JP2001264129A - 斜面崩壊検出装置及び斜面崩壊検出用受信側装置 - Google Patents

斜面崩壊検出装置及び斜面崩壊検出用受信側装置

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JP2001264129A
JP2001264129A JP2000072948A JP2000072948A JP2001264129A JP 2001264129 A JP2001264129 A JP 2001264129A JP 2000072948 A JP2000072948 A JP 2000072948A JP 2000072948 A JP2000072948 A JP 2000072948A JP 2001264129 A JP2001264129 A JP 2001264129A
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tilt
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Inventor
Koichi Furusawa
光一 古澤
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Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が比較的簡単で、斜面崩壊を検出する検
出精度の高い斜面崩壊検出装置を提供する。 【解決手段】 2つの傾きセンサ7x、7yは、直交す
る2軸の回りの傾きθx、θyを検出し、制御回路11
はこの傾きθx、θyを合成し、合成することによって
実際の傾きθを求める。次いで、合成した傾きθをしき
い値と比較することによって斜面崩壊の有無を判定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全方位において高
精度に土砂崩れを検出することができる斜面崩壊検出装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より用いられている斜面崩壊検出装
置には、振り子方式のものと、2軸傾きセンサ方式のも
のとがある。このうち振り子方式の斜面崩壊検出装置と
しては、例えば特開平8−14895号公報に開示され
たものが知られている。これは吊り材を用いて振り子体
を中心軸上に吊り下げたものであり、斜面崩壊(土砂崩
れ)に伴う振り子体の位置の変動を振り子体に設けた永
久磁石とホール素子によって電気的に検出するように
し、あらかじめ設定された角度しきい値以上に傾きが発
生すると、斜面崩壊と判断するものである。
【0003】このような振り子方式の斜面崩壊検出装置
では、振り子がどちらの方向に傾いても、中心軸からの
傾きを検出することができるので、いずれの方向に斜面
崩壊が発生しても検出できる利点がある。しかし、振り
子方式の斜面崩壊検出装置は、振り子というメカニズム
を利用するため、構造が複雑になり、コストが高くつく
問題があった。また、衝撃にも弱かった。
【0004】また、近年、半導体プロセスを使ってシリ
コンウエハに微小構造を形成するマイクロマシニング技
術が発達してきており、傾きセンサでもマイクロマシニ
ング技術を用いて製造されており、小型で耐衝撃性に強
いといわれている。従来の2軸傾きセンサは、このよう
な傾きセンサを2台、直交2軸の回りの傾きを検出でき
るように配置し、各方向の傾きを個別に検出している。
【0005】このような2軸傾きセンサにおいては、直
交する2軸方向で個別に傾きを検出し、しかも各方向の
傾きにしきい値を設定し、各方向で傾きとしきい値を比
較することによって斜面崩壊が起きたか否かを判定して
いた。
【0006】しかし、このような構造の傾きセンサで
は、両傾きセンサによる傾き検出方向から外れた方向で
傾きが生じた場合には、傾きセンサでは実際の傾きより
も小さな傾きとしてしか検知されないので、実際の方向
ではしきい値を越えていても各方向ではしきい値以下と
なることがあり、斜面崩壊が起きた判定すべきであるに
もかかわらず、斜面崩壊が起きていないと判断されるこ
とがあった。
【0007】
【発明の開示】本発明は上記従来技術に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、構造が比較的簡
単で、斜面崩壊を検出する検出精度の高い斜面崩壊検出
装置を提供することにある。
【0008】本発明の別な目的は、消費電流の小さな斜
面崩壊検出装置を提供することにある。
【0009】本発明にかかる斜面崩壊検出装置は、直交
する2軸の回りにおける各傾きを検出する2つの傾き検
出素子と、各傾き検出素子からの検出信号に基づいて直
交する2軸の回りにおける各傾きを合成する手段と、合
成された傾きに基づいて斜面崩壊を判定する手段とを備
えたことを特徴としている。
【0010】この斜面崩壊検出装置は、必ずしも1台の
装置として形成されていなければならないものではな
い。例えば、送信側装置(子機)と受信側装置(親機)
とによって斜面崩壊検出装置を構成し、送信側装置と受
信側装置とを通信手段で接続したものでもよい。この場
合には、(1)送信側装置内に2台の傾き検出素子と傾き
合成手段と斜面崩壊を判定する手段とを納める場合、
(2)送信側装置内に2台の傾き検出素子と傾き合成手段
を納め、受信側装置内に斜面崩壊を判定する手段を納め
る場合、(3)送信側装置内に2台の傾き検出素子を納
め、受信側装置内に傾き合成手段と斜面崩壊を判定する
手段とを納める場合などがある。
【0011】2つの傾き検出素子の各検出値に基づいて
斜面崩壊を判定する場合には、傾きの発生した方向が各
傾き検出素子の検出方向から外れている場合には、実際
の傾きは各傾き検出素子の検出方向へ分解されて小さく
なるので、正確な判定が困難になり、また傾きの生じて
いる方向によって斜面崩壊の判定精度にもばらつきが生
じる。これに対し、本発明の斜面崩壊検出装置によれ
ば、2つの傾き検出素子によって直交する2軸回りの傾
きを検出した後、これを合成して実際の傾きを再現し、
