JP2001308451A - 半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
飛びが生じない波長安定性に優れた半導体発光素子を実
現する。 【解決手段】 主に利得結合DFBレーザに用いられる
MQW回折格子構造の半導体発光素子において、MQW
−Bの井戸層に対してMQW−Aの井戸層を厚く形成す
ることにより、屈折率結合係数に対する利得結合係数の
割合を大きくする。MQW構造2の井戸層及び障壁層は
それぞれ組成の異なるGaInAsPによって構成す
る。
Description
ムに用いる半導体発光素子のうち、単一波長動作が可能
なDFBレーザの構造に関する。光通信システムの高速
化に伴い波長安定性に優れた半導体発光素子が必要とさ
れており、特に高出力での変調や反射戻り光があっても
波長飛びが生じないことが求められている。
ザとして共振器方向に周期的な利得変調を設けた利得結
合DFBレーザが提案されている(ここでいう利得結合
DFBレーザには屈折率結合と利得結合を併せ持つこと
を特徴とする複素結合DFBレーザを含む。)。利得変
調の実現方法には幾つかの方法があり、例えば活性層厚
又はガイド層厚を周期的に変調する方法、活性層に隣接
して周期的な電流阻止層を設ける方法、もしくは活性層
に隣接して周期的な光吸収層を設けるといった方法が挙
げられる。なかでも、活性層としての多重量子井戸構造
(MQW層)の層数を周期的に変えた構造(以下、MQ
W回折格子構造と呼ぶ)は比較的大きな利得結合係数を
確保できること、利得結合と屈折率結合の位相が合致す
ること、余計な吸収が発生しないことといった利点を備
えている。
得結合DFBレーザの従来例を示す。ここで、(a)は
半導体発光素子の主要構成の概略斜視図、(b)はその
領域Cの概略断面図、(c)は破線Dに沿ったバンドギ
ャップをそれぞれ示す。
割されたMQW層(MQW−A)と平坦なMQW層(M
QW−B)からなり、n−InP基板101とp−In
Pクラッド層103との間に設けられている。MQW−
AとMQW−Bにおいて、井戸層、障壁層の膜質及び膜
厚はそれぞれ同じである。
ち、上部3層が周期的に分割されてMQW−Aを成し、
下部3層は平坦とされてMQW−Bを成している。ここ
で、MQW回折格子構造ではMQW−AとMQW−Bそ
れぞれの層数を変えることで利得結合係数と屈折率結合
係数、及び活性層全体の利得が制御可能である。基本的
にはMQW−Aの層数を増せば利得結合係数と屈折率結
合係数が大きくなり、MQW−Bの層数を増せば結合係
数をさほど変えることなく活性層全体の利得が大きくな
る。
よる利得結合DFBレーザには、以下に述べるような諸
問題点がある。先ず、第1の問題点について説明する。
利得結合DFBレーザにおいて、屈折率合係数に対する
利得結合係数の割合はモード安定性に大きく寄与する。
例えば、共振器中に位相シフトを含まない均一回折格子
の場合には、一般的に屈折率結合係数に対する利得結合
係数の割合が大きい方が望ましい。他にも両結合係数の
大きさは様々な特性に影響し、例えば結合係数が大きい
と一般的に発振しきい値は低く、反射戻り光耐性は大き
くなるがスロープ効率が低下し、空間的ホールバーニン
グ効果の影響が大きくなる。したがって、求められる素
子特性に応じて屈折率結合係数と利得結合係数の両方を
適切に制御することが望ましい。
QW回折格子構造では、MQW−Aの層数は利得結合係
数と屈折率結合係数の両方に寄与するため、これらのパ
ラメータを独立に制御するのが難しく、例えば利得結合
係数を大きくするためにMQW−Aの層数を増やすと同
時に屈折率結合係数も大きくなるため、スロープ効率が
低下したり空間的ホールバーニング効果が強くなるとい
う問題がある。
格子構造における第2の問題点として、変調帯域を大き
くするために微分利得(キャリア密度変化量に対する利
