JP2001243979A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP2001243979A
JP2001243979A JP2000051971A JP2000051971A JP2001243979A JP 2001243979 A JP2001243979 A JP 2001243979A JP 2000051971 A JP2000051971 A JP 2000051971A JP 2000051971 A JP2000051971 A JP 2000051971A JP 2001243979 A JP2001243979 A JP 2001243979A
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solvent
organic
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Toru Shiga
亨 志賀
Shigehiro Kawauchi
滋博 川内
Kensuke Takechi
憲典 武市
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 出力電圧4V級の電池としての使用上の安全
性を確保し、充放電サイクル特性も優れた非水電解液二
次電池を提供すること。 【解決手段】 リチウム遷移金属酸化物を正極活物質と
する正極と、リチウムイオンを挿入・脱離可能な材料を
負極活物質とする負極とをリチウム塩を溶解した非水系
有機電解液に浸漬した非水電解液二次電池において、そ
の有機電解液に次の化学式、すなわち P(OR)=N−SO(OR) RはC2n(n=1〜5)または、C2nのH
原子の一部がF原子で置換されているで表されるトリア
ルコキシホスファゾスルホニルアルコキシド、又はこの
有機化合物を含む混合溶媒にリチウムイオン系支持塩を
溶解したものが用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解液二次電
池に関し、更に詳しくは、リチウムイオン二次電池のよ
うに非水系の有機電解液を用いる二次電池、特にその電
解液に用いられる有機溶媒の改良技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、大気汚染などの環境問題から電気
自動車やハイブリッド車が普及され始めるなか、電源で
ある電池の高性能化が求められている。マンガン酸リチ
ウム、コバルト酸リチウム等のリチウム遷移金属複合酸
化物を正極活物質とする正極と、黒鉛、コークス、カー
ボン繊維等の炭素材料あるいは金属リチウム、リチウム
合金等を負極活物質とする負極とを非水系の有機電解液
に浸漬した構成とされる出力電圧4V級の非水電解液二
次電池はエネルギー密度が高いとう特徴があることか
ら、期待の大きい高性能電池である。
【0003】ところで、この非水電解液二次電池の代表
とされるリチウムイオン二次電池を実用化するにあたっ
ては電池の安全性を十分に確保する必要がある。すなわ
ち、各種安全性試験において電池が破裂発火しないこと
が求められている。一般に4V級リチウムイオン二次電
池の有機電解液溶媒として、エチレンカーボネート(E
C)やプロピレンカーボネート(PC)などの環状カー
ボネートと、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル
(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)などの鎖状カ
ーボネートからなる混合溶媒が用いられている。
【0004】前者の環状カーボネート系の有機溶媒を用
いたものは、高誘電率であるためリチウム塩のイオン解
離を促進し、後者の鎖状カーボネート系の有機溶媒を用
いたものは、低粘性のため電解液の粘度を下げてLiイ
オンの伝導度を向上させ、あるいは正極と負極との間に
介在されるセパレータへのLiイオンの浸透性を向上さ
せる働きがある。しかしながら、多くの場合、その混合
溶液中の各有機溶媒の体積比としては、引火点が室温近
傍にある鎖状カーボネートが50%以上を占めるため、
