JP2004098603A - 射出圧縮成形方法、および該成形方法から製造された成形品 - Google Patents

射出圧縮成形方法、および該成形方法から製造された成形品 Download PDF

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Tatsuya Sone
曽根 達也
Takanao Kitahara
北原 隆尚
Akihiro Nitta
新田 晃弘
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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂の射出圧縮成形方法であって、高外観および低歪み性を有し、かつ大型の成形品を製造可能な、比較的汎用性に富んだ成形方法、殊に通常のポリカーボネート樹脂から樹脂製窓ガラス成形品などの大型の射出圧縮成形品を製造するために適切な成形方法、並びにかかる成形方法から製造された樹脂製窓ガラス成形品などの射出圧縮成形品を提供する。
【解決手段】予め金型を後退させるなどの方法によって、少なくともその射出供給完了時には目的とする成形品容量よりも拡大された容量の金型キャビティ内に樹脂を射出供給する射出圧縮成形方法において、▲1▼圧縮開始のタイミングおよび射出工程と圧縮工程との重なり時間の割合、▲2▼圧縮時に加える圧力、並びにより好適には▲3▼射出工程時の金型後退量を規定することによる成形方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形方法に関する。更に詳しくは、高外観かつ低歪み性を有し、かつ大型の成形品の製造可能な成形方法およびその成形品、殊に樹脂製窓ガラス成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学部品の射出成形においては、低い残留応力や高い金型転写性が必要とされる。例えば光学レンズの成形では金型内での材料の収縮によるヒケやボイドを防止しなければならないことはもちろん、残留応力による光学歪が生じないようにしなければならない。またガラス窓や風防などの成形においても光学歪の低減が求められる。近年これらの製品はより自由度の高い形状を得る目的で、押出シートの曲げ加工から射出成形へ転換が検討されている。一方で大型部品の射出成形には、巨大な型締め力を有する大型成形機が必要であるが、生産コストを低減するためには成形機のダウンサイジングが要求される。
【0003】
これら種々の要求に対して、可塑化溶融した熱可塑性樹脂を、目的とする成形品の容量よりも大なる金型キャビティに供給し、かかる容量の拡大された金型キャビティを目的とする成形品の容量まで縮小し、その後冷却する方法(かかる成形方法は射出圧縮成形法と称されるものであるため、以下“射出圧縮成形法”と称する)は、通常の射出成形法(以下単に“射出成形法”と称する)と比べると次のような利点がある。射出成形では閉じられた金型キャビティ内にゲートより溶融樹脂を高圧で圧入するため、樹脂の配向や過大な歪が生じやすい。したがって、成形品の残留歪は成形品にねじれや歪みなどの変形を生じさせやすく、特にゲート近傍の大きな残留歪は物性的問題を生ずる場合もある。これに対し、射出圧縮成形法では金型を半閉鎖状態とするなどの方法により、その容量が拡大された金型キャビティ内に溶融樹脂を供給する。すなわち極めて自由度の高い空間に樹脂は供給されるので、供給時の歪はほとんど生じないかまたは容易に緩和する。更に供給された樹脂は金型キャビティ容量縮小時の圧力(例えば型締めによる圧力)により、金型キャビティ面に一様に流動して賦形されるので、この点においても成形品の残留歪はほとんどなく、成形品の変形もない。更にかかる賦形に必要な圧力は射出成形法の1/15〜1/3程度と小さくて済むため、型締め力のより小さい装置で成形ができる。したがってその装置費も安価である。
【0004】
一方で射出圧縮成形品は、フローマークの発生による表面外観の悪化が問題となる場合がある。したがって良好な成形品を製造するためには、フローマークの発生を抑制しつつ残留歪の少ない成形条件が必要とされる。
【0005】
更に射出圧縮成形品は、例えば成形品側面にゲートを有する板状成形品の場合、その側面部分の一部において筋状の外観不良が発生する場合がある。透明かつ低歪み性が求められるの窓ガラスなどの製品や、良好な外観が求められる車両用外板などの製品においては、成形品中央部分へのゲートの配置やウエルドを生じさせるゲートの配置は適用できない。このためこれらの製品においてはゲートは成形品の側面部に1箇所配置されることが多い。かかるゲート配置の場合、上記筋状の外観不良は発生しやすい。したがってかかる点をも考慮した成形条件が必要とされる。
【0006】
上記の要求は、殊にポリカーボネート樹脂等の透明性の高い樹脂において強い。ポリカーボネート樹脂の射出圧縮成形に関しては、既に粘度平均分子量の異なる2種類のポリカーボネート樹脂を混合することにより、フローマークの発生がなく耐衝撃性の良好な射出圧縮成形品が得られる旨が提案されている。一方、かかる特定の混合物でない通常のポリカーボネート樹脂からなる射出圧縮成形品はフローマークを有することも知られている(特許文献1参照)。
【0007】
また特定の粘度平均分子量、分子量分布、および流れ値を有するポリカーボネート樹脂からなる射出圧縮成形品はフローマークがなく、良好な耐衝撃性を有するが、それ以外の射出圧縮成形品ではフローマークが発生することも知られている(特許文献2参照)。
光ディスク基板の分野においては、加熱手段で型の表面を加熱した後、圧縮代2〜20%を残した金型内に樹脂を充填すると共に、樹脂を該圧縮代分圧縮する樹脂基板の成形方法、並びに該成形方法より製造された残留応力の発生が少なく複屈折の生じない樹脂基板が既に提案されている。かかる提案においてはその圧縮圧力は250kg/cm(24.5MPa)が好ましいとされている(特許文献3参照)。
【0008】
また本出願人は、レンズなどに代表される光学成形品の射出圧縮成形方法に関して、一旦金型キャビティ内に樹脂を充満させた後に樹脂の圧縮を行う各種方法を既に提案している(特許文献4〜6参照)。
【0009】
車輌用灯具レンズにおいては、最終成形品容量の20〜80%の樹脂を充填させた段階で特定の速度でキャビティを圧縮し、更にその後別の圧縮速度を適用する、2段階の圧縮速度を利用することによりアニール処理を不要としたポリカーボネート樹脂からなる射出圧縮成形品が提案されている(特許文献7参照)。ここで圧縮圧力は100〜300kg/cm(9.81〜29.4MPa)の範囲が適切であることが提案されている。またより具体的には、樹脂の射出充填と圧縮が同時に終了する成形方法(同時圧縮)において、上記の条件を付加することが提案されている(特許文献7 図3参照)。
【0010】
上記の従来技術は、汎用的な樹脂を使用し、高外観かつ低歪み性を有し、かつ大型の成形品の製造可能な成形方法およびその成形品、殊に樹脂製窓ガラス成形品に関して未だ十分な知見を提供するものではなかった。より具体的には、光ディスク分野における知見は、形状が複雑かつ大型の成形品である樹脂製窓ガラスなどの成形品において、単純に適用することは困難である。光ディスク基板などの成形品は極めて光学的な要求が高い一方で、その形状は対象的でありまた比較的小型の成形品であることから、樹脂充填時の流動の複雑さに起因した不良は抑制される。上記の本出願人が提案するレンズなどの光学成形品の製造方法は、やはり大型の成形品では熱安定性の点から適用できない場合がある。更に上記のヘッドランプレレンズに成形において提案された方法も、比較的小型の成形品における知見のみが開示したものと考えられ、大型の成形品においては良好な成形品は得られ難いのが現状である。
【0011】
【特許文献1】
特開昭60−23444号公報
【0012】
【特許文献2】
特開昭60−23421号公報
【0013】
【特許文献3】
特開昭61−79614号公報
【0014】
【特許文献4】
特開2000−6214号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2000−6215号公報
【0016】
【特許文献6】
