮波形要素
は、第1波形要素におけるP21〜P23の部分が該当
する。充填波形要素は、第1波形要素におけるP23〜
P25の第1充填波形要素と、第3波形要素におけるP
35〜P37の第2充填波形要素とが該当する。吐出波
形要素は、第1波形要素におけるP25〜P27の第1
吐出波形要素と、第3波形要素におけるP37〜P39
の第2吐出波形要素とが該当する。制振波形要素は、第
1波形要素におけるP27〜P28の第1制振波形要素
と、第3波形要素におけるP39〜P40の第2制振波
形要素とが該当する。また、電位補償要素は、第2波形
要素におけるP32〜P33の第1電位補償要素と、第
4波形要素におけるP44〜P45の第2電位補償要素
が該当する。
【0123】本実施形態では、第4波形要素の始端電位
(P43の電位)を、中間電位VMよりも少し低い補償
中間電位VM´に設定してある。また、第2波形要素の
始端電位(P31の電位)を補償中間電位VM´よりも
僅かに低い第2補償中間電位VM”に設定してある。こ
れは、圧電振動子21の振動子電位の降下に対応させる
ためである。これらの第2波形要素或いは第4波形要素
は常に選択される。つまり、第2波形要素は第1波形要
素が選択されなかった場合にも選択され、第4波形要素
は第3波形要素が選択されなかった場合にも選択され
る。
【0124】そして、第1波形要素が選択されなかった
場合、第2波形要素(本発明の後の波形要素に相当す
る)は、前印刷周期Tにおける第4波形要素(本発明の
先の波形要素に相当する)と組になる。つまり、前印刷
周期Tにおいて第4波形要素の供給が終了すると、スイ
ッチ回路62が非接続状態に切り換わり圧電振動子21
に対する波形要素の供給が停止する。そして、圧電振動
子21の振動子電位は、第4波形要素の供給終了時点で
は第4波形要素の終端電位〔P20(即ちP46)の電
位〕である中間電位VMとなっているが、実際には自然
放電等により、時間の経過に伴って次第に下降する。そ
こで、第2波形要素の始端電位を、圧電振動子21の電
位降下分だけ中間電位VMよりも低い第2補償中間電位
VM”に設定することにより、第2波形要素の供給開始
直後における振動子電位の急激な変化を防止することが
できる。
【0125】同様に、第3波形要素が選択されなかった
場合、第4波形要素(本発明の後の波形要素に相当す
る)は、同じ印刷周期T内の第2波形要素(本発明の先
の波形要素に相当する)と組になる。つまり、第2波形
要素の供給が終了すると、スイッチ回路62が非接続状
態に切り換わり圧電振動子21に対する駆動信号の供給
が停止する。そして、圧電振動子21の振動子電位は、
第2波形要素の供給終了時点では第2波形要素の終端電
位(P34の電位)である中間電位VMとなっている
が、実際には自然放電等により、時間の経過に伴って次
第に下降する。そこで、第4波形要素の始端電位を、圧
電振動子21の電位降下分だけ中間電位VMよりも低い
補償中間電位VM´に設定することにより、第4波形要
素の供給開始直後における振動子電位の急激な変化を防
止することができる。
【0126】次に、上記の各波形要素によって構成され
る大ドット駆動信号について説明する。ここで、図16
の大ドット駆動信号におけるP20〜P31の部分は、
圧電振動子21の電位である振動子電位を示している。
【0127】この大ドット駆動信号では、第2補償中間
電位VM”を所定時間保持し(P31〜P32)、第2
補償中間電位VM”から緩やかに設定された電位勾配θ
5に沿って電位を中間電位VMまで復帰させ(P32〜
P33)、この中間電位VMを所定時間保持する(P3
3〜P35)。
【0128】中間電位VMを保持したら、所定の電位勾
配θ6に沿って電位を下降させ(P35〜P36)、最
低電位VLに達したら、この最低電位VLを所定時間保
持する(P36〜P37)。最低電位VLを保持した
ら、急勾配に設定した電位勾配θ7に沿って最低電圧V
Lから最大電圧VHまで電圧を上昇させ(P37〜P3
8)、最大電位VHを所定時間保持する(P38〜P3
9)。最大電位VHを保持したら、電位勾配θ8に沿っ
て電圧を下降させて中間電位VMに復帰させる(P39
〜P40)。その後、緩やかに補償中間電位VM´まで
電位を下降させ(P41〜P42)、この補償中間電位
VM´を所定時間保持し(P42〜P44)、緩やかに
電位を上昇させて中間電位VMに復帰させる(P44〜
P45)。なお、この大ドット駆動信号において、電位
勾配θ5、θ6、及び、θ8は、インク滴が吐出しない
程度の勾配に設定する。
【0129】この大ドット駆動信号を供給することによ
り、圧電振動子21に対する充電や放電が行われて圧電
振動子21が変形する。そして、圧電振動子21の変形
により、圧力室22の容積が変化して大インク滴が吐出
される。即ち、前印刷周期Tにおける第4波形要素の終
端(P46)で振動子電位が中間電位VMとされた圧電
振動子21は、現印刷周期Tの開始時点から波形要素の
供給が絶たれる。このため、振動子電位は、時間の経過
に伴って次第に下降する。その後、第2波形要素の始端
P31から第2波形要素が圧電振動子21に供給され
る。ここで、第2波形要素の始端電位(P31の電位)
を、第2補償中間電位VM”に設定しているため、振動
子電位と第2波形要素の始端電位との電位差をなくす
か、極く少なくすることができる。従って、第2波形要
素の供給開始時点における振動子電位の急激な上昇を防
止することができる。
【0130】そして、第1電位補償要素(P32〜P3
3)が供給されることにより、振動子電位は、第2補償
中間電位VM”から中間電位VMまで復帰する。続い
て、第2充填波形要素(P35〜P37)が供給される
ことにより、振動子電位は、中間電位VMから最低電位
VLまで下降し、この最低電位VLを保持する。この電
位変化により圧電振動子21が変形し、圧力室22は、
補償中間電位VM´に対応する容積から膨張して、最低
電位VLに対応する最大容積を所定時間維持する。次
に、第2吐出波形要素(P37〜P39)が供給され
て、振動子電位は、最低電位VLから最大電位VHまで
急速に上昇する。この電位変化により圧電振動子21が
変形し、圧力室22は、最大容積から最小容積まで急激
に収縮して圧力室22内のインク圧力が高まり、大イン
ク滴が吐出する。
【0131】続いて、第2制振波形要素(P39〜P4
0)が供給されることにより、振動子電位は、最大電位
VHから中間電位VMまで復帰する。この電位変化によ
り、圧電振動子21が変形し、メニスカスの波打ちを短
時間で静止させるように圧力室22が基準の容積(中間
電位VMに対応する容積)まで膨張する。第2制振波形
要素が供給されたならば、微膨張要素(P41〜P4
3)と第2電位補償要素(P44〜P45)が順次圧電
振動子21に供給される。
【0132】次に、中ドット駆動信号について説明す
る。なお、図16の中ドット駆動信号におけるP34〜
P43の部分は、圧電振動子21の電位である振動子電
位を示している。
【0133】この中ドット駆動信号では、中間電位VM
から所定の電位勾配θ9で電位を上昇させ(P21〜P
22)、最大電位VHに達したらこの最大電位VHを所
定時間保持する(P22〜P23)。最大電位VHを保
持したら、この最大電位VHから所定の電位勾配θ10
で最低電位VLまで電位を下降させて最低電位を保持し
(P23〜P25)、急勾配に設定した電位勾配θ11
に沿って、最大電位VMより少し低い電位に設定した第
2最大電位VH´まで電位を上昇させる(P25〜P2
6)。この第2最大電位VH´を所定時間維持し(P2
6〜P27)、所定の電位勾配θ12に沿って中間電位
VMまで電位を下降させる(P27〜P28)。中間電
位VMまで電位を下降させた後、緩やかに第2補償中間
電位VM”まで電位を下降させ(P29〜P30)、こ
の第2補償中間電位VM”を所定時間保持し(P30〜
P32)、緩やかに電位を上昇させて中間電位VMに復
帰させる(P32〜P33)。そして、第2波形要素の
終端(P34)で圧電振動子21に対する波形要素の供
給を絶つ。
【0134】その後、第4波形要素の始端(P43)で
波形要素の供給を再開し、この始端から所定時間に亘っ
て補償中間電位VM´を保持し(P43〜P44)、緩
やかに電位を上昇させて中間電位VMに復帰させる(P
44〜P45)。なお、この中ドット駆動信号におい
て、電位勾配θ9、θ10、及び、θ12は、インク滴
が吐出しない程度の勾配に設定する。
【0135】この中ドット駆動信号を供給することによ
り、圧電振動子21に対する充電や放電が行われて圧電
振動子21が変形し、中インク滴が吐出される。即ち、
収縮波形要素(P21〜P23)が供給されることによ
り、振動子電位は、中間電位VMから最大電位VHまで
上昇し、この最大電位VHを保持する。この電位変化に
より圧電振動子21が変形し、圧力室22は、中間電位
VMに対応する基準の容積から収縮して、最大電位VH
に対応する最小容積を所定時間維持する。
【0136】次に、第1充填波形要素(P23〜P2
5)が供給されて、振動子電位は、最大電位VHから最
低電位VLまで下降し、この最低電位VLを保持する。
この電位変化により圧電振動子21が変形し、圧力室2
2は、最小容積から最大容積まで膨張し、膨張状態を維
持する。この膨張によって圧力室22内が負圧になり、
メニスカスが圧力室22側に引き込まれる。次に、第1
吐出波形要素(P25〜P27)が供給されて、振動子
電位は、最低電位VLから第2最大電位VH´まで急激
に上昇し、そして、この第2最大電位VH´を所定時間
維持する。この電位変化により圧電振動子21が変形
し、圧力室22は、最大容積から第2最大電位VH´に
対応する容積まで急激に収縮する。この収縮によって圧
力室22内のインク圧力が高まりノズル開口部20から
中インク滴が吐出する。
【0137】続いて、第1制振波形要素(P27〜P2
8)が供給されて、振動子電位は、第2最大電位VH´
