JP2001264562A - 高分子光導波路 - Google Patents

高分子光導波路

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JP2001264562A
JP2001264562A JP2000078777A JP2000078777A JP2001264562A JP 2001264562 A JP2001264562 A JP 2001264562A JP 2000078777 A JP2000078777 A JP 2000078777A JP 2000078777 A JP2000078777 A JP 2000078777A JP 2001264562 A JP2001264562 A JP 2001264562A
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layer
polymer
polymer optical
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JP2000078777A
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Inventor
Shoichi Hayashida
尚一 林田
Takashi Kurihara
栗原  隆
Seiji Toyoda
誠治 豊田
Toshio Watanabe
俊夫 渡辺
Akira Tomaru
暁 都丸
Yujiro Kato
雄二郎 加藤
Toru Maruno
透 丸野
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化や湿度変化を伴う一般的な環境下で
長期間使用してもクラックが発生せず、高い信頼性を有
する高分子光導波路を提供する。 【解決手段】 基板11上に高分子材料からなる応力緩
和層12および下部クラッド層13を形成し、その上に
形成されたコア部14を覆う上部クラッド層15から構
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に下部クラ
ッド層、コア部および上部クラッド層を設けて構成さ
れ、高い信頼性を有する高分子光導波路に関し、特に一
般光学や微小光学分野および光通信や光情報処理の分野
で使用される種々の光導波路部品に利用できる高分子光
導波路に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子材料はスピンコート法やディップ
法等による薄膜形成が容易であり、大面積の光部品を作
製するのに適している。また、成膜に際して高温での熱
処理工程を含まないことから、石英等の無機ガラス材料
を用いる場合に比べて、半導体基板やプラスチック基板
などの高温での熱処理が困難な基板上に光導波路を作製
できるという利点がある。こうしたことから、光通信の
分野で用いられる光集積回路や光導波路部品を高分子光
学材料で大量・安価に製造できることが期待されてい
る。
【0003】従来、高分子光学材料は、耐熱性や耐湿性
のような耐環境性、あるいは可視域から近赤外域にわた
る光通信波長帯における透明性の点で問題があるとされ
てきたが、近年、フッ素化ポリイミド類(例えば、特開
平4−8734号公報参照)やポリシルセスキオキサン
類(例えば、特開平3−43423号公報およびエレク
トロニクス レターズ(Electron.Lett.)、第30巻、
第12号、第958〜959頁(1994)参照)のよ
うに耐熱性と透明性を兼ね備えた高分子材料が開発さ
れ、それらを積層することにより実用的な高分子光導波
路を作製できるようになった。
【0004】図2は、従来一般的に製造されてきたコア
/クラッド構造からなる高分子光導波路の断面図であ
る。図2において、符号1は基板であり、2は下部クラ
ッド層、3はコア部、4は上部クラッド層である。高分
子材料を積層することにより光導波路を作製するには、
以下のような方法が最も一般的である。まず、基板1上
に、スピンコート法やディップ法を用いてクラッド材料
の溶液を塗布して成膜し、低屈折率の高分子層である下
部クラッド層2を形成する。次いで、この下部クラッド
層2上に、スピンコート法やディップ法を用いて、下部
クラッド層2より屈折率の高いコア材料の溶液を塗布し
て成膜し、高屈折率の高分子層であるコア層を形成す
る。続いて、このコア層をフォトリソグラフィおよびエ
ッチング等の微細加工技術により所望のパターンに加工
し、コア部3を形成する。最後に、このコア部3上に、
