JP2001514629A - 薬剤製造へのヒトα▲下1▼−酸性糖蛋白質の使用法 - Google Patents

薬剤製造へのヒトα▲下1▼−酸性糖蛋白質の使用法

Info

Publication number
JP2001514629A
JP2001514629A JP53896098A JP53896098A JP2001514629A JP 2001514629 A JP2001514629 A JP 2001514629A JP 53896098 A JP53896098 A JP 53896098A JP 53896098 A JP53896098 A JP 53896098A JP 2001514629 A JP2001514629 A JP 2001514629A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
use according
treatment
preparation
formulation
acid glycoprotein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP53896098A
Other languages
English (en)
Inventor
ピヒラー,ルートヴィヒ
ムヒチュ,エヴァ−マリア
フィラピチュ,アントン
シュヴァルツ,ハンス−ペーター
リンナウ,イェンドラ
テシュナー,ヴォルフガング
Original Assignee
バクスター・アクチエンゲゼルシャフト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by バクスター・アクチエンゲゼルシャフト filed Critical バクスター・アクチエンゲゼルシャフト
Publication of JP2001514629A publication Critical patent/JP2001514629A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/1703Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • A61K38/1709Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Marine Sciences & Fisheries (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は非炎症性の血液灌流障害/微小循環障害の治療薬製造へのヒトα1−酸性糖蛋白質(AGP)の使用法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 薬剤製造へのヒトα1−酸性糖蛋白質の使用法 本発明はオロソムコイドの新しい医薬的使用法に関する。 オロソムコイドとも称されるα1−酸性糖蛋白質(AGP)は血漿から得られ た物質であって、分子量40,000ダルトン、炭水化物含量30−50%を有 する。AGPは183のアミノ酸をもった一本鎖ポリペプチドから成り、二つの ジスルフィド架橋を有する。この物質はさらに五本の炭水化物鎖を含み、これら はすべてペプチド鎖の前半部に局在している。これらの炭水化物グループは約1 4%が中性ヘキソース、14%がヘキソサミン、11%がシアル酸そして1%が フルクトースから成っている。AGP調製物のソースないし回収方法もしくは特 性化方法に応じAGPは異なった形態を取るが、それらはポリペプチド鎖の相違 ならびに炭水化物鎖の相違に帰着される。 オロソムコイドの特性および生物学的機能はSchmid(血漿蛋白質構造機 能および遺伝的コントロール(“The Plasma Proteins S tructure Functions and Genetic contr ol”))、Vol.1(1975)、Academic Press、Ed. Frank A.Putnam、2nd Edition、p.183−228 、所収)およびKremer et al.(Pharmacological Reviews 40(1988)、p.1−47)の概説的論文中に述べら れている。 医学分野においてAGPはこれまで血漿中の主として塩基性薬物の重要なキャ リア物質と見なされてきた(Kremer et al.、参照)。 さらにその他に、炎症反応に於けるオロソムコイドの好適な作用も証明されて いる。たとえばDenko et al.(Agents and Actio ns 15、5/6(1984)、p.539−540)はラットの尿酸塩結晶 炎症に於けるAGPの抗炎症作用を記述している。またLibert et a l.(J.Exp.Med.180(1994)、p.1571−1575)は 、TNF−αまたはリポ多糖類の作用と関連した敗血症性ショックの防止に類似 の適応が存することを証明している。 血液灌流障害の改善、特に微小循環の改善ならびに再灌流障害の改善にはこれ まで血管作動性物質または、止血ないしフィブリン溶解現象に影響をおよぼす特 別な血液因子、特に抗凝血物質ないし血栓溶解作用を有する因子が投与されもし くは相当する循環血液量代償が実施されてきた。 