JP2001302787A - 結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)の製造方法とそれに用いる触媒 - Google Patents

結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)の製造方法とそれに用いる触媒

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JP2001302787A
JP2001302787A JP2000119826A JP2000119826A JP2001302787A JP 2001302787 A JP2001302787 A JP 2001302787A JP 2000119826 A JP2000119826 A JP 2000119826A JP 2000119826 A JP2000119826 A JP 2000119826A JP 2001302787 A JP2001302787 A JP 2001302787A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェ
ニレンオキサイド)の新規な製造方法とそれに用いる触
媒の提供。 【解決手段】 (A)銅化合物と、(B)式(IIIで
表される単座配位子化合物(2,6−ジメチルピリジ
ン、2−メチルピリジン等)からなり(B)/(A)=
0.01〜100(モル比)である触媒の存在下、2,
5−ジメチルフェノール等の2,5−ジ置換フェノール
を酸化重合する。この際の反応溶媒は、条件(i)20
〜25℃における比誘電率が9以下の有機化合物であ
る、及び/又は、条件(ii)使用量が2,5−ジ置換
フェノールに対して4.0L/mol以下であるを満た
す。2,5−ジ置換フェノールの転化率が50.0〜9
9.5に達するまで重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は結晶性ポリ(2,5
−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)の製造方法
とそれに用いる触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ(2,6−ジ置換−1,4−フェニ
レンオキサイド)は、2,6−ジ置換フェノールの酸化
重合によって合成され、高い耐熱性を示すことが広く知
られている。例えば、J. Am. Chem. Soc. 81, 6335-633
6 (1959)にはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンオキサイド)が、Macromolecules, 2, 107-108 (19
69) にはポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレ
ンオキサイド)が報告されている。2位および6位に置
換基を有するフェノールを用いるのは、J. Polym. Sci.
: Part A : Polymer Chemistry, 36, 505-517 (1998)
に記載されているように、2つのオルト位のカップリン
グをブロックするためである。
【0003】一方、1つのオルト位に置換基のない2,
5−ジ置換フェノールの酸化重合としては、Ecletica Q
uim., 18, 93-100 (1993) に銅/テトラメチルエチレン
ジアミン触媒を用いる方法、Polymer, 20(8), 995-1002
(1979) に銅/ジメチルピリジン触媒を用いる方法、Ch
em. Prum., 22(9), 451-454 (1972) に銅/モノアルキ
ルアミン触媒を用いる方法、Polimery, 14(11), 535-53
8 (1969) には銅/ジアルキルアミン触媒を用いる方
法、特公昭47−619号公報にマンガン/アルコキサ
イド触媒を用いる方法、特公昭50−28999号公報
に塩基性銅/ピリジン触媒を用いる方法、特公昭48−
20239号公報にマンガン/サリチルアルデヒドイミ
ン触媒を用いる方法が報告されている。しかし、これら
の触媒を用いる方法で得られた重合体は、いったん溶融
すると結晶化しないものであった。一般に重合体が溶融
後も結晶化する場合には、溶融成形体の耐熱性が結晶融
点まで保持されたり、また耐溶剤性が向上したりするこ
とが知られている。したがって、従来触媒で得られた重
合体は溶融後に結晶化しないため、本来の耐熱性や耐溶
剤性を十分に発現できないという問題があった。この原
因は、従来触媒では、オルト位カップリング反応や酸素
添加反応などの副反応を十分抑制できず、重合体中に
1,4−フェニレンオキサイド構造以外の種々の構造を
多く含むためと推定される。
【0004】本発明者らは、配位原子が窒素である三座
配位子と銅原子からなる銅錯体触媒を用いることによ
り、2,5−ジ置換フェノールから、結晶性ポリ(2,
5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)を合成す
ることに成功している(特願2000−25621
号)。本ポリマーは、溶融−冷却後にも高い結晶融点を
発現し、耐熱性及び耐溶剤性の高い結晶性ポリマーとし
て期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、結晶性ポリ
(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)の
新規な製造方法とそれに用いる触媒を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、以下を提
供するものである。 (1)下記一般式(I)で表される2,5−ジ置換フェ
ノールを、(A)銅化合物と、(B)下記一般式(II)
で表される単座配位子化合物とからなり、(A)と
(B)のモル比が(B)/(A)=0.01〜100で
ある触媒存在下、酸化重合する際に、(i)反応溶媒と
して20〜25℃における比誘電率が9以下である有機化合
物を用いるか、または(ii)反応溶媒を該2,5−ジ置
換フェノールに対して4.0L/mol以下の量で使用
するか、から選ばれる少なくとも1つの反応条件を選択
し、該2,5−ジ置換フェノールの転化率が50.0〜
99.5%に到達するまで重合を行うことを特徴とする
結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキ
サイド)の製造方法。
