JP2001286874A - 簡便かつ確実で無駄のない浴槽水の脱塩素方法と脱塩素剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 浴槽水中に含まれる有効塩素（遊離残留塩
素）を簡便かつ効率よく長期間にわたり除去することが
できる浴槽用の脱塩素装置や浴槽における脱塩素方法を
提供すること。 【解決手段】 フロートなしスイッチ等の検知手段によ
り、浴槽内に給水された水道水等の有効塩素含有水を、
浴槽水導入部を介して脱塩素薬剤収納部内に導入するこ
とにより、該脱塩素薬剤収納部内の脱塩素薬剤と接触さ
せ、その溶解液を薬剤溶解液排出部を介して薬剤浴槽中
に還流させ、かかる還流を所定時間継続した後停止する
ことにより、脱塩素された浴槽水とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、塩素消毒がなされ
た水道水等の有効塩素含有水を用いる浴槽用水から有害
な塩素分を除く脱塩素方法や脱塩素装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従前より、水道水用の浄水器が数多く上
市されており、その脱塩素方法は活性炭による吸着が多
かった。最近では、通水抵抗を下げるため、粉末活性炭
に代えて粒状活性炭を用いた製品や、炭素繊維を使用し
たものも多くなってきている。その他、浴槽用の脱塩素
剤として木炭や竹炭、及びそれらの加工製品も上市され
ている。

【０００３】また、浴槽用等の脱塩素用の薬剤に関する
ものとしては、Ｌ−アスコルビン酸とクエン酸第二鉄と
からなる水質改良剤（特開平８−６６６９０号公報）、
アスコルビン酸と生石灰等の硬化剤とを混合して固形化
してなる徐溶性残留塩素除去剤（特開平１１−１７９３
７５号公報）、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、
生薬等からなる浴用剤組成物（特開平８−１９８７４３
号公報）、Ｌ−アスコルビン酸及び還元剤に安定で酸化
剤には不安定な色素を含む水溶液からなる塩素系漂白・
除菌剤の無害化処理剤（特開平１１−５７６８６号公
報）、水溶液がアルカリ性の還元剤及び還元剤に安定で
酸化剤には不安定な色素を含む塩素系漂白・除菌剤の無
害化処理剤（特開平１０−２３５３３５号公報）、塩素
系殺菌剤と亜硫酸塩、アスコルビン酸、チオ硫酸塩等の
脱塩素用還元剤とを含有する風呂水浄化剤（特開平９−
３８６８６号公報）等が知られている。

【０００４】また最近、シャワーヘッドなどに亜硫酸
塩、チオ硫酸塩、Ｌ−アスコルビン酸(ビタミンＣ)等の
脱塩素用還元剤を充填したカートリッジを設置し、脱塩
素を図る商品が上市されてきている。そして、このシャ
ワーヘッドを通し、温水を浴槽にためる方法が一部で行
われている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、活性炭
及び炭素繊維を使用した浄水器では飲用及び料理用に少
量づつ使用する分には適しているが、最近の様に一般家
庭でも満水張りで３００Ｌを越える大型の浴槽が多くな
ってくると、この浄水器を通して浴槽に水を張り込むた
めには実質上かなり大型の装置を必要とする。

【０００６】また、活性炭や炭素繊維の場合、脱塩素作
用が物理吸着であり、水温によって吸着能力が左右され
る。浄水器のように水道水のみを通じる場合には実質上
問題とならないが、シャワーヘッドのように、場合によ
ってはかなり高温のお湯を通すときには効率が低下す
る。また木炭や竹炭、活性炭を用いた製品を浴槽内に沈
めて使う場合、水道水を張り込んだ直後のように水温が
低い状態では塩素が効率よく吸着されるが、例えば沸か
し過ぎたような場合などは活性炭等に吸着された塩素分
が再び放出されるおそれがある。

【０００７】さらには、活性炭や木炭、炭素繊維等を用
いた場合、脱塩素能力が限界に達したかどうかが目視で
はわからず、浴槽水からのにおいで初めてわかる場合も
多く、この点でも問題がある。