炎症反応とは関係なく生ずる循環血液量減少性ショックの治療にはこれまで循 環血液量代償が行なわれ、その際、アルブミン液が使用されるのが通例であった 。 本発明の目的はオロソムコイドの新しい医学的適応症を提供することである。 驚くべきことにオロソムコイドは非炎症性の血液灌流障害ないし微小循環障害 の治療に適していることが判明した。したがってオロソムコイドは灌流障害、特 に微小循環障害ならびに再灌流障害の改善に使用できると共に、ショック状態に 於ける生活臓器たとえば脳、肺臓、心臓、肝臓および腎臓への良好な血液供給の 確保のために使用することができる。 前記の適応はすべて非炎症性のものであり、すなわち、これらの障害はそれが SIRS(系統的炎症性反応症候群(“systemic inflammat ory response syndrome”))と無関係に生ずる場合に適 合しているということである。SIRSの定義についてはCritical C are Medicine 20(6)、p.864−874(1992)を参 照されたい。つまり炎症に際しては細胞と組織とが直接の損傷を受け、その結果 として血管の透過性と血液循環とが損なわれることとなる。しかしながら本発明 に基づく血液灌流障害/微小循環障害の治療薬製造へのAGPの使用においては 、これらの障害は非炎症性のものであり、したがって種々の原因に起因している 。そうした原因に数えられるのはなかんずく血管内循環血液量の減少と関連した 血圧状態の変化である。これによって惹起された血液灌流障害は治療が施されな ければ循環血液量減少性ショックに至ることとなる。この場合の発生機序と見な されるものは、急性出血、過量の体液喪失たとえば嘔吐、下痢、極端な発汗、脱 水、過量の排尿、腹膜炎、膵炎、内臓領域の虚血、腸閉塞、壊疽、外傷、大きな 筋群の損傷または火傷である。 前記状態はこれまでデキストラン液、ヒドロキシエチル澱粉、乳酸リンゲル液 またはアルブミン液で治療されるのが通例であった。しかしながらこれらの物質 は抗炎症特性を有していず、それゆえに、炎症治療に使用されたオロソムコイド が本発明に基づく適応においてこの機能を果たし得ることは驚くべきことであっ た。 オロソムコイドは本発明により相対的な血液量不足症にも使用することができ る。そうした場合とは、絶対的な血液量は減少していないが臓器への血液供給が 不足している場合であり、その理由は神経性、代謝性、毒性または液性の血管拡 張性変化である。またもう一つの理由は場合によりアナフィラキシー性の、また はさまざまな蛇毒に起因する血管透過性の上昇である。 同じく循環血液量減少性ショックの原因として、急性心筋梗塞、心筋炎または 拍出力の激しい低下、急性の心臓弁膜機能不全、心筋破裂、隔膜穿孔、不整脈た とえば徐脈、頻脈または細動等に起因するポンプ機能障害あるいは心臓の機械的 圧迫または物理的障害たとえば血栓または塞栓形成等に起因するポンプ機能障害 も考えられる。 したがって本発明は出血性および/または循環血液量減少性のショックの治療 ならびに特に急性出血時、過量の体液喪失時ないし血管拡張時の血管内血液量の 安定化を目的とした製剤製造へのAGPの使用にも関する。 本発明によれば、AGPは卒中発作の結果としての再灌流障害の防止、特に脳 水腫の減少にも使用することが可能である。再灌流障害は特に灌流障害物たとえ ば血管閉塞物の除去後に沈着または凝血によって発生する。これらの障害は特に 卒中発作の結果と考えられ、その際、脳水腫が形成され、神経医学的障害が招来 されることとなる。灌流再開によって生じ得る移植臓器の組織障害も同じく再灌 流障害に数えられる。 本発明に基づきAGPによって治療可能なもう一つの微小循環障害は生活臓器 、特に、たとえば蛋白尿の直接の原因となる腎臓の微小循環障害である。 ただし各種臓器の微小循環障害は水腫によって引き起こされることもある。し たがって本発明は水腫の防止ないし治療を目的とした薬剤製造へのオロソムコイ ドの使用にも関する。 AGPの製造方法は知られている(たとえばWO 95/07703から)。 ヒトAGPのソースとしてはヒト血漿または血漿分画たとえばCOHN分画、た とえばCOHN IVまたはCOHN Vを用いるのが好ましい。本発明によれば 、製剤は貯蔵安定性を有する注入液として製造されるのが好適であり、凍結乾燥 品として提供されるのが好ましい。 適用量はそれぞれの適応症と患者状態の程度、たとえば血液喪失量の程度に応 じて加減される。通例は70mg/体重kgから5g/体重kgまでの範囲の用 量で使用されるが、その際特に好ましい用量範囲は100−700mg/体重k gである。 本発明による投与法はあらゆる方法で行なうことが可能であるが、特に好まし いのはi.v.、s.c.、i.m.および局所適用である。 適用される薬剤は総蛋白量に対して少なくとも50%のオロソムコイド、好ま しくは70%以上、特に90%以上のオロソムコイドを含有しているのが好適で ある。本発明に基づく薬剤はさらに別途成分としてアルブミンとA1AT(α1− アンチトリプシン)を含有することができる。 前記薬剤には、使用前に安定剤、特にカプリル酸ナトリウムおよび場合により 界面活性剤を添加し、貯蔵安定性ないし熱処理中の安定性を高めるのが好適であ る。 