得変化量)を大きくするとMQW−Aにおける利得のキ
ャリア密度依存性、すなわち利得結合係数のキャリア密
度依存性が大きくなり、変調時における利得結合係数の
変動が大きくなってしまうという問題があった。
格子構造における第3の問題点として、MQW層に歪を
導入した場合、同じ組成(すなわち同じ格子定数)の層
でもMQW−AとMQW−Bでは歪の入り方が違うため
(図13参照)、MQW−AとMQW−Bにおける利得
スペクトルに差が生じる。例えば圧縮歪を導入するとM
QW−Bに対してMQW−Aの利得ピークは短波長側に
ずれ、引張歪を導入するとMQW−Bに対してMQW−
Aの利得ピークは長波長側にずれてしまう、このような
場合、回折格子周期で決まる発振波長に対して利得ピー
ク位置を適切に設定することが難しく、例えば発振波長
に対して利得ピーク波長が離れすぎると発振しきい値が
増加したり温度特性が劣化してしまうといった問題があ
った。
のであり、特にMQW回折格子構造を用いた利得結合D
FBレーザの半導体発光素子において、屈折率結合係数
と利得結合係数とを独立に制御し、発振しきい値やスロ
ープ効率、反射戻り光耐性などの特性劣化を招くことな
くモード安定性を改善することを目的とする。
たまま利得結合係数のキャリア密度依存性を小さくし、
変調帯域が大きく、且つ変調時の波長変動が小さなMQ
W回折格子構造の半導体発光素子を提供することを目的
とする。
合にも、第1の多重量子井戸層(MQW−A)と第2の
多重量子井戸層(MQW−B)における利得ピーク波長
を一致させ、その結果、回折格子周期で決まる発振波長
に対して利得ピーク位置を適切に設定し、発振しきい値
の増加や温度特性の劣化を防ぐことを可能とする半導体
発光素子を提供することを目的とする。
の結果、以下に示す発明の態様に想到した。
れてなり、電流注入により光を増幅する多重量子井戸構
造(MQW構造)を有する半導体発光素子であって、前
記多重量子井戸構造の一部又は全部の領域で前記障壁層
及び前記井戸層の層数が光の伝搬方向に対して周期的に
変化しており、前記多重量子井戸構造は、前記領域にお
いて、光の伝搬方向に媒質内での伝搬光波長の半波長の
整数倍の周期で分割された第1の多重量子井戸層(MQ
W−A)と、平坦な第2の多重量子井戸層(MQW−
B)とを併せ持ち、前記第1の多重量子井戸層と前記第
2の多重量子井戸層とでは、前記障壁層及び前記井戸層
の少なくとも一方の膜質及び膜厚の少なくとも一方が異
なる所望状態に制御されていることを特徴とする。
伝搬方向に周期的な利得変調が存在し、前記利得変調が
伝搬光に対して分布帰還を生じさせるものである。
伝搬方向に周期的な利得変調及び屈折率変調が同時に存
在し、前記利得変調及び前記屈折率変調の双方が伝搬光
に対して分布帰還を生じさせるものである。
又はn型の不純物添加、圧縮歪又は引張歪の導入のうち
の少なくとも1種以上の制御により達成されるものであ
る。
〜第3の問題点との関連について説明する。
上記の如くMQW−AとMQW−Bにおいて井戸層及び
/又は障壁層の構造を変えることで屈折率結合係数に対
する利得結合係数の割合を制御可能とする。例えば、M
QW−Aの井戸層に対してMQW−Bの井戸層を薄くす
る。この場合、MQW−Bにおける量子準位がMQW−
Aに対して高エネルギー側にシフトするため。MQW−
Bに対しMQW−Aに注入されるキャリア数の比率が増
える。したがって、活性層全体の利得に対してMQW−
Aの利得の割合が増し利得結合係数が大きくなる。一方
でキャリア数の増加により屈折率は低下するため、MQ
W−Aの屈折率は減少して屈折率結合係数は小さくな
る。
井戸層の材料組成を変え、MQW−Aの井戸層に対して
MQW−Bの井戸層のバンドギャップを大きくする、又
はMQW−Aの障壁層に対してMQW−Bの障壁層の障
壁を高くすることでも同様の効果が期待できる。また、