【0007】
【化5】
【0008】(式中、Rは炭化水素基または置換炭化
水素基を表し、二つのRは互いに同一でも異なってい
てもよい。)
【0009】
【化6】
【0010】(式中、Rは炭化水素基または置換炭化
水素基を表し、Rは炭化水素基、置換炭化水素基、炭
化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素チオ
基、置換炭化水素チオ基または置換アミノ基を表し、R
は水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基またはハロ
ゲン原子を表すが、Rの窒素原子に結合した炭素原子
がC−H結合を有する場合はRは水素原子ではなく、
とR、RとRが環を形成してもよい。) (2)該単座配位子化合物が下記一般式(III)で表わ
されることを特徴とする(1)項記載の結晶性ポリ
(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)の
製造方法。
【0011】
【化7】
【0012】(ただし、RおよびR13はそれぞれ独
立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基またはハロ
ゲン原子を表すが、両方が水素原子である場合を除く。
10〜R12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素
基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素
オキシ基、二置換アミノ基、ニトロ基またはハロゲン原
子を表し、R10〜R12は任意の組合せで環を形成し
てもよい。) (3)銅化合物(A)と下記一般式(II)で表される単
座配位子化合物(B)とからなり、(A)と(B)のモ
ル比が(B)/(A)=0.01〜100である結晶性
ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイ
ド)製造用触媒。
【0013】
【化8】 (式中、Rは炭化水素基または置換炭化水素基を表
し、Rは炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキ
シ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、置換炭
化水素チオ基または置換アミノ基を表し、Rは水素原
子、炭化水素基、置換炭化水素基またはハロゲン原子を
表すが、Rの窒素原子に結合した炭素原子がC−H結
合を有する場合はRは水素原子ではなく、R
、RとRが環を形成してもよい。)
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の2,5−ジ置換フェノー
ルを表わす上記一般式(I)のRにおける炭化水素基
としては、好ましくは、炭素原子数1〜30の(より好
ましくは炭素原子数1〜20の)アルキル基、炭素原子
数7〜30の(より好ましくは炭素原子数7〜20の)
アラルキル基または炭素原子数6〜30の(より好まし
くは炭素原子数6〜20の)アリール基であり、具体的
にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プ
ロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチ
ル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シ
クロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、
ペンタデシル基、オクタデシル基、ベンジル基、2−フ
ェニルエチル基、1−フェニルエチル基、フェニル基、
4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル
基等が挙げられる。
【0015】上記一般式(I)のRにおける置換炭化
水素基は、好ましくは、ハロゲン原子、アルコキシ基、
二置換アミノ基等で置換された炭素原子数1〜30の
(より好ましくは炭素原子数1〜20の)アルキル基、
炭素原子数7〜30の(より好ましくは炭素原子数7〜
20の)アラルキル基、炭素原子数6〜30の(より好
ましくは炭素原子数6〜20の)アリール基であり、具
体例としては、トリフルオロメチル基、2−t−ブチル
オキシエチル基、3−ジフェニルアミノプロピル基等が
挙げられる。上記一般式(I)の二つのRは、炭素原
子数1〜30の炭化水素基であることが好ましく、炭素
原子数1〜20の炭化水素基であることがより好まし
く、この炭化水素基としては炭素原子数1〜10のアル
キル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜6の
アルキル基であることがさらに好ましい。メチル基が特
に好ましい。本発明においては、上記一般式(I)で表
される2,5−ジ置換フェノールを単独または混合して
酸化重合してもよく、下記一般式(IV)で表されるフェ
ノール及び/又は下記一般式(V)で表わされるビスフ
ェノールと混合して酸化重合してもよい。
【0016】
【化9】
【0017】(式中、R及びRは水素原子、炭化水
素基または置換炭化水素基を表し、二つのR及びR
は同一でも異なっていてもよく、二つのR及び/又は
二つのRが環を形成していてもよい。Rは水素原
子、フェノキシ基、炭化水素基または置換炭化水素基で
ある。)
【0018】
【化10】
【0019】(式中、R及びRは上記一般式(IV)
のそれらと同じ意味を持ち、全てのR 及びRは同一
でも異なっていてもよく、同じベンゼン環に置換した二
つのR 及び/又は二つのRが環を形成していてもよ
い。Rは酸素原子、硫黄原子、二価の炭化水素基また
は二価の置換炭化水素基を表わし、mは1又は0であ
る。)
【0020】上記一般式(IV)のR及びRにおける
炭化水素基としては、二つのR及び二つのRが環を
形成しない場合、好ましくは、炭素原子数1〜30の
(より好ましくは炭素原子数1〜20の)アルキル基、
炭素原子数7〜30の(より好ましくは7〜20の)ア
ラルキル基または炭素原子数6〜30の(より好ましく
は6〜20の)アリール基である。具体的にはメチル
基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、
n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ペン
