JP2001501715A - ボールジョイント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ボールジョイントケーシング（２）と、該ボールジョイントケーシング（２）の切欠き（３）に旋回可能に支承されたボール（５）と、軸部（６）及び前記ボールケーシング（２）間の弾性的なシール部材とから成るボールジョイント（１）は、このような形式のボールジョイント（１）の製作が簡単にされ、組込み時間が短縮され、製作コスト及び不良率が低下されるように形成されることが望ましい。このことは、シール部材が架橋エラストマ及び／又は非架橋エラストマ製の、一体成形された被覆部材（２１）から成っていることにより達成される。

Description

【発明の詳細な説明】 ボールジョイント 本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式のボールジョイントに関する。 このような形式の公知のボールジョイントの場合、シール部材として設けられ た被覆部材は、天然ゴム又は合成ゴム、又は熱可塑性エラストマ製のスリーブ若 しくはベローズから成っている。これらのスリーブ若しくはベローズは、円錐形 にアコーディオン状に波形を付けられている。公知のスリーブ若しくはベローズ は、ボールジョイントのジャーナルを介して押しずらされ、プレロードの作用を 受けて比較的大きな開口の縁部を以てボールジョイントケーシングの環状溝に係 合する。付加的に、前記スリーブ若しくはベローズを介して１つ又は２つの一体 の位置固定リング又はコイルばねリングが緊締され、該位置固定リング又はコイ ルばねリングは、前記スリーブ若しくはベローズを前記環状溝に押し込み、これ により位置固定リング又はコイルばねリングは確実且つ密に固定する。 この構造形式は、一方ではスリーブ若しくはベローズの、また他方ではボール ジョイント体の分割された製作、収納及び組込みを必要とする。この場合更に、 位置固定リング及びコイルばねリング用には、耐腐食 性、延いては高価な材料を使用しなければならない。更に、コイルばねリングの 張設時に、組込みに起因して比較的頻繁にスリーブ若しくはベローズが裂断され 、これにより高い不良率が生ぜしめられて、手間のかかる修理作業が生じる。 本発明により、冒頭で述べた形式のボールジョイントの製作を簡単にし、組込 み時間を短縮し、製作コストと不良率とを低下させるという課題が解決されるこ とが望ましい。更に、このような形式のボールジョイントの耐用年数が増大され ることが望ましい。 この課題は、請求項１の特徴部に記載の構成により解決される。 本発明の使用により、スリーブ若しくはベローズと、位置固定リング若しくは コイルばねリングとの分割された製作及び収納を懸念する必要が無くなる。それ というのも、被覆部材のプラスチックが一体成形時に溝内に延びて、ボールジョ イントケーシングの材料と形状接続的に結合されるからである。従って、位置固 定リング若しくはコイルばねリングも最早必要ではなくなるので、これらの固定 リング若しくはコイルばねリング、及びこれらの固定リング若しくはコイルばね リングに起因する不良及び修理を懸念する必要が無くなる。 本発明の有利な改良は、請求項２以下に記載されている。 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。 第１図は、底部から射出された軸受けシェルを有する実施例を示した図であり ； 第２図、第２ａ図、第３図、第４図及び第５図は、ボールジョイントの別の有 利な構成を示した図である。 第１図には、符号１によりボールジョイントが示されている。このボールジョ イント１はボールジョイントケーシング２を有しており、このボールジョイント ケーシング２には切欠き３が設けられている。この切欠き３には、開口２．１を 介して接近できる。切欠き３内には、小さな摩擦係数を有するプラスチックから 成る、射出成形された軸受けシェル４が位置している。この軸受けシェル４の支 承面は、ボール付きジャーナル７の軸部６に設けられているボール５を支承する ために働く。ボールジョイントケーシング２には、側方に突出するフランジ８の 形の固定手段が設けられている。 ボールジョイント１の製作は、ボール付きジャーナル７がそのボール５と共に 、切欠き３内の規定された最終位置にもたらされ、次いで開口２．