から中間電位VMまで復帰する。この電位変化により、
圧電振動子21が変形し、メニスカスの波打ちを短時間
で静止させるように圧力室22が基準の容積(中間電位
VMに対応する容積)まで膨張する。第1制振波形要素
が供給されたならば、微膨張要素(P29〜P30)と
第1電位補償要素(P32〜P33)が順次圧電振動子
21に供給され、振動子電位は、第2補償中間電位V
M”まで緩やかに下降した後、中間電位VMに復帰す
る。なお、ここでは、電位の変化量が少しであること、
及び、電位変化が緩やかであることから、圧力室22内
の圧力変化に殆ど影響しない。そして、この中間電位V
Mが短時間維持され(P33〜P34)、その後、駆動
信号の供給が絶たれる(P34〜P43)。駆動信号の
供給が絶たれることにより、振動子電位は、時間の経過
に伴って次第に下降する。
【0138】そして、第4波形要素の始端P43から駆
動信号が圧電振動子21に供給される。ここでも、第4
波形要素の始端電位(P43の電位)を、補償中間電位
VM´に設定しているため、振動子電位と第4波形要素
の始端電位との電位差をなくすか、極く少なくすること
ができる。従って、第4波形要素の供給開始時点におけ
る振動子電位の急激な上昇を防止することができる。こ
の補償中間電位VM´は所定時間に亘って保持され(P
43〜P44)、続いて、第2電位補償要素(P44〜
P45)が圧電振動子21に供給される。この電位補償
要素により振動子電位は、補償中間電位VM´から中間
電位VMに復帰する。その後、この中間電位VMが保持
される(P45〜P46)。
【0139】次に、非印字時の駆動信号について説明す
る。なお、図16の非印字信号におけるP20〜P31
の部分、及び、P34〜P43の部分は、圧電振動子2
1の電位である振動子電位を示している。
【0140】この非印字信号では、第2補償中間電位V
M”を所定時間保持し(P31〜P32)、補償中間電
位VM´から緩やかに設定された電位勾配θ5に沿って
電位を中間電位VMまで復帰させ(P32〜P33)、
この中間電位VMを所定時間保持する(P33〜P3
4)。そして、第2波形要素の終端(P34)で圧電振
動子21に対する信号の供給を絶つ。その後、第4波形
要素の始端(P43)で信号の供給を再開し、この始端
から所定時間に亘って補償中間電位VM´を保持し(P
43〜P44)、緩やかに電位を上昇させて中間電位V
Mに復帰させる(P44〜P45)。
【0141】この非印字信号を圧電振動子21に供給す
ることにより、圧電振動子21に対する充電が適宜行わ
れる。そして、圧電振動子21の充電により、振動子電
位の過剰な降下が防止される。
【0142】即ち、前印刷周期Tにおける第4波形要素
の終端(P46)で中間電位VMとされた圧電振動子2
1は、現印刷周期Tの開始時点から波形要素の供給が絶
たれる。このため、振動子電位は、時間の経過に伴って
次第に下降する。その後、第2波形要素の始端P31か
ら第2波形要素が圧電振動子21に供給される。ここ
で、第2波形要素の始端電位(P31の電位)を、第2
補償中間電位VM”に設定しているため、振動子電位と
第2波形要素の始端電位との電位差をなくすか、極く少
なくすることができる。従って、第2波形要素の供給開
始時点における振動子電位の急激な上昇を防止すること
ができる。
【0143】そして、第1電位補償要素(P32〜P3
3)が供給されることにより、振動子電位は第2補償中
間電位VM”から中間電位VMまで復帰する。その後、
第2波形要素の終端(P34)で波形要素の供給が絶た
れる。このため、振動子電位は再度下降し始める。その
後、第4波形要素の始端P43から第4波形要素が圧電
振動子21に供給される。ここで、第4波形要素の始端
電位(P43の電位)を、補償中間電位VM´に設定し
ているため、振動子電位と第4波形要素の始端電位との
電位差をなくすか、極く少なくすることができる。従っ
て、第4波形要素の供給開始時点における振動子電位の
急激な上昇を防止することができる。そして、第2電位
補償要素(P44〜P45)が供給されることにより、
振動子電位は補償中間電位VM´から中間電位VMまで
復帰する。
【0144】このように、本実施形態では、後の波形要
素となり得る第2波形要素及び第4波形要素に電位補償
要素を含ませている。そして、この電位補償要素によ
り、振動子電位の降下分を補償している。
【0145】さらに、本実施形態では、第2波形要素の
始端電位(P31の電位)を、第4波形要素の始端電位
(P43)よりも低く設定してある。これは、振動子電
位の降下量が、駆動信号の非供給期間の長さによって異
なるからである。つまり、非供給期間が長いほど振動子
電位の降下量が大きくなるからである。そして、第2波
形要素に対応する非供給期間(P20〜P31)と、第
4波形要素に対応する非供給期間(P34〜P43)と
を比較すると、第2波形要素に対応する非供給期間(P
20〜P31)の方が長いため、第2波形要素の始端電
位を、第4波形要素の始端電位よりも低く設定してあ
る。
【0146】なお、P20〜P31の方を長くしたの
は、大インク滴を吐出させるための第3波形要素の前
に、十分な待機時間を確保するためである。そして、こ
のように構成することにより、一印刷周期Tに必要な時
間を短くすることができ、記録速度の向上が図れる。
【0147】以上要するに、本実施形態における制御部
7(始端電位調整手段)は、先の波形要素の終端から後
の波形要素の始端までの時間が長いほど先の波形要素の
終端電位から後の波形要素の始端電位までの電位差が大
きくなるように、後の波形要素の始端電位を設定させ、
このように設定された駆動信号を駆動信号発生回路10
から発生させているといえる。そして、この構成では、
駆動信号の非供給期間の長さに応じて最適な始端電位が
設定されるので、後の波形要素の供給開始直後に圧電振
動子21の電位が急激に上昇してしまう不具合を、一層
確実に防止することができる。
【0148】次に、第6実施形態について説明する。こ
の第6実施形態では、中インク滴を吐出させる中ドット
駆動信号と、小インク滴を吐出させる小ドット駆動信号
とを圧電振動子21に供給する。詳しくは、小ドット駆
動信号を構成する波形要素を時間幅方向に分割し、この
分割した波形要素同士の間に中ドット駆動信号を構成す
る波形要素を混在させて一連の駆動信号を構成してい
る。ここで、小インク滴とは、インク体積が約4pL
(ピコリットル)のインク滴を意味する。この小インク
滴が着弾すると記録紙上には小ドットが形成される。
【0149】図17は、駆動信号発生手段(駆動信号発
生回路10、制御部7)によって発生される駆動信号の
波形を示した図である。例示した駆動信号は、中インク
滴と小インク滴とを同一のノズル開口部20から吐出さ
せ得る一連の信号である。なお、装置構成などの他の構
成については、上記した第4実施形態と同じである。本
実施形態において、シフトレジスタ50、ラッチ回路5
1、レベルシフタ52、及び、スイッチ回路62、即
ち、波形要素供給手段は、一連の駆動信号から必要な波
形要素を選択し、中ドット駆動信号や小ドット駆動信号
を圧電振動子21に供給する。
【0150】図17に示す駆動信号は、期間T1の第1
波形要素(P50〜P53)と、期間T2の第2波形要
素(P54〜P65)と、期間T3の第3波形要素(P
65〜P68)と、期間T4の第4波形要素(P69〜
P80)と、期間T5の第5波形要素(P80〜P8
3)と、期間TS1の第1接続要素(P53〜P54)
と、期間TS2の第2接続要素(P68〜P69)とに
分割され、第1波形要素、第1接続要素、第2波形要
素、第3波形要素、第2接続要素、第4波形要素、第5
波形要素の順で一連に接続されている。ここで、接続要
素は、圧電振動子21を作動させることがなく、且つ、
波形要素同士の異なる電位レベルを接続するための要素
である。この駆動信号においても第1波形要素の始端
(P50)は、前印刷周期Tにおける第5波形要素の終
端に対応し、第5波形要素の終端(P83)は次印刷周
期Tにおける第1波形要素の始端に対応する。
【0151】中ドット駆動信号は、第2波形要素と第3
波形要素と第5波形要素とを選択することにより圧電振
動子21に供給される。同様に、小ドット駆動信号は、
第1波形要素、第4波形要素及び第5波形要素を選択す
ることにより圧電振動子21に供給される。ここで、第
3波形要素と第5波形要素は、放電により降下した振動
子電位を補償するため圧電振動子21を充電する波形要
素である。さらに、第5波形要素は、インク滴の吐出、
非吐出に拘わらず波形要素供給手段によって選択され
る。つまり、第5波形要素は、波形要素供給手段(補償
要素一括供給手段)によって、全ての圧電振動子21に
対して一括して供給される。また、第3波形要素は、後
述するように、中インク滴を吐出する場合、及び、イン
ク滴を吐出させない場合に波形要素供給手段によって選
択される。つまり、第3波形要素は、波形要素供給手段
(補償要素選択供給手段)によって、中インク滴を吐出
させる圧電振動子21、及び、インク滴を吐出させない
圧電振動子21に対して供給される。
【0152】本実施形態における波形要素供給手段は、
波形要素の選択を4ビットの印字データに基づいて行
う。即ち、印字データの最上位ビットを期間T1の第1
波形要素に対応させ、第2位のビットを期間T2の第2
波形要素に対応させている。また、印字データの第3位
のビットを期間T3の第3波形要素に対応させ、最下位
ビットを期間T4の第4波形要素に対応させている。
【0153】そして、波形要素供給手段は、“011
0”に設定された印字データに基づいて第2波形要素と
第3波形要素と第5波形要素とを駆動信号から選択し、
中ドット駆動信号を圧電振動子21に供給する。つま
り、駆動信号における第2波形要素の始端(P54)が
到来したタイミングでスイッチ回路62を接続状態に