チル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシ
ル基、オクタデシル基、ベンジル基、2ーフェニルエチ
ル基、1−フェニルエチル基、フェニル基、4−メチル
フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げ
られる。二つのR及び/又は二つのRが環を形成す
る場合、5〜7員環が好ましく、二つのR及び/又は
二つのRが−(CH−基、−(CH−基
または−CH=CH−CH=CH−基として環を形成す
るものであることがより好ましい。
【0021】上記一般式(IV)のR及びRにおける
置換炭化水素基は、二つのR及び二つのRが環を形
成しない場合、好ましくは、ハロゲン原子、アルコキシ
基、二置換アミノ基等で置換された炭素原子数1〜30
の(より好ましくは1〜20の)アルキル基、炭素原子
数7〜30の(より好ましくは7〜20の)アラルキル
基または炭素原子数6〜30の(より好ましくは6〜2
0の)アリール基であり、具体例としては、トリフルオ
ロメチル基、2−t−ブチルオキシエチル基、3−ジフ
ェニルアミノプロピル基等が挙げられる。二つのR
び二つのRが環を形成する場合、前記の置換基を有す
る、5〜7員環が好ましく、二つのR及び二つのR
が前記の置換基を有する、−CH−O−CH−基、
−(CH −、−(CH−基または−CH=
CH−CH=CH−基として環を形成するものであるこ
とがより好ましい。一般式(IV)のR及びRとし
て、好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜30の
炭化水素基であり、より好ましくは、水素原子または炭
素原子数1〜20のアルキル基である。特に好ましくは
が水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基
であり、Rが水素原子またはメチル基である。上記一
般式(IV)のRにおける炭化水素基または置換炭化水
素基の具体例及び好ましい基などは、上記一般式(I)
におけるRにおけるそれらと同様である。上記一般式
(IV)のRは、好ましくは、水素原子、フェノキシ基
または炭素原子数1〜30の(より好ましくは炭素原子
数1〜20の)炭化水素基であり、特に好ましくは水素
原子、フェノキシ基または炭素原子数1〜6の炭化水素
基であり、具体例としては、水素原子またはフェノキシ
基が挙げられる。
【0022】上記一般式(V)におけるR及びR
具体例及び好ましい基などは上記一般式(IV)における
それらと同様である。上記一般式(V)のRにおける
二価の炭化水素基としては、炭素原子数1〜30の(よ
り好ましくは炭素原子数1〜20の)アルキレン基、炭
素原子数7〜30の(より好ましくは炭素原子数7〜2
0の)アラルキレン基、または炭素原子数6〜30の
(より好ましくは炭素原子数6〜20の)アリーレン基
が好ましく、具体例としては、メチレン基、1,1−エ
チレン基、1,2−エチレン基、1,1−プロピレン
基、1,3−プロピレン基、2,2−プロピレン基、
1,1−ブチレン基、2,2−ブチレン基、3−メチル
−2,2−ブチレン基、3,3−ジメチル−2,2−ブチ
レン基、1,1−ペンチレン基、3,3−ペンチレン基、
1,1−へキシレン基、1,1−ヘプチレン基、1,1−
オクチレン基、1,1−ノニレン基、1,1−ドデシレ
ン基、1,1−ペンタデシレン基、1,1−オクタデシ
レン基、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロ
ヘキシレン基、フェニルメチレン基、ジフェニルメチレ
ン基、1−フェニル−1,1−エチレン基、9,9−フ
ルオレン基、α,α’−1,4−ジイソプロピルフェニ
レン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン
基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0023】上記一般式(V)のRにおける二価の置
換炭化水素基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、
二置換アミノ基等で置換された、炭素原子数1〜30の
(より好ましくは炭素原子数1〜20の)アルキレン
基、炭素原子数7〜30の(より好ましくは炭素原子数
7〜20の)アラルキレン基または炭素原子数6〜30
の(より好ましくは炭素原子数6〜20の)アリーレン
基が好ましく、具体例としては、ヘキサフルオロ−2,
2−プロピレン基、ペンタフルオロフェニルメチレン
基、4−メトキシフェニルメチレン基、4−ジメチルア
ミノフェニルメチレン基等を挙げることができる。上記
一般式(V)のRとしては、酸素原子または二価の炭
化水素基が好ましく、炭素原子数1〜20のアルキレン
基または炭素原子数7〜20のアラルキレン基がより好
ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基がさらに好ま
しい。上記一般式(I)で表される2,5−ジ置換フェ
ノールと、上記一般式(IV)で表されるフェノール及び
/又は上記一般式(V)で表わされるビスフェノールを
混合して用いる場合、その混合比は目的のポリマーの物
性を損なわない範囲で適宜定められるが、2,5−ジ置
換フェノールが全フェノールモノマーに対して、好まし
くは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%
以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である
(これらのフェノール類を以下にフェノール性出発原料
と呼ぶことがある)。
【0024】本発明の触媒は、(A)銅化合物と、
(B)上記一般式(II)で表される単座配位子化合物と
からなり、(A)と(B)のモル比が(B)/(A)=
0.01〜100である触媒である。(A)および
(B)の二成分は必須であり、いずれか一つでも欠ける
と重合活性がなくなるので好ましくない。(B)/
(A)が100を越える場合は、経済的に好ましくな
く、0.01未満の場合は、重合活性が十分でないので
好ましくない。(B)/(A)は、好ましくは0.1〜
50であり、より好ましくは0.5〜20であり、特に
好ましくは1〜4である。
【0025】本発明の触媒における銅化合物(A)の銅
の価数は、0〜3価であり、1または2価が好ましい。
該銅化合物として好ましくは、銅の塩である。具体的に
は、銅のハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、安息香酸塩等
