JP2001323396A - 粒子含有無機・有機ハイブリッド膜およびその形成方法 - Google Patents

粒子含有無機・有機ハイブリッド膜およびその形成方法

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JP2001323396A JP2000370614A JP2000370614A JP2001323396A JP 2001323396 A JP2001323396 A JP 2001323396A JP 2000370614 A JP2000370614 A JP 2000370614A JP 2000370614 A JP2000370614 A JP 2000370614A JP 2001323396 A JP2001323396 A JP 2001323396A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、クラックやポアが発生しない粒子
含有無機・有機ハイブリッド膜およびその形成方法に関
する。 【解決手段】 少なくとも表面が導電性を有する基板上
に形成された、直径50μm以下の粒子が全粒子の95%
以上である粒径分布の粒子を面積分率で10−99%含
有する、三次元網目状の骨格が有機基で修飾されたシロ
キサン結合を含む粒子含有無機・有機ハイブリッド膜、
および、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを主成分と
する溶液中に粒子を分散させ、少なくとも表面が導電性
を有する基板を浸漬し、前記溶液中に設置された対向電
極と基板との間に電圧を印加し、基板の表面に粒子を付
着させ、基板を溶液から引き上げ乾燥および/または熱
処理することを特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリ
ッド膜の形成方法によって解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子を含有する無
機・有機ハイブリッド膜、およびその形成方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】無機・有機ハイブリッドは、一般に、骨
格を形成する三次元網目構造としてシロキサン結合を含
んでおり、三次元網目構造中のSiO4四面体の架橋酸素の
少なくとも1個以上が有機基で置換されている。無機・
有機ハイブリッドは、三次元網目構造を修飾する有機基
が増えるにつれて柔軟性が高くなってくるが、ガラスや
セラミックスに比べて硬度が急激に低下する。このよう
な問題を解決するために、無機粒子を分散した無機・有
機融合体が提案されている(特開平7−278311号
公報)。また、ポリジメチルシロキサンを主成分とする
無機・有機ハイブリッドは、シロキサン骨格を有するた
め通常のゴムより耐熱性の高いエラストマーとして知ら
れているが、粒子を分散させることにより、さらに強度
の優れた耐熱性エラストマーとなる(特開平8−253
473号公報)。
【0003】しかしながら、粒子含有の無機・有機ハイ
ブリッドは、製造が非常に難しいという問題があった。
例えば、特開平7−278311号公報および特開平8
−253473号公報において、無機粒子は、無機・有
機ハイブリッドを形成用ゾル中に分散させており、重縮
合反応により無機・有機ハイブリッドの三次元網目構造
が形成するときに網目構造中に取り込まれている。この
ような製造方法では、無機粒子と無機・有機ハイブリッ
ド形成用ゾルとの比重の差により、一般には無機粒子が
沈降するため均一なバルクや膜を得ることができない。
また、無機粒子の含有量が高くなると、粒子を含む無機
・有機ハイブリッド形成用溶液の粘性が著しく上がるた
め、均一に混ぜ合わせることが難しかった。さらに、で
きあがったバルクや膜にクラックやポアが入るという問
題があった。
【0004】Schmidtは、ナノ粒子の分散性の向上を図
るため、粒子の表面をシランカップリング剤などで改質
し、無機・有機ハイブリッド中に取り込んでいる(H.
K. Schmidt, J. Sol-Gel Science and Technology 8, 5
57 (1997))。この方法においても、粒子の含有量が高
い場合、クラックのない均一なバルクや膜を得るのは困
難であった。特に成膜する場合には、無機・有機ハイブ
リッド形成用溶液の粘度が分散粒子により高くなるた
め、均一に塗布することが難しい上、基板との付着力が
低いという問題があった。
【0005】一方、粒子のみを基板上に付着させる方法
として、電気泳動法は有効な手段であることが知られて
いる。電気泳動法は、溶液中に浸漬した対向電極と基板
の間に電圧を印加し、帯電粒子を電気的に基板に付着さ
せるものであり、比較的緻密に粒子を付着させることが
できるのが特徴である。しかし、セラミックスの電着膜
では、泳動により粒子を基板に付着させただけでは、密
着力および膜強度ともに弱くすぐに剥がれてしまう。密
着力と強度を向上させるには、電着膜を焼結し緻密な膜
を得ることが必要であった。一般にセラミックスの焼結
温度は1000℃以上と高いので、焼結により緻密な膜を得
ようとすると、基板の種類が極めて限定されるうえ、基
板と成膜しようとするセラミックスなどの熱膨張係数差
により、クラックが発生するという問題がある。
【0006】このような焼結プロセスを使わないものと