【０００８】Ｌ−アスコルビン酸や亜硫酸カルシウムを
利用したシャワーヘッドを利用して浴槽に水を張り込む
場合は、一般のシャワーヘッドに比べ流量が制限される
ため、ガランから水を張り込んで沸かしたり、ガランか
らお湯を張り込む場合に比べ手間と時間を要する欠点が
あった。また、脱塩素成分入りの入浴剤や浴槽内に設置
して使用する脱塩素薬剤成形体では、入浴一回ごとに人
間の手により薬剤を供給する必要があり、特に浴槽内に
設置する脱塩素薬剤成形体では一定時間で引き上げなけ
れば脱塩素成分が無駄になるのみならず、過剰溶出した
脱塩素成分による害が心配される欠点を有していた。

【０００９】上水道水は塩素消毒されており、かかる上
水道水を浴槽水として用いた場合、湯沸かしだけでは殺
菌消毒のため添加された塩素は有効塩素として残留し、
そのため、不快な塩素臭を発生したり、毛髪を痛めた
り、皮膚を刺激したりする。特にアトピー症状を有する
人にとって、その悩みは深刻である。本発明の課題は、
上記従来の脱塩素方法における欠点がなく、浴槽水中に
含まれる有効塩素（遊離残留塩素）を簡便かつ効率よく
長期間にわたり除去することができる浴槽用の脱塩素装
置や浴槽における脱塩素方法を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究し、脱塩素成分が必要とされる
のは、浴槽水の給水又は給湯が開始されてからの所定の
僅かな時間であり、そこで有効塩素を失活させてしまえ
ばその後脱塩素成分を供給する必要がないことに注目
し、この給水・沸かし始めおよび給湯の開始を自動的に
検出して、脱塩素成分の供給を開始し、一定の時間経過
後に自動的に供給を停止する機能を有する脱塩素装置を
用いると、Ｌ−アスコルビン酸、チオ硫酸塩、亜硫酸塩
等の還元薬剤系脱塩素薬剤を無駄なく使用することがで
き、簡便かつ効率よく長期間にわたり浴槽水中の遊離残
留塩素を無害な塩素イオンに変換できることを見い出
し、本発明を完成するに至った。

【００１１】すなわち本発明は、有効塩素含有水を用い
る浴槽に使用される脱塩素装置であって、脱塩素薬剤収
納部と、該収納部に連通した浴槽水導入部及び薬剤溶解
液排出部と、前記浴槽水導入部を介して、浴槽内に給水
された前記有効塩素含有水を前記脱塩素薬剤収納部内の
脱塩素薬剤と接触・溶解させ、前記薬剤溶解液排出部を
介して、薬剤の溶解液を浴槽中に還流させるための還流
手段と、還流の開始を指示するための検知手段と、該検
知手段からの信号により所定時間還流を行わせる制御手
段とを備えたことを特徴とする脱塩素装置（請求項１）
や、検知手段が、浴槽内水位、浴槽内水温、酸化還元電
位、湯張り開始信号の１又は２以上を検知する手段であ
ることを特徴とする請求項１記載の脱塩素装置（請求項
２）や、脱塩素薬剤が、アスコルビン酸、アスコルビン
酸の塩、アスコルビン酸の誘導体、亜硫酸塩、チオ硫酸
塩の１種又は２種以上を有効成分とする固形の脱塩素薬
剤であることを特徴とする請求項１又は２記載の脱塩素
装置（請求項３）に関する。

