JP2001232661A - 光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法、およびその成形品 - Google Patents

光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法、およびその成形品

Info

Publication number
JP2001232661A
JP2001232661A JP2000045923A JP2000045923A JP2001232661A JP 2001232661 A JP2001232661 A JP 2001232661A JP 2000045923 A JP2000045923 A JP 2000045923A JP 2000045923 A JP2000045923 A JP 2000045923A JP 2001232661 A JP2001232661 A JP 2001232661A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
mold
molded product
molded article
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000045923A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshimasa Hotaka
寿昌 帆高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2000045923A priority Critical patent/JP2001232661A/ja
Publication of JP2001232661A publication Critical patent/JP2001232661A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な光学特性を有する製品を得るための透
明な熱可塑性樹脂の成形法、更に詳しくは光学的歪み特
性の良好な自動車グレージング製品等の大型グレージン
グ製品を得るための透明な熱可塑性樹脂の成形法、およ
びかかる製品を提供する。 【解決手段】 光学的歪みの少ない多層構造成形品を得
る方法であって、(1)予め第1層として金型キャビテ
ィ表面に、および第2層として金型コア表面にそれぞれ
透明な熱可塑性樹脂シートを装着し、(2)かかる第1
層および第2層の間の空間に第3層として透明な熱可塑
性樹脂(以下“樹脂b”と称することがある)を射出速
度300mm/sec以上の射出速度で充填し、(3)
かかる第1層、第2層および第3層からなる多層構造成
形品が金型内から取り出し可能になるまで冷却する間に
圧縮力を作用させることを特徴とする光学的に歪みの少
ない多層構造成形品を得る成形方法およびかかる成形法
から得られた成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は良好な光学特性を有
する製品を得るための透明な熱可塑性樹脂の成形法、お
よびかかる成形品に関する。更に詳しくは従来主にシー
ト成形品の熱曲げ加工により製造されていた、ヘルメッ
トの風防、建設機械、自動車、バス等のグレージング製
品等、大型グレージング製品を得るための透明な熱可塑
性樹脂の成形法、およびかかる大型グレージング製品に
関する。
【0002】
【従来の技術】ヘルメットの風防、建設機械、自動車、
バス等のグレージング製品等の樹脂製大型グレージング
製品は、従来主にシート成形品を熱曲げ加工する方法に
より製造されていたが、近年製造の効率化やデザインの
自由度を目的として、射出成形により製造することが試
みられている。かかる場合当然のことながら、光学的歪
みの少ない成形品を製造することが要求される。
【0003】透明な熱可塑性樹脂製光学製品の成形方法
としては、従来から金型温度を樹脂のガラス転移温度以
上の高温として射出成形する方法、キャビティ容量を製
品容量より大きくした状態で、低圧で樹脂を充填しその
後樹脂を圧縮する射出圧縮成形法等の各種成形方法が数
多く提案されている。しかしながら、いずれの射出成形
法も光学的歪み特性の良好な製品を得るためにはいまだ
十分でないことが指摘されている。
【0004】かかる問題を解決する方法として、特開昭
61−79614号公報には光ディスクの成形において
金型表面を局所的に高温とした状態で充填を行い、その
後圧縮することにより低歪みの光ディスクが得られるこ
とが提案されている。しかしながら、かかる方法では大
型の成形品を成形した場合、金型内に充填された時点で
の樹脂が受ける歪みや熱の履歴に大きなムラを生ずるた
め、圧縮を均一に行ってもかかる履歴差に起因する歪み
は解消されず、光学的歪みの十分な製品を得ることはで
きない。
【0005】同様に特開平7−256704号公報で
は、断熱層を有する金型により同様に金型キャビティ表
面のみを高温とし、射出圧縮成形を併用することにより
像のゆがみの少ない成形品が得られることが提案されて
いるものの、大型の成形品には十分とはいえなかった。
【0006】すなわち、射出成形法により、光学的歪み
の少ない大型の樹脂成形品の製造が望まれているもの
の、かかる製造法はこれまでなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、光学
特性の良好な製品を得るための透明な熱可塑性樹脂の成
形法、およびかかる製品を提供することにある。更に詳
しくは光学的歪み特性の良好な自動車グレージング製品
等の大型グレージング製品を得るための透明な熱可塑性
樹脂の成形法、およびかかる製品を提供することにあ
る。
【0008】本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検
討を重ねた結果、射出圧縮成形を行う際に、金型キャビ
ティ表面およびコア表面に透明な熱可塑性樹脂シートを
装着すると共に、特定の射出速度以上の高速で樹脂を充
填することにより目的とする良好な製品が得られること
を見出し、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、光学的歪みの
少ない多層構造成形品を得る方法であって、(1)予め
第1層として金型キャビティ表面に、および第2層とし
て金型コア表面にそれぞれ透明な熱可塑性樹脂シートを
装着し、(2)かかる第1層および第2層の間の空間に
第3層として透明な熱可塑性樹脂(以下”樹脂b”と称
することがある)を射出速度300mm/sec以上の
射出速度で充填し、(3)かかる第1層、第2層および
第3層からなる多層構造成形品が金型内から取り出し可
能になるまで冷却する間に圧縮力を作用させる光学的に
歪みの少ない多層構造成形品を得る成形方法、およびそ
の製品に関するものである。
【0010】本発明は、(1)予め第1層として金型キ
ャビティ表面に、および第2層として金型コア表面にそ
れぞれ透明な熱可塑性樹脂シートを装着し、かかる第1
層と第2層の間の空間に第3層を形成する樹脂を充填す
ることを1つの要件とするものである(以下“要件
(1)”と称することがある)。かかる2層間に樹脂を
充填することにより、樹脂は金型キャビティ表面または
金型コア表面に直接接触した場合と異なり、冷却過程で
急冷される部位が少なくなり、シートの断熱効果により
徐冷されるようになる。すなわち厚み方向における熱履
歴の差が少なくなり、それにより厚み方向に均一な層を
形成し得る。
【0011】尚、本発明における金型キャビティ表面と
は、固定側金型における金型キャビティの表面をさし、
金型コア表面とは可動側金型における金型キャビティの
表面をさす。また金型キャビティとは金型において成形
品本体(ランナー、スプルーを除く)を得るため樹脂を
充填する部分をさす。
【0012】本発明の第1層、第2層および第3層を形
成する透明な熱可塑性樹脂としては、JIS規格K71
05に準拠した2mm厚みの平板成形品におけるヘーズ
が10%以下のものをいい、好ましくはヘーズが9%以
下であるものをいう。具体的な樹脂としては、ポリカー
ボネート樹脂、アクリル樹脂、ゴム強化アクリル樹脂、
非晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹
脂、非晶性ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アク
リロニトリル・スチレン(AS)樹脂、メタクリレート
