JP3466089B2 - 導電性反射防止膜および陰極線管 - Google Patents

導電性反射防止膜および陰極線管

Info

Publication number
JP3466089B2
JP3466089B2 JP19348498A JP19348498A JP3466089B2 JP 3466089 B2 JP3466089 B2 JP 3466089B2 JP 19348498 A JP19348498 A JP 19348498A JP 19348498 A JP19348498 A JP 19348498A JP 3466089 B2 JP3466089 B2 JP 3466089B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
conductive
compounds
copper
silver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19348498A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1184104A (ja
Inventor
尚 千草
美千代 阿部
秀三 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP19348498A priority Critical patent/JP3466089B2/ja
Publication of JPH1184104A publication Critical patent/JPH1184104A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3466089B2 publication Critical patent/JP3466089B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性微粒子を含
有した第1の層と、第1の層を覆うように設けられ、S
iO2 および導電性微粒子を含有した第2の層とを具備
した導電性反射防止膜および該導電性反射防止膜を有す
る陰極線管反射防止膜として機能し、AEF(Alternat
ing electric field)の発生を防止する導電性反射防止
膜およびフェースプレートの前面(フェースパネル)の
外表面において光の反射が低減され、AEFの発生を防
止する陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】TVのブラウン管やコンピューターのC
RT等に用いられる陰極線管では、内部の電子銃や偏向
ヨークの近傍から電磁波が発生している。
【0003】近年、このような電磁波が陰極線管の外部
に漏洩して、周辺に配置された電子機器等に悪影響を与
える可能性が指摘されている。
【0004】そのため、陰極線管から該電磁波(電場)
の漏洩を防止する方法として、陰極線管のフェースパネ
ルの表面抵抗値を低くする方法が提案されている。
【0005】例えば、特開昭 61-118932号公報、特開昭
61-118946号公報、特開昭 63-160140号公報には、フェ
ースパネルの帯電防止を行なうために、フェースパネル
に対する種々の表面処理方法が開示されているが、これ
らの方法を応用して漏洩電場(AEF)の発生を防止す
ることが考えられている。フェースパネルに表面抵抗値
の低い導電層を形成する方法としては、PVD法、CV
D法、スパッタリング法等の気相方法が考えられる。例
えば、特開平1-242769号公報には、スパッタリング法に
よる透明な低抵抗導電層の形成方法が開示されている。
【0006】一般に、導電層は屈折率が高いために、導
電層のみで十分な反射防止の効果を得ることは困難であ
る。したがって、通常、導電性反射防止膜は、導電性と
反射の防止とを両立させ、かつ導電層を保護するため
に、例えば、SiO2 を含有する屈折率の低い反射防止
層で導電層が覆われている。しかしながら、SiO2
含有する屈折率の低い反射防止層は表面抵抗値が高く、
このように導電層を反射防止層で覆ってしまうと、反射
防止層に導通をとることが難しくなる。
【0007】陰極線管の反射防止層に導通をとるための
構造としては次のような方法が提案されている。
【0008】(1) 図2に示したように、フェースパネル
8上に設けられた導電性反射防止膜2を構成する導電層
3に導通させるために、反射防止層4を貫通して導電層
3に至る導通部5を設けて特殊なハンダ6を取り付け
る。
【0009】(2) 図3に示したように、導電層3に導通
部5となる領域を設け、導通部5には反射防止層4を形
成しない。
【0010】(3) 図4に示したように、導電層3を覆う
反射防止層4を多孔質の層となるように形成し、導電層
3を一部露出させてそこを導通部とする。
