JP3965845B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力室内の圧力変動によりノズル開口からインク滴を吐出させて画像等を記録するインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式プリンタやプロッタ等のインクジェット式記録装置では、記録ヘッドを主走査方向に沿って移動させ、記録紙等の印刷記録媒体を副走査方向に沿って移動させ、これらの移動に連動して記録ヘッドからインク滴を吐出させることで記録紙上に画像や文字を記録する。このインクジェット式記録装置に用いられる記録ヘッドは、インク滴を吐出させる複数のノズル開口と、各ノズル開口毎に設けられた複数の圧力室と、各圧力室に対応して形成されて圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧力発生素子とを備えている。そして、圧力発生素子に駆動パルスを印加すると、対応する圧力室内に圧力変動が生じてノズル開口からインク滴が吐出される。
【0003】
このインクジェット式記録装置には、画像の高画質化と記録速度の向上とを両立させるため、異なる大きさのドットを形成し得るインク滴を同一のノズル開口から吐出させるようにしたものがある。この記録装置では、例えば、1ドットを形成するための時間として設定された一印刷周期内に、インク滴を吐出させるための駆動パルスを複数一連に含ませて駆動信号を構成し、駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給することで記録紙上に異なる大きさのドットを記録する。
【0004】
また、上記の記録ヘッドは、ノズル開口でインクが空気に曝されているので、時間の経過に伴ってインク溶媒(例えば、水)が徐々に蒸発する。そして、インクの粘度が過度に上昇すると、吐出されたインク滴が正規の方向からずれた方向に飛翔してしまう。このため、インクジェット式記録装置では、インク滴が吐出しない程度にメニスカス(ノズル開口にて露出したインクの自由表面)を微振動させることでノズル開口付近のインクを攪拌し、インクの増粘を防止している。このようなインクの攪拌は記録動作に連動してなされ、1行の記録期間中においても印字内微振動として行われる。例えば、一印刷周期内に、メニスカスの微振動を生じさせる波形形状に設定された微振動パルスと上記の駆動パルスとを一連に含ませて駆動信号を構成し、インク滴を吐出しないノズル開口の圧力発生素子には微振動パルスを供給する。
【0005】
上記の駆動パルスや微振動パルスの選択は、例えば、印字データに基づいてなされる。すなわち、駆動信号を複数のパルス信号から構成し、印字データに基づいて必要なパルス信号を選択的に圧力発生素子に供給する。
このため、圧力発生素子の作動制御に先立って当該ドットの階調データをラッチ回路にラッチさせている。
【0006】
さらにまた、圧力発生素子として圧電振動子を用いた記録ヘッドでは、この圧電振動子に対して長時間に亘って駆動信号が供給されなかった場合、圧電振動子の電荷が放電により減少し、圧電振動子の電位レベルが下がってしまう。このため、一印刷周期の初期で充電指令信号を記録ヘッドに供給して圧電振動子を充電し、圧電振動子の電位レベルの過剰な低下を防止するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のインクジェット式記録装置では、記録速度の一層の向上が求められており、1ドットを記録するために設定された一印刷周期を短くする試みがなされている。
【0008】
この場合、一印刷周期の全域に亘って上記の駆動パルスや微振動パルスを配置することにより周期を短くすることができるが、駆動パルスや微振動パルスを全域に亘って配置してしまうと、上記の充電指令信号や記録するドットのラッチ信号といった準備信号、つまり、圧電振動子の作動制御に先立って記録ヘッドに供給される信号の供給時間を確保することが困難となってしまう。
【0009】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたものであり、駆動信号の周期を短くでき、記録速度の一層の高速化が図れるインクジェット式記録装置提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、複数のノズル開口の各々に対応して設けられた圧力発生素子及びノズル開口に連通する圧力室とを備えた記録ヘッドと、インク滴を吐出させるべく圧力発生素子を作動させる駆動パルス及びインク滴を吐出させない程度に圧力発生素子を作動させる微振動パルスを含んだ一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを有し、駆動パルスを圧力発生素子に印加することで圧力室に圧力変動を生じさせ、この圧力変動によりノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録装置において、印刷周期内における作動制御であって、インク滴を吐出させるべく圧力発生素子を作動させるための作動制御に先立って準備信号を記録ヘッドに供給する準備信号供給手段を設け、前記微振動パルスを、圧力室を定常状態から微振動状態に変化させる微振動変化要素と、微振動変化要素に続いて印加されて圧力室の微振動状態を維持させる微振動ホールド要素と、微振動ホールド要素に続いて印加されて圧力室を微振動状態から定常状態に復帰させる微振動復帰要素とを含ませて構成し、前記駆動信号発生手段は、微振動ホールド要素の少なくとも一部を印刷周期の初期に配置した駆動信号を発生し、前記準備信号供給手段は