MQW−AとMQW−Bの構成を逆にすることで利得結
合係数を小さく屈折率結合係数を大きくすることも可能
である。
回折格子周期で決まる発振波長における微分利得(キャ
リア密度変化量に対する利得変化量の割合)をMQW−
Aで小さく、MQW−Bで大きくなるようにすることで
活性層全体の微分利得を大きく保ったまま利得結合係数
のキャリア密度依存性を小さくする。例えば、回折格子
周期で決まる発振波長に対してMQW−Aの利得ピーク
波長を短波長側に、MQW−Bの利得ピーク波長を長波
長側にする。この場合、MQW−Aでは利得ピークの長
波長側に発振波長が位置するため微分利得が小さく、反
対にMQW−Bでは利得ピークの短波長側に発振波長が
位置するため微分利得が大きくなる。
段としては、例えば,MQW−Bの井戸層に対してMQ
W−Aの井戸層を薄くする、MQW−Bの井戸層に対し
てMQW−Aの井戸層のバンドギャップを大きくする、
MQW−Bの障壁層に対してMQW−Aの障壁層の障壁
を高くするなどが挙げられる。
W−Bの利得ピークの位置が上記の関係を満たさない場
合でも、両MQW層の構造を適切に設計することでMQ
W−Aの微分利得を小さく、MQW−Bの微分利得を大
きくすることができる。例えばMQW−Aの微分利得を
小さくするための手段としては、MQW−Aの井戸層に
引張歪を導入することや、MQW−Aをn型ドープする
ことが挙げられる。また、MQW−Bの微分利得を大き
くするための手段としては、MQW−Bの井戸層に圧縮
歪を導入することや、MQW−Bにp型ドープを行うこ
とが挙げられる。
MQW−AとMQW−Bにおいて井戸層及び/又は障壁
層の構造を変えることでMQW−AとMQW−Bにおけ
る利得ピーク波長を一致させる。例えば、MQW−A,
Bそれぞれに圧縮歪を導入する場合、歪量に応じてMQ
W−AとMQW−Bにおける利得ピーク波長が一致する
ようにMQW−Bの井戸層に対してMQW−Aの井戸層
を厚くする。この場合、MQW−Aにおける量子準位は
厚膜化によって長波長側にシフトするため、歪の入り方
の違いによるMQW−Bとの利得ピーク波長の差を打ち
消すことができる。
量に応じてMQW−Aの井戸層の組成をMQW−Aを分
割しない状態での発光波長がMQW−Bに対して長波長
側になるように設定することでも同様の効果が期待でき
る。
量に応じてMQW−Aの障壁層の障壁高さをMQW−B
に対して低くすることでも同様の効果が期待できる。一
方、引張歪を導入する場合には前記の例におけるMQW
−AとMQW−Bの構成を遡こすることで同様の効果が
期待できる。また、圧縮歪もしくは引張歪を導入する場
合に、MQW−Aの歪量に応じてMQW−Bの歪量をM
QW−Aを分割しない状態での歪量よりも大きくなるよ
うに設定することでも同様の効果が期待できる。
合、MQW回折格子構造の半導体発光素子において屈折
率結合係数と利得結合係数を独立に制御することが可能
となり、発振しきい値やスロープ効率、反射戻り光耐性
などの特性劣化を招くことなくモード安定性を改善する
ことができる。
適用した場合、活性層全体の微分利得を大きく保ったま
ま利得結合係数のキャリア密度依存性を小さくすること
ができ、変調帯域が大きく、かつ変調時の利得結合係数
の変動が小さなMQW回折格子構造の半導体発光素子が
実現できる。
適用した場合、MQW回折格子構造の半導体発光素子に
おいて、MQW層に歪みを導入した場合にもMQW−A
とMQW−Bにおける利得ピーク波長を一致させること
ができる。その結果、回折格子周期で決まる発振波長に
対して利得ピーク位置を適切に設定することができ、発
振しきい値の増加や温度特性の劣化を防ぐことが可能と
なる。
諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。
よる半導体発光素子の主要構成を示す模式図である。こ