スピンコート法やディップ法を用いてクラッド材料の溶
液を塗布して成膜し、上部クラッド層4を形成すること
で、図2に示すような高分子光導波路が完成する。
【0005】このようにして作製される高分子光導波路
部品としては分岐素子、合分波素子、熱光学スイッチ、
アレイ導波路格子(AWG)、光送受信モジュール、光
終端装置(ONU)等を挙げることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように作製さ
れる従来の高分子光導波路部品は、長期的に使用される
と、クラックが発生するという問題がある。
【0007】すなわち、低温〜高温の間の温度サイク
ル、乾燥状態〜湿潤状態の間の湿度のサイクルのような
環境変化の繰り返しによって部品内部に応力の発生と消
失が繰り返され、あるいは部品製造時にすでに存在した
残留応力の解消と再現が繰り返され、長期間のうちに一
種の疲労が起こり、限界を越えた時点で発生するクラッ
クのために素子が破壊するという問題がある。
【0008】この問題は、発生する応力を小さくするこ
とによりある程度解決可能である。例えば、発生する応
力は高分子層の膜厚とともに大きくなるので、光導波路
全体の膜厚を小さくすることが解決方法の1つとして考
えられる。
【0009】しかしながら、通常の光導波路を作製する
際には、ある程度以上の膜厚を有する薄膜を形成するこ
とが必要である。例えば、コア部3の断面が8μm角の
正方形であるシングルモード光導波路をシリコン基板1
上に形成する場合、コア部3からシリコン基板1への光
の漏れを抑えるには、下部クラッド層2として15μm
程度以上の膜厚が必要となる。また、上部クラッド層4
についても表面の塵や汚れ、外部からの応力等の影響が
コア部3を導波する光に及ばないようにするためには、
上部クラッド層4としてコア部3の上面から8μm程度
以上の膜厚が必要となる。このため、薄膜化のみでクラ
ック発生の問題を解決するには限界がある。
【0010】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、温度変化や湿度変化を伴う一
般的な環境下で長期間使用してもクラックが発生せず、
高い信頼性を有する高分子光導波路を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の本発明は、基板上に下部クラッド
層、コア部および上部クラッド層を設けて構成される高
分子光導波路であって、前記基板と下部クラッド層との
間に応力緩和層を設けたことを要旨とする。
【0012】請求項1記載の本発明にあっては、基板上
に直接下部クラッド層を設ける従来の高分子光導波路と
異なり、基板と下部クラッド層との間に応力緩和層が設
けられているため、温度や湿度の変動を伴う環境下に長
期間使用されても、性能劣化が著しく少なく、またクラ
ックが発生することもない。
【0013】また、請求項2記載の本発明は、請求項1
記載の発明において、前記応力緩和層が、ゴム弾性を示
す高分子材料で構成されることを要旨とする。
【0014】請求項2記載の本発明にあっては、応力緩
和層はゴム弾性を示す高分子材料で構成されるため、高
分子材料のゴム弾性で温度や湿度の変動で発生する応力
を吸収し、これによりクラックの発生を回避することが
でき、信頼性の高い高分子光導波路を作製することがで
きる。
【0015】更に、請求項3記載の本発明は、請求項1
記載の発明において、前記下部クラッド層、コア部およ
び上部クラッド層が、それぞれポリイミド、シリコンま
たはエポキシ樹脂で構成されることを要旨とする。
【0016】請求項3記載の本発明にあっては、下部ク
ラッド層、コア部および上部クラッド層が、それぞれポ
リイミド、シリコンまたはエポキシ樹脂で構成される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る
高分子光導波路の構造構成を模式的に示す断面図であ
る。同図に示す高分子光導波路は、基板11上に高分子
材料からなる応力緩和層12および下部クラッド層13
を形成し、その上に形成されたコア部14を覆う上部ク
ラッド層15から構成されている。すなわち、本実施形
態の高分子光導波路は、図2に示したように基板上に直
接下部クラッド層が形成されている従来の高分子光導波
路と異なり、基板11と下部クラッド層13との間に応
力緩和層12を形成しているものである。
【0018】応力緩和層12を上に形成するための基板
11としては、平滑な表面を有するものであれば特に限