、印刷周期初期における微振動ホールド要素の発生期間中に前記準備信号を記録ヘッドに供給することを特徴とするインクジェット式記録装置であって、前記微振動パルスを微振動ホールド要素の途中で前後に二分割し、駆動信号発生手段は、微振動変化要素と微振動ホールド要素の前側部分とを含む第1微振動波形を一印刷周期における最後に配置すると共に、微振動ホールド要素の後側部分と微振動復帰要素とを含む第2微振動波形を一印刷周期における最初に配置した駆動信号を発生し、先の印刷周期における第1微振動波形と後の印刷周期における第2微振動波形を連続して圧力発生素子に印加することにより、圧力発生素子に微振動パルスを印加するように構成し、前記準備信号を、ドット毎の階調データを取得させるためのパルス信号であるラッチ信号としたことを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、代表的なインクジェット式記録装置であるインクジェット式プリンタの機能ブロック図である。
【0018】
例示したインクジェット式プリンタは、プリンタコントローラ1とプリントエンジン2とから構成されている。
【0019】
プリンタコントローラ1は、図示しないホストコンピュータ等からの印刷データ等を受信するインターフェース(以下、外部I/Fという)3と、各種データの記憶等を行うRAM4と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM5と、CPU等からなる制御部6と、発振回路7と、記録ヘッド8に印加するための駆動信号(COM)を発生する駆動信号発生回路9と、階調データや駆動信号等をプリントエンジン2に送信するためのインターフェース(以下、内部I/Fという)10とを備えている。
【0020】
外部I/F3は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータ等から受信する。また、外部I/F3からは、ホストコンピュータに対してビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)等を出力することができる。
【0021】
RAM4は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)等として利用されるものである。受信バッファには、外部I/F3が受信したホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶される。中間バッファには、制御部6によって中間コードに変換された中間コードデータが記憶される。出力バッファには、ドット毎の階調データ(ドットパターンデータ)が展開される。
【0022】
ROM5は、制御部6によって実行される各種制御ルーチンとフォントデータ、グラフィック関数、及び、各種手続き等を記憶している。
【0023】
制御部6は、受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードデータに変換し、この中間コードデータを中間バッファに記憶する。また、制御部6は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM5内のフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して中間コードデータをドット毎の階調データ(ドットパターンデータ)に展開する。本実施形態における階調データは、2ビットデータで構成してある。
【0024】
この展開された階調データは出力バッファに記憶されて、記録ヘッド8の1行分に相当する階調データが得られると、この1行分の階調データは、内部I/F10を介して記録ヘッド8にシリアル伝送される。出力バッファから1行分の階調データが出力されると、中間バッファの内容が消去されて、次の中間コードに対する変換処理が行われる。
【0025】
また、制御部6は、本願発明の準備信号供給手段としても機能し、一印刷周期内における圧電振動子13の作動制御に先立って準備信号を記録ヘッド8に供給する。詳しくは、制御部6は、シフトレジスタ14にセットされた階調データをラッチ回路15にラッチさせるためのラッチ信号(LAT)と、圧電振動子13の電位レベルの過剰な低下を防止するための充電指令信号(NCHG)とを発生し、記録ヘッド8に供給する。さらに、制御部6は、タイミング信号発生手段の一部を構成し、上記のラッチ信号やチャンネル信号(CH)を、駆動信号を構成する各パルスの供給開始タイミングで発生する。
【0026】
駆動信号発生回路9は、本願発明における駆動信号発生手段として機能し、駆動パルスや微振動パルスを構成する複数のパルス信号を一連に接続した駆動信号を発生する。なお、この駆動信号については、後で詳しく説明する。
【0027】
プリントエンジン2は、紙送り機構17と、キャリッジ機構18と、記録ヘッド8とを備えている。
【0028】
紙送り機構17は、紙送りモータ及び紙送りローラ等からなり、記録紙等の印刷記録媒体を副走査方向に順次送りだすものである。
【0029】
キャリッジ機構18は、記録ヘッド8を搭載するキャリッジと、このキャリッジを、タイミングベルト等を介して走行させるパルスモータ等からなり、記録ヘッド8を主走査方向に沿って移動させるものである。
【0030】
記録ヘッド8は、例えば、図2に示すように、流路ユニット21とアクチュエータユニット22とから概略構成される。
【0031】