こで、(a)は半導体発光素子の主要構成の概略斜視
図、(b)はその領域Cの概略断面図、(c)は破線D
に沿ったバンドギャップをそれぞれ示す。
Bレーザに用いられるものであり、図1(a)に示すよ
うに、n−InP基板1上に電流注入により光を増幅す
る多重量子井戸構造(MQW構造)2及び電流狭窄層3
が設けられ、これらを覆うようにp−InPクラッド層
4が設けられ、上面にSiO2からなる保護膜5が形成
され、更に下面にはn側電極6が設けられ、上面にはp
側電極7がコンタクト層8と電気的に接続されるように
設けられて構成されている。
積層されてなり、図1(b)に示すように、その一部又
は全部の領域で、光の伝搬方向に媒質内での伝搬光波長
の半波長の整数倍の周期で分割された第1の多重量子井
戸層(MQW−A)と、平坦な第2の多重量子井戸層
(MQW−B)とを備えて構成されている。
QW−Aの井戸層を厚く形成することにより、屈折率結
合係数に対する利得結合係数の割合を大きくしている。
MQW構造2の井戸層及び障壁層はそれぞれ組成の異な
るGaInAsPによって構成され、MQW−Aの井戸
層の厚みは10nm、MQW−Bの井戸層の厚みは8n
mである。障壁層は、バルク状態でのバンドギャップエ
ネルギーに対応する波長、即ち組成波長が1.2μm、
厚みが10nmであり、MQW構造全体の利得ピーク波
長が1.56μmとなるように井戸層の組成が設定され
ている。回折格子周期は発振波長1.55μmに合わせ
て240nmとし、位相シフトのない均一回折格子であ
る。
の半導体発光素子の製造方法を工程順に説明する。な
お、図2の(a)〜(d)はMQW層を共振器方向に平
行な鉛直面で切った断面図であり、図3の(a)〜
(e)は共振器方向に対する垂直面で切った断面図であ
る。
InP基板1上にMQW−B,MQW−A(MQW−A
及びMQW−BからMQW構造2が構成される),P−
InPクラッド層4を順次成長する(図2(a))。こ
こで、MQW−A及びMQW−Bを構成する各層の膜
厚、膜質を本発明の実現手段に応じて適宜設定する。
他に必要に応じて光導波層などを成長しても構わない、
また、MQW−A及びMQW−Bの層数は任意に選べ
る。
トを塗布し、干渉露光法又は電子ビーム露光法などを用
いてレジスト回折格子21を形成する(図2(b))。
本例では均一回折格子を用いているが、必要に応じて位
相シフトを設けてもよい。
マスクとして表面からMQW−A11までをエッチング
で除去する(図2(c))。
後、MO−VPE法などによりMQW−Aを埋め込むよ
うにp−InPクラッド層4を成長する(図2
(d))。ここで、埋込成長層の材料はp−InPに限
定されない。また、必要に応じて光導波層などを成長し
ても構わない。
術を用いて共振器方向に平行なストライプ状のSiO2
マスク22をパターン形成する(図3(a))。
いてドライエッチングなどを行い、MQW構造2の下部
(n−InP基板1の表層)まで到達するメサストライ
プ23を形成する(図3(b))。
の両側に電流狭窄層3を成長する(図3(c))。本実
施例では電流狭窄層3としてp−InP層、n一InP
層を順次成長したが、他の構成でも構わない。さらに、
本実施形態とは異なるリッジ構造や埋込リッジ構造な
ど、他の導波構造を用いても好適である。
後、MO−VPE法などでp−Inクラッド層4、P−
GaInAsPからなるコンタクト層8を順次成長する
(図3(d))。
術を用いて、SiO2からなる保護膜5、p側電極7、
n側電極6などを形成する(図3(e))。
InP基板1)を用いたが、対応する層の導電型を逆に
することでp型基板を用いることも可能である。また、
始めにMQW−Aを成長し、p−InPクラッド層4の
埋め込み成長の際にMQW−Bを成長することでMQW
−AとMQW−Bの上下関係を逆にすることも可能であ
る。
子において、前端面に反射防止膜、後端面に高反射膜を