合成した傾きに基づいて斜面崩壊を判定しているので、
判定精度を高くできる。また、傾きの方向によって斜面
判定の精度がばらつくことがなく、正確な判定を行うこ
とができる。
【0012】本発明の実施形態においては、合成された
傾きの大きさと所定のしきい値とを比較することによ
り、斜面崩壊を判定している。本発明においては、合成
された傾きの波形(時間波形)を求め、それを波形解析
することによって斜面崩壊を判定することもできるが、
合成された傾きの大きさをしきい値と比較して斜面崩壊
を判定すれば、簡単に判定を行うことができるからであ
る。
【0013】本発明のさらに別な実施形態では、設置時
における各傾き検出素子の傾きを初期値として記憶して
おき、各傾き検出素子のそれぞれの初期値からの傾きを
検出し、当該傾きを前記傾き合成手段により合成して前
記判定手段により斜面崩壊を判定するようにしている。
設置時の傾きを初期値として記憶させておき、各傾き検
出素子のそれぞれの初期値からの傾きを検出して合成す
れば、設置時の傾きからの変化量によって斜面崩壊を判
定することができる。よって、斜面崩壊検出装置を設置
したときの設置ばらつきや斜面崩壊検出装置の組立誤差
等をキャンセルすることができ、より正確な斜面崩壊検
知を行うことができる。
【0014】ここで、傾きの初期値を設定する方法とし
ては、(1)電源投入後あらかじめ設定された時間が経
過したときに検出した傾きを初期値として記憶する方
法、(2)ケーシング内に磁気を感知して作動するスイ
ッチを内蔵させておき、該磁気感知スイッチが動作した
ときに検出した傾きを初期値として記憶する方法、
(3)電磁波や光等の媒体を通じて信号を受信する手段
を備え、所定の信号を受信したときに検出した傾きを初
期値として記憶する方法などがある。いずれも、初期値
を設定した後は、自動的に傾き検出モードに移行するよ
うにしてスイッチ操作を不要にするのが望ましい。斜面
崩壊検出装置は、その用途上設置してから初期値を設定
する操作を行うことは難しいが、これらの方法によれ
ば、初期値を設定するために斜面崩壊検出装置の外面に
初期設定のためのスイッチを設けたり、ケーシングを開
いたりする必要がなく、斜面崩壊検出装置内に水などが
浸入する恐れもなく、簡単に初期値設定を行える。
【0015】また、2つの前記傾き検出素子を有する送
信側装置と、初期値からの傾きを求める手段、傾きを合
成する手段及び合成された傾きから斜面崩壊を判定する
手段を有する受信側装置とから構成されており、送信側
装置と受信側装置との間で通信可能となっている場合に
は、送信側装置を設置した時の傾きを初期値として受信
側装置で記憶しておき、送信側装置で検出した直交2軸
の回りの傾きに基づいて、受信側装置において、初期値
からの傾きを求め、その傾きを合成し、合成した傾きか
ら斜面崩壊を判定するようにしてもよい。斜面に設置さ
れる送信側装置よりも、受信側装置のほうが能力的な余
裕があるので、初期値の記憶や傾きの処理などを受信側
装置で行わせることにより高速で処理することが可能に
なる。また、この場合には、受信機側で傾き変化の履歴
を取ることができる。
【0016】本発明において必要とされる傾き合成手段
は、プログラムにより実現することができる。例えば、
傾き検出素子によって検出された傾きがθx、θyであ
るとすれば、合成された傾きθとの間には、 tanθ=tanθx+tanθy の関係があるので、上記関係式を満たすような傾きθの
近似解をプログラムにより求めることにより実現でき
る。あるいは、初期値を考慮する場合には、傾き検出素
子によって検出された傾きがθx、θy、その初期値が
θxo、θyo、初期値を合成した傾きがθoであるとす
れば、合成された傾きθとの間には、 tan(θ−θo)=tan(θx−θxo)+tan(θ
y−θyo) の関係があるので、上記関係式を満たすような傾きθの
近似解をプログラムにより求めることにより実現でき
る。このようにプログラムによって演算するようにすれ
ば、安価なコストで判定手段を得ることができる。
【0017】また、本発明のさらに別な実施形態では、
振動や衝撃等の外乱によって接点が開閉される接点式セ
ンサをさらに備え、常時は前記傾き検出素子を含む一部
の素子又は回路をオフもしくは節電状態で待機させてお
き、前記接点式センサが振動や衝撃等の外乱を感知する
ことによってオフもしくは節電状態となっていた素子又
は回路を起動させるようにしている。
【0018】振動等によって接点が開閉される接点式セ
ンサでは、検出時の消費電流を小さくできる。また、傾
き検出素子等の素子や回路の一部は常時はオフまたは消
費電流の小さな節電状態となっており、接点式センサの
作動によって起動されるので、斜面崩壊検出装置の信頼
性を低下させることなく、消費電流を小さくできる。山
の斜面等に設置される斜面崩壊検出装置では、通常は電
池で駆動されるので、消費電流を節減することにより、
電池寿命を長くし、電池交換頻度を小さくできる。
【0019】さらに、接点式センサを備えたこの実施形
態においては、電磁波や光等の媒体を通じて信号を送信
する手段と、前回送信時における傾きを記憶しておく手
段とをさらに備え、前記接点式センサが外乱を感知して
傾き検出素子を起動したとき、該傾き検出素子により求
められた傾きを前回送信時の傾きと比較し、求められた
傾きが前回送信時の傾きを基準とする所定角度以上であ
れば、傾き検出素子により求められた傾きを送信するよ
うにすることもできる。この場合には、接点式センサの
作動により傾き検出素子が起動されても、傾き検出素子
で求められた傾きが前回送信時の傾きを基準とする所定
角度以上であれば、この傾きを送信するが、そうでなけ
れば送信しないので、送信回数が低減し、消費電流をよ
り一層節減することができる。なお、送信した場合に
は、その傾きによって前回送信時の傾きは更新される。
また、ここでいう傾きは、傾き検出素子で計測されたも
のでも、初期値から傾きでも、あるいは合成された傾き
でもよい。
【0020】また、接点式センサを備えた実施形態にお
いては、接点式センサが振動や傾き等の外乱を感知した