特開2000−6216号公報
【0017】
【特許文献7】
特開平09−141712号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形方法であって、高外観および低歪み性を有し、かつ大型の成形品を製造可能な、比較的汎用性に富んだ成形方法、殊に通常のポリカーボネート樹脂から樹脂製窓ガラス成形品などの大型の射出圧縮成形品を製造するために適切な成形方法、並びにかかる成形方法から製造された樹脂製窓ガラス成形品などの射出圧縮成形品を提供することにある。
【0019】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、予め金型を後退させる方法により、少なくともその射出供給完了時には目的とする成形品容量よりも拡大された容量の金型キャビティ内に樹脂を射出供給する射出圧縮成形方法において、▲1▼圧縮開始のタイミングおよび射出工程と圧縮工程との重なり時間の割合、▲2▼圧縮時に加える圧力、並びにより好適には▲3▼射出工程時の金型後退量の因子が重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(I):(1)可動側金型を後退させることにより、少なくともその射出供給完了時には目的とする成形品容量よりも拡大された容量の金型キャビティ内に、(2)溶融した熱可塑性樹脂を金型キャビティ内を完全に充満させることなく射出供給し、(3)その供給完了後に目的とする成形品容量まで減少するように金型キャビティ容量を減少させ、(4)その後かかる容量を金型キャビティ内の樹脂に圧力を加えた状態で保持し、(5)金型キャビティ内の成形品をその取り出しが可能な温度以下まで冷却後成形品を取り出す成形方法であって、更に
条件−(i):かかる金型キャビティ容量の減少は、▲1▼熱可塑性樹脂の供給完了以前に開始され、かつ▲2▼金型キャビティ容量の減少の開始から停止までの期間をt(秒)、および熱可塑性樹脂の供給と金型キャビティ容量の減少とが同時に行われている期間t(秒)としたとき下記式(I)の条件を満足し、
0.1≦t/t≦0.9          (I)
条件−(ii):かかる金型キャビティ内の樹脂に加える圧力は18〜35MPaの範囲である
ことを満足する射出圧縮成形方法にかかるものである。
【0021】
かかる構成(I)によれば、特定の樹脂を使用することなく、高外観かつ低歪み性を有し、かつ大型の成形品の製造可能な成形方法およびその成形品が提供される。
【0022】
本発明の好適な態様の1つは、(II):更に条件−(iii):上記金型キャビティ容量の拡大は、可動側金型を、少なくとも金型キャビティ容量の減少が開始する時点において成形品容量に対応する可動側金型の位置から1〜10mmの範囲で後退させることによるものである上記(I)に記載の射出圧縮成形方法である。かかる構成(II)によれば、樹脂製窓ガラス、レンズ部品、または高光沢外板などの更に高外観かつ低歪み性が要求される大型の樹脂成形品が提供される。
【0023】
本発明の好適な態様の1つは、(III):上記成形品は、その厚みが1〜7mmである上記(I)または(II)のいずれかに記載の射出圧縮成形方法である。かかる構成によれば強度が高く透明性により優れた各種分野において実用的な大型の樹脂成形品が提供される。
【0024】
本発明の好適な態様の1つは、(IV):上記成形品は、その成形品側面部分にゲートを有するものである上記(I)〜(III)のいずれか1つに記載の射出圧縮成形方法である。かかるゲートを有する成形品、殊に大型の成形品は、歪み、外観不良、および設備のダウンサイジングの問題を有しやすい。本発明によればかかる問題がより効率的に解決される。したがってかかる構成(IV)によれば、樹脂製窓ガラス、レンズ部品、または高光沢外板などの更に高外観かつ低歪み性が要求される大型の樹脂成形品が提供される。
【0025】
本発明の好適な態様の1つは、(V):上記成形品は、その最大投影面積が1000cm以上である上記(I)〜(IV)のいずれか1つに記載の射出圧縮成形方法である。本発明によれば、かかる最大投影面積を有する大型の良好な樹脂成形品が提供される。
【0026】
本発明の好適な態様の1つは、(VI):上記熱可塑性樹脂は、そのガラス転移温度が100℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を主体とする樹脂である上記(I)〜(V)のいずれか1つに記載の射出圧縮成形方法である。かかる構成(VI)によれば、耐熱性が高い一方で、流動性が低く大型の成形品において外観不良や歪みの問題を有しやすい熱可塑性樹脂においてかかる問題がより効率的に解決される。非晶性熱可塑性樹脂は透明性に優れる場合も多いため、特に樹脂製窓ガラスに好適な成形品が提供される。
【0027】
本発明の好適な態様の1つは、(VII):上記熱可塑性樹脂は、粘度平均分子量が16,000〜26,000のポリカーボネート樹脂を主体するものである上記(I)〜(VI)のいずれか1つに記載の射出圧縮成形方法である。かかる構成(VII)によれば、より樹脂製窓ガラスやレンズなどに好適な成形品が提供される。
【0028】
本発明の好適な態様の1つは、(VIII):上記成形品は、樹脂製窓ガラス成形品である上記(I)〜(VII)のいずれか1つに記載の射出圧縮成形方法である。また(IX):本発明は上記(VIII)の射出圧縮成形法により製造された樹脂製窓ガラス成形品にかかるものである。かかる構成(VIII)や(IX)によれば、外観が良好かつ歪みの少ない、そして当然に形状の自由度が高い、優れた樹脂製窓ガラスが提供される。
【0029】
以下、本発明の詳細について説明する。本発明の射出圧縮成形法は、通常知られている射出圧縮成形法を基本とするものであるが、本発明の成形方法における技術内容をより明確にするため以下に説明する。
【0030】
“(1)可動側金型を後退させることにより、少なくともその射出供給完了時には目的とする成形品容量よりも拡大された容量の金型キャビティ内に、”とは、金型キャビティ(以下単に“キャビティ”と称する場合がある)の容量の拡大が、1−▲1▼:可動側金型の後退により行われ、1−▲2▼:キャビティの容量は、少なくとも溶融樹脂の射出供給が完了した時点においては目的とする成形品容量よりも拡大されていることを意味する。
【0031】
上記1−▲1▼の要件においては、通常可動側金型の後退によるキャビティ容量の拡大方法を“型圧縮法”(キャビティ容量の減少において樹脂の圧縮を伴うため)と称する。キャビティ容量の拡大方法としては、他に金型キャビティ内部のコアプレートを移動させる方法がある。かかる方法はコアプレートの移動に関する制御が容易である点で射出圧縮成形において好ましい方法の1つとされる。しかしながら本発明の目的とする大型の樹脂成形品の成形においては、金型構造の複雑化によって金型の重量増が生じ、かかる金型重量に耐え得る大型の成形機が必要となり、射出圧縮成形の利点の減少を招く場合が多い。一方型圧縮法はより軽量な金型構造で成形できるため、射出圧縮成形の利点を十分に享受することができる。
【0032】
上記1−▲2▼の要件においては、溶融樹脂の射出供給が完了した時点でのキャビティ容量を規定し、射出供給開始時のキャビティ容量は要件としないことはを意味する。通常は予め拡大された一定のキャビティ容量内に樹脂をキャビティ内に完全に充満させることなく射出供給する。かかる方法は射出圧縮成形において汎用的な方法であり、装置や成形品形状などの制約を受けにくい。一方で上記の点のみが要件であることから、本発明は例えば射出供給開始時には小さいキャビティ容量とし、樹脂の供給を開始すると同時にキャビティ容量を拡大することにより上記1−▲2▼の要件を満足するような場合を含む。逆にキャビティ容量を一定量拡大した後射出供給を開始するだけでなく、キャビティ容量の減少を開始した後射出供給を開始して上記1−▲2▼の要件を満足することも可能である。尚、“目的とする成形品容量”とは、ゲートや捨てキャビなどにも樹脂が充填される場合には製品の容量およびそれらの部分の容量の合計となる。
【0033】