流路ユニット21は、インク供給口23となる通孔及び第1ノズル連通孔24となる通孔を開設したインク供給口形成基板25と、インク室26を形成する通孔及び第2ノズル連通孔27となる通孔を開設したインク室形成基板28と、複数(例えば、64個)のノズル開口29…を副走査方向に沿って開設したノズルプレート30等から構成してある。そして、インク室形成基板28の前面側(図では下側)にノズルプレート30を、裏面側(図では上側)にインク供給口形成基板25をそれぞれ配置して、インク室形成基板28とノズルプレート30との間、及び、インク室形成基板28とインク供給口形成基板25との間に接着層31を挟み、これらのインク供給口形成基板25、インク室形成基板28及びノズルプレート30を一体化してある。
【0032】
アクチュエータユニット22は、弾性板として機能する第1の蓋部材34と、圧力室35となる通孔を開設したスペーサ部材36と、供給側連通孔37を形成するための通孔及び第1ノズル連通孔24を形成するための通孔を開設した第2の蓋部材38と、本願発明の圧力発生素子の一種である圧電振動子13等から構成してある。そして、スペーサ部材36の裏面に第1の蓋部材34を、前面に第2の蓋部材38をそれぞれ配置して第1の蓋部材34と第2の蓋部材38とでスペーサ部材36を挟んで一体化してある。
【0033】
圧電振動子13は、第1の蓋部材34の裏面側に形成されている。例示した圧電振動子13は、たわみ振動モードの圧電振動子13であり、充電により収縮して容積を少なくするように圧力室35を変形させ、放電により伸長して容積を増すように圧力室35を変形させる。そして、この圧電振動子13は、第1の蓋部材34の裏面に形成された共通電極39と、この共通電極39の裏面に積層させて形成された圧電体層40と、各圧電体層40の裏面に形成された駆動電極41とから構成される。この圧電振動子13は、ノズル開口29に対応して複数(例えば64個)形成されている。
【0034】
このような構成を有する記録ヘッド8では、インク室26から圧力室35を通ってノズル開口29に至る一連のインク流路がノズル開口29毎に形成される。そして、圧電振動子13を充電したり放電したりすることで対応する圧力室35が収縮或いは膨張し、圧力室35内のインクには圧力変動が生じる。この圧力室35内におけるインク圧力を制御することで、ノズル開口29からインク滴を吐出させたり、或いは、メニスカスを微振動させたりすることができる。
【0035】
簡単に説明すると、圧電振動子13を充電すると圧電振動子13は縮んで第1の蓋部材34が変形し、この第1の蓋部材34の変形に伴って圧力室35が収縮する。一方、充電された圧電振動子13を放電すると、圧電振動子13が伸長して第1の蓋部材34が戻り方向に変形し、圧力室35を膨張させる。そして、駆動信号中の駆動パルス(後述)が印加されると、定常状態にある圧力室35が一旦膨張された後に急激に収縮されるため、圧力室35内におけるインク圧力が急激に上昇し、ノズル開口29からインク滴が吐出される。また、駆動信号中の微振動パルスが印加されると、インク滴が吐出されない程度に圧力室35が膨張・収縮されて、メニスカスがインク吐出方向、あるいはインク引き込み方向に僅かに移動して微振動し、ノズル開口29付近のインクが攪拌されて、インクの増粘が防止される。
【0036】
次に、図1及び図3を参照して記録ヘッド8の電気的構成について説明する。なお、図3では、図1に記載されている制御ロジック49やレベルシフタ50を省略している。
【0037】
この記録ヘッド8は、第1シフトレジスタ44及び第2シフトレジスタ45からなるシフトレジスタ14と、第1ラッチ回路46及び第2ラッチ回路47からなるラッチ回路15と、デコーダ48と、制御ロジック49と、レベルシフタ50と、第1スイッチ回路51及び第2スイッチ回路52からなるスイッチ回路53と、オア(OR)ゲート54と、圧電振動子13とを備えている。
【0038】
そして、シフトレジスタ14、ラッチ回路15、デコーダ48、スイッチ回路53、及び、圧電振動子13は、それぞれ記録ヘッド8の各ノズル開口29…に対応して複数設けられる。例えば、図3に示すように、第1シフトレジスタ素子44A〜44Nと、第2シフトレジスタ素子45A〜45N、第1ラッチ素子46A〜46Nと、第2ラッチ素子47A〜47Nと、デコーダ素子48A〜48Nと、第1スイッチ素子51A〜51Nと、第2スイッチ素子52A〜52Nと、オアゲート54A〜54Nと、圧電振動子13A〜13Nとから構成される。
【0039】
そして、この記録ヘッド8は、プリンタコントローラ1からの階調データ(SI)に基づいてインク滴を吐出したり、メニスカスを微振動させたりする。
【0040】
即ち、プリンタコントローラ1からの階調データ(SI)は、発振回路7からのクロック信号(CK)に同期して、内部I/F10から第1シフトレジスタ44及び第2シフトレジスタ45にシリアル伝送される。プリンタコントローラ1からの階調データは、例えば、(10)、(01)等の2ビットデータであり、各ドット毎、即ち、各ノズル開口29毎に設定される。そして、全てのノズル開口29…に関する下位ビット(ビット0)のデータが第1シフトレジスタ素子44A〜44Nに入力され、全てのノズル開口29…に関する上位ビット(ビット1)のデータが第2シフトレジスタ素子45A〜45Nに入力される。
【0041】
第1シフトレジスタ44には第1ラッチ回路46が電気的に接続され、第2シフトレジスタ45には第2ラッチ回路47が電気的に接続されている。そして、プリンタコントローラ1からのラッチ信号(LAT)がラッチ回路15に入力されると、第1ラッチ回路46は階調データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路47は階調データの上位ビットをラッチする。即ち、各シフトレジスタ素子44A〜44N,45A〜45Nに入力された階調データは、各ラッチ素子46A〜46N,47A〜47Nにラッチされる。