し、第3波形要素の終端(P68)が到来したタイミン
グでスイッチ回路62を非接続状態にする。その後、第
5波形要素の始端(P80)が到来したタイミングでス
イッチ回路62を再度接続状態にして、この接続状態を
第5波形要素の終端(P83)まで維持する。これによ
り中ドット駆動信号が供給される。
【0154】同様に、波形要素供給手段は、“100
1”に設定された印字データに基づいて第1波形要素、
第4波形要素、及び、第5波形要素を駆動信号から選択
して、小ドット駆動信号を圧電振動子21に供給する。
つまり、駆動信号における第1波形要素の始端(P5
0)からスイッチ回路62を接続状態にし、この第1波
形要素の終端(P53)が到来したタイミングでスイッ
チ回路62を非接続状態にする。その後、第4波形要素
の始端(P69)が到来したタイミングでスイッチ回路
62を再度接続状態にして、この接続状態を第5波形要
素の終端(P83)まで維持する。これにより小ドット
駆動信号が供給される。
【0155】同様に、波形要素供給手段は、“001
0”に設定された印字データに基づいて第3波形要素、
及び、第5波形要素を選択して、小ドット駆動信号を圧
電振動子21に供給する。つまり、第3波形要素の始端
(P65)からスイッチ回路62を接続状態にし、この
第3波形要素の終端(P68)が到来したタイミングで
スイッチ回路62を非接続状態にする。その後、第5波
形要素の始端(P80)が到来したタイミングでスイッ
チ回路62を再度接続状態にして、この接続状態を第5
波形要素の終端(P83)まで維持する。
【0156】次に、中ドット駆動信号について説明す
る。なお、図17の中ドット駆動信号におけるP50〜
P54、及び、P68〜P80の部分は、圧電振動子2
1の電位である振動子電位を示している。
【0157】この中ドット駆動信号では、中間電位VM
を短時間保持し(P54〜P55)、中間電位VMから
第2中間電位VMHまで、緩やかに電位を上昇させ(P
55〜P56)、第2中間電位VMHに達したらこの第
2中間電位VMHを所定時間保持する(P56〜P5
7)。第2中間電位VMHを保持したら、所定の電位勾
配θ13に沿って第2中間電位VMHから最低電圧VL
まで電圧を下降させ(P57〜P58)、最低電位VL
を所定時間保持する(P58〜P59)。最低電位VL
を保持したら、電位勾配θ14に沿って最大電位VHま
で電圧を急激に上昇させ(P59〜P60)、この最大
電位を保持する(P60〜P61)。最大電位VHを保
持したら、電位勾配θ15に沿って電圧を下降させて中
間電位VMに復帰させる(P61〜P62)。そして、
緩やかに第2補償中間電位VM”まで電位を下降させ
(P63〜P64)、この第2補償中間電位VM”を所
定時間保持し(P64〜P66)、緩やかに電位を上昇
させて中間電位VMに復帰させる(P66〜P67)。
そして、第3波形要素の終端(P68)で圧電振動子2
1に対する波形要素の供給を絶つ。
【0158】その後、第5波形要素の始端で波形要素の
供給を再開し、この始端から所定時間に亘って補償中間
電位VM´を保持し(P80〜P81)、緩やかに電位
を上昇させて中間電位VMに復帰させ(P81〜P8
2)、この中間電位VMを保持する。なお、この中ドッ
ト駆動信号において、電位勾配θ13、及び、θ15
は、インク滴が吐出しない程度の勾配に設定する。
【0159】この中ドット駆動信号を供給することによ
り、圧電振動子21に対する充電や放電が行われて圧電
振動子21が変形し、中インク滴が吐出される。
【0160】即ち、微収縮波形要素(P55〜P57)
が供給されることにより、振動子電位は、中間電位VM
から第2中間電位VMHまで上昇し、この第2中間電位
VMHを保持する。この電位変化により圧電振動子21
が変形し、圧力室22は、基準の容積から少し収縮した
状態に保持される。次に、第1充填波形要素(P57〜
P59)が供給されて、振動子電位は、第2中間電位V
MHから最低電位VLまで下降し、この最低電位VLを
保持する。この電位変化により圧電振動子21が変形
し、圧力室22は、最大容積まで膨張し、この膨張状態
を維持する。この膨張によって圧力室22内が負圧にな
り、メニスカスが圧力室22側に引き込まれる。次に、
第1吐出波形要素(P59〜P61)が供給されて、振
動子電位は、最低電位VLから最大電位VHまで急激に
電位を上昇し、この最大電位VHを所定時間維持する。
この電位変化により、圧力室22は最大容積から最小容
積まで急激に収縮し、ノズル開口部20からは中インク
滴が吐出する。
【0161】続いて、第1制振波形要素(P61〜P6
2)が供給され、振動子電位は、最大電位VHから中間
電位VMまで復帰する。この電位変化により、圧力室2
2は基準の容積まで膨張し、メニスカスの波打ちを短時
間で静止させる。第1制振波形要素が供給されたなら
ば、微膨張要素(P63〜P64)と第1電位補償要素
(P66〜P67)が順次圧電振動子21に供給され、
振動子電位は、第2補償中間電位VM”まで緩やかに下
降した後、中間電位VMに復帰する。なお、ここでは、
電位の変化量が少しであること、及び、電位変化が緩や
かであることから、圧力室22内の圧力変化に殆ど影響
しない。そして、この中間電位VMが短時間維持され
(P67〜P68)、その後、駆動信号の供給が絶たれ
る(P68〜P80)。駆動信号の供給が絶たれること
により、振動子電位は、時間の経過に伴って次第に下降
する。
【0162】そして、第5波形要素の始端P80から波
形要素が圧電振動子21に供給されるが、ここでも、第
5波形要素の始端電位(P80の電位)を補償中間電位
VM´に設定しているため、振動子電位と第5波形要素
の始端電位との電位差を極く少なくすることができる。
従って、第5波形要素の供給開始時点における振動子電
位の急激な上昇を防止することができる。この補償中間
電位VM´を所定時間に亘って保持したならば(P80
〜P81)、第2電位補償要素(P81〜P82)が圧
電振動子21に供給される。この第2電位補償要素によ
り振動子電位は、補償中間電位VM´から中間電位VM
に復帰する。その後、この中間電位VMが保持される
(P82〜P83)。
【0163】次に、小ドット駆動信号について説明す
る。なお、図17の小ドット駆動信号におけるP53〜
P69の部分は、圧電振動子21の電位である振動子電
位を示している。
【0164】この小ドット駆動信号では、中間電位VM
から所定の電位勾配θ16で電位を上昇させ(P51〜
P52)、最大電位VHに達したらこの最大電位VHを
短時間保持し(P52〜P53)、圧電振動子21に対
する波形要素の供給を絶つ。その後、第4波形要素の始
端で波形要素の供給を再開し、この始端から所定時間に
亘って補償最大電位VH”を保持し(P69〜P7
0)、緩やかに電位を上昇させて最大電位VHに復帰さ
せ(P70〜P71)、この最大電位VHを保持する
(P71〜P72)。そして、最大電位VHから所定の
電位勾配θ17で最低電位VLまで電位を下降させて最
低電位VLを保持し(P72〜P74)、急勾配に設定
した電位勾配θ18に沿って、最大電位VHまで電位を
上昇させる(P74〜P75)。そして、この最大電位
VHを所定時間維持し(P75〜P76)、所定の電位
勾配θ19に沿って中間電位VMまで電位を下降させる
(P76〜P77)。その後、緩やかに補償中間電位V
M´まで電位を下降させ(P78〜P79)、この補償
中間電位VM´を所定時間保持し(P79〜P81)、
緩やかに電位を上昇させて中間電位VMに復帰させる
(P81〜P82)。なお、この小ドット駆動信号にお
いて、電位勾配θ16、θ17、及び、θ19は、イン
ク滴が吐出しない程度の勾配に設定する。
【0165】この小ドット駆動信号を供給することによ
り、圧電振動子21に対する充電や放電が行われて圧電
振動子21が変形し、小インク滴が吐出される。
【0166】即ち、収縮波形要素(P51〜P53)が
供給されることにより、振動子電位は、中間電位VMか
ら最大電位VHまで上昇し、この最大電位VHを短時間
保持する。この電位変化により圧電振動子21が変形
し、圧力室22は、基準の容積から最小容積に収縮す
る。収縮波形要素が供給された後には、波形要素の供給
が絶たれる(P53〜P69)。波形要素の供給が絶た
れることにより、振動子電位は、時間の経過に伴って次
第に下降する。そして、第4波形要素の始端P69から
波形要素が圧電振動子21に供給されるが、ここでも、
第4波形要素の始端電位(P69の電位)を、最大電位
VHよりも振動子電位の降下分だけ低い補償最大電位V
M”に設定しているため、振動子電位と第4波形要素の
始端電位との電位差を極く少なくすることができる。従
って、第4波形要素の供給開始時点における振動子電位
の急激な上昇を防止することができる。
【0167】この場合において、制御部7(始端電位調
整手段)は、小ドット駆動信号における最大電位VHと
補償最大電位VH”との電位差を、中ドット駆動信号に
おける中間電位VMから第2補償中間電位VM”との電
位差よりも大きく設定している。つまり、先の波形要素
の終端電位が高いほど先の波形要素の終端電位から後の
波形要素の始端電位までの電位差が大きくなるように、
後の波形要素の始端電位を設定している。これは、先の
波形要素の終端電位が高いほど、駆動信号の非供給期間
における電位降下が大きいからである。そして、このよ
うに構成することで、先の波形要素の終端電位に適した
始端電位を定めることができ、後の波形要素の供給開始
時点における振動子電位の急激な上昇を一層確実に防止
することができる。
【0168】その後、この補償最大電位VH”を所定時
間保持し(P69〜P70)、第3電位補償要素(P7
0〜P71)を供給して最大電位VHまで緩やかに電位
を復帰させ、この最大電位VHを所定時間保持する(P
71〜P72)。次に、第2充填波形要素(P72〜P