ウイルスの不活化ないし減損化を目的として前記薬剤を特に少なくとも一つの 物理的処理たとえば熱処理および/または濾過によって処理することも合理的で ある。ウイルスの不活化には一連の物理的、化学的または物理化学的方法が公知 であり、それらはたとえばEP0159311AまたはEP0637451Aに 基づく熱処理法、EP0247998Aに基づく加水分解酵素処理法または放射 線処理法またはたとえばEP0131740Aに基づく有機溶剤および/または 界面活性剤による処理法を包含している。本発明に基づく製剤製造に際するその 他の適切なウイルス不活化処理工程はE0506651AまたはWO94/13 329Aに記載されている。 ある種の適応症に際しては、つまり特に循環血液量減少性ショックまたは神経 性ショックについては、オロソムコイドの投与を、一緒にもしくは平行して投与 することのできる血管作動性(収縮性または拡張性)物質の投与と組み合わせる のが好適である。 したがって本発明はさらに別な視点から、有効成分としてAGPと血管作動性 物質とを含有した、ショック状態の治療を目的とした注入製剤に関する。 本発明に基づき前記注入製剤は、 ─製剤中のAGPと ─場合により別の容器に入った血管作動性物質とから成るセットの形で提供され る。 本発明に基づくAGPの適用は予防的手法として、特にまた治療手法としても 行なうことができる。 以下本発明を下記実施例と図面に基づいて詳細に説明するが、本発明がそれら 実施例ならびに図面に限定されるものではない旨付記しておくこととする。 図1から図5はラットモデルによる出血性ショックの治療結果をしめしたもの である。 図6から図8はラットの“卒中発作モデル”における脳水腫の防止の結果をし めしたものである。 図9はラットモデルにおける蛋白尿治療の結果をしめしたものである。 実施例1 ラットモデルによる出血性ショックの治療(出願人の見解によればこれは本発 明の目下最良の実施形態である)。 本実験はWang & Chaudry(J.Surg.Res 50(19 91)、p.163−169)と同様な方法で実施された。ラットは一晩絶食さ せられたが、水は自由に摂取することができた。麻酔を行なうためラットには6 0mg/kgのペントバルビタールが筋肉内注射された。麻酔は1,5時間毎に 各ラット当たり5mgのペントバルビタールs.c.の投与によって維持された 。気管には非常時の人工吸入のためカニューレが挿入された。注入(血液量代償 )および注射のため左頚静脈にポリエチレンカテーテルが設けられた。第二のカ テーテルが冷等張食塩液の注入(≦20℃;熱希釈法)のため右頚静脈を経て右 心房に挿入された。血液温度測定のため一個の熱電対が右頚動脈を経て大動脈弓 に押し込まれた。二本の大腿動脈に、一方は血圧測定用の、他方は瀉血用のカ ニューレが挿入された。体温は全実験中、赤外灯に接続された直腸温度計を使用 して36.5°に保たれた。出血前の外傷を付するため、抜毛後に電気焼灼器で 白線部に5cmの開腹術が実施された。この切開部はその後、層状に閉じられた 。 1 IU ヘパリン/体重gが注入された。続いて大腿動脈からの瀉血により 10分以内に平均動脈血圧が40mmHgに低下させられた。血圧はさらなる瀉 血によるかまたは失血量の40%を超えない総量のリンゲル液の注入によるかし て最大80分にわたり40mmHgに保たれた。この80分の経過後またはそれ 以前に(血圧がもはや40mmHg以上に保たれることができなかった場合)血 液量置換が開始され、60分間に総失血量の3倍がリンゲル液と交換された。血 液量置換に続いて4時間の観察期間が設けられた。生存しているラットは過量の ペントバルビタールi.v.によって殺傷された。 平均動脈血圧は電気機械式圧力変換器を使用したポリグラフによって連続的に 記録された。心拍数は脈波によって連続的に記録された。毎分拍出量は熱希釈法 によって測定され、その際、200μlの冷食塩液が右心房に注入された。大動 脈弓の血液温度の測定により熱希釈カーブがCardiomax II(Mode l 85、Columbus Instruments)によって積分され、毎 分拍出量ml/minが示された。拍出量と総末梢血管抵抗は毎分拍出量を心拍 数で除するかまたは血圧を毎分拍出量で除するかし、それに10の三乗を乗じて (mmHg・ml.min-1・103)計算された。初期値は自然値として表わ され、その他のすべての値はそれぞれの当初値の%(Δ%)で表わされた。平均 値±標準偏差も同じく計算された。当初値とその他のすべての値との間の相違の 有意性はペア観察に関するt検定によって検証された。グループ間の比較には“ 両側t検定”が使用された。 すべてのラット(n=30)において平均動脈血圧を40mmHgに低下させ るために瀉血された血液量は7.0±2.9mlであることが明らかとなった。 血圧は77.8±1.5分間にわたってこの低いレベルに保たれ得た。血圧降下 は毎分拍出量、拍出量および総末梢血管抵抗の低下を伴っていた。心拍数は3つ のグループのすべてにおいて低下したが、AGP治療されたグループでは初期 増加が認められた。 コントロールグループのラット(n=13)におけるリンゲル液i.v.