１が所定の成 形工具プランジャ（図示せず）によって閉鎖されるように行われる。開口２．１ に対向位置する側では、ボールジョイントケーシング２の閉鎖された底部２．２ に注型開口２．３が設けられており、この注型開口２．３を介して、射出成形用 工具（詳しくは図示せず）に設けられた注型プランジャ１０によって、プラスチ ック質量が切欠き３の内壁３．１とボール５との間に残る中空室に射出される。 これにより、軸受けシェル４が形成される。 切欠き３内で軸受けシェル４を良好に固定するためには、切欠き３の内壁３． １が粗面化されているか、波形を付けられているか、周方向で溝付けされている か、さもなければ適当な形式で付着性を媒介するように形成されている。特に、 公知の金属鋳造法によるボールジョイントケーシング２の製作時に生ぜしめられ る粗い表面は未加工のままでよい。それというのも、内壁３．１の製作における 高い精度は重要ではないからである。 ボールジョイントケーシング２用の材料としては、金属、有利には鋼若しくは 鋳鋼が使用される。アルミニウム、又はプラスチックを使用することもできる。 軸受けシェル４用には、熱可塑的又は熱硬化的に変形可能で、引き続き硬化する プラスチックが使用され、このプラスチックは小さな滑り摩擦を有している。有 利なプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシメチレ ン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン又はポリアミドが挙げ られる。しかし、別の適当なプラスチックも使用可能 である。 軸受けシェル４の材料は、発泡プラスチックから成っていてもよい。この発泡 プラスチックは、例えば射出成形プロセスにおいて処理される材料に、約最大２ ０％の発泡剤を添加して製作されていてよい。これにより、連続気泡型又は独立 気泡型のプラスチック−発泡材料体が得られ、このプラスチック−発泡材料体は 、気泡があるにも関わらず十分に大きな強度を有し、従って長い耐用年数を保証 する。更にこのプラスチック−発泡材料体は連続気泡構造において、潤滑剤を収 容することができるという特性を有しているので、ボールジョイント１は永久潤 滑によって維持され得る。 本発明によれば、従来はスリーブ若しくはベローズによりシールされていた、 軸部６と、ボールジョイントケーシング２の上部域２．０に設けられた環状溝２ ．０１との間の領域が、既存の中空室全体を満たす、架橋エラストマ及び／又は 非架橋エラストマから成る一体成形された弾性的な被覆部材２１によって取り囲 まれている。この被覆部材２１は、少なくとも軸部６の中央域２２から環状溝２ ．０１に至るまで、又は環状溝２．０１の下方にまで延びている。弾性的な被覆 部材２１を一体成形する場合は、プラスチックが環状溝２．０１に流し込まれる 。被覆部材２１用の材料としては、有利にはポリウレタン、ポリエステル又はシ リコーン等のプラスチック、又はポリウレタン、ポリ エステル又はシリコーンをベースとしたプラスチックが使用される。使用可能な プラスチックはボールジョイントケーシング２の材料に良好に付着するので、位 置固定リング又はコイルばねリングは全く考慮されなくてよい。 第１図の右側に関して示した被覆部材２１の部分断面図に描かれているように 、被覆部材２１は有利には独立気泡型及び／又は連続気泡型の材料から成ってい る。これにより、軸部６の大きな角度撓みにおいて比較的好適な材料負荷が得ら れ、被覆部材２１の耐用年数が延長される。 特に発泡材料は連続気泡型に形成されており、且つ外側表面に閉じられた外被 ２３を有している。このことは機械的な負荷における、より高い強度を生ぜしめ る。更に、この材料の場合は、気泡が潤滑剤リザーバとして使用され得る。潤滑 剤としては、例えばグリース又はオイル、又はグリース−オイル混合物を使用す ることができる。 外壁若しくは外被２３は、第１図のボールジョイント１の右側に関して示した ように、公知のベローズスリーブのように環状に波形を付けられて形成されてい てよい。これにより、軸部６が著しく変位した場合に被覆部材２１の材料の引張 負荷及び押圧負荷が減少され、被覆部材２１、延いては滑り軸受けの耐用年数が 延長される。 環状溝２．０１の代わりに、内部で被覆部材２１の材料を不動に固定すること のできる複数の溝区分、及び／又は凹部、及び／又はノッチが設けられていても よい。