JP2001347671A - インクジェットプリンタヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットプリンタヘッドの製造方法

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JP2001347671A
JP2001347671A JP2000170627A JP2000170627A JP2001347671A JP 2001347671 A JP2001347671 A JP 2001347671A JP 2000170627 A JP2000170627 A JP 2000170627A JP 2000170627 A JP2000170627 A JP 2000170627A JP 2001347671 A JP2001347671 A JP 2001347671A
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JP2000170627A
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Junji Shioda
純司 塩田
Hideki Kamata
英樹 鎌田
Ichiro Kono
一郎 河野
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Casio Computer Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】オリフィス板を、インク流路側へのたわみを生
じさせることなく所望の薄い厚さに成形して設置できる
インクジェットプリンタヘッドの製造方法を提供する。 【解決手段】工程4(S14)が終了した後、片面に接
着剤としての熱可塑性ポリイミドを極薄にコーティング
したポリイミドフィルムからなるオリフィス板を、基板
上の積層構造の最上層に張り付けて、加熱しながら加圧
してオリフィス板を固着させる(S15)。次に、この
固着されたオリフィス板の上面をCMPにより研磨し、
オリフィス板を、固着させる前の厚さより薄い所望の厚
さに成形する(S16)。これにより、オリフィス板の
厚みを、予め厚く構成しておくことができるため、オリ
フィス板を張り付け固着させた際に、オリフィス板がイ
ンク流路側にたわむことはなく、また、CMPによる研
磨により所望の薄い厚さにオリフィス板を成形すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オリフィス板材を
所望の薄い厚さに成形することを可能にするインクジェ
ットプリンタヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェットプリンタが使
用されている。このインクジェットプリンタにおける印
字方法は、インクジェットプリンタヘッドのインク吐出
ノズルからインクの液滴を吐出させ、このインク滴を
紙、布などの被記録材に吸収させて文字や画像等の印字
(印刷)を行なうものである。この印字方式は、騒音の
発生が少なく、特別な定着処理を要することもなく、し
かも高速印字が行えて且つフルカラー印刷も可能な印字
方法である。
【0003】フルカラー印字の場合は、通常、減法混色
の三原色であるイエロー(黄色)、マゼンタ(赤色染料
名)及びシアン(緑味のある青色)の3色のインクに、
文字や画像の黒色部分等に用いられるブラック(黒)を
加えた4色のインクを用いて印字する。すなわち、印字
ヘッドに各色専用のノズル列を配設し、これらのノズル
列からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の
インクを、各々の色の吐出量を制御しながら吐出し、例
えば被記録材の1画素に各々のインクを混合吸収させて
フルカラーの印字を行う。
【0004】上記の吐出ノズルからインクの液滴を吐出
させるインクジェットプリンタの印字ヘッドには、ピエ
ゾ素子などの電気機械変換素子を用いて、微細に形成さ
れたインク加圧室に機械的変形による圧力を生じさせ、
この瞬発的な圧力により微小吐出ノズルから液滴を吐出
させるピエゾ式のインクジェットプリンタヘッドと、微
細なインク加圧室に抵抗発熱素子を配して、これに電気
パルスを与えて加熱し、インクとの界面に騰気泡を発生
させ、その気泡の成長力を利用してインクを吐出させる
サーマル式のインクジェットプリンタヘッドがある。ま
た、インクジェットプリンタには、加圧を発生させる素
子の面に平行する方向へインク滴を吐出するサイドシュ
ータ型と呼ばれるものと、加圧を発生させる素子の面に
垂直な方向へインク滴を吐出するルーフシュータ型と呼
ばれるものとがある。
【0005】図10(a) は、そのようなサーマル式のル
ーフシュータ型のカラーインクジェットプリンタヘッド
(以下、単に印字ヘッドという)のインク吐出面を模式
的に示す平面図であり、同図(b) は、この印字ヘッドが
製造されるシリコンウエハを示す図である。同図(a),
(b) に示すように、印字ヘッド1は、チップ基板2の最
上層に積層されたオリフィス板3に、多数の吐出ノズル
4が1列に形成され、全体でそのようなノズル列5が4
列形成されている。
【0006】チップ基板2のオリフィス板3が積層され
ていない上部表層面には共通電極給電端子6や駆動回路
端子7が配設されている。このような印字ヘッド1は、
同図(b) に示すように、少なくとも4×25.4mm以
上のシリコンウエハ8上において、スクライブラインに
よって多数区画されたチップ基板2上に、LSI形成技
術と薄膜形成技術を用いて一括して形成される。尚、同
図(a) には36個の吐出ノズル4を示しているが、実際
には、設計上の方針にもよるが、64個、128個又は
256個等の多数の吐出ノズルが一列に形成されている
ものである。
【0007】図11(a),(b),(c) は、上記の印字ヘッド
1の製造方法を工程順に示す図であり、それぞれ一連の
工程において図10(b) に示すシリコンウエハ8のチッ
プ基板2上に形成されていく状態の平面図と断面図を模