によ る血液量代償(量:失血量の3倍)は全観察期間にわたって有意に低下していた 平均動脈血圧を再び回復することはできなかった(範囲−50.5±2.3%か ら−63.6±10.3%まで)。心拍数のわずかな低下も観察され、これは血 液量代償後180−240分にわたって有意であった(max.:240分にて −29.9±8.8%)。毎分拍出量は血液量代償直後に当初値に戻ったが、こ れはその後30−240分にわたって有意に低下していた(範囲−25.9±5 .5%から−51.4±7.4%まで)。拍出量についても同じ時間的経過が観 察された(減少範囲:−26.7±8.8%から−31.1±9.9%まで)。 総末梢血管抵抗は観察期間を通して低下しており(範囲−19.1±18.2% から39.7±9.9%まで)、この差は再生後30−120分にわたって有意 的であった。3匹のラットは血液量代償後≦150分で死亡したので、評価には 組入れられなかった。さらにその他に3匹のラットが180分後に死亡した。 他の2つのグループはAGPまたはリンゲル液に替わるプラセボ製剤を使用し て治療された。ヒト血漿のCOHN分画Vから沈降と60℃での10時間にわた るさらなる低温殺菌とによって精製されたAGP液(200mg/kg)と同量 のプラセボ製剤(ヒト・アルブミンから得られたアルブミン液、IMMUNO、 オロソムコイドの分離による)とがリンゲル液でそれぞれの失血量の3倍の量に 希釈された。 AGPは14匹のラットでテストされた。1匹のラットは治療(血液量代償) 中に、3匹のラットは治療後150分以内に、さらに1匹のラットは血液量代償 から180分後にそれぞれ死亡した。プラセボ製剤は18匹のラットに投与され た。これらのラットのうち4匹は治療中に、4匹は治療後150分以内に、さら に4匹は血液量代償から180分以上経過した後にそれぞれ死亡した。治療後1 50分が経過する前に死亡したラットは評価に際して無視された。 リンゲル液による結果をプラセボ製剤の結果と比較すれば、平均動脈血圧、心 拍数および総末梢血管抵抗につき同じかまたはもっと低い値がプラセボ製剤治療 によって得られたことが明らかであった。毎分拍出量と拍出量とに関する値は同 じかまたはプラセボ製剤グループの方がリンゲル液グループよりも高かった。 AGPで治療されたラットの場合には、血圧は初期に高まり、その後徐々に低 下した(図1参照)。ただし血圧の完全な回復は実現されなかった。観察期間に おけるすべての値は当初値よりも低下していた(p≦0.001)。心拍数(図 2)については血液量置換後において当初値と比較した変化は観察されなかった (p>0.05)。毎分拍出量(図3)は血液量置換直後には当初値よりも高か った(p<0.01)が、その後再び当初値に向かい(+30−+90分まで; p>0.05)、最終的には当初値以下に低下した(p<0.05または≦0. 01)。 値が最初の120分の間は統計的に当初値と相違していなかったという例外は あるにせよ、拍出量(図4)についても同様な事情が判明した。総末梢血管抵抗 (図5)は観察期間全体にわたって当初値に比較して低かった。ただし有意性は +30)+90および+120分では達成されなかった。 図1から5まではAGP治療されたラットとプラセボ製剤で治療されたラット との間の比較も示している。平均動脈血圧はAGP治療されたグループの方が血 液量置換後のすべての測定点で有意に高い(図1)。心拍数は同じかまたはAG Pグループの方が有意に高いが、その差は非常に小さいものであった(図2)。 毎分拍出量は、血液量置換から“240分”後の測定点を別として、AGP治療 されたグループの方が有意に高い(図3)。拍出量はAGPによる治療が行なわ れた後、血液量置換後30−150分において有意に高い(図4)。総末梢血管 抵抗はプラセボ製剤グループに比較してAGPグループでは注入後60−120 分において高まっている(図5)。 以上の実験はプラヤボ製剤(AGPを含まないアルブミンの形の同量の蛋白質 を含有)またはリンゲル液による治療に比較してAGPによる治療が卓越してい ることを示している。この点から、AGPは循環血液量減少性ショックに際し死 活的重要性を有する臓器の灌流を適正に維持することができると結論することが できる。 実施例2 ラットの“卒中発作モデル”における脳水腫の防止 グローバルな脳虚血(“卒中発作”)が二本の頚動脈の結紮と5mlの瀉血に よって達成された。30分におよぶ虚血後に頚動脈が再び開放され、瀉血された 血液が再び注入された。23.5時間後にラットは殺傷され、両側大脳半球の水 分含量が測定された。 予備実験において、オロソムコイドは600mg/kg i.v.でグローバ ルな脳虚血後の脳水腫の形成を抑制し得ることが判明していた。緩衝剤には依然 としてこの効果は認められなかった。本例ではオロソムコイドの水腫防止効果に 関する用量効果関係/時間効果関係が明らかにされる。 実施例1でも使用されたオロソムコイドがラットにより200mg/kg i .v.にて血液再潅流と同時にテストされた。図6はその結果を示している。こ れから、偽被術ラット(C、n=12)には脳水腫はないが、他方、虚血を生じ 、食塩水で治療されたラットには広範な脳水腫が認められる(B、n=8)こと が判明した。オロソムコイドで治療された虚血ラット(A、n=11)の状況は またも偽被術ラットと同様であった。 