とき、これを報知する手段と、接点式センサの感度を調
整する手段とを設けておいてもよい。振動の多い場所、
例えば道路際や橋などに隣接している場合には、接点式
センサが煩雑にオンし、常時傾き検出素子や処理回路等
が起動してしまう恐れがある。このような場合には、接
点式センサが感知したときに報知する手段を見れば、接
点式センサが頻繁にオンになっていることが分かる。接
点式センサが頻繁に作動するようであれば、接点式セン
サの感度を調整して頻繁に作動しないように調整でき
る。
【0021】本発明にかかる斜面崩壊検出用受信側装置
は、直交する2軸の回りにおける傾きを合成する手段
と、合成された傾きに基づいて斜面崩壊を判定する手段
とを備えたものである。
【0022】本発明の斜面崩壊検出用受信側装置によれ
ば、直交する2軸回りの傾きを合成して実際の傾きを再
現し、合成した傾きに基づいて斜面崩壊を判定している
ので、判定精度を高くできる。また、傾きの方向によっ
て斜面判定の精度がばらつくことがなく、正確な判定を
行うことができる。
【0023】なお、この発明の以上説明した構成要素
は、可能な限り組み合わせることができることはもちろ
んである。
【0024】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)図1(a)
(b)(c)は本発明にかかる斜面崩壊検出システムの
イメージ図である。図1(a)は山の急傾斜面など斜面
崩壊を監視しようとする場所を表しており、斜面崩壊の
起きる可能性のある場所には複数の子機1(斜面崩壊検
出装置)が固定されている。この子機1内には送信回路
が納められており、土砂崩れが発生して子機1が動いた
り、傾いたりしてが斜面崩壊が発生したと判断すると、
子機1内の送信回路から図1(b)の親機2へ異常検出
信号を送信する。なお、子機1から親機2へ信号を直接
に送信するのでなく、子機1を斜面崩壊の起きやすい場
所に設置し、その近傍に送信機(図示せず)を設置して
おき、各子機1から当該送信機へ信号を送り、この送信
機から親機2へ信号を送信するようにしてもよい。この
ように別途送信機を設けて子機から親機への信号を中継
するようにすれば、各子機1内に設ける送信回路を通信
距離が短く、安価なものにすることができる。
【0025】一方、図1(b)に示す親機2は子機1の
設置位置から離れた安全な場所で、子機1の設置地域全
体を見通すことができるように設置されており、各子機
1からの信号を受信する。
【0026】図1(c)は監視室であって、ここではネ
ットワーク、電話回線、無線通信などの通信回線3を介
して親機2とコンピュータ(端末機)4とがつながれて
おり、コンピュータ4を用いて係員が斜面崩壊の発生な
いし危険(予知現象)を監視している。
【0027】図2は子機1及び親機2の構成を示すブロ
ック図である。子機1は、接点式センサ6、傾き検出方
向が互いに直交する2つの傾きセンサ7x、7y、メモ
リ8、タイマ回路9、送信回路10、これらを制御する
制御回路11、アンテナ12及び電池13によって構成
されている。ここで制御回路や送信回路はマイクロプロ
セッサやIC等によって構成されており、タイマ回路や
メモリなどはIC等によって構成されている。
【0028】また、親機2は、子機1からの信号を受信
するための受信回路14、アンテナ15、制御回路1
6、報知用のブザー17を備えている。また、親機2の
外面には、各子機1に対応したランプ18を備えてい
る。符号19は監視室のコンピュータと接続するための
コネクタである。
【0029】接点式センサ6は、傾きや振動、衝撃等を
検知するものであって、例えば図3のようなセンサヘッ
ド部21と図4のような検出回路22とからなる。ま
ず、センサヘッド部21を説明すると、絶縁台23の上
面中央にはプラス電極24が配置され、その周囲にはマ
イナス電極25が設けられており、プラス電極24とマ
イナス電極25とは互いに電気的に絶縁されている。こ
のプラス電極24とマイナス電極25との間に形成され
た溝26の上には鋼球27が置かれ、その上方を蓋28
によって覆っている。接点式センサ6が静置されている
場合には、鋼球27は溝26に乗っていてプラス電極2
4とマイナス電極25とを導通させている。しかし、接
点式センサ6が傾いたり、接点式センサ6に振動や衝撃
が加わったりすると、鋼球27がプラス電極24又はマ
イナス電極25から浮いて離れるので、プラス電極24
につながったプラス端子29とマイナス電極25につな
がったマイナス端子30との間が非導通状態になる。従
って、このプラス端子29とマイナス端子30の間が非
導通状態にあるか、導通状態にあるかを検出回路22で
電気的に判別することにより、センサヘッド部21に傾
きや振動、衝撃などが加わっているか否かを判別でき
る。
【0030】検出回路22においては、図4に示すよう
に、センサヘッド部21のプラス端子29は高抵抗(例
えば、1MΩ)の抵抗31が直列に接続されており、抵
抗31に5ボルトの電源電圧が印加され、センサヘッド
部21のマイナス端子30が接地されている。抵抗31
とセンサヘッド部21の接続点には抵抗32の一端が接
続され、抵抗32の他端とグランドとの間にコンデンサ
33が接続され、また抵抗32の他端にはC-MOSト
ランジスタ等を用いた消費電流の小さなC−MOS回路
34が接続されている。そして、センサヘッド部21が
振動や衝撃等を感知しておらず、プラス端子29及びマ
イナス端子30間が導通状態となっている場合には、C
-MOS回路34への入力信号はロー(L)となってい
るが、センサヘッド部21が振動や衝撃等を感知し、プ
ラス端子29及びマイナス端子30間が非導通状態とな
り、C-MOS回路34への入力信号がハイ(H)にな
ると、接点式センサ6から制御回路へ起動信号が出力さ
れる。抵抗32とコンデンサ33の時定数を変更するこ
とにより、接点式センサ6の感度を調整できる。なお、
接点式センサ6としては、例えば特開平10−2655
4号公報中に感震器として記載されているものを用いて
もよい。また、接点式センサとしては、ここで説明した