【0042】
ここで、上記のラッチ信号は、階調データ(ドットパターンデータ)をラッチ回路15にラッチさせるために圧電振動子13の作動制御に先立って供給される信号であり、本願発明における準備信号の一種である。また、上記の動作を行う第1シフトレジスタ44及び第1ラッチ回路46と、第2シフトレジスタ45及び第2ラッチ回路47の組は、それぞれが記憶回路を構成し、デコーダ48に入力される前の階調データを一時記憶する。
【0043】
各ラッチ回路15でラッチされた階調データは、デコーダ48、詳しくは、デコーダ素子48A〜48Nに入力される。このデコーダ48は、2ビットの階調データを翻訳して5ビットの印字データを生成する。そして、このデコーダ48は、印字データ生成手段として機能し、階調データから印字データを生成する。
【0044】
この印字データの各ビットは、図4に示す駆動信号(COM)の第1パルス61〜第5パルス65に対応しており、各パルス信号を選択するためのパルス選択情報である。また、デコーダ48には、制御ロジック49からのタイミング信号も入力されている。この制御ロジック49は、制御部6と共にタイミング信号発生手段として機能しており、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)に基づいてタイミング信号を発生する。つまり、ラッチ信号やチャンネル信号を受信する毎にタイミング信号をデコーダ48に出力する。
【0045】
デコーダ48によって翻訳された5ビットの印字データは、制御ロジック49からのタイミング信号によって規定されるタイミングで上位ビット側から順次レベルシフタ50に入力される。このレベルシフタ50は、電圧増幅器として機能し、印字データが「1」の場合には、スイッチ回路53を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。なお、印字データが「0」の場合には、昇圧された電気信号の出力は行わない。レベルシフタ50で昇圧された「1」の印字データは、スイッチ手段として機能する第1スイッチ回路51に供給される。この第1スイッチ回路51の入力側には、駆動信号発生回路9からの駆動信号(COM)が印加されており、第1スイッチ回路51の出力側にはオアゲート54を介して圧電振動子13が接続されている。
【0046】
この印字データは、第1スイッチ回路51の作動を制御する。例えば、第1スイッチ回路51に加わる印字データが「1」である期間中は、第1スイッチ回路51が接続状態となって駆動信号が圧電振動子13に印加され、この駆動信号に応じて圧電振動子13が変形する。一方、第1スイッチ回路51に加わる印字データが「0」の期間中は、レベルシフタ50からは第1スイッチ回路51を作動させるための電気信号が出力されないので、圧電振動子13へは駆動信号が印加されない。要するに、印字データ「1」が設定された第1パルス61〜第5パルス65が選択的に圧電振動子13に印加される。
【0047】
そして、以上の説明から分かるように、本実施形態では、制御部6、シフトレジスタ14、ラッチ回路15、デコーダ48、制御ロジック49、レベルシフタ50、及び、第1スイッチ回路51が、パルス供給手段として機能しており、駆動信号を構成する各パルス(第1パルス61〜第5パルス65)を適宜選択し、この選択したパルスを圧電振動子13に供給する。
【0048】
また、第2スイッチ回路52の入力側にも駆動信号発生回路9からの駆動信号(COM)が印加されており、第2スイッチ回路52の出力側にはオアゲート54を介して圧電振動子13が接続されている。そして、プリンタコントローラ1の制御部6からの充電指令信号(NCHG)が、図示しない電圧増幅器(例えば、レベルシフタ等)によって第2スイッチ回路52を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の所定の電圧値まで昇圧されて、第2スイッチ回路52に入力される。
【0049】
この充電指令信号(NCHG)は、上記したように圧電振動子13を充電させるための制御信号、つまり、放電等によって減少した圧電振動子13の電荷を補わせるための制御信号であり、本願発明における準備信号の一種である。例えば、印字データ「0」の状態が長時間に亘って続くなどにより駆動信号が印加されない状態が長時間続いた場合には、圧電振動子13は少しずつ放電するため、振動子電位は時間の経過に伴って次第に降下する。そして、電位が過度に低くなった状態の圧電振動子13に対して駆動信号を印加すると、圧電振動子13の電位と駆動信号の電位との差が大きいので圧電振動子13の電位が急激に上昇してしまい、インク滴の誤吐出や圧電振動子13の破壊を引き起こす虞がある。このため、充電指令信号を記録ヘッド8の第2スイッチ回路52に供給することにより、圧電振動子13に駆動信号を印加して圧電振動子13を駆動信号の電位レベルまで充電するようにしている。
【0050】
次に、駆動信号及び階調表現方法について図4を参照して説明する。図4には、駆動信号の波形と駆動信号を用いた階調表現の方法が示されている。
【0051】
駆動信号発生回路9が発生する駆動信号は、第1パルス61から第5パルス65までの各パルスを一連に接続することで構成される。
【0052】