ただしオロソムコイドの用量を体重kgあたり50mg i.v.に減少すると もはや予防効果は認められない(図7のグラフ棒A、参照)。効果の用量相関性 はこれによって裏付けられている。 人の場合の治療事情を顧慮し、オロソムコイドがあるいは卒中発作の発生後に もなお有効であるか否かをテストすることは興味深いことであった。そこで、前 記において有効と認められた200mg/kg i.v.の用量が虚血終了30 分後に投与された。図8から判明するように(グラフ棒A)、オロソムコイドは こうした事情の場合にも十全な効果を有している。 したがって卒中発作の結果として生じる脳水腫に対するオロソムコイドの予防効 果は動物実験により立証されている。 実施例3 ラットモデルにおける蛋白尿治療 ラットが第0日に100mg/kgのピューロマイシン・アミノヌクレオシド i.p.で治療された。コントロールグループには同様にして等張食塩液が投与 された(負のコントロールグループ)。蛋白測定のために代謝ケージで24時間 尿が収集された。 ピューロマイシンで治療されたラットには実験第6、7、8および9日目に2 00mg/kgのオロソムコイドi.v.または同様に等張食塩液(正のコント ロールグループ)が投与された。 10日目にラットは秤量され、血漿採取のため心臓穿刺によって殺傷された。 腎臓湿重量が測定され、血漿のクレアチニンおよび尿素が測定された。 その際以下のパラメータが調査された:尿中総蛋白(mg/24h)、血漿ク レアチニン(mg/dl)、血中尿素(mg/dl)および腎臓指数(体重%で 表わした腎臓重量)。 図9には第一実験ラウンドの蛋白尿値が表わされている。第0日に等張食塩液 で治療されたラットはわずかな生理学的蛋白尿を示していた(黒菱形)。ピュー ロマイシンで治療されたラットの場合には第3日目から尿中蛋白が増加した。第 6日から第9日まで等張食塩液が投与されたラットの場合には総蛋白は500− 600mg/24時間に達した(白三角)。第6日から第9日までオロソムコイ ドで治療されたラットの場合には蛋白排出は実質的にコントロールグループ値に まで低下した(黒四角)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 シュヴァルツ,ハンス−ペーター オーストリア、アー―1180ヴィーン、シン ドラーガッセ32番 (72)発明者 リンナウ,イェンドラ オーストリア、アー―1220ヴィーン、ゲマ インデアウガッセ3番 (72)発明者 テシュナー,ヴォルフガング オーストリア、アー―1030ヴィーン、ゲシ ュテッテンガッセ19/14番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.非炎症性の血液潅流障害/微小循環障害の治療用製剤の製造へのヒトα1 −酸性糖蛋白質の使用。 2.前記製剤が出血性ショックおよび/または循環血液量減少性ショックの治 療に適していることを特徴とする請求項1記載の使用。 3.前記製剤が特に急性出血時、過量の体液喪失時または血管拡張時における 血管内循環血液量の安定化に適していることを特徴とする請求項2記載の使用。 4.前記製剤が灌流低下と関連して生ずる再灌流障害の防止に適していること を特徴とする請求項1記載の使用。 5.前記製剤が卒中発作の結果としての再灌流障害の防止、特に脳水腫の減少 に適していることを特徴とする請求項4記載の使用。 6.前記製剤が臓器特に腎臓の微小循環障害の治療に適していることを特徴と する請求項1記載の使用。 7.前記製剤が蛋白尿の治療に適していることを特徴とする請求項6記載の使 用。 8.前記製剤が水腫の防止または治療に適していることを特徴とする請求項6 記載の使用。 9.前記製剤が貯蔵安定性を有する注入液として製造されることを特徴とする 請求項1ないし8のいずれか一項記載の使用。 10.前記製剤が凍結乾燥品として製造されていることを特徴とする請求項1 ないし9のいずれか一項記載の使用。 11.前記製剤が70mg/kgから5g/kgまでの範囲の用量、特に10 0−700mg/kgの範囲の用量で使用されることを特徴とする請求項1ない し10のいずれか一項記載の使用。 12.前記薬剤が総蛋白量に対して少なくとも50%のα1−酸性糖蛋白質、 特に70%以上、好ましくは90%以上のα1−酸性糖蛋白質を含有しているこ とを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項記載の使用。 13.前記製剤がさらにアルブミンを含有していることを特徴とする請求項 1ないし12のいずれか一項記載の使用。 14.前記製剤が安定剤、特にカプリル酸ナトリウムを含有していることを特 徴とする請求項1ないし13のいずれか一項記載の使用。 15.前記製剤が特に少なくとも一つの物理的処理たとえば熱処理および/ま たは濾過によってウイルス不活化処理またはウィルス枯渇化処理されていること を特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項記載の使用。 16.前記治療が血管作動性物質、特にカテコールアミンの投与を包含してい ることを特徴とする請求項2記載の使用。 17.前記血管作動性物質が一緒にまたは平行して投与されることを特徴とす る請求項16記載の使用。 18.有効成分としてα1−酸性糖蛋白質と血管作動性物質とを含有するショ ック状態治療用注入製剤。 19.下記物質すなわち、 薬剤中のα1−酸性糖蛋白質と 血管作動性物質 とから成るショック状態治療セット。