【００１２】また本発明は、有効塩素含有水を用いる浴
槽に適用される脱塩素方法であって、還流の開始を指示
するための検知手段からの信号により、浴槽内に給水さ
れた前記有効塩素含有水を、浴槽水導入部を介して脱塩
素薬剤収納部内に導入することにより、該脱塩素薬剤収
納部内の脱塩素薬剤と接触させ、その溶解液を薬剤溶解
液排出部を介して薬剤浴槽中に還流させ、かかる還流を
所定時間継続した後停止することを特徴とする脱塩素方
法（請求項４）や、検知手段が、浴槽内水位、浴槽内水
温、酸化還元電位、湯張り開始信号の１又は２以上を検
知する手段であることを特徴とする請求項４記載の脱塩
素方法（請求項５）や、脱塩素薬剤が、アスコルビン
酸、アスコルビン酸の塩、アスコルビン酸の誘導体、亜
硫酸塩、チオ硫酸塩の１種又は２種以上を有効成分とす
る固形の脱塩素薬剤であることを特徴とする請求項４又
は５記載の脱塩素方法（請求項６）に関する。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の脱塩素装置としては、有
効塩素含有水を用いる浴槽に使用される脱塩素装置であ
って、脱塩素薬剤収納部と、該収納部に連通した浴槽水
導入部及び薬剤溶解液排出部と、前記浴槽水導入部を介
して、浴槽内に給水された前記有効塩素含有水を前記脱
塩素薬剤収納部内の脱塩素薬剤と接触・溶解させ、前記
薬剤溶解液排出部を介して、薬剤の溶解液を浴槽中に還
流させるための還流手段と、還流の開始を指示するため
の検知手段と、該検知手段からの信号により所定時間還
流を行わせる制御手段とを備える装置であれば特に制限
されるものではなく、また本発明の脱塩素方法として
は、有効塩素含有水を用いる浴槽に適用される脱塩素方
法であって、還流の開始を指示するための検知手段から
の信号により、浴槽内に給水された前記有効塩素含有水
を、浴槽水導入部を介して脱塩素薬剤収納部内に導入す
ることにより、該脱塩素薬剤収納部内の脱塩素薬剤と接
触させ、その溶解液を薬剤溶解液排出部を介して薬剤浴
槽中に還流させ、かかる還流を所定時間継続した後停止
する方法であれば特に制限されるものではない。以下、
これら本発明を、図面を参照しながらより詳細に説明す
る。

【００１４】本発明における脱塩素薬剤収納部として
は、脱塩素薬剤を収納しうるスペースを有し、浴槽水導
入部及び薬剤溶解液排出部と連通し、還流時には、浴槽
内に給水された有効塩素含有水を、浴槽水導入部を介し
てその内部に収納された脱塩素薬剤と接触させることが
でき、その溶解液を薬剤溶解液排出部を介して排出する
ことができる構造を有するものであれば、特に制限され
るものではないが、還流の停止時には、その内部に収納
された脱塩素薬剤が溶出されることがない構造、あるい
はその溶出が制限される構造を有するものが好ましい。
かかる脱塩素薬剤収納部としては、図１，２及び図３，
４に示すような円柱形状の容器からなる脱塩素薬剤収納
部１を例示することができ、このタイプの脱塩素薬剤収
納部１は、通常浴槽内の底部に近い側壁に、図１，２に
示すように紐２により吊り下げたり、図３，４に示すよ
うに吸盤３により固定して用いられる。また、図５，６
に示すような空気抜き孔４を有する容器からなる脱塩素
薬剤収納部５を例示することができ、このタイプの脱塩
素薬剤収納部５は、浴槽に満水張りした水面より上に位
置するように設置することが好ましい。そしてまた、図
７に示すような循環式風呂釜流路の一部に設けられた脱
塩素薬剤収納部６を、具体的に例示することができる。
なお、図１〜７中において、７は固形脱塩素薬剤を示
す。

【００１５】本発明における浴槽水導入部としては、上
記脱塩素薬剤収納部に浴槽内に給水された有効塩素含有
水を導入しうる構造を有するものであれば特に制限され
るものではなく、また、本発明における薬剤溶解液排出
部としては、上記脱塩素薬剤収納部の内部に収納された
脱塩素薬剤の溶解液を排出しうる構造を有するものであ
れば特に制限されるものではないが、かかる浴槽水導入
部や薬剤溶解液排出部としては、図１，２及び図３，４
に示すような円柱形状の容器の側面に設けられたスリッ
トからなる浴槽水導入部８や底面に設けられたスリット
からなる薬剤溶解液排出部９を例示することができる。
この場合、浴槽水導入部８における有孔面積よりも薬剤
溶解液排出部９における有孔面積を小さくしておくこと
により、還流の停止時に脱塩素薬剤の溶出を制限するこ
とができる。