ような接点常閉(normally close)型のものであれば、
接点式センサ自身の故障検知も行えるが、接点常開(no
rmally open)型のものを用いて消費電力をより少なく
することも可能である。
【0031】この子機1においては、常時は、接点式セ
ンサ6及びタイマ回路9のみを動作させておき、その他
の消費電流の大きな傾きセンサ7x、7y、制御回路1
1、送信回路10等は必要な時にのみ動作させる。すな
わち、接点式センサ6は、常時検出動作しており、傾
き、振動又は衝撃を感知すると制御回路11に起動信号
を出力し、制御回路11と傾きセンサ7x、7yを起動
し、子機1全体で斜面崩壊の有無を検知させる。傾きセ
ンサ7x、7yと制御回路11を起動して斜面崩壊の有
無を検知し、異常がないと判断すれば、傾きセンサ7
x、7yと制御回路11は直ちに、あるいは所定時間経
過してから、再びオフ(又は、節電モード)になる。
【0032】接点式センサ6のセンサヘッド部21は、
常時動作していてもそれ自体電流を消費しないものであ
り、また制御回路11や傾きセンサ7x、7yを起動す
るための検出回路22も数μAオーダーの消費電流に抑
えることができる。
【0033】また、タイマ回路9は、傾きや振動、衝撃
などが発生してない時でも、定期的に制御回路11と送
信回路10を起動し、送信回路10を通じて子機1が正
常であることを親機2へ知らせる。タイマ回路9により
定期送信し終わったら、制御回路11及び送信回路10
は直ちにオフ(又は、節電モード)になる。このように
してタイマ回路9が制御回路11及び送信回路10を起
動して定期送信を行う時以外に、タイマ回路9に常時流
れる消費電流は数10μAオーダーである。
【0034】このように通常は、接点式センサ6とタイ
マ回路9だけが動作しているので、子機1の消費電流を
非常に少なくすることができる。よって、電池の消耗が
少なくなり、電池寿命(電池交換時期)を延ばすことが
できる。
【0035】つぎに、静電容量型の傾きセンサ7x、7
yの構造を図5に示す。傾きセンサは、薄板状をしたセ
ンサ本体35を2枚のガラス基板37、37で挟み込ん
だ構造となっている。センサ本体35は、シリコン基板
にマイクロマシニング加工を施すことによって製作され
たものであり、フレーム36の内周から延出されたビー
ム38の先に錘39が形成されている。ガラス基板3
7、37の内面には、錘39と対向させて固定電極4
0、41が設けられており、シリコン製の錘39(可動
電極)と固定電極40、41との間に静電容量が形成さ
れている。錘39及び両固定電極40、41からはそれ
ぞれリード42、43、44が引き出されており、これ
らのリード42、43、44によって錘39と各固定電
極40、41との間の静電容量を計測できるようになっ
ている。
【0036】ビーム38で支持された錘39は、ビーム
38を曲げ変形させることによって傾きセンサ7x、7
yの厚み方向にのみ変位できるようになっており、その
変位量に応じて錘39と各固定電極40、41の間の静
電容量が変化する。従って、この傾きセンサ7x、7y
では、1方向の傾き(図5の紙面に垂直な軸方向の回り
の傾き)だけを検出できるようになっており、傾きセン
サ7x、7yが傾くことによって錘39が変位すると、
錘39と固定電極40、41との間の距離が変化するこ
とによって2つの静電容量が変化する。図6は角度θだ
け傾いた傾きセンサ7x、7yを表しており、Gは錘3
9に加わっている重力の大きさ(=mg;ここでmは錘
の質量、gは重力加速度である。)である。錘39は、
傾きセンサ7x、7yの厚み方向にしか変位することが
できないので、錘39を変位させる力は重力Gのセンサ
厚み方向成分(分力)Gsinθである。このセンサ厚み
方向成分Gsinθによって錘39が変位し、それによっ
て錘39と固定電極40、41の間のギャップ寸法が変
化し、それによって錘39と固定電極40、41の間の
静電容量が変化するので、この静電容量の変化を検出す
ることによって錘39に加わるセンサ厚み方向成分Gsi
nθを知ることができ、それより傾きθを検出すること
ができる。実際には、傾きセンサ7x、7yの検出回路
(図示せず)で、錘39と固定電極40、41の間の静
電容量を用いて発振回路を形成してあり、この静電容量
の変化によって発振回路の発振周波数を変化させ、その
出力を電圧に変換することで傾きセンサ7x、7yの傾
きを検知している。
【0037】なお、このような静電容量型の傾きセンサ
7x、7yは、マイクロマシニング技術を用いて製作さ
れるので、非常に小型であり、また構造が簡単であるた
め、衝撃や振動に強いという特徴がある。また、錘39
及び固定電極40、41は、フレーム36及びガラス基
板37によって封止されているので、高い耐環境性を有
している。
【0038】子機1では、図5に示したような構造を有
する2つの傾きセンサ7x、7yを、それぞれ直交する
2軸の回りの傾きを検出できるように配置している。こ
こで、Z軸を重力の方向に取ると、一方の傾きセンサ7
xはX軸の回りの傾きを検出するように配置され、もう
一方の傾きセンサ7yはY軸の回りの傾きを検出するよ
うに配置される。そして、一方の傾きセンサ7xはX軸
回りの傾きθxを検出して制御回路11へ出力し、他方
の傾きセンサ7yはY軸回りの傾きθyを検出して制御
回路11へ出力する。制御回路11は、両傾きセンサ7
x、7yが検出した各方向の傾きθx、θyを受け取る
と、後述のようにして直交する2軸の回りの傾きθx、
θyを合成して子機1の実際の傾きθを演算する。そし
て、合成された傾きθと所定のしきい値θthとを比較
し、この傾きθが所定のしきい値θthよりも大きい場合
には、斜面崩壊ありと判定し、傾きθが所定のしきい値
θthよりも小さい場合には、斜面崩壊なしと判定する。
【0039】図7に示すようにX軸、Y軸、Z軸を定め
るとき、傾きのない状態では、子機1の基準方向K(各
傾きセンサ7x、7yのビーム基部と錘の重心とを結ぶ
方向)はZ軸と平行な方向を向いている。いま、子機1
が角度θだけ傾いて、その基準方向Kが図7のP方向へ