電解液は非常に燃えやすいという問題がある。
【0005】このような状況を鑑み、新しい難燃性また
は不燃性溶媒を用いた電解液の開発が進められている。
例えば、−P=N−結合をもつホスファゼン化合物は無
機系溶媒として電池への適用が検討されている。ジャー
ナル オブ エレクトロケミカル ソサエティの43
巻,3548〜3554ページ(1996年)には、化
1に示したトリクロロホスファゾスルホニルクロリドや
化2に示したトリクロロホスファゾホスホニルクロリド
の塩素化ホスファゾ化合物が無機系溶媒として提案さ
れ、それらの無機系溶媒にリチウムアルミニウムクロリ
ドを溶融してなる電解液を用いた溶融塩タイプの3V級
非水電解液二次電池が例示されている。
【0006】
【化1】PCl=N−SOCl
【0007】
【化2】PCl=N−POCl
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
化1や化2に示されるような無機系溶媒を用いた溶融塩
タイプの電解液を本発明の対象となる4V級非水電解液
二次電池に適用したところ、充放電ができないことが分
かった。
【0009】また、これらの無機系溶媒と、4V級非水
電解液二次電池の支持塩として広く使われている市販の
六フッ化リン酸リチウム(LiPF)とからなる電解
液を調製し、本発明の4V級非水電解液二次電池に適用
したところ、充放電はできるものの充放電サイクル特性
の劣化が激しいことが分かった。
【0010】本発明者らは上述の化1または化2で示さ
れる塩素化ホスファゾ化合物の電気化学的安定性を調べ
た結果、塩素が3.5V〜4.0Vの範囲で激しく分解
することが分かった。そこで、塩素原子を他官能基で置
換することを鋭意検討した結果、そのホスファゾ化合物
の塩素原子をアルコキシ基で置換すると4V級のリチウ
ムイオン二次電池においても電気化学的に安定な溶媒に
なることを見い出し、本発明をなすに至ったものであ
る。
【0011】本発明の解決しようとする課題は、リチウ
ム遷移金属複合酸化物を正極活物質とする正極と、リチ
ウムイオンを挿入(インターカレート)・離脱(デイン
ターカレート)可能な材料を負極活物質とする負極とを
リチウム塩を溶解した非水系有機電解液に浸漬した構成
とされるものであって、その非水系有機電解液の有機溶
媒を最適なものに設計することにより、安全性と充放電
特性に優れる非水電解液二次電池を提供しようとするも
のである。特に上述の化1や化2に示される無機系のホ
スファゾ化合物を改良し、新規な有機系のホスファゾ化
合物を有機系溶媒として提案するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、リチウム遷移金属酸化物を正極活物質とす
る正極と、リチウムイオンを挿入・脱離可能な材料を負
極活物質とする負極とをリチウム塩を溶解した非水系有
機電解液に浸漬してなる非水電解液二次電池において、
前記有機電解液がトリアルコキシホスファゾスルホニル
アルコキシド系の有機溶媒またはこの有機化合物を含む
混合溶媒にリチウムイオン系支持塩を溶解してなるもの
であることを要旨とするものである。
【0013】この場合に有機電解液に用いられるトリア
ルコキシホスファゾスルホニルアルコキシド(以下、略
号「PNS系化合物」とする)の有機溶媒としては、次
の化3で表される化学式あるいは構造式のものが一般的
に適用される。
【0014】
【化3】P(OR)=N−SO(OR) RはC2n(n=1〜5)または、C2nのH
原子の一部がF原子で置換されている
【0015】アルコキシ基としては、メトキシ基(炭素
数1)、エトキシ基(炭素数2)、プロポキシ基(炭素
数3)、ブトキシ基(炭素数4)、ペントキシ基(炭素
数5)等が好適なものとして用いられている。これらの
PNS系化合物は、上記の化1で示される塩素化ホスフ
ァゾ化合物の塩素原子をアルコキシ基で置換したもので
ある。炭素数3から5のアルコキシ基では直鎖状だけで
なく、分枝構造であってもよい。また、それらのアルコ
キシ基中の水素原子の一部がフッ素原子に置き換わった
フルオロアルコキシ基であっても良い。炭素数6以上の