【0011】しかしながら、導電性反射防止膜に導通を
とるために反射防止層を貫通するよう導通部を設けた
り、該導通部に対しハンダを取り付けたりすると、導電
性反射防止膜の構造が複雑となるうえに、製造の際に工
程数が増加するため導電性反射防止膜の生産性が低くな
るという問題があった。
【0012】また、導電層を覆う反射防止層を多孔質の
層となるように形成すると、反射防止層の強度が低下
し、導電性反射防止膜の耐久性が著しく低下するという
問題があった。
【0013】ところで、フェースパネル等の基材上に導
電層を形成する方法としては、従来から、塗布法または
ウェット法により、基材上に導電性の酸化物微粒子また
は金属微粒子を分散させた塗布液を塗布して塗膜を形成
し、この塗膜を乾燥硬化あるいは焼成して導電層とする
方法が知られている。
【0014】この方法では、基材に最も近い層の屈折率
を高くし、該層の上に積層された層の屈折率を、基材に
最も近い層の屈折率より低くするように屈折率を変化さ
せて複数の層が形成される。すなわち、この方法におい
ては、基材から最も遠い層の屈折率を最も低くされる。
【0015】しかしながら、通常、導電率の高い層は低
い層に比べて屈折率が高いため、基材より最も遠い層に
導電層を形成すると、導電性反射防止膜の光の反射を防
止する機能が低下したり失われてしまうという問題があ
る。
【0016】そこで、導電層の上に、例えば、SiO2
を含有した屈折率の低い反射防止層を設けて光の反射を
防止しているが、この場合、反射防止層はコンデンサと
して作用するために、導電性反射防止膜の表面を十分な
低い抵抗値とすることができず、このままでは導電性反
射防止膜の表面に導通部を形成することができない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、導電性
反射防止膜に導通をとるために反射防止層を貫通するよ
う導通部を設けたり、該導通部に対しハンダを取り付け
たりすると、導電性反射防止膜の構造が複雑となるうえ
に、製造の際に工程数が増加するため導電性反射防止膜
の生産性が低くなるという問題があった。
【0018】また、導電層を覆う反射防止層を多孔質の
層となるように形成すると、反射防止層の強度が低下
し、導電性反射防止膜の耐久性が著しく低下するという
問題があった。
【0019】さらに、フェースパネル等の基材上に導電
層を形成するのに、基材上に導電性の酸化物微粒子また
は金属微粒子を分散させた塗布液を塗布して塗膜を形成
し、この塗膜を乾燥硬化あるいは焼成して導電層とする
方法では、基材から最も遠い層の屈折率が最も低くされ
るが、通常、導電率の高い層は低い層に比べて屈折率が
高いため、基材より最も遠い層に導電層を形成すると、
導電性反射防止膜の光の反射を防止する機能が低下した
り失われてしまうという問題がある。
【0020】また、さらに導電層の上に、SiO2 を含
有した屈折率の低い反射防止層を設けて光の反射を防止
した場合には、反射防止層がコンデンサとして作用する
ため、導電性反射防止膜の表面を十分な低い抵抗値とす
ることができず、このままでは導電性反射防止膜の表面
に導通部を形成することができないという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもの
で、AEFの発生と光の反射とをほとんど完全に防止す
るとともに、表面から容易に導通をとることができ、生
産性および耐久性に優れた導電性反射防止膜を提供する
ことを目的とする。
【0021】また、この発明の他の目的は、上記導電性
反射防止膜を備えた、品質の高い画像を長期にわたり表
示することのできる陰極線管を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性反射防
止膜の表面(基材から最も遠い部分)となる層にSiO
2 とともに導電性微粒子を存在させることにより、導電
性反射防止膜の表面を導電性にして表面に容易に導通部
を形成することを可能としたものである。
【0023】すなわち、本発明に係る導電性反射防止膜
は、金、銀、銀化合物、銅、銅化合物、錫化合物および
チタン化合物からなる群より選択されると共に、400nm
以下の粒径(粒子を同一の体積を示す球に換算した値)
を有する導電性微粒子を含有した第1の層と、前記第1
の層を覆うように設けられ、SiO2 と、金、銀、銀化
合物、銅、銅化合物、錫化合物およびチタン化合物から
なる群より選択されると共に、400nm以下の粒径(粒子
を同一の体積を示す球に換算した値)を有する導電性微
粒子とを含有し、前記導電性微粒子の含有量が前記Si
2に対して5〜50重量%の範囲である第2の層とを具備
し、表面抵抗値が4×104Ω/□以下であることを特徴と
している。本発明に係る導電性反射防止膜は、さらにSU