・アクリロニトリル・スチレン(MAS)樹脂、透明A
BS樹脂等の透明樹脂を挙げることができる。中でもポ
リカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ゴム強化アクリル
樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレー
ト樹脂、非晶性ポリエステル樹脂が好ましく、特に第3
層を形成する樹脂としては、強度、耐衝撃性、耐熱性等
の面からポリカーボネート樹脂が最も好ましく、また第
1層および第2層を形成する樹脂も同様の理由からポリ
カーボネート樹脂が好ましい。
【0013】本発明で使用する透明な熱可塑性樹脂シー
トは、一般的な溶融押出法、インフレーション法の他、
キャスティング法、粉末成形法などの方法も使用可能で
ある。またかかる方法においては、原料樹脂の製造工程
において溶融エステル交換反応等の溶融された状態、ま
たは重合後の溶液状態から直接上記のシート成形をする
ことにより、熱履歴が少ないシートを得ることも可能で
ある。
【0014】本発明ではより好ましくはJIS規格R3
212に準拠して測定された投影面の法線とシート面の
法線とのなす角度が55°における透視歪み量が1.5
分以下であるものが使用される。かかるシートを作成す
るためには、上記の各方法において過度の圧縮や延伸な
どの操作を施さないか、または施すことにより透視歪み
量が大きくなったものに対しては十分にアニール処理を
するなどしてかかる歪みを取り除くことが好ましい。か
かる点よりシート作成は、好ましくはTダイやIダイを
使用する溶融押出法が挙げられ、特にいわゆるカレンダ
ーロールタイプを挙げることができる。かかる製法は厚
みの均一性と低歪み性との両立が図られる。
【0015】かかるシートの厚みとしては、通常50〜
2000μm、好ましくは100〜1000μm、より
好ましくは200〜700μmである。50μmより薄
いは場合には、シートの断熱効果が十分でなくなる。ま
た、金型のキャビティ表面およびコア表面に装着する際
に腰が弱く金型構造によっては金型のキャビティ表面お
よびコア表面からずれてしまうことがあり、さらに溶融
している樹脂bの樹脂温度によっては部分的に溶けてし
まいその形状を保ちえない。
【0016】2000μmより厚い熱可塑性樹脂シート
では、シート自体の歪みの低減が困難となり、かかる低
減に要する工数により生産性が劣る。
【0017】更に第1層と第2層の厚み比としては、双
方の層側で同等の熱履歴を確保する観点から、第1層:
第2層=1:9〜9:1が好ましく、より好ましくは
3:7〜7:3である。
【0018】一方、本願発明の目的とする低歪みの成形
品を得るために、第1層および第2層部分の厚みを設計
において、熱可塑性樹脂、主金型および成形時の第1層
および第2層の温度、比熱、熱伝導率、密度、結晶化潜
熱等から計算することにより、第3層の熱履歴を解析
し、これより最適の厚みを計算することも可能である。
特にかかる第3層の熱可塑性樹脂のシートと接する面の
温度を指標として、かかる温度が第3層の熱可塑性樹脂
のガラス転移温度より高い温度を少なくとも0.1秒維
持可能な設計が好ましく、更に好ましくは1秒以上、ま
た上限としては60秒以内の範囲で維持可能なシートの
厚みや成形条件、装置環境を設計することが好ましい。
かかる計算は、例えば、ADINAおよびADINA−
T(マサチューセッツ工科大学で開発されたソフトウエ
アの名称)等を用いて、非線形有限要素法による非定常
熱伝導解析により計算できる。
【0019】また、製品の形状によって局所的に熱可塑
性樹脂シートの延伸倍率が大きくなる場合には、熱可塑
性樹脂シートをストレート成形法、ドレープ成形法、プ
ラグアシスト成形法、エアーブロー成形法等により加熱
真空成形する方法、加熱プレス成形する方法、加熱圧空
成形する方法など従来公知の方法により予め形状を付与
したものを使用することも可能である。また、熱可塑性
樹脂シートに予め形状を付与する予備成形工程は工程の
効率化の面から射出成形用金型内で行ってもよい。
【0020】更に本発明で使用する熱可塑性樹脂シート
としては、予めハードコートや印刷などの処理を行った
ものを利用することができる。
【0021】本発明において熱可塑性樹脂シート上にハ
ードコート膜として架橋皮膜を形成する化合物には公知
のハードコート剤を使用することができる。ハードコー
ト剤としては表面硬度の高い樹脂、例えばアクリル系、
メラミン系、ウレタン系、エポキシ系、これらの他、シ
リコーン系ハードコート剤としてオルガノシロキサン樹
脂中のシロキサン結合によってガラスと同等のハードコ
ート性を持たすことができるもの等公知のものが使用で
きる。
【0022】また、硬化方法も紫外線硬化、熱硬化、電
子線硬化、赤外線照射、熱風乾燥等公知の方法をそれぞ
れ単独で使用してもよいし併用することもできる。かか
る場合に、特に上記で示した局所的に熱可塑性樹脂シー
トの延伸倍率が高くなる場合には、ハードコート剤を完
全に硬化させない程度に硬化させた後、付形をせずに、
または付形をして成形を行い多層構造成形品とした後、
ハードコート剤を完全に硬化させるとの方法もとること
ができる。またハードコート剤自体を一部架橋構造を有
するゲル状またゾル状として塗付し、その後付形をせず
に、または付形をして成形を行い多層構造成形品とした
後、ハードコート剤を完全に硬化させるとの方法もとる
ことができる。
【0023】また樹脂材料がポリカーボネート、耐熱ア
クリル系樹脂の場合は、ハードコート剤と該樹脂の間に
双方に付着性良好なプライマー層を設けることが特に好
ましく、特に限定されるものではないが例えば、紫外線
吸収剤を含むアクリル系樹脂等を使用することができ
る。
【0024】ハードコート膜形成性原料の塗布方法とし
ては、バーコート法、スプレーコート法、ロールコート
法等公知の方法が使用できる。このようにして得られた
積層用シートの厚みは成形品にした時の外観、耐衝撃
性、耐擦傷性や耐候性等の性能により決定される。また
その厚みは1〜50μmが好ましく、更に3〜30μm
である。ハードコート膜の厚みが1μmより薄いと充分
な耐擦傷性が得られなくなり、また50μmより厚いと
塗膜の可とう性が低下し折り曲げ等によりクラックが発
生する。塗布に際し、ハードコート膜形成性原料に希釈
剤として有機溶剤を添加することもできる。使用できる
有機溶剤としては、酢酸ブチル、酢酸エチル、トルエ
ン、イソプロパノール等が挙げられる。その使用量は、
プライマー層について固形分濃度が1〜50重量%の範
囲となることが好ましく、またハードコート膜形成原料
においては固形分濃度が1〜70重量%、より好ましく
は3〜30重量%であることが好ましい。ハードコート
膜形成性原料には必要に応じてレベリング剤、帯電防止
剤、離型剤、艶消し剤、無機フィラー等添加することが
できる。
【0025】本発明において熱可塑性樹脂シート上の一
部に印刷により文字や模様を形成して使用することも可
能である。
【0026】印刷方法としては、グラビヤ印刷、平板印
刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、パット印
刷、スクリーン印刷などの従来公知の印刷方法を製品形
状や印刷用途に応じて使用することができる。
【0027】印刷で使用する印刷インキの構成として
は、主成分として樹脂系と油系などを使用することが可
能であり、樹脂系としては、ロジン、ギルソナイト、セ
ラック、コパールなどの天然樹脂やフェノール系および
その誘導体、アミノ系樹脂、ブチル化尿素、メラミン樹
脂、ポリエステル系アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ア
クリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリカーボネート樹脂、飽和ポリエステル樹
脂、非晶性ポリアリレート樹脂、非晶性ポリオレフィン
樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合物、ブチラール樹脂、メチルセルロー
ス樹脂、エチルセルロース樹、ウレタン樹脂などの合成
樹脂が使用することができる。特に第1層または第2層
における、第3層との界面側表面に印刷をする場合に
は、耐熱性の高いインキ成分が必要であり、かかる場合
の樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリア
リレート樹脂などが好ましく挙げられる。また印刷イン
キに顔料や染料などにより所望の色に調整することがで