変化したと考えると、このP方向をZX平面に投影した
方向Pyの傾きθyはY軸の回りの傾きを検出する傾き
センサ7yにより検出される傾きとなり、P方向をYZ
平面に投影した方向Pxの傾きθxはX軸の回りの傾き
を検出する傾きセンサ7xにより検出される。
【0040】傾きセンサ7x、7yによって検出される
傾きθx、θyと傾きセンサの傾き(最大傾き角)θとの
関係を求めるため、図7において、XY平面と平行な平
面を想定し、この平面と方向Pとが交わる点をA、この
平面と方向Pxとが交わる点をB、この平面とZ軸とが
交わる点をC、この平面と方向Pyとが交わる点をDと
すれば、図7から次の(1)式が導かれる。 CA=CB+CD …(1) ここで、CA=OCtanθ、CB=OCtanθx、CD=
OCtanθyであるから、上記(1)式は次のようになる。 tanθ=tanθx+tanθy …(2) よって、2つの傾きセンサにより検出された直交2軸回
りの傾きθx、θyを合成して得られる子機又は斜面崩壊
検出センサの傾きθは、次の(3)式で表される。 θ=arctan{√(tanθx+tanθy)} …(3) すなわち、X軸、Y軸の2軸の回りの傾きθx、θyを傾
きセンサ7x、7yにより測定すれば、制御回路11で
演算することにより、傾きセンサ7x、7yの出力から
(3)式を使って合成した傾き角度θを計算することがで
きる。なお、傾き角度θx、θyが小さい場合には、上記
(2)式、(3)式におけるtanはsinに、arctanはarcsinに置
き替えても差し支えない。
【0041】図8は子機1の傾いている様子を表した図
である。例えば、従来のように各傾きセンサが個別に傾
きを検出しており、それぞれ垂直方向(Z軸方向)から
例えば45°以上傾いた時を斜面崩壊と判断する場合を
考えると、子機がX軸又はY軸の回りに傾くときには、
ちょうど45°傾いた時に斜面崩壊と判定される。しか
し、例えばX軸及びY軸に対して45°の垂直面内で垂
直方向から45°傾いた場合は、上記(2)式を使って計
算すると、X軸方向の回りでもY軸方向の回りでも、い
ずれも傾き成分は35°にしかならないので、斜面崩壊
と判断されない。従って、図8の各方位における傾きが
いずれも45°であるとしても、図6にイで示したよう
にX軸又はY軸方向へ傾いた場合には、斜面崩壊が検出
されるのに、図6にロで示したようにX軸方向とY軸方
向に対して対角方向へ傾いた場合には、斜面崩壊が検出
されなくなる。よって、子機の設置の仕方や斜面崩壊の
生じる向きによって誤差が大きくなり、信頼性が低くな
る。
【0042】これに対し、本発明の斜面崩壊検出装置で
は、合成した傾き(実際の傾き)θに基づいて斜面崩壊
を検出するので、図8にのイで示したように傾く場合で
も、図8にロで示したように傾く場合でも、45°以上
の傾きであれば斜面崩壊ありと判断することができる。
よって、子機の設置の仕方や斜面崩壊の発生の仕方に影
響を受けにくく、検出の正確度が高くなり、信頼性も向
上する。
【0043】なお、上記実施形態では、合成された傾き
θを演算により求めた後、これを所定のしきい値θthと
比較することによって斜面崩壊が起きたか否かを判定し
ていたが、傾きセンサ7x、7yで検出され制御回路1
1で合成された傾きθの波形(時間波形)に基づいて斜
面崩壊が起きたか否かを判定するようにしても良い。波
形によって判定する方法としては、例えば特開平9−1
13351号公報に開示されている方法を利用すること
ができる。
【0044】しかして、この斜面崩壊検出システムにお
いては、常時はタイマー回路9と接点式センサ6だけを
動作状態とし、他の制御回路11や傾きセンサ7x、7
y等はオフ又は節電モードにしているので、消費電力を
少なくでき、電池寿命を短くできる。一方、タイマー回
路9は一定時間毎にカウントアップ及びリセットを繰り
返しており、タイマー回路9がカウントアップすると制
御回路11及び送信回路10を起動させ、子機1から親
機2へIDコードを含んだ信号を送信する(なお、ID
コードは、子機1の設定ボタンを押しながら電源スイッ
チを入れて子機1を設定モードにし、子機1から親機2
に電波を発射することによって登録される。)。親機2
は、この信号を定期的に受信することによって、各子機
1に故障ないし異常のないことを確認する。そして、信
号受信時期が到来しても、信号を受信できない場合に
は、当該子機1に対応するランプ18を点灯させて故障
を報知すると共に監視室のコンピュータ4へ通報する。
【0045】また、斜面崩壊や地震等によって接点式セ
ンサ6が振動等を感知すると、接点式センサ6は制御回
路11と傾斜センサ7x、7yを起動させる。制御回路
11と傾斜センサ7x、7yが起動すると、傾斜センサ
7x、7yによって各方向の傾きθx、θyが計測さ
れ、制御回路11により2方向の傾きθx、θyから実
際の傾きθが合成され、しきい値θthと比較することに
より斜面崩壊が起きたか否か判定される。この判定結果
は、起動された送信回路10によってIDコードと共に
親機2へ送信される。親機2がこの異常検出信号を受信
すると、ブザーを鳴らして報知し、当該子機1に対応す
るランプ18を点灯させると共に監視室のコンピュータ
4へ通報する。
【0046】従って、この斜面崩壊検出システムによれ
ば、小さな消費電力で斜面崩壊を精度よく監視すること
ができ、ランニングコストが安価になる。また、電池寿
命が長くなるので、電池交換の頻度を減らすことができ
る。
【0047】(子機と親機との処理の分担)上記実施形
態では、子機1の傾きセンサ7x、7yで傾きθx、θ
yを検出し、それを合成して実際の傾きθを求め、さら
に合成した傾きθとしきい値θthとを比較することによ
って斜面崩壊が起きたか否かを判定し、その判定結果を
親機2へ送信していた。これに対し、子機1の傾きセン
サ7x、7yで傾きθx、θyを検出し、制御回路11
でそれを合成して実際の傾きθを求め、この合成された
傾きθを示す信号を親機2へ送信し、親機2またはコン
ピュータ4によって斜面崩壊が起きたか否かを判定する
ようにしてもよい。あるいは、子機1の傾きセンサ7