式的に示している。同図(a),(b),(c) は、上段に平面図
を示し、中段は上段のB−B′断面矢視図(同図(a)参
照)、下段は上段のC−C′断面矢視図(同図(a) 参
照)である。
【0008】尚、同図(a),(b),(c) には、図示する上で
の便宜上、64個(又は128個又は256個)の吐出
ノズル又は発熱素子を、5個の吐出ノズル又は発熱素子
で代表させて示している。また、図11(c) の中段は、
図10(a) のA−A′断面矢視拡大図でもある。
【0009】図11(a),(b),(c) を用いて従来の印字ヘ
ッド1の製造方法について説明する。先ず、工程1とし
て、シリコンウエハのチップ基板上にLSI形成処理に
より駆動回路とその端子を形成すると共に、厚さ1〜2
μmの酸化膜を形成し、次に、工程2として、薄膜形成
技術を用いて、Ta(タンタル)−Si(シリコン)−
O(酸素)からなる発熱抵抗膜と、Ti/Wによる電極
膜を形成し、フォトリソグラフィー技術によって発熱抵
抗膜には微細な線条パターンを形成し、電極膜には上記
線条パターンの発熱素子となる部分の両側からそれぞれ
残りの線条パターンの上に重ねて配線部分のパターンを
形成する。この工程でインクを加熱する発熱素子の位置
が決められる。
【0010】図11(a) は、上記の工程1及び工程2が
終了した直後の状態を示している。すなわち、チップ基
板2上には共通電極11、共通電極給電端子6(図10
(a)参照)、個別配線電極12、多数の発熱素子13
(図では上述したように便宜的に5個示している)、駆
動回路14、及び駆動回路端子7(図10(a) 参照)が
形成されている。
【0011】続いて、工程3として、インクを外部から
封止するシール隔壁及び個々の発熱素子13に対応する
インク加圧室を形成すべく感光性ポリイミドなどの有機
材料からなる隔壁部材をコーティングにより高さ20μ
m程度に形成し、これを露光処理によりパターン化した
後に、現像処理、すなわち300℃〜400℃の熱を3
0分〜60分加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、
高さ10μmの上記感光性ポリイミドによる隔壁をチッ
プ基板上に形成・固着させる。
【0012】更に、工程4として、ウェットエッチング
またはサンドブラスト法などにより上記チップ基板の面
に細長いインク供給溝を形成し、更にこのインク供給溝
に連通しチップ基板の下面に開口するインク給送孔を形
成する。
【0013】図11(b) は、上述の工程3及び工程4が
終了した直後の状態を示している。すなわち、細長いイ
ンク供給溝16及び円形又は角形のインク給送孔17が
形成され、そして、インク供給溝16の左側に位置する
共通電極11部分と、右方の個別配線電極12が配設さ
れている部分、及び各発熱素子13と発熱素子13の間
に、隔壁18(シール隔壁18−1、18−2、区画隔
壁18−3)が形成されている。
【0014】上記発熱素子13近傍部分と駆動回路部分
に積層されるシール隔壁18−2及び区画隔壁18−3
は、個別配線電極12及び駆動回路14上の在るシール
隔壁18−2を櫛の胴とすれば、各発熱素子13間に伸
び出す区画隔壁18−3は櫛の歯に相当する形状をなし
ている。これにより、この櫛の歯を仕切り壁として、そ
の歯と歯の間の付け根部分に発熱素子13が位置する微
細な区画部がインク加圧室19として発熱素子13の数
だけ形成される。
【0015】この後、工程5として、ポリイミドからな
る厚さ10〜30μmのフィルムでその片面に接着剤と
しての熱可塑性ポリイミドを極薄に例えば厚さ2〜5μ
mにコーティングしてなるオリフィス板を、上記積層構
造の最上層に張り付けて、170〜300℃で加熱しな
がら加圧してオリフィス板を固着させる。続いて、N
i、Cu又はAlなどの厚さ0.5〜1μm程度の金属
膜を形成する。
【0016】更に、工程6として、オリフィス板の上の
金属膜をパターン化してポリイミドを選択的にエッチン
グするマスクを形成し、続いて、オリフィス板をRIE
やヘリコン波などの異方性の強いドライエッチングなど
により上記の金属膜マスクに従って18μmφ〜17μ
mφの孔空けをして多数の吐出ノズルを一括形成する。
【0017】尚、図10(a) の例では給電端子6や駆動
回路端子7がオリフィス板よりも外側に露出している
が、オリフィス板が給電端子6や駆動回路端子7等の端
子部分の上にも一括して積層されている場合には、オリ
フィス板のそれらの端子に対応する部分にも開口(端子
接続孔)を設ける。また、孔空けは、エキシマレーザな
どを用いて空けることも可能である。
【0018】図11(c) 及び前述の図10(a) は、上述
した工程5と工程6が終了した直後の状態を示してい
る。すなわち、オリフィス板3が給電端子6及び7の部
分を除く全領域を覆っており、シール隔壁18−2及び
区画隔壁18−3によって形成されているインク加圧室
19が上を覆われて、インク供給溝16方向に向く開口
部と上方にインク吐出孔すなわち吐出ノズル4を個々に
備えた隔壁18の厚さ(高さ)10μmに対応する高さ
の微細な区画部すなわちインク加圧室19を形成してい
る。そして、これらインク加圧室19の開口部とインク
供給溝16とを連通させる高さ10μmのインク流路1
0が形成されている。
【0019】これにより、1列に64個(又は128個
又は256個)の吐出ノズル4の有するノズル列5を4
列備えたマルチカラーの印字ヘッド1が多数シリコンウ
エハ8上に完成する。ここまでが、シリコンウエハの状
態で処理される。そして、最後に、工程7として、ダイ
シングソーなどを用いてシリコンウエハ8をカッテング
して、チップ基板単位毎に個別に分割し、実装基板にダ
イボンディングし、ワイヤーボンディング等による端子
接続後、樹脂封止して実用単位の印字ヘッドが完成す
る。
【0020】ところで、このようにして完成されたルー
フシュータ型の印字ヘッド1において、発熱素子13に
電気パルスを与えることにより吐出ノズル4から吐出さ
れるインク滴量は、発熱素子13の発熱量と吐出直前に
発熱素子13上に留まっているインク量に依存する。ま