更に本発明は、ボールジョイントの別の構造においても適用され得る。例 えば、プラスチックシェル４は存在していなくてよいか、又はボールジョイント ケーシング２は別の任意の形式で、例えば底部がボール付きジャーナルを導入す るための開口を有しており、前記底部が圧力板によって閉鎖され、この圧力板が ボールジョイントケーシング２の縁部の縁曲げ加工若しくは巻込み加工により固 定されるように形成されていてもよい。また、本発明の機能に関しては、どの材 料からボールジョイントケーシング２及び／又はボール付きジャーナル７が成っ ているかは重要ではない。これらの材料は、生ぜしめられる負荷等に応じて自由 に選択することができる。 第２図から第５図に示した形式のボールジョイント１における本発明の適用は 有利である。これらの形式では、プラスチック軸受けシェル４を製作するための 成形プランジャが特別な形式で利用される。 第２図に示した実施例では、ボールジョイントケーシング２の底部２．２の、 ボール付きジャーナル７に対向位置する球欠区分５．１において、軸受けシェル ４の製作時に、注型プランジャ１０内でシフト可能に案内された成形プランジャ １０．１が、孔として形成 された開口２．２１を介してボール５の方に押し付けられている。 成形プランジャ１０．１を使用する特別な利点は、第２図及び第３図から明ら かである。第２図及び第３図に示したボール５の場合、球欠区分５．１は球面と して完全には形成されておらず、例えば多少とも平らな、又は内側に向かう円錐 形の、場合によっては段付け又は凹設された面５．２を形成する。このことは、 ボール体５の製作において一般に、ボール付きジャーナル７がボール５と共に切 削加工後に原材料から分離され、特に旋削加工により切り離されると生ぜしめら れる。軸受けシェル４が成形プランジャ１０．１無しで射出成形されると、ボー ル５は最早回転若しくは旋回され得ないか、又は非常に回転若しくは旋回されに くくなる。但し、成形プランジャ１０．１が少なくとも面５．２を覆って密に取 り囲むように開口２．２１が配置され、更に成形プランジャ１０．１も配置・構 成されていると、前記作用は最早生ぜしめられない。つまり、このようにするこ とよって前記面領域には最早一緒に射出されないので、球面が完全には形成され ていなくても、ボール５は軸受けシェル４内であらゆる方向で容易に運動するこ とができる。従ってこの手段を講じることにより、前記切離し過程等は重要でな くなるので、ボール５、延いてはボールジョイント１も合理的且つ廉価に製作さ れ得る。 付加的に、成形プランジャ１０．１によって特に、成形工具におけるボール５ の良好な位置固定が保証されている。成形プランジャ１０．１を使用する場合、 第２ａ図に４つの注型箇所２．３に関して概略的に示したように、有利には少な くとも１つ又は複数の注型箇所２．３が、成形プランジャ１０．１の側方に設け られている。 第３図に示した実施例では、適当な成形工具を用いて天然ゴム又はエラストマ から成る１つ若しくは各１つのシール用Ｏリング１１；１２を挿入するか、又は 特に軸受けシェル４の製作時に一緒に成形することができる。前記シール用Ｏリ ング１１；１２は、軸受けシェル４の各端縁部４．２を外部に向かってシールす る。 成形プランジャ１０．１を介して軸受けシェル４内で維持される開口４．１は 、エラストマか、又は熱可塑性又は熱硬化性プラスチックから成り、独立気泡型 又は連続気泡型の発泡材料の形を有する挿入、圧入又は注入されたシール部材に よって閉鎖されてよい。軸受けシェル４におけるボール５の滑り特性を改善する ためには、連続気泡型の発泡材料を使用する場合、この発泡材料に、例えばオイ ル及び／又はグリース等の潤滑剤が浸透されていてよい。 第４図によれば、開口２．２１に、プラスチック、又は、例えばコイルばね又 は皿ばねの形の、特に金属 から成る少なくとも１つの圧縮ばね１３が配置されていてよい。該圧縮ばね１３ は、例えばシール部材として働く閉鎖栓等の、プラスチック又は金属から成る固 定的に挿入可能な位置固定部材１４によって位置固定され、且つ球欠区分５．１ に向かってプレロードをかけられていてよい。圧縮ばね１３は、ボール５の遊び が無いことを保証し、且つ軸受けの耐用年数にわたって生ぜしめられる摩耗にお けるがたつきノイズの発生を防止する。位置固定部材１４は、底部２．