ここで、第2パルス62、第3パルス63及び第4パルス64は、インク滴を吐出させるために圧電振動子13を作動させる駆動パルスである。これらの各パルスは、何れも同一の波形形状をしており、基準電位である中間電位Vmから最低電位VLまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を降下させる膨張要素P1と、最低電位VLを所定時間保持する膨張ホールド要素P2と、最低電位VLから最大電位VPまで急勾配で電位を上昇させる吐出要素P3と、最大電位VPを所定時間保持する収縮ホールド要素P4と、最大電位VPから中間電位Vmまで電位を下降させる制振要素P5とを含んで構成されている。
【0053】
また、第2パルス62〜第4パルス64の各パルスに関し、これらの各パルスは一定間隔で配置されている。即ち、パルス同士の間隔が同じである。例えば、第2パルス62の膨張要素P1の始端から第3パルス63の膨張要素P1の始端までの時間と、第3パルス63の膨張要素P1の始端から第4パルス64の膨張要素P1の始端までの時間とを比較した場合に、これらの時間が同じ時間となるように設定されている。そして、このようなパルス信号(駆動パルス信号)を圧電振動子13に印加すると、各パルスが印加される毎に所定量の小インク滴がノズル開口29から吐出される。
【0054】
また、第2パルス62よりも前に配置される第1パルス61と、第4パルス64よりも後に配置される第5パルス65は、インク滴を吐出しない程度に圧電振動子13を作動させる微振動パルスを構成するパルス信号である。この微振動パルスは、圧電振動子13を作動させてインク滴を吐出させない程度に圧力室35を膨張・収縮し、メニスカスを微振動させることでノズル開口29付近のインクを攪拌し、この部分におけるインク粘度の過剰な増大を防止するために印加されるパルスである。
【0055】
この微振動パルスは、圧力室35の状態を定常状態(例えば、中間電位Vmに対応する容積)から微振動状態(例えば、微振動電位VPNに対応する容積)まで比較的緩やかに変化させる第1微振動要素P11(本願発明の微振動変化要素)と、微振動状態を所定時間に亘って保持する微振動ホールド要素P12と、微振動ホールド要素P12によって微振動状態が維持された圧力室35を定常状態に復帰させる第2微振動要素P13(本願発明の微振動復帰要素)とから構成される上に凸の台形状のパルスである。
【0056】
本実施形態では、微振動パルスを微振動ホールド要素P12の途中で前後に二分割している。そして、第1微振動要素P11と微振動ホールド要素P12の前側部分である第1微振動ホールド要素P12aとを含む第5パルス65(本願発明の第1微振動波形)を一印刷周期における最後に配置している。従って、一印刷周期の終端部分には第1微振動ホールド要素P12aが配置される。一方、微振動ホールド要素P12の後側部分である第2微振動ホールド要素P12bと第2微振動要素P13とを含む第1パルス61(本願発明の第2微振動波形)を一印刷周期における最初に配置している。従って、一印刷周期の先頭部分には第2微振動ホールド要素P12bが配置される。
【0057】
上記の第1パルス61の始端電位(第2微振動ホールド要素P12bの電位)と第5パルス65の終端電位(第1微振動ホールド要素P12aの電位)とは同電位であり、第2微振動ホールド要素P12bの供給時間は、圧電振動子13(圧力発生素子の一種)の作動制御に先立って供給される準備信号、例えば、上記のラッチ信号(LAT)や充電指令信号(NCHG)を記録ヘッド8に供給するために必要な時間以上の長さに設定してある。
【0058】
そして、印字内微振動を行わせる場合には、先の印刷周期における第5パルス65と、後の印刷周期における第1パルス61とを連続的に圧電振動子13に印加する。言い換えれば、先の印刷周期における第5パルス65(微振動パルスの前半部分)と、後の印刷周期における第1パルス61(微振動パルスの後半部分)とを連結して微振動パルスを構成し、この微振動パルスを圧電振動子13に供給する。
【0059】
次に、各パルスを選択して多階調の記録を行う手順について図4〜図6に基づいて説明する。以下の説明では、ドットを記録しないで(つまり、インク滴の吐出を行わないで)メニスカスを微振動させる無ドット(階調値1)と、小インク滴を1回吐出させる小ドット(階調値2)と、小インク滴を2回吐出させる中ドット(階調値3)と、小インク滴を3回吐出させる大ドット(階調値4)の4パターンによって、階調表現を行う場合について説明する。
【0060】
この場合、階調値1を(00)、階調値2を(01)、階調値3を(10)、階調値4を(11)とすることで、各階調値を2ビットの階調データで表すことができる。
【0061】
そして、階調値1の場合、つまり、メニスカスを微振動させる場合には、第1パルス61と第5パルス65とを順次圧電振動子13に印加する。即ち、階調値1を示す階調データ(00)をデコーダ48によって翻訳させ、5ビットの印字データ(10001)を生成させる。そして、この印字データを構成する各ビットのデータを、第1パルス61〜第5パルス65の発生タイミングに同期させて順次デコーダ48から出力させる。
【0062】
この場合、まず、第1パルス61の供給開始タイミングで制御部6(準備信号供給手段)はラッチ信号(LAT)を発生して記録ヘッド8に供給する。このラッチ信号に基づいてラッチ回路15はシフトレジスタ14にセットされた階調データ(00)をラッチし、デコーダ48はラッチされた階調データに基づいて印字データ(10001)を生成する。また、このラッチ信号を受信した制御ロジック49は一印刷周期における1番目のタイミング信号をデコーダ48に供給する。制御ロジック49からの1番目のタイミング信号を受信したデコーダ48は、印字データの最上位ビットである印字データ(1)を出力し、この印字データ(1)に基づいて第1スイッチ回路51は接続状態になる。これにより、第1パルス61の供給が開始される。