た、このインク量は、ノズル径(吐出ノズル4の開口
径)及び発熱素子13からインク吐出面までの距離に依
存する。
【0021】印字ヘッド1の高解像度化を推進するに
は、吐出ノズル4から吐出されるインク滴量をより少な
くする必要があり、そのために、ノズル径を小径に形成
すると共に発熱素子13からインク吐出面までの距離を
短く形成する必要があった。
【0022】しかしながら、ノズル径は、上述の工程6
においてオリフィス板3の孔空けに加工上の限界がある
ため、所定径以下に小さく形成することができなかっ
た。従って、より高解像度の印字ヘッド1を製造するに
は、発熱素子13からインク吐出面までの距離を短く形
成する必要があった。そこで、オリフィス板3の厚さを
薄くすることにより、発熱素子13からインク吐出面ま
での距離を短くして高解像度の印字ヘッド1を製造する
方法が考えられた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
工程5に示した、オリフィス板3を張り付け固着させる
工程において、オリフィス板3が薄いと、その取り扱い
が難しく作業性が低下すると共に、オリフィス板3を張
り付け固着させた際にインク流路10側にたわんでしま
い、インク流路を狭めるという問題があった。
【0024】本発明の課題は、上記実情に鑑み、所望の
薄い厚さのオリフィス板をインク流路側へのたわみを生
じさせることなく容易に設置でき、インクジェットヘッ
ドの高解像度化を促進できるインクジェットプリンタヘ
ッドの製造方法を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】まず、請求項1記載の発
明のインクジェットプリンタヘッドの製造方法は、イン
クに圧力を作用させ吐出ノズルから所定方向に吐出させ
て記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法
であって、基板上に圧力エネルギー発生素子を設ける工
程と、前記吐出ノズルが設けられるオリフィス板材を準
備する工程と、前記オリフィス板材を前記基板上に設置
する工程と、前記基板上に設置されたオリフィス板材を
設置前の厚さより薄い所望の厚さに成形する成形工程と
を有する構成である。
【0026】前記成形工程は、例えば請求項2記載のよ
うに、CMP加工を行うことにより成形する工程である
ことが好ましく、また、例えば請求項3記載のように、
ドライエッチングした後にCMP加工を行うことにより
成形する工程であることが好ましく、また、例えば請求
項4記載のように、ドライエッチングした後にスクラブ
洗浄を行うことにより成形する工程であることが好まし
い。
【0027】そして、例えば請求項5記載のように、前
記オリフィス板材は複数の板材を接着剤で張り合わせた
積層板であることが好ましい。また、前記成形工程は、
例えば請求項6記載のように、前記複数の板材の少なく
とも一枚をアッシング又はドライエッチングを行うこと
により板材毎に削除して所望のオリフィス板を得る工程
であることが好ましく、また、例えば請求項7記載のよ
うに、前記複数の板材の少なくとも一枚を剥離して所望
のオリフィス板を得る工程であることが好ましい。
【0028】また、例えば請求項8記載のように、前記
オリフィス板材は、オリフィス板に補強板を溶剤により
容易に溶解される介装材を介して接着剤により張り合わ
された積層材であることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施
の形態のインクジェットプリンタヘッドの製造方法を示
すフローチャートである。尚、同図において、工程1
(ステップ(以下単にSという)11)〜工程4(S1
4)、工程6(S18)、及び工程7(S19)は、既
に上述した工程1〜工程4、工程6、及び工程7と同様
の工程である。なお、本例では絶縁性基板としてガラス
基板を用いる。
【0030】図1に示すように、前述の工程1(S1
1)〜工程4(S14)が終了した後に、片面に接着剤
としての熱可塑性ポリイミドを極薄にコーティングした
ポリイミドフィルムからなるオリフィス板を、絶縁性基
板上の積層構造の最上層に張り付けて、加熱しながら加
圧してオリフィス板を固着させる(S15)。尚、前述
の熱可塑性ポリイミドには、例えば、ベンゾフェノン型
ポリイミド等が使用される。
【0031】次に、この固着されたオリフィス板の上面
をCMP(Chemical Mechanical
Polishiing)により研磨し、オリフィス板
を、固着させる前の厚さより薄い所望の厚さに成形する
(S16)。
【0032】図2は、CMPによるオリフィス板の研磨
工程の概略を模式的に示す図である。同図に示す研磨機
20において、オリフィス板が固着された基板21は、
定盤22に貼付されたポリシングパッド23上に、オリ
フィス板を下側にして載置される。
【0033】そして、ポリシングヘッド部24は、パッ
キング材25を介して、基板21を保持しながら、図の
矢印Eに示す下方に加圧を加えると共に、図の矢印Fに
示す方向に回転し、また図の両矢印Gに示す方向に往復
移動する。同時に、ポリシングパッド23は、定盤駆動
部26の駆動により定盤22と共に図の矢印Hに示す方
向に回転する。この時、ポリシングパッド23と基板2
1の間には、スラリー供給部27から、研磨材としての
スラリーと化学溶剤の混合物28が供給される。そし
て、オリフィス板の上面(同図の基板21の下面)が、
スラリー及びポリシングパッド23により物理的に研磨
されると共に、化学溶剤により化学的にも研磨される。
これにより、オリフィス板を所望の薄い厚さに成形する
ことができる。一方、コンディショニング(ドレッシン
グ)部29は、ポリシングパッド23のコンディショニ
ングを行う。
【0034】図2において、研磨機20によるオリフィ
ス板の研磨条件として、例えば、研磨材であるスラリー
をアルミナで構成し、ポリシングパッド23をポリウレ
タンで構成し、ポリシングヘッド部24による加圧量を
250g/cm2 とし、定盤駆動部26の駆動による定
盤22の回転数を40rpmとしたとき、0.1〜0.