が代表例であり、遷移金属のハロゲン化物がより好まし
い。かかるハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素等が例
示できるが、塩素、臭素がさらに好ましい。該銅化合物
として特に好ましくは1または2価の銅の塩化物または
臭化物が挙げられる。本発明の触媒における単座配位子
化合物(B)は、上記一般式(II)で表わされる化合物
である。
【0026】上記一般式(II)における炭化水素基とし
ては炭素原子数1〜20のアルキル基及び炭素数6〜2
0のアリール基が好ましく、具体的にはメチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチ
ル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、
シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げ
られる。上記一般式(II)における置換炭化水素基は、
ハロゲン原子、アルコキシ基、二置換アミノ基等で置換
された炭化水素基であり、具体例としては、トリフルオ
ロメチル基、2−t−ブチルオキシメチル基、3−ジフ
ェニルアミノプロピル基等が挙げられる。上記一般式
(II)における炭化水素オキシ基としては炭素原子数1
〜20のアルコキシ基及びアリールオキシ基が好まし
く、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ
基、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。上記
一般式(II)における置換炭化水素オキシ基は、ハロゲ
ン原子、アルコキシ基、二置換アミノ基等で置換された
炭化水素オキシ基であり、具体例としては、トリフルオ
ロメトキシ基、2−t−ブチルオキシエトキシ基、3−
ジフェニルアミノプロポキシ基等が挙げられる。上記一
般式(II)における炭化水素チオ基としては炭素原子数
1〜20のアルキルチオ基及びアリールチオ基が好まし
く、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、プロピル
チオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ
基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
上記一般式(II)における置換炭化水素チオ基は、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基、二置換アミノ基等で置換され
た炭化水素チオ基であり、具体例としては、トリフルオ
ロメチルチオ基、2−t−ブチルオキシエチルチオ基、
3−ジフェニルアミノプロピルチオ基等が挙げられる。
【0027】上記一般式(II)における置換アミノ基と
しては炭素原子数1〜20の置換アミノ基が好ましく、
具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピ
ルアミノ基、ブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフ
チルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、
ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチル
アミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミ
ノ基、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等が挙
げられる。上記一般式(II)におけるハロゲン原子とし
て好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であ
り、さらに好ましくは塩素原子、臭素原子である。上記
一般式(II)において、Rの窒素原子に結合した炭素
原子がC−H結合を有する場合はRは水素であっては
ならない。Rの窒素原子に結合した炭素原子がC−H
結合を有し、かつRが水素である場合、得られたポリ
マーが結晶性を示さないので好ましくない。上記一般式
(II)において好ましくは、Rの窒素原子に結合した
炭素原子がC−H結合を有さず、さらにRが水素原子
ではない。また、RとRが環を形成している化合物
が入手しやすく、好ましい。
【0028】上記一般式(II)で表される化合物の具体
例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミ
ダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、2−iso
−プロピルイミダゾール、2−tert−ブチルイミダ
ゾール、2−フェニルイミダゾール、5−メチルイミダ
ゾール、2,5−ジメチルイミダゾール、2−メチルベ
ンズイミダゾール、2−エチルベンズイミダゾール、2
−n−プロピルベンズイミダゾール、2−iso−プロ
ピルベンズイミダゾール、2−tert−ブチルベンズ
イミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2−
メチルオキサゾール、2−エチルオキサゾール、2−n
−プロピルオキサゾール、2−iso−プロピルオキサ
ゾール、2−tert−ブチルオキサゾール、2−フェ
ニルオキサゾール、5−メチルオキサゾール、2,5−
ジメチルオキサゾール、2−メチルベンズオキサゾー
ル、2−エチルベンズオキサゾール、2−n−プロピル
ベンズオキサゾール、2−iso−プロピルベンズオキ
サゾール、2−tert−ブチルベンズオキサゾール、
2−フェニルベンズオキサゾール、2−メチルチアゾー
ル、2−エチルチアゾール、2−n−プロピルチアゾー
ル、2−iso−プロピルチアゾール、2−tert−
ブチルチアゾール、2−フェニルチアゾール、5−メチ
ルチアゾール、2,5−ジメチルチアゾール、2−メチ
ルベンズチアゾール、2−エチルベンズチアゾール、2
−n−プロピルベンズチアゾール、2−iso−プロピ
ルベンズチアゾール、2−tert−ブチルベンズチア
ゾール、2−フェニルベンズチアゾール、及び上記一般
式(III)で表される化合物が挙げられ、上記一般式(I
II)で表される化合物が好ましい。
【0029】上記一般式(III)における炭化水素基、