きる。
【0028】一方、その他の表面処理としては、フッ素
系や撥水・撥油性コートや、光触媒等による浸水性コー
トをすることも可能である。
【0029】金型キャビティ表面および金型コア表面に
熱可塑性樹脂シートを装着する方法としては、熱可塑性
樹脂シートに静電気を付与して金型のキャビティ表面お
よびコア表面に装着する方法、熱可塑性樹脂シートを金
型内に設けられた吸引溝から真空等により吸引すること
により金型のキャビティ表面およびコア表面に装着する
方法、熱可塑性樹脂シートのゲート部やタブ部などに予
め穴あけ加工を施しておき、金型キャビティ表面やコア
表面に設けたピンなどを用いて装着する方法、熱可塑性
樹脂シートのタブ部などに鉄片等を貼り付けるととも
に、金型キャビティ表面やコア表面に予め磁石を埋め込
んで装着する方法等、その他従来公知の方法を利用する
ことができる。
【0030】本発明は、上記要件(1)で装着された2
層の熱可塑性樹脂シートに対し、(2)かかる第1層お
よび第2層の間の空間に第3層として透明な熱可塑性樹
脂(以下”樹脂b”と称することがある)を射出速度3
00mm/sec以上の射出速度で充填することを第2
の要件とするものである(以下“要件(2)”と称する
ことがある)。かかる条件を満足する成形を行うことに
より、大型成形品においても充填時にほぼ均一な歪みや
熱の履歴を有する状態が確保され、これらの分布やムラ
に起因する光学的歪みを解消し、かかる歪みを解消した
状態で充填された樹脂の圧縮をすることが可能となる。
【0031】要件(2)において更に好ましくは350
mm/sec以上、特に好ましくは400mm/sec
以上である。速度の上限としては800mm/sec程
度を目安とする。300〜800mm/secの範囲で
は、本発明の目的を達成すると共に、高速化により成形
品に発生するヤケも少ない良好な大型グレージング製品
を得ることが可能となる。
【0032】300mm/sec以上の射出速度を達成
するためには、アキュームレーターの容量を増大した
り、モーターの馬力を増大したりするなどの方法により
射出馬力を増加させることが基本となるが、極めて高速
度および短時間におけるスクリュー速度および位置の制
御や応答を達成するため射出シリンダの構造や油圧制御
システム、モーター制御システム等を適正化することも
必要となる。かかる方式としては現在公知の各種方法を
取ることができる。
【0033】また動力源としては油圧ポンプによる方式
であっても電動モーター(リニア型モーターを含む)に
よる方式であってもよいが、大型の成形品に対しては油
圧ポンプによる方式がより好ましい。更に射出装置は、
一般的な可塑化スクリュの前進によるインライン方式、
可塑化スクリュと充填用のプランジャーが別となったい
わゆるプリプラ方式のいずれも使用可能である。
【0034】一方、金型の面においても、金型内のガス
抜きが円滑に進むよう十分なガス抜きの溝を形成したも
のや、また多孔質の焼結金属や、ベント孔を通して真空
ポンプ等による減圧を行うものが好ましく使用できる。
【0035】尚、ここでいう射出速度とは、樹脂bが第
1層表面および第2層表面により主として構成される空
間内への充填開始から終了までの平均速度をいい、必ず
しも一定速度である必要はなく、多段階の射出速度によ
る成形も可能である。
【0036】本発明では、上記の充填後、(3)かかる
第1層、第2層および第3層からなる多層構造成形品が
金型内から取り出し可能になるまで冷却する間に圧縮力
を作用させることを第3の要件とするものである(以下
“要件(3)”と称することがある)。かかる圧縮によ
り要件(1)において特に厚み方向の、要件(2)にお
いて特に面内方向の熱履歴バランス、圧力バランスに優
れた低歪みの成形品を、よりそのままの状態で目的とす
る成形品として金型内から取り出すことが可能となる。
【0037】一方、通常の射出圧縮成形では、すでに分
布をもった状態で圧縮がなされることになる。したがっ
て圧縮自体が均一であっても圧力は固化層の形成が早く
固くなった部分に集中してかかり、結果としてかかる分
布を解消することは困難となる。
【0038】ここで好ましい圧縮条件としては、多層構
造成形品を圧縮する際、ゲート部付近と流動末端部付近
との金型内圧力差が10MPa以下としながら圧縮をす
る場合である。かかる条件を満足できるよう、圧縮工程
の開始時期、圧縮ストロークすなわち初期のキャビティ
容量、圧縮圧力および圧縮時間等を決定する。また圧縮
時にかかる保圧が過度に高いとかかる圧力差が生じ易く
なるため、かかる点にも注意が必要である。一方、過度
の保圧を掛ける必要がないよう圧縮ストローク(初期の
金型キャビティ容量)を調整することが最も適切であ
る。
【0039】かかる金型内圧力差に関しては、それぞれ
かかる位置に各種圧力センサーを配することでその値を
確認することができる。尚、ここでゲート部付近とは、
ゲート位置から3cm以内を目安とした金型キャビティ
または金型コア表面部分をいい、同様に流動末端部付近
とは成形品の流動末端に相当する位置から3cm以内を
目安とした金型キャビティまたは金型コア表面部分をい
う。またゲート位置および流動末端位置にできるだけ近
い部分で上記の条件を満足できることがより好ましい。
【0040】また、第1層および第2層を形成する熱可
塑性樹脂シートの厚み差や、射出成形時のシリンダ温度
もかかる金型内圧力差に影響を与えるためこれらの条件
設定によってもかかる金型内圧力差を制御することが可
能である。尚、本発明では、保圧や圧縮ストロークの量
に注意を払えば、充填時においてほぼ一様な樹脂状態に
あるため、その後の圧縮において金型内圧力差を10M
Pa以内とする条件の自由度が高いといえる。
【0041】本発明で用いる射出圧縮成形法としては、
例えばプラテン(金型を取り付ける板)の開閉を利用し
た型締め圧縮成形法や成形機プラテンの圧縮シリンダ
ー、ボールネジ等を利用したコア圧縮成形法等のいずれ
も利用可能である。
【0042】前記の型締め圧縮成形法とは、固定側、お
よび可動側のそれぞれの金型パーティング面を所定の間
隔だけ開いた状態にし、樹脂を射出し、その後型締め力
によりパーティング面を接触させて圧縮する方法をさ
す。また、前記コア圧縮成形法とは、射出前の型締めで
は金型のそれぞれのパーティング面を接触させ、所定の
型締め力をかけて樹脂を射出しその後圧縮する手段をさ
す。射出後圧縮する工程では、成形機、金型等に設置さ
れた圧縮機構により可動側コアをキャビティの容積が縮
小される方向に前進させて圧縮させる。ここでいう圧縮
機構としては、圧縮シリンダーやボールネジ等を挙げる
ことができる。本発明では、コア圧縮成形法がより均一
な圧縮が可能となることからより好ましい方法として挙
げることができる。
【0043】本発明における金型温度は熱可塑性樹脂シ
ートに不必要な軟化や変形を与えないために、かかる熱
可塑性樹脂シートのガラス転移温度よりも低いことが好
ましく、より好ましくはかかるガラス転移温度よりも1
0℃以上低い場合、更に好ましくは20℃以上低い場合
である。尚、金型キャビティ表面と金型コア表面にそれ
ぞれ異なる樹脂のシートを装着する場合には、それぞれ
の温度に合わせて金型温度を設定することも可能である
が、成形安定性の点からより低いガラス転移温度に合わ
せて調節することが好ましい。
【0044】一方で良好な光学歪みを有する成形品を得
るためには、樹脂bの充填後の冷却が温和であることが
必要である。本発明においては熱可塑性樹脂シートによ
り相応の断熱効果を有するためかかる点において有利な
条件を備えているが、その場合でも金型温度の条件は重
要な因子となる。
【0045】したがって本発明における金型温度は、樹
脂bのガラス転移温度をTg(℃)としたとき、金型温
度をTgより低い温度で保持する方が好ましく、より好
ましくは[Tg−10](℃)〜[Tg−100]
(℃)、更に好ましくは[Tg−20](℃)〜[Tg
−80](℃)、特に好ましくは[Tg−20](℃)
〜[Tg−50](℃)である。一方、樹脂bのTgよ
りも高い場合も十分に成形可能であるが、かかる場合に
はシート層を低温としすばやく成形することや、成形品
を入れ子型の金型キャビティごと取り出してかかる入れ
子全体を冷却した後、成形品を取り出すなどの工夫が必
要となる。尚、ここでいうガラス転移温度とはJIS
K7121に規定される方法にて測定されたものであ
る。
【0046】本発明の光学的歪みの少ない成形品を得る
成形方法は、2色成形、サンドイッチ成形、ガスアシス
ト成形等を組み合わせて使用することも可能である。
