JP2001332196A - カラー陰極線管及びその製造方法 - Google Patents

カラー陰極線管及びその製造方法

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JP2001332196A
JP2001332196A JP2000148063A JP2000148063A JP2001332196A JP 2001332196 A JP2001332196 A JP 2001332196A JP 2000148063 A JP2000148063 A JP 2000148063A JP 2000148063 A JP2000148063 A JP 2000148063A JP 2001332196 A JP2001332196 A JP 2001332196A
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panel
light absorbing
absorbing layer
face
ray tube
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JP2000148063A
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Ichiro Ishibashi
一郎 石橋
Shigeki Suzuki
滋樹 鈴木
Koichi Yasuda
紘一 安田
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Hitachi Ltd
Hitachi Chiba Electronics Ltd
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Hitachi Ltd
Hitachi Chiba Electronics Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フラット感が良好で、コントラスト、色再現範
囲に優れた平面パネル型のカラー陰極線管を提供する。 【解決手段】内面に蛍光体層を備えたパネル1と、電子
銃を収容したネック、およびパネルとネックとを連接す
るファンネルとで構成した真空外囲器を持ち、上記パネ
ル1で構成される画面の主走査方向をX方向、主走査方
向と直交する方向をY方向としたとき、少なくともX方
向における上記パネル1の外面の等価曲率半径RXOを内
面の等価曲率半径RXiの2.6倍以上とし、パネル1の
中央部のガラス肉厚を周辺部のガラス肉厚より薄くする
と共にパネル1の外面に設けた外側光吸収層1cをパネ
ル1の中央部の膜厚を周辺部の膜厚より厚く形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管に
係り、特にパネル外面の等価曲率半径が内面のそれより
も大きいパネルを備えた、所謂平面パネル型のカラー陰
極線管とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビ受像機の映像管やパソコン等のモ
ニター管として、近年、フラットフェース型、あるいは
平面パネル型と称するカラー陰極線管が広く採用される
ようになった。
【0003】図22は平面パネル型のカラー陰極線管の
構造例を説明する概略断面図である。このカラー陰極線
管は、内面に蛍光体を備えたパネル1と、電子ビ−ム発
射源を収容したネック2およびパネル1とネック2とを
連接するファンネル3とで真空外囲器を構成している。
パネル1はフェ−ス部1aとこのフェ−ス部1aの周
縁に略垂直に立ち上がる側壁部1bを有しこの側壁部1
bで囲まれた前記フェ−ス部内面には一般に赤(R)、
緑(G)、青(B)の3色の蛍光体をドット状あるいは
ストライプ状に塗布してなる蛍光体層4を有し、この蛍
光体層4に近接して色選択電極であるシャドウマスク
(以下、色選択電極をシャドウマスクとして説明する)
5が配置されている。一方、パネル1の外表面には反射
防止/帯電防止層1cが塗布されている。
【0004】シャドウマスク5はプレス成形した自立形
状保持型であり、その周辺をマスクフレーム6に溶接
し、パネル1の側壁部1b内壁に植立したスタッドピン
7に懸架スプリング8を介して懸架支持される。なお、
マスクフレーム6のシャドウマスク5と反対側には磁気
シールド9が固定されている。ファンネル3にはアノー
ドボタン10が貫通して設けられると共にその内壁には
内部導電膜11が、又外壁の一部からネック−ファンネ
ルの遷移領域には偏向ヨーク12が外装されており、前
記アノードボタン10から導入された高電圧を内部導電
膜11を介してネック2に収容された電子ビ−ム発射源
である電子銃13の主レンズおよび蛍光体層4の上層に
形成された導電膜に印加する。
【0005】真空外囲器のネック−ファンネルの遷移領
域に外装された前記偏向ヨーク12により、ネック2に
収容された電子銃13から出射する3本の変調された電
子ビーム14を水平(X方向)と垂直(Y方向)に偏向
することで、電子ビーム14を蛍光体層4を2次元走査
し、画像を再現する。
【0006】この種の平面パネル型のカラー陰極線管は
製造コスト、作り易さの点から、そのパネルのフェース
部の外面を大きな曲率半径(等価曲率半径)すなわち平
面に近いものとし、蛍光体層を形成する内面は外面から
表示画面を見たときに表示画像のフラット感を損なわな
い程度である比較的小さい曲率半径(同上)としてい
る。
【0007】図22に示したように、平面パネル型のカ
ラー陰極線管では特に、パネル1のフェース部1aの中
央部と周辺部とでは厚さが異なり、周辺部が中央部より
厚くなっている。そのため、パネルに入射した外光が外
面で反射すると共に、パネル内面で反射した反射光が外
面から出射して画像が見難くなる。さらに、肉厚の大き
い周辺部では、内面反射を伴う多重反射も起こる。ま
た、パネル1のフェース部1aの中央部と周辺部とで光