また、ここで“目的とする成形品容量よりも拡大された容量の金型キャビティ”の意味するところは、キャビティ容量が変化しない通常の成形方法における容量を同一容量とする基準に基づく。すなわち通常の成形方法においても厳密には成形品容量はキャビティ容量よりもごくわずかに小さいことになるが、本発明においてこの程度の大小関係は問題にしない。本発明においてかかる“大なる容量”の程度としては目的とする成形品容量の1.2〜5倍の範囲が好ましく、1.3〜4倍の範囲がより好ましく、1.5〜3.5倍の範囲が更に好ましく、1.7〜3倍の範囲が特に好ましい。但しかかる範囲は、後述する圧縮ストローク量が適正な範囲にあることを前提とする。かかる範囲では大型の射出成形品においても成形品内部の歪みが少なく、また外観の良好な射出成形品が得られる。かかる“大なる容量”の程度の倍率が高いほど、樹脂をキャビティに充填する際の充填圧力が低減され、低歪みでの充填または早急の歪みの緩和が可能となる。一方であまりに高い場合には、樹脂圧縮時に樹脂が冷却固化され圧縮時の歪みが逆に残留する場合がある。
【0034】
更に樹脂の供給完了時(射出工程完了時)における金型容量の拡大倍率は、目的とする成形品容量の1.05〜4.5倍の範囲が好ましく、1.1〜3.5倍の範囲がより好ましく、1.2〜3倍の範囲が更に好ましく、1.4〜2.7倍の範囲が特に好ましい。本発明は樹脂の充填工程終了後に更に圧縮工程を含むことを必須の要件とするが(上記一般式(I))、その範囲もより適切な範囲がある。かかる金型容量の拡大倍率があまりに小さい場合には樹脂が最終的に高圧力かつゲート付近に集中して樹脂が充填されるため、成形品の歪みが特に局部的に高くなりやすい。一方生じやすい。かかる金型容量の拡大倍率があまりに小さい場合には、圧縮工程に時間を要するため樹脂の冷却固化による歪みが残留する場合がある。
【0035】
“(2)溶融した熱可塑性樹脂を金型キャビティ内を完全に充満させることなく射出供給し、”とは、2−▲1▼:本発明においてキャビティ内への溶融樹脂の供給は射出供給によるものであること、および2−▲2▼:樹脂はキャビティ内へ完全に充満させることなく供給されることを意味する。ここで“射出供給”とは、シリンダー中の樹脂をピストンを用いて排出する方法(ピストンが可塑化スクリューを兼ねる場合を当然含む)をいう。また“完全に充満させることなく”とは未だ樹脂の流入の余地があることを示す。上述したように金型キャビティの容量は製品のみならずゲート部や捨てキャビ部が含まれるため、キャビティ内に供給された溶融樹脂は製品の容量を超えることになる。
【0036】
“(3)その供給完了後に目的とする成形品容量まで減少するように金型キャビティ容量を減少させ、”とは、キャビティ容量が、溶融樹脂のキャビティ内への供給が完了した後に、目的とする容量まで減少させられることを意味する。キャビティ容量の減少の開始時は後述する条件−(i)の▲1▼において規定される。尚、ここで“溶融樹脂の供給”とは、少なくとも外見的に樹脂の流れを伴うものをいい、射出工程を意味する。一方保圧工程は外見的には樹脂の流れを伴わず(樹脂内部では樹脂の流れはわずかに生ずるが)、樹脂を圧縮する工程であることから本発明にいうキャビティ内への樹脂の供給には含まれない。またかかる射出工程および保圧工程とは実質的に射出工程か保圧工程かをいい、射出成形機の設定における射出(充填)工程および保圧工程とは無関係である。即ち、射出工程において未だ樹脂の充填が不十分であり、以後の保圧工程の圧力によって未充填部に樹脂の流入がある場合、かかる樹脂の流入はキャビティ内への樹脂の供給となる。
【0037】
また“目的とする成形品容量まで減少する”の意味するところは次のとおりである。キャビティ容量の減少が拡大された位置からほぼ目的とする成形品のキャビティ容量となる位置まで行われたとき、かかる減少の速度(単位時間当たりの容量の減少)は比較的高い。これはキャビティ内の樹脂を実質的に圧縮することがなくその反発力がないためである。一方ほぼ目的とする成形品のキャビティ容量まで容量の減少が進行すると樹脂の反発力が急激に立ち上がり、容量の減少速度は急激に低下する。これ以降の容量の減少は圧縮力が樹脂の反発力に打ち勝って進むのではなく、樹脂温度の低下に起因した体積収縮に基づくものとなる。もちろんこの段階においても適正な圧力を作用させることにより歪みが少なく面精度の良好な成形品を得ることができる。本発明において“目的とする成形品容量まで減少する”とは、比較的高い減少速度でのキャビティ容量の減少が終了する時点を指す。いいかえれば急激に遅い速度に変化する変曲点に相当する。かかる変曲点はより具体的には、キャビティ容量の減少に相当する指標(例えば可動側金型の位置など)を縦軸に、時間を横軸にとったグラフから、変曲点近傍の領域において、比較的高い減少速度位置から掃引される直線と速度が極端に低下した領域から掃引される直線との交点から求めることができる。かかる変曲点は、後述する“金型キャビティ容量の減少の開始から停止までの期間:t(秒)”において、キャビティ容量の減少の停止時点となる。
【0038】
更にキャビティ容量の減少は、閉鎖されたキャビティ中で行うことも、一部開放されたキャビティ中で行うこともできる。閉鎖された空間とは、樹脂の流動する余地のない完全に閉ざされたキャビティをいう。かかるキャビティの状態は、キャビティ減少時にホットランナーのバルブを閉鎖することにより、およびキャビティ減少時に完全にゲートシールした状態とすることにより達成される。シリンダー側から付加する保圧とキャビティ容量圧縮の際の圧力とをバランスさせる方法の取りえる。
【0039】
ここで、一部開放された空間とは、逆に樹脂の流動する余地のある開放されたキャビティをいう。かかるキャビティの状態は、オープンノズルの場合や捨てキャビが設けられている場合などに達成される。より好ましいのは閉鎖されたキャビティにおいてキャビティ容量の減少を行う場合である。かかる成形方法であれば特別な制御機構を設けることなく一定の樹脂供給により安定した製品の製造が可能である。よってより汎用的な製造が可能となる。
【0040】
またキャビティ容量の減少によりキャビティ内の樹脂は圧縮変形し、未充填の部分に充満するようになる。
【0041】
“(4)その後かかる容量を金型キャビティ内の樹脂に圧力を加えた状態で保持し、”とは、キャビティ容量の減少によって樹脂を圧縮することにより樹脂の反発力が急激に立ち上がるが、かかる反発力に打つ勝つ所定の圧力を加えて、目的とするキャビティ容量を保持することを意味する。適正な圧力を加えた状態で保持することにより、目的とする成形品容量中に極めて適正な量の樹脂が、均一な密度で充填され、成形品は変形や歪みの極めて少ない好ましいものとなる。かかる適正な圧力の範囲については後述する。
【0042】
上述したようにかかる工程においては樹脂の冷却収縮に伴う体積変化によりキャビティ容量(可動側金型の前進量)は徐々に微小変化するが、かかる程度の変化は保持(同一)として扱う。
【0043】
また樹脂への圧力の付与(加圧)は、可動側金型が前進する力によるものである。更にかかる圧力の伝達は通常これらの前進する部材と樹脂とが直接に接触することにより行われるが、流体等の圧力伝達媒体がこれらの間に介在して行われてもよい。更にかかる加圧が閉鎖されたキャビティ中で行われること、および一部開放されたキャビティ中で行われることのいずれも選択できる点については、上記(3)の場合と同様である。ここでも制御が容易であるなどの点から閉鎖されたキャビティで行うことが好ましい。開放されている空間の場合には、対抗する圧力を別に加える必要がある。
【0044】
上記圧力の適正な保持時間としては、成形品の厚みに依存し厚みが厚くなるほど適正な時間は長くなる。かかる保持時間X(秒)は、成形品肉厚をt(mm)とした時、下記式(II)を満足する範囲内が適切である。例えば本発明において好適な成形品の厚みである1〜7mmの範囲の中間の厚みである3mmの厚みにおいては、40±10秒の範囲が好ましい。
X=(10×t+10)±10(秒)     (II)
【0045】
