JP2001506733A - ノイズを減衰する転動ベアリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 オートマチックトランスミッションのコンバータのシャフト（２）を隙間無しノイズ無し取り付けするのに使用される転動ベアリング（５）は、流体で充填された隙間（１４）を間に画成する二つのリングエレメント（１１、１２）を含む少なくとも一つの軌道リングを含む。本発明によれば、第１リングエレメント（１１）は、薄壁ブッシュとして形成されている。このブッシュの軌道（１０）は、その円形形状から離れた弾性変形軌道凸部（１３）を少なくとも一つの周囲区分に備えており、そのため、軌道凸部（１３）とその反対側にある軌道（９）との間で少なくとも一つの転動エレメント（６）に予備応力が加えられる。

Description

【発明の詳細な説明】 ノイズを減衰する転動ベアリング 発明の分野 本発明は、転動エレメントと接触した第１リングエレメント、この第１リング エレメントを取り囲む第２リングエレメント、両リングエレメント間に配置され た、流体で充填された隙間を含む複合中空リングとして形成された少なくとも一 つの軌道リングを持つ転動ベアリングに関する。 発明の背景 上掲の種類の低騒音（ｓｉｌｅｎｃｅｄ）ベアリングは、ドイツ国特許公開第 ４１ ３４ ６０４ Ａ１号から知られている。このベアリングは、オイルで充 填された隙間が間に配置された外リングエレメント及び内リングエレメントを含 む中空リングとして形成された軌道リングを有する。このようにして、中空リン グは流体の薄膜によって中断されており、そのため、転動エレメントによって軌 道に発生した軌道ノイズを流体の薄膜によって減衰する。 このようなベアリングでノイズの減衰がなされることは事実であるが、ノイズ の原因、即ちベアリングに取り付けられたエレメント自体の移動によるベアリン グでの振動の発生はなくなっていない。 発明の概要 従って、本発明の目的は、ノイズ源をできるだけ完全に除外すると同時に従来 技術の欠点をなくす低騒音ベアリングを提供することである。 本発明は、第１リングエレメントを壁厚が均等な薄壁ブッシュとして形成し、 この第１リングエレメントの軌道の少なくとも一つの周囲区分にその円形形状か ら離れた弾性変形軌道凸部を設け、その結果、転動エレメントのうちの少なくと も一つの転動エレメントに、軌道凸部とこの凸部の反対側にある軌道との間で半 径方向に予備応力を加えることによって、請求項１の特徴部分に従ってこの目的 を達成する。 この非円形形状により、所定の予備応力をシャフトに加えることができ、その ため、遊びがなくなり、シャフト自体が移動する可能性は僅かしかなく、その結 果、うるさいノイズは始めから全く発生しない。軌道凸部の弾性は、一方では、 十分大きな予備応力をシャフトに加えるように、他方では、軌道凸部の弾性力に 打ち勝ってシャフト自体の半径方向外方への僅かな移動が可能であるように選択 しなければならない。オイルギャップによるベアリングの追加の減衰は、弾性軌 道凸部が、ベアリングに取り付けられたシャフトによって半径方向外方に押され たとき、中空リングの第１及び第２のリングエレメント間のオイルで充填された 隙間によってなされる。 シャフトに加えられる予備応力のレベルは、薄壁ブッシュの製造に使用された 材料及びその壁厚で決まる。使用された材料の壁厚が大きければ大きい程、シャ フトに加えられる予備応力のレベルが高くなる。通常使用される鋼材料の弾性は 、それらの硬度による影響も受ける。即ち、硬化処理鋼の場合、非硬化処理鋼の 場合よりもシャフトに加わる予備応力が大きい。 調節された弾性のレベルは、円形形状から離れた軌道凸部が薄壁ブッシュに形 成された箇所の数によっても左右される。従って、有利には、請求項２によれば 、ブッシュの軌道は、互いに１２０°ずれた３つの周囲区分に軌道凸部を備えて いる。これにより、均等な予備応力がシャフトに全ての側から加えられる。即ち 、シャフト自体の移動は、軌道凸部の領域に存在する薄壁ブッシュの弾性力に打 ち勝つことによってしか可能とならない。 請求項３による本発明の別の特徴によれば、第２リングエレメントのフランジ は、周方向に均等に間隔が隔てられた軸線方向供給ボアを備えている。二つのリ ングエレメント間に画成された隙間は、これらの供給ボアを通った減衰流体で、 即ちオイルで充填されている。 請求項４によれば、供給ボアから遠方の中空リングの端部に、第２リングエレ メントのフランジと転動エレメントのクラウンリングとの間にシーリングリング が配置されている。 シーリングリングにより、オイル圧力が均等になり、漏れが制限される。これ は、隙間を充填するためにベアリング内に供給されたオイルが制御されずに流出 することを阻止するためである。