6μm/minの研磨レートでオリフィス板が研磨され
る。尚、前述のアルミナには、例えば、パイカロックス
社のAG0193等が使用される。
【0035】図3(a) は、研磨前のオリフィス板の表面
形状を示した図、同図(b) は、前述の研磨条件による研
磨後のオリフィス板の表面形状を示した図である。尚、
同図(a),(b) は、触針式の段差計でオリフィス板の表面
を触針し、表面の凹凸による高さ方向の変位を電気信号
に変換した結果得られた図であり、縦軸はオリフィス板
表面の凹凸の高さを±5000Åで示し、横軸はオリフ
ィス板の触針範囲を1000μmで示している。
【0036】図3(a) に示すように、研磨前のオリフィ
ス板の表面形状は、±1000Å程度の凹凸があるが、
同図(b) に示すように、研磨後のオリフィス板の表面形
状は、凹凸なく極めて良好な平坦性が得られている。
【0037】このように、オリフィス板をCMPにより
研磨することにより、オリフィス板を表面の平坦性を確
保しながら所望の薄い厚さに成形することが可能にな
る。また、研磨後においてもオリフィス板がたわむこと
はない。
【0038】そして、CMPによる研磨工程(S16)
が終了した後は、この研磨されたオリフィス板上に、N
i、Cu又はAlなどの厚さ0.5〜1μm程度の金属
膜を形成し(S17)、上述の工程6(S18)及び工
程7(S19)が行われ、最終的に、オリフィス板を所
望の薄い厚さに成形した実用単位の高解像度印字が可能
なインクジェットプリンタヘッドが完成する。
【0039】これにより、オリフィス板を張り付け固着
させる工程(図1のS15)において、予め、張り付け
るオリフィス板の厚みを厚く構成しておくことが可能に
なるため、オリフィス板を張り付け固着させた際に、こ
のオリフィス板がインク流路側にたわむことはなく、工
程上の歩留まりも向上させることができる。
【0040】また、研磨することによりオリフィス板を
所望の薄い厚さに成形することが可能になるので、張り
付けるオリフィス板を入手可能で取り扱いの簡単な厚め
のオリフィス板で構成することができると共に、両面に
接着剤をコーティングしてなるオリフィス板を使用する
こともできる。また、オリフィス板の厚さを研磨の程度
により、最適に成形することができるので、インクジェ
ットプリンタヘッドの性能をより向上させることができ
る。
【0041】尚、工程4(S14)が終了した時点にお
いて、基板21の裏面には、開口するインク給送孔が形
成されている。従って、CMPによるオリフィス板の研
磨中(S16)に、基板21とパッキング材25の間に
存在するスラリーと化学溶剤の混合物28が、基板21
のインク給送路から浸入し、更にインク供給溝からイン
ク流路へ浸入することが考えられる。この場合には、C
MPによるオリフィス板の研磨工程(S16)が始まる
前に、基板21の裏面に保護フィルムを貼付する等して
スラリーと化学溶剤の混合物28の浸入を防ぐようにす
れば良い。この保護フィルムには、例えば、日東電工社
のリバアルファNo.3019(厚さ145μm)等が
使用される。
【0042】尚、上述した研磨機20の研磨条件であ
る、スラリーの種類、ポリシングパッド23の種類、ポ
リシングヘッド部24による加圧量、及び定盤の回転数
等は、上述したものに限られず、研磨レートと表面の凹
凸の発生度合い等を考慮して決定すれば良い。また、オ
リフィス板を構成する材質も、ポリイミドフィルムに限
られず、その他の材質により構成しても良い。この場合
には、オリフィス板を構成する材質に合わせて前述した
研磨機20の研磨条件を決定すれば良い。
【0043】次に、本発明の第2の実施の形態のインク
ジェットプリンタヘッドの製造方法について説明する。
図4は、第2の実施の形態のインクジェットプリンタヘ
ッドの製造方法を示すフローチャートである。尚、同図
において、工程1(S41)〜オリフィス板の張り付け
・固着工程(S45)、及びCMPによるオリフィス板
研磨工程(S47)〜工程7(S50)に示す工程は、
図1に示したS11〜S15及びS16〜S19に示す
工程と同様である。
【0044】図4において、工程1(S41)〜オリフ
ィス板の張り付け・固着工程(S45)が終了し、基板
上にオリフィス板が張り付け固着されると、次に、この
オリフィス板をアッシング又はドライエッチング等によ
り粗めに研磨し、オリフィス板の厚みが所望の薄い厚さ
よりも少し厚くなる程度まで研磨する(S46)。ここ
で、アッシングとは、ドライエッチングを用いたレジス
トの除去を言い、酸素プラズマによるラジカル反応を利
用した等方性エッチングのことを言う。このS46の工
程では、オリフィス板を細かく研磨する必要はなく、オ
リフィス板表面を全面にわたって均等に研磨すれば良い
ので、研磨レートを大きくしてオリフィス板を高速に研
磨することができる。このときの研磨レートは、例え
ば、等方性アッシングの場合には0.5μm/min程
度、RIEやECR等の異方性エッチングの場合には1
〜2μm/min程度である。
【0045】このようにしてオリフィス板の粗研磨(S
46)が終了し、オリフィス板の厚みが所望の薄い厚さ
よりも少し厚くなる程度まで研磨された後は、図1のS
15に示した工程と同様に、オリフィス板を最終的に所
望の薄い厚さに成形すべくCMPによる研磨を行う(S
47)。
【0046】図5(a) は、上述のドライエッチング(S
46)による研磨後のオリフィス板の表面形状を示した
図、同図(b) は、上述のCMP(S47)による研磨後
のオリフィス板の表面形状を示した図である。尚、同図
(a),(b) は、図2(a),(b) と同様に、触針式の段差計で
オリフィス板の表面を触針し、表面の凹凸による高さ方
向の変位を電気信号に変換した結果得られた図であり、
縦軸はオリフィス板表面の凹凸の高さを±5000Åで
示し、横軸はオリフィス板の触針範囲を1000μmで
示している。
【0047】図5(a) に示すように、ドライエッチング
による研磨後のオリフィス板の表面形状は、凹凸を有し
た粗い形状であるが、同図(b) に示すように、CMPに
