JP2001226480A - ポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法 - Google Patents

ポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法

Info

Publication number
JP2001226480A
JP2001226480A JP2000039977A JP2000039977A JP2001226480A JP 2001226480 A JP2001226480 A JP 2001226480A JP 2000039977 A JP2000039977 A JP 2000039977A JP 2000039977 A JP2000039977 A JP 2000039977A JP 2001226480 A JP2001226480 A JP 2001226480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acetic anhydride
ptmg
catalyst
reaction
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000039977A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4465078B2 (ja
Inventor
Masashi Nishioka
政司 西岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP2000039977A priority Critical patent/JP4465078B2/ja
Priority to KR20010006776A priority patent/KR100709018B1/ko
Priority to TW090103490A priority patent/TW583171B/zh
Priority to US09/788,047 priority patent/US6987201B2/en
Priority to DE10108811.6A priority patent/DE10108811B4/de
Priority to CNB011040475A priority patent/CN1164646C/zh
Publication of JP2001226480A publication Critical patent/JP2001226480A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4465078B2 publication Critical patent/JP4465078B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyethers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 色相の優れたポリオキシテトラメチレングリ
コールの製造方法を提供する。 【解決手段】 テトラヒドロフランを無水酢酸および酸
触媒の存在下で開環重合させて製造されるポリオキシテ
トラメチレングリコールの製造方法において、ジケテン
濃度が10ppm以下の無水酢酸を用いて上記の開環重
合を行ってポリオキシテトラメチレングリコールを製造
する。これにより、透明性が向上して色相の優れたポリ
オキシテトラメチレングリコールを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テトラヒドロフラ
ンを無水酢酸および酸触媒の存在下で開環重合させるこ
とによって製造されるポリオキシテトラメチレングリコ
ールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオキシテトラメチレングリコール
(以下、PTMGと略記する)は、スパンデックス、エ
ラストマー、人工皮革等に用いられるポリウレタン、ポ
リエーテルエステル、ポリエーテル(エステル)アミド
の主原料や、界面活性剤、圧力流体等に用いられる工業
的に有用なポリマーであり、近年では、エラストマー分
野を中心に、エンジニアリング用素材、医用高分子材料
等としても注目されている。
【0003】このPTMGの製造法としては種々の方法
があるが、通常、テトラヒドロフラン(以下、THFと
略記する)を無水酢酸と固体酸触媒の存在下で開環重合
させてポリオキシテトラメチレングリコールジエステル
(以下、PTMGACと略記する)を製造し、次いで、
アルカリ触媒存在下で加水分解もしくは低級アルコール