して、粒子間を有機樹脂で埋めて膜にする方法がある。
例えば、あらかじめ帯電したカチオン電着性微粒子を用
い、これをカチオン電着塗装液に配合して共電着する方
法が提案されている(特開平6−287267号公報、
特開平6−173089号公報)。しかし、カチオン電
着性微粒子は、加水分解性アルコキシシラン基を含有す
るエポキシ樹脂アミン付加物の分散粒子を粒子内架橋し
たものなどであり、帯電していない一般的なセラミック
ス粒子や、プラスチックなどの有機粒子に対して、カチ
オン導電性微粒子と同様の手法を適用することはできな
い。また、電着塗装液に有機または無機顔料を配合した
ものを電着塗装する方法も知られている(特開平11−
286632号公報)。これらの電着塗装液において
は、電着塗装用樹脂そのものが電着され、有機または無
機の顔料は電着する樹脂に巻き込まれて基板に付着する
ため、顔料の含有率は電気泳動法で付ける粒子ほどの高
い含有率にはならない。電着塗装液としては、塗料の樹
脂がマイナスの電荷を持つアニオン型のもの、例えば、
ポリエステルまたはポリブタジエンなど、またはプラス
の電荷を持つカチオン型のもの、例えばエポキシ樹脂骨
格中にアミノ基を持つものなどが挙げられる。これら
は、いずれもCとHを主体とする有機骨格を主骨格として
持つものであり、シロキサンを主骨格とする無機・有機
ハイブリッドに比べて、耐熱性や硬度などが劣るという
問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、粒子の含有
率が高くてもクラック等が発生しない粒子含有無機・有
機ハイブリッド膜、およびその形成方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題は、(1)少な
くとも表面が導電性を有する基板上に形成された、直径
50μm以下の粒子が全粒子の95%以上である粒径分布
の粒子を面積分率で10−99%含有する、三次元網目
状の骨格が有機基で修飾されたシロキサン結合を含む無
機・有機ハイブリッド膜、(2)少なくとも表面が導電
性を有する基板上に形成された、直径5μm以下の粒子が
全粒子の90%以上である粒径分布の粒子を面積分率で
10−99%含有する、三次元網目状の骨格が有機基で
修飾されたシロキサン結合を含む無機・有機ハイブリッ
ド膜、(3)オルガノアルコキシシランの加水分解物を
含む溶液中に粒子を分散させ、少なくとも表面が導電性
を有する基板を前記溶液に浸漬し、前記溶液中に設置さ
れた対向電極と前記基板との間に電圧を印加することを
特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の形成方
法、(4)有機溶剤中で1種類以上のオルガノアルコキ
シシランを加水分解して得られるゾルを主成分とする溶
液中に粒子を分散させ、少なくとも表面が導電性を有す
る基板を前記溶液に浸漬し、前記溶液中に設置された対
向電極と前記基板との間に電圧を印加し、前記導電性を
有する基板の表面に前記粒子を付着させ、前記導電性を
有する基板を溶液から引き上げ、さらに乾燥および/ま
たは熱処理することを特徴とする粒子含有無機・有機ハ
イブリッド膜の形成方法、(5)有機溶剤中で1種類以
上のオルガノアルコキシシランおよびSiのアルコキシド
を加水分解して得られるゾルを主成分とする溶液中に粒
子を分散させ、少なくとも表面が導電性を有する基板を
前記溶液に浸漬し、前記溶液中に設置された対向電極と
前記基板との間に電圧を印加し、前記導電性を有する基
板の表面に前記粒子を付着させ、前記導電性を有する基
板を溶液から引き上げ、さらに乾燥および/または熱処
理することを特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッ
ド膜の形成方法、(6)有機溶剤中で1種類以上のオル
ガノアルコキシシラン、およびB, Al, Ge, Ti, Y, Zr,
Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属のアルコキシドを
加水分解して得られるゾルを主成分とする溶液中に粒子
を分散させ、少なくとも表面が導電性を有する基板を前
記溶液に浸漬し、前記溶液中に設置された対向電極と前
記基板との間に電圧を印加し、前記導電性を有する基板
の表面に前記粒子を付着させ、前記導電性を有する基板
を溶液から引き上げ、さらに乾燥および/または熱処理
することを特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッド
膜の形成方法、(7)有機溶剤中で1種類以上のオルガ
ノアルコキシシラン、およびSiのアルコキシド、および
B, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上
の金属のアルコキシドを加水分解して得られるゾルを主
成分とする溶液中に粒子を分散させ、少なくとも表面が
導電性を有する基板を前記溶液に浸漬し、前記溶液中に
設置された対向電極と前記基板との間に電圧を印加し、
前記導電性を有する基板の表面に前記粒子を付着させ、
前記導電性を有する基板を溶液から引き上げ、さらに熱
処理することを特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリ
ッド膜の形成方法、(8)前記オルガノアルコキシシラ
ンおよび/またはSiのアルコキシドの加水分解時に酢酸