の透過率が異なるため、蛍光体層4から出射する光の強
度が異り、周辺で画像の明るさが低下する。なお、、パ
ネル1の外面での反射は反射防止/帯電防止層1cで抑
制されるが、しかし外面反射も完全に防止できるもので
はない。
【0008】外面の反射を抑制するために、従来から反
射防止膜を形成することが知られている。特開平4−3
45737号公報に開示された陰極線管では、パネルの
内面と蛍光体層の間に光選択吸収層を設けている。この
光選択吸収層は、有機化合物、または無機化合物の顔料
または染料からなる2種以上の物質の混合物で、その顔
料または染料の粒径は1.0μm以下であって、2つ以
上の分光吸収ピークを有する。
【0009】また、パネル外面には導電性物質とバイン
ダーの混合層、あるいはパネルを構成するガラスよりも
低い屈折率の単層反射防止膜または、2乃至4層の屈折
率が異なる層で構成した多層反射防止膜、もしくはこの
多層反射防止膜中にATOやITO等の導電性微粒子を
混合した膜が形成されている。
【0010】また、パネルの光透過率を一様にするため
にパネル外面に着色剤を塗布し、その密度を中央で高
く、周辺で低くした陰極線管が特開平5−182604
号公報に開示されている。この公報に開示の発明では、
着色剤をシリカのバインダーに混合してパネル外面にス
プレー塗布し、その上にさらに着色剤を添加しない導電
剤をスプレーして表面に凹凸を形成している。この表面
凹凸による光沢度(グロス値)は塗液に加えるエチレン
グリコールの添加量を変えることで調整している。
【0011】さらに、米国特許第4815821号明細
書に開示の発明では、カラー陰極線管のパネル内面に接
してパネルガラスよりも高い屈折率の第1透明層を設
け、その上に不透明のパターン(光吸収マトリクス:ブ
ラックマトリクス(BM))を形成し、さらにその上に
第1透明層よりも小さい屈折率の第2透明層を形成して
いる。第1透明層の屈折率は1.7乃至2.0で、各透
明層の膜厚を可視光の波長の1/4としてある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、平面
パネル型のカラー陰極線管では外から見たときのフラッ
ト感を損なわない程度にまで当該パネル内外面の曲率半
径を大きくしなければならない。このパネル内外面の各
曲率半径を適性値としてフラット感と管球(真空外囲
器)の作り易さとを両立させることが必要となる。
【0013】しかしながら、このような平面パネル型の
カラー陰極線管では、パネル内面と外面とに大きな曲率
差を付加することになり、パネルの中央部と周辺部に肉
厚差が生じ、パネル中央部と周辺部の表示画像の明るさ
が大きく異なることによる表示品質の劣化を解消するこ
とが1つの課題となっている。
【0014】このような明るさの相違を多少でも軽減す
るために、パネルのガラス材料を変更して光吸収度(ま
たは光吸収率)を少なくする手法も考えられるが、パネ
ル全体の光透過率が上昇するために、表示画像のコント
ラストが低下し、蛍光体から発する光のパネルの内外面
での多重反射をガラス材料で吸収減衰させる抑制効果が
少なくなり、色純度を低下させてしまう。
【0015】そしてさらに、近年のエルゴノミックスに
対する要求は厳しく、不要電磁輻射の抑制と外光の反射
防止機能を保持することがこの種の陰極線管を含めたデ
ィスプレイデバイスに対して要求されているので、これ
も満足しなければならない。
【0016】本発明の目的は、上記従来技術の課題を解
決して、フラット感が良好で、コントラスト、色再現性
に優れた平面パネル型のカラー陰極線管及びその製造方
法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、フェース部の中央部分の肉厚を周辺部分
より薄くすると共に、フェース部外面に形成する反射防
止膜と帯電防止膜とからなる外側光吸収層の当該フェー
ス部中央の肉厚を周辺部より厚くした。本発明の代表的
な構成を記述すれば次の通りである。 (1)フェ−ス部内面に蛍光体層を備えたパネルと、電
子銃を収容したネックおよび前記パネルと前記ネックと
を連接するファンネルとで構成した真空外囲器を持ち、
前記フェ−ス部外面に反射防止膜と帯電防止膜とからな
る外側光吸収層を備え、前記パネルの前記フェ−ス部の
略中央部の肉厚が周辺部より薄肉で、かつ前記外側光吸
収層が前記フェ−ス部の略中央部が前記周辺部より厚肉
であることとした。 (2)パネル外面の等価曲率半径をパネル内面の等価曲
率半径の2.6倍以上とした。 (3)パネル外面の等価曲率半径を10000mm以上
とした。 (4)パネルの略中央部の透過率を70%以上とした。 (5)上記(1)の構成に、更にフェ−ス部内面に内側
光吸収層を備えた。 (6)パネル内部に装架する色選択電極であるシャドウ
マスクの機械強度を主因子として、パネルの内外面の曲
率半径を規定した。 (7)パネルのフェ−ス部外面には、それ自身が光を吸
収し、かつ導電性を持つ微粒子層を設け、その上層に低
屈折率層を設けた外側光吸収層を形成し、この外側光吸
収層を帯電防止/反射防止層として機能させると共に、
上記導電性を持つ微粒子層は、当該微粒子の隙間にこの
微粒子より低い屈折率のバインダーが浸透している。 (8)前記外側光吸収層の形成を真空外囲器のパネルの
フェ−ス部外面を上向きに保持して回転させ、スプレー
ノズルを前後動して前記フェ−ス部外面に中央部が周辺
部より厚肉の外側光吸収層を形成した。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【0019】図1は本発明による平面パネル型のカラー
陰極線管の1実施形態を説明するパネルの要部断面を示
す模式図である。図1中、1はパネル、1aはパネル1
のフェ−ス部、1bは同側壁部、1cはパネル1の外面
に形成した外側光吸収層(反射防止/帯電防止層)、4
は蛍光体層、Z−Zは管軸、Lはパネル1の管軸Z−Z