施した共振器長300μmの素子のしきい値電流値は4
mA、スロープ効率は0.4W/Aであった。また、1
ウエハ100個中の単一波長歩留まりは100%であ
り、−14dBの反射戻り光が入射した場合にもモード
飛びが起こらなかった。
によれば、屈折率結合係数と利得結合係数とを独立に制
御し、発振しきい値やスロープ効率、反射戻り光耐性な
どの特性劣化を招くことなくモード安定性を改善するこ
とが可能となる。
よる半導体発光素子の主要構成を示す模式図である。こ
こで、(a)は半導体発光素子の主要構成の概略側面
図、(b)はその領域Cの概略断面図、(c)は破線D
に沿ったバンドギャップをそれぞれ示す。なお、本例の
半導体発光素子の全体構成は、第1の実施形態とほぼ同
様である。
QW−Bの井戸層のバンドギャップを大きくすること
で、屈折率結合係数に対する利得結合係数の割合を増加
させている。これは、MQW−A,Bの井戸層の組成を
変えることで実現できる。
mであり、MQW−Aでは組成波長が1.65μmのG
aInAsP,MQW−Bでは組成波長が1.63μm
のGaInAsPを用いた。障壁層はどちらも厚みが1
0nm、組成波長が1.2μmのGaInAsPであ
る。
実施形態と同様に、しきい値電流値、スロープ効率の劣
化を招くことなく、高い波長歩留まりと反射戻り光耐性
が確認された。
によれば、屈折率結合係数と利得結合係数とを独立に制
御し、発振しきい値やスロープ効率、反射戻り光耐性な
どの特性劣化を招くことなくモード安定性を改善するこ
とが可能となる。
よる半導体発光素子におけるMQW構造のバンドギャッ
プを示す特性図である。なお、本例の半導体発光素子の
全体構成は、第1の実施形態とほぼ同様である。
QW−Bの障壁層の障壁を高くすることで、屈折率結合
係数に対する利得結合係数の割合を増加させている。M
QW−A,B共に井戸層は厚みが10nm、組成波長が
1.65μmのGaInAsPを用い、MQW−Aの障
壁層は厚みが10nm、組成波長が1.25μmのGa
InAsP,MQW−Bの障壁層は厚みが10nm、組
成波長が1.15μmのGaInAsPである。
実施形態と同様に、しきい値電流値、スロープ効率の劣
化を招くことなく、高い波長歩留まりと反射戻り光耐性
が確認された。
によれば、屈折率結合係数と利得結合係数とを独立に制
御し、発振しきい値やスロープ効率、反射戻り光耐性な
どの特性劣化を招くことなくモード安定性を改善するこ
とが可能となる。
よる半導体発光素子における第1及び第2のMQW層の
利得曲線を示す特性図である。なお、本例の半導体発光
素子の全体構成は、第1の実施形態とほぼ同様である。
に対してMQW−Aの利得ピーク波長を短波長側、MQ
W−Bの利得ピーク波長を長波長側とすることにより、
MQW構造全体の微分利得を大きく保ったまま利得結合
係数のキャリア密度依存性を小さくしている。回折格子
の周期は発振波長1.55μmに合わせて240nmに
設定し、MQW−Aの利得ピーク波長を1.54μm、
MQW−Bの利得ピーク波長を1.56μmとした。
造した当該半導体発光素子において、緩和振動周波数2
0Gb/sを示し、10Gb/sでの直接変調時におい
てモード飛びは起こらず、波長変動は0.3nm以下で
あった。
によれば、活性層全体の微分利得を大きく保ったまま利
得結合係数のキャリア密度依存性を小さくし、変調帯域
を大きく、且つ変調時の波長変動を小さくすることが可
能となる。
よる半導体発光素子のMQW構造近傍を拡大して示す概
略断面図である。なお、本例の半導体発光素子の全体構
成は、第1の実施形態とほぼ同様である。
導入し、MQW−Bの井戸層に圧縮歪を導入することに
より、活性層全体の微分利得を大きく保ったまま利得結
合係数のキャリア密度依存性を小さくしている。MQW
−Aの井戸層は厚みが20nmのGaInAsPで引張
歪が0.5%、MQW−Bの井戸層は厚みが5nmのG