x、7yで傾きθx、θyを検出し、この傾きθx、θ
yを示す信号を親機2へ送信し、親機2またはコンピュ
ータ4において傾きθx、θyを合成して実際の傾きθ
を求め、さらに合成した傾きθとしきい値θthとを比較
することによって斜面崩壊の有無を判定するようにして
もよい。
【0048】(初期値の導入)実際の斜面に子機1を設
置する時には、子機1の基準方向を鉛直方向に合わせて
正確に設置することは困難である。そこで、次に説明す
る実施形態では、子機1を設置した時点における各傾き
センサ7x、7yの傾きを初期値θxo、θyoとして子
機1内のメモリ8に記憶させておき、各傾きセンサ7
x、7yの検出値θx、θyに対してそれぞれ初期値か
らの傾きΔθx=θx−θxo、Δθy=θy−θyoを
求め、ついでこの傾きΔθx、Δθyを合成することに
よって合成された傾き(初期値からの実際の傾き)Δθ
を求め、この合成された傾きΔθとしきい値θthとを比
較することによって斜面崩壊判定を行うようにしてい
る。このように設置時の初期値からの傾きによって斜面
崩壊を判定するようにすれば、斜面崩壊が起きたか否か
の判定を正確に行うことができる。また、この方法によ
れば、子機1を設置する際のばらつきや設置誤差、傾き
センサ7x、7yを子機のケーシングに内蔵させる際の
誤差、傾きセンサ7x、7y自体の製造誤差などもキャ
ンセルすることができる。
【0049】また、最初の実施形態では、常時は接点式
センサ6とタイマ回路9だけを動作させておくことによ
り、消費電力を節減している。しかし、子機1は、頻繁
に電池を交換できないような場所に設置されることが多
く、子機1の内部の回路による消費電力は少しでも低減
させることが望ましい。
【0050】そのため、接点式センサ6が振動等を検知
した後、傾きΔθx、Δθyを合成して傾きΔθを求
め、この合成された傾きΔθとしきい値θthとを比較し
て斜面崩壊が起きたか否かを判断するまでの処理を子機
1内で実行する形態であれば、斜面崩壊が起きたと判断
した場合にのみ送信回路10を起動して親機2に異常信
号を送信するようにすれば、子機1から親機2に送信す
る回数を減らすことができ、電池の消耗を抑えることが
できる。
【0051】この場合の子機1における処理動作を図9
に示す。まず、子機1を設置した時、傾きセンサ7x、
7yで計測された傾きが初期値θxo、θyoとしてメモ
リ8に格納される(ステップS1)。この後、タイマ回
路9のカウントアップ(ステップS2)、又は接点式セ
ンサ6の作動(ステップS3)をイベントとして処理が
開始される。タイマ回路9がカウントアップして定期送
信時となった場合(ステップS2)には、子機1から親
機2には定期送信信号が送られる。
【0052】これに対し、接点式センサ6が作動した場
合には、傾きセンサ7x、7yと制御回路11が起動さ
れ、傾きセンサ7x、7yは子機1の傾きθx、θyを
検出し(ステップS4)し、制御回路11は初期値から
の傾きΔθx=θx−θxo、Δθy=θy−θyoを演
算し(ステップS5)、さらにΔθx、Δθyを合成し
て傾きΔθを求める(ステップS6)。
【0053】ついで、制御回路11は合成された傾きΔ
θを所定のしきい値θthと比較し(ステップS7)、傾
きΔθがしきい値θthよりも大きくて斜面崩壊が起きて
いると判断すると(ステップS8)、送信回路10を起
動して親機2に異常信号を送信する(ステップS9)。
これに対し、傾きΔθがしきい値θthよりも小さくて斜
面崩壊崩壊の恐れがないと判断すると(ステップS7で
NOの場合)、傾きセンサ7x、7yと制御回路11を
オフにして待機状態に戻る。従って、不要な送信動作を
減らすことができ、消費電力を節約することができる。
【0054】あるいは、図10に示すような処理動作に
よってもよい。図10のステップS1〜ステップS6ま
では、図9のステップS1〜S6と同じであるから説明
は省略する。また、この処理では、斜面崩壊が起きたか
否かを判定するためのしきい値θthよりも小さな値の設
定値θs(<θth)を有している。そして、ステップS
6で合成された傾きΔθを求めた後、制御回路11は、
合成された傾きΔθを設定値θsと比較し(ステップS
10)、傾きΔθが設定値θsよりも小さいと、傾きセ
ンサ7x、7yと制御回路11をオフにして待機状態に
戻る。
【0055】これに対し、合成された傾きΔθが設定値
θsよりも大きい場合には、さらに合成された傾きΔθ
を所定のしきい値θthと比較し(ステップS11)、傾
きΔθがしきい値θthよりも大きくて斜面崩壊が起きて
いると判断すると(ステップS12)、送信回路10を
起動して親機2に異常信号を送信する(ステップS1
4)。また、傾きΔθが(設定値θsよりも大きく)し
きい値θthよりも小さくて斜面崩壊が起きていないと判
断すると(ステップS13)、送信回路10を起動して
親機2に異常なしの信号を送信する(ステップS1
4)。
【0056】この図10の処理方法によれば、接点式セ
ンサ6が作動しても傾きΔθが小さければ親機2に送信
せず、消費電力を節約するが、傾きΔθがしきい値θth
を越えていなくてもしきい値θthに近い場合には親機2
に送信し、接点式センサ6が作動してしきい値θthに近
い傾きΔθが検出されたことを報知する。
【0057】しかし、接点式センサ6が振動等を検知し
た後、傾きΔθx、Δθy(あるいは、θx、θy)を
検出してこれを送信するまでの処理を子機1内で実行
し、(初期値からの傾きΔθx、Δθyを求め、)傾き
Δθx、Δθyを合成して傾きΔθを求め、この合成さ
れた傾きΔθとしきい値θthとを比較して斜面崩壊が起
きたか否かを判断するまでの処理を親機2で実行する形
態であれば、子機1において斜面崩壊を判定することが
できず、図9又は図10に示したような処理方法は用い
ることができない。そこで、このような形態の斜面崩壊
検出システムの場合には、傾きを子機1から親機2へ送
信した後、その傾きを前回送信時の傾きとして子機1の
メモリ8に記憶させておき、接点式センサ6の作動によ
り傾きを求めた場合には、前回送信時の傾きと比較し、