から表示領域端までの距離、Tcはパネル1の中央部
(フェ−ス部1aの中央部分)の厚み、Teは前記距離
Lで示すパネル1の周辺部(フェ−ス部1aの周辺部
分)の厚み、Rxoはパネル1の外面の等価曲率半径、R
xiはパネル1の内面の等価曲率半径、dcは外側光吸収
層1cのパネル1中央部での厚み、dsは外側光吸収層
1cのパネル1周辺部の距離Lでの厚みを示す。その他
の符号は図22と同一で、詳細の説明は省略する。
【0020】図1において、パネル1は当該パネル1の
フェ−ス部1aの中央での厚み(ガラスの厚み)Tc
は、パネル1の周辺(フェ−ス部1aの周辺部分)部の
距離Lでの厚みTeより薄く、前記したように外面の等
価曲率半径Rxoはパネル1の内面の等価曲率半径Rxiよ
り遥かに大きく、外面は略フラット(平坦)な形状であ
る。
【0021】図2は図1に示す本発明による平面パネル
型カラー陰極線管のパネル外面に形成する外側光吸収層
1cの構造例を説明するパネル部分の模式断面図であ
り、前記図1と同一符号は同一部分に対応する。
【0022】この外側光吸収層1cは、導電性粒子とし
て金、銀、パラジウム、あるいはこれらの混合物、もし
くは他の導電性金属の微粒子を主成分とする微粒子層1
cAとシリカ層1cBの積層構造で構成されている。こ
の外側光吸収層1cの形成方法については後述する。ま
た、図2において4aはブラックマトリックス(B
M)、4bは蛍光体である。
【0023】図3は図1に示す本発明による平面パネル
型のカラー陰極線管に適用するパネル1の外面と内面の
等価曲率半径を定義するための説明図である。ここで
は、理解を容易にするため、パネル1の内外断面を誇張
して示してある。
【0024】平面パネル型のカラー陰極線管の製作で
は、パネルの外面形状を平面に近づけることは容易であ
る。しかし、パネル内面を平面に近づけるにはパネル全
体の厚みをかなり大きくして機械的強度を上げなければ
ならず、画像品質の劣化、重量の増加、コスト、等から
現実的でない。また、一方で、所謂テンション型の色選
択電極ではないシャドウマスクは自立形状保持させるた
めに、マスク面が完全な平面ではなくある程度の曲率で
形成されている必要がある。プレス成形による曲率半径
の大きなシャドウマスクの製造には技術的な限度がある
ので、シャドウマスクに所定の曲率を与え、併せてパネ
ル内面にも所定の曲率を付与する必要が生じる。
【0025】パネルの曲率(曲率半径)は等価曲率半径
で定義される。同じ曲率のパネルであっても、その有効
画面のサイズによっては人間の目にフラット(平面)に
見える場合とそうでない場合とがある。
【0026】本発明者等は人間の目で観察したパネルの
フラットさ(平面さ)の評価方法として次のような方法
を用いた。すなわち、 パネル内面の等価曲率半径をRi=40V+40、 パネル外面の等価曲率半径をRo=42.5V+45 と定める。
【0027】ここで、Vは「Visual Size」
を意味し、例えば公称19インチのカラー陰極線管では
Vの値は18である。
【0028】パネルの内外面形状(等価曲率半径)は下
記の式で定義される。
【0029】Zo(x,y)=Rx−{(Rx-Ry+(Ry
2−y2)1/2)2-x21/2 この定義式において、パネル外面の形状については、R
xo=50000.00mm、Ryo=80000.00m
mとし、パネル内面の形状については、Rxi=165
0.00mm、Ryi=1790.00mmとする。
【0030】図3において、Lはパネル1の中央から表
示領域端までの距離、Tcはパネル中央での厚み(肉
厚)、Teは距離Lで示す表示領域端でのパネルの厚
み、Sxoはパネル外面の中央と周辺(表示領域端)間
の落ち込み量、Sxiはパネル内面の中央と周辺(表示
領域端)間の落ち込み量、Rxoはパネル1のX方向で
の外面の等価曲率半径、Rxiはパネル1のX方向での
内面の等価曲率半径を示す。ここで、Rxo、Rxi、
Sxo、Sxi及びLの間には次のような関係がある。
【0031】Rxo=(Sxo2+L2)/(2Sx
o),Rxi=(Sxi2+L2)/(2Sxi) 等価曲率半径はX方向を例にとって定義したが、この他
の方向も同様に定義できる。
【0032】上式に示すように、等価曲率半径は図3の
パネル1の中央から表示領域端までの距離Lと、中央と
周辺(表示領域端)間の落ち込み量Sxo,Sxiで決
まる曲率半径である。 ここで、本発明者等は、公称1
9インチのカラー陰極線管を例として評価し、そのパネ
ル1の外面の等価曲率半径としてRo=10Riとする
と、一応のフラット感が得られることが分かった。この
ときのパネル内面の等価曲率半径として、製作上の要請
(シャドウマスクのプレス成形の要請)からRI=4R
iとした。これらの関係に実際の値V=18を代入する
と、Ro=8100mm、Ri=3040mmになる。
【0033】ここで、本発明を適用する平面パネルの具
体的な例について説明する。パネル内面の曲率半径:R
i1=40.0V+40.0mm、パネル外面の曲率半
径:Ro1=42.5V+45.0mmとしたとき、パ
ネル対角方向の等価曲率半径が、 内面等価曲率半径:Ri≦4Ri1 外面平等価率半径:Rv≧10Rv1 であるドットタイプのカラー陰極線管(ディスプレイ
管)、好ましくはRi≦3Ri1で、かつRv≧30R
v1となるドットタイプのカラー陰極線管(ディスプレ
イ管)に対して本発明の外側光吸収層が有効である。
【0034】また、図4乃至図6は本発明を適用するパ
ネルの等価曲率半径の説明図であり、図4はパネルの内
外面の曲面を示し、図5はパネルの内外面のX方向の等
価曲率半径、図6はパネルの内外面のY方向の等価曲率
半径を示す。
【0035】本発明では、図5に示したようにパネル曲
面のX方向の等価曲率半径はY方向のどの場所の断面も
同じで、また図6に示したようにY方向の等価曲率半径
はX方向のどの場所の断面も同じである。さらに、図に
は示さないが、パネルの外面または内面の等価曲率半径
がX方向とY方向で略同一であってよい。