【0047】尚、本発明に好ましく用いることができる
ポリカーボネート樹脂は、通常二価フェノールとカーボ
ネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で
反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマ
ーを固相エステル交換法により重合させたもの、または
環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて
得られる粘度平均分子量10,000〜40,000の
ものであり、好ましくは14,000〜30,000、
更に好ましくは16,000〜25,000である。光
学的歪みの少ない成形品を得るためには、溶融流動性の
よい低粘度の樹脂が望ましいが、あまりに低粘度過ぎる
とポリカーボネート樹脂の特徴である衝撃強度が保持で
きない。
【0048】なお、ここで言う粘度平均分子量(M)
は、オストワルド粘度計を用いて、塩化メチレンを溶媒
として20℃で測定した溶液の極限粘度[η]を求め、
下記Schnellの粘度式 [η]=1.23×10-40.83 から求められる。
【0049】ポリカーボネート樹脂を製造するためのビ
スフェノール類にはビスフェノールAが特に好ましいが
その他公知のフェノール類から重合されたポリカーボネ
ート樹脂でも制限はない。
【0050】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒ
ドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−
ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロ
ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレ
ン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−
ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,
α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプ
ロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
ケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルお
よび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があ
げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用で
きる。
【0051】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノ
ールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
とビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベ
ンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0052】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0053】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防
止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は
三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポ
リカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の
二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネ
ート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネ
ート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0054】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれ
らの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−
トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0055】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリ
カーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましく
は0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01
〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の
場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、か
かる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全
量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜
0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%
であるものが好ましい。尚、かかる割合については1
−NMR測定により算出することが可能である。
【0056】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促
進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウ
ム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反
応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に
保つのが好ましい。
【0057】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール
または低級アルキル置換フェノールであって、下記一般
式(1)で表される単官能フェノール類を示すことがで
きる。
【0058】
【化1】
【0059】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。) 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0060】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も
示すことができる。これらのなかでは、下記一般式
(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換
基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O
−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0064】かかる一般式(2)の置換フェノール類と
してはnが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデ
シルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシ
ルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフ
ェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフ
ェノール等を挙げることができる。
【0065】また、一般式(3)の置換フェノール類と
してはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である
化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26