aInAsPで0.8%の圧縮歪が導入されている。ま
た、それぞれの利得ピーク波長が1.55μmとなるよ
うに井戸層の組成が調整されている。
実施形態と同様に、変調帯域を広く保ちつつ直接変調時
の波長変動を小さく抑えることができた。
によれば、活性層全体の微分利得を大きく保ったまま利
得結合係数のキャリア密度依存性を小さくし、変調帯域
を大きく、且つ変調時の波長変動を小さくすることが可
能となる。
よる半導体発光素子の主要構成を示す概略斜視図であ
る。なお、本例の半導体発光素子の全体構成は、第1の
実施形態とほぼ同様である。
プを行い、MQW−Bにp型不純物のドープを行うこと
により、活性層全体の微分利得を大きく保ったまま利得
結合係数のキャリア密度依存性を小さくしている。ここ
ではn−InP基板1を用いMQW−AをMQW−Bの
下部に配置したが、p−InP基板を用いる場合にはこ
れまでの例のようにMQW−AをMQW−Bの上部に配
置する。
実施形態と同様に、変調帯域を広く保ちつつ直接変調時
の波長変動を小さく抑えることができた。
によれば、活性層全体の微分利得を大きく保ったまま利
得結合係数のキャリア密度依存性を小さくし、変調帯域
を大きく、且つ変調時の波長変動を小さくすることが可
能となる。
よる半導体発光素子におけるMQW構造のバンドギャッ
プを示す特性図である。なお、本例の半導体発光素子の
全体構成は、第1の実施形態とほぼ同様である。
歪を導入しており、歪量に応じてMQW−Bの井戸層に
対してMQW−Aの井戸層を厚くすることでMQW−A
とMQW−Bにおける利得ピーク波長を一致させてい
る。ここでは、圧縮歪0.8%に対しMQW−Aの井戸
層の厚みを5.7nm、MQW−Bの井戸層の厚みを5
nmとした。このとき、MQW−A,B双方の利得ピー
ク波長は1.56μmと回折格子周期で決まる発振波長
1.55μmに対する離調は10nmであった。
によれば、MQW層に歪みを導入した場合にも、MQW
−AとMQW−Bにおける利得ピーク波長を一致させ、
その結果、回折格子周期で決まる発振波長に対して利得
ピーク位置を適切に設定し、発振しきい値の増加や温度
特性の劣化を防ぐことが可能となる。
による半導体発光素子におけるMQW構造のバンドギャ
ップを示す特性図である。なお、本例の半導体発光素子
の全体構成は、第1の実施形態とほぼ同様である。
歪を導入しており、歪量に応じてMQW−Aの井戸層の
組成を、当該MQW−Aをエッチングにより分割しない
状態での発光波長がMQW−Bに対して短波長側になる
ように設定する。これにより、MQW−AとMQW−B
における利得ピーク波長を一致させている。ここでは、
引張歪0.4%に対し、MQW−Aの井戸層の組成を、
当該MQW−Aを分割しない状態での発光波長がMQW
−Bに対して10nmだけ短波長側になるように設定し
た。このとき、MQW−A,B双方の利得ピーク波長は
一致し、回折格子周期で決まる発振波長と合致させるこ
とができた。
によれば、MQW層に歪みを導入した場合にも、MQW
−AとMQW−Bにおける利得ピーク波長を一致させ、
その結果、回折格子周期で決まる発振波長に対して利得
ピーク位置を適切に設定し、発振しきい値の増加や温度
特性の劣化を防ぐことが可能となる。
による半導体発光素子におけるMQW構造のバンドギャ
ップを示す特性図である。なお、本例の半導体発光素子
の全体構成は、第1の実施形態とほぼ同様である。
歪を導入しており、MQW−Bの歪量を、MQW−Aを
エッチングにより分割しない状態での歪量よりも大きく
なるように設定する。これにより、MQW−AとMQW
−Bにおける利得ピーク波長を一致させている。ここで
は、両MQW層の井戸層厚を4nm、井戸層の組成波長
を1.73μmとし、MQW−Aを分割しない状態での
圧縮歪を0.3%、MQW−Bの圧縮歪を1.0%とし