定されないが、例えば、シリコンウェハ、石英ガラス、
多成分ガラス、セラミックス、金属板、鉱物、これらの
材質を組合せたもの等を用いることができる。
【0019】これらの上に形成する応力緩和層12とし
ては、素子の使用温度範囲においてゴム弾性を示す高分
子であって、スピンコーティング、ディッピング、スプ
レー等の方法により平滑に成膜できるものであれば特に
限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエン、スチ
レン−イソブチレン等のブロックコポリマー、それらの
水素添加物、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレ
ン−イソプレン−スチレン等のABA型ブロックコポリ
マー、それらの水素添加物等のスチレン系熱可塑性エラ
ストマー、ポリプロピレン−エチレンプロピレンゴムか
らなるオレフィン系熱可塑性エラストマー、結晶性ポリ
塩化ビニル−非晶性ポリ塩化ビニルからなる塩ビ系熱可
塑性エラストマー、その他、エステル系、ウレタン系、
アミド系、イミド系の熱可塑性エラストマー等、および
それらをさらにグラフト重合により改質したもの、熱硬
化型のシリコンゴムやシリコンエラストマー、室温硬化
型のシリコンゴムやシリコンエラストマー等を用いるこ
とができる。
【0020】応力緩和層12は、例えば、これらの材
料、あるいは前駆体を含む溶液あるいは原液を基板11
上にスピンコートしたのち加熱乾燥したり、あるいは該
溶液中に基板11を浸漬したのち加熱乾燥するなどの方
法により形成することができる。材料によっては加熱を
要しない場合もある。すなわち、本発明において応力緩
和層の形成方法は限定されない。
【0021】これらの上に形成する下部クラッド層13
用の高分子材料としては、次に述べるコア部14に用い
ようとする高分子材料に比較して低屈折率であれば特に
限定されないが、芳香族二塩基酸の無水物、それらの部
分フッ素化物あるいは全フッ素化物等の酸無水物類と、
芳香族ジアミン類、それらの部分フッ素化物あるいは全
フッ素化物を適当な配合比で反応させて得られるポリイ
ミド中間体、フッ素化ポリイミド中間体、あるいはフェ
ニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メ
チルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、それ
らの重水素化体、それらに対応するアルコキシド、それ
らを種々の割合で混合したもの等を出発原料として得ら
れるシロキサン系オリゴマーや高分子量体、光硬化性樹
脂などを用いることができる。
【0022】応力緩和層12上の下部クラッド層13
は、例えば、上記下部クラッド層13用高分子材料を含
む溶液を基板上にスピンコートしたのち加熱乾燥した
り、該溶液中に基板を浸漬したのち加熱乾燥したり、塗
布したのちに紫外線照射するなどの方法により形成でき
る。応力緩和層12としてシリコン系材料を使用した場
合には、応力緩和層12と下部クラッド層13の密着性
を向上させるために、応力緩和層12の表面にコロナ放
電処理、プラズマ処理、シランカップリング剤を用いた
表面処理等を行えばよい。すなわち、本発明において下
部クラッド層13の形成方法は限定されるものではな
い。応力緩和層12上に形成される下部クラッド層13
は、単一組成でも複数の高分子材料の混合でもよい。
【0023】上述の方法により形成された下部クラッド
層13上にコア層が形成される。コア層を形成するのに
必要な高分子材料としては、上に述べた下部クラッド層
13よりも大きい屈折率を持つものであれば特に限定さ
れないが、例えば、下部クラッド層に用いたフッ素化ポ
リイミド類よりも低フッ素含量のフッ素化ポリイミド
類、下部クラッド層13に用いたシロキサン系材料より
も低フェニル高メチル含量のシロキサン系材料などを用
いることができる。コア層の組成は、単一でも複数の材
料の混合でもよい。
【0024】コア層の形成は、下部クラッド層13の場
合と同様にスピンコートや溶液中への浸漬に次いで、加
熱乾燥や紫外線照射などの方法により行うことができ
る。形成されたコア層は従来のフォトリソグラフィ技術
を用いて所望のコア形状に加工され、コア部14が形成
される。光硬化型樹脂を用いた場合には、パターンマス
クの使用により直接パターン化が可能である。
【0025】これらの上に形成する上部クラッド層15
用の高分子材料としては、上述のコア部14に用いた高
分子材料に比較して低屈折率であれば特に限定されない