更に上記において、可動側金型のパーティング面は、固定側金型のパーティング面に接触(以下、“型面タッチ”と称する場合がある)することなく成形品容量に対応した位置まで前進し、キャビティ内部の樹脂を圧縮する必要がある。型面タッチがある場合、所定の圧力が樹脂に十分に伝わることがなくなるため本発明の目的を達成できない。成形品容量に対応した可動側金型のパーティング面と、固定側金型のパーティング面との距離は、0.05〜3mmの範囲が好ましく、1〜2mmがより好ましい。3mmを超える設定とした場合には成形品形状によっては可動側金型の偏りが生じ製品にバラツキが生ずる場合がある。また0.05mm未満の場合には十分な制御が困難となり、連続の成形において型面タッチが生ずる場合がある。
【0046】
“(5)金型キャビティ内の成形品をその取り出しが可能な温度以下まで冷却後成形品を取り出す、”とは、成形品が取り出し可能な温度となるまで冷却後取り出すことを意味する。通常その荷重たわみ温度以下であれば取り出しが可能といえるが、大型の成形品の場合自重によりたわみが生ずる場合があるため、荷重たわみ温度から30〜60℃低い温度において取り出すことが生産効率上好ましい。かかる温度は成形品の表面温度をいう。成形品の表面および内部の温度には分布がある。例えばビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂の場合、75〜105℃の範囲が好適であり、80〜100℃の範囲が更に好ましい。かかる冷却の工程中は上記(4)の圧力を保持したままでもよいし、圧力を加えない状態で残りの冷却時間を消費してもよい。
【0047】
本発明は上記(1)〜(5)の要件を備えた射出圧縮成形であって、更に下記条件−(i)、および条件−(ii)を必須条件とするものである。かかる2つの条件について更に説明する。
【0048】
本発明の条件−(i)は次のとおりである。
条件−(i):かかる金型キャビティ容量の減少は、▲1▼熱可塑性樹脂の供給完了以前に開始され、かつ▲2▼金型キャビティ容量の減少の開始から停止までの期間をt(秒)、および熱可塑性樹脂の供給と金型キャビティ容量の減少とが同時に行われている期間t(秒)としたとき下記式(I)の条件を満足し、
0.1≦t/t≦0.9          (I)
【0049】
上記のとおりキャビティ容量の減少と、熱可塑性樹脂の射出供給が同時に行われている期間(t(秒))があることを必須する。通常かかる時間をオーバーラップ時間と称することが多いため、以下“熱可塑性樹脂の供給と金型キャビティ容量の減少とが同時に行われている期間”を“オーバーラップ時間”と称することがある。更に本発明は、かかるオーバーラップ時間のキャビティ容量の減少に要する時間(t(秒))の割合を重要な因子として規定する。
【0050】
上記t/tが0.1未満の場合、所定の圧力で保持を行っても良好な成形品が得られ難く、一方0.9を越える場合には高い充填圧力が必要となるために、成形品の歪みが大きくなる場合があり、また安定した成形が困難となる場合がある。上記式(I)におけるt/tの下限は0.15が好ましく、0.2がより好ましい。一方t/tがの上限は0.85が好ましく、0.8がより好ましい。
【0051】
尚、tにおいて“キャビティ容量の減少の開始時点”とは、予め拡大されたキャビティ容量から容量の減少が開始する時点をいう。但し射出成形は樹脂の充填が開始されて初めて開始されるものであるため、キャビティ容量の減少が樹脂の射出供給開始前から始まっている場合には、射出供給開始時をキャビティ容量減少の開始時点とする。停止の時点については、要件(3)の説明において上述したのと同様である。したがってキャビティ容量の減少速度の変曲点がキャビティ容量の減少の停止時点となる。
【0052】
本発明の条件−(ii)は次のとおりである。
条件−(ii):かかる金型キャビティ内の樹脂に加える圧力は18〜35MPaの範囲である
【0053】
上記のとおり、本発明においては、上記要件(4)において加える圧力を上記特定の範囲とすることにより、変形がなく高外観で、低歪み性の成形品を達成する。上記の圧力が18MPa未満では樹脂の反発力に打ち勝つことができず、目的とする容量中に十分に樹脂を充填することができず(逆にいえば目的とする容量とすることができず)、35MPaを超える場合には樹脂を過剰に圧縮することで成形品中の歪みが大きくなる場合がある。上記の圧力は20MPa以上が好ましく、22MPa以上が更に好ましい。上記の圧力は30MPa以下が好ましく、27MPa以下がより好ましく、25MPa以下が更に好ましい。該圧力は正確にはキャビティ表面に設置された圧力センサーによって測定することが可能である。一方、おおよその数値については可動側金型を前進させるための圧力設定値から読み取ることが可能である。
【0054】
ここで上記の圧力は樹脂に実質的に掛けられる圧力である。したがって本発明の目的を損なわない範囲において、35MPaを超える圧力を短時間かけることも可能である。例えばキャビティ表面に対する転写性をより向上させることが必要な場合などに有効である。即ち一旦高い圧力で圧縮した後、上記の特定圧力に戻して歪み分を適正に緩和させることも可能である。一方逆に一旦18MPa未満の圧力を経由して上記の特定圧力に戻すことも可能である。より好ましい成形は、圧力が18〜35MPaの範囲を超えないように保持する方法である。かかる範囲の好ましい上限および下限は、上記の樹脂に加える圧力の場合と同様である。
【0055】
また上記圧力は樹脂に加える圧力であることから、可動側金型の型面タッチがないことが前提である。型面タッチがある場合には所定の圧力を樹脂に伝えることができない。
【0056】
本発明はより良好な成形品を製造するため、更に下記条件−(iii)を満足する成形方法が好ましい。本発明の条件−(iii)は次のとおりである。
条件−(iii):上記金型キャビティ容量の拡大は、可動側金型を、少なくとも金型キャビティ容量の減少が開始する時点において成形品容量に対応する可動側金型の位置から1〜10mmの範囲で後退させる(該金型の移動量は、圧縮ストロークと称される場合がある。以下“圧縮ストローク”と称する)
【0057】
上記条件−(iii)を満足することにより、樹脂をキャビティ内に射出供給する際の圧力を十分に低減する一方、射出圧縮成形時の成形品側面部に発生する筋状の外観不良を極力低減することを可能とする。上記要件(1)で説明したとおり、かかる圧縮ストロークは、キャビティ容量減少開始時点において満足すればよく、該開始前はかかる範囲外であってもよい。しかし予めかかる後退量としたキャビティ内に樹脂を供給する方法がより好ましい。条件−(iii)における圧縮ストロークは、1〜6mmの範囲が好ましく、更に2〜4mmがより好ましい。
【0058】
本発明においては、成形品表面に発生する外観不良をより低減することを目的として、金型キャビティ表面(キャビティ容量の減少に伴いその面積が減少する金型キャビティの表面部分を含む)を母型よりも高温化することも可能である。該表面部分とは板状成形品の場合には成形品側面部分に相当する。高温化のための加熱源としては、電気ヒーター、赤外線ヒーター、高周波誘導加熱、熱媒体、超音波加熱、レーザー加熱などが挙げられる。また本発明の射出圧縮成形方法においてはコールドランナー方式の成形法、およびホットランナー方式の成形法のいずれも選択可能である。中でも閉じたキャビティを高い自由度で作り出せる点でホットランナー方式が好ましい。
【0059】
本発明の射出圧縮成形方法においては、各種の成形品を製造することが可能であるが、より好ましくはその厚みが1〜7mmである成形品において適用することが好適である。かかる厚みの成形品は射出圧縮成形の利点を有効に活用できるためである。成形品の厚みは1.5mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。一方成形品の厚みは6.5mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましい。
【0060】
更に金型キャビティ容量の減少の際の金型の移動速度は、0.5mm/sec以上が好ましく、1mm/sec以上がより好ましく、10mm/sec以上が更に好ましい。L/Dの高い成形品ほど高い金型容量の拡大倍率が必要となり速い移動速度が求められる。成形品の歪みを低減するためには金型内部の溶融樹脂の熱的分布の変化が少ない間に所定の最終型締め状態までの圧縮工程を終了することが重要なためである。かかる移動速度がより速いほど大きい圧縮ストロークに対応できる。したがって移動速度は可能な限り高いことが好ましいが、現時点では事実上40mm/sec程度が装置上の限界となっている。35mm/secのレベルであれば十分に精密な速度制御が可能である。尚、かかる移動速度は中間型締め状態から最終型締め状態までの圧縮ストロークを圧縮に要した時間で除したものであり、必ずしも一定速度である必要はない。また上記の如く圧縮ストロークが大きく、金型の移動速度が大きいほど金型のかじりは生じやすくなることから、金型間の平行度の維持は重要かつ必須の条件となる。