【0063】
次に、制御部6(準備信号供給手段)は、第1パルス61の第2微振動ホールド要素P12bが発生されている間に充電指令信号(NCHG)を発生し、記録ヘッド8に供給する。この充電指令信号により、全ての第2スイッチ回路52が充電指令信号の供給期間に亘って接続状態になり、記録ヘッド8における全ての圧電振動子13に駆動信号が印加される。従って、この充電指令信号により、階調データが与えられていない圧電振動子13、例えば、モノクロ記録時におけるカラー記録用の圧電振動子13など記録動作に関与していない圧電振動子13が、第2微振動ホールド要素P12bの電位レベルVPNまで充電される。
【0064】
第2パルス62の供給開始タイミングが到来すると、制御部6はチャンネル信号(CH)を発生して記録ヘッド8に供給する。このチャンネル信号に基づいて制御ロジック49は一印刷周期における2番目のタイミング信号をデコーダ48に供給する。制御ロジック49からの2番目のタイミング信号を受信したデコーダ48は、印字データにおける上位から2ビット目の印字データ(0)を出力し、この印字データ(0)に基づいて第1スイッチ回路51は非接続状態に切り替わる。これにより、駆動信号の圧電振動子13への印加が停止されて圧電振動子13の電位レベルは、第1パルス61の終端電位である中間電位Vmを保持する。
【0065】
第3パルス63の供給開始タイミングが到来すると、制御部6はチャンネル信号(CH)を発生して記録ヘッド8に供給し、制御ロジック49は3番目のタイミング信号をデコーダ48に供給する。そして、デコーダ48は上位から3ビット目の印字データ(0)を出力し、第1スイッチ回路51は非接続状態を維持する。従って、駆動信号の圧電振動子13への印加が停止されたままとなり、圧電振動子13の電位レベルは、第1パルス61の終端電位である中間電位Vmを保持する。
【0066】
第4パルス64の供給開始タイミングが到来すると、制御部6はチャンネル信号(CH)を発生して記録ヘッド8に供給し、制御ロジック49は4番目のタイミング信号をデコーダ48に供給する。そして、デコーダ48は上位から4ビット目の印字データ(0)を出力し、第1スイッチ回路51は非接続状態を維持する。従って、駆動信号の圧電振動子13への印加が停止されたままとなり、圧電振動子13の電位レベルは、第1パルス61の終端電位である中間電位Vmをさらに保持する。
【0067】
第5パルス65の供給開始タイミングが到来すると、制御部6はチャンネル信号(CH)を発生して記録ヘッド8に供給する。そして、制御ロジック49は5番目のタイミング信号をデコーダ48に供給する。これにより、デコーダ48は最下位ビットの印字データ(1)を出力するので、第1スイッチ回路51は接続状態に切り替わり、駆動信号の圧電振動子13への印加が再開される。つまり、圧電振動子13に第5パルス65が印加される。
【0068】
このように、階調値1(階調データ00)の場合には、駆動信号の中から第1パルス61と第5パルス65とが選択的に圧電振動子13に印加される。そして、先の印刷周期の第5パルス65と後の印刷周期の第1パルス61とが連続的に圧電振動子13に印加されることで微振動パルスが圧電振動子13に印加され、この微振動パルスによってメニスカスが微振動し、ノズル開口29付近のインクが撹拌される。
【0069】
また、階調値2の場合、つまり、小ドットの記録を行う場合には、第1パルス61と第3パルス63(2番目の駆動パルス)と第5パルス65とを順次圧電振動子13に印加する。即ち、階調値2を示す階調データ(01)をデコーダ48によって翻訳させ、5ビットの印字データ(10101)を生成させる。そして、この印字データの各ビットのデータを、第1パルス61〜第5パルス65の発生タイミングに同期させて順次デコーダ48から出力させる。
【0070】
この場合、第1パルス61の供給開始タイミングで制御部6はラッチ信号(LAT)を記録ヘッド8に供給し、ラッチ回路15は階調データ(00)をラッチし、デコーダ48はラッチされた階調データに基づいて印字データ(10101)を生成する。また、制御ロジック49はラッチ信号の受信により1番目のタイミング信号をデコーダ48に供給し、デコーダ48は1番目のタイミング信号の受信によって最上位ビットの印字データ(1)を出力する。この印字データ(1)に基づいて第1スイッチ回路51は接続状態になり、第1パルス61の供給が開始される。
【0071】
第2微振動ホールド要素P12bが供給されている間に制御部6は、充電指令信号(NCHG)を発生し、この充電指令信号によって階調データが与えられていない圧電振動子13が微振動電位VPNとなる。
【0072】
そして、この階調値2では、第2パルス62の供給開始タイミングでデコーダ48が出力する印字データが(0)となって第2パルス62は圧電振動子13に印加されず、第3パルス63の供給開始タイミングで印字データが(1)となって第3パルス63が圧電振動子13に印加され、第4パルス64の供給開始タイミングで印字データが(0)となって第4パルス64は圧電振動子13に印加されず、第5パルス65の供給開始タイミングでデコーダ48が出力する印字データが(1)となって第5パルス65が圧電振動子13に印加される。
【0073】
これにより、駆動信号の中から第1パルス61、第3パルス63、及び、第5パルス65が選択的に圧電振動子13に印加されて、第3パルス63に対応する小インク滴が吐出されて、記録紙上に小ドットが形成される。なお、このとき、第1パルス61と第5パルス65も印加されるが、インク滴の吐出には寄与しない。
【0074】