このシールリングはシャフトに着座しており、 即ち、シャフトにしっかりとは固定されていないので、シーリングリングの回転 速度は、シャフトの回転速度以下である。 最後に、請求項５によれば、本発明によるベアリングは、好ましくはオートマ チックトランスミッション用の流体力学的トルクコンバータのコンバータネック を隙間無し取り付けするために使用される。このようにして、有利には、コンバ ータ及びオイルポンプの領域で発生し、ベアリングを通してトランスミッション のハウジングに伝達されるノイズを効果的になくすことができる。 同じ有利な効果が、第１リングエレメントを壁厚が均等な薄壁ブッシュとして 形成し、この第１リングエレメントの軌道の少なくとも一つの周囲区分にその円 形形状から離れた弾性変形軌道凸部を設け、その結果、この周囲区分で第１及び 第２のリングエレメント間に隙間が形成され、転動エレメントのうちの少なくと も一つの転動エレメントが軌道凸部とこの凸部の反対側にある軌道との間で半径 方向に予備応力が加えられる独立項６によっても得られる。請求項１の解決策に 関する主な相違点は、二つのリングエレメント間に形成された隙間が流体で充填 されていないということである。 本発明を以下の実施例を参照して更に詳細に説明する。 図面の簡単な説明 第１図は、オートマチックトランスミッションのコンバータの一部を示す長さ 方向断面図であり、 第２図及び第３図は、本発明によるベアリングの横断面図及び縦断面図である 。 図面の詳細な説明 第１図に部分的に示す流体力学的トルクコンバータは、エンジンが直接駆動す る入力ロータ１を介してエンジンの機械的エネルギを流れエネルギに変換する。 通常はこのような駆動装置の一部を形成するトランスミッションのこの他の構成 要素、即ち出力ロータ、ステータ、オーバーランニングクラッチ、及び入力シャ フトは、この簡単な図面には示してない。更に、全てのコンバータには、トラン スミッションを作動するための制御圧力を維持するためのオイルポンプが設けら れている。オイルポンプはポンプホイール３を含み、このポンプホイールは、ポ ンプハウジング４に収容されており且つコンバータのシャフト２にしっかりと連 結されている。コンバータのシャフト２は、このポンプハウジング４に転動ベア リング５を介して回転自在に取り付けられている。コンバータ及びオイルポンプ の領域で発生したノイズがベアリング５を通ってハウジング全体に伝達されるこ とがないようにするため、このベアリング５は、本発明に従って、第２図及び第 ３図及び以下の説明でわかるように、形成されていなければならない。 第２図によれば、シャフト２はベアリング５に取り付けられている。このベア リングの転動エレメントは、ベアリングニードル６として形成されており、スリ ット７を持つケージ８によって、軸線方向に平行な関係で案内される。ベアリン グニードル６は、軌道９及び１０と転動接触している。これらの軌道の夫々は、 シャフト２の外周面によって、及び薄壁ブッシュとして形成された第１リングエ レメント１１によって形成されている。第１リングエレメント１１即ちブッシュ は、ハウジング４内に収容された第２リングエレメント１２によって取り囲まれ ている。互いに１２０°ずれた３つの周囲区分において、ブッシュ１１は、円形 形状から離れた軌道凸部１３を有し、そのため、隙間１４がブッシュ１１と第２ リングエレメント１２との間に形成される。これらの軌道凸部１３は半径方向に 弾性変形しており、そのため、一方では、コンバータのシャフト２は、三つの周 囲領域でしっかりと予備応力が加えられる。これは、ベアリングニードル６が内 軌道９及び外軌道１０の両方に当接するためである。他方では、軌道凸部１３に よる弾性力に打ち勝って、シャフト２自体が半径方向外方に移動できる。この起 こり得るシャフト２自体の移動は、オイルが充填された隙間１４によって減衰さ れ、そのため、ノイズが効果的に抑制される。 第３図でわかるように、二つのリングエレメント１１、１２によって構成され た中空リングは、半径方向内方に差し向けられたフランジ１５をその二つの端部 の各々に備えている。一方の端部に設けられたフランジ１５には、周方向で等間 隔に離間された複数の供給ボア１６が設けられている。これらボアは、オイルを 隙間１４に供給するのに役立つ。供給ボア１６と反対側の端部では、シーリング リング１７が転動エレメントクラウンリング６と第２リングエレメント１２のフ ランジ１５との間に配置されており、コンバータのシャフト２に着座している。 このシーリングリング１７は、シャフト２及びフランジ１５の各々と漏れ不連続 部を画成し、供給ボア１６を通して供給されたオイルが制御を全く受けずにベア リングから流出することがないようにする。 参照番号表 １ コンバータの入力ロータ ２ コンバータのシャフト ３ オイルポンプのポンプホイール ４ オイルポンプのハウジング ５ 転動ベアリング ６ ベアリングニードル ７ スリット ８ ケージ ９ 軌道 １０ 軌道 １１ 第１リングエレメント即ちブッシュ １２ 第２リングエレメント １３ 軌道凸部 １４ 隙間 １５ フランジ １６ 供給ボア １７ シーリングリング