よる研磨後のオリフィス板の表面状態は、凹凸なく極め
て良好な平坦性が得られている。
【0048】そして、CMPによる研磨(図4のS4
7)が終了した後は、オリフィス板上に金属膜を形成す
る工程(S48)〜工程7(S50)が行われ、最終的
にオリフィス板を所望の薄い厚さに成形した実用単位の
インクジェットプリンタヘッドが完成する。
【0049】このように、オリフィス板の厚みが所望の
薄い厚さよりも少し厚くなる程度までは、アッシング又
はドライエッチング等により粗めに研磨し、それ以後の
所望の薄い厚さまではCMPによる研磨により細かく研
磨することで、オリフィス板の研磨に費やす時間を短縮
することができ、全体としてインクジェットプリンタヘ
ッドの製造時間を短縮することが可能になる。
【0050】次に、本発明の第3の実施の形態のインク
ジェットプリンタヘッドの製造方法について説明する。
図6は、第3の実施の形態のインクジェットプリンタヘ
ッドの製造方法を示すフローチャートである。尚、同図
において、工程1(S61)〜オリフィス板張り付け・
固着工程(S65)、及びオリフィス板上に金属膜を形
成する工程(S68)〜工程7(S70)に示す工程
は、図4に示したS41〜S45及びS48〜S50に
示す工程と同様である。
【0051】図6において、工程1(S61)〜オリフ
ィス板張り付け・固着工程(S65)が終了し、基板上
にオリフィス板が張り付け固着されると、次に、このオ
リフィス板をアッシング又はドライエッチング等により
粗めに研磨し、オリフィス板の厚みがほぼ所望の薄い厚
さになるまで研磨する(S66)。そして、次に、この
研磨によりオリフィス板表面に発生した凹凸を平坦にす
べく、ブラシスクラブ洗浄又はジェットスクラブ洗浄等
によりオリフィス板を研磨する(S67)。尚、ブラシ
スクラブ洗浄とは、ブラシでこすることにより研磨する
ことを言い、ジェットスクラブ洗浄とは、水を高圧で噴
射させることにより研磨することを言う。
【0052】そして、ブラシスクラブ洗浄又はジェット
スクラブ洗浄等によりオリフィス板の研磨(S67)が
終了した後は、オリフィス板上に金属膜を形成する工程
(S68)〜工程7(S70)が行われ、最終的にオリ
フィス板を所望の薄い厚さに成形した実用単位のインク
ジェットプリンタヘッドが完成する。
【0053】このように、オリフィス板を、アッシング
又はドライエッチング等によりほぼ所望の厚さまで粗く
研磨した後に、ブラシスクラブ洗浄又はジェットスクラ
ブ洗浄等によりオリフィス板の表面を平坦にすべく研磨
することによっても、オリフィス板を所望の薄い厚さに
成形することが可能になる。
【0054】尚、ブラシスクラブ洗浄又はジェットスク
ラブ洗浄等によりオリフィス板を研磨する際に、洗浄水
が、基板の裏面に形成されるインク給送孔から浸入し、
これが更にインク供給溝からインク流路へ浸入すること
が考えられる。この場合には、ブラシスクラブ洗浄又は
ジェットスクラブ洗浄等によりオリフィス板を研磨する
(S67)前に、基板の裏面に保護フィルムを貼付する
等して洗浄水の浸入を防ぐようにすれば良い。この保護
フィルムには、例えば、日東電工社のリバアルファN
o.3019(厚さ145μm)等が使用される。
【0055】次に、本発明の第4の実施の形態のインク
ジェットプリンタヘッドの製造方法について説明する。
図7(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h) は、第4の実施
の形態において、オリフィス板が所望の薄い厚さに成形
されるまでの工程を模式的に示す図である。尚、同図
(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h) に示す工程は、図1
に示した工程1(S11)〜工程4(S14)が終了し
た後に行われる。
【0056】図7(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h) に
おいて、まず、同図(a) に示すように、両面に接着剤3
1としての熱可塑性ポリイミドをコーティングしたポリ
イミドフィルム30から構成されるオリフィス板32
と、このオリフィス板32から構成される補強用フィル
ム33を準備する。尚、ここで使用されるオリフィス板
32の厚さは、オリフィス板32の片面(上面)の接着
剤31を除去したときの残りの厚さが最終的に基板上に
成形される所望の薄い厚さとなるように構成されてい
る。また、接着剤31は、酸素プラズマにより除去可能
なものである。同図(b) に示すように、このような構成
のオリフィス板32と補強用フィルム33を、お互いの
片面にコーティングされている接着剤31で接着し合い
張り合わせる。このときの接着方法は、例えば隔壁上に
オリフィス板を張り付け、固着させる方法と同様の方法
により行われる。次に、同図(c),(d) に示すように、補
強用フィルム33を張り合わせたオリフィス板32を、
上述の工程1〜工程4が終了した基板34の隔壁35上
に張り付け、加熱しながら加圧して固着させる。このと
き、隔壁35上に固着されたオリフィス板32は、上面
に補強用フィルム33が張り合わされているため、オリ
フィス板32がインク流路側にたわむことなく固着され
るようになる。その後、同図(e) の矢印に示すように、
補強用フィルム33の上面を、酸素プラズマによるアッ
シング又はドライエッチング等により研磨する。同図
(f) に示すように、補強用フィルム33のベースフィル
ムであるポリイミドフィルム30の研磨では、ポリイミ
ドフィルム30中のフィラーとポリイミドとでは研磨レ
ートに差があるために、ポリイミドフィルム30の表面
は凹凸が激しくなるが、同図(g) に示すように、フィラ
ーを含まない接着剤31の研磨では、表面の凹凸は緩和
されてほぼ平坦になる。そして、同図(h) に示すよう
に、オリフィス板32と補強用フィルム33を接着して
いた接着剤31が研磨されたところで、研磨を終了す
る。
【0057】これにより、オリフィス板32の表面は、