が、下部クラッド層13と同じものを使うことが望まし
い。上部クラッド層15は、例えば、上部クラッド層用
高分子材料を含む溶液をスピンコートしたのち乾燥した
り、あるいは、該溶液中に基板を浸漬したのち乾燥した
り、塗布したのちに紫外線照射するなど、下部クラッド
層13やコア層を形成したときと同様の方法で形成する
ことができる。すなわち、本発明において上部クラッド
層15の形成方法は限定されない。形成される上部クラ
ッド層15は、単一組成でも複数の材料の混合でもよ
い。
【0026】以下、本発明を実施例により更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0027】実施例1 応力緩和層12としてポリイミド系材料、クラッド材、
コア材としてシリコン系材料を用いた高分子光導波路を
製造した。まず、応力緩和層材料として日立化成工業製
のポリイミドペーストSN−9000をγ−ブチロラク
トンに溶解し、所定量の硬化剤を添加した(溶液A)。
次に、クラッド材溶液として、重水素化フェニルトリエ
トキシシランと重水素化メチルトリエトキシシランをモ
ル比で50:50となるようにエタノールに溶解し、酸
触媒による重縮合を行ったのちに溶媒をメチルイソブチ
ルケトンに変換した溶液を調製した(溶液B)。同様に
して、重水素化フェニルトリエトキシシランと重水素化
メチルトリエトキシシランをモル比で55:45となる
ように混合した原料からコア材溶液を調製した(溶液
C)。
【0028】シリコン基板上に硬化後の膜厚が3μmと
なるように応力緩和層材料の溶液Aをスピンコートし、
室温に24時間保持して硬化させた。次いで、その上に
クラッド材溶液Bを硬化後の膜厚が15μmとなるよう
にスピンコートし、250℃で1時間加熱して硬化させ
た。この上にコア材溶液Cを塗布して同様の条件で成膜
し、8μm厚のコア材層を形成したのち、フォトリソグ
ラフィ技術を用いた通常の微細加工によりコア部分を長
さ50mm、幅8μm、高さ8μmの直線矩形パターン
に加工した。この上にさきほどと同じクラッド材溶液B
を塗布し同様の条件で加熱硬化させた。
【0029】このようにして得られた高分子光導波路の
一端から波長1550nmの光を入射させ、他端から出
てくる光量を測定することにより導波路の損失を測定し
たところ、導波損失は約0.3dB/cmであった。こ
の高分子光導波路を85℃85%RHの恒温恒湿槽に1
000時間保持しても、クラックの発生や導波損失の増
加は認められなかった。また、−40℃と75℃の間の
温度サイクルを300回繰り返した場合も同様であっ
た。
【0030】比較例1 実施例1における応力緩和層の形成を省略した高分子光
導波路を製造し、85℃85%RHの恒温恒湿試験を行
ったところ、100時間以内にクラックの発生が認めら
れた。また、−40℃と75℃の間の温度サイクル試験
においては10サイクル以内にクラックが発生した。
【0031】実施例2 応力緩和層、クラッド材、コア材としてポリイミド系材
料を用いた高分子光導波路を製造した。まず、応力緩和
層材料として日立化成工業製のポリイミドペーストSN
−9000をγ−ブチロラクトンに溶解し、所定量の硬
化剤を添加した(溶液D)。次に、クラッド材溶液とし
て、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
ヘキサフルオロプロパン酸二無水物と2,2’−ビス
(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニ
ルの等量混合物を固形分濃度が15wt%となるように
N,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を調製し
た(溶液E)。また、コア材溶液として、ピロメリット
酸二無水物と2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物と2,2’
−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビ
フェニルがモル比で3:7:10、かつ、固形分濃度が
15wt%となるようにN,N−ジメチルアセトアミド
に溶解した溶液を調製した(溶液F)。
【0032】シリコン基板上に硬化後の膜厚が3μmと
なるように応力緩和層材料の溶液Dをスピンコートし、
150℃で1時間加熱して硬化させた。次いで、その上
にクラッド材溶液Eを硬化後の膜厚が15μmとなるよ
うにスピンコートし、350℃で1時間加熱して硬化さ
せた。この上にコア材溶液Fを用いて同様の条件で成膜