とエステル交換してPTMGを製造する方法が知られて
いる(例えば特開平4−306228号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な方法により製造される従来のPTMGは、その品質の
重要な指標である色相の評価結果、例えばAPHA値が
必ずしも良好ではなく、幾分着色したPTMGが生じ易
いという問題が生じている。本発明は、上記した問題点
に鑑みなされたものであって、その目的は、色相に優れ
た高品質のPTMGを製造し得る製造方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため、PTMGの品質に影響する種々の要因に
ついて鋭意検討した結果、無水酢酸中に含まれているジ
ケテンが製品の品質に大きく影響することを知見し、本
発明をなすに至った。
【0006】すなわち、本発明のPTMGの製造方法
は、THFを無水酢酸および酸触媒の存在下で開環重合
させて製造されるPTMGの製造方法であって、ジケテ
ン濃度が10ppm以下の無水酢酸を用いて上記の開環
重合を行ってPTMGを製造することを特徴としてい
る。
【0007】この場合に、ジケテン濃度が2ppm(検
出限界)以下で殆どジケテンを含まない無水酢酸を用い
れば、さらに色相に優れたPTMGを製造することがで
きる。
【0008】なお、このようにジケテン濃度が2ppm
(検出限界)以下の無水酢酸は、例えば、粗製無水酢酸
を蒸留した後にオゾン含有ガスで処理することによって
製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明のPTMGの製造方法では、前
記とほぼ同様に、THFを無水酢酸と酸触媒の存在下で
開環重合させてPTMGACを製造し、次いで、アルカ
リ触媒存在下で加水分解もしくは低級アルコールとエス
テル交換してPTMGが製造される。
【0010】この場合に、まず、THFを開環重合させ
る際に使用される無水酢酸として、ジケテン濃度が10
ppm以下の無水酢酸が使用される。このような無水酢
酸の製造方法については特に限定されるものではない
が、粗製無水酢酸に対し、オゾン処理を行った後に蒸留
して得られた無水酢酸を使用することができる。このよ
うな精製処理により、ジケテン濃度が5ppm程度の精
製無水酢酸を得ることが可能である。
【0011】粗製無水酢酸の製造方法としては、特に限
定されるものではないが、例えば酢酸を熱分解してケテ
ンを生成させ、酢酸にこのケテンを吸収反応せしめて、
無水酢酸を得る方法(ケテン法)や、酢酸メチル又はジ
メチルエーテルに一酸化炭素を反応せしめて無水酢酸を
得る方法などがあり、これら方法によって得られた粗製
無水酢酸が適用される。
【0012】一方、上記のように得られた粗製無水酢酸
に対し、まず蒸留を行い、次いでオゾン処理を行うよう
な精製工程を採用すれば、ジケテン濃度が2ppm(検
出限界)以下で殆どジケテンを含まない精製無水酢酸を
得ることが可能である。この場合の無水酢酸の精製法に
ついて説明する。
【0013】まず、粗製無水酢酸を蒸留して一次精製す
る際に使用される蒸留塔は、その形式について特に制限
はなく、自由に選択することができる。一般的にはシー
ブトレイ、バブルキャップトレイ、バルブトレイ等の棚
段塔、インタロックスサドル、ポールリング、スルザー
パック等の充填塔のうちから一つまたは二つ以上選択し
て用いることが可能である。
【0014】棚段塔の場合は、トレイ数は20〜80個
程度、充填塔の場合はそれに相当する充填高さを有する
ものを使用するのが好ましい。精製される無水酢酸は蒸
留塔の中間部より導入されるが、導入位置は製品無水酢
酸の回収位置より上方である必要があり、望ましくは蒸
留塔中央部より上部が選択される。製品無水酢酸は、原
料導入段より下方、望ましくは蒸留塔中央部より下部か
ら蒸気または液で回収される。
【0015】蒸留塔の操作圧力については特に制限はな
いが、圧力が高すぎる場合、塔内温度の上昇により望ま
しくない反応が起こるおそれがあり、逆に圧力が低すぎ
る場合、塔頂における蒸気の凝縮に困難を伴う。したが
って、望ましい操作圧力は、塔頂において100mmH
g〜常圧の範囲である。
【0016】塔頂蒸気の凝縮液の一部は還流液として塔
頂に戻されるが、回収液流量に対する還流液流量の比、
いわゆる還流比は原料液の組成、求められる製品品質等
により決定される。通常1〜1000程度の範囲から選
択できる。
【0017】次に、上記のような蒸留塔を用いて一次精
製された粗製無水酢酸をオゾン処理にて二次精製する場
合、これに用いるオゾン含有ガスにも特に制限はない。
工業的には、一般に空気あるいは酸素を原料とし、無声