を使用することを特徴とする(3)、(4)、(5)、
(6)または(7)記載の粒子含有無機・有機ハイブリ
ッド膜の形成方法、(9)前記ゾルを主成分とする溶液
が、ケトン、ヨウ素、セルロースのうち少なくとも1種
を含むことを特徴とする(3)、(4)、(5)、
(6)、(7)または(8)記載の粒子含有無機・有機
ハイブリッド膜の形成方法、によって解決される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における無機・有機ハイブ
リッド膜は、三次元網目構造状に発達した無機骨格を有
し、その無機骨格の一部が有機基で修飾されたシロキサ
ン結合から成っている。無機骨格はシロキサン結合を主
骨格とするが、Si以外の金属元素または半金属元素
(M)と酸素から成るM-O-M結合、M-O-Si結合を含んで
もよい。Si以外の金属元素としては、 B, Al, Ge, Ti,
Y, Zr, Nb, Taなどが挙げられる。シロキサン骨格を修
飾する有機基としては、水素、または炭素数1から20
までのアルキル基およびその置換体、または炭素数6か
ら20までのアリール基およびその置換体、または炭素
数6から20までのアラルキル基およびその置換体、ま
たは-C-O-, -C=O, -COO-, -CON=(アミド基), -CN, -N
H2, -NH-, エポキシ基などの極性を有する有機基、>C=
CHCOOH, ビニル基などのように不飽和炭素結合を有する
有機基などがあげられる。アリール基は、N、SまたはO
を含む複素環であってもよい。特にシロキサン骨格を修
飾する有機基がフェニル基またはその置換体の場合、耐
熱性および膜強度が共に高い無機・有機ハイブリッド膜
が得られる。また、シロキサン骨格を修飾する有機基が
有機重合可能なビニル基・エポキシ基などの場合は、無
機のシロキサン骨格に加えて有機の骨格も形成されるの
で、膜強度が向上する。
【0010】本発明における粒子含有無機・有機ハイブ
リッド膜は、無機粒子、有機粒子、無機・有機ハイブリ
ッド粒子などから選ばれる1種以上の粒子を10〜99
%含有する。本発明で用いる粒子としては、アルミナ、
チタニア、シリカ、二硫化モリブデン、二硫化タングス
テン、黒鉛、ゼオライト、チタン酸バリウムなどの無機
粒子、ポリスチレン、フッ素樹脂、スピロピラン、フタ
ロシアニンなどの有機粒子、フェニルトリエトキシシラ
ンの加水分解物などの無機・有機ハイブリッド粒子など
が挙げられる。これらの粒子は銅、白金、ロジウム、パ
ラジウム、コバルト、ニッケルなどの触媒機能をもつ成
分で修飾されていてもよい。修飾された粒子としてはCu
-ZSM5(ゼオライト)などがあげられる。本発明における
粒子の含有率は、粒子含有無機有機ハイブリッド膜の断
面または表面をSEMまたは光学顕微鏡などで観察したと
き、粒子部分の面積が粒子含有無機有機ハイブリッド膜
の全面積に対して占める割合である。粒子の面積分率が
10%より少ない場合、粒子による硬度や強度向上の効
果などが小さい。粒子の面積分率が99%を超える場
合、粒子同士をつなぐハイブリッドが少なすぎるため膜
が脆くなる。好適には粒子の面積分率は40〜95%、
さらに好ましくは80〜90%である。本発明の粒子
は、粒子含有無機有機ハイブリッド膜の断面または表面
をSEMまたは光学顕微鏡などで観察したとき、単位面積
内の全粒子面積に対して、直径50μm以下の粒子の粒子
面積が95%以上を占めるような粒径分布である。各粒
子の直径は、粒子含有無機有機ハイブリッド膜の断面ま
たは表面をSEMまたは光学顕微鏡などで観察したときの
各粒子の長径と短径の平均値とする。直径50μm以上の
粒子の粒子面積が全粒子面積の5%以上ある場合、粒子
間の隙間がポアとなるためふさわしくない。直径50μm
以下の粒子の粒子面積が全粒子面積の95%以上を占め
るような粒径分布や、直径5μm以下の粒子の粒子面積
が全粒子面積の90%以上を占めるような粒径分布のと
き、平滑で密着力の高い膜が得られるので好ましい。粒
子の直径の下限値は特に規定しないが、セラミックスな
どの無機粒子の場合、0.1〜5μm程度の粒子が電気泳動
電着にふさわしい。しかし、オルガノアルコキシシラン
を加水分解して得られるような無機・有機ハイブリッド
粒子の場合、10nm程度のコロイド状粒子であってもよ
い。
【0011】本発明における無機・有機ハイブリッド膜
は、表面が導電性を有するものであればどのような材料
であってもよいが、例えば鉄板、銅板、アルミニウム
板、鋼板、ニッケル板などの金属および合金の板、ある
いはガラスまたはプラスチックなどの絶縁板の表面にIT
O、金属、合金などの導電性膜を形成したものの上に形
成される。
【0012】本発明の無機・有機ハイブリッドを形成す
るためのゾルは、1種類以上のオルガノアルコキシシラ
ンを有機溶剤中で加水分解したものを主成分とする。オ
ルガノアルコキシシランは、一般式RnSi(OR')4-n(Rお
よびR'は水素または有機基、nは1から3までの整数の中
から選ばれる)またはRnSiX4-n(Rは有機基、XはF以外
のハロゲン元素、nは1から3までの整数の中から選ばれ
る)で表される。OR'およびXは加水分解されるため、最
終的な無機・有機ハイブリッド膜中に殆ど残らないが、
Siに直接結合しているRは加水分解を受けないためオル
ガノアルコキシシランRnSi(OR')4-nの加水分解・重縮合
反応により形成されるシロキサン骨格を有機基Rで修飾