同様に、階調値3の場合、つまり、中ドットの記録を行う場合には、例えば、第1パルス61、第2パルス62(1番目の駆動パルス)、第4パルス64(3番目の駆動パルス)、及び、第5パルス65を圧電振動子13に印加する。即ち、階調値3を示す階調データ(10)をデコーダ48によって翻訳させ、5ビットの印字データ(11011)を生成させる。そして、この印字データの各ビットを、第1パルス61〜第5パルス65の発生タイミングに同期させて順次デコーダ48から出力させる。これにより、駆動信号の中から第1パルス61、第2パルス62、第4パルス64、及び、第5パルス65が選択的に圧電振動子13に印加されて、第2パルス62と第4パルス64とに対応して小インク滴が2回吐出し、記録紙上に中ドットが形成される。
【0075】
同様に、階調値4の場合、つまり、大ドットの記録を行う場合には、例えば、第1パルス61から第5パルス65までの全てのパルスを圧電振動子13に印加する。即ち、階調値4を示す階調データ(11)をデコーダ48によって翻訳させて5ビットの印字データ(11111)を生成させる。そして、この印字データの各ビットを、第1パルス61〜第5パルス65の発生タイミングに同期させて順次デコーダ48から出力させる。これにより、駆動信号を構成する全パルス(第1パルス61〜第5パルス65)が圧電振動子13に印加され、第2パルス62と第3パルス63と第4パルス64とに対応して小インク滴が3回吐出されて記録紙上に大ドットが形成される。
【0076】
このように、本実施形態では、一印刷周期の初期に微振動ホールド要素P12の一部を構成する一定電位の第2微振動ホールド要素P12bを配置している。そして、この第2微振動ホールド要素P12bは、圧電振動子13を変形(すなわち作動)させない波形要素であるので、駆動信号発生回路9が第2微振動ホールド要素P12bを発生している期間を、準備信号供給手段としての制御部6からの準備信号(ラッチ信号や充電指令信号)の発生期間、つまり準備信号を記録ヘッド8へ供給するための期間として使用することができる。これにより、一印刷周期の全域に亘って駆動パルスや微振動パルスを配置しても、準備信号供給用の時間を確保することができる。従って、一印刷周期を短くすることができ、ひいては、記録速度の一層の高速化を図ることができる。
【0077】
なお、以上の実施形態では、微振動パルスとして、圧力室35を定常状態から収縮させ、この収縮状態を所定時間保持した後、膨張させて定常状態にさせるものについて説明したが、微振動パルスはこれに限らない。例えば、圧力室35を定常状態から膨張させ、この膨張状態を所定時間保持した後、収縮させて定常状態にさせる微振動パルスであってもよい。この場合も微振動パルスは、インク滴を吐出させない程度の微振動を与えるものであるから、当該微振動パルスの微振動電位は、駆動パルスにおける最低電位VLよりも少し高い電位に設定される。
【0078】
また、微振動ホールド要素P12に関し、この微振動ホールド要素P12を途中で2分割し、後半部分の第2微振動ホールド要素P12bを一印刷周期の先頭に配置した駆動信号を例示したが、微振動ホールド要素P12を分割せずに一印刷周期の先頭に配置するように構成してもよい。
【0079】
また、準備信号に関し、ラッチ信号(LAT)と充電指令信号(NCHG)とを例示したが、準備信号もこれらの信号に限定されるものではない。この準備信号は、一印刷周期における圧電振動子13(圧力発生素子)の作動制御に先立って供給される信号であればよい。
【0080】
なお、上述した本発明の要旨の範囲内で種々の追加、変更等が可能である。例えば、記録ヘッド8に温度センサ71及びA/D(アナログ・デジタル)変換器72等によって構成した温度検出手段を設けてインク温度や環境温度を検出し、この検出温度に基づいて微振動パルスの波形形状を最適化するさせるようにしてもよい。即ち、この種の記録ヘッド8に用いられるインクは、一般的に、温度が高くなると粘度が減少し、温度が低くなると粘度が増大するという特性を有している。
【0081】
そこで、制御部6(波形最適化手段)は、駆動信号発生回路9に補正信号を出力し、検出温度に最適な波形形状の微振動パルスを発生させるようにする。例えば、検出温度が基準温度(例えば常温)よりも低い場合には、中間電位Vmと微振動電位VPNの電位差を大きくするなどしてメニスカスを積極的に振動させる。一方、検出温度が基準温度よりも高い場合には中間電位Vmと微振動電位VPNの電位差を小さくするなどして圧電振動子13の変形量を少なくし、メニスカスの振動を抑え気味にする。その結果、インクの粘度に対して最適な微振動を与えることができる。
【0082】
また、上記の実施形態では、デコーダ48によって階調データを印字データに翻訳するようにしたものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、出力バッファに展開するドットパターンデータを上記の印字データと同じ内容のデータとし、このドットパターンデータをシフトレジスタ14にセットする構成としてもよい。この場合、各パルスの供給開始タイミング毎にラッチ信号を発生させ、ラッチ回路15でラッチしたデータに基づいて第1スイッチ回路51をオンオフ制御する。
【0083】
また、上記の実施形態では、一印刷周期内に3つの駆動パルスを配置した駆動信号を例示したが、駆動パルスの数は3つに限定されるものではない。例えば、2つや5つなど複数の駆動パルスを配置した駆動信号であってもよいし、1つの駆動パルスを配置した駆動信号であってもよい。
【0084】