し、8μm厚のコア材層を形成したのち、フォトリソグ
ラフィ技術を用いた通常の微細加工によりコア部分を長
さ50mm、幅8μm、高さ8μmの直線矩形パターン
に加工した。この上にさきほどと同じクラッド材溶液E
を塗布し同様の条件で加熱硬化させた。
【0033】このようにして得られた高分子光導波路の
一端から波長1550nmの光を入射させ、他端から出
てくる光量を測定することにより導波路の損失を測定し
たところ、導波損失は約0.3dB/cmであった。こ
の高分子光導波路を85℃85%RHの恒温恒湿槽に1
000時間保持しても、クラックの発生や導波損失の増
加は認められなかった。また、−40℃と75℃の間の
温度サイクルを300回繰り返した場合も同様であっ
た。
【0034】比較例2 実施例2における応力緩和層の形成を省略した高分子光
導波路を製造し、85℃85%RHの恒温恒湿試験を行
ったところ、100時間以内にクラックの発生が認めら
れた。また、−40℃と75℃の間の温度サイクル試験
においては10サイクル以内にクラックが発生した。
【0035】実施例3 応力緩和層、クラッド材、コア材としてシリコン系材料
を用いた高分子光導波路を製造した。まず、応力緩和層
材料として信越化学工業製の室温硬化型シリコン材料シ
ルポット184をジグライムに溶解し、所定量の硬化剤
を添加した(溶液G)。次に、クラッド材溶液として、
フェニルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシラ
ンをモル比で60:40となるようにエタノールに溶解
し、酸触媒による重縮合を行ったのちに溶媒をメチルイ
ソブチルケトンに変換した溶液を調製した(溶液H)。
同様にして、フェニルトリエトキシシランとメチルトリ
エトキシシランをモル比で65:35となるように混合
した原料からコア材溶液を調製した(溶液I)。
【0036】シリコン基板上に硬化後の膜厚が3μmと
なるように応力緩和層材料の溶液Gをスピンコートし、
室温に24時間保持して硬化させた。次いで、応力緩和
層の表面をコロナ放電処理し、その上にクラッド材溶液
Hを硬化後の膜厚が15μmとなるようにスピンコート
し、250℃で1時間加熱して硬化させた。この上にコ
ア材溶液Iを塗布して同様の条件で成膜し、8μm厚の
コア材層を形成したのち、フォトリソグラフィ技術を用
いた通常の微細加工によりコア部分を長さ50mm、幅
8μm、高さ8μmの直線矩形パターンに加工した。こ
の上にさきほどと同じクラッド材溶液Hを塗布し同様の
条件で加熱硬化させた。
【0037】このようにして得られた高分子光導波路の
一端から波長1550nmの光を入射させ、他端から出
てくる光量を測定することにより導波路の損失を測定し
たところ、導波損失は約0.5dB/cmであった。こ
の高分子光導波路を85℃85%RHの恒温恒湿槽に1
000時間保持しても、クラックの発生や導波損失の増
加は認められなかった。また、−40℃と75℃の間の
温度サイクルを300回繰り返した場合も同様であっ
た。
【0038】比較例3 実施例3における応力緩和層の形成を省略した高分子光
導波路を製造し、85℃85%RHの恒温恒湿試験を行
ったところ、100時間以内にクラックの発生が認めら
れた。また、−40℃と75℃の間の温度サイクル試験
においては10サイクル以内にクラックが発生した。
【0039】実施例4 応力緩和層としてシリコン系材料、クラッド材、コア材
としてエポキシ系材料を用いた高分子光導波路を製造し
た。まず、応力緩和層材料として東レダウコーニングシ
リコン製のシリコン材料SE1821の2液を所定の比
率で混合した(材料J)。次に、クラッド材溶液とし
て、光硬化後の屈折率が波長850nmで1.52とな
るUV硬化樹脂(材料K)と、同じく1.54となるU
V硬化樹脂(材料L)を準備した。
【0040】シリコン基板上に硬化後の膜厚が3μmと
なるように応力緩和層材料Jをスピンコートし、100
℃で1時間加熱して硬化させた。次いで、応力緩和層の
表面をコロナ放電処理し、その上にクラッド材Kを硬化
後の膜厚が15μmとなるようにスピンコートし、全面
に紫外線照射して硬化させた。この上にコア材Lを塗布
し、スペーサを介して設置したパターンマスクを通して
紫外線を照射したのち、ジグライム溶媒を用いて現像す
ることにより、長さ50mm、幅8μm、高さ8μmの
直線矩形のコア部を作製した。この上にさきほどと同じ
クラッド材Kを塗布し同様の条件で硬化させた。
【0041】このようにして得られた高分子光導波路の
一端から波長850nmの光を入射させ、他端から出て