S 304製探針を1.5kg/cm 2 の圧力で前記導電性反射防止膜
と接触させた後、前記探針を1.5kg/cm 2 の圧力で加圧し
たまま前記導電性反射防止膜上を移動させた際に、前記
探針により傷がつかない膜強度を有することを特徴とし
ている。
【0024】本発明に係る導電性反射防止膜によれば、
導電性微粒子を含有した第1の層を、SiO2 および導
電性微粒子を含有した第2の層で覆うことにより、第2
の層の屈折率を第1の層の屈折率より小さくするととも
に、第2の層の表面抵抗値を低くすることができる。し
たがって、第2の層により光の反射を防止し、かつ第2
の層から直接導通をとることが可能である。
【0025】本発明に係る陰極線管は、蛍光物質を備え
た第1の面を有するフェースプレートと、前記フェース
プレートの第1の面と対向する第2の面上に設けられ
導電性反射防止膜であって金、銀、銀化合物、銅、銅
化合物、錫化合物およびチタン化合物からなる群より選
択されると共に、400nm以下の粒径(粒子を同一の体積
を示す球に換算した値)を有する導電性微粒子を含有す
る第1の層と、前記第1の層を覆うように設けられ、S
iO2 と、金、銀、銀化合物、銅、銅化合物、錫化合物
およびチタン化合物からなる群より選択されると共に、
400nm以下の粒径(粒子を同一の体積を示す球に換算し
た値)を有する導電性微粒子とを含有し、前記導電性微
粒子の含有量が前記SiO2に対して5〜50重量%の範囲
である第2の層とを有し、かつ表面抵抗値が4×104Ω/
□以下である導電性反射防止膜とを具備することを特徴
としている。本発明に係る陰極線管は、さらに前記導電
性反射防止膜はSUS 304製探針を1.5kg/cm 2 の圧力で前記
導電性反射防止膜と接触させた後、前記探針を1.5kg/cm
2 の圧力で加圧したまま前記導電性反射防止膜上を移動
させた際に、前記探針により傷がつかない膜強度を有す
ることを特徴としている。
【0026】本発明に係る陰極線管によれば、蛍光物質
を備えた第1の面を有するフェースプレートに対し、該
第1の面と対向する第2の面上に導電性微粒子を含有し
た第1の層を設け、該第1の層をSiO2および導電性
微粒子を含有した第2の層で覆うことにより、第2の層
の屈折率を第1の層の屈折率より小さくし、かつ第2の
層の表面抵抗値を低くする(具体的には4×10 4 Ω/□以
下)ことができる。したがって、第2の層により光の反
射を防止し、かつ第2の層に必要な導電率で電気的にコ
ンタクトすることが可能となる。
【0027】本発明における第1の層に含有される導電
性微粒子と第2の層に含有される導電性微粒子とは、同
一のものであっても異なるものであってもよい。
【0028】本発明に使用される導電性微粒子として
は、金、銀、銀化合物、銅、銅化合物、錫化合物および
チタン化合物からなる群より選択された少なくとも1つ
の物質の超微粒子が例示される。上記銀化合物として
は、例えば、酸化銀、硝酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、臭
素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、クロム酸銀、クエン
酸銀、シクロヘキサン酪酸銀を挙げることができる。第
1および第2の層でより安定な状態で存在することがで
きるという観点から、例えば、 Ag-Pd、 Ag-Ptおよび A
g-Auに代表される銀の合金が適している。上記銅化合物
としては、例えば、硫酸銅、硝酸銅、フタロシアニン銅
等を挙げることができる。錫化合物としては、例えば、
Sbx Sn1-x O2 、Inx Sn1-x O2 で表されるATOやI
TOをあげることができる。また、チタン化合物として
はTiN 等を挙げることができる。
【0029】導電性微粒子は、例えば、これらの物質か
らなる微粒子の中から1種または2種以上を選択して使
用される。
【0030】導電性微粒子の大きさは、導電性の向上と
いう点を考慮すれば大きいほどよいが、導電性反射防止
膜の光学的特性を考慮すると、粒径(粒子を同一の体積
を示す球に換算した値)が 400nm以下、より好ましくは
50〜 200nmであることが望ましい。導電性微粒子の粒径
が 400nmを越えると、導電性反射防止膜の光の透過率が
著しく低下するようになる上に微粒子による光の散乱が
生じて導電性反射防止膜が曇るようになる。粒径が 400
nmを越える導電性微粒子を用いて作成した導電性反射防
止膜を陰極線管に適用した場合には、陰極線管の解像度
が低下する可能性がある。
【0031】また、第2の層に含有させる導電性微粒子
の好ましい配合量は、SiO2 に対して、すなわち導電
性微粒子(重量)/SiO2 (重量)×100とした値
が 5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