オリフィス板32から接着剤31を除去したときのポリ
イミドフィルム30の表面、すなわち凹凸のない表面が
得られると共に、最終的に、オリフィス板32が、所望
の薄い厚さである、片面の接着剤31が除去されたオリ
フィス板32に成形される。
【0058】その後は、図1に示した、オリフィス板上
に金属膜を形成する工程(S17)〜工程7(S19)
と同様の工程が行われ、オリフィス板が所望の薄い厚さ
に成形された実用単位の高解像度インクジェットプリン
タヘッドが完成する。
【0059】尚、本第4の実施の形態では、補強用フィ
ルム33として、オリフィス板32と同一のものを使用
したが、補強用フィルム33として、接着剤31がコー
ティングされていないポリイミドフィルム30のみを使
用しても良い。このときは、オリフィス板32の上面に
コーティングされている接着剤31を使用して、オリフ
ィス板32と補強用フィルム33を接着すれば良い。
【0060】また、オリフィス板32及び補強用フィル
ム33を、片面のみに接着剤31をコーティングしたポ
リイミドフィルム30で構成しても良い。このときは、
補強用フィルム33にコーティングされている接着剤3
1を使用して、補強用フィルム33とオリフィス板32
を接着し、オリフィス板32にコーティングされている
接着剤31を使用して、オリフィス板32と隔壁35を
接着するようにすれば良い。
【0061】又は、オリフィス板32及び補強用フィル
ム33を、接着剤31がコーティングされていないポリ
イミドフィルム30のみで構成しても良い。このとき
は、酸素プラズマにより除去可能でフィラーを含まない
接着剤、例えばエポキシ系等の接着剤を使用して、オリ
フィス板32と補強用フィルム33、及び補強用フィル
ム33と隔壁35を接着するようにすれば良い。
【0062】次に、本発明の第5の実施の形態のインク
ジェットプリンタヘッドの製造方法について説明する。
図8(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g) は、第5の実施の形
態において、オリフィス板が所望の薄い厚さに成形され
るまでの工程を模式的に示す図である。尚、同図(a),
(b),(c),(d),(e),(f),(g) に示す工程は、図1に示した
工程1(S11)〜工程4(S14)が終了した後に行
われる。
【0063】図8(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g) におい
て、まず、同図(a) に示すように、両面に接着剤31と
しての熱可塑性ポリイミドをコーティングしたポリイミ
ドフィルム30から構成されたオリフィス板32と、接
着剤31(熱可塑性ポリイミド)との接着性の弱いビフ
ェニル型ポリイミド36から構成された補強用フィルム
33とを準備する。ここで、補強用フィルム33のビフ
ェニル型ポリイミド36としては、例えば、宇部興産社
のユーピレックス等が好適である。また、ここで使用さ
れるオリフィス板32の厚さは、オリフィス板32の片
面(上面)の接着剤31を除去したときの残りの厚さが
最終的に基板上に成形される所望の薄い厚さとなるよう
に構成されている。また、接着剤31は、酸素プラズマ
により除去可能なものである。同図(b) に示すように、
このような構成のオリフィス板32と補強用フィルム3
3を、オリフィス板32の上面にコーティングされた接
着剤31により接着し張り合わせる。このときの接着方
法は、例えば隔壁上にオリフィス板を張り付け、固着さ
せる方法と同様の方法により行われる。次に、同図(c),
(d) に示すように、補強用フィルム33を張り合わせた
オリフィス板32を、前述の工程1〜工程4が終了した
基板34の隔壁35上に張り付け、加熱しながら加圧し
て固着させる。このとき、隔壁35上に固着されたオリ
フィス板32は、上面に補強用フィルム33が張り合わ
されているため、オリフィス板32がインク流路側にた
わむことなく固着されるようになる。次に、同図(e),
(f) に示すように、補強用フィルム33を剥離する。補
強用フィルム33を構成するビフェニル型ポリイミド3
6は、接着剤31との接着性が弱いため、接着剤31か
ら容易に剥離させることが可能である。その後、同図
(g) の矢印に示すように、オリフィス板32の上面の接
着剤31を、酸素プラズマによるアッシング又はドライ
エッチング等により研磨し、この接着剤31のみが研磨
されたところで、研磨を終了する。
【0064】これにより、オリフィス板32の表面は、
オリフィス板32から接着剤31を除去したときのポリ
イミドフィルム30の表面、すなわち凹凸のないオリフ
ィス板表面が得られると共に、最終的に、オリフィス板
32が、所望の薄い厚さである、片面の接着剤31が除
去されたオリフィス板32に成形される。
【0065】その後は、図1に示した、オリフィス板上
に金属膜を形成する工程(S17)〜工程7(S19)
と同様の工程が行われ、オリフィス板が所望の薄い厚さ
に成形された実用単位のインクジェットプリンタヘッド
が完成する。
【0066】尚、補強用フィルム33を剥離した状態で
ある図8(f) において、オリフィス板32の上面の接着
剤31の表面に平坦性が得られ、また、後の工程におい
てこの接着剤31上に金属膜を形成することが可能であ
れば、同図(g) に示した、酸素プラズマによるアッシン
グ又はドライエッチング等を行わないようにしても良
い。
【0067】尚、本第5の実施形態において、オリフィ
ス板32を片面のみに接着剤31をコーティングしたビ
フェニル型ポリイミド36(ユーピレックス等)で構成
し、補強用フィルム33を片面のみに接着剤31をコー
ティングしたポリイミドフィルム30で構成しても良
い。このときは、補強用フィルム33にコーティングさ
れている接着剤31を使用して、補強用フィルム33と
オリフィス板32を接着し張り合わせた後、オリフィス
板32にコーティングされている接着剤31を使用し
て、補強用フィルム33を張り合わせたオリフィス板3
2を隔壁35上に接着し張り合わせて固着させる。その