【0036】上記したように、画面の垂直軸(Y方向の
軸)と平行に陰極線管の管軸(Z−Z)方向に切断した
断面は略々同じ曲率を持っている。このようなパネル曲
面は表示画像の歪を軽減すると共に、陰極線管の防爆特
性を向上させることができる。
【0037】この実施例で使用したパネルガラスはセミ
クリアタイプと称するもので、中央部の光透過率は約7
8%である。この場合、内面と外面の等価曲率半径の比
は2.6になる。
【0038】外光からの反射の影響は、パネルを構成す
るガラスの可視光の透過率を下げれば軽減できるが、こ
の可視光の透過率を下げると表示画面の中央部と周辺部
の輝度の差が大きくなるという現象が生じる。この現象
は、パネルの外面と内面の等価曲率半径の差を大きくす
るに従ってさらに顕著になる。
【0039】例えば、公称対角サイズ19インチのカラ
ー陰極線管で、パネル内面の等価曲率半径を1650m
m、パネル外面の等価曲率半径を8100mm(内面と
外面の等価曲率半径の比が約5.0)でも上記の現象は
顕著である。さらに、内面と外面の等価曲率半径の比が
10以上である場合の例として、内面の等価曲率半径を
1650mm、外面の等価曲率半径を50000mmと
して評価した場合は、さらに上記の現象が顕著となる
が、後述する外側光吸収層1cの特性で解決出来る。
【0040】次に、図7は図1に示す本発明による平面
パネル型カラー陰極線管のパネル外面に形成する外側光
吸収層1cの特性の説明図で、図7(a)は外側光吸収
層1cの厚さ分布の等高線の一例を説明するパネルの模
式図、図7(b)は図7(a)のX−X線方向に沿った
厚さ分布の説明図、図7(c)は外側光吸収層1cのシ
ート抵抗分布の説明図である。
【0041】図7(a)、(b)に示すように、平面パ
ネル型カラー陰極線管のパネル外面に形成する外側光吸
収層1cはパネル中央部で厚さDが大で、X−X方向周
辺部に向けて漸次厚さが小となるように形成されてい
る。この構成により、光透過率は中央部で小さく、周辺
部で大きくなる。
【0042】なお、図7(a)には、上記の厚さ分布が
パネル中央部を中心とした同心状の横長楕円(X方向に
長軸を有する楕円)として示してあるが、これに限るも
のではなく、同心円形あるいは同心長円とすることもで
きる。これは、パネルの対角サイズや縦横比などの他の
要因を考慮して決定すればよい。
【0043】また、そのシート抵抗は図7(c)にシー
ト抵抗の例を示したように、中央で低く、周辺で高くし
てある。この抵抗の制御は前記した金属粒子などの導電
性粒子の密度をコントロールして実現できる。この構成
により、静電気による帯電がパネル中央領域で少なくな
り、表示領域の主要部分に静電気が滞留する傾向を排除
できる。さらに、陰極線管から発生する、所謂不要電磁
波(不要電磁輻射)の漏洩も、パネル中央部で強く、周
辺部で弱いので、本実施例の外側光吸収層1cによって
防止できる。なお、この外側光吸収層はパネルの周縁で
既知の手段により接地に接続される。
【0044】図8は本発明による平面パネル型カラー陰
極線管の他の実施例を説明するパネルの要部断面で示す
模式図である。また、図9は図8に示したパネル部分の
拡大断面図であり、図8と同一符号は同一部分に対応す
る。
【0045】図8において、蛍光体層4は、光吸収マト
リックスであるブラックマトリクス(BM)4aの開口
に3色の蛍光体4bを充填して構成される。本実施例で
は、外側光吸収層1cの他にパネル1のフェ−ス1aの
内面側に内側光吸収層4cが蛍光体層4の内側、すなわ
ちパネル1の内面に直接形成されている。この内側光吸
収層4cは、外側光吸収層1cと同様にパネル1の中央
部が最も厚く周辺に行くにしたがって薄くなっている。
なお、その他の構成と機能および符号は図1と同様なの
で、説明を省略する。
【0046】また、内側の光吸収層4cは、パネル1の
中央部で厚く、周辺部で薄く形成すれば良いが、これに
限らず、外側光吸収層1cとの兼ね合いでパネルの内側
の全域、少なくとも、表示領域端Lまでをほぼ同一また
は同一の厚さとすることもできる。
【0047】この構成では、パネル1に入射する外光
は、外面光吸収層1cでその一部が吸収されてパネル1
に入射する。このパネル1に入射した外光の一部は蛍光
体層を突き抜けてパネル1の内側に進む。パネル内面に
光吸収層が有ればパネル1に入射した外光の一部はこの
層で吸収されながら反射されるため、当該パネルの内面
での反射が著しく抑制されて、パネルの外側に出射する
反射光を極めて少なくする効果が有る。
【0048】またこの実施例では、パネルの内面を外か
ら見たときにフラット感が損なわれることがなく、表示
画像のコントラストを低下させることなく、入射した外
光や蛍光体から発する光がパネルの内外面で多重反射す
ることによる色純度の低下が防止できる。
【0049】そして、反射防止と帯電防止を兼ね備えた
外側光吸収層1cの機能により、不要電磁輻射が抑制さ
れ、高い表示品質でエルゴノミックスに対する要求を満
たす平面パネル型カラー陰極線管が得られる。
【0050】図10は本発明による平面パネル型のカラ
ー陰極線管の更に他の実施例を説明するパネルの要部断
面で示す模式図である。また、図11は図10に示した
パネル部分の拡大断面図であり、図10と同一符号は同
一部分に対応する。
【0051】図10に示す実施例では、パネル1の内面
に光吸収マトリックスであるブラックマトリクス(B
M)4aを直接形成してあり、このブラックマトリクス
(BM)4aを覆って内側光吸収層4cが形成されてい
る。そして、内側光吸収層4cの上層に3色の蛍光体4
bが形成されている。すなわち、3色の蛍光体4bは、
ブラックマトリクス(BM)4aの開口で形成される上
記内側光吸収層4cの凹部に充填されている。なお、そ
の他の構成と機能は図1と同様なので、再度の説明は省
略する。
【0052】この図10に示す実施例によっても、パネ
ルの内面を外から見たときにフラット感が損なわれるこ