第2の層に含有させる導電性微粒子の量が、SiO2
対して 5重量%を下回ると、第2の層の表面抵抗値が、
導電性反射防止膜の表面と導通をとるのに必要な低い抵
抗値とならない可能性がある。
【0032】また、第2の層に含有させる導電性微粒子
の量が、SiO2 に対して50重量%を越えると、導電性
反射防止膜の光の反射率が高くなり、光の反射を十分に
防止することが困難となる可能性がある。
【0033】さらに、本発明において、第1の層に、導
電性反射防止膜の光学的特性を向上させるために、例え
ば、フタロシアニン銅等の色素の顔料超微粒子を存在さ
せることができる。このとき、色素の超微粒子の粒径
(粒子を同一の体積を示す球に換算した値)は、10〜 2
00nm程度の範囲とされる。また、第2の層に、該第2の
層の耐候性(耐水性や耐薬品性等)を向上させ、導電性
反射防止膜の信頼性を高めるために、例えば、Zr
2 、フッ化シランまたはシリケート類のような化合物
の1種あるいは複数種を、環境条件等に応じて存在させ
ることができる。なお、第2の層における該化合物の存
在量は、導電性反射防止膜の機能を損なわない範囲とな
るよう調整される。例えば、第2の層にZrO2 を存在
させる場合、該ZrO2 の含有量は、SiO2 の含有量
に対して、すなわちZrO2 (モル)/SiO2 (モ
ル)×100の値が 5〜40モル%、より好ましくは10〜
20モル%とする。第2の層におけるZrO2 の含有量が
SiO2 の 5モル%未満ではZrO2 による効果がほと
んど得られない。また、第2の層におけるZrO2 の含
有量がSiO2 の含有量に対して40モル%を越えると、
第2の層の強度が低下するようになる。さらに、上述し
たように、第2の層に、ZrO2 を、例えばフッ素シラ
ンとともに含有させることも可能である。この場合、導
電性反射防止膜は、表面に容易に必要な導電率でコンタ
クトさせることができるうえに、耐水性や耐酸性、耐ア
ルカリ性等をさらに向上させることができる。
【0034】本発明において、第1の層を形成する方法
としては、例えば、非イオン系界面活性剤とともにAgや
Cu等の微粒子を分散した溶液をスピンコート法、スプレ
ー法あるいは浸漬法等により、陰極線管のフェースパネ
ルの外表面等の基材上に塗布する方法が例示される。こ
のとき、第1の層を形成する際のムラの発生をさらに抑
制し、均一な膜厚を備えた第1の層を得るために、基材
の表面の温度を 5〜60℃程度にしておくことが望まし
い。第1の層の膜厚は、溶液に含まれるAgやCu等の金属
の微粒子の濃度、スピンコート法における塗布時の回転
数、スプレー法における分散液の放出量あるいは浸漬法
における引き上げ速度等を調整することにより容易に制
御することができる。なお、溶液の溶媒としては、必要
に応じて水とともに、例えば、エタノールやIPA等を
含有させることができる。また、溶液中に有機金属化合
物、顔料および染料等をさらに含有させ、形成された第
1の層に他の機能を付加することもできる。
【0035】また、第1の層上に第2の層を形成する方
法としては、例えば、非イオン系界面活性剤とともにAg
やCu等の微粒子およびシリケートを分散した溶液をスピ
ンコート法、スプレー法あるいは浸漬法等により第1の
層上に塗布する方法が例示される。第2の層の膜厚は、
例えば、溶液に含まれるAg、Cuおよびシリケート等の濃
度、スピンコート法における塗布時の回転数、スプレー
法における溶液の放出量あるいは浸漬法における引き上
げ速度等を調整することにより容易に制御することがで
きる。こうして形成された第1および第2の塗膜を、 1
50〜450 ℃で10〜180 分の間に渡って同時に焼成するこ
とで、本発明に係る導電性反射防止膜を得ることができ
る。なお、本発明においては、導電性反射防止膜におけ
る反射率をより効果的に低減するために、第1の層と第
2の層との間に、例えば、第1の層の反射率と第2の層
の反射率とのほぼ中間にあたる反射率を有する第3の層
を設けて、2層以上の構成とすることができる。このと
き、互いに隣り合う2つの層の間において、屈折率の差
が低くなるように設定することで、導電性反射防止膜の
反射率を効果的に低減することができる。本発明におい
て、第1および第2の層から導電性反射防止膜を構成す
る場合には、通常、第1の層については、層の厚さを 2
00nm以下、屈折率を 1.7〜 3程度となるように設定し、
第2の層については、層の厚さを第1の層の厚さの10倍
程度以下、屈折率を1.38〜1.70程度となるように設定す
るが、第1の層と第2の層との間に第3の層を設ける場
合には、第1〜第3の層における各々の層の厚さや屈折
率は、反射防止膜全体の光の透過率や屈折率等を考慮し
て適宜設定すればよい。
【0036】