できることになる。Rとしては、水素、または炭素数1
から20までのアルキル基およびその置換体、または炭
素数6から20までのアリール基およびその置換体、ま
たは炭素数6から20までのアラルキル基およびその置
換体、または-C-O-, -C=O, -COO-, -CON=, -CN, -NH2,
-NH-, エポキシ基などの極性を有する有機基、>C=CHCO
OH, ビニル基などのように不飽和炭素結合を有する有機
基などがあげられる。アリール基はN、OまたはSを含む
複素環であってもよい。nが2または3のとき、Rは同一
であっても異なってもよい。R'としては炭素数1から6
までのアルキル基があげられる。nが2以下の時、R'は
同一であっても異なってもよい。オルガノアルコキシシ
ランの好適な例として、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラ
ン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメト
キシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-オクタ
デシルメチルジエトキシシラン、n-オクチルメチルジエ
トキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、ジメ
トキシメチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシラン,ジ
イソブチルジメトキシシラン、フェニルエチルジクロロ
シラン、t-ブチルフェニルジクロロシラン、トリメチル
メトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメトキシ
メチルシラン、ジエトキシメチルシラン、フェニルトリ
エトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピ
ルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのオル
ガノアルコキシシランから形成されるシロキサン骨格は
有機基で修飾されている。この有機修飾により、無機骨
格に柔軟性が現れ、従来のガラスやセラミックスには見
られなかった可撓性を付与した、無機・有機ハイブリッ
ドの基本構造ができる。また、主骨格が無機のシロキサ
ン結合であるため、有機樹脂に比べて耐熱性および硬度
が高い、という利点がある。さらに、無機・有機ハイブ
リッドの形成自体は比較的低温でできるので、帯電可能
な粒子であれば、セラミックスなどの無機粒子だけでな
く、有機粒子を含んだ膜を作製することも可能である。
【0013】本発明における無機・有機ハイブリッド形
成用ゾルの作製時に、オルガノアルコキシシランの他
に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシランなどSiのアルコキシドを含んでも
よい。Siのアルコキシドを含むことにより、無機・有機
ハイブリッドの硬度を上げることができるので、粒子含
有無機・有機ハイブリッド膜が強固になる。
【0014】B, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれ
る1種類以上の金属のアルコキシドは、それ自体の金属
元素の性質をシロキサン結合を主骨格とする無機・有機
ハイブリッドに付与することができる。たとえば、Ti,
Nb, Taなどは、電子分極率がSiに比べて高いので、これ
らの元素が入ることにより、高屈折率の無機・有機ハイ
ブリッドを得ることができる。 また、B, Al, Ge, Ti,
Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属のアルコキ
シドは、オルガノアルコキシシランの加水分解・重縮合
反応を促進する触媒効果を有する。通常、無機・有機ハ
イブリッドを形成するゾルには、酸またはアルカリを触
媒としてオルガノアルコキシシランなどの加水分解を行
うが、粒子の電気泳動をさせるための電圧印加時に酸や
アルカリは電気分解をおこし、電着膜の形成を阻害する
ことがある。このような場合には、酸およびアルカリに
替わる触媒として、これらの金属のアルコキシドを用い
ることにより、粒子の電気泳動を阻害することのない無
機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製することができ
る。B, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類
以上の金属のアルコキシドを用いる場合、アルコキシ基
の一部をβ-ジケトン、β-ケトエステル、アルカノール
アミン、アルキルアルカノールアミン、有機酸等で置換
したアルコキシド誘導体も使用できる。
【0015】1種類以上のオルガノアルコキシシラン、
およびSiのアルコキシド、およびB,Al, Ge, Ti, Y, Zr,
Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属のアルコキシドを
加水分解して得られる、無機・有機ハイブリッド形成用
ゾルは、オルガノアルコキシシランにより柔軟性が得ら
れ、Siのアルコキシドにより硬度が得られ、 B, Al, G
e, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属の