【００１６】また、図５，６に示すような浴槽内低位置
から脱塩素薬剤収納部５上部に連通したパイプからなる
浴槽水導入部１０や脱塩素薬剤収納部５下部から浴槽内
まで連通したパイプからなる薬剤溶解液排出部１１を例
示することができる。この薬剤溶解液排出部１１はサイ
ホンとして作用し、薬剤溶解液の排出を簡便に行うこと
ができる。また、図６に示すように、この薬剤溶解液排
出部１１を構成するパイプ側面に１又は複数個の孔を設
けておくこともできる。そしてまた、図７に示すような
循環式風呂釜流路の一部に設けられた導入配管からなる
浴槽水導入部１２や排出配管からなる薬剤溶解液排出部
１３を例示することができる。

【００１７】本発明における還流手段としては、浴槽水
導入部を介して、浴槽内に給水された有効塩素含有水を
脱塩素薬剤収納部内の脱塩素薬剤と接触させることによ
り、脱塩素薬剤を溶解させ、薬剤溶解液排出部を介し
て、薬剤の溶解液を浴槽中に還流させることができる手
段であればどのようなものでもよく、例えば、図１，２
及び図５，６に示すような小型モータ１４に連結したプ
ロペラ、スクリュー等の送液手段からなる還流手段１５
や、図３，４に示すような電磁石１６を利用したダンパ
ー、シャッター等の開閉手段からなる還流手段１７や、
図７に示すような循環水の電磁弁による開閉手段からな
る還流手段１８を、具体的に例示することができる。

【００１８】本発明における検知手段としては、上記還
流の開始を指示することができる手段であればどのよう
なものでもよく、お湯又は水が浴槽に供給されることに
よる水位の上昇を検知する浴槽内水位検知手段や、給湯
および張り込んだ水を沸かし始めることによる水温の上
昇を検知する浴槽内水温検知手段や、脱塩素処理がなさ
れていない浴槽水中の有効塩素による酸化還元電位の上
昇を検知する酸化還元電位検知手段や、湯張りから追い
炊きまですべて自動で行う全自動型浴槽湯沸かし器にお
ける湯張り開始信号を検知する湯張り開始信号検知手段
等を具体的に例示することができ、また、還流開始の指
示を確実にするため、これら検知手段を２以上併用する
こともできる。そして、これら検知手段は、前記脱塩素
薬剤収納部、浴槽水導入部又は薬剤溶解液排出部に配設
してもよく、また他の場所に配設してもよい。図１及び
図５，６には、フロートなしスイッチ電極１９からなる
浴槽内水位検知手段が示されている。

【００１９】本発明における制御手段としては、上記検
知手段からの信号により所定時間還流を行わせることが
できる手段であればどのようなものでもよく、検知手段
からの信号により自動的に還流の開始を指令するスイッ
チ機能や所定の時間還流を行わせた後還流を停止させる
タイマー機能を備えた制御手段を例示することができ
る。なお、上記フロートなしスイッチ電極からなる浴槽
内水位検知手段のように、検知手段に還流の開始を自動
的に指令するスイッチ機能が備わっている場合には、タ
イマー機能のみを備えた制御手段を用いることができ
る。そして、上記還流を行わせる所定の時間としては、
脱塩素薬剤の溶解速度にもよるが、１時間以内、望まし
くは３０分以内を例示することができる。

