JP2001287118A - タッピング装置 - Google Patents

タッピング装置

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JP2001287118A JP2001021286A JP2001021286A JP2001287118A JP 2001287118 A JP2001287118 A JP 2001287118A JP 2001021286 A JP2001021286 A JP 2001021286A JP 2001021286 A JP2001021286 A JP 2001021286A JP 2001287118 A JP2001287118 A JP 2001287118A
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寿 大坪
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秀夫 中川
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虎男 竹下
Yoshinori Yamaoka
義典 山岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タッパを駆動する主軸の加減速中にもタッパ
に加わる実切削負荷の増大量を検出する。 【解決手段】 空運転でタッピング動作を行なったとき
に検出する総負荷トルクを空運転時基準負荷のデータと
してコンピュータが保存する。コンピュータは、タッピ
ング加工時に検出する総負荷トルクから空運転時基準負
荷トルクを差し引いて実切削負荷トルクを求める。実切
削負荷トルクが過負荷判定値T0を超えたときに、タッ
パの磨耗程度が寿命となったかまたは切削屑が詰まった
と判断し、切込み時の減速制御を通常の第1の減速度−
α1よりも小さい第2の減速度−α2で行う。そして、
通常の第1の加速度α1よりも小さい第2の加速度α2
及び第2の減速度−α2で加減速制御して主軸を開始位
置まで引抜き制御した後、加工中のタップ穴に対するタ
ッピング加工を繰り返し行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タッパの回転位相
と送り速度とを同期させてタッピング加工を行う数値制
御工作機械等のタッピング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、マシニングセンタ、NCタッピン
グマシン等の数値制御工作機械でタッピングを行う場合
には、タッパを回転駆動する主軸の回転位相と、主軸の
軸線方向(以下、「Z軸」という。)との送り位置が同
期するように、主軸回転用モータと主軸送り用モータと
が制御される。
【0003】1回のタッピング加工は、タッパがタッピ
ング開始位置から終了位置まで送られる切込み工程と、
終了位置から開始位置まで戻される引抜き工程とからな
る。そして、切込み工程は、図3に示すように、主軸の
回転数が「0」から所定の最大回転数まで加速制御され
る加速過程、回転数が最大回転数に維持される定速過程
及び、回転数が最大回転数から「0」まで減速制御され
る減速過程とからなる。引抜き工程は、切込み工程と同
様に、加速過程、定速過程及び減速過程とからなる。そ
して、各過程において、回転位相に送り位置が同期する
ように主軸が制御される。
【0004】ところで、タッピング加工では、タッパの
磨耗程度が寿命となったこと、または、切削屑が詰まっ
たこと等の要因により、切削中のタッパにワークから加
わる実切削負荷トルクが過大となることがある。この場
合、タッパが折損したりさらに、加工中のタップ穴が損
傷することがある。そこで、切込み中に実切削負荷トル
クが過大となってもタッパを折損させることなくタッピ
ングを中止するようにした数値制御工作機械が、特開平
4−30910号公報に開示されている。
【0005】この制御工作機械では、検出手段が、タッ
ピング中の主軸回転用モータに加わる実切削負荷トルク
を検出する。また、監視手段が、検出された実切削負荷
トルクが、記憶手段に記憶されているトルク負荷許容値
を超えて過負荷となったか否かを監視する。そして、監
視手段によって実切削負荷トルクが過負荷であると判断
されると、制御手段が、主軸回転用モータ及び主軸送り
用モータを制御して、主軸の回転位相と送り位置とを同
期させた状態で、主軸の回転動作及び送り動作を停止さ
せた後、タッピング開始位置まで主軸を復帰動作させ
る。従って、回転位相の指令値と実際の回転位相との差
が過大になる前に、実切削負荷トルクが過大になった状
態が検出され、主軸の回転位相と送り位置とが同期する
状態で主軸の回転動作及び送り動作が中止されるので、
タッパさらにワークが破損することなくタッピングが中
止される。
【0006】この検出手段は、負荷に応じて変化する主
軸回転用モータへの供給電流値から、主軸回転用モータ
に加わる実切削負荷トルクを検出する。詳述すると、図
3に示すように、切込み工程における加速過程及び減速
過程では、主軸やモータのロータ等の回転部等の慣性が
負荷トルクとなって主軸回転用モータに加わる。この慣
性による負荷トルクは、実切削負荷トルクよりも顕著に
大きな負荷トルクである。一方、主軸の回転数が最大回
転数で維持される定速過程で加わる負荷トルクは、殆ど
タッパに加わる切削負荷トルクだけとなる。そこで、検
出手段は、主軸の回転数の指令値が上昇して90%を超
えた時点から、指令値が減速となる時点までの、主に定
速工程における供給電流値を検出し、検出した供給電流
値から実切削負荷トルクの大きさを判断している。尚、
引抜き工程における加速過程及び減速過程においても、
主軸の慣性による負荷トルクが加わった状態となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、加工中
のタッパに加わる実切削負荷トルクは、キスラー動力計
等を使用したトルク測定で、切込み工程時の減速過程で
増大し、減速過程の終了時、即ち、タップ穴の孔底付近
で最大となることが分かっている。そして、タッパの折
損は、実切削負荷トルクの最大値が過大になったときに
発生する。
【0008】ところが、上記の数値制御工作機械では、
加減速中に実切削負荷トルクを検出することができない
ので、タッパに加わる実切削負荷トルクの最大値を検出
することができず、タッパの磨耗程度が寿命となったこ
とを正確に判断することができない。
【0009】また、アルミニウム等の硬度が低い金属か
らなるワークに対してタッピング加工を行う場合には、
切削抵抗が小さく切削加工が容易であることから、主軸
回転数及び送り速度を高速にして加工時間を短縮してい
る。この場合、図10に示すように、主軸が最大回転数
で制御される定速過程の継続時間が極端に短くなり、主
軸が殆ど加速過程及び減速過程だけで制御される状態と
なることがある。
【0010】従って、このような状態でのタッピング加
工では、主軸用回転モータに切削負荷トルクだけが加わ
っている時間が殆どないので、実切削負荷トルクを検出
することが困難となる。
【0011】そして、このようなタッピング加工を行う
数値制御工作機械では、検出した実切削負荷トルクに基
づいて、タッパの磨耗程度が寿命であることを正確に判
断したり、または、切削屑が詰まってタッパに過負荷が
加わっている状態であることを判断して適切な処置を行
うことができなかった。
【0012】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであって、その第1の目的は、タッパを駆動
する主軸の加減速時にもタッパに過負荷が加わっている
状態を検出することができるタッピング装置を提供する
ことにある。
【0013】また、第2の目的は、第1の目的に加え
て、主軸の加減速時にタッパに過負荷が加わっている状
態を検出し、タッパの折損またはワークの損傷等を防止
することができるタッピング装置を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、タッパが固定された主軸
の送り位置と回転位相とを同期させて制御するととも
に、主軸回転用モータに加わる負荷を検出するタッピン
グ装置において、タッピング加工時に検出される総負荷
と、予め設定された基準負荷とから、前記タッパに加わ
っている実切削負荷または、該実切削負荷の負荷増大量
を検出する実切削負荷検出手段を備えたことを要旨とす
る。
【0015】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記基準負荷は、空運転でタッピング
加工を行なったときに検出される空運転時基準負荷であ
って、前記実切削負荷検出手段は、前記総負荷と前記空
運転時基準負荷との差分を前記実切削負荷とすることを
要旨とする。
【0016】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記基準負荷は、少なくとも前記主軸
を含む回転部の総慣性質量と、該主軸の回転数とから求
めた計算基準負荷であって、前記実切削負荷検出手段
は、前記総負荷と前記計算基準負荷との差分を前記実切
削負荷とすることを要旨とする。
【0017】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記基準負荷は、前記タッパで実際に
タッピング加工を行なったときに検出される基準総負荷
であって、前記実切削負荷検出手段は、前記総負荷と前
記基準総負荷との差分を前記負荷増大量とすることを要
旨とする。
【0018】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請
求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記実切
削負荷または、前記負荷増大量のいずれか一方から、予
め設定された過負荷判定値を用いて、前記タッパの磨耗
程度が寿命であるか否か、または、切削屑が詰まってい
る状態であるか否かを判断する過負荷判定手段と、前記
主軸を加減速制御して、前記タッパの切込み及び引抜き
を行うとともに、前記タッパの磨耗程度が寿命である
か、または、切削屑が詰まっている状態であると判断さ
れたときに、前記主軸を減速制御し該主軸の回転位相と
送り位置とを同期させたままの状態で前記タッパの切込
みを中止する主軸制御手段とを備えていることを要旨と
する。
【0019】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、前記主軸制御手段は、切削屑が詰まっ
ている状態であると判断された場合、前記主軸をより小
さな減速度で減速制御して前記タッパの切込みを中止す
ることを要旨とする。
【0020】請求項7に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、前記主軸制御手段は、切削屑が詰まっ
ている状態であると判断された場合、前記主軸を減速制
御して前記タッパの切込みを中止し、該主軸を加減速制
御して該タッパを加工中のタップ穴から一旦引き抜いた
後、そのタップ穴に対するタッピング加工を繰り返して
行うことを要旨とする。
【0021】請求項8に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、前記主軸制御手段は、前記タッパの磨
耗程度が寿命であると判断されたときには、前記主軸を
より大きな減速度で減速制御して前記タッパの切込みを
中止することを要旨とする。
【0022】請求項9に記載の発明は、請求項5乃至請
求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記主軸
制御手段は、前記主軸を減速制御して前記切込みを中止
した後、前記主軸をより小さな加減速度で加減速制御し
て前記タッパを引き抜くことを要旨とする。
【0023】(作用)請求項1に記載の発明によれば、
タッピング加工時に主軸回転用モータに加わる負荷が総
負荷として検出される。総負荷は、タッパがワークから
受ける実切削負荷、主軸と共に回転する回転部の慣性に
基づく負荷、軸受等の摩擦部における摩擦抵抗、軸受等
の潤滑部における粘性抵抗等からなる。また、タッパに
加わる実切削負荷または実切削負荷の増大量を求めるた
めに設定された基準負荷は、実切削負荷を除く各負荷の
総和が、総負荷における実切削負荷を除く各負荷の総和
と同じとなる。さらに、基準負荷が、実切削負荷を含む
ものである場合には、総負荷との差分が実切削負荷の増
大量となる。そして、主軸の送り位置と回転位相に対応
する実切削負荷または実切削負荷の増大量が、同じ切削
位置での総負荷と空運転時基準負荷との差分として求め
られる。従って、主軸等の慣性が負荷として加わる加減
速時にも実切削負荷の増大量が検出される。
【0024】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の作用に加えて、空運転でタッピング加工
を行うときには、総負荷から実切削負荷だけが除かれた
空運転時基準負荷が基準負荷として検出される。そし
て、主軸の送り位置と回転位相に対応する実切削負荷
が、同じ切削位置での総負荷と空運転時基準負荷との差
分として求められる。従って、実切削負荷が直接検出さ
れる。
【0025】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の作用に加えて、少なくとも、主軸と共に
回転する回転部の総慣性質量と、主軸の回転数とから、
総負荷から実切削負荷だけが除かれた計算基準負荷が基
準負荷として計算される。そして、主軸の送り位置と回
転位相に対応する実切削負荷が、同じ切削位置での総負
荷と計算基準負荷との差分として求められる。従って、
実切削負荷が直接検出される。
【0026】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の作用に加えて、タッパでタッピング加工
を行うときには、タッパの磨耗程度に応じた実切削負荷
を含む基準総負荷が基準負荷として検出される。そし
て、主軸の送り位置と回転位相に対応する実切削負荷の
負荷増大量が、同じ切削位置での総負荷と基準総負荷と
の差分として求められる。従って、主軸等の慣性が負荷
として加わる加減速時にも実切削負荷の負荷増大量が検
出される。
【0027】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明の作用に加え
て、切込み中に、タッパの磨耗程度が寿命となったり、
または、切削屑が詰まると、タッパに加わる実切削負
荷、または、以前の実切削負荷からの負荷増大量が過大
な値となる。過大になった実切削負荷または負荷増大量
と、予め設定された基準切削負荷とから、タッパの磨耗
程度が寿命となったこと、または、切削屑が詰まったこ
とが判断される。そして、タッパが切込み中のタップ穴
に沿ったままで切込みが停止される。従って、タッパの
切込み中にタッパの磨耗程度が寿命となったり、また
は、切削屑が詰まった状態となったことによってタッパ
に加わる実切削負荷あいは負荷増大量が過大になると、
切込み中のタップ穴が損傷しない状態でタッパの切込み
が中止される。
【0028】請求項6に記載の発明によれば、請求項5
に記載の発明の作用に加えて、切込み中に、切削屑が詰
まった状態となったことによってタッパに加わる切削負
荷が過大になった場合、タッパの回転速度をより緩やか
に低下させることにより、減速過程中における切削屑の
排出が促進される。従って、タッパの切込み中に切削屑
が詰まった状態となっても、タッパに加わる実切削負荷
が抑制された状態で切込みが中止される。
【0029】請求項7に記載の発明によれば、請求項5
に記載の発明の作用に加えて、実切削負荷に基づいて切
削屑が詰まった状態であることが判断されると、タッパ
が一旦引き抜かれた後、タッピング加工が繰り返し行な
われる。従って、切削屑が詰まっただけではタッピング
加工が中止されず、切削屑を排出しながらタッピング加
工が繰り返し行われる。
【0030】請求項8に記載の発明によれば、請求項5
に記載の発明の作用に加えて、切込み時に磨耗程度が寿
命であると判断されたタッパがより大きな減速度で減速
制御されて停止するので、減速中にタッパに加わる実切
削負荷が軽減される。
【0031】請求項9に記載の発明によれば、請求項5
乃至請求項8のいずれか一項に記載の発明の作用に加え
て、タッパの磨耗程度が寿命であると判断されるか、ま
たは、切削屑が詰まった状態であると判断されて切込み
が中止された後、より小さな加減速度で主軸が加減速制
御されて引き抜かれるので、引抜き時にタッパに加わる
実切削負荷が軽減される。
【0032】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明をCNCタッピングマシンに具体化した第1の実施の
形態を図1〜図9に従って説明する。
【0033】図2に示すように、タッピング装置として
のCNCタッピングマシン10は、加工装置11及び制
御装置12とからなる。加工装置11は、X軸及びY軸
方向に移動可能なワークテーブル13、X軸及びY軸方
向の所定位置に固定配置されタッパTが装着される主軸
14、主軸回転用モータ15、主軸送り用モータ16、
X軸駆動用モータ17、Y軸駆動用モータ18等を備え
る。そして、加工装置11は、X軸駆動用モータ17及
びY軸駆動用モータ18によってワークテーブル13を
X軸及びY軸方向に移動させて、X軸及びY軸座標上の
位置で設定されるワークWの所定位置を主軸14に対し
て位置決めする。また、加工装置11は、タッパTを装
着した主軸14をZ軸方向に移動させることで、位置決
めされたワークWの所定位置にタッピング加工を行うよ
うになっている。
【0034】また、加工装置11は、主軸14に対して
位置決めするX軸座標上でのワークテーブル13の位置
を検出するX軸座標検出器19、同じくY軸座標上での
ワークテーブル13の位置を検出するY軸座標検出器2
0を備えている。また、Z軸周りでの主軸14の回転位
相を検出する回転位相検出器21、及び、Z軸座標上で
の主軸14の送り位置を検出するZ軸座標検出器22を
備えている。そして、加工装置11は、主軸14に対し
て位置決めするワークテーブル13のX,Y座標軸上の
位置を逐次検出するとともに、主軸14のZ軸座標上で
の送り位置、及び、Z軸周りでの回転位相を逐次検出す
る。
【0035】制御装置12は、コンピュータ23、駆動
装置24、負荷検出装置25等を備える。本実施の形態
では、コンピュータ23が過負荷判定手段及び主軸制御
手段であり、コンピュータ23及び負荷検出装置25が
実切削負荷検出手段を構成する。
【0036】駆動装置24は、主軸駆動装置26、主軸
送り駆動装置27、X軸駆動装置28及びY軸駆動装置
29を備える。主軸駆動装置26は、主軸回転用モータ
15を駆動制御する。主軸送り駆動装置27は、主軸送
り用モータ16を駆動制御する。また、X軸駆動装置2
8はX軸駆動用モータ17を、Y軸駆動装置29はY軸
駆動用モータ18をそれぞれ駆動制御する。
【0037】コンピュータ23は、中央処理装置30、
記憶装置31、入力装置32、表示装置33及び入出力
装置34等を備える。記憶装置31は、主軸回転用モー
タ15、主軸送り用モータ16、X軸駆動用モータ17
及びY軸駆動用モータ18を各駆動装置26〜29を介
して駆動制御するための制御プログラムを記憶してい
る。また、記憶装置31は、ワークW毎に設定された複
数のタッピング加工位置の加工順序、及び、各タッピン
グ加工のタッピング加工条件が設定された作業プログラ
ムを記憶している。タッピング加工条件としては、X,
Y軸座標上でのタッピング位置、Z軸座標上のタップ終
了位置及びタッピング開始位置、タッピング開始位置で
の主軸14の回転位相、タッパTのねじピッチ量、最大
主軸回転数、タップサイズ等が設定されている。
【0038】中央処理装置30は、記憶装置31に記憶
されている制御プログラムに従い、X,Y軸駆動装置2
8,29を介してX軸駆動用モータ17及びY軸駆動用
モータ18を駆動制御し、ワークWのX,Y軸座標上の
所定のタッピング位置を主軸14に対して位置決めする
制御を行う。このとき、中央処理装置30は、制御プロ
グラムに従い、X軸座標検出器19及びY軸座標検出器
20の各検出結果に基づいてソフトウェアサーボによる
フィードバック制御を行う。
【0039】また、中央処理装置30は、制御プログラ
ムに従い、X軸及びY軸座標上の所定位置において主軸
駆動装置26及び主軸送り駆動装置27を介して主軸回
転用モータ15及び主軸送り用モータ16を駆動制御
し、作業プログラムに設定されているタッピング加工条
件で、切込み工程及び引抜き工程からなるタッピング加
工を行うように回転位相・回転数制御、及び、送り位置
・送り速度制御を行う。即ち、中央処理装置30は、作
業プログラムのタッピング加工条件で指定されたタッピ
ング開始位置での回転位相、タッパTのねじピッチ量及
び最大主軸回転数に基づき、回転位相と送り量とを同期
させた回転位相・回転数制御、及び、送り位置・送り速
度制御を行う。
【0040】また、中央処理装置30は、制御プログラ
ムに従い、タッピング開始位置からタッピング終了位置
までタッパTを送る切込み制御の間に、主軸回転数及び
送り速度を、主軸回転数が「0」からタッピング加工条
件で指定される最大主軸回転数となるまで予め設定され
ている回転加速度で増大させた後、最大主軸回転数から
「0」まで同じ大きさの回転加速度で減少させる。尚、
切込み時の加速過程は、タッパTが切込み状態に入る前
に終了するか、または、加速中にタッパTが切込み状態
に入るように、タッピング開始位置または回転加速度が
設定されている。同様に、中央処理装置30は、制御プ
ログラムに従い、タッピング終了位置からタッピング開
始位置までタッパTを戻す引抜き制御の間に、主軸回転
数を「0」から最大主軸回転数まで予め設定されている
回転加速度で増大させた後、最大主軸回転数から「0」
まで同じ大きさの回転加速度で減少させる。このとき、
中央処理装置30は、切込み制御及び引抜き制御におい
て、制御プログラムに従い、回転位相検出器21及びZ
軸座標検出器22の各検出結果に基づいてソフトウェア
サーボによるフィードバック制御を行う。
【0041】中央処理装置30は、主軸14の切込み時
の加速制御を、予め設定されている第1の回転加速度
(以下、第1の加速度という。)α1及び第2の回転加
速度(以下、第2の加速度という。)α2のいずれかで
行ない、同じく減速制御を、予め設定されている第1の
回転減速度(以下、第1の減速度という。)−α1、第
2の回転減速度(以下、第2の減速度という。)−α2
及び第3の回転減速度(以下、第3の減速度という。)
−α3のいずれかで行う。第1の加速度α1及び第1の
減速度−α1は通常使用するために設定されたものであ
って同じ大きさであり、第2の加速度α2及び第2の減
速度−α2は、タッパTに加わる実切削負荷が過大にな
ったときに使用されるものであって同じ大きさであると
ともに第1の加速度α1及び第1の減速度−α1よりも
(絶対値が)小さい値に設定されている。また、第3の
減速度−α3は、第1の減速度−α1よりも(絶対値
が)大きい値に設定されている。
【0042】負荷検出装置25は、主軸14が回転駆動
されているときに、主軸回転用モータ15が受ける回転
負荷トルクに応じて大きさが変化する主軸回転用モータ
15の駆動電流値を検出してコンピュータ23に出力す
る。尚、タッピング加工時に主軸回転用モータ15が受
ける回転負荷トルクは、タッパTがワークWから受ける
切削負荷による実切削負荷トルク、主軸14の加速時及
び減速時に主軸14と共に回転する回転部(タッパT、
チャック、回転軸、主軸回転用モータの回転子等)の慣
性に基づく負荷トルク、軸受等の摩擦部における摩擦抵
抗、軸受等の潤滑部における粘性抵抗等を主とする総負
荷トルクである。
【0043】(実切削負荷の検出)中央処理装置30
は、制御プログラムに従い、負荷検出装置25が検出す
る駆動電流値から、主軸回転用モータ15に加わる総負
荷トルクを逐次検出する。図3は、1回のタッピング加
工工程における総負荷トルク及び主軸回転数の時間特性
を示すグラフである。尚、このグラフに示す特性は、切
込み時に、主軸14の加速過程の終了後に、タッパTが
切込み状態に入るように設定されている場合のものであ
る。
【0044】図3のグラフに示すように、切込み時の加
速過程で検出される総負荷トルクは、実切削負荷トルク
を含まないものとなり、定速時に検出される総負荷トル
クは、主軸14を含む回転部の慣性に基づく負荷トルク
を含まないものとなる。さらに、切込み時の減速過程で
検出される総負荷トルクは、実切削負荷トルクと、回転
部の慣性に基づく負荷トルクとが合成されたものとな
る。また、引抜き時の加速過程で検出される総負荷トル
クは、回転部の慣性に基づく負荷トルクと、切削屑の詰
まり等による抵抗負荷トルクとが合成されたものとな
り、定速時に検出される総負荷トルクは、主軸14を含
む回転部の慣性に基づく負荷トルクを含まないものとな
る。さらに、引抜き時の減速過程で検出される総負荷ト
ルクは、回転部の慣性に基づく負荷トルクを含むものと
なる。
【0045】また、中央処理装置30は、制御プログラ
ムに従い、入力装置32での入力操作によって指定され
たタッピング加工時に、回転位相及び送り位置に対応し
て検出する総負荷トルクを、回転位相及び送り位置に対
応させた基準負荷トルクのデータとして保存する。さら
に、中央処理装置30は、制御プログラムに従い、各タ
ッピング加工時に、回転位相及び送り位置に対応して検
出する総負荷トルクの値から、保存している総負荷トル
クのデータの同じ回転位置及び送り位置における基準負
荷トルクの値を差し引いた値を、切削時にタッパTに加
わる同回転位相及び送り位置における実切削負荷トルク
の増大量として求める。
【0046】即ち、回転位相及び送り位置に対応する基
準負荷トルクのデータは、そのときのタッパTの摩耗程
度に応じてワークWから受ける切削負荷による実切削負
荷トルク、主軸14の加速時及び減速時に主軸14と共
に回転する回転部の慣性に基づく負荷トルク、軸受等の
摩擦部における摩擦抵抗、軸受等の循環部における粘性
抵抗等からなる。また、その後の各タッピング加工時に
検出する総負荷トルクは、タッパTの磨耗程度が進行し
たことによる実切削負荷トルクの増大分だけ増大したも
のである。従って、中央処理装置30は、各タッピング
加工時に検出する総負荷トルクから基準負荷トルクを差
し引くことにより、そのときのタッパTの磨耗程度の進
行分に応じた実切削負荷トルクの負荷トルク増大分を検
出する。
【0047】また、基準負荷トルクが、実際にタッピン
グ加工を行なっていない空運転時に検出した空運転時基
準負荷トルクである場合には、空運転時基準負荷トルク
は、図4に示すように、主軸14の加速時及び減速時に
主軸14と共に回転する回転部の慣性に基づく負荷トル
ク、軸受等の摩擦部における摩擦抵抗、及び、軸受等の
循環部における粘性抵抗等からなり、実切削負荷トルク
が含まれていないものとなる。従って、中央処理装置3
0は、総負荷トルクから空運転時基準負荷トルクを差し
引くことにより、図5に示すように、そのときのタッパ
Tの磨耗程度に応じた実切削負荷トルク自体を検出す
る。尚、総負荷トルクから基準負荷トルクを差し引いて
求められる実切削負荷トルクは、タッピング加工時に実
際にタッパTに加わる切削負荷トルクをキスラー動力計
等で測定した測定値と良く一致する。
【0048】タッピング加工時において検出する実切削
負荷トルクは、主軸14が定速制御されている状態での
切込み中には、ほぼ一定の大きさとなり、減速制御され
ている状態での切込み中には、主軸回転数が小さくなる
ほど次第に大きくなる特性を示す。従って、通常、実切
削負荷トルクは、タッピング終了位置の手前で最大値と
なる。さらに、実切削負荷トルクは、切削屑が詰まった
状態となったときには、急激に増大する特性を示す。
【0049】(タッピング加工)次に、中央処理装置3
0が行うタッピング加工の手順を、図1のフローチャー
トに従って説明する。即ち、このタッピング加工を行う
前に、タッピング加工条件で指定されているX軸及びY
軸座標上のワークWの所定位置が主軸14に対して位置
決めされており、また、タッピング開始位置に主軸14
が所定の回転位相で配置されている。また、基準負荷ト
ルクとして、空運転時基準負荷トルクが保存されている
ものとする。
【0050】中央処理装置30は、タッピング加工制御
として、先ず、ステップ10で、主軸回転用モータ15
及び主軸送り用モータ16を駆動制御して回転位相及び
送り位置を同期させた状態で主軸14を切込み制御す
る。このとき、中央処理装置30は、第1の第1の加速
度α1及び第1の減速度−α1で主軸14の回転速度を
加減速するように制御を行う。この第1の加速度α1及
び第1の減速度−α1は、タッピングを行うワークW及
びタッパTに対し最大主軸回転数と共に設定される値で
あって、例えば、磨耗程度が寿命でないタッパTが受け
る実切削負荷トルクがタッパTの許容範囲内となる値で
あって、かつ、できるだけ大きな値である。
【0051】詳述すると、タッパTの切込み時には、回
転加速度及び回転減速度が大きい程、また、タッパTの
磨耗程度が大きい程、切削屑が排出され難くなって加工
中のタップ穴内に停滞する。その結果、停滞している切
削屑の詰まりによって、タッパTに加わる実切削負荷ト
ルクが過度に増大する。そこで、切削屑が詰まっておら
ず、また、タッパTの磨耗程度が寿命でない状態では、
第1の加速度α1及び第1の減速度−α1で加減速制御
を行うことにより、切込み及び引抜きが短い時間で終了
するようにする。
【0052】中央処理装置30は、主軸14を切込み制
御している間に、ステップ11で、逐次検出する総切削
負荷トルクから空運転時基準負荷トルクを差し引いた実
切削負荷トルクを逐次演算する。そして、中央処理装置
30は、ステップ12で、演算した実切削負荷トルク
が、予め設定されている過負荷判定値T0を超える大き
さであるか否かを判断する。過負荷判定値T0は、第1
の加速度α1で主軸14を加減速制御したときに、タッ
パTが受ける実切削負荷トルクが許容範囲の上限領域の
大きさであることを判断するために予め設定されている
値である。
【0053】中央処理装置30は、ステップ12で実切
削負荷トルクが過負荷判定値T0以下であったときに
は、タッパTの磨耗程度が寿命ではなく、また、切削屑
が詰まってタッパTに許容範囲の上限領域の切削負荷が
加わっていないとして、ステップ13で、切込み制御を
タッピング終了位置まで行う。
【0054】中央処理装置30は、実切削負荷が過負荷
判定値T0以下のままでタッピング終了位置まで切込み
制御を行なった後は、ステップ14及び15で、第1の
加速度α1及び第1の減速度−α1で主軸14を加減速
制御して、タッピング終了位置からタッピング開始位置
まで引抜き制御する。
【0055】一方、中央処理装置30は、ステップ12
で、実切削負荷トルクが過負荷判定値T0を超える大き
さであったときには、タッパTの磨耗程度が寿命となっ
たか、または、切削屑が詰まってタッパTに許容範囲の
上限領域の切削負荷トルクが加わったかのいずれかであ
ると判断する。この場合、中央処理装置30は、ステッ
プ16で、前回行なったタッピング加工において、実切
削負荷トルクが過負荷判定値T0を超えたか否かを判断
する。
【0056】中央処理装置30は、ステップ16で前回
行なったタッピング加工において実切削負荷が過負荷判
定値T0を超えていなかったときには、ステップ17で
カウント値Cをカウントアップした後、ステップ18
で、第2の減速度−α2で主軸14を減速制御して、回
転位相と送り位置とを同期させたままで停止させる。第
2の減速度−α2は、第1の減速度−α1で減速したと
きにはタッパTが受ける実切削負荷トルクがタッパTの
許容範囲を超える大きさとなる場合であっても、第2の
減速度−α2で減速したときには実切削負荷トルクが許
容範囲となるように設定されている。
【0057】ステップ18において、中央処理装置30
は、主軸14が最大主軸回転数で制御されているときに
は、図6に示すように、その回転数及び送り速度から第
2の減速度−α2で減速制御を行ない、また、主軸14
の制御状態が第1の減速度−α1による減速状態である
ときには、図7に示すように、第1の減速度−α1を第
2の減速度−α2に切り換えて減速制御を行う。このこ
とにより、中央処理装置30は、実切削負荷が過負荷判
定値T0を超えた原因が、切削屑が詰まったことによる
ものと判断した場合には、第2の減速度−α2で減速制
御して停止させることにより、切込み中のタッパTに加
わる実切削負荷トルクがそれ以上増大しないようにす
る。
【0058】その後、中央処理装置30は、ステップ1
9及び20で、図6,7に示すように、第2の加速度α
2及び第2の減速度−α2で主軸14を加減速制御し、
停止したZ軸座標上の位置からタッピング開始位置まで
主軸14を引抜き制御する。そして、中央処理装置30
は、X軸及びY軸座標上での同じ位置でタッピング加工
を再び行う。中央処理装置30は、切込み中に停止させ
たタッパTを第2の加速度α2及び第2の減速度−α2
で加減速制御することにより、引抜き中のタッパTに加
わる実切削負荷トルクがそれ以上増大しないようにす
る。
【0059】従って、中央処理装置30は、検出した実
切削負荷トルクに基づき、タッパTに切削屑の詰まりに
よる過負荷が加わったと判断したときには、タッピング
加工を途中で中断し、主軸14を一旦タッピング開始位
置まで戻してから再びタッピング加工を行う。
【0060】一方、中央処理装置30は、ステップ16
で前回行なったタッピング加工において実切削負荷トル
クが過負荷判定値T0を超えていたときには、ステップ
21で、カウント値Cが予め設定されている寿命判定値
CLを超えているか否かを判断する。寿命判定値CL
は、今回のタッピング加工時に実切削負荷トルクが過負
荷判定値T0を超えた原因が、切削屑の詰まりによる切
削負荷の上昇でなく、タッパTの磨耗程度が寿命となっ
たことによるものであると判断するために設定されてい
る。
【0061】中央処理装置30は、ステップ21でカウ
ント値Cが寿命判定値CL以下であったときには、タッ
パTの磨耗程度が寿命でないと判定し、ステップ17に
進む。そして、前述の場合と同様にして、切り込み工程
を中断するとともに、ワークWの同一箇所に再度タッピ
ング加工を行う。
【0062】従って、中央処理装置30は、タッパTに
加わった過負荷が、確実にタッパTの磨耗程度が寿命と
なったことによるものであると判断しない内は、切削屑
の詰まりによるものであるとみなしてタッピング加工を
中断し、主軸14をタッピング開始位置まで戻してから
再びタッピング加工を行う。
【0063】また、中央処理装置30は、ステップ21
でカウント値Cが寿命判定値CLを超えた場合には、タ
ッパTの磨耗程度が寿命であると判断して、ステップ2
2で、第3の減速度−α3で主軸14を減速制御して、
回転位相と送り位置とを同期させたままで停止させる。
ステップ22において、中央処理装置30は、主軸14
の制御状態が定速制御状態であるときには、図8に示す
ように、その回転数及び送り速度から第3の減速度−α
3で減速制御を行ない、また、主軸14の制御状態が第
1の減速度−α1による減速状態であるときには、図9
に示すように、第1の減速度−α1を第3の減速度−α
3に切り換えて減速制御を行う。
【0064】切込み中にタッパTの磨耗程度が寿命とな
った場合、そのまま切込みを継続すると、実切削負荷ト
ルクがさらに増大してタッパTの折損に至る可能性があ
る。中央処理装置30は、第1の減速度−α1よりも大
きな第3の減速度−α3で主軸14を減速制御して停止
させることによって切込みを早く終了させ、タッパTに
できるだけ大きな実切削負荷トルクが加わらないように
する。
【0065】その後、中央処理装置30は、ステップ2
3及び24で、図8,9に示すように、第2の加速度α
2及び第2の減速度−α2で主軸14を加減速制御し、
停止したZ軸上の位置からタッピング位置まで主軸14
を引抜き制御する。そして、中央処理装置30は、ステ
ップ25で表示装置33を制御してタッパTの磨耗状態
が寿命となったことの表示を行う。
【0066】従って、中央処理装置30は、検出した実
切削負荷トルクに基づき、タッパTの磨耗程度が寿命で
あることによる過負荷が加わったと判断したときには、
タッピング加工を途中で中止し、主軸14を引抜き制御
した後、そのままタッピング加工を終了する。
【0067】次に、以上のように構成されたCNCタッ
ピングマシンの作用について説明する。基準負荷値のデ
ータを作成して保存するときには、空運転でタッピング
加工を行い、そのときに検出される総負荷のデータを、
入力装置32での入力操作によってコンピュータ23に
基準負荷として保存させる。
【0068】タッピング加工においては、中央処理装置
30は、タッパTの切込み制御時に、回転位置及び送り
位置に対応して逐次検出される総負荷トルクから同位置
における空運転時基準負荷トルクを差し引いた実切削負
荷トルクを逐次演算する。従って、主軸14等の慣性が
負荷として加わる加減速時にも実切削負荷トルクが検出
される。また、切込み時における主軸14の減速過程で
最大となる実切削負荷トルクの最大値が検出される。
【0069】切込み制御時に検出された実切削負荷トル
クが、予め設定されている過負荷判定値T0を超えたと
きには、中央処理装置30は、切削屑が詰まって実切削
負荷トルクが一時的に増大した状態であるか、または、
タッパTの磨耗程度が寿命となったと判断する。そし
て、主軸14を回転位相と送り位置とを同期させたまま
の状態で減速制御して停止させ、切込み制御を中止す
る。従って、切込み制御時に、切削屑が詰まって実切削
負荷トルクが一時的に増大したとき、または、タッパT
の磨耗程度が寿命となったときには、切込み中のタップ
穴が損傷しない状態でタッパTの切込みが中止される。
【0070】切込み制御時に検出された実切削負荷トル
クが、予め設定されている過負荷判定値T0を超えたと
き、中央処理装置30は、タッピング加工毎の切込み時
に、実切削負荷トルクが過負荷判定値T0を超えた回数
が所定の寿命判定値CL以下である場合には、各タッピ
ング加工時に切削屑が詰まって実切削負荷トルクが一時
的に増大したと一旦判断する。そして、タッピング終了
位置の手前で停止させた主軸14を、第2の加速度α2
及び第2の減速度−α2で加減速制御してその停止位置
からタッピング開始位置まで引抜き制御する。従って、
切込み制御時に、切削屑が詰まって実切削負荷トルクが
一時的に増大したときには、引抜き時にタッパTに加わ
る実切削負荷トルクが抑制される。
【0071】さらに、切込み時に実切削負荷トルクが過
負荷判定値T0を超えた回数が寿命判定値CL以下であ
る場合、中央処理装置30は、タッピング終了位置の手
前で主軸14を停止させた後、タッピング開始位置まで
引抜き制御した主軸14を、再び第1の加速度α1及び
第1の減速度−α1で加減速制御してタッピング開始位
置からタッピング終了位置に向かって切込み制御する。
従って、切込み制御時に、切削屑が詰まっただけではタ
ッピング加工が中止されず、同じ位置におけるタッピン
グ加工が自動で繰り返し行われる。
【0072】また、切込み制御時に検出された実切削負
荷トルクが、予め設定されている過負荷判定値T0を超
えたとき、タッピング加工毎の切込み時に、実切削負荷
トルクが過負荷判定値T0を超えた回数が寿命判定値C
Lを超えた場合、中央処理装置30は、タッパTの磨耗
状態が寿命であると判断する。そして、主軸14を第1
の減速度−α1よりも大きな第3の減速度−α3で減速
制御して停止させる。従って、切込み時にタッパTの磨
耗程度が寿命であると判断された場合、減速中にタッパ
Tに加わる実切削負荷トルクが軽減される。
【0073】さらに、タッピング加工毎の切込み時に、
実切削負荷トルクが過負荷判定値T0を超えた回数が寿
命判定値CLを超えた場合、減速制御して停止させた主
軸14を、第2の加速度α2及び第2の減速度−α2で
加減速制御してタッピング開始位置まで引抜き制御した
後、タッピング加工を中止する。従って、切込み制御時
に、タッパTの磨耗程度が寿命となったときには、引抜
き時にタッパTが折損しないように加わる実切削負荷ト
ルクが抑制される。
【0074】以上詳述した本実施の形態によれば、以下
に記載の各効果を得ることができる。 (1) タッピング加工時に検出される総負荷トルク
と、タッパTに加わる実切削負荷トルクの総負荷トルク
における負荷トルク増大量を求めるために設定された基
準負荷トルクとから、タッパTに加わる実切削負荷トル
クを求めるようにした。
【0075】従って、主軸14等の慣性が負荷トルクと
して加わる加減速中にも実切削負荷トルクを検出するこ
とができ、加減速中のタッパTに過負荷が加わっている
状態を検出することができる。
【0076】(2) 主軸14に加わる実切削負荷トル
クが最大となる切込み時の減速中の実切削負荷トルクを
検出することができるので、実切削負荷トルクの最大値
を検出することができる。従って、タッパTの磨耗程度
が寿命であること、または、切削屑が詰まった状態であ
ることを正確に判断できる。
【0077】また、主軸14が一定回転数及び送り速度
で駆動制御される時間が極少ないような高速タッピング
加工においても、タッパTに加わる実切削負荷トルクを
検出することができる。
【0078】(3) 空運転でタッピング加工を行なっ
たときに検出される空運転時基準負荷トルクと総負荷ト
ルクとから、負荷トルク増大量でなく実切削負荷トルク
を直接求めるようにした。従って、実切削負荷トルクを
判定するので、タッパTの磨耗程度が寿命であること、
または、切削屑の詰まった状態を容易に判断することが
できる。
【0079】(4) 検出する実切削負荷トルクに対し
て予め設定された過負荷判定値T0から、コンピュータ
23が、切削屑が詰まった状態、及び、タッパTの磨耗
程度が寿命であることを判断する。そして、主軸14を
減速制御して、主軸14の回転位相と送り位置とを同期
させたままで切込み制御を中止するようにした。
【0080】従って、切込み中のタッパTの磨耗程度が
寿命となったり、または、切削屑が詰まった状態となっ
たことによってタッパTに加わる実切削負荷トルクが過
大になると、タッパTに加わる実切削負荷トルクが抑制
された状態で切込みが中止される。その結果、切込み中
に、タッパTの磨耗程度が寿命となったり、または、切
削屑が詰まった状態となったときに、タッパTが折損し
たりタップ穴が損傷しないようにすることができる。
【0081】(5) 切込み時に切削屑が詰まった状態
であることをコンピュータ23が実切削負荷トルクに基
づいて判断し、第1の減速度−α1よりも小さい第2の
減速度−α2で減速制御を行なって停止させ、切込みを
中止するようにした。
【0082】従って、切込み中に切削屑が詰まった状態
となったときに、切削屑の詰まりが緩和される状態で切
込みが中止されるので、切込み時に切削屑が詰まっても
タッパTの折損さらにタップ穴の損傷を防止することが
できる。
【0083】(6) 切込み時の減速制御の途中であっ
ても、検出した実切削負荷トルクが過負荷判定値T0を
超えたときには、コンピュータ23は、通常の第1の減
速度−α1よりも小さい第2の減速度−α2で主軸14
を減速制御するようにした。
【0084】従って、実切削負荷トルクが最大となる切
込み時の減速過程において切削屑が詰まり難いように切
込みが中止されるので、切込み時における切削屑の詰ま
りによるタッパTの折損さらにタップ穴の損傷をより一
層確実に防止することができる。
【0085】(7) 切削屑が詰まって実切削負荷トル
クが過大になった状態であることを、コンピュータ23
が実切削負荷トルクに基づいて判断し、タッピング加工
を中止したタップ穴に対するタッピング加工を繰り返し
行うようにした。
【0086】従って、切削屑が詰まっただけではタッピ
ング加工が中止されず繰り返しタッピング加工が行われ
るので、切込み時に切削屑が一旦詰まってもタッパTを
折損することなくタップ穴を自動等で確実に加工形成す
ることができる。
【0087】(8) 切込み時にタッパTの磨耗程度が
寿命であると判断されたときには、通常より大きな第3
の減速度−α3で主軸14を減速制御して停止させるよ
うにした。従って、切込み中にタッパTの磨耗程度が寿
命となっても、タッパTに加わる実切削負荷トルクが軽
減される状態で切込みが中止されるので、切込み時にタ
ッパTが寿命となってもタッパTの折損さらにタップ穴
の損傷を防止することができる。
【0088】(9) 実切削負荷トルクに基づいて切込
みを中止した後、コンピュータ23は、通常より小さい
第2の加速度α2及び第2の減速度−α2で主軸14を
加減速制御してタッパTを引き抜くようにした。
【0089】従って、タッパTの磨耗程度が寿命となる
か、切削屑が詰まった状態となって切込みが中止された
後、引抜き時にタッパTに加わる実切削負荷が軽減され
るので、タッパTの折損及びタップ穴の損傷を招くこと
なくタッパTを引き抜くことができる。
【0090】(10) 実切削負荷トルクが過負荷判定
値T0を超えたとき、切削屑が詰まった状態であると判
断して切込み制御を中止し、タッパTがタップ穴の外側
に配置されるまで主軸14を引抜き制御した後、タッピ
ング加工中のタップ穴に対するタッピング加工を繰り返
し行う。そして、同じタップ穴に対するタッピング加工
毎に実切削負荷トルクが過負荷判定値T0を連続して超
える回数が予め設定した寿命判定値CLを超えたときに
は、タッパTの磨耗程度が寿命であると改めて判断し、
主軸14の切込み制御を中止し、主軸14を引き抜いた
後にタッピング加工を停止するようにした。
【0091】従って、切削屑が詰まったときには、タッ
パTの折損さらにタップ穴の損傷を招くことなく加工中
のタップ穴に対するタッピング加工を自動で継続するこ
とができ、また、切込み中にタッパTの磨耗程度が寿命
となったときには、加工中のタップ穴からタッパTを引
き抜いてタッピング加工を終了することができる。
【0092】(第2の実施の形態)次に、本発明を具体
化した第2の実施の形態を図11に従って説明する。
尚、本実施の形態は、前記第1の実施の形態におけるタ
ッピング加工の制御内容を変更したことのみが第1の実
施の形態と異なる。従って、第1の実施の形態と同じ構
成については、符号を同じにしてその説明を省略し、タ
ッピング加工の制御内容のみについて詳述する。
【0093】中央処理装置30が行うタッピング加工の
手順を、図11のフローチャートに従って説明する。
尚、本実施の形態では、基準負荷トルクとして、主軸1
4と共に回転する回転部全体の慣性質量と、主軸14の
回転数とから求めた計算基準負荷トルク値が予め保存さ
れている。
【0094】中央処理装置30は、タッピング加工制御
として、先ずステップ30で、主軸回転用モータ15及
び主軸送り用モータ16を駆動制御して回転位相及び送
り位置を同期させた状態で主軸14を切込み制御する。
このとき、中央処理装置30は、第1の加速度α1及び
第1の減速度−α1で主軸14を加減速制御する。
【0095】中央処理装置30は、主軸14を切込み制
御している間に、ステップ31で、逐次検出する総切削
負荷トルクから計算基準負荷トルクを差し引いた実切削
負荷トルクを逐次演算する。そして、中央処理装置30
は、ステップ32で、演算した実切削負荷トルクが、予
め設定されている過負荷判定値T0を超える大きさであ
るか否かを判断する。本実施の形態では、過負荷判定値
T0は、切込み時にタッパTに加わる実切削負荷トルク
からタッパTの磨耗程度が寿命であるか否かを判定する
ことができる値に設定されている。
【0096】中央処理装置30は、ステップ32で実切
削負荷トルクが過負荷判定値T0以下であったときに
は、タッパTの磨耗程度が寿命ではないと判断し、ステ
ップ33で切込み制御をタッピング終了位置まで行う。
【0097】中央処理装置30は、実切削負荷トルクが
過負荷判定値T0以下のままでタッピング終了位置まで
切込み制御を行なった後は、ステップ34及び35で、
第1の加速度α1及び第1の減速度−α1で主軸14を
加減速制御して、タッピング終了位置からタッピング開
始位置まで引抜き制御する。
【0098】一方、中央処理装置30は、ステップ32
で実切削負荷トルクが過負荷判定値T0を超えたときに
は、タッパTの磨耗程度が寿命まで進行したと判断し、
ステップ36で第3の加速度−α3で減速制御して、回
転位相と送り位置とを同期させたままで主軸14を停止
させる。
【0099】そして、中央処理装置30は、ステップ3
7及び38で、第2の加速度α2及び第2の減速度−α
2で主軸14を加減速制御し、停止したZ軸座標上の位
置からタッピング開始位置まで主軸14を引抜き制御す
る。そして、中央処理装置30は、ステップ39で表示
装置33を制御して、タッパTの磨耗程度が寿命となっ
たことの表示を行う。
【0100】従って、中央処理装置30は、検出した実
切削負荷トルクに基づき、タッパTの磨耗程度が寿命で
あることによる負荷トルクが加わったと判断したときに
は、タッピング加工を中止して主軸14を引抜き制御し
た後、そのままタッピング加工を終了する。
【0101】以上のように構成されたCNCタッピング
マシンの作用について説明する。計算基準負荷トルクの
データは、予めコンピュータに記憶させる。中央処理装
置30は、切込み制御時に、検出された総負荷トルクと
計算基準負荷トルクとから実切削負荷トルクを求める。
中央処理装置30は、逐次演算する実切削負荷トルクが
過負荷判定値T0を超えたときには、タッパTの磨耗程
度が寿命となったと判断する。そして、主軸14をより
大きな第3の加速度−α3で減速制御して停止させ、切
込み制御を中止する。従って、切込み時に、タッパTの
磨耗程度が寿命となったときには、タッパTに加わる負
荷トルクが抑制された状態で切込みが中止される。
【0102】以上詳述した本実施の形態のCNCタッピ
ングマシンによれば、前記第1の実施の形態における
(1),(2),(8),(9)に記載の各効果と、以
下に記載する効果を得ることができる。
【0103】(11) 少なくとも主軸14を含む回転
部の慣性質量と、主軸14の回転数とから実切削負荷ト
ルクを含まない計算基準負荷トルクを計算する。そし
て、この計算基準負荷トルクと、逐次検出する総負荷ト
ルクとから実切削負荷トルクを直接求めるようにした。
従って、実切削負荷トルクを直接判定するので、タッパ
Tの磨耗程度が寿命であること、または、切削屑が詰ま
った状態であることを容易に判断することができる。
【0104】(12) 検出する実切削負荷トルクに対
して予め設定された過負荷判定値T0から、コンピュー
タ23が、タッパTの磨耗程度が寿命であるか否か判断
する。そして、寿命であったときには、主軸14をより
大きな第3の減速度−α3で減速制御して、回転位相と
送り位置とを同期させたままで切込み制御を中止するよ
うにした。従って、タッパTの切込み中にタッパTの磨
耗程度が寿命となると、タッパTに加わる実切削負荷ト
ルクが抑制された状態で切込みが中止される。その結
果、切込み中のタッパTの磨耗程度が寿命となっても、
タッパTの折損またはタップ穴の損傷を招くことなくタ
ッピング加工を中止することができる。
【0105】以下、本発明を具体化した上記実施の形態
以外の実施の形態を別例として列挙する。 ・ 第1の実施の形態で、空運転時基準負荷トルクを、
切込み工程における減速過程を含む加工過程にのみ設定
し、コンピュータ23が、この加工工程での実切削負荷
トルクを検出するようにしてもよい。この場合でも、タ
ッパに加わる実切削負荷トルクが極大となる切込み工程
の減速過程における実切削負荷トルクを検出することが
できるので、タッパTの磨耗程度が寿命であるか否かを
正確に判断することができる。
【0106】同様に、第2の実施の形態で、計算基準負
荷トルクを、切込み工程における減速過程を含む加工過
程にのみ設定し、この加工工程での実切削負荷トルクを
検出するようにしてもよい。この場合でも同じ効果があ
る。
【0107】・ 基準負荷として、空運転時基準負荷ト
ルクまたは計算基準負荷トルクを用いる代わりに、実切
削負荷トルクを検出するときに使用するタッパTと同じ
仕様(タップサイズ、ねじピッチ量等)のタッパTを用
いてタッピング加工を実際に行なったときに検出する総
負荷トルクを基準負荷(基準総負荷)トルクとしてもよ
い。そして、実切削負荷トルクを検出するときに検出す
る総負荷トルクから基準総負荷トルクを差し引いて、実
切削負荷トルクの負荷トルク増大量を求める。即ち、負
荷トルク増大量は、タッパTの磨耗程度の差に対応した
実切削負荷トルクの増大量である。この負荷トルク増大
量から、予め設定した過負荷判定値を用いて、タッパT
の磨耗程度が寿命であるか否か、または、切削屑が詰ま
っている状態であるか否かを判断するようにしてもよ
い。
【0108】・ 第1及び第2の実施の形態では、主軸
14の加速及び減速が一定の加速度(α1)及び減速度
(−α1)で行われるようにしたが、このような加速ま
たは減速に限らず、その他例えば、一次関数的または二
次関数的に増大または減少する加速度及び減速度で加速
及び減速が行なわれるようにしてもよい。この場合に
は、加速過程または減速過程における平均加速度または
平均減速度を、より小さく、または、より大きくすれば
よい。即ち、切込み中に、タッパTの磨耗程度が寿命で
あるか、または、切削屑が詰まった状態であると判断さ
れたときには、減速過程をより小さな平均減速度で行な
い、停止後の反転引抜き時には、加速過程及び減速過程
をより大きな平均加速度及び平均減速度で行う。その結
果、切込み中のタッパTに加わる実切削負荷トルクが過
大になったときには、タッパTに加わる実切削負荷トル
クの増大を軽減して停止させ、停止後の反転引抜き時に
も、タッパTに加わる実切削負荷トルクを軽減すること
ができる。
【0109】・ ワークテーブルがX軸及びY軸方向に
移動しないように固定され、主軸14がX軸、Y軸及び
Z軸方向に位置決め制御されるタッピングマシンや、ワ
ークテーブルがX軸、Y軸及びZ軸方向に位置決め制御
されるタッピングマシンに実施してもよい。
【0110】・ ソフトワイヤードNCであるCNCタ
ッピングマシンに限らず、ハードワイヤードNCマシン
に実施してもよい。 ・ 単能NCマシンであるるタッピングマシンに限ら
ず、同期タッピング機能を備えたNCマシニングセンタ
ー(複合NCマシン)等のタッピングマシンに実施して
もよい。
【0111】以下、特許請求の範囲に記載した各発明の
外に前述した実施の形態または各別例から把握される技
術的思想をその効果とともに記載する。 (1) 請求項1に記載の発明において、前記基準負荷
は、切込み工程における減速過程を含む加工過程にのみ
設定され、前記実切削負荷検出手段は、該加工過程にお
ける実切削負荷または負荷増大量を検出する。このよう
な構成によっても、実切削負荷が最大となる切込み工程
の減速過程においてタッパに加わる実切削負荷を検出す
ることができる。
【0112】(2) 請求項6に記載の発明において、
前記主軸制御手段は、切削屑が詰まっている状態である
と判断されたときには、前記主軸を減速制御している途
中であっても、予め設定されている減速度よりも小さい
減速度で前記主軸を減速制御する。このような構成によ
れば、実切削負荷が最大となる切込み時の減速過程にお
いても、切削屑が詰まったときにタッパに加わる切削負
荷を抑制した状態で切込みを中止することができ、切込
み時のタッパの折損さらにタップ穴の損傷をより一層確
実に防止することができる。
【0113】(3) 請求項5に記載の発明において、
前記過負荷検出手段は、前記実切削負荷が前記過負荷判
定値を超えたときに、切削屑が詰まった状態であると判
断し、前記主軸制御手段は、切削屑が詰まった状態であ
ると判断されると、前記主軸の切込み制御を中止し、前
記タッパがタップ穴の外側に配置されるまで該主軸を引
抜き制御した後、タッピング加工中のタップ穴に対する
タッピング加工を繰り返し行うとともに、タッピング加
工毎に切削屑が詰まった状態であると連続して判断され
た回数が、予め設定された回数(寿命判定値CL)を超
えたときには、前記主軸の切込み制御を中止し、前記主
軸を引抜き制御した後に、タッピング加工を中止する。
このような構成によれば、切削屑が詰まったときには、
タッパの折損またはタップ穴の損傷を招くことなく加工
中のタップ穴に対するタッピング加工を自動で継続する
ことができ、また、切込み中にタッパの磨耗程度が寿命
となったときには、加工中のタップ穴からタッパを引き
抜いてタッピング加工を終了することができる。
【0114】(4) 請求項8に記載の発明において、
前記主軸制御手段は、前記タッパの磨耗程度が寿命であ
ると判断されたときには、前記主軸を減速制御している
途中であっても、予め設定されている減速度よりも大き
い減速度で前記主軸を減速制御する。このような構成に
よれば、実切削負荷が最大となる切込み時の減速過程に
おいても、タッパの磨耗程度が寿命となったときにタッ
パに加わる実切削負荷を軽減した状態で切込みを中止す
ることができ、切込み時のタッパの折損さらにタップ穴
の損傷を一層確実に防止することができる。
【0115】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
9に記載の発明によれば、タッパを駆動する主軸の加減
速中にもタッパに加わる実切削負荷の増大量を検出する
ことができる。
【0116】加えて請求項2及び請求項3に記載の発明
によれば、実切削負荷が直接求められるので、タッパの
磨耗程度及び切削屑の詰まり状態を容易に判断すること
ができる。
【0117】加えて請求項4に記載の発明によれば、空
運転または負荷の計算を行うことなく実切削負荷の増大
量を検出することができる。加えて請求項5に記載の発
明によれば、切込み中のタッパに加わる実切削負荷が過
大になったときに、タッパの折損またはタップ穴の損傷
を招くことなくタッピング加工を中止することができ
る。
【0118】加えて請求項6に記載の発明によれば、切
込み中に切削屑が詰まっても、タッパの折損またはタッ
プ穴の損傷を確実に防止することができる。加えて請求
項7に記載の発明によれば、切込み中に切削屑が詰まっ
たときには、タッパの折損またはタップ穴の損傷を招く
ことなく、加工中のタップ穴に対するタッピングを自動
で継続することができる。
【0119】加えて請求項8に記載の発明によれば、切
込み中にタッパの磨耗程度が寿命となったときには、タ
ッパの折損またはタップ穴の損傷を招くことなく、加工
中のタップ穴からタッパを引き抜くことができる。
【0120】加えて請求項9に記載の発明によれば、切
込み中にタッパの磨耗程度が寿命となったり、切削屑が
詰まったときに、タッパの折損及びタップ穴の損傷を招
くことなくタッパを引き抜いてタッピング加工を中止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態におけるタッピング加工の
制御手順を示すフローチャート。
【図2】 CNCタッピングマシンの概略構成図。
【図3】 タッピング加工時における総負荷トルク及び
主軸回転数の時間特性を示すグラフ。
【図4】 空運転時における基準負荷トルク及び主軸回
転数の時間特性を示すグラフ。
【図5】 実切削負荷トルク及び主軸回転数の時間特性
を示すグラフ。
【図6】 切込み中止時における主軸回転数の制御状態
と実切削負荷トルクの時間特性を示すグラフ。
【図7】 切込み中止時における主軸回転数の制御状態
と実切削負荷トルクの時間特性を示すグラフ。
【図8】 切込み中止時における主軸回転数の制御状態
と実切削負荷トルクの時間特性を示すグラフ。
【図9】 切込み中止時における主軸回転数の制御状態
と実切削負荷トルクの時間特性を示すグラフ。
【図10】 従来のタッピング加工時における実切削負
荷トルク及び主軸回転数の時間特性を示すグラフ。
【図11】 第2の実施の形態におけるタッピング加工
時の制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…タッピング装置としてのCNCタッピングマシ
ン、14…主軸、15…主軸回転用モータ、23…実切
削負荷検出手段を構成する過負荷判定手段及び主軸制御
手段としてのコンピュータ、25…実切削負荷検出手段
を構成する負荷検出装置、T…タッパ、T0…過負荷判
定値、α1…第1の回転加速度、−α1…第1の回転減
速度、α2…第2の回転加速度、−α2…第2の回転減
速度、−α3…第3の回転減速度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000205454 大阪機工株式会社 大阪府大阪市北区豊崎3丁目21番9号 (71)出願人 000006013 三菱電機株式会社 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 (71)出願人 000114787 ヤマザキマザック株式会社 愛知県丹羽郡大口町大字小口字乗船1番地 (72)発明者 垣野 義昭 京都府京都市左京区岩倉花園町256−5 (72)発明者 藤嶋 誠 奈良県大和郡山市北郡山町106番地 株式 会社森精機製作所内 (72)発明者 大坪 寿 岡山県浅口郡里庄町大字浜中1160番地 安 田工業 株式会社内 (72)発明者 中川 秀夫 兵庫県伊丹市北伊丹8丁目10番地 大阪機 工 株式会社内 (72)発明者 竹下 虎男 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機 株式会社内 (72)発明者 山岡 義典 愛知県丹羽郡大口町大字小口字乗船1番地 ヤマザキマザック 株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タッパが固定された主軸の送り位置と回
    転位相とを同期させて制御するとともに、主軸回転用モ
    ータに加わる負荷を検出するタッピング装置において、 タッピング加工時に検出される総負荷と、予め設定され
    た基準負荷とから、前記タッパに加わっている実切削負
    荷または、該実切削負荷の負荷増大量を検出する実切削
    負荷検出手段を備えたタッピング装置。
  2. 【請求項2】 前記基準負荷は、空運転でタッピング加
    工を行なったときに検出される空運転時基準負荷であっ
    て、前記実切削負荷検出手段は、前記総負荷と前記空運
    転時基準負荷との差分を前記実切削負荷とする請求項1
    に記載のタッピング装置。
  3. 【請求項3】 前記基準負荷は、少なくとも前記主軸を
    含む回転部の総慣性質量と、該主軸の回転数とから求め
    た計算基準負荷であって、前記実切削負荷検出手段は、
    前記総負荷と前記計算基準負荷との差分を前記実切削負
    荷とする請求項1に記載のタッピング装置。
  4. 【請求項4】 前記基準負荷は、前記タッパで実際にタ
    ッピング加工を行なったときに検出される基準総負荷で
    あって、前記実切削負荷検出手段は、前記総負荷と前記
    基準総負荷との差分を前記負荷増大量とする請求項1に
    記載のタッピング装置。
  5. 【請求項5】 前記実切削負荷または、前記負荷増大量
    のいずれか一方から、予め設定された過負荷判定値を用
    いて、前記タッパの磨耗程度が寿命であるか否か、また
    は、切削屑が詰まっている状態であるか否かを判断する
    過負荷判定手段と、 前記主軸を加減速制御して、前記タッパの切込み及び引
    抜きを行うとともに、前記タッパの磨耗程度が寿命であ
    るか、または、切削屑が詰まっている状態であると判断
    されたときに、前記主軸を減速制御し該主軸の回転位相
    と送り位置とを同期させたままの状態で前記タッパの切
    込みを中止する主軸制御手段とを備えている請求項1乃
    至請求項4のいずれか一項に記載のタッピング装置。
  6. 【請求項6】 前記主軸制御手段は、切削屑が詰まって
    いる状態であると判断された場合、前記主軸をより小さ
    な減速度で減速制御して前記タッパの切込みを中止する
    請求項5に記載のタッピング装置。
  7. 【請求項7】 前記主軸制御手段は、切削屑が詰まって
    いる状態であると判断された場合、前記主軸を減速制御
    して前記タッパの切込みを中止し、該主軸を加減速制御
    して該タッパを加工中のタップ穴から一旦引き抜いた
    後、そのタップ穴に対するタッピング加工を繰り返して
    行う請求項5に記載のタッピング装置。
  8. 【請求項8】 前記主軸制御手段は、前記タッパの磨耗
    程度が寿命であると判断されたときには、前記主軸をよ
    り大きな減速度で減速制御して前記タッパの切込みを中
    止する請求項5に記載のタッピング装置。
  9. 【請求項9】 前記主軸制御手段は、前記主軸を減速制
    御して前記切込みを中止した後、前記主軸をより小さな
    加減速度で加減速制御して前記タッパを引き抜く請求項
    5乃至請求項8のいずれか一項に記載のタッピング装
    置。
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