JP53896098A 1997-03-10 1998-03-10 薬剤製造へのヒトα▲下1▼−酸性糖蛋白質の使用法 Pending JP2001514629A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
AT409/97 1997-03-10
AT0040997A AT405241B (de) 1997-03-10 1997-03-10 Verwendung von humanem alpha1-sauren glycoprotein zur herstellung einer pharmazeutischen präparation
PCT/AT1998/000060 WO1998040087A2 (de) 1997-03-10 1998-03-10 VERWENDUNG VON HUMANEM α1-SAUREN GLYCOPROTEIN ZUR HERSTELLUNG EINER PHARMAZEUTISCHEN PRÄPARATION

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001514629A true JP2001514629A (ja) 2001-09-11

Family

ID=3489866

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP53896098A Pending JP2001514629A (ja) 1997-03-10 1998-03-10 薬剤製造へのヒトα▲下1▼−酸性糖蛋白質の使用法

Country Status (14)

Country Link
EP (1) EP0967986B1 (ja)
JP (1) JP2001514629A (ja)
AT (2) AT405241B (ja)
AU (1) AU6284198A (ja)
BR (1) BR9808000A (ja)
CA (1) CA2283580A1 (ja)
DE (1) DE59805897D1 (ja)
DK (1) DK0967986T3 (ja)
ES (1) ES2185147T3 (ja)
HU (1) HUP0100639A3 (ja)
NO (1) NO994339L (ja)
PT (1) PT967986E (ja)
SK (1) SK120299A3 (ja)
WO (1) WO1998040087A2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT408946B (de) * 1999-02-18 2002-04-25 Immuno Ag Verwendung von orosomucoid zur herstellung einer pharmazeutischen präparation
AT407485B (de) * 1999-04-14 2001-03-26 Haemosan Erzeugung Pharmazeuti Neue medizinische verwendung von alpha1-saurem glykoprotein

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06118723A (ja) * 1992-10-02 1994-04-28 Fujitsu Ltd 電子写真用キャリア
JPH06122025A (ja) * 1992-10-14 1994-05-06 Komatsu Ltd プレスブレーキロボットシステムのワーク曲げ追従方法

Also Published As

Publication number Publication date
DE59805897D1 (de) 2002-11-14
AT405241B (de) 1999-06-25
WO1998040087A2 (de) 1998-09-17
BR9808000A (pt) 2000-03-08
ATE225664T1 (de) 2002-10-15
NO994339L (no) 1999-11-08
ES2185147T3 (es) 2003-04-16
WO1998040087A3 (de) 1998-12-17
DK0967986T3 (da) 2003-02-10
EP0967986A2 (de) 2000-01-05
EP0967986B1 (de) 2002-10-09
CA2283580A1 (en) 1998-09-17
PT967986E (pt) 2003-02-28
ATA40997A (de) 1998-11-15
HUP0100639A3 (en) 2001-09-28
AU6284198A (en) 1998-09-29
SK120299A3 (en) 2000-05-16
HUP0100639A1 (hu) 2001-08-28