【0061】
本発明の射出圧縮成形法は、殊に大型の成形品の成形においてその中間型締め状態および中間型締め状態から最終型締め状態までの間の金型間の平行度の維持が重要である。射出圧縮成形法は上述の如く型締め力の小さな成形機にその上限に近い高重量の金型を備え付け成形を行う場合が多い。したがって金型重量により成形機の型締め機構における平行度の維持が困難となりやすい。また、樹脂充填時の圧力によって偏荷重が発生し金型の平行度の維持が困難となりやすい。平行度の狂いは金型のかじりなどを生じ製品の量産を困難にする。更に金型間の平行度の維持は、金型内の樹脂に対するより均一な圧力の負荷を達成する。これにより樹脂に負荷する圧力は全体として低い圧力を達成し、より歪みの少ない成形品の提供を可能とする。金型間の平行度が十分でない場合、樹脂成形品の箇所の違いにより負荷される圧力に差異が生じ、これは1つの歪み発生の要因となり得る。
【0062】
上記の金型間の平行度の維持方法としては、(i)金型取り付け板を複数箇所、好ましくは角部4箇所の型締め機構で金型間の平行度を調整しながら金型間の平行度を維持する方法、並びに(ii)金型取り付け板(金型取り付け面)に対し複数箇所、好ましくは角部4箇所に対して矯正力を付与することにより金型間の平行度を調整しながら金型間の平行度を維持する方法が好適に例示される。かかる(i)の方法は型締め機構による平行度の維持方法であり、(ii)の方法は別途設けられた矯正力の付与機構による平行度の維持方法である。型締め機構や矯正力の付与機構としては、通常の油圧シリンダーが好ましく用いられるが、その他圧空シリンダー、ボールネジおよびスクリューの組み合わせ、並びにラックギアおよびピニオンギアの組み合わせなどが例示される。
【0063】
本発明の射出圧縮成形方法における成形品は、その成形品側面部分にゲートを有するものがより好ましい。かかる成形品は上述のとおり高外観が必要とされる製品においてその構造を有しやすい一方、射出圧縮成形における側面部の筋状の外観不良もまた生じやすいためである。
【0064】
本発明の射出圧縮成形法における成形品は、その最大投影面積が1000cm以上であることが好ましく、本発明はかかる大型の成形品において高外観で低歪み性を有する成形品を提供する。より好ましくは2000cm以上の成形品である。一方上限としては50,000cm以下が適切であり、25,000cm以下がより好ましい。更にその流動長としては30cm以上である成形品が本発明の効果を発揮する上で好適であり、35cm以上がより好ましい。一方流動長の上限としては200cm以下が適切であり、150cm以下がより適切である。
【0065】
本発明の射出圧縮成形に用いられる熱可塑性樹脂は特に制限されないものの、より好適には大型成形品の射出成形において流動性が不足しがちな、溶融粘度の高い樹脂において特に好適である。かかる樹脂としては、そのガラス転移温度(Tg)が100℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を主体とする樹脂を挙げることができる。ここで主体とするとは樹脂成分100重量%中、かかるTgが100℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を40重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上含有する樹脂である。特に好ましくは樹脂成分がTgが100℃以上の非晶性熱可塑性樹脂、より好ましくはTgが130℃以上の非晶性熱可塑性樹脂である。
【0066】
本発明におけるガラス転移温度はJIS K7121に規定される方法にて測定されたものである。
【0067】
上記の非晶性熱可塑性樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などを挙げることができる。更に好ましくは、これらの中でも成形加工性に優れ、より広範な分野に適用が可能なポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、および環状ポリオレフィン樹脂を挙げることができる。中でも機械的強度に特に優れるポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0068】
より好適には、本発明における熱可塑性樹脂としては粘度平均分子量が粘度平均分子量が16,000〜26,000のポリカーボネート樹脂を主体する樹脂を挙げることができる。かかる粘度平均分子量の下限は20,000が好ましく20,500がより好ましく、21,000が更に好ましい。かかる上限は25,000が好ましく、24,500がより好ましく、24,000がより好ましく、23,700が特に好ましい。上記範囲の芳香族ポリカーボネート樹脂は最も汎用的なためである。本発明はかかる通常のポリカーボネート樹脂を用いても良好な大型の射出圧縮成形品を製造することが可能である。かかるポリカーボネート樹脂の詳細については後述する。
【0069】
一方、本発明の重要なことは、本発明の射出圧縮成形における条件−(i)、および条件−(ii)、更には条件−(iii)が適切な条件であることが、樹脂の溶融粘度によらない点である。即ち、上記のポリカーボネート樹脂の場合であれば、通常その粘度平均分子量によって溶融粘度が大きく異なるため、その最適な成形条件は樹脂それぞれによって見出す必要があった。しかしながら本発明の適切な条件範囲は溶融粘度に影響を受けることがなく、同じ条件によって良好な外観や低い成形歪みを有する大型成形品を得ることができる。
【0070】
本発明は高外観および低歪み性を有する大型の射出成形品を提供でき、殊に耐熱性の高い非晶性熱可塑性樹脂からなる該成形品を提供できる。かかる成形品としては樹脂製窓ガラス成形品を代表的に挙げることができ、殊に車両用の窓ガラス成形品が好適である。したがって本発明によれば、良好な樹脂製窓ガラス成形品を製造できる射出圧縮成形方法が提供され、またかかる樹脂製窓ガラス成形品が提供される。該樹脂製窓ガラス成形品は、その表面にハードコートなどの層を設けたものを使用することができる。一方成形品自体も多層とすることは可能であるが、単層からなる樹脂製窓ガラス成形品が提供され、該成形品にハードコートなどの表面処理を施したものが好ましい。
【0071】
また同様に不透明であっても高外観かつ低歪み性の求められる大型成形品である車両用外板成形品などが好適に提供される。更に例えば窓ガラス成形品と車両用外板成形品が一体化した成形品などを提供できる。車両用外板としては例えば、バックパネル、フェンダー、ドアパネル、ルーフパネル、およびトランクリッドなどを挙げることができる。これらの外板とフロント、、サイド、リア、およびルーフなどの各窓(ウインドウ)とを一体化した製品の本発明の射出圧縮成形方法において提供可能であり、本発明はかかる成形品の射出圧縮成形方法を提供可能とするものである。
【0072】
本発明の成形品は、更に各種のコーティング(ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、耐摩耗コート、および耐チッピングコートなど)、塗装、印刷、並びにメタライジング(メッキ、および蒸着など)などの各種の表面処理を行うことができる。そして本発明の成形品は大型成形品においてもこれら表面処理を良好に行うことができる。
【0073】
本発明の成形方法は、公知の他の成形方法と組み合わせて使用することもできる。例えば特公平5−19443号公報に開示された成形方法と組み合わせることも可能である。更には本発明の成形方法は、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールド成形、局所高温金型成形(断熱金型成形を含む)、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などと併用することができる。