た。このとき、MQW−A,B双方の利得ピーク波長は
一致し、回折格子周期で決まる発振波長と合致させるこ
とができた。
によれば、MQW層に歪みを導入した場合にも、MQW
−AとMQW−Bにおける利得ピーク波長を一致させ、
その結果、回折格子周期で決まる発振波長に対して利得
ピーク位置を適切に設定し、発振しきい値の増加や温度
特性の劣化を防ぐことが可能となる。
方向に周期的な利得変調及び屈折率変調が同時に存在
し、利得変調及び屈折率変調の双方が伝搬光に対して分
布帰還を生じさせる利得結合DFBレーザに用いられる
半導体発光素子を例示したが、本発明はこれに限定され
るものではない。例えば、 光の伝搬方向に周期的な利
得変調が存在し、利得変調が伝搬光に対して分布帰還を
生じさせる利得結合DFBレーザなどにも適用可能であ
る。
構成する。
多重量子井戸層の井戸層が前記第1の多重量子井戸層の
井戸層よりも薄い。
多重量子井戸層における井戸層のバンドギャップが前記
第1の多重量子井戸層における井戸層のバンドギャップ
よりも大きい。
多重量子井戸層における障壁層の障壁高さが第1の多重
量子井戸層における障壁層の障壁高さよりも高い。
量子井戸層における注入キャリア密度が前記第2の多重
量子井戸層における注入キャリア密度よりも大きい。
において、周期的な利得変調もしくは屈折率変調の存在
する領域に位相シフトを含まない。
多重量子井戸層の井戸層が、前記第1の多重量子井戸層
の井戸層よりも厚い。
多重量子井戸層における井戸層のバンドギャップが前記
第1の多重量子井戸層における井戸層のバンドギャップ
よりも小さい。
多重量子井戸層における障壁層の障壁高さが前記第1の
多重量子井戸層における障壁層の障壁高さよりも低い。
多重量子井戸層における注入キャリア密度が前記第2の
多重量子井戸層における注入キャリア密度よりも低い。
の多重量子井戸層における微分利得が前記第2の多重量
子井戸層における微分利得よりも小さい。
の多重量子井戸層の利得ピーク波長が発振波長より短波
長側にあり、且つ前記第2の多重量子井戸層の利得ピー
ク波長が発振波長より長波長側にある。
において、前記第1の多重量子井戸層の井戸層が前記第
2の多重量子井戸層の井戸層より薄い。
において、前記第1の多重量子井戸層の井戸層の組成波
長が前記第2の多重量子井戸層の井戸層の組成波長より
短波長である。
において、前記第1の多重量子井戸層の障壁層の障壁高
さが、前記第2の多重量子井戸層の障壁層の障壁高さよ
り高い。
の多重量子井戸層に引張歪が導入されており、及び/又
は前記第2の多重量子井戸層に圧縮歪が導入されてい
る。
の多重量子井戸層がn型ドープされ、及び/又は前記第
2の多重量子井戸層がp型ドープされている。
において、基板がn型であり前記第1の多重量子井戸層
が前記第2の多重量子井戸層の下部に位置する。
において、基板がp型であり前記第1の多重量子井戸層
が前記第2の多重量子井戸層の上部に位置する。
の多重量子井戸層に歪が導入されており、且つ前記第1
の多重量子井戸層と前記第2の多重量子井戸層の利得ピ
ーク波長が一致する。
の多重量子井戸層に圧縮歪が導入されており、且つ前記
第1の多重量子井戸層の井戸層が前記第2の多重量子井
戸層の井戸層より厚い。
の多重量子井戸層に引張歪が導入されており、且つ前記
第1の多重量子井戸層の井戸層が前記第2の多重量子井
戸層の井戸層より薄い。
の多重量子井戸層に圧縮歪が導入されており、且つ前記
第1の多重量子井戸層の井戸層の組成波長が前記第2の
多重量子井戸層の井戸層の組成波長より長波長である。
の多重量子井戸層に引張歪が導入されており、且つ前記
第1の多重量子井戸層の井戸層の組成波長が前記第2の
多重量子井戸層の井戸層の組成波長より短波長である。
の多重量子井戸層に圧縮歪が導入されており、且つ前記
第1の多重量子井戸層の障壁層の障壁高さが前記第2の
多重量子井戸層の障壁層の障壁高さより低い。