アルコキシドにより、その金属特有の性質をシロキサン
骨格に付与できることになる。
【0016】オルガノアルコキシシランおよび/または
Siのアルコキシドの加水分解時に、触媒として酸・アル
カリあるいはSi以外の金属元素を使うことができるが、
本発明においては、特に酢酸を使うことが望ましい。酢
酸を使用することにより、酸性になるため、オルガノア
ルコキシシランおよび/またはSiのアルコキシドの加水
分解反応が促進され、シラノール基が多く形成されるの
で、密着力が向上する。また、酢酸はオルガノアルコキ
シシランおよび/またはSiのアルコキシドのアルコキシ
基と反応して、酢酸メチル、酢酸エチルなどを形成する
ため、電気泳動を行ったときに酢酸として電気分解され
て水素などのガスを放出することがない。このため、粒
子の電気泳動電着が進みやすいという利点がある。触媒
として酢酸を用いる場合、70℃程度で還流することに
より、加水分解反応が促進され、密着性を向上させるこ
とができる。
【0017】本発明における無機・有機ハイブリッド形
成用ゾルの加水分解では、全アルコキシ基に対して2モ
ル倍までの水を添加して加水分解する。添加する水は、
アルコール等の有機溶媒で希釈してもよい。2モル倍以
上の水を使用すると、成膜時に用いる塗布液の寿命が著
しく短くなり、塗布液として保存中にゲル化するために
好ましくない。加水分解においては、アルキルアルコキ
シシランなどのSi原料および金属アルコキシドを均一に
分散、溶解できる有機溶媒が使用される。例えば、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の各
種アルコール、アセトン、トルエン、キシレン等であ
る。
【0018】本発明で用いる粒子としては、無機粒子、
有機粒子、無機・有機ハイブリッド粒子などが挙げられ
る。それらの具体例は既に述べたとおりである。粒子は
マグネットスターラーでの撹拌、超音波などにより粒子
含有無機・有機ハイブリッド形成用溶液中に分散させ
る。次に、粒子含有無機・有機ハイブリッド形成用溶液
中の粒子の帯電について述べる。電気泳動法により粒子
を電着させるためには、粒子がプラスまたはマイナスに
帯電している必要があるが、粒子に特別な処理を施すこ
となく、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルに粒子を分
散させるだけで電着可能なこともある。その場合は、ゾ
ル中の水分子やアルコールまたは粒子がもともと吸着し
ていた水などにより、粒子表面が帯電していたためと考
えられる。粒子の最表面が溶出することにより生じるイ
オンが帯電に寄与する場合もある。また、無機・有機ハ
イブリッド形成用ゾル中で粒子が帯電せず電着が起きな
い場合は、粒子をアセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトンに
分散させるか、あるいは、ヨウ素またはセルロースから
選ばれる1種以上を含む有機溶剤中に分散することであ
らかじめ帯電させ、そこに無機・有機ハイブリッド形成
用ゾルを添加して粒子含有無機・有機ハイブリッド形成
用溶液とすることができる。各種ケトン、ヨウ素、セル
ロースは、それぞれ単独またはそれらの組み合わせによ
り、種々の粒子を帯電させることができる。ヨウ素また
はセルロースを分散させる有機溶剤としては、各種ケト
ンの他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール等の各種アルコール、アセトン、トルエン、キ
シレン等があげられる。
【0019】このようにして調製した粒子含有無機・有
機ハイブリッド膜形成用溶液に、基板と対向電極を浸漬
して電圧を印加すると、粒子が基板に付着する。この
際、無機・有機ハイブリッド形成用の加水分解されたア
ルコキシドが帯電して、粒子と共電着をおこしてもよ
い。たとえば、粒子表面をアミノ基またはシアノ基など
帯電しやすい有機基で修飾し、無機・有機ハイブリッド
形成用ゾルにも、アミノ基またはシアノ基などを含むシ
リコンのアルコキシドを添加しておく。加水分解された
アミノ基またはシアノ基を含むシリコンのアルコキシド
と、アミノ基またはシアノ基などで化学修飾された粒子
とは、表面状態が類似しているため、共電着がおきやす
い。
【0020】また、粒子の表面をシランカップリング剤
などで修飾したものを帯電させて用いてもよい。たとえ
ば異なる粒子の表面を同一のシランカップリング剤で修
飾すると、粒子自体は異なっても粒子表面の状態は同一
になるので、異なる粒子を同時に電着させることも可能
である。電気泳動法による粒子含有無機・有機ハイブリ
ッド被膜を形成する基板としては、表面が導電性を有す
る材料であればどのようなものでもよいが、例えば鉄、
銅、アルミニウム、鋼、ニッケル、クロム、チタニウム
などの金属、およびその合金を用いることができる。さ
らに、ガラス、プラスチックなどの絶縁性基板表面上に
ITO、金属、合金などの導電性膜を形成したものも使用
できる。
【0021】本発明に用いられる対向電極としては、白
金、ステンレススチール、黒鉛、チタニウムなど通常用
いられる電極材が使用できる。溶液中で負に帯電する粒
子を基板に付着させる場合には、基板が陽極になるよう
電場をかけ、溶液中で正に帯電する粒子を基板に付着さ
せるには、基板が陰極になるよう電場をかける。印加電
圧は材料によっても異なるが、例えば5〜500Vが望