【0074】
次に本発明の成形方法において好適な熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂などについて説明する。
【0075】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
【0076】
二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げることができる。特に、ビスフェノールAの単独重合体を挙げることができる。かかるポリカーボネート樹脂は特に耐衝撃性が優れる点で好ましい。
【0077】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0078】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させてポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネートは三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
【0079】
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
【0080】
更に芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。脂肪族の二官能性カルボン酸としては、例えば炭素数8〜20、好ましくは10〜12の脂肪族の二官能性カルボン酸が挙げられる。かかる脂肪族の二官能性のカルボン酸は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。
【0081】
ポリカーボネートは、上述した各種二価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を含有するポリカーボネート、各種のポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体など各種のポリカーボネートの2種以上を混合したものであってもよい。更に下記に示す製造法の異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカーボネートなど各種についても2種以上を混合したものが使用できる。
【0082】
ポリカーボネートの重合反応において界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0083】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0084】
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×10〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0085】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0086】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物などの触媒を用いることができる。更にアルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−8〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−7〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。
【0087】
溶融エステル交換法による反応ではフェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
【0088】
さらに溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また重合後のポリカーボネートに対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などのホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェートなどのアンモニウム塩なとが好ましく挙げられる。
【0089】
ポリカーボネートの粘度平均分子量は特定されないが、粘度平均分子量が10,000未満であると強度などが低下し、50,000を超えると成形加工性が低下するようになるので、10,000〜50,000のものが好ましく、16,000〜26,000のものがより好ましい。更に該下限は20,000が好ましく20,500がより好ましく、21,000が更に好ましい。該上限は25,000が好ましく、24,500がより好ましく、24,000がより好ましく、23,700が特に好ましい。この場合粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネートとを混合することも当然に可能である。
【0090】
本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
【0091】
本発明におけるポリカーボネートの態様として以下のものを挙げることができる。すなわち、粘度平均分子量70,000〜300,000のポリカーボネート(PC▲1▼)、および粘度平均分子量10,000〜30,000のポリカーボネート(PC▲2▼)からなり、その粘度平均分子量が16,000〜35,000であるポリカーボネート(以下、“高分子量成分含有ポリカーボネート”と称することがある)も使用できる。
【0092】
かかる高分子量成分含有ポリカーボネートは、PC▲1▼の存在によりポリマーのエントロピー弾性を大きくし射出圧縮成形時においてより有利となる。本発明の射出圧縮成形方法は、かかるポリカーボネート樹脂を使用しない場合であっても良好な成形品を達成するものであるが、成形品側面部の筋状の外観不良を更に低減することが求めれる場合には、かかる特定のポリカーボネート樹脂を使用することは有効である。一方PC▲2▼成分の低い分子量成分は全体の溶融粘度を低下し、樹脂の緩和を促進して、より低歪の成形を可能とする。尚、同様の効果は分岐成分を含有するポリカーボネートにおいても認められる。
【0093】
本発明の熱可塑性樹脂には、その他各種の他の熱可塑性樹脂、衝撃改質材(各種ゴム質重合体など、熱硬化性樹脂、強化フィラー、溶融弾性改質材、、難燃剤、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、および三酸化アンチモン等)、チャー形成化合物(例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ピッチ類とホルムアルデヒドとの縮合物など)、核剤(例えば、ステアリン酸ナトリウム、およびエチレン−アクリル酸ナトリウム等)、熱安定剤、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、帯電防止剤、発泡剤、流動改質剤、抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、滑剤、着色剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などを配合することができる。
【0094】
他の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フェノキシ樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどを挙げることができる。
【0095】
熱安定剤としては亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的にはトリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の組成割合は樹脂組成物100重量%中、0.0001〜1重量%が好ましく、0.0005〜0.5重量%がより好ましく、0.001〜0.1重量%が更に好ましい。