【発明の実施の形態】次に、具体的に実施例を挙げて本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例
に限定されるものではない。
【0037】まずITOの微粒子をエタノ一ルに分散さ
せ、 2重量%ITO分散液を調製した。
【0038】また、1重量%シリケート溶液(テトラメ
トキシシランのトリマー、テトラマーの混合溶液(3.5
量体))に対して、SiO2固形分換算でSiO2に対し
て0重量%(比較例)、5、10、20、40、50重量%(実施
例1〜、および100重量%(参考例)となるようI
TOの微粒子をそれぞれ添加混合し第2〜第8の分散液
を調製した(ここで重量%は、ITO(重量)/SiO
2(重量)×100である。)。次に、組立て終了後の陰極
線管のフェースパネル(17インチパネル)の外表面を酸
化セリウムによりフ研磨し、ゴミ、ほこりおよび油分
等を除去した後、第1の分散液をスピンコート法により
塗布して第1の塗膜を成膜した。塗布条件は、パネル
(塗布面)温度が30℃、回転速度が溶液注入時80rpm-5s
ec、液振りきり(成膜)時150rpm-80secとした。次い
で、第1の塗膜の上に、第2〜第8の各1つの溶液を溶
液注入時80rpm-5sec、液振りきり時150rpm-80secの条件
でスピンコート法により塗布して第2の塗膜を成膜した
後、第1および第2の塗膜を210℃の温度で30分間焼成
した。
【0039】図1に、こうして得られ、実施例1〜実施
例6に相当する陰極線管を示す。
【0040】図1(a)において、カラー陰極線管はパ
ネル1およびパネル1に一体に接合されたファンネル7
からなる外囲器を有し、このパネル1に組み込まれたフ
ェースパネル8の内面には、青、緑、赤に発光する三色
蛍光体層と、この三色蛍光体層の間隙部を埋める黒色の
光吸収層とからなる蛍光面9が形成されている。三色蛍
光体層は、各蛍光体をPVA、界面活性剤、純水等と共
に分散させたスラリーを用い、これを通常の方法に従っ
てフェースパネル8の内面に塗布することにより得られ
る。三色蛍光体層の形状は、ストライプ状でもドット状
でもよいが、ここではドット状とした。そして、蛍光面
9に対向してその内側に多数の電子ビーム通過孔の形成
されたシャドウマスク10が装着されている。また、フ
ァンネル7のネック11の内部には、蛍光面8に電子ビ
ームを照射するための電子銃12が配設されており、電
子銃12によって放出された電子ビームが蛍光面9に衝
突し、三色蛍光体層を励起、発光させるものである。そ
して、フェースパネル8の外表面には、導電性反射防止
膜2が形成されている。また、図1(b)に、図1
(a)で示した陰極線管をA−A′に沿って切断した断
面を示す。図1(b)に示したように、フェースパネル
8の表面上には、ITOの微粒子13を含有した第1の
層(導電層)14と、SiO2のマトリックス中にIT
Oの微粒子13が分散した第2の層15とから構成され
た導電性反射防止膜2が形成されている。次いで、実施
例1〜5、参考例および比較例でそれぞれ得られた導電
性反射防止膜について、表面抵抗値、抵抗安定性、膜強
度および視感正反射率をそれぞれ測定した。なお、表面
抵抗値は、Loresta IP MCP-T250(油化電子社製)を使
用して測定して得られた値であり、抵抗安定性について
は、測定中数値が変動しないものを○、測定中数値が変
動するものを×とした。さらに、膜強度はSUS 304から
なる探針を1.5kg/cm2の圧力で導電性反射防止膜と接触
させた後、該探針を1.5kg/cm2の圧力で加圧したまま導
電性反射防止膜上を移動させ、探針により傷がつかない
ものを○、傷がつくものを×とした。また、視感正反射
率は、CR-353G(ミノルタ社製)により得られた値であ
る。表1に、これらの測定結果を示す。
【0041】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜で得られた導電
性反射防止膜では、いずれも導電性反射防止膜の表面か
ら導通をとるために有効な低い表面抵抗値を有するうえ
に、十分な抵抗安定性を有している。また、視感正反射
率においても、導電性反射防止膜として機能するため
に、実用上、十分な値となっている。これに対し、比較
例で得られた導電性反射防止膜では、第2の層にITO
の微粒子が存在していないために表面抵抗値が高く、抵
抗安定性も不安定なものであった。その結果、導電性反
射防止膜の表面から導通をとることはできなかった。
【0042】
【0043】以上の実施例からも明らかなように、本発
明の導電性反射防止膜によれば、第1の導電性微粒子を
含有した第1の層を、SiO2 のマトリックス中に第2
の導電性微粒子を含有した第2の層で覆うことにより、
第2の層の屈折率を第1の層の屈折率より小さくすると
ともに、第2の層の表面抵抗値を低くすることができ