NO994339D0 (no) 1999-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Saba et al. Cryoprecipitate reversal of opsonic α2-surface binding glycoprotein deficiency in septic surgical and trauma patients
Klar et al. Isovolemic hemodilution with dextran 60 as treatment of pancreatic ischemia in acute pancreatitis. Clinical practicability of an experimental concept.
US5037810A (en) Medical application for heparin and related molecules
JP5792057B2 (ja) 創傷治癒における瘢痕形成を低減するための組成物および方法
JP2010163457A (ja) 脈管形成に有効な単位用量のfgf−2および使用方法
JP2005516024A (ja) 上皮増殖因子(egf)を包含する医薬組成物を用いた、糖尿病における下肢切断の予防方法
KR20190105588A (ko) FXIa 항체를 위한 신규한 안정한 제제
JP3012319B2 (ja) 脳及び筋肉組織傷害による浮腫の治療剤
US20130344056A1 (en) Keratin biomaterials for treatment of ischemia
Sigurdsson Intensive care management of acute pancreatitis
EA010650B1 (ru) Защищающие ткань цитокины для лечения и профилактики сепсиса и образования спаек
Walensi et al. Mesenteric ischemia-reperfusion injury: Clearly improved hemodynamics but only minor protection of the rat small intestine by (sub) therapeutic heparin sodium and enoxaparin doses
Gentilini et al. Renal functional impairment and sodium retention in liver cirrhosis
US5488033A (en) Treatment to reduce edema
JPH09176040A (ja) ヘパリンコファクターiiの医薬用途
JP2001514629A (ja) 薬剤製造へのヒトα▲下1▼−酸性糖蛋白質の使用法
US20030069174A1 (en) Use of human alpha1-acid glycoprotein for producing a pharmaceutical preparation
CZ321699A3 (cs) Použití humánního alfal-kyselého glykoproteinu k výrobě farmaceutického přípravku
JPH08231413A (ja) 臓器障害に基づく疾患の予防・治療剤
RU2227032C2 (ru) Способ профилактики осложнений при цементном эндопротезировании крупных суставов
Zanwar et al. Comparison of epsilon aminocaproic acid and tranexamic acid to control postoperative bleeding in patients undergoing mitral valve replacement surgery-A randomised double blind trial
Tarasiuk et al. Antivenom serotherapy and volume resuscitation partially improve peripheral organ ischemia in dogs injected with scorpion venom
MXPA99008298A (en) USE OF HUMAN&agr;1
Madanaik et al. Epsilon Aminocaproic Acid And Tranexamic Acid To Prevent Postoperative Bleeding In Patients Undergoing Aortic Or Mitral Valve Replacement Surgery Performed Under Cardiopulmonary Bypass-A Comparitive Randomised Double Blind Trial
CN101879310A (zh) 人尿激肽原酶在制备治疗糖尿病肾病药物中的应用