74)が供給されて、振動子電位は、最大電位VHから
最低電位VLまで下降し、この最低電位VLを所定時間
維持する。この電位変化により、圧力室22は最小容積
から最大容積まで膨張して圧力室22内が負圧になり、
メニスカスが圧力室22内に大きく引き込まれた状態に
なる。
【0169】続いて、第2吐出波形要素(P74〜P7
6)が供給されて、振動子電位は、最低電位VLから最
大電位VHまで上昇する。この電位変化により、圧力室
22は最小容積まで急速に収縮して圧力室22内が加圧
される。その後、直ちに第2制振波形要素(P76〜P
77)が供給されて圧力室22が膨張する。これによ
り、メニスカスが圧力室22側に引き込まれて、小イン
ク滴が吐出する。第2制振波形要素が供給されたなら
ば、微膨張要素(P78〜P79)と第2電位補償要素
(P81〜P82)が順次圧電振動子21に供給され
る。
【0170】なお、後の波形要素における始端電位の設
定方法としては、上記した方法の他に、圧電振動子21
の振動子電位を検出してこの検出した振動子電位にあわ
せて始端電位を設定するようにしてもよい。例えば、第
6実施形態における小ドット駆動信号を例に挙げると、
制御部7(振動子電位検出手段)は、駆動信号における
第1波形要素を圧電振動子21に供給し終えると、図1
3に点線で示すように、A/D変換回路61を通じて振
動子電位を検出し、この振動子電位を第3波形要素の供
給直前まで監視する。そして、制御部7(始端電位調整
手段)は、第4波形要素の供給直前における振動子電位
に基づいて第4波形要素の始端電位(P69の電位)を
定める。
【0171】このように構成した場合には、検出した振
動子電位に基づいて第4波形要素の始端電位(後の波形
の始端電位)が定められるので、最適な始端電位を確実
に設定できる。従って、後の波形要素の供給開始直後に
圧電振動子21の電位が急激に上昇してしまう不具合を
一層確実に防止することができる。
【0172】ところで、上記した各実施形態は何れも、
駆動信号の非供給期間における振動子電位の降下を容認
する構成であった。しかし、本発明は、この構成に限定
されるものではない。例えば、駆動信号の非供給期間に
おける振動子電位を、直前に供給された駆動信号の終端
電位に維持するように構成してもよい。以下、このよう
に構成した第7実施形態について説明する。
【0173】図18に示すように、本実施形態のインク
ジェット式記録装置もまた、プリンタコントローラ1と
プリントエンジン2とから構成されている。ここで、上
記した実施形態と同じ部分には、同じ符号を付して示
す。なお、駆動信号発生回路10と制御部7は、本発明
における駆動信号発生手段を構成している。
【0174】本実施形態の記録ヘッド9は、図18及び
図19に示すように、シフトレジスタ50、ラッチ回路
51、レベルシフタ52、第1選択スイッチとしての第
1の選択スイッチ回路71、及び圧電振動子21を備え
ている。さらに、ラッチ回路51から反転回路72に対
し、ラッチされた印字データが供給される。この反転回
路72は、ラッチ回路51がラッチした印字データを反
転し、この反転信号をスイッチング信号として、第2選
択スイッチとしての第2の選択スイッチ回路73に供給
する。なお、反転回路72には、選択スイッチ回路73
を駆動可能な電圧まで反転信号を昇圧するレベルシフタ
が必要に応じて搭載されている。
【0175】この第2の選択スイッチ回路73の入力側
には、駆動信号発生回路10が発生した駆動信号COM
の終端電位(FV)が供給され、選択スイッチ回路73
の出力側には、圧電振動子21が接続されている。した
がって、この選択スイッチ回路73は、反転回路72か
らの反転信号により、例えば、第1の選択スイッチ回路
71に加わる印字データが“1”である期間中は、非接
続状態になって、圧電振動子21への終端電位(FV)
の供給を遮断する。一方、選択スイッチ回路71に加わ
る印字データが“0”である期間中において、選択スイ
ッチ回路73は、接続状態になって、直前に印加された
駆動信号の終端電位(FV)を圧電振動子21へ供給す
る。
【0176】これらの反転回路72および第2の選択ス
イッチ回路73は、前記した駆動信号発生回路10と共
に終端電位供給手段を構成しており、これにより、圧電
振動子21に対する波形要素の印加が絶たれた後に、当
該波形要素の終端電位に相当する電位を、圧電振動子2
1に供給するように作用する。換言すれば、前記選択ス
イッチ回路71および選択スイッチ回路73は、反転回
路72の作用により択一的にオン状態となるように作用
する。
【0177】この実施形態における印字データは、後述
するように“1010”,“0100”等の如く、各ノ
ズル毎に最上位のビット3から最下位のビット0までの
合計4ビットデータで構成されている。そして、印字デ
ータが“0”となった状態においては、それに対応する
選択スイッチ回路71A〜71Nが非接続(オフ)状態
となり、圧電振動子21A〜21Nへの波形要素の供給
は遮断される。ここで、各反転回路72A〜72Nに
は、各ラッチ回路51A〜51Nがラッチした印字デー
タが供給されているため、印字データが“0”となった
状態においては、各反転回路72A〜72Nからは制御
出力(つまり、反転信号)が発生する。この制御出力に
よって、対応する各選択スイッチ回路73A〜73Nが
オン状態となる。これにより、直前まで供給されていた
波形要素の終端電位(FV)が対応する圧電振動子21
A〜21Nに供給される。
【0178】これにより、印字データが“0”の期間に
亘って、それぞれの圧電振動子21A〜21Nには、選
択スイッチ回路73A〜73Nを介して、直前の波形要
素の終端電位(FV)が印加される。したがって、印字
データが“0”に対応する圧電振動子21の電位は、波
形要素が供給されていなくても終端電位(FV)で維持
される。
【0179】そして、この状態は次に印字データが
“1”となるまで継続される。したがって印字データが
“1”となった場合において、波形要素の始端電位と振
動子電位とを揃えることができる。これにより、圧電振
動子21に急激な変形を発生させるという問題が解消で
き、インク滴の誤吐出や、大電流に起因する圧電振動子
21の機能劣化及び破壊などの問題も回避できる。
【0180】次に、記録ヘッド9に供給される駆動信号
と、これにより吐出されるインク滴および階調表現方法
の一例について図20を参照しつつ説明する。この図2
0には、駆動信号及びこの駆動信号を構成する複数の波
形要素と、これらの各波形要素の印加タイミングによる
階調表現の制御方法が示されている。駆動信号発生回路
10より生成される駆動信号は、第1波形要素としての
第1パルス(P90〜P96)と、第2波形要素として
の第2パルス(P96〜P100)と、第3波形要素と
しての第3パルス(P100〜P106)と、第4波形
要素としての第4パルス(P106〜P110)から構
成されている。
【0181】ここで、第1パルスおよび第3パルスは同
一のパルス形状を有しており、例えば10pL程度のイ
ンク滴を吐出させるためのものである。第2パルスは、
第1パルスと第3パルスの間に位置しており、例えば2
pLの少量のインク滴を吐出させるためのものである。
第3パルスと第1パルスとの間に位置する第4パルス
は、ノズル開口部20付近のインクに微振動を与えてイ
ンク粘度の増加を防止させるためのものであり、したが
って、この第4パルスによってはインク滴は吐出されな
い。
【0182】図20に示す第1パルスは、その電圧値が
中間電位VMからスタートし(P90〜P91)、中間
電位VMから所定の電圧勾配θDMで、第1の最低電位
VLMまで下降し(P91〜P92)、最低電位VLM
を所定時間維持する(P92〜P93)。次に第1パル
スの電圧値は最低電位VLMから所定の電圧勾配θCM
をもって最高電位VHまで上昇する(P93〜P9
4)。
【0183】ここで、放電時の電圧勾配θDMと充電時
の電圧勾配θCMとを比較すると、充電時の電圧勾配θ
CMの方が大きくなるように設定されている。また、第
1パルスの電圧値が最低電位VLMから最高電位VPま
で上昇するのに要する時間は、圧電振動子21の固有振
動周期とほぼ同一に設定されている。なお、最低電位V
LMは圧電振動子21の分極反転を防止するために、基
準電位(0V)と同じか、あるいはプラス電位であるこ
とが好ましい。
【0184】そして、第1パルスは、最高電位VHを所
定時間保持した後(P94〜P95)、再び中間電位V
Mまで下降する(P95〜P96)。ここで、最低電位
VLMからの電圧上昇の開始から最高電位VHの維持終
了までの時間は、インクの固有周期(ヘルムホルツ周
期)とほぼ同一に設定されている。
【0185】続いて第2パルスの電圧値は、第1パルス
と同様に中間電位VMからスタートし(P96〜P9
7)、所定の電圧勾配θDSで、第2の最低電位VLS
まで下降する(P97〜P98)。この第2パルスの最
低電位VLSは、第1パルスの最低電位VLMよりもそ
の電位レベルは高く設定されている。そして、第2パル
スの電圧値は、最低電位VLSを所定時間だけ維持した
後(P98〜P99)に、所定の電圧勾配θCSをもっ
て中間電位VMまで上昇する(P99〜P100)。な
お、第2パルスでは放電時の電圧勾配θDSの方が、充
電時の電圧勾配θCSよりも大きくなるように設定され
ている。
【0186】第3パルスは、前記したとおり第1パルス
と同一波形であり、その説明は省略するが、第1パルス
と第3パルスとの間の時間周期は、印刷周期Tの半分と
なっている。すなわち、記録紙上に大ドットを形成すべ
く第1パルスおよび第3パルスを選択した場合に、中ド
ット相当のインク滴が時間的に等間隔で吐出されるよう
になっている。具体的には、例えば印刷周期を14.4
kHzとすると、中ドット相当のインク滴の吐出周期は
28.8kHzに設定される。また、第1パルスと第3