【００２０】本発明に用いられる脱塩素薬剤としては特
に限定されるものではないが、アスコルビン酸、アスコ
ルビン酸の塩、アスコルビン酸の誘導体、亜硫酸塩、チ
オ硫酸塩の１種又は２種以上を有効成分とする固形（成
形体）の脱塩素薬剤であることが好ましい。固形に成型
する方法としては、打錠・ブリケッティング、押し出し
成型、混練・注入成型等の公知の方法を用いることがで
きる。打錠・ブリケッティング等の加圧成型では、脱塩
素有効成分の他に、ヒマシ硬化脂肪酸をはじめとする脂
肪酸を配合することが好ましい。また、脂肪酸の他に、
賦形剤、打錠性改善のための滑沢剤、結合剤などの公知
成分、例えば、安息香酸等の各種有機酸又はその塩、硫
酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、珪酸
マグネシウム等の無機塩、各種でんぷん、セルロース誘
導体、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシプロピレ
ン誘導体、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウ
ム、アラビアゴム、各種糖類、アセト酢酸オルトトルイ
ダイドのようなアセト酢酸の誘導体等を配合することが
できる。また、押し出し成型や混練・注入成型において
も、溶解調整基剤としてヒマシ硬化脂肪酸をはじめとす
る脂肪酸等を使用することができ、また脂肪酸の他に配
合物を加える場合、浴槽での使用を考え融点が６０℃以
上のものの使用が好ましく、かかる配合物としては、ポ
リオキシエチレンのような水溶性高分子類、ポリエチレ
ンポリプロピレンブロックポリマー等の界面活性剤等を
具体的に例示することができる。

【００２１】上記成型方法の中でも、成形体の製造の容
易さ、得られた成形体の形状の安定性、脱塩素成分溶出
の安定性等からヒマシ硬化脂肪酸を溶解基剤として用い
る注入成型により、成形体を製造する方法が特に優れて
いる。かかる注入成型における脂肪酸の配合割合は、目
的とする溶解速度、成形体の形状、大きさ、対象とする
浴槽の水量、対象地域などによって異なるが、１〜９５
重量％、好ましくは１０〜５０重量％、特に好ましくは
２０〜４０重量％の割合となるように配合すると、脱塩
素有効成分の沈降がなく、かつ融解物の流動性もよい。
また、脱塩素薬剤には、必要に応じて、温浴効果成分
(炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウ
ム、食塩など)、保湿剤(ユウカリエキス、アロエエキ
ス、アシタバエキス、米糠エキスなど)、美白成分(コウ
ジ酸など)、血行促進成分(唐辛子エキス、トウキエキス
など)、香料、色素、ｐＨ調整剤、腐食防止剤、抗菌剤
などを添加することもできる。

【００２２】

【実施例】以下に実施例をあげて更に本発明の説明を行
うが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。また、実施例において「％」で表記している場合、
特に断りがない限り重量％を示す。

【００２３】実施例１ 図１，２に示す脱塩素除去装置を、脱塩素薬剤７を収納
したプラスチック製のケース（脱塩素薬剤収納部１）が
底部に近い浴槽内壁に位置するように紐２で吊り下げて
用いた。このケースの側面及び底部にはスリット状の開
口部（浴槽水導入部８，薬剤溶解液排出部９）が設けら
れており、側面開口部の内方に小型モータ１４に連結し
たプロペラ１５が配設されている。また、ケースの側部
にはフロートなしスイッチ電極１９が設けられ、水道水
又はお湯の張り込みを検出することができるようになっ
ており、検出すると同時にプロペラ１５が回転し、ケー
ス内部にお湯もしくは水が供給され、３０分後にタイマ
ーで切れるように設定されている。また、脱塩素薬剤に
は、アスコルビン酸７０％、ヒマシ硬化脂肪酸２８％、
その他香料、色素等をステンレスビーカー中でよく混
ぜ、オイルバス中にて約８０℃で混合融解し、底部の径
が３０ｍｍのプリン型に流し込み、冷却して固め、５０
ｇの成形体としたものを用いた。