とがなく、コントラストの低下が回避され、入射した外
光や蛍光体から発する光がパネルの内外面で多重反射す
ることによる色純度の低下が防止できる。
【0053】そして、反射防止と帯電防止を兼ね備えた
外側光吸収層の機能により、不要電磁輻射が抑制され、
高品質でエルゴノミックスに対する要求を満たす平面パ
ネル型カラー陰極線管が得られる。
【0054】ここで、前述の本発明による平面パネル型
のカラー陰極線管の実施例では、内側光吸収層4cを直
接パネル1の内面に接する構成としたが、蛍光体層4の
上層に内側光吸収層4cを形成しても良い。この構成で
は、蛍光体層4が薄い場合、あるいは蛍光体層4の光透
過率が大である場合に内面反射低減効果が期待出来る。
【0055】前記図8乃至図10に示すように、パネル
内面に光吸収性の無機顔料層(内側光吸収層)を、パネ
ル外面にそれ自身が光吸収性を持つ電気伝導度の高い微
粒子(または、超微粒子)の2層反射防止膜/帯電防止
膜(外側光吸収層)を形成し、パネルの内外面を実用的
な範囲でフラット感を持たせることによって、フラット
感のある反射防止/帯電防止の性能に優れた平面パネル
型のカラー陰極線管を提供することが可能となった。
【0056】なお、上記実施例の説明では、パネル外面
の塗布膜(外側光吸収層)として、電気伝導度の高い超
微粒子(または、微粒子)2層反射防止膜を主体に記述
したが、これに代えて、最近量産に適用されているAG
C社製のTiN−Si3N4−SiO2の部分的な光透過
率制御が可能なダイレクトスパッタ膜との組み合わせ、
あるいは米国VIRATE社のITO−TiO2−Si
O2多層透明スパッタ膜とパネル内面の顔料層(内側光
吸収層)に光透過率の分布を付ける組み合わせ、あるい
は導電性光吸収超微粒子の代わりに、透明導電超微粒子
を使用してパネル内面の顔料層(内側光吸収層)に光透
過率の分布を付加する組み合わせなどでも同様の効果が
得られる。
【0057】又、前述では外側光吸収層1cをパネル外
面全面に設けたが、距離Lで示す領域外の周辺部では除
くことも可能である。
【0058】次に本発明のカラー陰極線管の製造方法を
説明する。
【0059】有効対角長46cmの平面パネル型のカラ
ー陰極線管のパネル外面を酸化セリウム等の微粒子研磨
材を用いて研磨し、洗浄して研磨材を除去後、純水で洗
浄して当該パネル表面を乾燥した。
【0060】このパネルの表面温度を50°Cに保持
し、図12に示した塗布装置にセットし、組成1の溶液
をスプレーする。
【0061】 組成1 wt% 平均粒径 金、銀、パラジウムの超微粒子・・・・0.6 ・・20nm エタノール ・・・・・・・・・・・・40 メタノール ・・・・・・・・・・・・50 純水 ・・・・・・・・・・・・・・・残部 図12(a)(b)は本発明のカラー陰極線管の製造方
法に用いるパネル外面に外側光吸収層(帯電防止/反射
防止層)1cを形成する際の塗布装置の一例の説明図
で、図12(a)は正面図、図12(b)は平面図であ
る。
【0062】図12(a)(b)において、陰極線管の
パネル1面を上向きにして回転テ−ブル21に固定し、
飛散防止カバ−22をセットした後バルブ回転機構23
を駆動し回転用ベルト24を介して回転テ−ブル21を
回転させて陰極線管を回転させる。一方、アクチェ−タ
−25に保持されたスプレ−ノズル26は前記陰極線管
のパネル1面の中心A点にセットされて前記組成1の溶
液をパネル1面にスプレ−する。所定時間スプレ−後、
スプレ−ノズルを閉止してA点からB点へ移動させる。
B点でも陰極線管を回転させながら軌跡bに沿ってスプ
レ−する。次にC点に移動し軌跡cに沿って所定時間ス
プレ−し、最後にD点に移動して軌跡dに沿って所定時
間スプレ−して終了する。塗布するスプレ−ノズルの軌
跡は、回転テ−ブル21の所定の位置、すなわち、この
例ではパネル1の対角、長辺、短辺の各中央にそれぞれ
対応する位置、に設置した複数個(8個)のセンサ−フ
ラッグ27のそれぞれの位置を、前記アクチェ−タ−2
5と対向する側で前記回転テ−ブル21に近接対向して
配置したセンサ−28で検出し、アクチェ−タ−25に
よりスプレ−ノズル26を前後動させて塗布軌跡を決め
る。また、バルブ回転機構23の回転制御で塗布膜厚を
コントロ−ルすることもこのセンサ−フラッグ27とセ
ンサ−28とで行う。矢印は回転方向を示す。
【0063】スプレー塗布は、Binks社製のスプレ
ーガン(スプレーノズル)「MODEL−95」を使用
し、組成1の溶液の流量を3リットル/h、エアー流量
を160リットル/min、パネル外面からの高さを3
00mmとして、後述するスケジュ−ルで吹き付けた。
すなわち、パネル1を15rpmの速度で回転させな
がらA点(パネル1中央)で2秒間スプレ−後、1秒で
B点に移動しこの点で4秒間スプレ−を行った。塗布は
軌跡bに沿って行い長辺側の吹き付けではパネル1の回
転数を15rpm、短辺側では18rpmの回転速度と
しスプレーノズル26の位置を変化させながら塗液をパ
ネル外面に吹き付け塗布した。塗布形状は略真円とし、
膜厚は前記回転速度に比例して短辺側を長辺側より厚く
した。次に、1秒でC点に移動しこの点でも4秒間スプ
レ−を行った。塗布形状は軌跡cの様にスプレーノズル
26を前後動させて略楕円とした。この際、バルブ回転
機構23の回転制御で塗布膜厚をコントロ−ルした。続
いて、1秒でD点に移動しこの点でも4秒間スプレ−を
行った。塗布形状は軌跡dの様にスプレーノズル26を
前後動させて略楕円とした。この際、バルブ回転機構2
3の回転制御で塗布膜厚をコントロ−ルする。
【0064】吹き付け後、パネルを35°Cに調温し、
エチルシリケートの加水分解物が1wt%、メタノール
が75wt%、エタノールが20wt%、硝酸が0.0
01wt%、純水が残部からなる塗液を前記塗布膜上に
50ミリリットル注入し、パネルの回転数を150rp
m、20秒間振り切りの条件でスピンコートし、乾燥し
た。
【0065】乾燥後、160°Cで30分間焼成し、外