置換炭化水素基、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、置
換炭化水素オキシ基、二置換アミノ基は、前記一般式
(II)についてしたと同様に例示できる。上記一般式
(III)において、RおよびR13はそれぞれ独立に
水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基またはハロゲン
原子を表すが、両方が水素原子である場合を除く。
【0030】上記一般式(III)において、R10〜R
12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化
水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、二
置換アミノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、R
10〜R12は任意の組合せで環を形成してもよい。好
ましくは、R10〜R12はそれぞれ独立に水素原子、
炭化水素基、置換炭化水素基であり、さらに好ましくは
水素原子である。上記一般式(III)で表される化合物
の具体例としては、2−メチルピリジン、2−エチルピ
リジン、2−n−プロピルピリジン、2−iso−プロ
ピルピリジン、2−フェニルピリジン、2,6−ジメチ
ルピリジン、2,6−ジエチルピリジン、2,6−ジ−
n−プロピルピリジン、2−メチル−6−iso−プロ
ピルピリジン、2−メチル−6−フェニルピリジン、2
−メチルキノリン、2−エチルキノリン、2−n- プロ
ピルキノリン等が挙げられる。これらのなかでは、2位
及び/又は6位が炭化水素基又は置換炭化水素基で置換
されたピリジンが好ましく、さらに好ましくは2,6−
ジ−n−アルキルピリジンまたは2−n−アルキルピリ
ジンであり、特に好ましくは2,6−ジメチルピリジン
または2−メチルピリジンである。
【0031】該単座配位子化合物は1種類でも、2種類
以上の混合物でもよい。ただし、上記一般式(III)で
表される単座配位子化合物において、RおよびR13
の両方がt−ブチル基またはフェニル基である場合に
は、この単座配位子化合物だけでは上記銅化合物への配
位能力が不十分なため、十分活性のある触媒が形成され
ないため、RおよびR13の両方がt−ブチル基また
はフェニル基ではない単座配位子化合物を共存させるこ
とが好ましい。その場合、(A)銅化合物と、(B’)
上記一般式(III)のRおよびR13の両方がt−ブ
チル基またはフェニル基ではない単座配位子化合物との
モル比(B’)/(A)は、好ましくは0.1〜50で
あり、より好ましくは0.5〜10であり、特に好まし
くは1〜4である。
【0032】また、該触媒に一般式(VI)R−OM
(Rは水素原子または炭化水素基を表わし、Mはリチ
ウム、ナトリウムまたはカリウムを表わす。)で表わさ
れる塩基性化合物を添加してもよい。上記一般式(VI)
のRにおける炭化水素基としては、炭素原子数1〜2
0のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチ
ル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、1−ペンチル
基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、
シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、4−メチル
シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、
3,5−ジメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。上
記一般式(VI)のRとしては、水素原子または炭素原
子数1〜12のアルキル基が好ましく、水素原子または
炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原
子または炭素原子数1〜4のアルキル基がさらに好まし
い。一般式(VI)のMとしては、ナトリウムまたはカリウ
ムが好ましい。該塩基性化合物の添加量に特に制限はな
いが、上記銅化合物(A)1molに対して0.25〜
4molが好ましく、0.33〜3molがより好まし
く、0.5〜2molがより好ましく、1が特に好まし
い。
【0033】該触媒は、該銅化合物と該単座配位子化合
物を適当な溶媒中で反応させ、単離・精製した錯体を用
いることができるが、該銅化合物と該単座配位子化合物
を、酸化重合に用いる反応溶媒中で形成させた錯体をそ
のまま用いてもよい。該触媒は任意の量で用いることが
できるが、一般的にはフェノール性出発原料に対する銅
の量として0.001〜50モル%が好ましく、0.0
1〜10モル%がより好ましい。本発明の酸化重合反応
における酸化剤に特に制限はないが、酸素またはパーオ
キサイドが好ましい。さらに好ましくは、酸素であり、
不活性ガスとの混合物であってもよく、空気でもよい。
酸素の使用量は、フェノール性出発原料に対して通常、
当量以上大過剰に使用する。
【0034】本発明の酸化重合における第一の特徴の一
つは、反応溶媒として20〜25℃における比誘電率が9以
下である有機化合物を用いるか、または反応溶媒を上記
2,5−ジ置換フェノールに対して4.0L/mol以
下の量で使用するかのいずれかの反応条件を選択するこ
とである。ここでいう比誘電率とは、CRC Handbook of
Chemistry and Physics, 76th Edition, 1995-1996, CR
C Press, 6-159に記載されるものである。反応溶媒とし
て20〜25℃における比誘電率が9より大きい有機化合物
を用い、かつ、その反応溶媒を該2,5−ジ置換フェノ
ールに対して4.0L/molより多い量で使用した場
合、結晶性のポリマーが得られないので好ましくない。
【0035】反応溶媒として20〜25℃における比誘電率
が9以下である有機化合物を用いる場合には、該溶媒の
使用量には制限はない。20〜25℃における比誘電率が9
以下である有機化合物の具体例としては、CRC Handbook
of Chemistry and Physics,76th Edition, 1995-1996,
CRC Press,6-159〜192(20〜25℃における比誘電率)
を参考にして、単独としてはヘプタン(1.9)、シクロ
ヘキサン(2.0)、ベンゼン(2.3)、トルエン(2.