アルコキシ基を有するPNS系化合物は合成時の収率が
かなり低いため溶媒としては避けた方が良い。
【0016】上述のPNS系化合物は、電解液の有機溶
媒として単独で用いても良く、また、エチレンカーボネ
ートやプロピレンカーボネート、トリフルオロメチルプ
ロピレンカーボネートなどの環状カーボネート、炭酸ジ
メチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジプロ
ピルなどの鎖状カーボネートと混合して用いると良い。
また、公知のエーテル化合物、例えば、ジエトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、メチルヒドロフランなどや環
状の硫黄含有化合物であるスルホラン、メチルスルホラ
ン、ブタンスルトン、プロパンスルトン等を混合して用
いても良い。
【0017】一方、電解液のリチウムイオン系支持塩と
しては、LiPF、LiBF、LiClO、Li
AsF、LiN(CFSO等、及びそれらの
複合塩が例示される。
【0018】本発明は電解液の溶媒の改良に関するもの
であるから、正極については公知のリチウムマンガンス
ピネル、リチウム過剰のリチウムマンガンスピネル、及
びそれらの混合物などを用いることができる。また層状
構造のLiCoOやLiNiOも適用することがで
きる。これらとリチウムマンガンスピネルとの混合物を
用いても良い。
【0019】一方、負極材料としてはLiイオンを挿入
(インターカレート)、脱離(デインターカレート)で
きる材料ならばいずれでも良く、例えば、公知の天然黒
鉛、人造黒鉛、コークス類、生コークスを焼成したカー
ボン類などを用いることができるだけでなく、金属リチ
ウム、リチウム合金も用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明を各種実施例に従っ
て詳細に説明する。
【0021】初めに、以下の実施例1〜4は、正極には
リチウムマンガン複合酸化物(スピネル型結晶構造)を
正極活物質として用い、負極には金属リチウム板を用い
ている。そして非水系電解液として各種のPNS系化合
物を有機溶媒として調製し、このPNS系化合物の有機
溶媒に鎖状カーボネートの炭酸ジメチル(DMC)を混
ぜた2種混合溶媒に、LiPFを支持塩として溶解す
ることにより、リチウムイオン二次電池を試作したもの
である。これらについて具体的に説明する。
【0022】(実施例1)五酸化リン(和光純薬工業)
214gとアミド硫酸(和光純薬工業、電気泳動用)5
0gを混合し、120℃に加熱して完全に液化するまで
反応させた。得られた淡い黄色の透明液体を120℃に
て真空蒸留することにより副生成物であるオキシ塩化リ
ンを分離した。残りの液体を5℃の冷蔵庫内に放置する
と、速やかに白い結晶が析出するのでそれを分離し、そ
の析出物を数回n−ヘキサンで洗浄して主成分である上
述の化1に示したトリクロロホスファゾスルホニルクロ
リド(以下、略号「PNSC」を用いる)を得た。
【0023】次に300mlのテトラヒドロフラン(以
下「THF」と略称する。和光純薬製)に、和光純薬製
のナトリウムエトキシド48gを500ml用の三つ口
フラスコ内で窒素気流下、45℃にて懸濁させた後、上
記のPNSC50gをゆっくりと滴下して反応させた。
反応完了後、THFを蒸発させ、その後イオン交換水1
000mlを加えた。静置すると油層と水層に分離する
ので油層のみを取り出した。この油層に金属リチウムを
加えて副生成物を反応させた。金属リチウムが反応しな
くなるまで金属リチウムは加えた。最後にテトラヒドロ
フラン(THF)を展開溶媒としてカラムクロマトグラ
フにより精製して、トリエトキシホスファゾスルホニル
エトキシド(以下、略号「PNSEt」を用いる)を得
た。
【0024】そして次に、この得られた有機溶媒PNS
Etに鎖状カーボネートである炭酸ジメチル(DMC)
を混合し、2種類の溶媒の体積混合比が1:1となるよ
うに調製したものに1モル/リットル濃度のLiPF
を支持塩として溶解し、電解液として調製した。実際に
は富山薬品工業製のLiPFと炭酸ジメチル(DM
C)とを調製した電池グレードの電解液が市販されてい
るのでこれを用いて上記の濃度となるように電解液を調
製した。
【0025】(実施例2)実施例1における有機溶媒の
調製において、トリエトキシホスファゾスルホニルエト
キシド(PNSEt)の代わりに、トリプロポキシホス
ファゾスルホニルプロポキシド(以下、略号「PNSP
r」を用いる)を用いた以外は、実施例1と同じとし
た。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)に、ナ
トリウムプロポキシドを実施例1の場合と同様の手順で
所定量窒素気流下、所定温度にて懸濁させ、これに実施
例1の中間工程で得られるトリクロロホスファゾスルホ
ニルクロリド(PNSC)を滴下反応させ、反応後、T
HFを蒸発させて、イオン交換蒸留水を加えた。
【0026】そして静置状態で油層と水層とに分離さ
せ、油層のみを取り出し、これに金属リチウムを加え、
副生成物を反応させた後、THFを展開溶媒としてカラ
ムクロマトグラフにより精製して、トリプロポキシホス
ファゾスルホニルプロポキシド(PNSPr)を得た。
得られたPNSPrは、実施例1の場合と同様に炭酸ジ
メチル(DMC)と1:1の混合溶媒とし、1モル/リ
ットル濃度のLiPFを支持塩として溶解し、電解液
として調製した。
【0027】(実施例3)実施例1における有機溶媒の
調製において、PNSEtの代わりに、トリブトキシホ
スファゾスルホニルブトキシド(以下、略号「PNSB
u」を用いる)を用いた以外は、実施例1と同じとし
た。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)に、ナ
トリウムブトキシドを実施例1の場合と同様に窒素気流
下、所定温度にて懸濁させ、これにトリクロロホスファ
ゾスルホニルクロリド(PNSC)を滴下反応させ、所
定の手順によりトリブトキシホスファゾスルホニルブト
キシド(PNSBu)を得た。得られたPNSBuは、
やはり実施例1の場合と同様に炭酸ジメチル(DMC)
と1:1の混合溶媒とし、1モル/リットル濃度のLi
PFを支持塩とした電解液として調製した。
【0028】(実施例4)実施例1における有機溶媒の
調製において、PNSEtの代わりに、トリ(フルオロ
エチルメトキシ)ホスファゾスルホニルフルオロエチル
メトキシド(以下、略号「PNSFPr」を用いる)を
用いた以外は、実施例1と同じとした。この場合も具体
的には、実施例1の合成スキームのうちナトリウムエト
キシドの代わりにナトリウムフルオロエチルメトキシド
を用いて同様の手順によりPNSFPrを合成し、電解
液として調製した。
【0029】(比較例1)実施例1の出発原料として用
いられるトリクロロホスファゾスルホニルクロリド(P
NSC)を直接電解液の溶媒として用い、この無機系溶
媒PNSCと鎖状カーボネートの炭酸ジメチル(DM
C)とを体積混合比で1:1に調製し、この混合溶媒に
1モル/リットル濃度のLiPFを支持塩として溶解
して電解液を調製した。
【0030】(電池の充放電特性評価試験)次にこれら
の電解液(実施例1〜4、比較例1)を用いてリチウム
イオン二次電池を試作し、充放電特性評価試験を行った
ので説明する。
【0031】正極については、正極活物質として本荘ケ
ミカル製のリチウム過剰マンガンスピネルLi1.10
Mn1.9087重量部を、導電助剤としての人造
黒鉛(ロンザ製商品番号「KS6」)9重量部及び結着
剤(バインダ)としての呉羽化学製のポリフッ化ビニリ
デンPVDF4重量部とともに、溶剤であるN−メチル
ピロリドンに混ぜてスラリーを調製し、そのスラリーを
正極集電体としてのアルミ箔上に塗布して加圧し、その
後乾燥して直径15mmの円盤に打ち抜いて電極材の厚
さ53μmの正極を得た。また、負極には金属リチウム
(直径17mmの円盤)を用いて、正極と東燃化学製の
ポリエチレンセパレータ、及び上記の電解液を用いて電
池容量約2mAhのコイン電池を作製した。
【0032】また、充放電特性試験は次の条件で行っ
た。すなわち、上述の実施例1〜4、及び比較例1の電
解液を用いて作製した各コイン電池を25℃にて、電流
密度0.25mA/cmの定電流で4.3Vまで充電
し、更に4.3Vの定電圧で充電時間の合計が6時間に
なるまで充電を続けた。そのあと、10分の休止後電流
密度0.25mA/cmの定電流で3.5Vまで放電
を続けた。充放電サイクル特性の試験結果を図1に示
す。
【0033】図1において、横軸に充放電のサイクル回
数(回)を採り、縦軸に放電容量維持率(%)を採って
いる。そしてこの図1の試験結果から分かるように、本
実施例1〜4は充放電を繰り返しても放電容量維持率の
低下が認められず、これに対して比較例1は充放電の繰
り返し初期段階(数回程度)で著しい放電容量維持率の
低下が認められた。このことより本実施例1〜4のよう
に電解液の溶媒に有機系溶媒であるPNS系化合物を用
いることにより充放電サイクル特性が著しく改善される
ことが明らかとなった。
【0034】また、この場合に電解液の有機溶媒である
PNS系化合物として実施例1のPNSEt、実施例2
のPNSPr、実施例3のPNSBu、実施例4のPN
SFPrを比較した時に、実施例1のPNSEtが最も
効果的で、次に実施例2のPNSPr、その次に実施例
3のPNSBu、最後に実施例4のPNSFPrの順と
なっており、アルコキシ基の炭素数が少ない方が良い結
果を示す傾向にある。また、アルコキシ基が直鎖上でな
く、分枝構造であったり、水素原子の一部がフッ素原子
に置き換わったフルオロアルコキシ基となると若干充放
電サイクル特性が劣る傾向にあることが分かった。この
理由は現在のところ定かではないが、F原子の持つ大き
な電子陰性度が化合物の安定性に若干関係しているので
ないかと推察される。
【0035】また、実施例1と比較例1にそれぞれ用い
た電解液のサイクリックボルタモグラムを図2にまとめ
た。横軸に電位(V)を採り、縦軸に電流(mA)を採
っている。この結果、従来例のトリクロロホスファゾス
ルホニルクロリド(PNSC)を用いた電解液は電圧
3.5V付近で激しく分解するのに対して、本実施例1
のトリエトキシホスファゾスルホニルエトキシド(PN
SEt)を用いた電解液では電圧4V程度までこのよう
な分解は認められない。このように、従来のPNSCの
塩素原子の代わりにエトキシ基を導入すると電気化学的
安定性が増すことも明らかとなった。そして本実施例の
電解液を用いれば、4V級のリチウムイオン二次電池と
して充分に安全性が確保されることが確認された。
【0036】次の実施例5は、正極活物質にリチウムニ
ッケル系(一部コバルト、アルミ置換)複合酸化物を用
い、また、非水系電解液として実施例2で合成したトリ
プロポキシホスファゾスルホニルプロポキシド(PNS
Pr)に環状カーボネートのプロピレンカーボネート、
及び鎖状カーボネートの炭酸ジメチルを混ぜた3種混合
溶媒を用いてリチウムイオン二次電池を試作したもので
ある。これらについて具体的に説明する。
【0037】(実施例5)実施例2で合成したPNSP
rと環状カーボネート系のプロピレンカーボネート、及
び鎖状カーボネート系の炭酸ジメチル(いずれも富山薬
品工業製)を体積比で1:1:1で混合した溶媒にLi
PFを1モル/リットルの濃度で溶解させて電解液を
調製した。
【0038】そして正極活物質として富士化学製のコバ
ルト、アルミ置換のニッケル酸リチウム(Linili
te)85重量部を、導電助剤としての人造黒鉛(ロン
ザ製商品番号「KS6」)10重量部及び結着剤(バイ
ンダ)としての呉羽化学製のポリフッ化ビニリデンPV
DF5重量部とともに、溶剤であるN−メチルピロリド
ンに混ぜてスラリーを調製し、そのスラリーを正極集電
体としてのアルミ箔上に塗布して加圧し、その後乾燥し
て直径15mmの円盤に打ち抜いて電極材の厚さ30μ
mの正極を得た。また、負極には金属リチウム(直径1
7mmの円盤)を用いて、正極と東燃化学製のポリエチ
レンセパレータ、及び上記の電解液を用いて電池容量約
2mAhのコイン電池を作製した。
【0039】(比較例2)実施例5のトリプロポキシホ
スファゾスルホニルプロポキシド(PNSPr)の代わ
りに比較例1のトリクロロホスファゾスルホニルクロリ
ド(PNSC)を用いた以外には、実施例5と同じであ
る。すなわち、非水系電解液として、無機系のトリクロ
ロホスファゾスルホニルクロリド(PNSC)とプロピ
レンカーボネート、および炭酸ジメチルを体積比で1:
1:1で混合した溶媒にLiPFを1モル/リットル
の濃度で溶解させて電解液を調製した。正極材料、負極
材料、試作電池の構成などは、実施例5と同一とし、電
池容量約2mAhのコイン電池を作製した。
【0040】そして充放電特性試験を実施例5及び比較
例2の試作コイン電池についても行った。その条件は前
述の場合と同様、それらのコイン電池を25℃にて、電
流密度0.25mA/cmの定電流で4.3Vまで充
電し、更に4.3Vの定電圧で充電時間の合計が6時間
になるまで充電を続けた。そのあと、10分の休止後電
流密度0.25mA/cmの定電流で3.5Vまで放
電を続けた。充放電サイクル特性の試験結果を図3に示
す。
【0041】図3において、横軸に充放電のサイクル回
数(回)を採り、縦軸に正極活物質単位重量(g)あた
りの放電容量(mAh/g)を採った。その結果、本実
施例5は充放電を繰り返しても放電容量の低下は認めら
れず、これに対して比較例2は充放電の繰り返しの初期
段階(数回程度)で著しい放電容量の低下が認められ
た。このことはやはり本実施例5のように電解液の溶媒
に有機系溶媒であるPNS系化合物を用いることにより
充放電サイクル特性が著しく改善されることを意味する
ものである。
【0042】本発明は、上記した実施例に何ら限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、上記実施例では非水系電
解液の有機溶媒として用いられるPNS系化合物とし
て、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、及びフル
オロエチルメトキシ基の例を示したが、その有機溶媒の
特性より各種のPNS系化合物が適用されるものであ
る。
【0043】また、このPNS系化合物を上記実施例で
は鎖状カーボネートとの2種混合溶媒として、または環
状カーボネート及び鎖状カーボネートとの3種混合溶媒
として用いた例を示したが、その他の無機系あるいは有
機系の溶媒との混合溶媒として用いることも可能であ
る。更に電解液の支持塩も上記実施例のLiPFのほ
か、各種のリチウムイオン系化合物が適用されること
は、これまでの文献等により明らかである。
【0044】
【発明の効果】本発明の非水系電解液二次電池によれ
ば、有機電解液の溶媒にトリアルコキシホスファゾスル
ホニルアルコキシド(PNS系化合物)を用いることに
より、電池としての安全性が確保され、充放電サイクル
特性にも優れるという効果が得られた。したがってこれ
を電気自動車やハイブリッド車の出力電圧4V級の電源
として用いることは極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例1〜4と比較例1との比較において充
放電サイクル特性を示した図である。
【図2】本実施例1〜4と比較例1でそれぞれ用いた電
解液のサイクリックボルタモグラムを示した図である。
【図3】本実施例5と比較例2の比較において充放電サ
イクル特性を示した図である。
フロントページの続き (72)発明者 武市 憲典 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 5H029 AJ02 AJ12 AK03 AL07 AL08 AL12 AM02 AM03 AM05 AM07 DJ09

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム遷移金属酸化物を正極活物質と
    する正極と、リチウムイオンを挿入・脱離可能な材料を
    負極活物質とする負極とをリチウム塩を溶解した非水系
    有機電解液に浸漬してなる非水電解液二次電池におい
    て、前記有機電解液がトリアルコキシホスファゾスルホ
    ニルアルコキシド系の有機溶媒またはこの有機化合物を
    含む混合溶媒にリチウムイオン系支持塩を溶解してなる
    ものであることを特徴とする非水電解液二次電池。
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