パルスとの間の時間は、記録ヘッド9の最大駆動周期に
設定されている。
【0187】第4パルスの電圧も、第1パルス、第2パ
ルス、及び第3パルスと同様に、中間電位VMからスタ
ートして(P106)、第3の最低電位VLNまで下降
する(P107〜P108)。そして、この最低電位V
LNを所定時間維持した後(P108〜P109)、中
間電位VMまで上昇する(P109〜P110)。ここ
で、第4パルスはインク滴を吐出しない程度の微振動を
与えるものであるから、第4パルスの最低電位VLN
は、第2パルスの最低電位VLSよりも中間電位VMに
近い電位レベルに設定されている。また、第4パルスに
よる放電時の電圧勾配と充電時の電圧勾配とはほぼ等し
くなるように設定されている。
【0188】次に前記した第1パルス(中ドット)、第
2パルス(小ドット)、第3パルス(中ドット)、第4
パルス(微振動)を、1つまたは複数選択して多階調表
現する方法を図19および図20を参照して説明する。
【0189】前記したように、各シフトレジスタ50A
〜50Nから、ラッチ回路51A〜51N等を経て選択
スイッチ回路71A〜71Nに加わる印字データのビッ
トが“1”の期間中には、駆動信号が圧電振動子21A
〜21Nに印加され、圧電振動子21A〜21Nは駆動
信号の波形に応じて伸縮する。一方、印字データのビッ
トが“0”の期間中は、圧電振動子21A〜21Nへの
駆動信号の供給が遮断される。
【0190】したがって、図20に示すように繰り返し
て発生する駆動信号の発生タイミングに合わせて、印字
データのビットを“1”または“0”に設定することに
よって、第1パルス〜第4パルスのうちのいずれか1つ
あるいは複数のパルスを選択することができる。例え
ば、ドットを形成しない無ドットの場合(階調値1)、
小ドットのみを形成する場合(階調値2)、1個の中ド
ットのみを形成する場合(階調値3)、2個の中ドット
で大ドットを形成する場合(階調値4)の4パターンで
記録紙上にドットを形成すれば、4段階のドット階調を
得ることができる。
【0191】なお、前記したような4階調の場合、図2
0に示すように、階調値1を“00”、階調値2を“0
1”、階調値3を“10”、階調値4を“11”のよう
に、各階調値を2ビットデータで表わすことができる。
【0192】インク滴を吐出しない無ドットの階調値1
の場合は、図20に○印で示したように微振動を発生さ
せるだけの第4パルスを圧電振動子21A〜21Nに供
給すればよい。したがって階調値1の場合は、選択スイ
ッチ回路71A〜71Nに対して、第1〜第3パルスの
発生期間中は“0”を印加する一方、第4パルスの発生
タイミングに同期させて“1”を印加すれば、第4パル
スのみを圧電振動子21A〜21Nに加えることができ
る。
【0193】すなわち、階調値1を示す2ビットのデー
タ“00”を4ビットのデータ“0001”に翻訳(デ
コード)することにより、インク滴を吐出しない第4パ
ルスのみを圧電振動子21A〜21Nに印加することが
でき、これにより無ドットの階調値1を実現することが
できる。
【0194】同様に、選択スイッチ回路71A〜71N
に対して第1パルス、第3パルスおよび第4パルスの発
生期間中に“0”を与え、同様に○印で示したように第
2パルスの発生タイミングに同期させて“1”を印加す
れば、第2パルスのみが圧電振動子21A〜21Nに供
給される。これも同様に階調値2を示す2ビットのデー
タ“01”を4ビットのデータ“0100”に翻訳する
ことにより、小ドットを形成する第2パルスのみを圧電
振動子21A〜21Nに印加することができ、これによ
り小ドットの階調値1を実現することができる。
【0195】同様に、階調値3を示す2ビットのデータ
“10”を4ビットのデータ“1000”に翻訳し、こ
れを選択スイッチ回路71A〜71Nに与えれば、第1
パルスのみが圧電振動子21A〜21Nに印加され、記
録紙に中ドットが1個形成されて階調値3が実現され
る。
【0196】さらに、階調値4を示す2ビットのデータ
“11”を4ビットのデータ“1010”に翻訳し、こ
れを選択スイッチ回路71A〜71Nに与えれば、中ド
ットを形成する第1パルスおよび第3パルスのみが圧電
振動子21A〜21Nに印加される。これにより、記録
紙上に中ドット相当のインク滴が続けて2回吐出され、
各インクが混じり合って紙面上には実質的に1つの大ド
ットを形成させる階調値4を実現することができる。
【0197】次に図21および図22は、前記したよう
に第1パルス(中ドット)、第2パルス(小ドット)、
第3パルス(中ドット)、第4パルス(微振動)を一ま
たは複数選択して多階調表現する場合において、同時に
なされる終端電位供給手段の作用を示したものである。
【0198】まず、図21(a)は一印刷周期Tにおい
て第1パルスと第3パルスとを吐出させて記録紙上に大
ドットを形成させる場合における、終端電位供給手段の
作用を示している。前記したように、この場合において
は、第1パルスの発生期間T1および第3パルスの発生
期間T3において、第1の選択スイッチ回路71A〜N
がオン状態とされる。この時、図19に示すように第2
の選択スイッチ回路73A〜73Nは、反転回路72A
〜72Nの作用によりオフ状態となされる。
【0199】そして、図21(a)に示すように第2パ
ルスの発生期間T2および第4パルスの発生期間T4に
おいては、各パルス信号は選択されない。すなわち、こ
の第2パルスの発生期間T2および第4パルスの発生期
間T4においては、印字データのビットは“0”であ
る。したがって、第1の選択スイッチ回路71A〜71
Nはオフ状態とされる一方、第2の選択スイッチ回路7
3A〜73Nは、反転回路72A〜72Nからのスイッ
チング信号によってオン状態になされる。これにより、
図19に示すように印加された波形要素の終端電位FV
が、選択スイッチ回路73A〜73Nを介して圧電振動
子21A〜21Nに印加される。なお、この実施の形態
においては、前記終端電位FVは中間電位VMに相当す
る。また、図21(a)において点線の想像線で示す電
位は、選択スイッチ回路73A〜73Nによる終端電位
FVの供給手段がない場合において、圧電振動子21の
自然放電によって降下する振動子電位の様子を示してい
る。
【0200】この実施形態において、第2の選択スイッ
チ回路73A〜73Nはアナログスイッチにより構成さ
れている。このアナログスイッチは、ラッチ回路51A
〜51Nにラッチされた印字データを反転回路72A〜
72Nで反転して得られたスイッチング信号によって駆
動される。このため、終端電位FV(中間電位VM)
は、第1パルスおよび第3パルスの供給が停止されてか
ら、時間t1を経過した後に供給される。なお、この時
間遅れt1は、1μsec以内である。
【0201】一般に、ピエゾ素子による圧電振動子21
を用いたこの種の記録ヘッド9において、その構造体と
インク流体とを合わせた振動系の固有振動周期Tcは、
6〜10μsecであり、駆動信号の印刷周期Tは固有
振動周期Tcの10倍程度に設定されている。このた
め、第3パルスの供給停止後から5〜20μsecの範
囲内に、第2の選択スイッチ回路73A〜73Nをオン
にすれば、実用上において有効に機能する。
【0202】このような構成によって、第1パルスおよ
び第3パルスの供給停止から時間t1の経過後に、終端
電位FVが圧電振動子21A〜21Nに供給される。こ
のため、波形要素が供給されていない非供給期間におい
ても、振動子電位は終端電位FVで維持される。したが
って、次の波形要素の供給開始時点における圧電振動子
21の電位変化を、無くすかごく僅かの範囲に納めるこ
とができる。これにより記録ヘッド9からのインク滴の
誤吐出や圧電振動子21の劣化または破壊を効果的に防
止することができる。
【0203】次に、図21(b)は、一印刷周期Tにお
いて第1パルスを1回吐出させることで、記録紙上に中
ドットを形成させる場合における終端電位供給手段の作
用を示している。この場合、第1パルスの発生期間T1
において、第1の選択スイッチ回路71A〜71Nがオ
ン状態とされる。この時、図19に示すように、第2の
選択スイッチ回路73A〜73Nは、反転回路72A〜
72Nの作用によりオフ状態とされる。
【0204】また、第2パルス、第3パルスおよび第4
パルスの発生期間T2,T3,T4においては、各パル
ス信号は選択されない。すなわち、第2パルス、第3パ
ルスおよび第4パルスの発生期間においては、印字デー
タのビットは“0”である。したがって、第1の選択ス
イッチ回路71A〜71Nはオフ状態とされる一方、第
2の選択スイッチ回路73A〜73Nは、反転回路72
A〜72Nからのスイッチング信号によってオン状態と
なる。したがって、図21(b)に示すように、第1パ
ルスの供給停止から時間t1の経過後に、終端電位FV
が選択スイッチ回路73A〜73Nを介して圧電振動子
21A〜21Nに印加される。
【0205】これにより、波形要素の非供給期間におい
て圧電振動子21の電位は、終端電位FV(中間電位V
M)に維持される。したがって、次の波形要素の供給開
始時点における振動子電位の変化を無くすか、ごく僅か
の範囲に納めることができる。なお、図21(b)にお
いて、点線の想像線で示す電位は、同様に選択スイッチ
回路73A〜73Nによる終端電位FVの供給手段がな
い場合において、圧電振動子21の自然放電によって降
下する振動子電位の様子を示している。
【0206】図22(a)は、一印刷周期Tにおいて、
記録紙上に小ドットを形成させる場合における終端電位
供給手段の作用を示している。この場合、第2パルスの
発生期間T2において、第1の選択スイッチ回路71A
〜71Nがオン状態とされる。この時、第2の選択スイ
ッチ回路73A〜73Nは、反転回路72A〜72Nか
らのスイッチング信号によりオフ状態とされる。
【0207】また、第1パルス、第3パルスおよび第4