る。したがって、AEFの発生を防止するとともに、第
2の層により光の反射を防止し、かつ導通部等を形成す
ることなく第2の層から安定して導通をとることが可能
な導電性反射防止膜を提供することができる。また、導
電性反射防止膜より導通をとる際の工程数およびコスト
を削減できるので、生産性に優れた導電性反射防止膜を
提供することができる。さらに、第1の層を覆う第2の
層の安定性が高いので、耐久性に優れた導電性反射防止
膜を提供することができる。
【0044】また、本発明の陰極線管によれば、フェー
スプレートの面上に第1の導電性微粒子を含有した第1
の層を設け、該第1の層をSiO2 および第2の導電性
微粒子を含有した第2の層で覆うことにより、第2の層
の屈折率を第1の層の屈折率より小さくし、かつ第2の
層の表面抵抗値を低くすることができる。したがって、
AEFの発生を防止するとともに、第2の層により光の
反射を防止し、かつ導通部等を形成することなく第2の
層から安定して導通をとることが可能な陰極線管を提供
することができる。また、導電性反射防止膜より導通を
とる際の工程数およびコストを削減できるので、生産性
に優れた陰極線管を提供することができる。さらに、第
1の層を覆う第2の層の安定性が高いので、長期に渡り
画質の高い画像を表示できる陰極線管を提供することが
できる。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の導電性反射防止膜によれば、第1の導電性微粒子を含
有した第1の層を、SiO2 および第2の導電性微粒子
を含有した第2の層で覆うことにより、第2の層の屈折
率を第1の層の屈折率より小さくするとともに、第2の
層の表面抵抗値を低くすることができる。したがって、
AEFの発生を防止するとともに、第2の層により光の
反射を防止し、かつ導通部等を形成することなく第2の
層から安定して導通をとることが可能な導電性反射防止
膜を提供することができる。また、導電性反射防止膜よ
り導通をとる際の工程数およびコストを削減できるの
で、生産性に優れた導電性反射防止膜を提供することが
できる。さらに、第1の層を覆う第2の層の安定性が高
いので、耐久性に優れた導電性反射防止膜を提供するこ
とができる。
【0046】また、本発明の陰極線管によれば、フェー
スプレートの面上に第1の導電性微粒子を含有した第1
の層を設け、該第1の層をSiO2 および第2の導電性
微粒子を含有した第2の層で覆うことにより、第2の層
の屈折率を第1の層の屈折率より小さくし、かつ第2の
層の表面抵抗値を低くすることができる。したがって、
AEFの発生を防止するとともに、第2の層により光の
反射を防止し、かつ導通部等を形成することなく第2の
層から安定して導通をとることが可能な陰極線管を提供
することができる。また、導電性反射防止膜より導通を
とる際の工程数およびコストを削減できるので、生産性
に優れた陰極線管を提供することができる。さらに、第
1の層を覆う第2の層の安定性が高いので、長期に渡り
画質の高い画像を表示できる陰極線管を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る陰極線管(a)および導電性反射
防止膜(b)の構成を模式的に示した図である。
【図2】従来の陰極線管において、導電性反射防止膜の
構成を模式的に示した図である。
【図3】従来の陰極線管において、導電性反射防止膜の
構成を模式的に示した図である。
【図4】従来の陰極線管において、導電性反射防止膜の
構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1……パネル 2……導電性反射防止膜 3……導
電層 4……反射防止層 5……導通部 6……ハンダ 7……ファンネル 8……フェースパネル 9……
蛍光面 10……シャドウマスク 11……ネック 12…
…電子銃 13……ITOの微粒子 14……第1の層 15
……第2の層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−76401(JP,A) 特開 平3−179649(JP,A) 米国特許5243255(US,A) 米国特許5412278(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 1/11 H01J 29/88

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金、銀、銀化合物、銅、銅化合物、錫化
    合物およびチタン化合物からなる群より選択されると共
    に、400nm以下の粒径(粒子を同一の体積を示す球に換
    算した値)を有する導電性微粒子を含有した第1の層
    と、 前記第1の層を覆うように設けられ、SiO2 と、金、