放電によりオゾンを発生させる方式が用いられる。通
常、空気原料の場合、オゾンの濃度は10〜20g/m
3である。無水酢酸と接触させるオゾンの割合は、オゾ
ン自身の分解反応等を考慮すると、反応を完全に完結さ
せるにはやや過剰のオゾンを仕込んだほうが良い。実用
上は気液の接触効率や精製率等を考慮して実験により適
宜決めることが必要であり、通常、オゾン使用率は50
〜300g−O3/Tであり、好ましくは90〜270
g−O3/Tである。
【0018】オゾン処理の反応器の形式についても、オ
ゾンと無水酢酸の接触が良好に行えるのならば特に制限
はないが、実用上は気泡塔方式、攪拌槽方式が好まし
い。また、接触時間は、数十秒〜数十分の範囲で適切な
時間を設定すれば良い。反応温度は室温付近が適当であ
り、好ましくは20〜30℃程度である。温度が低すぎ
ると反応速度が低下し、温度が高すぎるとオゾン自身が
分解し易くなるので好ましくない。
【0019】このような精製法により、ジケテン濃度が
2ppm(検出限界)以下の精製無水酢酸を得ることが
できる。
【0020】一方、前記したTHFを開環重合させる際
に使用される酸触媒についても特に限定されるものでは
なく、公知のものを使用することができる。例えば超強
酸性陽イオン交換樹脂、漂白土、ゼオライト等の固体酸
触媒が挙げられる。過塩素酸のような液体の酸を使用す
ることもできるが、この場合は、開環重合後に酸を中和
および/または分離する工程が複雑になるので、工業上
不利である。固体酸触媒を用いた場合には、触媒の分離
が簡単にできるので好ましい。固体酸触媒は、懸濁床、
固定床のいずれでも使用できるが、固定床流通反応で用
いると触媒の分離操作を別途行う必要がなく、特に好ま
しい。
【0021】THFを開環重合させるときの反応条件
は、目的とするPTMGの分子量や用いる酸触媒の種類
によって異なるが、通常、反応液中における酸触媒の濃
度として0.1〜50重量%、無水酢酸の濃度として0.1
〜30重量%程度で使用される。
【0022】反応温度は、通常、0.5〜10時間の範囲
から選ばれる。得られた重合反応液は、PTMGACと
未反応原料等を含有しているので、通常、未反応のTH
Fと無水酢酸を常圧または減圧下で留去させる。このよ
うな製造法により、THFからPTMGACが製造され
る。次いで、このPTMGACからPTMGの製造は、
通常、アルカリ触媒の存在下で、末端エステル基を加水
分解、もしくはアルコリシスにより水酸基に代えること
によって行われる。
【0023】まず、アルカリ触媒存在下で加水分解して
PTMGを製造する場合について説明する。このアルカ
リ加水分解は、有機溶媒の存在下にアルカリ水溶液を添
加し、加熱して末端エステル基を水酸基に代える方法で
ある。有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素、n−ブタノールなどの脂肪族
アルコール、ジ−イソプロピルエーテルなどの脂肪族エ
ーテルなどの水と分液する化合物が用いられる。
【0024】アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ
金属やアルカリ土類金属の水酸化物が用いられる。これ
ら水酸化物は、通常、水溶液として用いられる。この水
溶液は、通常1〜50重量%の濃度で使用される。
【0025】この水溶液の添加量は、使用するPTMG
ACに対する水の重量によっても異なるが、通常はPT
MGACに対する水の重量が0.1〜10倍で、かつ、P
TMGAC、水およびアルカリの全重量に占めるアルカ
リ濃度が0.01〜40重量%となるような範囲で用いら
れる。アルカリ加水分解温度は、アルカリ濃度や使用す
るアルカリの種類によっても異なるが、通常、50〜1
50℃の範囲で行われる。また、アルカリ加水分解の時
間もアルカリ濃度、使用するアルカリの種類および加水
分解温度によって異なるが、通常、0.1〜20時間の範
囲で行われる。
【0026】アルカリ加水分解終了後の水を含む反応粗
液は、例えば遠心分離器によって有機層と水層に分液さ
れ、回収された有機層から、薄膜蒸発器のような滞留時
間の短い蒸発器を用いて有機溶媒及び水を蒸発して、製
品PTMGが得られる。
【0027】次に、PTMGACから、アルカリ触媒の
存在下で、アルコリシスにより末端エステル基を水酸基
に代えることによってPTMGを製造する場合について
説明する。
【0028】アルコリシスはメタノール等の脂肪族アル
コールを用いて、副生したカルボン酸エステルを反応蒸
留によりアルコールとの共沸で抜きながらPTMGを製
造する方法である。このアルコールとしては、メタノー
ルの他にエタノールやブタノール等が用いられ、この中