のものが好適であって、その具体例としては例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0066】末端停止剤は、得られたポリカーボネート
樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少
くとも10モル%末端に導入されることが望ましい。よ
り好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以
上導入されること、すなわち二価フェノールに由来する
末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることが
より好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止
剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が
10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独
でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0067】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0068】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
トなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0069】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価
フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×
10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4
量の範囲で選ばれる。
【0070】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
ト等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−ク
ロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカル
ボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0071】更に溶融エステル交換法においては、失活
剤を用いて重合後残存する触媒の活性を中和しておくこ
とが望ましい。かかる失活剤としては、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メ
チル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸
ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホ
ン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−ト
ルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチ
ル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンス
ルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、
トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン
酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル−スル
ホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸
−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスル
ホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テト
ラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブ
チルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テト
ラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸
テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼン
スルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアン
モニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシ
ルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェ
ート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデ
シルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシル
ジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テト
ラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テ
トラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシル
トリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テ
トラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェー
ト、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフ
ェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサ
ルフェートなどの化合物を挙げることができるが、これ
らに限定されず、またこれらの化合物は2種以上併用す
ることもできる。
【0072】中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウ
ム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量としては、残
存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用
いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂
に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましく
は0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜
100ppmの割合で使用する。
【0073】本発明の第1層、第2層、および第3層を
形成する透明な熱可塑性樹脂には離型剤を配合すること
ができ、こうすることは離型時の歪みを抑制できる点で
好ましい結果を与える。離型剤としては飽和脂肪酸エス
テルが一般的であり、例えばステアリン酸モノグリセラ
イド等のモノグリセライド類、デカグリセリンデカステ
アレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等の
ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステア
レート等の低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネー
ト等の高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテ
トラステアレート等のエリスリトールエステル類が使用
される。離型剤は熱可塑性樹脂100重量部当り0.0
1〜1重量部用いられる。
【0074】また、必要に応じて亜燐酸エステルに代表
されるリン系の熱安定剤を、本発明の第1層、第2層、
および第3層を形成する透明な熱可塑性樹脂100重量
部当り0.001〜0.1重量部配合してもよい。リン
系の熱安定剤としてはトリメチルホスフェート、トリフ
ェニルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフ
ァイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス−
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリ
スリトール−ジ−ホスファイト、トリス(エチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(ブチルフェニル)ホスファ
イトおよびトリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイ
ト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラ
キス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,
3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンジホスホナイト
等が好ましい。
【0075】耐候性の向上および有害な紫外線をカット
する目的で、本発明の第1層、第2層、および第3層を
形成する透明な熱可塑性樹脂には更に紫外線吸収剤を配
合することができる。かかる紫外線吸収剤としては、例
えば2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェ
ノンに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤;例え
ば2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒド
ロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフ
ェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−
メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブ
チル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)
フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス
(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベン
ゾトリアゾールおよび2−(3,5−ジ−tert−ア
ミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールに
代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が例示さ
れ、これらは単独で用いても、二種以上併用してもよ
い。これら紫外線吸収剤のうち、ベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤が好ましい。
【0076】また、本発明の第1層、第2層、および第
3層を形成する透明な熱可塑性樹脂には、熱可塑性樹脂
自身や紫外線吸収剤の配合に基づく黄色味を打ち消すた
めにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイ
ング剤としては熱可塑性樹脂に使用されるものであれ
ば、特に支障なく使用することができる。特にポリカー
ボネート樹脂に対して有用である。具体的なブルーイン
グ剤としては、例えば一般名Solvent Viol
et13[CA.No(カラーインデックスNo)60
725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオ
レットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルー
G」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレッ
トB」]、一般名Solvent Violet31
[CA.No68210;商標名 三菱化学(株)製
「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solve
nt Violet33[CA.No60725;商標
名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一
般名Solvent Blue94[CA.No615
00;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルー
N」]、一般名Solvent Violet36[C
A.No68210;商標名バイエル社製「マクロレッ
クスバイオレット3R」]、一般名SolventBl
ue97[商標名 バイエル社製「マクロレックスブル
ーRR」]および一般名Solvent Blue45
[CA.No61110;商標名 サンド社製「テトラ
ゾールブルーRLS」]、チバ・スペシャリティ・ケミ
カルズ社のマクロレックスバイオレットやトリアゾール
ブルーRLS等があげら、特に、マクロレックスバイオ
レットやトリアゾールブルーRLSが好ましい。
【0077】本発明では、前記の特定の成形方法を使用
することにより、大型のグレージング製品を射出成形に
より効率的に製造することが可能となる。特にゲート部
から流動末端部までの最大距離が200mm以上となる
ような大型の成形品に好適なものである。
【0078】更に本発明によれば、従来の射出成形法で
は得られなかった、JIS規格R3212に準拠して測
定され、成形品表面の法線と投影面の法線とのなす角度
が55°であるときの透視歪み量が1.5分以下であ
り、かつゲート部から流動末端部までの最大距離が20
0mm以上である板状成形品が提供される。尚、かかる
板状成形品は平面状のみならず、曲面を有するものも含
まれる。
【0079】かかる成形品は、具体的には車両用のグレ
ージング材料、例えば各種自動車の窓、自動二輪車、自
転車および自動歩行機の屋根や窓、建設機械の窓などに
有効なものである。
【0080】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明を更
に説明する。実施例において用いる熱可塑性樹脂は次の
通りである(以下ではそれぞれPC、PCSと略称す
る)。 (第3層を形成する透明な熱可塑性樹脂) PC:ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作
られた粘度平均分子量18,500のポリカーボネート
樹脂100重量部に、Sandstab P−EPQ
(サンドズ(Sandoz)社製)0.03重量部、お
よびグリセリンモノステアレート0.2重量部を配合
し、280℃で溶融押出してなるペレット状ポリカーボ
ネート樹脂組成物。尚、かかる樹脂を280℃で射出成
形して得られた2mm厚の平板成形品において、JIS
規格K7105に準拠して測定されたヘーズは0.7%
であった。
【0081】(第1層および第2層を形成する透明な熱
可塑性樹脂シート) PCS:ビスフェノールAとホスゲンから常法によって
作られた粘度平均分子量25,000、厚み0.5mm
のTダイ押出法により得られたポリカーボネート樹脂シ
ート。かかるシートは以下の手順によりシリコン樹脂系
ハードコートが塗布されてなり、またシートの以下
((1)光学的歪み特性の項)に示す測定法での透視歪
み量が1.2分であり、当該ポリカーボネート樹脂を2
80℃で射出成形して得られたヘーズは0.6%であっ
た。
【0082】(ハードコート処理方法)還流冷却器及び
撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にメチルメタ
クリレート(以下MMAと略称する)70部、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称す
る)39部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIB
Nと略称する)0.18部及び1,2−ジメトキシエタ
ン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気
流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応