の多重量子井戸層に引張歪が導入されており、且つ前記
第1の多重量子井戸層の障壁層の障壁高さが前記第2の
多重量子井戸層の障壁高さより高い。
の多重量子井戸層に圧縮歪が導入されており、且つ前記
第1の多重量子井戸層の井戸層を構成する材料の自由空
間での格子定数が前記第2の多重量子井戸層の井戸層を
構成する材料の自由空間での格子定数より小さい。
の多重量子井戸層に引張歪が導入されており、且つ前記
第1の多重量子井戸層の井戸層を構成する材料の自由空
間での格子定数が前記第2の多重量子井戸層の井戸層を
構成する材料の自由空間での格子定数より大きい。
率結合係数と利得結合係数とを独立に制御でき、発振し
きい値やスロープ効率、反射戻り光耐性などの特性劣化
を招くことなくモード安定性を改善することができる。
たまま利得結合係数のキャリア密度依存性を小さくする
ことができ、変調帯域を大きく、且つ変調時の波長変動
を小さくすることが可能となる。
合にも、第1の多重量子井戸層と第2の多重量子井戸層
における利得ピーク波長を一致させることができる。そ
の結果、回折格子周期で決まる発振波長に対して利得ピ
ーク位置を適切に設定することができ、発振しきい値の
増加や温度特性の劣化を防ぐことが可能となる。
子の諸特性が改善され、高出力での変調や反射戻り光が
あっても波長飛びが生じない波長安定性に優れた半導体
発光素子が実現できる。
成を示す模式図である。
工程順に示す概略断面図である。
素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
成を示す模式図である。
MQW構造のバンドギャップを示す特性図である。
第1及び第2のMQW層の利得曲線を示す特性図であ
る。
構造近傍を拡大して示す概略断面図である。
成を示す概略斜視図である。
MQW構造のバンドギャップを示す特性図である。
るMQW構造のバンドギャップを示す特性図である。
るMQW構造のバンドギャップを示す特性図である。
の一例を示す模式図である。
式図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 障壁層を介して井戸層が積層されてな
り、電流注入により光を増幅する多重量子井戸構造を有
する半導体発光素子であって、 前記多重量子井戸構造の一部又は全部の領域で前記障壁
層及び前記井戸層の層数が光の伝搬方向に対して周期的
に変化しており、 前記多重量子井戸構造は、前記領域において、光の伝搬
方向に媒質内での伝搬光波長の半波長の整数倍の周期で
分割された第1の多重量子井戸層と、平坦な第2の多重
量子井戸層とを併せ持ち、 前記第1の多重量子井戸層と前記第2の多重量子井戸層
とでは、前記障壁層及び前記井戸層の少なくとも一方の
膜質及び膜厚の少なくとも一方が異なる所望状態に制御
されていることを特徴とする半導体発光素子。 - 【請求項2】 光の伝搬方向に周期的な利得変調が存在
し、前記利得変調が伝搬光に対して分布帰還を生じさせ
るものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体
発光素子。 - 【請求項3】 光の伝搬方向に周期的な利得変調及び屈
折率変調が同時に存在し、前記利得変調及び前記屈折率
変調の双方が伝搬光に対して分布帰還を生じさせるもの
であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素
子。 - 【請求項4】 前記膜質の相違は、材料組成、p型又は
n型の不純物添加、圧縮歪又は引張歪の導入のうちの少
なくとも1種以上の制御により達成されるものであるこ
とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半
導体発光素子。
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