パルスの発生期間T1,T3,T4においては、各パル
ス信号は選択されない。即ち、第1パルス、第3パルス
および第4パルスの発生期間においては、選択スイッチ
回路73A〜73Nは、反転回路72A〜72Nからの
スイッチング信号によってオン状態になる。したがっ
て、第2パルスの供給終了から時間t1の経過後に、終
端電位FVが選択スイッチ回路73A〜73Nを介して
圧電振動子21A〜21Nに印加される。
【0208】これにより、波形要素の非供給期間におい
て圧電振動子21の電位は、終端電位FVに維持され
る。したがって、次に駆動信号が供給された場合におけ
る振動子電位の変化を、無くすかごく僅かの範囲に納め
ることができる。なお、図22(a)において、点線に
よる想像線で示す電位は、同様に選択スイッチ回路73
A〜73Nによる終端電位FVの供給手段がない場合に
おいて、圧電振動子21の自然放電によって降下する振
動子電位の様子を示している。
【0209】さらに、図22(b)は、一印刷周期Tに
おいて第4パルスのみを供給して、記録ヘッド9のノズ
ル開口部20付近のインクに微振動を与えた後に、終端
電位FVを供給する場合の作用を示している。この場
合、第4パルスの発生期間T4において、第1の選択ス
イッチ回路71A〜71Nがオン状態とされる。この
時、第2の選択スイッチ回路73A〜73Nは、反転回
路72A〜72Nからのスイッチング信号によりオフ状
態となる。
【0210】また、第1パルス、第2パルスおよび第3
パルスの発生期間T1,T2,T3においては、各パル
ス信号は選択されない。即ち、第1パルス、第2パルス
および第3パルスの発生期間においては、選択スイッチ
回路73A〜73Nは、反転回路72A〜72Nからの
スイッチング信号によってオン状態になされる。したが
って、前印刷周期における第4パルスの供給停止から時
間t1の経過後に、終端電位FV(中間電位VM)が圧
電振動子21に供給される。
【0211】これにより、波形要素の非供給期間におい
て圧電振動子21の電位は、終端電位FVに維持され
る。したがって、次に駆動信号が供給された場合におけ
る圧電振動子21における振動子電位の変化を無くす
か、ごく僅かの範囲に納めることができる。なお、図2
2(b)において、点線の想像線で示す電位は、終端電
位FVの供給手段がない場合において、圧電振動子21
の自然放電によって降下する振動子電位の様子を示して
いる。
【0212】次に、図23は、第8実施形態を示したも
のである。この第8実施形態は、FVとして示す終端電
位供給源と、選択スイッチ回路73との間にそれぞれ電
流制限手段を介在させたものであり、他の構成は第7実
施形態と同様に構成されている。したがって、この図2
3において、第7実施形態(図19)と同じ部分は同一
符号で示している。
【0213】前記電流制限手段としては、FVとして示
す終端電位供給源と各選択スイッチ回路73A〜73N
との間に、それぞれ直列に接続された抵抗素子RA〜R
Nが用いられている。
【0214】ここで、図24は、電流制限手段としての
抵抗素子RA〜RNを用いた場合の作用を示したもので
ある。この図24において、点線の想像線で示す電位
は、圧電振動子21の自然放電によって降下する振動子
電位の様子を示しており、波形要素の供給停止後からt
1が経過した場合においては、点線で示す振動子電位
は、少なからずともグランドレベル側に低下し始めてい
る。そこで、本実施形態では、上記の如く抵抗素子RA
〜RNを配設したので、各抵抗素子RA〜RNと圧電振
動子21A〜21Nのコンデンサ成分との時定数(タイ
ムコンスタント)によって、振動子電位は、t1経過直
後における電位から電位FV(中間電位VM)へ比較的
緩やかに復帰する。即ち、振動子電位は、t1の経過直
後における電位から、θTCで示す電圧勾配をもって電
位FVに復帰する。これにより、急激な電位変動を抑制
することができる。なお、この時定数を規定する抵抗素
子RA〜RNの値は、θTCとして示す電圧勾配がイン
ク滴の誤吐出の要因とならない程度に選定される。
【0215】ところで、以上説明した実施形態において
は、第1パルスから第4パルスによって構成される記録
ヘッド9の駆動信号は、図20に示したようにそれぞれ
中間電位VMから出発して中間電位VMで終わる形態に
なされている。しかしながら、前記した大、中、小の各
ドットを選択的に生成し、さらに微振動パルスを与える
ことができるようにした一連の駆動信号においては、前
記した中間電位VM以外の電位から出発して中間電位V
M以外の電位で終わる波形要素を備える場合もある。
【0216】図25はその一例を示したものである。こ
の図25は、大ドット駆動パルス、中ドット駆動パル
ス、小ドット駆動パルス、および微振動パルスが生成可
能な駆動信号を示している。
【0217】この図25に示した駆動信号では、微振動
パルスを構成する波形要素が3つに分割されて、期間T
1、期間T4および期間T5に配置されている。また、
小ドット駆動パルスを構成する要素は2つに分割されて
期間T2および期間T6に配置されている。また、中ド
ット駆動パルスを構成する波形要素は、分割されずに期
間T3に配置されている。さらに大ドット駆動パルスを
構成する波形要素は2つに分割されて期間T4および期
間T7に配置されている。なお、期間T4の波形要素は
大ドット駆動パルスと、微振動パルスとに共通に使用さ
れている。また、期間T2と期間T3の間の期間TS1
には、第1接続要素が配置されている。同様に、期間T
5と期間T6の間の期間TS2には、第2接続要素が配
置され、期間T3と期間T4の間の期間TS3には、第
3接続要素が配置されている。
【0218】以上の一連の駆動信号を利用して、波形要
素供給手段は、印字データに基づいて、期間T4の第4
波形要素、および期間T7の第7波形要素を駆動信号か
ら選択することにより、大ドット駆動パルスを生成す
る。また、波形要素供給手段は、期間T3の第3波形要
素を駆動信号から選択することにより、中ドット駆動パ
ルスを生成する。さらに、波形要素供給手段は、期間T
2の第2波形要素、および期間T6の第6波形要素を駆
動信号から選択して連結することにより、小ドット駆動
パルスを生成する。さらにまた、波形要素供給手段は、
期間T1の第1波形要素、期間T4の第4波形要素、お
よび期間T5の第5波形要素を駆動信号から選択して連
結することにより、微振動パルスを生成する。
【0219】この場合、大ドット駆動パルスを生成する
場合について着目すると、期間T4の第4波形要素は、
中間電位VMよりも若干低い第2中間電位VMLの終端
電位を有し、また、期間T7の第7波形要素はVMLの
始端電位を有している。さらに、期間T7の第7波形要
素は中間電位VMの終端電位を有し、また、期間T4の
第4波形要素はVMの始端電位を有している。同様に、
前記した小ドット駆動パルスを生成する場合について着
目すると、期間T2の第2波形要素は、最高電位VHの
終端電位を有し、同様に、期間T6の第6波形要素はV
Hの始端電位を有している。さらに、期間T6の第6波
形要素は中間電位であるVMの終端電位を有し、同様
に、期間T2の第2波形要素はVMの始端電位を有して
いる。
【0220】この例では、各駆動パルスの終端電位とし
て、前記したように中間電位VM、第2中間電位VM
L、および最高電位VHが発生する。したがって、この
駆動信号を利用する場合においては、中間電位VM、第
2中間電位VML、及び最高電位VHからなる複数種類
の電位を生成可能な終端電位供給手段を構成する必要が
ある。
【0221】図26は、電位レベルが異なる複数種類の
終端電位を生成可能な終端電位供給手段を備え、これら
の終端電位を適宜選択して終端電位供給ラインに出力可
能に構成した第9実施形態を説明する図である。なお、
図26に示す構成は、実質的に制御部7および駆動信号
発生回路10によって形成される。
【0222】図26に示すように、本実施形態では、F
V1〜FV3として示す例えば3つのレベルの終端電位
が駆動信号発生回路10において生成される。ここで、
これらFV1〜FV3に出力される電位レベルは、前記
した中間電位VM、第2中間電位VML、および最高電
位VHの電位レベルに相当する。これらの各レベルの終
端電位は、それぞれアナログスイッチS1〜S3を介し
て、そのいずれかが終端電位供給ラインに出力される。
この場合、スイッチS1〜S3は、制御部7からの指令
によって択一的にオンされるように構成されている。制
御部7は、それぞれの駆動信号の供給停止のタイミング
にしたがって、その時の終端電位に対応するFV1(V
M),FV2(VML),FV3(VH)として示すい
ずれかの終端電位を、終端電位供給ラインFVに出力さ
せる。これにより、波形要素の供給が停止された後にお
いても圧電振動子21には、選択スイッチ回路73A〜
73Nを介して対応するFV1,FV2,FV3が供給
される。その結果、異なる電位レベルであっても、振動
子電位の降下を防止することができる。
【0223】また、図27は同じく複数のレベルの終端
電位FV(すなわち前記したVM、VML、VHのいず
れか)を適宜選択して圧電振動子21に加えるようにし
た第10実施形態を示している。
【0224】この実施形態においては、プリンタコント
ローラ1のインターフェース11から、記録ヘッド9に
具備されたマルチプレクサ75に対し、スイッチ制御信
号が送出されるように構成されている。そして、マルチ
プレクサ75は、いずれかのアナログスイッチS11〜
S14が択一的にオンされるように各スイッチS11〜
S14に対してスイッチング信号を出力する。そして、
第1スイッチS11には、図25に示したような駆動信
号が供給される。この第1スイッチS11は、マルチプ
レクサからのスイッチング信号によって、間欠的にオン
する。これにより、一連の駆動信号より各波形要素が選
択され、圧電振動子21に印加される。その結果、大ド