ましい。電圧は、直流電圧であってもパルス電圧であっ
てもよい。電圧印加時間は膜厚などにより異なるが、一
般的には5秒〜10分印加する。印加後、基板を溶液か
ら引き上げると、電着した粒子間の空隙や粒子表面に無
機・有機ハイブリッド形成用ゾルが付着してくる。この
付着した無機・有機ハイブリッド形成用ゾルが乾燥など
により無機・有機ハイブリッドとなり、結合剤として粒
子を固定する。
【0022】得られた粒子含有無機・有機ハイブリッド
膜は、必要に応じ熱処理を行う。熱処理温度は70℃から
600℃の間で行うことが望ましい。例えば、70℃の
オーブンに10分程度入れて溶媒の除去を行い、重縮合
反応を促進するため400℃チッソ中で30分処理する
ことができる。粒子として、無機・有機ハイブリッド粒
子を用いた場合、400℃程度の熱処理で、マトリック
スを形成している無機・有機ハイブリッドと一体化し、
電気的に付着させた時点では粒子であっても最終的には
粒子と認識できなくなることもある。
【0023】本発明によれば、対向電極と基板の間に電
圧を印加することで、粒子を基板に付着させ、その空隙
を無機・有機ハイブリッドで埋めることにより、粒子含
有率が高くてもクラックなどの入らない膜を形成するこ
とができる。このようにして作製した膜は、粒子として
二硫化モリブデンのような自己潤滑性を持つ粒子を含む
場合には潤滑膜として、ゼオライトのように吸着性・分
子ふるいなどの機能を有する粒子を含む場合には、分離
膜として応用できる。
【0024】
【実施例】(実施例1)エタノールとメチルトリエトキ
シシランを混合後、酢酸と水を用いて加水分解し、無機
・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。メチルトリ
エトキシシラン、酢酸、水、エタノールの比は、1:1:
3:2である。二硫化モリブデンを分散させたメチルエチ
ルケトン溶液120mlに対して、無機・有機ハイブリッド
形成用ゾル80mlを添加して、粒子濃度0.2g/100mlの粒子
含有無機・有機ハイブリッド膜形成用溶液を作製した。
【0025】この溶液中に厚さ0.65mm、幅32mm、長さ50
mmのSUS304の基板を浸漬し、幅4.5cm、長さ7cm
の白金メッシュを対極として、直流200Vの電圧を印加し
た。電極間距離は10mmである。SUS304基板を陽極と
したときに、基板上に二硫化モリブデン粒子が電着し
た。電圧を30秒印加後、基板を引き上げ、70℃で乾
燥し、窒素中550℃で30分間熱処理を行った。
【0026】FT-IRによりメチル基を確認し、EDAXによ
りSi, Mo, S成分を確認することができたことから、二
硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリッド膜になって
いることがわかった。得られた二硫化モリブデン含有無
機・有機ハイブリッド膜の表面をSEM観察したとこ
ろ、全面積の88%が直径0.1μm以上3.0μm以
下の二硫化モリブデン粒子が占めていた。
【0027】二硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリ
ッド膜の鉛筆硬度は3Hであった。ボールオンディスク
方式による摺動試験を行った結果、オイル潤滑条件下で
180MPaの面圧のとき動摩擦係数が0.09、220MPaから750M
Paの間でほぼ一定して0.11の動摩擦係数の膜が得られ
た。 (実施例2)エタノールとメチルトリエトキシシランを
混合後、酢酸と水を用いて加水分解した。メチルトリエ
トキシシラン、酢酸、水、エタノールの比は、1:0.2:
3:2である。すべてを混合後、窒素中70℃で1時間還
流し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。
合成ゼオライト3A粒子を分散させたエタノール溶液160
mlに対して、無機・有機ハイブリッド形成用ゾル40ml
を添加して、粒子濃度0.2g/100mlの粒子含有無機・有機
ハイブリッド膜形成用溶液を作製した。
【0028】この溶液中に厚さ0.65mm、幅32mm、長さ50
mmのSUS304の基板を浸漬し、幅4.5cm、長さ7cm
の白金メッシュを対極として、直流150Vの電圧を印加し
た。電極間距離は10mmである。SUS304基板を陽極と
したときに、基板上に合成ゼオライト3A粒子が電着し
た。電圧を30秒印加後、基板を引き上げ、70℃で乾
燥し、窒素中450℃で30分間熱処理を行った。
【0029】得られた合成ゼオライト3A粒子含有無機
・有機ハイブリッド膜の表面をSEM観察したところ、
全面積の85%が直径0.5μm以上5.0μm以下の
合成ゼオライト3A粒子が占めていた。 (実施例3)メタノール中でアセト酢酸エチルと反応さ
せておいたオルトチタン酸テトラエチルと、メタノール
中に溶解させたビニルトリメトキシシランを混ぜ合わ
せ、加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを
作製した。メチルトリエトキシシラン、オルトチタン酸
テトラエチル、アセト酢酸エチル、水、エタノールのモ
ル比は10:0.3:0.3:16:40である。前記
無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを40.00gにア
ルミナ粒子4.0gを加え攪拌した。
【0030】このようにして得られた溶液中に厚さ0.