    銀、銀化合物、銅、銅化合物、錫化合物およびチタン化
    合物からなる群より選択されると共に、400nm以下の粒
    径(粒子を同一の体積を示す球に換算した値)を有する
    導電性微粒子とを含有し、前記導電性微粒子の含有量が
    前記SiO2に対して5〜50重量%の範囲である第2の層
    とを具備し、 表面抵抗値が4×104Ω/□以下であることを特徴とする
    導電性反射防止膜。
  2. 【請求項2】 金、銀、銀化合物、銅、銅化合物、錫化
    合物およびチタン化合物からなる群より選択されると共
    に、400nm以下の粒径(粒子を同一の体積を示す球に換
    算した値)を有する導電性微粒子を含有した第1の層
    と、 前記第1の層を覆うように設けられ、SiO 2 と、金、
    銀、銀化合物、銅、銅化合物、錫化合物およびチタン化
    合物からなる群より選択されると共に、400nm以下の粒
    径(粒子を同一の体積を示す球に換算した値)を有する
    導電性微粒子とを含有し、前記導電性微粒子の含有量が
    前記SiO 2 に対して5〜50重量%の範囲である第2の層
    とを具備する導電性反射防止膜であって、 前記導電性反射防止膜は、表面抵抗値が4×10 4 Ω/□以
    下であり、かつSUS 304製探針を1.5kg/cm 2 の圧力で前記
    導電性反射防止膜と接触させた後、前記探針を1.5kg/cm
    2 の圧力で加圧したまま前記導電性反射防止膜上を移動
    させた際に、前記探針により傷がつかない膜強度を有す
    ることを特徴とする導電性反射防止膜。
  3. 【請求項3】 前記第2の層は前記導電性微粒子を前記
    SiO2に対して10〜40重量%の範囲で含有することを
    特徴とする請求項1又は2記載の導電性反射防止膜。
  4. 【請求項4】 前記第2の層はZrO2、フッ素シラン
    およびシリケート類から選ばれる1種または複数種を含
    有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項
    記載の導電性反射防止膜。
  5. 【請求項5】 蛍光物質を備えた第1の面を有するフェ
    ースプレートと、前記フェースプレートの第1の面と対
    向する第2の面上に設けられた導電性反射防止膜であっ
    金、銀、銀化合物、銅、銅化合物、錫化合物および
    チタン化合物からなる群より選択されると共に、400nm
    以下の粒径(粒子を同一の体積を示す球に換算した値)
    を有する導電性微粒子を含有する第1の層と、前記第1
    の層を覆うように設けられ、SiO2 と、金、銀、銀化
    合物、銅、銅化合物、錫化合物およびチタン化合物から
    なる群より選択されると共に、400nm以下の粒径(粒子
    を同一の体積を示す球に換算した値)を有する導電性微
    粒子とを含有し、前記導電性微粒子の含有量が前記Si
    2に対して5〜50重量%の範囲である第2の層とを有
    し、かつ表面抵抗値が4×104Ω/□以下である導電性反
    射防止膜とを具備することを特徴とする陰極線管。
  6. 【請求項6】 蛍光物質を備えた第1の面を有するフェ
    ースプレートと、 前記フェースプレートの第1の面と対向する第2の面上
    に設けられた導電性反射防止膜であって、金、銀、銀化
    合物、銅、銅化合物、錫化合物およびチタン化合物から
    なる群より選択されると共に、400nm以下の粒径(粒子
    を同一の体積を示す球に換算した値)を有する導電性微
    粒子を含有する第1の層と、前記第1の層を覆うように
    設けられ、SiO 2 と、金、銀、銀化合物、銅、銅化合
    物、錫化合物およびチタン化合物からなる群より選択さ
    れると共に、400nm以下の粒径(粒子を同一の体積を示
    す球に換算した値)を有する導電性微粒子とを含有し、
    前記導電性微粒子の含有量が前記SiO 2 に対して5〜50
    重量%の範囲である第2の層とを有する導電性反射防止
    膜とを具備し、 前記導電性反射防止膜は、表面抵抗値が4×10 4 Ω/□以
    下であり、かつSUS 304製探針を1.5kg/cm 2 の圧力で前記
    導電性反射防止膜と接触させた後、前記探針を1.5kg/cm
    2 の圧力で加圧したまま前記導電性反射防止膜上を移動
    させた際に、前記探針により傷がつかない膜強度を有す
    ることを特徴とする陰極線管。
  7. 【請求項7】 前記第2の層は前記導電性微粒子を前記
    SiO2に対して10〜40重量%の範囲で含有することを
    特徴とする請求項又は記載の陰極線管。
  8. 【請求項8】 前記第2の層はZrO2、フッ素シラン