液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、MMA/HE
MAの組成比70/30(モル比)のコポリマー(アク
リル樹脂(I))90部を得た。該コポリマーの重量平
均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GP
CA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算
で80,000であった。
【0083】また、メチルトリメトキシシラン142
部、蒸留水72部、酢酸20部を氷水で冷却下混合し、
この混合液を25℃で1時間攪拌し、イソプロパノール
116部で希釈してメチルトリメトキシシラン加水分解
縮合物溶液(X)350部を得た。一方、テトラエトキ
シシラン208部、0.01N塩酸81部を氷水で冷却
下混合し、この混合液を25℃で3時間攪拌し、イソプ
ロパノール11部で希釈してテトラエトキシシラン加水
分解縮合物溶液(Y)300部を得た。
【0084】次にハードコート第1層用組成物として、
前記アクリル樹脂(I)8部をメチルエチルケトン40
部、メチルイソブチルケトン20部、エタノール5.2
部、イソプロパノール14部および2−エトキシエタノ
ール10部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液
にメチルトリメトキシシラン加水分解縮合物溶液(X)
10部を添加して25℃で5分間攪拌し、さらにかかる
溶液にメラミン樹脂(三井サイテック(株)製サイメル3
03)1部を添加して25℃で5分間攪拌し、コーティ
ング用組成物(i)を調製した。
【0085】更にハードコート第2層用組成物として、
水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)
製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%)10
0部に蒸留水12部、酢酸20部を加えて攪拌し、この
分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン13
4部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得
られた反応液に、テトラエトキシシラン加水分解縮合物
溶液(Y)20部および硬化触媒として酢酸ナトリウム
1部を加えイソプロパノール200部で希釈してコーテ
ィング用組成物(ii)を調製した。
【0086】0.5mm厚のPC樹脂製シート上片面
に、コーティング用組成物(i)をワイヤバーで塗布
し、25℃で20分間静置後、120℃で30分間熱硬
化させた。第1層の膜厚は2.5μmだった。次いで、
該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii)
を更にワイヤバーで塗布し、25℃で20分間静置後、
120℃で2時間熱硬化させた。第2層の膜厚は5.0
μmだった。
【0087】また、評価は下記の方法によった。 (1)光学的歪み特性 JIS規格R3212に準拠して以下の要領で透視歪み
量を測定した。スライド投影機(キャビン工業(株)製
AF250)に必要なスライドをセットし、円直径8m
m、一列おいた円との中心間距離24mmである多数の
円を投影した。スライド投影機から板状成形品(シート
の場合はシート)までの距離4m、およびスライド投影
機から投影面までの距離4mで投影を行った。成形品の
周囲10mmずつを挟み込む形で成形品をジグに保持
し、投影面の法線と成形品の法線のなす角度が55°と
なるように成形品をセットした。円が歪み楕円として投
影された楕円の径をデジタルノギスにより0.1mm単
位で測定し、投影された楕円の中で最大の径より、算出
式から透視歪み量を算出した。 (2)最大圧力差 図3に示すように、金型キャビティ表面およびコア表面
に接触したストレインゲージ式圧力センサーを用いて記
録計に記録し、ゲート部と流動末端部の金型内圧力差の
最大値を測定した。
【0088】[実施例1]PCを120℃で5時間乾燥
した後、600mm/secの射出速度を達成可能な超
高速射出装置、および油圧シリンダーによるコア圧縮機
構を備えた射出圧縮成形用金型装置を備えた射出成形機
(日精樹脂工業(株)製FN−8000−36ATN)
を用いてシリンダー温度300℃にて図1および図2に
記載の成形品を成形した。かかる成形品は長さ235m
m×幅180mm×厚み5mmの板状成形品であり、フ
ィルム状ゲート(ゲート部の厚み1.5mm)を有する
ものを使用した(図2参照)。また金型温度は金型温調
機を使用して105℃に保った。
【0089】図3に示すように金型内に静電気を利用し
てPCSをハードコート面側が金型表面に接するように
金型キャビティ表面および金型コア表面に装着した後、
350mm/secの射出速度でPCを充填した。その
際射出前に可動側コアを1mm後退させ(金型キャビテ
ィ表面とコア表面の距離は約6mm)、次いで第1層と
第2層のシートの間に樹脂を充填したのち、充填完了と
同時に可動側コアを平均速度0.05mm/secで圧
縮した。またかかる圧縮工程中樹脂には100MPaの
保圧をかけた。かかる条件下で金型内圧力差は6MPa
前後で10MPaを超えることなく安定していた。冷却
完了後に成形品を取り出したが、成形サイクルは95秒
であった。このようにして得られた成形品の光学的歪み
特性について評価した。評価結果を表1に示す。
【0090】[実施例2〜4、比較例1〜5]実施例1
と表1に記載の各種の条件を変更する以外は、実施例1
と同様の条件で行った。熱可塑性樹脂シートを装着せず
に成形する場合は、かかる分の容量をほぼ比例する形で
増加すると共に、かかるシート分だけコア後退量を小さ
くして測定した。すなわちシートをキャビティおよびコ
ア表面の双方に装着している場合は後退量を1mm分小
さくし、一方のみ装着する場合には後退量を0.5mm
分小さくするとの方法によりかかる温度測定を行った。
【0091】
【表1】
【0092】表1から明らかなように、シートを装着し
ない場合、射出速度が一定量に満たない場合、および圧
縮力を作用させない場合等に比較して、かかる3条件を
すべて具備する場合には、かかる大型の成形体において
透視歪み量が極めて良好な低歪み成形品が得られている
ことがわかる。また実施例より成形時の最大圧力差等が
小さい場合には、特に良好な成形体が得られることが分
かる。
【0093】
【発明の効果】本発明を用いると、光学的歪み特性に優
れる光学製品を得ることが可能であり、特に自動車分野
の自動車グレージング製品のような、優れた光学的歪み
特性が要求される用途にきわめて適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】板状成形体の概要を模式的に表す正面図であ
る。
【図2】板状成形体の特にゲート部分の概要を模式的に
表す側面図である。
【図3】金型構造を側面から見た概要図である。
【符号の説明】
1 板状成形品本体 2 板状成形品ゲート部分(幅:180mm) 3 板状成形品ランナー部分(幅195mm) 4 板状成形品の幅(180mm) 5 板状成形品の長さ(235mm) 6 スプルー部 7 ゲート部に対応する圧力センサー(図1では取り付
け位置相当部を示す) 8 流動末端部に対応する圧力センサー(図1では取り
付け位置相当部を示す) 9 ランナー部厚み(5mm) 10 ランナー部長さ(14mm) 11 スプルー最大直径(8mm) 12 スプルー長さ(100mm) 13 ゲート長さ(7mm) 14 ゲート厚み(1.5mm) 15 ゲート部入口幅(1.5mm) 16 板状成形品厚み(5mm) 17 固定側金型 18 可動側金型 19 主金型の温度センサー埋め込み部位 20 可動コア 21 可動コアの圧縮動作 22 金型キャビティ表面に装着された熱可塑性樹脂シ
ート 23 金型コア表面に装着された熱可塑性樹脂シート 24 充填された樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 9:00 B29L 9:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的歪みの少ない多層構造成形品を得
    る方法であって、(1)予め第1層として金型キャビテ
    ィ表面に、および第2層として金型コア表面にそれぞれ
    透明な熱可塑性樹脂シートを装着し、(2)かかる第1
    層および第2層の間の空間に第3層として透明な熱可塑