ット、中ドット、小ドット、ならびに微振動を行わせる
各駆動信号が選択的に圧電振動子21に印加され、記録
ヘッド9により多階調の記録動作がなされる。このよう
に、第1スイッチS11は、図19や図23に示す選択
スイッチ回路71A〜71Nと同等の機能を果たす。
【0225】また、第2スイッチS12、第3スイッチ
S13、第4スイッチS14には、インターフェースに
おける出力端子FV1,FV2,FV3より、異なった
3つのレベルの終端電位が供給されている。これらFV
1,FV2,FV3には、この実施の形態においては、
それぞれ前記した中間電位VM、第2中間電位VML、
および最高電位VHに相当する電位レベルが供給されて
いる。
【0226】そして、第1スイッチS11がオフされた
時における終端電位、すなわち記録ヘッド9の駆動信号
が停止された時点における終端電位と同一のレベルを有
する電圧値(VM,VML,VHのいずれか)が、第2
スイッチS12〜第4スイッチS14のいずれかのオン
動作によって選択されて、圧電振動子21に加えられ、
次のヘッド駆動信号の印加時まで保持される。
【0227】このような動作により、波形要素の非供給
期間においては、終端電位FV1(VM),FV2(V
ML),FV3(VH)のいずれかが選択的に圧電振動
子21に印加される。したがって、次の波形要素が供給
された時点における振動子電位の変化を無くすか、ごく
僅かの範囲に納めることができる。これにより記録ヘッ
ド9からのインク滴の誤吐出や圧電振動子21の劣化ま
たは破壊を効果的に防止することができる。
【0228】なお、本発明は上記各実施形態に限定され
るものではなく種々の変形が可能である。例えば、第1
〜第3実施形態におけるT2bの波形要素、つまり、第
2波形要素の後半部分を一印刷周期の前部に配置しても
よい。同様に、第4〜第6実施形態における電位補償要
素を一印刷周期の前部に配置してもよい。要するに、こ
れらの波形要素は、一印刷周期のどこに配置されていて
もよい。そして、これらの波形要素を一印刷周期の前部
に配置した場合には、対象となる印刷周期の供給開始前
に振動子電位が低下していたとしても、低下した振動子
電位を所定電位に復帰させることができ、急激な振動子
電位の変化に起因するインク滴の誤吐出等の不具合を防
止できる。
【0229】
【発明の効果】以上説明したように本発明は以下の効果
を奏する。即ち、波形要素供給手段によって選択される
先の波形要素の終端電位と後の波形要素の始端電位の電
位差を補償する電位差補償手段を備えたので、電位差補
償手段により、先の波形要素の終端電位と後の波形要素
の始端電位とを揃えることができる。これにより、後の
波形要素を供給した時点における圧電振動子の電位の急
激な上昇を緩和することができる。従って、振動子電位
の急激な上昇に伴う不具合、例えば、インク滴の誤吐出
や圧電振動子の破壊を防止することができる。その結
果、装置の信頼性を高めることができる。
【0230】また、電位差補償手段を、駆動信号を供給
するための駆動信号線と圧電振動子との間に接続され、
圧電振動子への波形要素の供給を制御するための第1供
給スイッチと、駆動信号線と圧電振動子との間に第1供
給スイッチと並列に接続されると共に、互いに直列に接
続された第2供給スイッチおよび整流回路と、第1供給
スイッチに第1のスイッチング信号を供給する第1のス
イッチ制御回路と、第2供給スイッチに第2のスイッチ
ング信号を供給する第2のスイッチ制御回路とを備えて
構成し、整流回路を、駆動信号線から圧電振動子への電
流の方向が順方向となるように接続した場合には、振動
子電位が低下した状態で第2供給スイッチをオンしてお
くことにより、波形要素の電位レベルが圧電振動子の電
位レベルよりも高くなったときにのみ第2供給スイッチ
と整流回路とを通じて圧電振動子に電流が流れる。この
結果、振動子電位の急激な上昇を緩和することができ
る。
【0231】また、電位差補償手段を、波形要素供給手
段によって選択される後の波形要素の始端電位を、圧電
振動子の電位降下に対応させて、選択される先の波形要
素の終端電位よりも低く設定する始端電位設定手段によ
り構成した場合には、先の波形要素の供給終了時点から
後の波形要素の供給開始時点までの駆動信号の非供給期
間で振動子電位が降下しても振動子電位と波形要素の始
端電位との電位差を極く少なくすることができる。この
ため、後の波形要素の供給開始直後における振動子電位
の急激な上昇を防止することができる。
【0232】また、圧電振動子に印加された波形要素の
終端電位を、波形要素の印加終了後において維持する終
端電位供給手段を備えた場合には、波形要素の非供給期
間において生じる自然放電による振動子電位の低下を抑
制させることができる。したがって、次の駆動信号の供
給開始直後における振動子電位の急激な変動を防止する
ことができ、振動子電位の急激な変動に伴う不具合、例
えばインク滴の誤吐出や圧電振動子の劣化または破壊を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるインクジェット式記録装
置の全体構成を説明するブロック図である。
【図2】記録ヘッドの機械的構造を示す説明図である。
【図3】第1実施形態における記録ヘッドの電気的構成
を説明するブロック図である。
【図4】第1実施形態における記録ヘッドの駆動装置を
説明するブロック図である。
【図5】第1実施形態における第1供給スイッチおよび
第2供給スイッチのオンオフ制御を説明する図であり、
(a)は吐出時を、(b)は非吐出時をそれぞれ示す。
【図6】第1実施形態における駆動信号と振動子電位を
説明する図であり、(a)は駆動信号を、(b)は吐出
時の振動子電位を、(c)は非吐出時の振動子電位をそ
れぞれ示す。
【図7】第2実施形態における第1供給スイッチおよび
第2供給スイッチのオンオフ制御を説明する図であり、
(a)は吐出時を、(b)は非吐出時をそれぞれ示す。
【図8】第2実施形態における駆動信号と振動子電位を
説明する図であり、(a)は駆動信号を、(b)は吐出
時の振動子電位を、(c)は非吐出時の振動子電位をそ
れぞれ示す。
【図9】第3実施形態における第1供給スイッチおよび
第2供給スイッチのオンオフ制御を説明する図であり、
(a)は大インク滴の吐出時を、(b)は中インク滴の
吐出時を、(c)は非吐出時をそれぞれ示す。
【図10】第3実施形態における駆動信号と振動子電位
を説明する図であり、(a)は駆動信号を、(b)は大
インク滴吐出時の振動子電位をそれぞれ示す。
【図11】第3実施形態における駆動信号と振動子電位
を説明する図であり、(a)は駆動信号を、(b)は中
インク滴吐出時の振動子電位をそれぞれ示す。
【図12】第3実施形態における駆動信号と振動子電位
を説明する図であり、(a)は駆動信号を、(b)は非
吐出時の振動子電位をそれぞれ示す。
【図13】第4実施形態におけるインクジェット式記録
装置の全体構成を説明するブロック図である。
【図14】第4実施形態における記録ヘッドの電気的構
成を説明するブロック図である。
【図15】第4実施形態における駆動信号等を示す図で
ある。
【図16】第5実施形態における駆動信号等を示す図で
ある。
【図17】第6実施形態における駆動信号等を示す図で
ある。
【図18】第7実施形態におけるインクジェット式記録
装置の全体構成を説明するブロック図である。
【図19】第7実施形態における記録ヘッドの電気的構
成を説明するブロック図である。
【図20】第7実施形態における駆動信号と、階調表現
の制御方法を説明する図である。
【図21】第7実施形態における終端電位供給手段の作
用を説明する図であり、(a)は大ドット形成時におけ
る作用を、(b)は中ドット形成時における作用をそれ
ぞれ示す。
【図22】第7実施形態における終端電位供給手段の作
用を説明する図であり、(a)は小ドット形成時におけ
る作用を、(b)はインク撹拌時における作用をそれぞ
れ示す。
【図23】第8実施形態における記録ヘッドの電気的構
成を説明するブロック図である。
【図24】第8実施形態における抵抗素子の作用を説明
する図である。
【図25】大ドット駆動パルス、中ドット駆動パルス、
小ドット駆動パルス、および微振動パルスが生成可能な
駆動信号の一例である。
【図26】第9実施形態を説明する図である。
【図27】第10実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
1 プリンタコントローラ 2 プリントエンジン 3 ホストコンピュータ 4 インターフェース 5 RAM 6 ROM 7 制御部 8 発振回路 9 記録ヘッド 10 駆動信号発生回路 11 インターフェース 14 キャリッジ機構 15 紙送り機構 20 ノズル開口部 21 圧電振動子 22 圧力室 23 アクチュエータユニット 24 流路ユニット 25 圧力室形成基板 26 蓋部材 27 振動板 28 第1インク流路 29 第2インク流路 31 インク室形成基板 32 ノズルプレート 33 供給口形成板 34 共通インク室 35 ノズル連通口 36 インク供給口 37 連通口 40 圧電体層 41 下部電極 42 上部電極 43 接続端子 44 フレキシブル回路基板 50 シフトレジスタ 51 ラッチ回路 52 レベルシフタ 53 第1供給スイッチ 54 第2供給スイッチ 55 ダイオード 56 第1の制御回路 57 第2の制御回路 58 駆動信号線 60 A/D変換回路 62 スイッチ回路 63 湿度センサ 64 温度センサ 71 第1の選択スイッチ回路 72 反転回路 73 第2の選択スイッチ回路 75 マルチプレクサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願2000−120468(P2000−120468) (32)優先日 平成12年4月21日(2000.4.21) (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口部に連通した圧力室を膨張お