4)、o-、m-またはp-キシレン(2.3〜2.6)、アニソー
ル(4.3)、クロロベンゼン(5.7)、1,4-ジオキサン
(2.2)、テトラヒドロフラン(7.5)、ジメトキシエタ
ン(7.3)、ジクロロメタン(8.9)、クロロホルム(4.
8)、酢酸エチル(6.1)等が挙げられる。また、これら
の有機溶媒と比誘電率が9より大きい有機溶媒の混合物
でも、混合物として20〜25℃における比誘電率が9以下
であればよい。好ましくは20〜25℃における比誘電率が
1〜6の有機化合物であり、より好ましくは20〜25℃に
おける比誘電率が1.5〜4.0の有機化合物であり、
さらに好ましくは20〜25℃における比誘電率が1.8〜
3.0の有機化合物である。該反応溶媒の使用量には特
に制限はなくが、上記2,5−ジ置換フェノールに対し
て0.01〜10L/molが好ましく、0.05〜
6.0L/molがより好ましく、0.1〜4.0L/m
olがさらに好ましい。
【0036】反応溶媒として20〜25℃における比誘電率
が9より大きい有機化合物を用いる場合には、その反応
溶媒を上記2,5−ジ置換フェノールに対して4.0L
/mol以下の量で使用しなければならない。20〜25℃
における比誘電率が9より大きい有機化合物の具体例と
しては、CRC Handbook of Chemistry and Physics, 76
th Edition, 1995-1996, CRC Press,6-159〜192(20〜2
5℃における比誘電率)を参考にして、単独としてはo
−ジクロロベンゼン(10)、ベンゾニトリル(25)、ニ
トロベンゼン(36)、アセトニトリル(37)、シクロヘ
キサノール(16)、2−プロパノール(20)、エタノー
ル(25)、メタノール(33)、エチレングリコール(4
1)、シクロヘキサノン(18)、2−ブタノン(19)、
アセトン(21)、ニトロメタン(36)、N,N−ジメチル
ホルムアミド(38)、ジメチルスルホキシド(47)、水
(80)等を挙げることができる。これらは単独でも、混
合物でも使用できる。20〜25℃における比誘電率が9よ
り大きい有機化合物の中で、反応溶媒として好ましくは
芳香族化合物、ニトリル化合物、アルコール化合物、ケ
トン化合物、ニトロ化合物であり、より好ましくは芳香
族化合物、ニトリル化合物、アルコール化合物であり、
さらに好ましくは芳香族化合物である。該反応溶媒の使
用量は、上記2,5−ジ置換フェノールに対して4.0
L/mol以下でなければならず、好ましくは0.01
〜4.0L/molが好ましく、0.05〜3.0L/m
olがより好ましく、0.1〜2.5L/molがさら
に好ましい。酸化重合の反応温度は、反応媒体が液状を
保つ範囲であれば特に制限はない。好ましい温度範囲は
0℃〜200℃であり、より好ましくは0℃〜150℃
である、さらに好ましくは0℃〜100℃である。この
反応を省エネルギーという観点から実施する場合には好
ましい反応温度は10℃〜60℃である。
【0037】さらに、本発明の酸化重合における特徴の
一つは、上記2,5−ジ置換フェノールの転化率が5
0.0〜99.5%に到達するまで重合を行うことであ
る。酸化重合を終了する際の該転化率が99.5%より
高い場合は、得られるポリマーの結晶性が失われるので
好ましくなく、また50.0%より低い場合はポリマー
の収率が十分でないため好ましくない。酸化重合を終了
する際の該転化率として、好ましくは54.0〜99.