    性樹脂(以下“樹脂b”と称することがある)を射出速
    度300mm/sec以上の射出速度で充填し、(3)
    かかる第1層、第2層および第3層からなる多層構造成
    形品が金型内から取り出し可能になるまで冷却する間に
    圧縮力を作用させることを特徴とする光学的に歪みの少
    ない多層構造成形品を得る成形方法。
  2. 【請求項2】 第1層および第2層を形成する透明な熱
    可塑性樹脂シートの厚みが200〜500μmである請
    求項1に記載の光学的に歪みの少ない多層構造成形品を
    得る成形方法。
  3. 【請求項3】 金型内の多層構造成形品を圧縮する際、
    ゲート部付近と流動末端部付近との金型内圧力差を10
    MPa以下とする請求項1または2のいずれか1項に記
    載の光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法。
  4. 【請求項4】 樹脂bが、粘度平均分子量10,000
    〜40,000のポリカーボネート樹脂である請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の光学的歪みの少ない成形品
    を得る成形方法。
  5. 【請求項5】 第1層および第2層を形成する透明な熱
    可塑性樹脂シートが、粘度平均分子量10,000〜4
    0,000のポリカーボネート樹脂製シートである請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の光学的歪みの少ない成
    形品を得る成形方法。
  6. 【請求項6】 ゲート部から流動末端部までの最大距離
    が200mm以上である請求項1〜6のいずれか1項に
    記載の成形法で得られた成形品。
  7. 【請求項7】 JIS規格R3212に準拠して測定さ
    れ、成形品表面の法線と投影面の法線とのなす角度が5
    5°であるときの透視歪み量が1.5分以下であり、か
    つゲート部から流動末端部までの最大距離が200mm
    以上である板状射出成形品。
JP2000045923A 2000-02-23 2000-02-23 光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法、およびその成形品 Pending JP2001232661A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000045923A JP2001232661A (ja) 2000-02-23 2000-02-23 光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法、およびその成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000045923A JP2001232661A (ja) 2000-02-23 2000-02-23 光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法、およびその成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001232661A true JP2001232661A (ja) 2001-08-28

Family

ID=18568435

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000045923A Pending JP2001232661A (ja) 2000-02-23 2000-02-23 光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法、およびその成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001232661A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005103907A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Idemitsu Kosan Co Ltd 二色成形品、およびその製造方法
JP2012143890A (ja) * 2011-01-07 2012-08-02 Toyota Industries Corp 2色成形樹脂ウィンドウ及び2色成形樹脂ウィンドウの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005103907A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Idemitsu Kosan Co Ltd 二色成形品、およびその製造方法
JP4495938B2 (ja) * 2003-09-30 2010-07-07 出光興産株式会社 二色成形品の製造方法
JP2012143890A (ja) * 2011-01-07 2012-08-02 Toyota Industries Corp 2色成形樹脂ウィンドウ及び2色成形樹脂ウィンドウの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8342682B2 (en) Process to mold a plastic optical article with integrated hard coating
EP1312472A1 (en) Sheet-form layered structure with attractive appearance and utilization thereof
JP5413167B2 (ja) パネルの成形方法
US5733659A (en) Transparent rigid resin molded product and process for producing the same
JP2012000943A (ja) パネルの成形方法
JP2001225349A (ja) グラデーション色彩を有する成形品の製造方法
JP2001225348A (ja) 成形方法およびその成形品
JP4808951B2 (ja) 光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物成形品
JP4907755B2 (ja) ポリカーボネート樹脂積層体
JP2001232661A (ja) 光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法、およびその成形品
JP2001088165A (ja) 薄く、厚みの制御された層構造を有する成形品を得る成形方法、およびその成形品
US20140087144A1 (en) Resin molded product
JP4852348B2 (ja) 孔を有する樹脂成形体の製造方法
KR102363856B1 (ko) 차량용 폴리카보네이트 글레이징 제조방법
JP2001232658A (ja) 多層構造を有する成形品の製造方法、およびそれから得られた成形品
JP2002060527A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物成形体
JP4435369B2 (ja) ポリカーボネート樹脂積層体
JP2001354781A (ja) ポリカーボネート樹脂からなる窓材
JP4401547B2 (ja) ポリカーボネート樹脂積層体
JP2001232663A (ja) 多層構造成形品の製造方法、およびその成形品
JP2001239542A (ja) 成形方法、およびそれから得られた成形品
JP3828496B2 (ja) 高意匠性シート状積層構造体およびその利用
JP2004098603A (ja) 射出圧縮成形方法、および該成形方法から製造された成形品
JP4090634B2 (ja) 光学的歪みの少ない成形品を得る成形方法、およびその成形品
JP2015096328A (ja) 多色成形品の成形方法及び多色成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061101

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090120

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091027