5mm、幅15mm、長さ50mmの鋼板を陽極として浸漬
し、直流電圧250Vを1分印加した。ここで対向電極
には、幅4.5cm、長さ7cmの白金メッシュを用い
た。鋼鈑-白金メッシュの距離は10mmである。鋼板
は溶液から引き上げた後、70℃のオーブンで10分熱
処理した。
【0031】前記操作により、緻密で平滑な白色の粒子
含有無機・有機ハイブリッド膜を得ることができた。IR
スペクトルでビニル基に起因するピークが見られ、XRD
でアルミナ粒子の存在を確認することができた。SEMで
粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の断面を観察したと
ころ、アルミナ粒子の含有率は75%であった。直径0.
7μm以上10μm以下のアルミナ粒子の面積が全粒子面
積の95%を占めていた。 (実施例4)エタノール中でアセト酢酸エチルと反応さ
せておいたオルトチタン酸テトラエチルと、エタノール
中に溶解させたメチルトリエトキシシランを混ぜ合わ
せ、加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを
作製した。メチルトリエトキシシラン、オルトチタン酸
テトラエチル、アセト酢酸エチル、水、エタノールのモ
ル比は10:0.3:0.3:20:30である。メチ
ルイソブチルケトン8.45gに二硫化モリブデン0.
5gを超音波により分散させ、前記無機・有機ハイブリ
ッド形成用ゾルを41.00g加え攪拌した。
【0032】このようにして得られた溶液中に直径0.85
mmの鋼のワイヤを陽極として浸漬し、直流電圧100V
を1分印加した。ここで対向電極には、白金線0.8m
mをコイル状にしたものを用いた。電極間距離は10m
mである。ワイヤは深さ2.7cmまで溶液中に浸漬した。
溶液から引き上げた後、70℃のオーブンで10分熱処
理した。
【0033】前記操作により、4.17mgの粒子含有
無機・有機ハイブリッド膜を得ることができた。得られ
た膜は黒色で、緻密かつ平滑であった。IRスペクトル
で、Si-CH3に起因するピークが見られ、二硫化モリブデ
ンに加えて、無機・有機ハイブリッドが付いていること
が確認できた。SEM観察の結果、二硫化モリブデンの含
有率は88%で、粒径1〜10μmの二硫化モリブデンの
粒子が全粒子面積の95%以上であった。 (実施例5)メタノールとメチルトリメトキシシランと
テトラメトキシシランを混合後、酢酸と水を用いて加水
分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製し
た。メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、酢酸、水、エタノールの比は、0.5:0.5:1:3:2
である。このゾル中に二硫化モリブデンを分散させ粒子
濃度0.4g/100mlの粒子含有無機・有機ハイブリッド膜形
成用溶液を作製した。
【0034】この溶液中に厚さ0.65mm、幅32mm、長さ50
mmのSUS304の基板を浸漬し、幅4.5cm、長さ7cm
の白金メッシュを対極として、直流200Vの電圧を印加し
た。電極間距離は10mmである。SUS304基板を陽極と
したときに、基板上に二硫化モリブデン粒子が電着し
た。電圧を30秒印加後、基板を引き上げ、70℃で乾
燥し、窒素中450℃で30分間熱処理を行った。
【0035】FT-IRによりメチル基を確認し、EDAXによ
りSi, Mo, S成分を確認することができた。ことから、
二硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリッド膜になっ
ていることがわかった。得られた二硫化モリブデン含有
無機・有機ハイブリッド膜の表面をSEM観察したとこ
ろ、全面積の85%を直径0.1μm以上3.0μm以
下の二硫化モリブデン粒子が占めていた。二硫化モリブ
デン含有無機・有機ハイブリッド膜の鉛筆硬度は4Hであ
った。 (比較例1)エタノール中でアセト酢酸エチルと反応さ
せておいたオルトチタン酸テトラエチルと、エタノール
中に溶解させたメチルトリエトキシシランを混ぜ合わ
せ、加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを
作製した。メチルトリエトキシシラン、オルトチタン酸
テトラエチル、アセト酢酸エチル、水、エタノールのモ
ル比は10:0.3:0.3:20:30である。メチ
ルイソブチルケトン8.45gに二硫化モリブデン0.
5gを超音波により分散させ、前記無機・有機ハイブリ
ッド形成用ゾルを41.00g加え攪拌した。
【0036】このようにして得られた溶液中に直径0.85
mmの鋼のワイヤを深さ2.7cmまで溶液中に1分間浸漬し
た。溶液から引き上げた後、70℃のオーブンで10分
熱処理した。前記操作により、0.2mgの無色透明の
膜を得ることができた。得られた膜は無色透明で、緻密
かつ平滑であった。IRスペクトルで、Si-CH3に起因する
ピークが見られた。しかしながら、MoS2粒子は殆ど含ま
れない膜であった。 (比較例2)エタノール中でアセト酢酸エチルと反応さ
せておいたオルトチタン酸テトラエチルと、エタノール
中に溶解させたメチルトリエトキシシランを混ぜ合わ
せ、加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを
作製した。メチルトリエトキシシラン、オルトチタン酸
テトラエチル、アセト酢酸エチル、水、エタノールのモ
ル比は10:0.3:0.3:20:30である。メチ
ルイソブチルケトン8.45gに二硫化モリブデン5.