【0096】
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを好ましく挙げることができ、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネートをより好ましく挙げることができる。
【0097】
本発明のイオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
【0098】
紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0099】
また紫外線吸収剤としては例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0100】
更に紫外線吸収剤としては例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0101】
またビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐候性などの点においてより良好な性能を発揮する。
【0102】
フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系酸化防止剤の組成割合は、樹脂組成物100重量%中、0.001〜2重量%が好ましく、0.005〜1重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%が更に好ましい。
【0103】
また紫外線吸収剤、光安定剤の組成割合は、それぞれ樹脂組成物100重量%中、0.001〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0104】
また離型剤としては、例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックスが挙げられ、例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレートなどグリセリン脂肪酸エステル類、デカグリセリンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリルステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類が使用される。離型剤は本発明の樹脂組成物100重量%中、0.001〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0105】
また帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライドなどが挙げられる。
【0106】
更に難燃剤としては、赤リンまたは赤リン表面を公知の熱硬化樹脂および/または無機材料を用いてマイクロカプセル化されている安定化赤リンに代表される赤リン系難燃剤;テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンエーテル、ポリジブロムフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物および含ハロゲンリン酸エステルに代表されるハロゲン系難燃剤;モノホスフェート化合物としてトリフェニルホスフェート、縮合リン酸エステルとしてレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、その他ペンタエリスリトールジフェニルジホスフェートなどに代表される有機リン酸エステル系難燃剤;ポリリン酸アンモニウム塩、リン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウムなどの無機系リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化アンチモンなどに代表される無機系難燃剤;パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸カリウムに代表される有機アルカリ(土類)金属塩系難燃剤;フェニル基、ビニル基およびメチル基を含有する(ポリ)オルガノシロキサン化合物や(ポリ)オルガノシロキサンとポリカーボネート樹脂の共重合体に代表されるシリコーン系難燃剤;フェノキシホスファゼンオリゴマーや環状フェノキシホスファゼンオリゴマーに代表されるホスファゼン系難燃剤などを挙げることができる。
【0107】
【実施例】
以下に実施例、比較例を用いて本発明及びその効果を更に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
(評価項目)
(1)外観
図1に示す成形品を成形し、該成形品における(i)フローマークの有無、(ii)側面の筋状不良の有無、および(iii)ヒケの有無を目視観察により判断した。
○: 不良無し
×: 不良有り
【0108】
(2)残留歪み
図1に示す成形品を30ショット成形した後、その全ての成形品に対して残留歪みを観察した。観察は、2枚の偏光板を上下方向に平行にかつ偏光面が直交するように配置し、かかる2枚の偏光板の間に成形品を置くことにより行った。また観察のための光源は下部偏光板の下側に配置された光源を使用した。観察は上部偏光板の上側から目視観察により行った。評価は縞模様の色変化や疎密の不均一さの他、不均一な陰影部分の有無により判断した。
○: 大きな歪みは認められず、不均一な陰影部分もない
△: 大きな歪みは認められないが、不均一な陰影部分が認められるものがある
×: 大きな歪みが認められる
縞模様の色変化が少なく、疎であれば光学的歪みが少ないことを示す。
(ポリカーボネート樹脂の製造)
PC−1:粘度平均分子量22,500のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製パンライトL−1225WP)99.87重量部、Sandstab P−EPQ(サンド(Sandoz)社製)0.03重量部、およびペンタエリスリトールテトラステアレート0.1重量部からなる混合物を、同方向ベント付き2軸押出機((株)日本製鋼所製TEX−α、スクリュー径30mm)にてスクリュー回転数150rpm、シリンダ温度280℃、ベント吸引度3kPaで押出し、ペレットを得た(ペレットにおける粘度平均分子量は22,400であった)。
PC−2:粘度平均分子量29,500のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製パンライトK−1300W)99.87重量部、SandstabP−EPQ(サンド(Sandoz)社製)0.03重量部、およびペンタエリスリトールテトラステアレート0.1重量部からなる混合物を、シリンダ温度300℃とした以外は、PC−1と同様に製造しペレットを得た(ペレットにおける粘度平均分子量は29,100であった)。
【0109】
(実施例1)
上記のポリカーボネート樹脂ペレットPC−1を120℃にて5時間熱風乾燥機で乾燥した後、成形機としてシリンダー径110mmφ、型締め力12700kNの日本製鋼所製J1300E−C5射出成形機(型圧縮可能なように油圧回路および制御システムを変更した仕様)を使用して成形を行った。該射出成形機は金型取り付け板の四隅4箇所に型締めシリンダを配し金型間の平行度を維持するものである。かかる成形機により中間型締め状態から最終型締め状態までの平行度を確保した。
【0110】
シリンダー温度290℃、ホットランナー温度300℃、金型温度100℃、充填時間6.5秒にて図1に示す成形品(製品部投影面積約2100cm、厚み約4.2mm)を射出圧縮成形した。
【0111】