くる光量を測定することにより導波路の損失を測定した
ところ、導波損失は約0.5dB/cmであった。この
高分子光導波路を85℃85%RHの恒温恒湿槽に10
00時間保持しても、クラックの発生や導波損失の増加
は認められなかった。また、−40℃と75℃の間の温
度サイクルを300回繰り返した場合も同様であった。
【0042】比較例4 実施例4における応力緩和層の形成を省略した高分子光
導波路を製造し、85℃85%RHの恒温恒湿試験を行
ったところ、100時間以内にクラックの発生が認めら
れた。また、−40℃と75℃の間の温度サイクル試験
においては10サイクル以内にクラックが発生した。
【0043】上述した各実施例で示したように、本実施
形態の高分子光導波路は、クラックの発生を確実に回避
しているが、これは、従来の高分子光導波路では、熱や
湿気による膨張収縮の小さい基板上に、熱による膨張収
縮の大きい、あるいは吸湿膨張し易い、あるいは成膜時
に大きな体積変化が起こる高分子材料からなる下部クラ
ッド層が直接形成されているため、使用環境下での基板
と高分子材料の膨張収縮の差により繰り返される応力の
発生と消失によって高分子材料の一部に亀裂が生じるの
に対し、本実施形態では、基板と下部クラッド層の間に
設けたゴム弾性を示す高分子材料の層に応力を吸収させ
ることによりクラックの発生を回避しているからであ
る。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基板上に下部クラッド層を直接設けている従来の高分子
光導波路と異なり、基板と下部クラッド層との間に応力
緩和層が設けられているので、この応力緩和層により温
度や湿度の変動で発生する応力を吸収し、これにより温
度や湿度の変動を伴う環境下において長期間使用されて
も、クラックが発生することがなく、従って性能劣化が
著しく少ない。このため、本発明の高分子光導波路を光
導波路部品に使用することにより、光通信や光情報処理
の分野で用いられる種々の光導波路部品の信頼性を飛躍
的に向上させることが期待できる。
【0045】また、本発明によれば、応力緩和層はゴム
弾性を示す高分子材料で構成されるので、高分子材料の
ゴム弾性で温度や湿度の変動で発生する応力を吸収し、
これによりクラックの発生を回避することができ、信頼
性の高い高分子光導波路を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る高分子光導波路の構
造を模式的に示す断面図である。
【図2】従来の高分子光導波路の構造を模式的に示す断
面図である。
【符号の説明】
11 基板 12 応力緩和層 13 下部クラッド層 14 コア部 15 上部クラッド層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊田 誠治 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 渡辺 俊夫 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 都丸 暁 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 加藤 雄二郎 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 丸野 透 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 Fターム(参考) 2H047 KA04 QA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に下部クラッド層、コア部および
    上部クラッド層を設けて構成される高分子光導波路であ
    って、前記基板と下部クラッド層との間に応力緩和層を
    設けたことを特徴とする高分子光導波路。
  2. 【請求項2】 前記応力緩和層は、ゴム弾性を示す高分
    子材料で構成されることを特徴とする請求項1記載の高
    分子光導波路。
  3. 【請求項3】 前記下部クラッド層、コア部および上部
    クラッド層は、それぞれポリイミド、シリコンまたはエ
    ポキシ樹脂で構成されることを特徴とする請求項1記載
    の高分子光導波路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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