    よび収縮させる圧電振動子を備える記録ヘッドと、複数
    の波形要素から構成された一連の駆動信号を発生する駆
    動信号発生手段と、必要な波形要素を選択して圧電振動
    子に供給する波形要素供給手段とを備えたインクジェッ
    ト式記録装置において、 前記波形要素供給手段によって選択される先の波形要素
    の終端電位と後の波形要素の始端電位の電位差を補償す
    る電位差補償手段を備えたことを特徴とするインクジェ
    ット式記録装置。
  2. 【請求項2】 前記電位差補償手段は、駆動信号を供給
    するための駆動信号線と圧電振動子との間に接続され、
    圧電振動子への波形要素の供給を制御するための第1供
    給スイッチと、駆動信号線と圧電振動子との間に第1供
    給スイッチと並列に接続されると共に、互いに直列に接
    続された第2供給スイッチおよび整流回路と、第1供給
    スイッチに第1のスイッチング信号を供給する第1のス
    イッチ制御回路と、第2供給スイッチに第2のスイッチ
    ング信号を供給する第2のスイッチ制御回路とを備えて
    構成され、 前記整流回路は、駆動信号線から圧電振動子への電流の
    方向が順方向となるように接続されていることを特徴と
    する請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動信号発生手段が発生する駆動信
    号は、圧電振動子を変形させるための第1の波形要素
    と、低電位側に凸である部分を有する第2の波形要素と
    を含み、 第1のスイッチ制御回路は、第1の波形要素の発生期間
    中の少なくとも一部の期間で、第1供給スイッチを制御
    する第1のスイッチング信号を生成し、 第2のスイッチ制御回路は、第2の波形要素が発生され
    ている期間中における一定のタイミングで、第2供給ス
    イッチをオンに切換える第2のスイッチング信号を生成
    することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット
    式記録装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の波形要素における最低電位レ
    ベルを、第2供給スイッチのオン時点での圧電振動子の
    電位よりも低いレベルに設定したことを特徴とする請求
    項3に記載のインクジェット式記録装置。
  5. 【請求項5】 前記第2のスイッチ制御回路は、第2の
    波形要素の発生期間であって該波形要素の電位レベルが
    上昇している期間内に、第2供給スイッチをオンに切り
    換えるための第2のスイッチング信号を生成することを
    特徴とする請求項3又は請求項4に記載のインクジェッ
    ト式記録装置。
  6. 【請求項6】 前記波形要素供給手段によって選択され
    る後の波形要素の始端電位を、圧電振動子の電位降下に
    対応させて、選択される先の波形要素の終端電位よりも
    低く設定する始端電位設定手段により、前記電位差補償
    手段を構成したことを特徴とする請求項1に記載のイン
    クジェット式記録装置。
  7. 【請求項7】 後の波形要素に、始端電位から先の波形
    要素の終端電位まで電位を復帰させる電位補償要素を含
    ませたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェッ
    ト式記録装置。
  8. 【請求項8】 前記波形要素供給手段は、全ての圧電振
    動子に電位補償要素を一括して供給する補償要素一括供
    給手段を有することを特徴とする請求項7に記載のイン
    クジェット式記録装置。
  9. 【請求項9】 前記波形要素供給手段は、所定の圧電振
    動子に対して電位補償要素を選択的に供給する補償要素
    選択供給手段を有することを特徴とする請求項7又は請
    求項8に記載のインクジェット式記録装置。
  10. 【請求項10】 前記始端電位設定手段は、後の波形要
    素の始端電位を調整可能な始端電位調整手段を有するこ
    とを特徴とする請求項6から請求項9の何れかに記載の
    インクジェット式記録装置。
  11. 【請求項11】 前記記録ヘッド周辺における温度情報
    や湿度情報等の環境情報を取得する環境情報取得手段を
    設け、 前記始端電位調整手段は、検出された環境情報に基づい
    て後の波形要素の始端電位を設定することを特徴とする
    請求項10に記載のインクジェット式記録装置。
  12. 【請求項12】 前記始端電位調整手段は、先の波形要
    素の終端電位が高いほど先の波形要素の終端電位から後
    の波形要素の始端電位までの電位差が大きくなるよう
    に、後の波形要素の始端電位を設定することを特徴とす
    る請求項10又は請求項11に記載のインクジェット式
    記録装置。
  13. 【請求項13】 前記始端電位調整手段は、先の波形要
    素の終端から後の波形要素の始端までの時間が長いほど
    先の波形要素の終端電位から後の波形要素の始端電位ま
    での電位差が大きくなるように、後の波形要素の始端電
    位を設定することを特徴とする請求項10又は請求項1
    1に記載のインクジェット式記録装置。
  14. 【請求項14】 前記圧電振動子の電位を検出する振動
    子電位検出手段を設け、 始端電位調整手段は、検出された振動子電位に基づいて
    後の波形要素の始端電位を設定することを特徴とする請
    求項10に記載のインクジェット式記録装置。
  15. 【請求項15】 ノズル開口部に連通した圧力室を膨張
    および収縮させる圧電振動子を備えた記録へッドと、複
    数の波形要素から構成された一連の駆動信号を発生する
    駆動信号発生手段と、必要な波形要素を選択して圧電振
    動子に供給する波形要素供給手段とを備えたインクジェ
    ット式記録装置において、 前記波形要素の非供給期間における圧電振動子の電位
    を、直前に供給された波形要素の終端電位に維持する終
    端電位供給手段を備えたことを特徴とするインクジェッ
    ト式記録装置。
  16. 【請求項16】 前記終端電位供給手段は、波形要素供
    給手段による圧電振動子への波形要素の印加が絶たれた
    後に、波形要素の終端電位に相当する電位を圧電振動子
    に供給することを特徴とする請求項15に記載のインク
    ジェット式記録装置。
  17. 【請求項17】 前記波形要素供給手段は、駆動信号中
    の波形要素を選択的に圧電振動子に印加する第1選択ス
    イッチを備え、終端電位供給手段は、終端電位供給源よ
    り得られる波形要素の終端電位に相当する電位を選択的
    に圧電振動子に印加するための第2選択スイッチを備
    え、 第1選択スイッチおよび第2選択スイッチが択一的にオ
    ン状態となるように構成されていることを特徴とする請
    求項15または請求項16に記載のインクジェット式記
    録装置。
  18. 【請求項18】 前記第1選択スイッチはプリンタコン
    トローラによって制御されるラッチ信号によって開閉制
    御され、第2選択スイッチはラッチ信号の反転信号によ
    ってオンオフ制御されるように構成されてなる請求項1
    7に記載のインクジェット式記録装置。
  19. 【請求項19】 前記第2選択スイッチは、第1選択ス
    イッチがオフ状態に切り替わったタイミングから所定時
    間経過後にオンされることを特徴とする請求項17また
    は請求項18に記載のインクジェット式記録装置。
  20. 【請求項20】 前記所定時間を、5μsecから20
    μsecの範囲内に設定したことを特徴とする請求項1
    9に記載のインクジェット式記録装置。
  21. 【請求項21】 前記終端電位供給源と第2選択スイッ
    チとの間に電流制限手段を介在させたことを特長とする
    請求項17から請求項20の何れかに記載のインクジェ
    ット式記録装置。
  22. 【請求項22】 前記電流制限手段を、終端電位供給源
    と第2選択スイッチとの間に直列接続した抵抗素子によ
    り構成したことを特徴とする請求項21に記載のインク
    ジェット式記録装置。
  23. 【請求項23】 前記波形要素供給手段は、駆動信号中
    の波形要素を選択的に圧電振動子に印加する第1選択ス
    イッチを備え、 終端電位供給手段は、終端電位供給源より得られる波形
    要素の終端電位に相当する異なったレベルの電位を選択
    的に圧電振動子に印加する第2選択スイッチを備え、 第2選択スイッチは、第1選択スイッチによって圧電振
    動子に印加した波形要素の終端電位に相当するレベルの
    電位を、択一的に選択して圧電振動子に印加するように
    構成されていることを特徴とする請求項15または請求
    項16に記載のインクジェット式記録装置。
  24. 【請求項24】 前記圧電振動子が、ピエゾ素子により
    構成されている請求項1から請求項23の何れかに記載
    のインクジェット式記録装置。
  25. 【請求項25】 前記圧電振動子は、圧電体層とこの圧
    電体層を挟むように配設された電極とを備え、 前記圧電体層の厚さが、1μmから20μmの範囲内で
    あることを特徴とする請求項1から請求項24の何れか
    に記載のインクジェット式記録装置。
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