後、補強用フィルム33をオリフィス板32から剥離す
ることにより、所望の薄い厚さのオリフィス板32を成
形することが可能にになる。尚、オリフィス板32を構
成するビフェニル型ポリイミド36は、上述したように
接着剤31との接着性が弱いので、オリフィス板32か
ら補強用フィルム33を容易に剥離することが可能であ
る。従って、補強用フィルム33を剥離した後は、オリ
フィス板32の上面に接着剤31が残ることがないた
め、後に酸素プラズマによるアッシング又はドライエッ
チング等により接着剤31を研磨する必要はない。
【0068】次に、本発明の第6の実施の形態のインク
ジェットプリンタヘッドの製造方法について説明する。
図9(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g) は、第6の実施の形
態において、オリフィス板が所望の薄い厚さに成形され
るまでの工程を模式的に示す図である。尚、同図(a),
(b),(c),(d),(e),(f),(g) に示す工程は、図1に示した
工程1(S11)〜工程4(S14)が終了した後に行
われる。
【0069】図9(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g) におい
て、まず、同図(a) に示すように、両面に接着剤31と
しての熱可塑性ポリイミドをコーティングしたポリイミ
ドフィルム30から構成されるオリフィス板32と、片
面にAl、Cu等のメタル又はITO等のウェットエッ
チング可能な酸化物の薄膜37を成膜したポリイミドフ
ィルム30から構成される補強用フィルム33を準備す
る。尚、ここで使用されるオリフィス板32の厚さは、
オリフィス板32の片面(上面)の接着剤31を除去し
たときの残りの厚さが最終的に基板上に成形される所望
の薄い厚さとなるように構成されている。また、接着剤
31は、酸素プラズマにより除去可能なものである。同
図(b) に示すように、このような構成のオリフィス板3
2と補強用フィルム33を、オリフィス板32の上面に
コーティングされた接着剤31で接着し張り合わせる。
このときの接着方法は、例えば隔壁上にオリフィス板を
張り付け固着させる方法と同様の方法により行われる。
次に、同図(c),(d) に示すように、補強用フィルム33
を張り合わせたオリフィス板32を、前述の工程1〜工
程4が終了した基板34の隔壁35上に張り付け、加熱
しながら加圧して固着させる。このとき、隔壁35上に
固着されたオリフィス板32は、上面に補強用フィルム
33が張り合わされているため、オリフィス板32がイ
ンク流路側にたわむことなく固着されるようになる。次
に、同図(e) に示すように、Al、Cu等のメタル又は
ITO等の酸化物を溶解する溶液38中に、同図(d) に
示した積層された基板34を浸漬させ、酸化物の薄膜3
7を溶解させてオリフィス板32から補強用フィルム3
3を剥離させる。そして、同図(f) に示すように、溶液
38中から補強用フィルム33が剥離された基板34、
隔壁35及びオリフィス板32等からなるヘッド組立体
を取り出し、同図(g) の矢印に示すように、オリフィス
板32の上面の接着剤31を、酸素プラズマによるアッ
シング又はドライエッチング等により研磨し、この接着
剤31のみが研磨されたところで、研磨を終了する。
【0070】これにより、オリフィス板32の表面は、
オリフィス板32から接着剤31を除去したときのポリ
イミドフィルム30の表面、すなわち凹凸のないオリフ
ィス板表面が得られると共に、最終的に、オリフィス板
32が、所望の薄い厚さである、片面の接着剤31が除
去されたオリフィス板32に成形される。
【0071】その後は、図1に示した、オリフィス板上
に金属膜を形成する工程(S17)〜工程7(S19)
と同様の工程が行われ、オリフィス板が所望の薄い厚さ
に成形された実用単位の高解像度インクジェットプリン
タヘッドが完成する。
【0072】尚、補強用フィルム33を剥離した状態で
ある図9(f) において、オリフィス板32の上面の接着
剤31の表面に平坦性が得られ、また、後の工程におい
てこの接着剤31上に金属膜を形成することが可能であ
れば、同図(g) に示した酸素プラズマによるアッシング
又はドライエッチング等を行わないようにしても良い。
【0073】尚、本第6の実施形態において、補強用フ
ィルム33を張り合わせたオリフィス板32を隔壁35
上に張り付け固着させた際に、オリフィス板32がイン
ク供給路にたわまないものであれば、補強用フィルム3
3を構成するポリイミドフィルム30の代わりに、その
他の材質のフィルムを使用しても良い。
【0074】また、オリフィス板32を、片面のみに接
着剤31をコーティングしたポリイミドフィルム30で
構成しても良い。このときは、オリフィス板32にコー
ティングされた接着剤31を、隔壁35との接着に使用
し、オリフィス板32と補強用フィルム33との接着に
は、酸素プラズマにより除去可能でフィラーを含まない
接着剤、例えばエポキシ系等の接着剤を使用して接着す
れば良い。
【0075】更に、本発明は、基板としてガラス基板や
セラミック基板、或いは表面に絶縁膜を被着したシリコ
ン基板等、種々の絶縁性基板を用いたインクジェットプ
リンタに、広く適用できる。
【0076】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、厚いオリフィス板をヘッド組立て基板に設置し
た後に所望の厚さに成形するから、オリフィス板をイン
ク流路側へのたわみを生じさせることなく所望の薄い厚
さに成形することが可能になり、より高解像度のインク
ジェットプリンタヘッドを製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のインクジェットプ
リンタヘッドの製造方法を示すフローチャートである。
【図2】CMPによるオリフィス板の研磨工程の概略を
模式的に示す図である。
【図3】(a) はCPMによる研磨前のオリフィス板の表