また、圧力発生素子として、いわゆるたわみ振動モードの圧電振動子13を使用したが、これに代えて縦振動モードの圧電振動子を使用してもよい。なお、この縦振動モードの圧電振動子は、充電すると圧力室35を膨張させる方向に収縮し、放電すると圧力室35を収縮させる方向に伸長する振動子である。また、圧力室35の容積を変化させる圧力発生素子は、圧電振動子13に限定されるものではなく、圧電振動子13と同様な変形特性を有する素子であればよい。すなわち、電位に応じて作動状態が変化し、駆動信号の印加が停止された際には、最後に印加された駆動信号の電位を保持する素子であれば圧力発生素子として用いることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次の効果を発揮する。すなわち、駆動信号発生手段は、圧力室の微振動状態を維持させる微振動ホールド要素の少なくとも一部を印刷周期の初期に配置した駆動信号を発生し、準備信号供給手段は、印刷周期の初期における微振動ホールド要素の発生期間中に上記準備信号を記録ヘッドに供給するので、印刷周期の初期の微振動ホールド要素を発生している期間は、駆動信号によって圧力発生素子は作動されず、この微振動ホールド要素の発生期間を準備信号発生手段からの準備信号を供給するための期間として使用することができる。これにより、印刷周期の全域に亘って駆動パルスや微振動パルスを配置しても準備信号供給用の時間を確保することができる。従って、印刷周期を短くすることができ、ひいては、記録速度の一層の高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式プリンタの全体構成を示す構成説明図である。
【図2】記録ヘッドの機械的構造を示す構成説明図である。
【図3】記録ヘッド駆動回路の要部を示す回路図である。
【図4】駆動信号と階調値等との関係を示す説明図である。
【図5】駆動信号の各駆動パルスと階調データの転送タイミング等との関係を示すタイムチャートである。
【図6】駆動パルスの選択パターンを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 プリンタコントローラ
2 プリントエンジン
3 外部インターフェース
4 RAM
5 ROM
6 制御部
7 発振回路
8 記録ヘッド
9 駆動信号発生回路
10 内部I/F
13 圧電振動子
14 シフトレジスタ
15 ラッチ回路
17 紙送り機構
18 キャリッジ機構
21 流路ユニット
22 アクチュエータユニット
23 インク供給口
24 第1ノズル連通孔
25 インク供給口形成基板
26 インク室
27 第2ノズル連通孔
28 インク室形成基板
29 ノズル開口
30 ノズルプレート
31 接着層
34 第1の蓋部材
35 圧力室
36 スペーサ部材
37 供給側連通孔
38 第2の蓋部材
39 共通電極
40 圧電体層
41 駆動電極
44 第1シフトレジスタ
45 第2シフトレジスタ
46 第1ラッチ回路
47 第2ラッチ回路
48 デコーダ
49 制御ロジック
50 レベルシフタ
51 第1スイッチ回路
52 第2スイッチ回路
53 スイッチ回路
54 オアゲート
61 第1パルス
62 第2パルス
63 第3パルス
64 第4パルス
65 第5パルス
71 温度センサ
72 A/D変換器
P12 微振動ホールド要素
P12b 第2微振動ホールド要素

Claims (1)

  1. 複数のノズル開口の各々に対応して設けられた圧力発生素子及びノズル開口に連通する圧力室とを備えた記録ヘッドと、インク滴を吐出させるべく圧力発生素子を作動させる駆動パルス及びインク滴を吐出させない程度に圧力発生素子を作動させる微振動パルスを含んだ一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを有し、駆動パルスを圧力発生素子に印加することで圧力室に圧力変動を生じさせ、この圧力変動によりノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録装置において、
    印刷周期内における作動制御であって、インク滴を吐出させるべく圧力発生素子を作動させるための作動制御に先立って準備信号を記録ヘッドに供給する準備信号供給手段を設け、
    前記微振動パルスを、圧力室を定常状態から微振動状態に変化させる微振動変化要素と、微振動変化要素に続いて印加されて圧力室の微振動状態を維持させる微振動ホールド要素と、微振動ホールド要素に続いて印加されて圧力室を微振動状態から定常状態に復帰させる微振動復帰要素とを含ませて構成し、
    前記駆動信号発生手段は、微振動ホールド要素の少なくとも一部を印刷周期の初期に配置した駆動信号を発生し、
    前記準備信号供給手段は、印刷周期初期における微振動ホールド要素の発生期間中に前記準備信号を記録ヘッドに供給することを特徴とするインクジェット式記録装置であって、
    前記微振動パルスを微振動ホールド要素の途中で前後に二分割し、
    駆動信号発生手段は、微振動変化要素と微振動ホールド要素の前側部分とを含む第1微振動波形を一印刷周期における最後に配置すると共に、微振動ホールド要素の後側部分と微振動復帰要素とを含む第2微振動波形を一印刷周期における最初に配置した駆動信号を発生し、
    先の印刷周期における第1微振動波形と後の印刷周期における第2微振動波形を連続して圧力発生素子に印加することにより、圧力発生素子に微振動パルスを印加するように構成し、
    前記準備信号を、ドット毎の階調データを取得させるためのパルス信号であるラッチ信号としたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
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