側光吸収層1cを形成した。
【0066】この様に形成した外側光吸収層1cのX方
向の層膜の視感透過率を測定したところ、図13に示し
たような膜透過率分布になっていた。同様にこの形成し
た層膜のパネル中央からの距離に対するパネル中央の法
線から10°方向で測定した視感反射率を図14に示
す。 ここで、視感反射率(RV)は、波長(λ)38
0〜780nmの範囲の反射率R(λ)と波長(λ)3
80〜780nmの比視感度V(λ)と光源のスペクト
ルS(λ)とから、次式で求めた。
【0067】RV=(∫R(λ)S(λ)V(λ)d
λ)/(∫S(λ)V(λ)dλ)。
【0068】また、図15はパネル中央からの距離に対
する前記形成した外側光吸収層1cの表面抵抗(シート
抵抗)の関係図であって、中央部では400Ω/cm
2、周辺部では1.8kΩ/cm2である。表面抵抗は、
dia Instrument社製のLoresta
IPを用い、測定プローブを絶縁層をつき破って導電層
にまで突き刺して測定した。
【0069】次に本発明のカラー陰極線管の製造方法の
他の例を説明する。
【0070】前述した第1番目の製造方法の例と同じ方
法で平面パネル型のカラー陰極線管を準備し、溶液の組
成、スプレーノズル(スプレーガン)、スプレー条件も
前述した第1番目の製造方法と同一とした。
【0071】この第2番目の例では、パネルのY軸方向
に外側光吸収層(帯電防止/反射防止層)の光透過率の
差異をつけるために、前記パネル1の回転速度を第1番
目の製造方法の例と変えると共に、パネル1外面からス
プレーガン26の高さを図16に示したように変化させ
て、光吸収および導電粒子(金、銀、パラジウム)の溶
液を吹き付け、乾燥後、前述の例と同様にエチルシリケ
イト(Si(OC2H5)4)の加水分解物を含む有機溶
媒を塗布した。次いで、これを焼成して外側光吸収層1
cを形成した。
【0072】この外側光吸収層1cについて、その光透
過率を測定した結果を図17に示す。光透過率の測定
は、パネルの対角方向で行った。
【0073】視感反射率と表面抵抗も前記第1番目の製
造方法の例とほぼ同様であった。この形成方法では、
金、銀、パラジウムの混合超微粒子を用いた場合を説明
したが、これら金属微粒子の配合比率を変えたり、銀、
パラジウムあるいは他の種類の可視光を吸収する特性が
ある金属の微粒子を使用しても同様の効果が得られる。
又、光学密度の高い粒子を使用することによって、さら
に視感反射率を下げることも可能である。
【0074】次に本発明のカラー陰極線管の製造方法の
更に他の例を説明する。
【0075】上記第2番目の製造方法の例と同じ方法で
カラー陰極線管のパネルを洗浄し、乾燥した後、加熱装
置を調整して、パネルの中央部が35°C、周辺部が4
5°Cになるように設定した。
【0076】塗液の乾燥速度を調整し、塗布温度で所望
の粘性効果を持たせるために、下記組成2の塗液を用い
た。パネル外面に下記組成2の塗液を第1番目の製造方
法の例と同じ条件で塗布し、これを乾燥して前記第1、
第2の製造方法の例と同様にエチルシリケイト(Si
(OC2H5)4)を主成分とする溶液を塗布し、焼成し
て外側光吸収層1cを形成した。この外側光吸収層1c
について、パネル中央部から周辺部に向け、対角方向に
光透過率等を測定したところ、前記第1番目の製造方法
の例と同様に、当該層の光透過率に中央部が大きく、周
辺部で小さいという差異が確認された。
【0077】 なお、上記組成2に示すエタノールと水の混合溶媒の粘
度は、エタノール含有量が40乃至50%ではエタノー
ル濃度に依存しない。しかし、この混合溶媒の30°C
の粘度は50°Cの粘度の約2倍であった。
【0078】さらに、組成2の塗液はエチレングリコー
ルを含んでいるために、回転しているパネル面での乾燥
速度が均一になるので、パネルの中央部と周辺部の温度
の相違による粘度差が塗液の塗布量の差となり、それが
そのまま形成される膜厚の差となる。
【0079】ここで、前述した製造方法によればパネル
の回転とスプレ−ガンの水平、垂直移動との組み合わせ
により、形成する外側光吸収層に境目の無い滑らかな膜
厚変化を実現出来る特徴を有している。
【0080】次に、図18はパネル外面に形成する外側
光吸収層1cの表面抵抗のグレーディング(gradi
ng)の一例の説明図であり、図18(a)は短軸方
向、長軸方向および対角軸方向の各表面抵抗の大きさ変
化(グレーディング)を示し、図18(b)はグレーデ
ィングを形成した方向を示す。この例ではパネルのX方
向にのみ約200Ω/cm2から約2050Ω/cm2
グレーディングを形成した。
【0081】図19はパネル外面に形成する外側光吸収
層1cの表面抵抗のグレーディングの他の例の説明図で
あり、図19(a)は短軸方向、長軸方向および対角軸
方向の各表面抵抗の大きさ変化(グレーディング)を示
し、図19(b)はグレーディングを形成した方向を示
す。この例ではパネルの中心から対角方向に約200Ω
/cm2から約2000Ω/cm2のグレーディングを付
けた。
【0082】ここで、本発明ではパネル外面に形成する
外側光吸収層1cの表面抵抗(シート抵抗)は、中央部
で2×103Ω/cm2以下で、対角方向周辺(有効面
内)の抵抗を5×103Ω/cm2以下とした。
【0083】図20はカラー陰極線管を動作させた時に
発生する漏洩電界の発生原理の説明図で、図20(a)
は模式図、図20(b)は等価回路図である。カラー陰
極線管では、管壁端子(アノード:図22の符号10)
から印加される高電圧の電圧変動、偏向ヨークDYに供
給されるパルス電流などによる電界が内装黒鉛(内部導
電膜:図22の符号11)からパネル内面を通してパネ
ル外面から漏洩する。
【0084】この様な問題も本発明では前述した様に外
側光吸収層の表面抵抗を制御してパネルの外面を低い抵
抗値に処理することで、この漏洩電界が外部へ放射する
ことを防止できる。
【0085】ところで、従来のカラー陰極線管では、そ