【００２４】実施例２ 図５に示す脱塩素除去装置を、脱塩素薬剤７を収納した
溶解器（脱塩素薬剤収納部５）が浴槽上部に設置される
ようにして用いた。この脱塩素除去装置の吸水パイプ
（浴槽水導入部１０）の下端近傍には、小型モータ１４
に連結したプロペラ１５が配設されており、吸水パイプ
と排水パイプ（薬剤溶解液排出部１１）の保護筒２０の
下部にフロートなしスイッチ電極１９が設けられ、水道
水又はお湯の張り込みを検出することができるようにな
っており、検出すると同時にプロペラ１５が回転し、溶
解器内部にお湯もしくは水が吸い上げられ、脱塩素薬剤
７が溶解され、その後溶解液はサイホンで浴槽内に排出
されるが、吸水は溶解器内に設置されたフロートなし電
極（図示せず）に溶解器内の水位が達するまで行われ
る。この脱塩素除去装置は、電源に乾電池２１を使用
し、タイマーにより、一度動作をしたら３０分間は動作
をしないインターロック機構を備えている。また、脱塩
素薬剤には、アスコルビン酸７０％、乳糖２０％、その
他セルロース系結合剤、ショ糖脂肪酸エステル、他香
料、色素等をパドルミキサー中でよく混ぜ、油圧式打錠
機を用いて６０ｔの圧力で打錠し、φ４０ｍｍ、約３２
ｇの成形体としたものを用いた。

【００２５】比較例 比較例１として、ビタミンＣを充填したカセットを装着
したシャワーヘッド用い、このシャワーヘッドを通して
お湯を浴槽に張り込んだ。比較例２として、ホームセン
ターにて市販されていた、ビタミンＣ成形体が収納され
た球状のプラスチック成形体製品を用い、取扱説明書の
用法に従い、前記製品を浴槽に投入した後、ガランから
お湯を張り込み、１５分後に取り出した。なお、脱塩素
薬剤を用いることなく、そのままお湯を浴槽に張り込ん
だ場合を対照区とした。

【００２６】試験１（残留有効塩素） 実施例１，２、比較例１，２及び対象区で、間口サイズ
１２００ｍｍの和洋折衷埋め込みタイプの浴槽(満水量
２７０Ｌ)にお湯を約２００Ｌ張り込み、軽くかき混
ぜ、その際の残留有効塩素量を柴田科学器械工業株式会
社製の残留塩素測定器(ＤＰＤ法)を用いて測定した。結
果を表１に示す。

【００２７】

【表１】

【００２８】試験２（お湯を張り込み所用時間） 実施例１，２、比較例１，２及び対象区において、お湯
の張り込み時間を計測し、３０倍して１ヶ月あたりの必
要時間を算出した。試験は試験１の浴槽を用い、ガラン
およびシャワーは満開で２００Ｌのお湯を張り込んだ。
試験結果は３回の平均値から算出した。なお、実施例
１，２、比較例２及び対象区では本質的に差がないの
で、実験は共通とした。

【００２９】

【表２】

【００３０】試験３（繰り返し使用後の残留有効塩素） 実施例１，２、比較例１，２及び対象区において、試験
１と同じ試験を１ヶ月行う想定で３０回繰り返した。そ
の間、実施例１，２の薬剤、比較例１のビタミンＣカー
トリッジ、比較例２のビタミンＣ成形体は交換しなかっ
た。なお、比較例２では取り出しを忘れ入れっぱなしに
した場合も考えて、試験途中に１５分で取り出さない試
験も行った。３０回繰り繰り返し使用後の残留有効塩素
量を柴田科学器械工業株式会社製の残留塩素測定器(Ｄ
ＰＤ法)を用いて測定した。結果を表３に示す。