成形は型圧縮法で行い、樹脂の射出容量はキャビティ容量拡大がない場合とほぼ同じとした。すなわち、拡大されたキャビティに溶融樹脂が完全に充填されない状態で型圧縮法による射出圧縮成形を行った。更にその他の成形条件は、射出速度:20mm/sec、金型キャビティ容量の減少の開始から停止までの期間(t(秒)):2秒、樹脂の供給と金型キャビティ容量の減少とが同時に行われている期間(t(秒)):0.5秒、金型キャビティ内の樹脂に加える圧力(最大圧力):25MPa、該圧力での保持時間:40秒、キャビティ容量拡大のための可動側金型後退幅(すなわち圧縮ストローク):3mm、冷却時間:50秒である。圧力は可動側金型キャビティ面の中央部に配置された圧力センサーの値から読み取った。かかる値は型締め圧力の設定値とほぼ同じであった。可動側金型は最終の前進位置において固定側金型から1mm離れた状態として型面タッチがないものとした。また、ランナーはモールドマスターズ社製のバルブゲート型のホットランナー(直径3mmφ)を用い、充填完了後直ちにバルブゲートを閉じて型圧縮により溶融樹脂がゲートからシリンダーへ逆流しない条件とした。成形サイクルは約120秒(人力で成形品を取り出すため数秒のバラツキあり)であり、得られた成形品は、残留歪みが小さく、外観が良好なものであった。図2に成形概要図を示し、評価結果を表1に示す(下記実施例も同様)。
【0112】
(実施例2)
可動側金型を前進させる時期を早めることにより、樹脂の供給と金型キャビティ容量の減少とが同時に行われている期間(t(秒))を1.0秒(t/t=0.5)とした以外は、実施例1と同様に成形を行った。得られた成形品は、残留歪みが小さく、外観が良好なものであった。
【0113】
(実施例3)
金型キャビティ内の樹脂に加える圧力を30MPaにした以外は、実施例1と同様に成形を行った。得られた成形品は、残留歪みが小さく、外観が良好なものであった。
【0114】
(比較例1)
可動側金型を前進させる時期を早めることにより、樹脂の供給と金型キャビティ容量の減少とが同時に行われている期間(t(秒))を2.0秒(t/t=1.0)とした以外、実施例1と同様に成形を行った。得られた成形品は、外観不良はないが残留歪みが大きいものとなった。
【0115】
(比較例2)
樹脂の供給と金型キャビティ容量の減少とが同時に行われている期間を設けず(t(秒)=0秒)、樹脂の供給が完了してから1秒後に金型キャビティ容量の減少させた以外は、実施例1と同様に成形を行った。得られた成形品は、残留歪みは小さいが、フローマークの外観不良が発生した。
【0116】
(比較例3)
金型キャビティ内の樹脂に加える圧力を5MPaとしにした以外は、実施例1と同様に成形を行った。得られた成形品は圧力不足によるヒケを生じていた。
【0117】
(比較例4)
圧縮ストロークを11mmとし、かつ金型キャビティ内の樹脂に加える圧力を50MPaにした以外は、実施例1と同様に成形を行った。得られた成形品は、圧力過剰によって歪みが大きいものとなった。更に圧縮ストロークが過剰で、樹脂の充填時の歪みは小さくなるものの冷却固化時に圧縮することにより歪みが大きくなったと考えられる。また製品側面部に筋状の外観不良も発生した。
【0118】
(比較例5)
充填する樹脂量を調節することにより、型面タッチするようにした以外は、実施例3と同様の方法で成形を行った。尚、金型キャビティ内の樹脂に加える圧力の設定は型締め圧力を実施例3と同様にすることとした。得られた成形品は残留歪みは小さいが圧力不足によるヒケが発生した。
【0119】
(実施例4)
樹脂をPC−2とする以外は実施例1と同様に成形を行った。得られた成形品は、残留歪みが小さく、外観が良好なものであった。
【0120】
(実施例5)
樹脂をPC−2とする以外は実施例2と同様に成形を行った。得られた成形品は、残留歪みが小さく、外観が良好なものであった。
【0121】
【表1】
Figure 2004098603
【0122】
【発明の効果】
本発明を用いると、高外観および低歪み性を有し、かつ大型の射出成形品を低コストで得ることができる。殊に通常のポリカーボネート樹脂から樹脂製窓ガラス成形品などの大型の射出圧縮成形品を製造するために有効である。かかる成形品は、建築物、建築資材、農業資材、海洋資材、車両、電気・電子機器、機械、その他の各種分野において、その奏する工業的効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例において成形した成形品を示すものであり、(a)は正面図、(b)はA−A線断面図、(c)はB−B線断面図である。
【図2】上記成形品を成形する際の金型キャビティおよび供給された樹脂の状態を模式的に示す図である。該キャビティではゲート部分(三角形の部分)は、製品と同一厚みである。[2−A]溶融樹脂の供給完了時点の状態を示す。かかる時点ではキャビティ側面部において溶融樹脂が接触した部分と接触していない部分があり、キャビティ内には溶融樹脂が未充填の部分があることを示す。[2−B]型面タッチをすることなく可動側金型を前進させ所定のキャビティ容量まで圧縮を行った状態を示す。
【符号の説明】
101 成形品本体
102 稜線
103 ゲート
104 ノズル部
105 稜線
107 側周面
109 厚み測定ポイント
110 厚み測定ポイント
112 底面側周縁線
113 上面
21 可動側金型
22 固定側金型
23 供給された樹脂(網掛けで示す)
24 圧縮前の成形品本体に相当するキャビティ
25 圧縮前からキャビティ側面部(表面A)に接触した部分
26 圧縮前のゲートに相当するキャビティ
27 ホットランナー流路(バルブゲートを有する)
28 圧縮後の成形品本体に相当するキャビティ
29 圧縮後のゲートに相当するキャビティ

Claims (9)

  1. (1)可動側金型を後退させることにより、少なくともその射出供給完了時には目的とする成形品容量よりも拡大された容量の金型キャビティ内に、(2)溶融した熱可塑性樹脂を金型キャビティ内を完全に充満させることなく射出供給し、(3)その供給完了後に目的とする成形品容量まで減少するように金型キャビティ容量を減少させ、(4)その後かかる容量を金型キャビティ内の樹脂に圧力を加えた状態で保持し、(5)金型キャビティ内の成形品をその取り出しが可能な温度以下まで冷却後成形品を取り出す成形方法であって、更に
    条件−(i):かかる金型キャビティ容量の減少は、▲1▼熱可塑性樹脂の供給完了以前に開始され、かつ▲2▼金型キャビティ容量の減少の開始から停止までの期間をt(秒)、および熱可塑性樹脂の供給と金型キャビティ容量の減少とが同時に行われている期間t(秒)としたとき下記式(I)の条件を満足し、
    0.1≦t/t≦0.9          (I)
    条件−(ii):かかる金型キャビティ内の樹脂に加える圧力は18〜35MPaの範囲である
    ことを満足する射出圧縮成形方法。
  2. 更に条件−(iii):上記金型キャビティ容量の拡大は、可動側金型を、少なくとも金型キャビティ容量の減少が開始する時点において成形品容量に対応する可動側金型の位置から1〜10mmの範囲で後退させることによるものである請求項1に記載の射出圧縮成形方法。
  3. 上記成形品は、その厚みが1〜7mmである請求項1または2のいずれかに記載の射出圧縮成形方法。
  4. 上記成形品は、その成形品側面部分にゲートを有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出圧縮成形方法。
  5. 上記成形品は、その最大投影面積が1000cm以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出圧縮成形方法。
  6. 上記熱可塑性樹脂は、そのガラス転移温度が100℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を主体とする樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の射出圧縮成形方法。
  7. 上記熱可塑性樹脂は、粘度平均分子量が16,000〜26,000のポリカーボネート樹脂を主体するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の射出圧縮成形方法。
  8. 上記成形品は、樹脂製窓ガラス成形品である請求項1〜7のいずれか1項に記載の射出圧縮成形方法。
  9. 請求項8の射出圧縮成形方法により製造された樹脂製窓ガラス成形品。
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