    およびシリケート類から選ばれる1種または複数種を含
    有することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項
    記載の陰極線管。
JP19348498A 1997-07-08 1998-07-08 導電性反射防止膜および陰極線管 Expired - Fee Related JP3466089B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19348498A JP3466089B2 (ja) 1997-07-08 1998-07-08 導電性反射防止膜および陰極線管

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18281297 1997-07-08
JP9-182812 1997-07-08
JP19348498A JP3466089B2 (ja) 1997-07-08 1998-07-08 導電性反射防止膜および陰極線管

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1184104A JPH1184104A (ja) 1999-03-26
JP3466089B2 true JP3466089B2 (ja) 2003-11-10

Family

ID=26501473

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19348498A Expired - Fee Related JP3466089B2 (ja) 1997-07-08 1998-07-08 導電性反射防止膜および陰極線管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3466089B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100366087B1 (ko) * 2000-08-04 2002-12-26 삼성에스디아이 주식회사 필터막 형성용 조성물 및 이로부터 형성된 필터막

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1184104A (ja) 1999-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6184125B1 (en) Method of fabricating conductive anti-reflection film for a cathode ray tube
JP3399270B2 (ja) 透明導電膜およびその形成用組成物
KR100330315B1 (ko) 도전성반사방지막및음극선관
EP0859398B1 (en) Color cathode ray tube equipped with field leak preventing coating and method of manufacture
EP0836216B1 (en) Manufacture of a conductive anti-reflection film and of a cathode ray tube
JP3466089B2 (ja) 導電性反射防止膜および陰極線管
JP3460484B2 (ja) 透明導電膜
US6771017B2 (en) Color cathode ray tube and method of manufacturing thereof
JPH10182190A (ja) 透明黒色性導電膜
US6323592B1 (en) Cathode ray tube and method of manufacturing conductive antireflection film
KR100389982B1 (ko) 음극선관과 그 제조방법
KR100394054B1 (ko) 음극선관
JP2000323075A (ja) 陰極線管
JP2001143642A (ja) 陰極線管
JP2002190265A (ja) 陰極線管
KR980010968A (ko) 표시 장치에 대한 다층 대전방지/반사방지 코팅
JPH11120942A (ja) 陰極線管
JP2002062402A (ja) 光吸収性反射防止体及び表示装置
JPH10340670A (ja) 陰極線管の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030225

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030812

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees