JP2001232799A - ノズル形成部材の製造方法及び液滴吐出ヘッド - Google Patents

ノズル形成部材の製造方法及び液滴吐出ヘッド

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JP2001232799A
JP2001232799A JP2000045587A JP2000045587A JP2001232799A JP 2001232799 A JP2001232799 A JP 2001232799A JP 2000045587 A JP2000045587 A JP 2000045587A JP 2000045587 A JP2000045587 A JP 2000045587A JP 2001232799 A JP2001232799 A JP 2001232799A
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forming member
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manufacturing
film
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Yuzuru Kudo
譲 工藤
Shinji Tezuka
伸治 手塚
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク滴吐出特性の良いヘッドを低コストで
歩留まり良く製造できない。 【解決手段】 ノズル孔形成部材61のノズル孔62内
部及びノズル孔62直上並びに裏面側全面をアルカリ剥
離タイプのネガ型DFR65でマスキングした後、フッ
素系樹脂微粒子を分散させた共析メッキで撥水性皮膜6
6を成膜し、次いでネガ型DFR65を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はノズル形成部材の製造方
法及び液滴吐出ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置を含
む。)に用いられるインクジェット記録装置における液
滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドは、複数のノ
ズルを形成したノズル形成部材と、各ノズルが連通する
加圧室(インク室、圧力室、吐出室、インク流路、加圧
液室などとも称される。)と、各加圧室内のインクを加
圧するエネルギーを発生する圧電素子などの電気機械変
換素子、或いはヒータなどの電気熱変換素子、振動板と
電極等のエネルギー発生手段とを備えて、エネルギー発
生手段で発生したエネルギーで加圧室内インクを加圧す
ることによってノズルからインク滴を吐出させる。
【0003】ここで、ノズル形成部材及びその製造方法
としては、特開平1−108056号公報、特開平2−
121842号公報等に記載されているように、有機樹
脂材料からなるプレートにエキシマレーザーによってノ
ズル孔を形成したもの、或いは、特開昭63−3963
号公報、特開平1−42939号公報等に記載されてい
るように、電鋳支持基板上にドライフィルムレジスト等
の感光性樹脂材料を用いてノズル径に応じたレジストパ
ターンを形成した後、このレジストパターンを用いてニ
ッケル等の金属材料を電鋳工法で析出してノズルプレー
トを形成するもの、その他プレスによってノズル孔を形
成するものなどがある。
【0004】また、インクジェットヘッドにおいては、
ノズル孔から液滴化したインク(インク滴)を吐出飛翔
させて記録を行うため、ノズル孔の形状、精度等がイン
ク滴の噴射特性(インク滴吐出性能)に影響を与えると
共に、ノズル孔を形成しているノズル孔形成部材の表面
の特性がインク滴の噴射特性に影響を与える。例えば、
ノズル孔形成部材表面のノズル孔周辺部にインクが付着
して不均一なインク溜り(所謂濡れムラ)が発生する
と、インク滴の吐出方向が曲げられたり、インク滴の大
きさにバラツキが生じたり、インク滴の飛翔速度が不安
定になる等の不都合が生じることが知られている。
【0005】そこで、このようなインクジェットヘッド
のノズル孔形成部材の表面(インク吐出面)には、例え
ば特開平4−294145号公報にも記載されているよ
うに、電解ニッケルノズル、プレス穿孔金属ノズル、ポ
リカーボネイトなどの高分子材料をエキシマレーザーで
穿孔したノズルなどのノズル孔形成部材の表面に、フッ
素系高分子の塗装膜や共析メッキ膜などの撥水性皮膜
(撥水膜、撥水性表面処理膜)を成膜して撥インク性
(撥水性)を持たせ、ノズル孔形成部材の表面の均一性
を高めて、インク滴の飛翔特性の安定化を図るようにす
ることが行われている(このほか、例えば特開平6−1
43587号公報参照)。
【0006】この場合、例えば特開平5−116327
号公報に記載されているように、ノズルプレートのノズ
ル孔周辺以外の裏面(液室側表面)全体をレジストテー
プで被覆し、ノズルプレートの表面、ノズル孔内壁面及
び裏面のノズル孔周辺に撥水性皮膜を形成するもの、或
いは、特開平9−123461号公報に記載されている
ように、2枚のノズルプレートを互いのノズル孔部分が
合うように裏面同士で重ね合わせて密着保持し、この状
態でノズルプレート表面とノズル孔内面に無電解めっき
による撥水処理を施すというもある。
【0007】しかしながら、一般に、撥水性材料がノズ
ル孔内部に侵入して撥水性皮膜を形成すると、インク噴
射直後にノズル孔部のインク液面(メニスカス面)がノ
ズル孔内部まで深く引き込まれ、このときに気泡を巻き
込み、この気泡の影響によってインク滴の吐出方向がば
らついたり、インク滴の吐出が不能になる。また、イン
ク孔周辺部を打ち抜いたレジストテープをノズルに貼り
付けるためには、高精度の位置決めを行わねばならず、
僅かでも貼り付け位置がずれれば、そのノズルは欠陥品
となるので、歩留まりを上げるためには多大なコストが
かかるので、このような方法は採用されていない。
【0008】むしろ、ノズル孔内部に撥水性皮膜が形成
されないように撥水性の表面処理を行なうことが提案さ
れている。これには、例えば、特開平6−246921
号公報に記載されているように、ノズル孔内部及びその
直上並びにノズル孔周囲でノズル径の1.4倍程度の領
域に感光性樹脂フィルムによるマスクを形成し、インク
液室面(裏面)側をレジストで覆って撥水性皮膜を形成
するようにしたものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たノズル孔内部及びその直上並びにノズル孔周囲でノズ
ル径の1.4倍程度の領域に感光性樹脂フィルムによる
マスクを形成する方法にあっては、ノズル孔周辺に撥水
性皮膜がないためにインク滴吐出の安定性が得られず、
しかもノズル孔内部を塞ぐ感光性樹脂フィルムとインク
液室面側を覆うレジストとが異なるために新たな設備が
必要になり、コストが高くなる。
【0010】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、液滴吐出安定性に優れたノズル形成部材を低コス
トで歩留まり良く製造する方法を提供するとともに、低
コストで吐出安定性に優れた液滴吐出ヘッドを提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るノズル形成部材は、ノズル孔形成部材
のノズル孔内部及びノズル孔の表面側直上並びに裏面側
にアルカリ剥離型のネガ型ドライフィルムレジストによ
るマスキングを施した後、ノズル孔形成部材の表面に撥
水性皮膜を形成し、次いで、ネガ型ドライフィルムレジ
ストを除去する構成としたものである。
【0012】ここで、ドライフィルムレジストを剥離す
るときの剥離液が濃度3%〜10%の水酸化ナトリウム
水溶液であることが好ましい。この場合、水酸化ナトリ
ウム水溶液温度が40℃〜60℃であることが好まし
い。また、ドライフィルムレジストを露光・現像した後
にはポストキュア処理を施さないことが好ましい。さら
に、剥離液中で出力400W以上の超音波を10分以上
印加した後スプレー方式でドライフィルムレジストを剥
離することが好ましい。
【0013】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐
出するノズルと、このノズルが連通する加圧室と、この
加圧室内の液体を加圧するエネルギーを発生するエネル
ギー発生手段とを備え、ノズルを形成したノズル形成部
材が本発明に係る製造方法で製造されている構成とした
ものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明に係る液滴吐出
ヘッドであるインクジェットヘッドの分解斜視説明図、
図2は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図3は
図2の要部拡大図、図4は同ヘッドの振動板短手方向の
要部拡大断面図である。
【0015】このインクジェットヘッドは、単結晶シリ
コン基板、多結晶シリコン基板、SOI基板などのシリ
コン基板等を用いた振動板/液室基板1と、この振動板
/液室基板1の下側に設けたシリコン基板、パイレック
スガラス基板、セラミックス基板等を用いた電極基板2
と、振動板/液室基板1の上側に設けたノズル形成部材
であるノズル板3とを備え、インク滴を吐出する複数の
ノズル4、各ノズル4が連通するインク流路である加圧
室6、各加圧室6にインク供給路を兼ねた流体抵抗部7
を介して連通する共通液室8などを形成している。
【0016】振動板/液室基板1にはノズル4が連通す
る複数の加圧室6及びこの加圧室6の壁面である底部を
なす振動板10(第1の電極となる。)を形成する凹部
を形成し、ノズル板3にはノズル4となる孔及び流体抵
抗部7を形成する溝を形成し、また振動板/液室基板1
と電極基板2には共通液室8を形成する貫通部を形成し
ている。
【0017】ここで、振動板/液室基板1は、例えば単
結晶シリコン基板を用いた場合、予め振動板厚さにボロ
ンを注入してエッチングストップ層となる高濃度ボロン
層を形成し、電極基板2と接合した後、加圧室6となる
凹部をKOH水溶液などのエッチング液を用いて異方性
エッチングすることにより、このとき高濃度ボロン層が
エッチングストップ層となって振動板10が高精度に形
成される。また、多結晶シリコン基板で振動板10を形
成する場合は、液室基板上に振動板となる多結晶シリコ
ン薄膜を形成する方法、または、予め電極基板2を犠牲
材料で平坦化し、その上に多結晶シリコン薄膜を成膜し
た後、犠牲材料を除去することで形成できる。
【0018】なお、振動板10に別途電極膜を形成して
もよいが、上述したように不純物の拡散などによって振
動板が電極を兼ねるようにしている。また、振動板10
の電極基板2側の面に絶縁膜を形成することもできる。
この絶縁膜としてはSiO2等の酸化膜系絶縁膜、Si3
4等の窒化膜系絶縁膜などを用いることができる。絶縁
膜の成膜は、振動板表面を熱酸化して酸化膜を形成した
り、成膜手法を用いたりすることができる。
【0019】また、電極基板2には酸化膜層2aを形成
し、この酸化膜層2aの部分に凹部14を形成して、こ
の凹部14底面に振動板10に対向する電極15を設
け、振動板10と電極15との間にギャップ16を形成
し、これらの振動板10と電極15とによってアクチュ
エータ部(エネルギー発生手段)を構成している。な
お、電極15表面にはSiO2膜などの酸化膜系絶縁膜、
Si34膜などの窒化膜系絶縁膜からなる電極保護膜1
7を成膜しているが、電極表面15に電極保護膜17を
形成しないで、振動板10側に絶縁膜を形成することも
できる。
【0020】これらの振動板/液室基板1と電極基板2
との接合は、例えば電極基板2がシリコンで形成される
場合、酸化膜を介した直接接合法を用いることができ
る。この直接接合は1000℃程度の高温化で実施す
る。また、電極基板2がガラスの場合、陽極接合を行う
ことができる。電極基板2をシリコンで形成して、陽極
接合を行う場合には、電極基板2と振動板/液室基板1
との間にパイレックスガラスを成膜し、この膜を介して
陽極接合を行うこともできる。さらに、振動板/液室基
板1と電極基板2にシリコン基板を使用して金等のバイ
ンダーを接合面に介在させた共晶接合で接合することも
できる。
【0021】また、電極基板2の電極15としては、通
常半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられるA
l、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W等の
高融点金属、または不純物により低抵抗化した多結晶シ
リコン材料などを用いることができる。電極基板2をシ
リコンウエハで形成する場合には、電極基板2と電極1
5との間には絶縁層(上述した酸化膜層2a)を形成す
る必要がある。電極基板2にガラス基板、セラミック基
板等の絶縁性材料を用いる場合には電極15との間に絶
縁層を形成する必要はない。
【0022】ノズル板3には、多数のノズル4を形成す
るとともに、共通液室8と加圧室6を連通するための流
体抵抗部7を形成する溝部を形成している。ここでは、
インク吐出面(ノズル表面側)には後述するように撥水
性皮膜を成膜している。このノズル板2のノズル孔形成
部材(撥水性皮膜を形成する母材)は、エレクトロフォ
ーミング(電鋳)工法によるニッケルメッキ膜で形成し
ている。この他、ポリイミド等の樹脂にエキシマレーザ
ー加工をしたもの、金属プレートにプレス加工で穴加工
をしたもの等でも用いることができる。
【0023】また、撥水性皮膜は、フッ素系樹脂微粒子
であるポリテトラフルオロエチレン微粒子を分散させた
電解又は無電解ニッケル共析メッキ(PTFE−Ni共
析メッキ)によるメッキ皮膜で形成することができる。
【0024】このインクジェットヘッドではノズル4を
二列配置し、この各ノズル4に対応して加圧室6、振動
板10、電極15なども二列配置し、各ノズル列の中央
部に共通液室8を配置して、左右の加圧室6にインクを
供給する構成を採用している。これにより、簡単なヘッ
ド構成で多数のノズルを有するマルチノズルヘッドを構
成することができる。
【0025】そして、電極15は外部に延設して接続部
(電極パッド部)15aとし、これにヘッド駆動回路で
あるドライバIC20をワイヤボンドによって搭載した
FPCケーブル21を異方性導電膜などを介して接続し
ている。このとき、電極基板2とノズル板3との間(ギ
ャップ16入口)は図4に示すようにエポキシ樹脂等の
接着剤を用いたギャップ封止剤22にて気密封止し、ギ
ャップ16内に湿気が侵入して振動板10が変位しなく
なるのを防止している。
【0026】さらに、インクジェットヘッド全体をフレ
ーム部材25上に接着剤で接合している。このフレーム
部材25にはインクジェットヘッドの共通液室8に外部
からインクを供給するためのインク供給穴26を形成し
ており、またFPCケーブル21等はフレーム部材25
に形成した穴部27に収納される。
【0027】このフレーム部材25とノズル板3との間
は図4に示すようにエポキシ樹脂等の接着剤を用いたギ
ャップ封止剤28にて封止し、撥水性を有するノズル板
3表面のインクが電極基板2やFPCケーブル21等に
回り込むことを防止している。
【0028】そして、このヘッドのフレーム部材25に
はインクカートリッジとのジョイント部材30が連結さ
れて、フレーム部材25に熱融着したフィルタ31を介
してインクカートリッジからインク供給穴26を通じて
共通液室8にインクが供給される。
【0029】このインクジェットヘッドにおいては、振
動板10を共通電極とし、電極15を個別電極として
(逆の構成とすることもできる。)、振動板10と電極
15との間に駆動電圧を印加することによって、振動板
10と電極15との間に発生する静電力によって振動板
10が電極15側に変形変位し、この状態から振動板1
0と電極15間の電荷を放電させることによって振動板
10が復帰変形して、加圧室6の内容積(体積)/圧力
が変化することによって、ノズル4からインク滴が吐出
される。
【0030】この場合、振動板10を電極15(実際に
は絶縁保護膜17表面)に当接するまで変位させる方式
を当接駆動方式、振動板10を電極15に当接させない
位置まで変位させる方式を非当接駆動方式と称し、いず
れの方式でも駆動できる。
【0031】次に、ノズル形成部材であるノズル板3の
製造方法の詳細について図5以降をも参照して説明す
る。先ず、同図(a)に示すようにエレクトロフォーミ
ング(電鋳)工法によってノズル孔62を形成したノズ
ル孔形成部材(ノズルプレート母材)61を形成する。
ノズル孔形成部材を金属で形成することによって、表面
処理にメッキ工法を採用することができ、また、電鋳工
法を採用することによって、ノズル孔がテーパ形状とな
り、ノズル孔と撥水性皮膜(撥水性表面処理膜)の孔と
の段差を無くして滑らかにすることが容易にできる。
【0032】その後、同図(b)に示すようにノズル孔
形成部材61の裏面側(インク液室側)にアルカリ剥離
型のネガ型ドライフィルムレジスト(以下「DFR]と
いう。)63を熱圧着する。このとき、ノズル孔62か
ら軟化したネガ型DFR63を押し出してノズル孔形成
部材61の表面側(インク吐出面側)にはみ出させては
み出し部63aが形成されるようにする。
【0033】ここで、ネガ型DFRはポジ型に比べて
酸、アルカリ耐性があり、後の共析メッキを行うための
前処理としてアルカリ脱脂、酸洗浄処理を行っても十分
な耐性を有しているからである。また、露光時にノズル
孔形成部材61自身が遮光マスクの役割を果たすため、
露光用マスクが不要になってコストダウンを図れ、マス
クアライメントも不要になって作業効率が高まり、この
点でも製作コストを抑制できる。さらに、アルカリ剥離
タイプのDFRを用いるのは、一般に使用される有機溶
剤剥離タイプのDFRでは剥離液がニッケルを侵すもの
が多く、このような剥離液に侵されると、黒色又は白色
に変色して(硫化又は酸化する)、撥水性及びワイピン
グに対する耐摩耗性が維持できなくなるからである。
【0034】また、DFR63はノズル孔62からはみ
出して完全にノズル孔62を塞がなければマスクとして
の意味がなくなるので、DFR63の厚さは、ノズル孔
形成部材(ノズルプレート母材)61の厚みの70%以
上とすることが好ましい。そのため、DFR63として
は熱可塑性の高いものを用いるのが好ましい。具体的に
は、アルカリ剥離タイプのネガ型DFRとして、日合AL
PHO NIT225(商品名)等が適している。
【0035】次に、同図(c)に示すように、ノズル孔
形成部材61のインク吐出面側にもアルカリ剥離型のネ
ガ型DFR64(DFR63と同じものである。)を熱
圧着する。このDFR64の膜厚は後工程で形成する撥
水性皮膜(メッキ皮膜)の厚さよりも厚くする。両面同
時に熱圧着を行わないのは、ノズル孔62への気泡巻き
込みを防止するためである。ノズル孔62内に気泡が巻
き込まれると、気泡によって平行紫外線露光時に紫外線
が散乱されてしまい精密パターニングができなくなる。
【0036】その後、同図(d)に示すように、ノズル
孔形成部材61のインク液室側から平行紫外線光(UV
光)で露光することによって、ノズル孔形成部材61が
露光マスクになるので、インク液室側及びノズル孔62
内のDFR63及びノズル孔62に対応する部分のDF
R64が露光硬化し、これを現像することによって、ノ
ズル孔形成部材61のノズル孔62から表面側直上に突
出した塔部(突出部)65aを有し、ノズル孔62内部
及びその直上並びにインク液室側全面をマスキングする
硬化DFR65が形成される。
【0037】ここで、DFRは通常150℃程度の温度
でポストキュアを施すが、この場合には後の剥離時に硬
化DFR65の剥離が困難になるのと、加熱によるDF
R柱の熱収縮によって体積変化が起こりノズル径精度が
ばらつくのを防止するために、ポストキュアを施さな
い。
【0038】次いで、同図(e)に示すように、ノズル
孔形成部材61のインク吐出面側に撥水性のメッキ皮膜
(撥水性皮膜)66を成膜する。この場合、ノズル孔6
2内部にはDFR65が充填され、ノズル孔内部からノ
ズル吐出面側に塔部65aが立設して、精密マスキング
が行われているので、撥水性皮膜66がノズル孔62内
に浸入することなく精度良く形成される。
【0039】この撥水性皮膜66としては、耐摩耗性、
耐薬品性及び皮膜膜厚の均一性などから、前述したよう
に電解ニッケルメッキ液中にPTFEなどのフッ素系樹
脂微粒子を分散させた電解共析メッキ(例えば、上村工
業製メタフロン(商品名)等)、或いは、無電解ニッケ
ルメッキ液中にフッ素系樹脂微粒子を分散させた無電解
共析メッキ(例えば、上村工業製ニムフロン(商品名)
等)を用いた共析メッキを施すことによって形成でき
る。その他、フッ素樹脂系の電着塗装などでも形成でき
る。
【0040】この撥水性皮膜66の膜厚は、1.5μm
以下ではフッ素樹脂微粒子の含有量が少なくなって撥水
性が十分でなく、耐ワイピング性も十分でないので、
1.5μm以上の膜厚にして撥水性を確保し、耐ワイピ
ング耐久性を十分に持たせるようにする。また、撥水性
皮膜66の膜厚がノズル孔形成部材61の厚さの1/1
0以上になると内部応力による反りが発生するので、ノ
ズル孔形成部材61の厚さの1/10未満としている。
【0041】次いで、図6(a)に示すように、上述の
ようにして撥水性皮膜66を形成したノズル孔形成部材
61を、剥離槽71に満たした剥離液70内に浸漬す
る。この場合、剥離液70としては、アルカリ系剥離液
である、温度40℃〜60℃、濃度3%〜10%の水酸
化ナトリウム水溶液を使用する。
【0042】そして、浸漬時間を10分以上として、あ
る程度DFR65を膨潤させた後、同図(b)に示すよ
うに、剥離槽71内に設けた超音波発生器72によって
ノズル孔形成部材61に超音波を印加する。この場合、
超音波の出力は400W以上とし、印加時間は10分間
以上とする。
【0043】これにより、ノズル孔形成部材61から硬
化DFR65が全体的に遊離するので、図7(a)に示
すように、スプレーノズル73によって温度40℃〜6
0℃、濃度3%〜10%の水酸化ナトリウム水溶液をス
プレーし、化学的だけでなく、物理的な圧力を加えるこ
とによって完全に剥離させることができる。剥離が終了
したら、流水中で良く洗浄し、同図(b)に示すよう
に、撥水性皮膜66を有するノズル板3が得られる。
【0044】このようにして、ノズル孔形成部材61か
らDFR65をカスを含めて完全に除去することがで
き、DFRのカスがノズル目詰まりを引き起こして吐出
不良が発生することを防止することができ、インク滴吐
出安定性の良いインクジェットヘッドを低コストで歩留
まり良く製造することができる。
【0045】なお、上記実施例においては、本発明を静
電型インクジェットヘッドに適用した例で説明したが、
電気機械変換素子をエネルギー発生手段とするインクジ
ェットヘッド、電気熱変換素子をエネルギー発生手段と
するインクジェットヘッドにも同様に実施でき、またサ
イドシュータ方式のインクジェットヘッドだけでなく、
エッジシュータ方式のインクジェットヘッドにも同様に
適用することができる。さらに、インクジェットヘッド
だけでなく液体レジスト等を吐出させる液滴吐出ヘッド
などにも適用できる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るノズ
ル形成部材によれば、ノズル孔形成部材のノズル孔内部
及びノズル孔の表面側直上並びに裏面側にアルカリ剥離
型のネガ型ドライフィルムレジストによるマスキングを
施した後、ノズル孔形成部材の表面に撥水性皮膜を形成
し、次いで、ネガ型ドライフィルムレジストを除去する
構成としたので、液滴吐出安定性に優れたノズル形成部
材を低コストで歩留まり良く製造することができる。
【0047】ここで、ドライフィルムレジストを剥離す
るときの剥離液が濃度3%〜10%の水酸化ナトリウム
水溶液であることで、撥水性皮膜を侵すことがなく、撥
水性及び耐磨耗性に優れたノズル形成部材を得ることが
できる。この場合、水酸化ナトリウム水溶液温度を40
℃〜60℃とすることにより、確実に撥水性皮膜の浸食
を防止できる。
【0048】また、ドライフィルムレジストを露光・現
像した後にはポストキュア処理を施さないことで、ドラ
イフィルムレジストの剥離が容易になる。さらに、剥離
液中で出力400W以上の超音波を10分以上印加した
後スプレー方式でドライフィルムレジストを剥離するこ
とで、ノズル孔部のドライフィルムレジストを効率的に
確実に剥離することができ、目詰まりのないノズル形成
部材を得ることができる。
【0049】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、液
滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧室
と、この加圧室内の液体を加圧するエネルギーを発生す
るエネルギー発生手段とを備え、ノズルを形成したノズ
ル形成部材が本発明に係る製造方法で製造されている構
成としたので、吐出安定性に優れた液滴吐出ヘッドを低
コストで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面図
【図5】同ヘッドのノズル板の製造工程の説明の供する
説明図
【図6】図5の工程に続く工程の説明に供する説明図
【図7】図6の工程に続く工程の説明に供する説明図
【符号の説明】
1…振動板/液室基板、2…電極基板、3…ノズル板、
4…ノズル、6…加圧室、7…流体抵抗部、8…共通液
室、10…振動板、15…電極、61…ノズル孔形成部
材、62…ノズル孔、63,64…ドライフィルムレジ
スト、65…硬化ドライフィルムレジスト、65a…塔
部、66…撥水性皮膜、70…剥離液、71…剥離槽、
72…超音波発生器、73…ノズルスプレー。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズルを形成したノズル
    孔形成部材表面に撥水性皮膜を形成したノズル形成部材
    において、前記ノズル孔形成部材のノズル孔内部及びノ
    ズル孔の表面側直上並びに裏面側にアルカリ剥離型のネ
    ガ型ドライフィルムレジストによるマスキングを施した
    後、前記ノズル孔形成部材の表面に撥水性皮膜を形成
    し、次いで、前記ネガ型ドライフィルムレジストを除去
    することを特徴とするノズル形成部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のノズル形成部材の製造
    方法において、前記ドライフィルムレジストを剥離する
    ときの剥離液が濃度3%〜10%の水酸化ナトリウム水
    溶液であることを特徴とするノズル形成部材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のノズル形成部材の製造
    方法において、前記水酸化ナトリウム水溶液温度が40
    ℃〜60℃であることを特徴とするノズル形成部材の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のノズ
    ル形成部材の製造方法において、前記ドライフィルムレ
    ジストを露光・現像した後にはポストキュア処理を施さ
    ないことを特徴とするノズル形成部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3に記載のノズル形成部材
    の製造方法において、剥離液中で出力400W以上の超
    音波を10分以上印加した後スプレー方式で前記ドライ
    フィルムレジストを剥離することを特徴とするノズル形
    成部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通する加圧室と、この加圧室内の液体を加圧するエネ
    ルギーを発生するエネルギー発生手段とを備えて、前記
    ノズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記ノズルを形成したノズル形成部材が前記請求項1乃
    至5のいずれかの製造方法で製造されていることを特徴
    とする液滴吐出ヘッド。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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