面形状を示した図、(b) はCPMによる研磨後のオリフ
ィス板の表面形状を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のインクジェットプ
リンタヘッドの製造方法を示すフローチャートである。
【図5】(a) はドライエッチングによる研磨後のオリフ
ィス板の表面形状を示した図、(b) はCMPによる研磨
後のオリフィス板の表面形状を示した図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態のインクジェットプ
リンタヘッドの製造方法を示すフローチャートである。
【図7】(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h) は、本発明
の第4の実施の形態において、オリフィス板が所望の薄
い厚さに成形されるまでの工程を模式的に示す図であ
る。
【図8】(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g) は、本発明の第
5の実施の形態において、オリフィス板が所望の薄い厚
さに成形されるまでの工程を模式的に示す図である。
【図9】(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g) は、本発明の第
6の実施の形態において、オリフィス板が所望の薄い厚
さに成形されるまでの工程を模式的に示す図である。
【図10】(a) は従来のルーフシュータ型サーマル式の
インクジェットプリンタヘッドのインク吐出面を模式的
に示す平面図、(b) はそれが製造されるシリコンウエハ
を示す図である。
【図11】(a),(b),(c) は従来のインクジェットプリン
タヘッドの製造方法を工程順に模式的に示す平面図と断
面図である。
【符号の説明】
1 印字ヘッド 2 チップ基板 3 オリフィス板 4 吐出ノズル 5 ノズル列 6 共通電極給電端子 7 駆動回路端子 8 シリコンウエハ 10 インク流路 11 共通電極 12 個別配線電極 13 発熱素子 14 駆動回路 16 インク供給溝 17 インク給送孔 18(18−1、18−2、18−3) 隔壁 19 インク加圧室 20 研磨機 21 基板 22 定盤 23 ポリシングパッド 24 ポリシングヘッド部 26 定盤駆動部 27 スラリー供給部 28 スラリーと化学溶剤の混合物 29 コンディショニング部 30 ポリイミドフィルム 31 接着剤 32 オリフィス板 33 補強用フィルム 34 基板 35 隔壁 36 ビフェニル型ポリイミド 37 酸化物の薄膜 38 酸化物を溶解する溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 一郎 東京都青梅市今井3丁目10番6号 カシオ 計算機株式会社青梅事業所内 Fターム(参考) 2C057 AF34 AG46 AP13 AP22 AP25 AP32 AP43 AQ03 BA04 BA13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクに圧力を作用させ吐出ノズルから
    所定方向に吐出させて記録を行うインクジェットプリン
    タヘッドの製造方法であって、 基板上に圧力エネルギー発生素子を設ける工程と、 前記吐出ノズルが設けられるオリフィス板材を準備する
    工程と、 前記オリフィス板材を前記基板上に設置する工程と、 前記基板上に設置されたオリフィス板材を設置前の厚さ
    より薄い所望の厚さに成形する成形工程と、 を有することを特徴とするインクジェットプリンタヘッ
    ドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記成形工程は、CMP加工を行うこと
    により成形する工程であることを特徴とする請求項1記
    載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記成形工程は、ドライエッチングした
    後にCMP加工を行うことにより成形する工程であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ
    ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記成形工程は、ドライエッチングした
    後にスクラブ洗浄を行うことにより成形する工程である
    ことを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリン
    タヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記オリフィス板材は複数の板材を接着
    剤で張り合わせた積層板であることを特徴とする請求項
    1記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記成形工程は、前記複数の板材の少な
    くとも一枚をアッシング又はドライエッチングを行うこ
    とにより板材毎に削除して所望のオリフィス板を得る工
    程であることを特徴とする請求項5記載のインクジェッ
    トプリンタヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記成形工程は、前記複数の板材の少な
    くとも一枚を剥離して所望のオリフィス板を得る工程で
    あることを特徴とする請求項5記載のインクジェットプ
    リンタヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記オリフィス板材は、オリフィス板に
    補強板を溶剤により容易に溶解される介装材を介して接
    着剤により張り合わされた積層材であることを特徴とす
    る請求項1記載のインクジェットプリンタヘッドの製造
    方法。
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