0gを超音波により分散させ、前記無機・有機ハイブリ
ッド形成用ゾルを41.00g加え攪拌した。
【0037】このようにして得られた溶液をSUS基板状
に刷毛で塗布した。塗布後、70℃のオーブンで10分
熱処理した。前記操作により、厚さ2μmの黒色の膜を
得ることができた。得られた膜は多数のクラックがある
上、粒子の塊やピンホールが見られた。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、粒子含有率が高くても
クラックなどの入らない粒子含有無機・有機ハイブリッ
ド膜を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA01B AB01 AH06 AH08 BA02 DE01B EH112 EJ423 EJ612 EJ642 EJ67B EJ812 EJ863 JG01A JK14 JM02B YY00B

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面が導電性を有する基板上
    に形成された、直径50μm以下の粒子が全粒子の95%
    以上である粒径分布の粒子を面積分率で10〜99%含
    有する、三次元網目状の骨格が有機基で修飾されたシロ
    キサン結合を含む無機・有機ハイブリッド膜。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面が導電性を有する基板上
    に形成された、直径5μm以下の粒子が全粒子の90%以
    上である粒径分布の粒子を面積分率で10〜99%含有
    する、三次元網目状の骨格が有機基で修飾されたシロキ
    サン結合を含む無機・有機ハイブリッド膜。
  3. 【請求項3】 オルガノアルコキシシランの加水分解物
    を含む溶液中に粒子を分散させ、少なくとも表面が導電
    性を有する基板を前記溶液に浸漬し、前記溶液中に設置
    された対向電極と前記基板との間に電圧を印加すること
    を特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の形成
    方法。
  4. 【請求項4】 有機溶剤中で1種類以上のオルガノアル
    コキシシランを加水分解して得られるゾルを主成分とす
    る溶液中に粒子を分散させ、少なくとも表面が導電性を
    有する基板を前記溶液に浸漬し、前記溶液中に設置され
    た対向電極と前記基板との間に電圧を印加し、前記導電
    性を有する基板の表面に前記粒子を付着させ、前記導電
    性を有する基板を溶液から引き上げ、さらに乾燥および
    /または熱処理することを特徴とする粒子含有無機・有
    機ハイブリッド膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 有機溶剤中で1種類以上のオルガノアル
    コキシシランおよびSiのアルコキシドを加水分解して得
    られるゾルを主成分とする溶液中に粒子を分散させ、少
    なくとも表面が導電性を有する基板を前記溶液に浸漬
    し、前記溶液中に設置された対向電極と前記基板との間
    に電圧を印加し、前記導電性を有する基板の表面に前記
    粒子を付着させ、前記導電性を有する基板を溶液から引
    き上げ、さらに乾燥および/または熱処理することを特
    徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の形成方
    法。
  6. 【請求項6】 有機溶剤中で1種類以上のオルガノアル
    コキシシラン、およびB, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taか
    ら選ばれる1種類以上の金属のアルコキシドを加水分解
    して得られるゾルを主成分とする溶液中に粒子を分散さ
    せ、少なくとも表面が導電性を有する基板を前記溶液に
    浸漬し、前記溶液中に設置された対向電極と前記基板と
    の間に電圧を印加し、前記導電性を有する基板の表面に
    前記粒子を付着させ、前記導電性を有する基板を溶液か
    ら引き上げ、さらに乾燥および/または熱処理すること
    を特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の形成
    方法。
  7. 【請求項7】 有機溶剤中で1種類以上のオルガノアル
    コキシシラン、およびSiのアルコキシド、およびB, Al,
    Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属
    のアルコキシドを加水分解して得られるゾルを主成分と
    する溶液中に粒子を分散させ、少なくとも表面が導電性
    を有する基板を前記溶液に浸漬し、前記溶液中に設置さ
    れた対向電極と前記基板との間に電圧を印加し、前記導
    電性を有する基板の表面に前記粒子を付着させ、前記導
    電性を有する基板を溶液から引き上げ、さらに熱処理す
    ることを特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッド膜
    の形成方法。
  8. 【請求項8】 前記オルガノアルコキシシランおよび/
    またはSiのアルコキシドの加水分解時に酢酸を使用する
    ことを特徴とする請求項3、4、5、6または7記載の
    粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 前記ゾルを主成分とする溶液が、ケト
    ン、ヨウ素、セルロースのうち少なくとも1種を含むこ
    とを特徴とする請求項3、4、5、6、7または8記載
    の粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の形成方法。
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