その変化量が設定値よりも大きい場合にのみ子機1から
親機2へ送信させるようにしている。
【0058】この形態の場合を図11により説明する。
図11(a)は子機1における処理を示し、図11
(b)は親機2における処理を示しており、図11で
は、初期値θxo、θyoは親機2のメモリに記憶されて
いる場合について説明している。図11(a)のステッ
プS1〜ステップS4までは、図9のステップS1〜S
4と同じであるから説明は省略する。この処理方法で
は、ステップS4で各方向における傾きθx、θyを検
出した後、制御回路11は、傾きθx、θyとメモリ8
に記憶している前回送信時の傾きθxpre、θypreとの
変化量δθx=θx−θxpre、δθy=θy−θypre
をそれぞれ求め、この変化量δθx、δθyと予め定め
られた設定値θxt、θytと比較し(ステップS1
5)、δθx<θxt、かつδθy<θytであると、
傾きセンサ7x、7yと制御回路11をオフにして待機
状態に戻る。
【0059】これに対し、いずれかの変化量が設定値よ
りも大きく、δθx≧θxt又はδθy≧θytであれ
ば、検出した傾きθx、θyでメモリ8内の値θxpr
e、θypreを更新し(ステップS16)、送信回路10
を起動して検出した傾きθx、θyを親機2に送信する
(ステップS17)。従って、両傾きθx、θyの前回
送信値θxpre、θypreからの変化量が小さい場合には
送信を行わない。
【0060】こうして、子機1から各傾きセンサ7x、
7yの傾きθx、θyを受け取った(ステップS18)
親機2は、図11(b)に示すように、制御回路16に
より各傾きθx、θyの初期値からの変化量Δθx、Δ
θyを演算し(ステップS19)、Δθx、Δθyを合
成して傾きΔθを求め(ステップS20)、合成された
傾きΔθとしきい値θthとを比較し(ステップS2
1)、傾きΔθがしきい値θthよりも大きいと斜面崩壊
が起きていると判断し(ステップS22)、警報などの
出力を行い、また傾きΔθがしきい値θthよりも小さい
と斜面崩壊が起きていないと判断する(ステップS2
2)。
【0061】よって、これらの実施形態では、接点式セ
ンサ6が振動等を検出した場合でも、繰り返し発生して
いるような振動の場合(例えば、道路付近の斜面で常時
振動が発生している場所や、動物などが子機1に衝突し
た場合など、子機1は傾いていないが、接点式センサ6
が動作して制御回路11が起動してしまったような場
合)には、子機1から異常信号を送信させないように
し、無駄な消費電流をさらに節減させることができる。
また、このように最終的な斜面崩壊検知の基準しきい値
を親機側に持たせておくと、斜面やその周辺の状況によ
ってしきい値を変更でき、より正確な判定を行うことが
できる。同様に、初期値の記憶機能を親機側に持たせて
おく場合も、同様の効果がある。その他、電池電圧異常
や無線受信異常などの機能を盛り込むこともできる
【0062】(初期値設定の方法)子機は、雨や土砂の
かかる環境に設置するためケーシングの防水対策が重要
である。防水を確実に行える構造にするためには、操作
スイッチをケーシング外側に備えたり、ケーシングを開
けて中の操作スイッチを操作することは困難となる。特
に、斜面に設置ないし固定した後には、ケーシングを開
けることは難しくなる。従って、子機1を斜面に設置し
た際、傾きθx、θyの初期値を記憶させる方法が問題
となる。そこで、初期値の設定方法を説明する。
【0063】まず、第1の方法によれば、子機1を斜面
に設置する前に操作を行ってタイマー回路9を設定し
(例えば、子機1のケーシングを開いてタイマー設定ス
イッチを操作し、再び筐体を閉じる。)、タイマー回路
9がカウントアップする前に斜面に子機1を設置し、タ
イマ回路9の働きで一定時間後に自動的に傾きθx、θ
yを測定し、それを初期値θxo、θyoとしてメモリ8
に記憶させる。その後、子機1は斜面崩壊検知モードに
自動的に移行する。
【0064】第2の方法によれば、子機1の内部にマグ
ネットスイッチを備えておき、子機1のケーシング外部
から磁石を使ってマグネットスイッチをオンさせること
により、その時の傾きθx、θyを初期値θxo、θyo
としてメモリ8に記憶させる。その後、子機1は斜面崩
壊検知モードに自動的に移行する。なお、この場合、ケ
ーシング全体またはマグネットスイッチ部分のケーシン
グは非金属製である。
【0065】第3の方法は、送信回路だけでなく、受信
回路も備えた子機1の場合である。この方法では、子機
1を設置する前に受信回路を動作させておき、子機1を
斜面に設置した後、外部から初期値記憶命令の電波を送
信してやると、その時の傾きθx、θyを初期値θx
o、θyoとしてメモリ8に記憶し、その後受信回路はオ
フし、子機1が斜面崩壊検知モードに自動的に移行す
る。
【0066】(異なる構成の接点式センサ)また、接点
式センサには、図12に示すように、接点式センサが振
動や傾き等の外乱を感知したとき、これを報知するLE
D回路やブザー等の報知器47と、感度調整回路45と
を設けておいてもよい。このの報知器47と制御回路側
とは、スイッチ46で切り換えることができる。
【0067】振動の多い場所、例えば道路際や橋などに
子機1が設置されている場合には、接点式センサ6が煩
雑にオンし、常時傾き検出素子7x、7yや制御回路1
1の電源がオンする恐れがあり、これを放置すると電池
寿命が極端に短くなってしまう。そのような場合には、
スイッチ46を報知器47側に切り換えておくと、接点
式センサ6が振動等を感知して出力すると、LED等の
報知器47が接点式センサ6の検知頻度に応じて点滅す
るので、接点式センサ6の検知頻度が分かる。報知器4
7の点灯する頻度が高すぎる場合には、感度調整回路4
5により接点式センサ6の感度が適当になるように調整
し、調整後はスイッチ46を制御回路側へ戻す。
【0068】
【発明の効果】上記のように、本発明にかかる斜面崩壊
検出装置及び斜面崩壊検出用受信側装置によれば、直交
する2軸回りの傾きを合成して実際の傾きを再現し、合
成した傾きに基づいて斜面崩壊を判定しているので、判