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】平成１０年７月２８日（１９９８．７．２８） 【補正内容】 〔原請求の範囲全項に差し換える請求の範囲の訳文〕 １．転動エレメント（６）と接触した第１リングエレメント（１１）、この第１ リングエレメント（１１）を取り囲む第２リングエレメント（１２）、両リング エレメント（１１、１２）間に配置された、流体で充填された隙間（１４）を含 む複合中空リングとして形成された少なくとも一つの軌道リングを持つ転動ベア リング（５）において、前記第１リングエレメント（１１）を壁厚が均等な薄壁 ブッシュとして形成し、この第１リングエレメントの軌道（１０）の少なくとも 一つの周囲区分にその円形形状から離れた弾性変形軌道凸部（１３）を設け、そ のため、前記転動エレメント（６）のうちの少なくとも一つに、前記軌道凸部（ １３）とこの凸部の反対側にある軌道（９）との間で半径方向に予備応力が加え られ、前記第２リングエレメント（１２）のフランジ（１５）と前記転動エレメ ントのクラウンリング（６）との間にシーリングリング（１７）が配置されてい る、ことを特徴とする転動ベアリング（５）。 ２．前記ブッシュの前記軌道（１０）は、互いに１２０°ずれた３つの周囲区分 に軌道凸部（１３）を備えている、ことを特徴とする請求項１に記載の転動ベア リング（５）。 ３．前記第２リングエレメント（１２）のフランジ（１５）は、周方向に均等に 間隔が隔てられた軸線方向供給ボア（１６）を備えている、ことを特徴とする請 求項１に記載の転動ベアリング（５）。 ４．好ましくはオートマチックトランスミッション用の流体力学的トルクコンバ ータのコンバータネック（２）の隙間無し取り付けするために使用される、こと を特徴とする請求項１に記載の転動ベアリング（５）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．転動エレメント（６）と接触した第１リングエレメント（１１）、この第１ リングエレメント（１１）を取り囲む第２リングエレメント（１２）、両リング エレメント（１１、１２）間に配置された、流体で充填された隙間（１４）を含 む複合中空リングとして形成された少なくとも一つの軌道リングを持つ転動ベア リング（５）において、前記第１リングエレメント（１１）を壁厚が均等な薄壁 ブッシュとして形成し、この第１リングエレメントの軌道（１０）の少なくとも 一つの周囲区分にその円形形状から離れた弾性変形軌道凸部（１３）を設け、前 記転動エレメント（６）のうちの少なくとも一つに、前記軌道凸部（１３）とこ の凸部の反対側にある軌道（９）との間で半径方向に予備応力が加えられる、こ とを特徴とする転動ベアリング（５）。 ２．前記ブッシュの前記軌道（１０）は、互いに１２０°ずれた３つの周囲区分 に軌道凸部（１３）を備えている、ことを特徴とする請求項１に記載の転動ベア リング（５）。 ３．前記第２リングエレメント（１２）のフランジ（１５）は、周方向に均等に 間隔が隔てられた軸線方向供給ボア（１６）を備えている、ことを特徴とする請 求項１に記載の転動ベアリング（５）。 ４．前記供給ボア（１６）から遠方の前記中空リングの端部では、前記第２リン グエレメント（１２）のフランジ（１５）と前記転動エレメントのクラウンリン グ（６）との間にシーリングリング（１７）が配置されている、ことを特徴とす る請求項１に記載の転動ベアリング（５）。 ５．好ましくはオートマチックトランスミッション用の流体力学的トルクコンバ ータのコンバータネック（２）を隙間無し取り付けするために使用される、こと を特徴とする請求項１に記載の転動ベアリング（５）。 ６．転動エレメント（６）と接触した第１リングエレメント（１１）及びこの第 １リングエレメント（１１）を取り囲む第２リングエレメント（１２）を含む複 合リングとして形成された少なくとも一つの軌道リングを持つ転動ベアリング（ ５）において、前記第１リングエレメント（１１）を壁厚が均等な薄壁ブッシ ュとして形成し、この第１リングエレメントの軌道（１０）の少なくとも一つの 周囲区分にその円形形状から離れた弾性変形軌道凸部（１３）を設け、そのため 、この周囲区分で前記第１及び第２のリングエレメント（１１、１２）間に隙間 （１４）が形成され、前記転動エレメント（６）のうちの少なくとも一つが前記 軌道凸部（１３）とこの凸部の反対側にある軌道（９）との間で半径方向に予備 応力が加えられる、ことを特徴とする転動ベアリング（５）。