のパネル中央部と周辺部の肉厚の差が10乃至30%程
度であり、パネル中央部と周辺部の単位面積当たりの静
電容量も小さい。
【0086】パネルの単位面積をS、パネルを構成する
ガラスの誘電率をε0、パネルの肉厚をdとすると、容
量Cは、C=(ε0・S)/dとなる。
【0087】一方、本発明によるカラー陰極線管のパネ
ルは、その周辺部(コーナ部)の肉厚が中央部の肉厚の
200%以上あり、周辺部が厚い。したがって、周辺部
の静電容量は中央部の静電容量の半分以下になる。
【0088】又、図21は本発明によるカラー陰極線管
の等価回路図である。図中、CSはパネル周辺部の静電
容量、CCは中央部の静電容量、RSは周辺部の表面抵
抗、RCは中央部の表面抵抗である。
【0089】中央部と周辺部の分布定数回路のインピー
ダンスZは、ω=2πf(但しfは周波数)として、 Z=(R2+(1/ω22))1/2 となり、周辺部で大きく、中央部で小さくなる。一方、
陰極線管から発生する電磁波はパネル中央部で強く、周
辺部で弱いので、周辺部の抵抗Rが大きくても、電界が
漏洩するに至らない。なお、周辺部/中央部のシート抵
抗の比は5倍程度にしてもよい。
【0090】次に、図8乃至図11に示す実施例の様に
内側光吸収層を持つものでは、内側光吸収層、パネル、
外側光吸収層の光透過率とフラット感、コントラスト等
の諸特性の関係は次の通り。
【0091】先ず、内側光吸収層、パネル、外側光吸収
層の各中央部光透過率を、それぞれTI、TP、TOとす
る。 1)総合光透過率(TT) 総合光透過率TT%は、TT=(TI/100)×(TP/
100)×(TO/100)×100で表される。
【0092】この総合光透過率TTの値は、カラー陰極
線管に要求される輝度、コントラストに応じて、実用上
35%乃至55%の範囲に設定する。 2)パネルの光透過率との関係 (1)EIAJコード9001のパネルガラス材料の場
合・・・(ガラス肉厚d=10.16mmの透過率TP
=90%) パネル材料の光吸収がないので、パネル中央部と周辺部
の肉厚の差による表示画像の明るさの補正は不要で、外
面と内面の光透過率による影響のみを考えればよい。外
面膜(パネル外面に形成した外側光吸収層)が光吸収性
である場合は、光透過率が低くなると共に、外側光吸収
層とパネルガラスとの界面での反射が増える。
【0093】外面膜の光透過率とパネルガラスの界面で
の反射の概略関係は次のとおりである。
【0094】 外面膜の光透過率 60% 70% 80% 90% 界面での反射 9% 7% 5.5% 4.5% 外側光吸収層とパネルガラスの界面での反射が7%を越
えると、パネル内面との間に生じる多重反射の影響が大
きくなり、フラット感、コントラスト等に悪影響を与え
る。
【0095】(2)EIAJコードH8602およびH
8603のパネルガラス材料の場合・・・(ガラス肉厚
d=10.16mmの透過率TP=85.5および86
%) このパネルを使用した場合の中央部と周辺部の光透過率
差は約6.5%である。
【0096】(3)EIAJコードH8001のパネル
ガラス材料の場合・・・(ガラス肉厚d=10.16m
mの透過率TP=80%) このパネルを使用した場合の中央部と周辺の光透過率差
は約8%となる。
【0097】(4)EIAJコードH7302のパネル
ガラス材料の場合・・・(ガラス肉厚d=10.16m
mの透過率TP=73%) このパネルを使用した場合の中央部と周辺部の光透過率
差は約18%となる。
【0098】(5)EIAJコードH5702のパネル
ガラス材料の場合・・・(ガラス肉厚d=10.16m
mの透過率TP=56.8%) この場合の光透過率は、パネル中央部が53.6%、周
辺部が28.3%となり、周辺部で適切な範囲を越えて
しまう。
【0099】上記(1)乃至(5)の結果と、前記した
内側光吸収層の適正光透過率55%乃至85%、外側光
吸収層の適正光透過率70%乃至90%とを組み合わせ
て総合光透過率をフラット感のある範囲とその他の特性
が好ましいレベルで規定すると、パネル中央部での内側
光吸収層の光透過率、外側光吸収層の光透過率等は表1
に示すようになる。
【0100】
【表1】 所望の総合光透過率となるように内側光吸収層の光透過
率を低く、外側光吸収層の光透過率を高く設定すること
が好ましい。
【0101】以上のように規定したパネル中央部の光透
過率の範囲で、周辺と中央の総合光透過率が等しいか、
周辺が10%程度高い光透過率となるように設計すれ
ば、フラット感が良好で、コントラスト、色再現範囲に
優れた平面パネル型のカラー陰極線管を実現できる。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
表示画像のフラット感を損なわない範囲でパネル内外面
の曲率半径を適性な値とし、パネルの中央部と周辺部の
肉厚の差によるパネル中央部と周辺部の表示画像の明る
さの相違やパネル内面での反射によるコントラストの低
下や色純度の低下による表示画像の品質の劣化を回避
し、かつエルゴノミックスに対する要求を満たして、フ
ラット感が良好で、コントラスト、色再現範囲に優れた
平面パネル型のカラー陰極線管及びその製造方法を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による平面パネル型のカラー陰極線管の
1実施形態を説明するパネルの要部断面を示す模式図で
ある。
【図2】図1に示す本発明による平面パネル型のカラー
陰極線管のパネル外面に形成する外側光吸収層1cの構
造例を説明するパネル部分の模式断面図であ
【図3】図1に示す本発明による平面パネル型のカラー
陰極線管に適用するパネル1の外面と内面の等価曲率半
径を定義するための説明図である。
【図4】本発明を適用するパネルの等価曲率半径の説明
図で、パネルの内外面の曲面を示す斜視図である。
【図5】本発明を適用するパネルの等価曲率半径の説明
図で、パネルの内外面のX方向の等価曲率半径を示す斜