0%であり、より好ましくは56.0〜98.0%であ
り、さらに好ましくは58.0〜97.0%である。
【0038】本発明で得られるポリマーは、下記一般式
(VII)で表される繰り返し単位をもつポリ(2,5−
ジ置換−1,4−フェニレンオキサイド)であり、下記
一般式(VII)で表される繰り返し単位以外の構造につ
いては特に限定はなく、ランダムまたはブロック共重合
体でもよい。下記一般式(VII)で表される繰り返し単
位の含有量は、目的のポリマーの物性を損なわない範囲
で適宜定められるが、全繰り返し単位数に対して、好ま
しくは80単位%以上であり、より好ましくは90単位
%以上であり、さらに好ましくは95単位%以上であ
る。
【0039】
【化11】
【0040】(式中、Rは上記一般式(I)のそれと
同じ意味をもつ。) 本発明で得られるポリマーは結晶性を示す。本発明でい
う結晶性とは、溶融後、冷却する際に、150℃以上に
5J/g以上の結晶化の発熱ピークを示す、及び/又は
溶融物を、冷却後、再び加熱する際に、150℃以上に
5J/g以上の結晶融解熱の吸熱ピークを示すことをい
う。
【0041】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0042】(i)分析 モノマーの転化率(Conv.):内部標準物質としてジフ
ェニルエーテルを含む反応混合物15mgをサンプリン
グし、濃塩酸を若干量加えて酸性とし、メタノール2g
を加え、測定サンプルとした。このサンプルを、高速液
体クロマトグラフィー(ポンプ:東ソー社製SC802
0システム、検出器:東ソー社製PD−8020、検出
波長:278nm、カラム:YMC社製ODS−AM、
展開溶媒:メタノール/水=68:32よりスタートし
て38分後に100/0となるよう変化させ、その後5
0分まで保持)により分析し、ジフェニルエーテルを内
部標準物質として定量した。
【0043】ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均
分子量(Mw):ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーにより分析し、標準ポリスチレン換算値として重量平
均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。
Polymer Laboratories社製PL-GPC210システムにより、P
olymer Laboratories社製Plgel 10um MIXED-B 3本を
カラムとして、o-ジクロロベンゼン(oDCBと略す。)を
展開溶媒(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.01%
w/v含有)として、140℃で行った。
【0044】ポリマーの溶融後の結晶化温度(Tc)、結
晶化熱量(Hc)及び融解温度(Tm)、融解熱量(Hm):
示差走査熱量分析(MAC SCIENCE 社DSC3200S)をアルゴ
ン雰囲気下で実施した。まず、10℃/minで室温から3
50℃まで昇温し、5分保温後、10℃/minで350℃
から室温まで冷却したとき、150℃以上で5J/g以上
の発熱ピークを示す場合、そのピークトップ温度を結晶
化温度(Tc)とし、そのピーク面積を結晶化熱量(Hc)
とした。次に、再度10℃/minで室温から350℃以上
まで昇温したとき、150℃以上で5J/g以上の吸熱ピ
ークを示す場合、そのピークトップ温度を融解温度(T
m)とし、そのピーク面積を融解熱量(Hm)とした。結
晶化または融解のピークが見られない場合はN.D.とし
た。
【0045】(ii)酸化重合 実施例1 電磁撹拌機を備えた25ml容二つ口丸底フラスコに、
酸素を充填した2Lゴム風船を取付け、フラスコ内を酸
素に置換した。これに、CuCl0.06mmolを入れ、
2,5-ジメチルフェノール1.2mmolと、2,6-ジメチ
ルピリジン(Me 2Pyとする。)0.18mmolをトル
エン6mLに溶解したものを加えた。これを40℃に保温
し、激しく撹拌した。27時間後(2,5-ジメチルフェノ
ールの転化率は99.4%であった。)、濃塩酸数滴を
加えて酸性にし、メタノール25mlを加え、沈殿した
重合体を濾取した。メタノール10mlで3回洗浄し、
60℃で6時間減圧乾燥した後、重合体を得た。この重
合体の分析結果を表1に示す。なお、得られた重合体の
IRスペクトルが、日本化学会第76春季年会講演予稿
集II-1305、講演番号3H102(1999)で報告したポリ
(2,5−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)
のIRスペクトルと同様であることを確認している。
【0046】実施例2〜7および比較例1〜3 触媒(2,5-ジメチルフェノールは1.2mmol、銅化
合物は0.06mmolとした。)、反応溶媒、反応溶
媒使用量、反応終了時の2,5-ジメチルフェノールの転化
率を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にし
て、重合体を得た。これらの重合体の分析結果を表1に
示す。なお、MePyは2-メチルピリジンを表わす。
【0047】比較例4 電磁撹拌機を備えた25ml二つ口丸底フラスコに、酸
素を充填した2Lゴム風船を取付け、フラスコ内を酸素
に置換した。これに、CuClを二日間空気中に放置し
た塩基性銅塩(bsc.CuClと略す。)40mgと、ピリジ
ン(Pyと略す。)710mgを入れ、2,5−ジメチル
フェノール1.2mmolをニトロベンゼン2mlに溶
解したものを加えた。これを30℃に保温し、激しく撹
拌した。8時間後(2,5-ジメチルフェノールの転化率は
98.7%であった。)、実施例1と同様に後処理し、
メタノール不溶部として重合体を得た。この重合体の分
析結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】a)モノマー1molあたりの溶媒使用量(m
l)。b)CuClに対して2,6−ジフェニルピリジ
ン10倍モル量添加。c)CuClに対して、カリウム
tert−ブトキサイド等モル量、2,6−ジフェニル
ピリジン10倍モル量添加。d)不溶部があったため、可
溶部のみ測定した。ただし、本重合体は165℃ではoDCB
に完全に溶解した。e)不溶部があったため、可溶部の
み測定した。
【0050】比較例1から、反応溶媒として20〜25℃に
おける比誘電率が9以下であるトルエンを用いた場合で
も、重合反応終了時の2,5−ジメチルフェノールの転
化率が99.5%を超えると、得られたポリマーのTcお
よびTmが観測されず、結晶性が失われた。また、比較例
2および3に示すように、反応溶媒として20〜25℃にお
ける比誘電率が9より大きいo−ジクロロベンゼンおよ
びニトロベンゼンを用い、かつ、それらの使用量が2,
5−ジメチルフェノールに対して4.0L/molより
多い場合(Polymer, 20(8),995-1002(1979))には、結
晶性ポリマーが得られなかった。なお、比較例4に示す
単座配位子化合物としてピリジンからなる触媒(特公昭
50−28999号公報記載)でも結晶性ポリマーが得
られなかった。実施例1〜7に示すように、銅化合物と
上記一般式(I)で表される単座配位子化合物からる触
媒存在下、反応溶媒として20〜25℃における比誘電率が
9以下である有機化合物を用いるか、または反応溶媒を
2,5−ジメチルフェノールに対して4.0L/mol
以下の量で使用するかのいずれかであり、重合終了時の
2,5−ジメチルフェノールの転化率が50.0〜9
9.5%である場合にのみ、得られたポリマーのTcおよ
びTmが観測され、結晶性が発現されることがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、(A)銅化合物と
(B)単座配位子化合物からなる、安価な銅錯体触媒で
結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキ
サイド)を製造することができ、大きな経済効果が期待
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤澤 清史 茨城県つくば市吾妻4丁目201−706 (72)発明者 小林 四郎 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4J005 AA26 BA00 BB02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される2,5−ジ
    置換フェノールを、(A)銅化合物と、(B)下記一般
    式(II)で表される単座配位子化合物とからなり、
    (A)と(B)のモル比が(B)/(A)=0.01〜
    100である触媒存在下、酸化重合する際に、(i)反
    応溶媒として20〜25℃における比誘電率が9以下である
    有機化合物を用いるか、または(ii)反応溶媒を該2,
    5−ジ置換フェノールに対して4.0L/mol以下の
    量で使用するか、から選ばれる少なくとも1つの反応条
    件を選択し、該2,5−ジ置換フェノールの転化率が5
    0.0〜99.5%に到達するまで重合を行うことを特
    徴とする結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニ
    レンオキサイド)の製造方法。 【化1】 (式中、Rは炭化水素基または置換炭化水素基を表
    し、二つのRは互いに同一でも異なっていてもよ
    い。) 【化2】 (式中、Rは炭化水素基または置換炭化水素基を表
    し、Rは炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキ
    シ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、置換炭
    化水素チオ基または置換アミノ基を表し、Rは水素原
    子、炭化水素基、置換炭化水素基またはハロゲン原子を
    表すが、Rの窒素原子に結合した炭素原子がC−H結
    合を有する場合はRは水素原子ではなく、R
    、RとRが環を形成してもよい。)
  2. 【請求項2】 該単座配位子化合物が下記一般式(II
    I)で表わされることを特徴とする請求項1記載の結晶
    性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレンオキサイ
    ド)の製造方法。 【化3】 (ただし、RおよびR13はそれぞれ独立に水素原
    子、炭化水素基、置換炭化水素基またはハロゲン原子を
    表すが、両方が水素原子である場合を除く。R10〜R
    12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化
    水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、二
    置換アミノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、R
    10〜R12は任意の組合せで環を形成してもよい。)
  3. 【請求項3】 銅化合物(A)と下記一般式(II)で表
    される単座配位子化合物(B)とからなり、(A)と
    (B)のモル比が(B)/(A)=0.01〜100で
    ある結晶性ポリ(2,5−ジ置換−1,4−フェニレン
    オキサイド)製造用触媒。 【化4】 (式中、Rは炭化水素基または置換炭化水素基を表
    し、Rは炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキ
    シ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、置換炭
    化水素チオ基または置換アミノ基を表し、Rは水素原
    子、炭化水素基、置換炭化水素基またはハロゲン原子を
    表すが、Rの窒素原子に結合した炭素原子がC−H結
    合を有する場合はRは水素原子ではなく、R
    、RとRが環を形成してもよい。)
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