２にスナ ップ係合、圧入、溶接、接着及び／又は縁曲げ係合されていてよい。位置固定部 材１４は場合によっては付加的に、雄ねじ山を有することもでき、例えば第４図 ではねじ込み可能なディスクとして形成されていてよい。 開口２．２１は、圧縮ばね１３を使用した場合でも、オイル及び／又はグリー スで満たされていてよい。有利には位置固定部材１４は第５図に示したように、 特にねじ込み可能なグリースニップル１５から成ってよい。このグリースニップ ル１５と位置固定部材１４とは、グリースニップル１５が位置固定部材１４にね じ込まれるように形成されていてもよい。 最後に、被覆部材２１が２成分構成として、つまり、環状溝２．０１，２．０ ２、又は溝区分、及び／又は凹部、及び／又はノッチの領域では、例えばポリア ミド等の事実上非弾性的な材料から構成されており、 被覆部材２１のその他の領域では、エラストマから構成されていると有利である 。 第１図に示した実施例に２つの溝、特に環状溝２．０１，２．０２が書き込ま れていても、両溝２．０１，２．０２の内の１つしか有さない構成、又は溝を全 く有さない構成も有利に使用され得る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．有利には一体成形された固定手段を備えたボールジョイントケーシングと 、該ボールジョイントケーシングの切欠きに旋回可能に支承されたボール付きジ ャーナルのボールと、軸部及びボールジョイントケーシング間の弾性的なシール 部材とから成るボールジョイントにおいて、 前記シール部材が、架橋エラストマ及び／又は非架橋エラストマ製の、一体成 形された被覆部材（２１）から成っていることを特徴とするボールジョイント。 ２．被覆部材（２１）が、密な外被（２３）を備えた連続気泡型及び／又は独 立気泡型の発泡材料から成っている、請求項１記載のボールジョイント。 ３．ボールジョイントケーシング（２）が、上部域（２．０）の外側に環状溝 （２．０１）、又は溝区分、及び／又は凹部、及び／又はノッチを有しており、 被覆部材（２１）が、前記溝（２．０１）、又は溝区分、及び／又は凹部、及び ／又はノッチにまで延びているか、又は前記溝（２．０１）、又は溝区分、及び ／又は凹部、及び／又はノッチの下位にまで延びており、該溝（２．０１）、又 は溝区分、及び／又は凹部、及び／又はノッチが被覆部材（２１）の材料で満た されている、請求項１又は２記載のボールジョイント。 ４．ボール付きジャーナル（７）の軸部（６）に、別の環状溝（２．０２）、 又は溝区分、及び／又は凹部、及び／又はノッチが設けられている、請求項１か ら３までのいずれか１項記載のボールジョイント。 ５．被覆部材（２１）が、ポリウレタンから成っているか、又はポリウレタン をベースとして成っている、請求項１から４までのいずれか１項記載のボールジ ョイント。 ６．被覆部材（２１）が、ポリエステルから成っているか、又はポリエステル をベースとして成っている、請求項１から４までのいずれか１項記載のボールジ ョイント。 ７．被覆部材（２１）が、シリコーンから成っているか、又はシリコーンをベ ースとして成っている、請求項１から４までのいずれか１項記載のボールジョイ ント。 ８．被覆部材（２１）の材料が、連続気泡型及び／又は独立気泡型の発泡ポリ マ材料である、請求項１から７までのいずれか１項記載のボールジョイント。 ９．発泡材料が、閉じられた外被（２３）を備えた連続気泡型の成形体として 形成されている、請求項８記載のボールジョイント。 10．発泡材料の気泡が、少なくとも部分的に潤滑剤で満たされている、請求項 ９記載のボールジョイント。 11．外側表面若しくは外被（２３）が環状に波形を付けられている、請求項１ から１０までのいずれか１項記載のボールジョイント。 12．ボール（５）が、挿入又は射出成形されたプラスチック製のボールシェル （８）に設けられたボールジョイントケーシング（２）の切欠き（３）に支承さ れている、請求項１から１１までのいずれか１項記載のボールジョイント。 13．被覆部材（２１）が２成分構成として、つまり、環状溝（２．０１，２． ０２）、又は溝区分、及び／又は凹部、及び／又はノッチの領域では、例えばポ リアミド等の事実上非弾性的な材料から構成されており、被覆部材（２１）のそ の他の領域では、エラストマから構成されている、請求項１から１２までのいず れか１項記載のボールジョイント。