【００３１】

【表３】

【００３２】

【発明の効果】入浴は通常毎日行われるため、浴槽内の
お湯の脱塩素を行う場合でも手間の掛かることや、通常
に比べより多くの時間を要する作業を伴うことは避ける
ことが望まれている。本発明によると、浴槽への給水等
を自動的に検出し、浴槽水中に脱塩素成分が自動的に供
給され、特別な作業をすることなく水道水中の有効塩素
を失活することができ、また給水・給湯された水道水由
来の塩素を失活させた後、自動的に脱塩素成分の供給を
停止することができるので、脱塩素薬剤の過剰溶出がな
く、脱塩素薬剤が無駄になることがない。また、脱塩素
薬剤の溶解容器への供給および交換頻度は少ないほどよ
いが、衛生面(メンテナンスや容器内清掃)などを考慮し
１〜２ヶ月程度で交換するのがよいとされているが、脱
塩素薬剤として固形成形体を用いることにより、１〜２
ヶ月程度にわたり脱塩素薬剤を交換する必要がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の脱塩素除去装置の概略斜視図である。

【図２】図１に示す脱塩素除去装置の概略縦断面図であ
る。

【図３】本発明の他の態様の脱塩素除去装置の概略斜視
図である。

【図４】図３に示す脱塩素除去装置の概略縦断面図であ
る。

【図５】本発明の他の態様の脱塩素除去装置の概略縦断
面図である。

【図６】本発明の他の態様の脱塩素除去装置の概略縦断
面図である。

【図７】本発明の他の態様の脱塩素除去装置の概略説明
図である。

【符号の説明】

１，５，６ 脱塩素薬剤収納部 ２ 紐 ３ 吸盤 ４ 空気抜き孔 ７ 固形脱塩素薬剤 ８，１０，１２ 浴槽水導入部 ９，１１，１３ 薬剤溶解液排出部 １４ 小型モータ １５，１７，１８ 還流手段 １６ 電磁石 １９ フロートなしスイッチ電極 ２０ 保護筒 ２１ 乾電池

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有効塩素含有水を用いる浴槽に使用され
   る脱塩素装置であって、脱塩素薬剤収納部と、該収納部
   に連通した浴槽水導入部及び薬剤溶解液排出部と、前記
   浴槽水導入部を介して、浴槽内に給水された前記有効塩
   素含有水を前記脱塩素薬剤収納部内の脱塩素薬剤と接触
   ・溶解させ、前記薬剤溶解液排出部を介して、薬剤の溶
   解液を浴槽中に還流させるための還流手段と、還流の開
   始を指示するための検知手段と、該検知手段からの信号
   により所定時間還流を行わせる制御手段とを備えたこと
   を特徴とする脱塩素装置。
2. 【請求項２】 検知手段が、浴槽内水位、浴槽内水温、
   酸化還元電位、湯張り開始信号の１又は２以上を検知す
   る手段であることを特徴とする請求項１記載の脱塩素装
   置。
3. 【請求項３】 脱塩素薬剤が、アスコルビン酸、アスコ
   ルビン酸の塩、アスコルビン酸の誘導体、亜硫酸塩、チ
   オ硫酸塩の１種又は２種以上を有効成分とする固形の脱
   塩素薬剤であることを特徴とする請求項１又は２記載の
   脱塩素装置。
4. 【請求項４】 有効塩素含有水を用いる浴槽に適用され
   る脱塩素方法であって、還流の開始を指示するための検
   知手段からの信号により、浴槽内に給水された前記有効
   塩素含有水を、浴槽水導入部を介して脱塩素薬剤収納部
   内に導入することにより、該脱塩素薬剤収納部内の脱塩
   素薬剤と接触させ、その溶解液を薬剤溶解液排出部を介
   して薬剤浴槽中に還流させ、かかる還流を所定時間継続
   した後停止することを特徴とする脱塩素方法。
5. 【請求項５】 検知手段が、浴槽内水位、浴槽内水温、
   酸化還元電位、湯張り開始信号の１又は２以上を検知す
   る手段であることを特徴とする請求項４記載の脱塩素方
   法。
6. 【請求項６】 脱塩素薬剤が、アスコルビン酸、アスコ
   ルビン酸の塩、アスコルビン酸の誘導体、亜硫酸塩、チ
   オ硫酸塩の１種又は２種以上を有効成分とする固形の脱
   塩素薬剤であることを特徴とする請求項４又は５記載の
   脱塩素方法。