視図である。
【図6】本発明を適用するパネルの等価曲率半径の説明
図で、パネルの内外面のY方向の等価曲率半径を示す斜
視図である。
【図7】図1に示す本発明による平面パネル型のカラー
陰極線管のパネル外面に形成する外側光吸収層1cの特
性の説明図で、図7(a)は外側光吸収層1cの厚さ分
布の等高線の一例を説明するパネルの模式図、図7
(b)は図7(a)のX−X線方向に沿った厚さ分布の
説明図、図7(c)は外側光吸収層1cのシート抵抗分
布の説明図である。
【図8】本発明による平面パネル型のカラー陰極線管の
他の実施形態を説明するパネルの要部断面を示す模式図
である。
【図9】図8に示したパネル部分の拡大断面図である。
【図10】本発明による平面パネル型のカラー陰極線管
の更に他の実施形態を説明するパネルの要部断面を示す
模式図である。
【図11】図10に示したパネル部分の拡大断面図であ
る。
【図12】本発明のカラー陰極線管の製造方法に用いる
パネル外面に外側光吸収層(帯電防止/反射防止層)1
cを形成する際の塗布装置の一例の説明図で、図12
(a)は正面図、図12(b)は平面図ある。
【図13】本発明の外側光吸収層の膜透過率の一例を示
す図である。
【図14】本発明の外側光吸収層の視感反射率の一例を
示す図である。
【図15】本発明の外側光吸収層の表面抵抗(シート抵
抗)の一例を示す図である。
【図16】塗布時のスプレーガンの高さの変化を示す図
である。
【図17】本発明の外側光吸収層の光透過率の一例を示
す図である。
【図18】本発明の外側光吸収層の表面抵抗のグレーデ
ィングの一例の説明図である。
【図19】本発明の外側光吸収層の表面抵抗のグレーデ
ィングの他の例の説明図である。
【図20】カラー陰極線管を動作させた時に発生する漏
洩電界の発生原理の説明図で、図20(a)は模式図、
図20(b)は等価回路図である。
【図21】本発明によるカラー陰極線管の等価回路図で
ある。
【図22】平面パネル型のカラー陰極線管の構造例を説
明する概略断面図である。
【符号の説明】
1 パネル 1a フェ−ス部 1b 側壁部 1c 外側光吸収層 2 ネック 3 ファンネル 4 蛍光体層 4a ブラックマトリックス 4b 蛍光体 4c 内側光吸収層 5 シャドウマスク 21 回転テ−ブル 23 バルブ回転機構 26 スプレ−ノズル 27 センサ−フラッグ 28 センサ− Rxo 外面の等価曲率半径 Rxi 内面の等価曲率半径。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 滋樹 千葉県佐倉市太田字新開2306番地 日立千 葉エレクトロニクス株式会社内 (72)発明者 安田 紘一 千葉県佐倉市太田字新開2306番地 日立千 葉エレクトロニクス株式会社内 Fターム(参考) 5C032 AA02 BB02 BB04 BB05 BB08 BB09 DD02 DE01 DF01 DG01 DG02 DG04 DG06 DG10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェ−ス部と該フェ−ス部の周縁に略垂直
    に立ち上がる側壁部を有しこの側壁部で囲まれた前記フ
    ェ−ス部内面に蛍光体層を備えたパネルと、電子銃を収
    容したネックおよび前記パネルと前記ネックとを連接す
    るファンネルとで構成した真空外囲器を持ち、前記フェ
    −ス部外面に反射防止膜と帯電防止膜とからなる外側光
    吸収層を備えたカラー陰極線管であって、 前記フェ−ス部の略中央部が前記側壁部を除く周辺部よ
    り薄肉で、かつ前記外側光吸収層が前記フェ−ス部の略
    中央部が前記周辺部より厚肉であることを特徴とするカ
    ラー陰極線管。
  2. 【請求項2】フェ−ス部と該フェ−ス部の周縁に略垂直
    に立ち上がる側壁部を有しこの側壁部で囲まれた前記フ
    ェ−ス部内面に蛍光体層を備えたパネルと、電子銃を収
    容したネックおよび前記パネルと前記ネックとを連接す
    るファンネルとで構成した真空外囲器を持ち、前記フェ
    −ス部外面に反射防止膜と帯電防止膜とからなる外側光
    吸収層を備えたカラー陰極線管であって、 前記フェ−ス部の略中央部が前記側壁部を除く周辺部よ
    り薄肉で、かつ前記外側光吸収層が前記フェ−ス部の略
    中央部が前記周辺部より厚肉であると共に前記パネルの
    内面に内側光吸収層を有することを特徴とするカラー陰
    極線管。
  3. 【請求項3】フェ−ス部と該フェ−ス部の周縁に略垂直
    に立ち上がる側壁部を有しこの側壁部で囲まれた前記フ
    ェ−ス部内面に蛍光体層を備えたパネルと、電子銃を収
    容したネックおよび前記パネルと前記ネックとを連接す
    るファンネルとで構成した真空外囲器を持ち、前記フェ
    −ス部外面に反射防止膜と帯電防止膜とからなる外側光
    吸収層を備え前記フェ−ス部の略中央部が前記側壁部を
    除く周辺部より薄肉のカラー陰極線管の製造方法であっ
    て、 前記真空外囲器を前記フェ−ス部外面を上向きに保持し
    て回転させ、スプレーノズルを前後動して前記フェ−ス
    部外面に外側光吸収液を散布し、前記外側光吸収層を前
    記フェ−ス部の略中央部を厚く、かつ前記略中央部から
    前記周辺部にかけて順次薄肉に形成することを特徴とす
    るカラー陰極線管の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6555953B1 (en) * 1999-09-30 2003-04-29 Hitachi Ltd. Flat face type color cathode ray tube having panel with curved inner surface

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