定精度を高くできる。また、傾きの方向によって斜面判
定の精度がばらつくことがなく、正確な判定を行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明にかかる斜面崩壊検出システムの
イメージ図である。
【図2】同上の斜面崩壊検出システムにおいて用いられ
ている子機及び親機の構成を示すブロック図である。
【図3】同上の子機内に含まれる接点式センサのセンサ
ヘッド部を示す概略断面図である。
【図4】図2の子機に含まれる接点式センサの検出回路
を表した回路図である。
【図5】静電容量型の傾きセンサの構造を示す断面図で
ある。
【図6】同上の傾きセンサが傾いた状態で、錘に働く力
を示す図である。
【図7】2つの傾きセンサが検出する2方向における傾
きθx、θyと実際の傾きθとの関係を求めるための図
である。
【図8】子機の傾く種々の方向を示した図である。
【図9】本発明の別な実施形態において斜面崩壊検出シ
ステムにおける動作を表したフロー図である。
【図10】本発明のさらに別な実施形態において斜面崩
壊検出システムにおける動作を表したフロー図である。
【図11】本発明のさらに別な実施形態において斜面崩
壊検出システムにおける動作を表したフロー図である。
【図12】本発明のさらに別な実施形態における接点式
センサの構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 子機 2 親機 6 接点式センサ 7x、7y 傾きセンサ 8 メモリ 9 タイマ回路 10 送信回路 11 制御回路 14 受信回路 21 センサヘッド部 22 検出回路 24 プラス電極 25 マイナス電極 27 鋼球 38 ビーム 39 錘 40、41 固定電極

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直交する2軸の回りにおける各傾きを検
    出する2つの傾き検出素子と、各傾き検出素子からの検
    出信号に基づいて直交する2軸の回りにおける各傾きを
    合成する手段と、合成された傾きに基づいて斜面崩壊を
    判定する手段とを備えた斜面崩壊検出装置。
  2. 【請求項2】 前記合成された傾きの大きさと所定のし
    きい値とを比較することにより、斜面崩壊を判定するこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の斜面崩壊検出装置。
  3. 【請求項3】 設置時における各傾き検出素子の傾きを
    初期値として記憶しておき、各傾き検出素子のそれぞれ
    の初期値からの傾きを検出し、当該傾きを前記傾き合成
    手段により合成して前記判定手段により斜面崩壊を判定
    するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の斜
    面崩壊検出装置。
  4. 【請求項4】 電源投入後あらかじめ設定された時間が
    経過したときに検出した傾きを初期値として記憶するよ
    うにしたことを特徴とする、請求項4に記載の斜面崩壊
    検出装置。
  5. 【請求項5】 ケーシング内に磁気を感知して作動する
    スイッチを内蔵させておき、該磁気感知スイッチが動作
    したときに検出した傾きを初期値として記憶するように
    したことを特徴とする、請求項4に記載の斜面崩壊検出
    装置。
  6. 【請求項6】 電磁波や光等の媒体を通じて信号を受信
    する手段をさらに備え、所定の信号を受信したときに検
    出した傾きを初期値として記憶するようにしたことを特
    徴とする、請求項4に記載の斜面崩壊検出装置。
  7. 【請求項7】 2つの前記傾き検出素子を有する送信側
    装置と、初期値からの傾きを求める手段、傾きを合成す
    る手段及び合成された傾きから斜面崩壊を判定する手段
    を有する受信側装置とからなり、送信側装置と受信側装
    置との間で通信可能となった請求項4に記載の斜面崩壊
    検出装置において、 送信側装置を設置した時の傾きを初期値として受信側装
    置で記憶しておき、送信側装置で検出した直交2軸の回
    りの傾きに基づいて、受信側装置において、初期値から
    の傾きを求め、その傾きを合成し、合成した傾きから斜
    面崩壊を判定するようにしたことを特徴とする斜面崩壊
    検出装置。
  8. 【請求項8】 振動や衝撃等の外乱によって接点が開閉
    される接点式センサを備えた請求項1に記載の斜面崩壊
    検出装置において、、 常時は前記傾き検出素子を含む一部の素子又は回路をオ
    フもしくは節電状態で待機させておき、前記接点式セン
    サが振動や衝撃等の外乱を感知したとき、オフもしくは
    節電状態となっていた素子又は回路を起動させるように
    したことを特徴とする斜面崩壊検出装置。
  9. 【請求項9】 電磁波や光等の媒体を通じて信号を送信
    する手段と、前回送信時における傾きを記憶しておく手
    段とを備えた請求項9に記載の斜面崩壊検出装置におい
    て、 前記接点式センサが外乱を感知して傾き検出素子を起動
    したとき、該傾き検出素子により求められた傾きを前回
    送信時の傾きと比較し、求められた傾きが前回送信時の
    傾きを基準とする所定角度以上であれば、傾き検出素子
    により求められた傾きを送信するようにしたことを特徴
    とする斜面崩壊検出装置。
  10. 【請求項10】 前記接点式センサが振動や傾き等の外
    乱を感知したとき、これを報知する手段と、前記接点式
    センサの感度を調整する手段とを備えたことを特徴とす
    る、請求項9に記載の斜面崩壊検出装置。
  11. 【請求項11】 直交する2軸の回りにおける傾きを合
    成する手段と、合成された傾きに基づいて斜面崩壊を判
    定する手段とを備えた斜面崩壊検出用受信側装置。
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