でも、メタノールが価格の点、反応性の点および反応に
より生成するエステルと原料アルコールとの分離性の点
から最も好ましい。
【0029】アルカリ触媒としては、アルカリ土類金属
酸化物、もしくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属
のアルコラートが用いられる。アルカリ土類金属酸化物
としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ス
トロンチウムが好ましい。この触媒は、通常、粉末の形
で用いられるが、打錠した形で用いてもよく、その反応
方式や触媒の分離方法の選択により適宜選んでやればよ
い。
【0030】触媒の使用量は、通常、反応粗液中の触媒
濃度で、0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜3重
量%の触媒濃度で用いられる。触媒が粉末の場合は、反
応粗液との触媒単位重量当たりの接触表面積が大きいた
め触媒濃度は低くても良いが、打錠成型した触媒の場合
は、触媒単位重量当たりの接触面積が小さいため、触媒
濃度は高めのほうが好ましい。
【0031】一方、アルコリシスの触媒として、アルカ
リ金属またはアルカリ土類金属のアルコラートを用いた
場合、触媒濃度は触媒の種類によって異なるが、0.01
〜3重量%の範囲で用いられる。しかも、通常は取り扱
い易さの点でアルコール溶液の形で用いられる。
【0032】アルコリシスの反応温度は特に限定されな
いが、通常、常圧下、30〜120℃の温度で行われ
る。反応温度が常圧下で120℃を越えるようなアルコ
ールとの反応が行われた場合、最終製品の色相が悪くな
るので、そのような場合には蒸留塔の釜の反応温度が1
20℃となるように、減圧下で反応を行うのが好まし
い。逆に反応温度が低すぎると、反応が簡潔するまでの
時間がかかりすぎて好ましくない。さらにメタノールや
エタノール等の低沸点のアルコールが用いられた場合、
蒸留塔の釜の反応温度をアップし、また、反応が完結す
るまでの時間を短縮するために加圧下で反応を行っても
良い。
【0033】アルコリシスはバッチ方式で行っても良い
し、連続方式で行っても良いが、バッチ方式で行う場合
は、還流装置を備えたバッチ蒸留塔の釜に触媒、PTM
GACおよびアルコールを張り込んで反応蒸留を行い、
釜で生成したカルボン酸エステルをアルコールとの共沸
で留出させた後、塔頂温度がアルコールの沸点になるま
で反応を行い、アルコリシスを完結させる。
【0034】連続方式で行う場合は、触媒、PTMGA
Cおよびアルコールを反応が完結するような滞留時間が
取れるように連続蒸留塔に連続的に仕込み、連続蒸留塔
の塔頂から生成したカルボン酸エステルを原料アルコー
ルとの共沸混合物の形で連続的に抜き取り、釜から未反
応アルコール、生成したPTMGおよび触媒を連続的に
抜き取る。この場合の蒸留塔としては、その種類や充填
剤、蒸留方式(連続蒸留とバッチ蒸留)により異なる
が、理論段数で20〜100段の蒸留塔を用いるのが好
ましい。
【0035】理論段数の低い蒸留塔を用いると、原料ア
ルコールと生成したカルボン酸エステルとの共沸混合物
と原料アルコールとの分離が難しくなる。通常、原料ア
ルコールと生成したカルボン酸エステルとの共沸混合物
は焼却処分するため、原料アルコールと生成したカルボ
ン酸エステルとの共沸混合物と原料アルコールの分離が
悪いと、原料アルコールの使用量が増えて好ましくな
い。逆に理論段数の高い蒸留塔を用いると、原料アルコ
ールと生成したカルボン酸エステルとの共沸混合物と原
料アルコールの分離に必要な以上の段を積むことになる
ために、設備費が高くなり、また、ランニングコストも
高くなる。
【0036】アルコリシスの反応時間(滞留時間)は、
触媒濃度、反応温度および原料アルコールとPTMGA
Cのモル比等によって決定されるが、通常、1〜10時
間の範囲で実施される。反応時間が長すぎると反応が終
わっているにもかかわらず余計な滞留時間をもつことに
なってPTMG製造量が落ちることになり、逆に、反応
時間が短くなり過ぎると、PTMGACのアルコリシス
によるPTMGの製造反応が完結しなくなる。なお、P
TMG中のエステル残基は、PTMGより製造されるポ
リウレタン等の製品品質を悪くするので、PTMGAC
からPTMGを製造する反応は完結させておく必要があ
る。
【0037】アルコリシスに用いられるPTMGACと
アルコールとのモル比は、PTMGACの数平均分子量
や分散度によっても異なるが、通常、PTMGACに対
するアルコールのモル比は3〜100の範囲から選ばれ
る。ここで、PTMGACに対するアルコールのモル比
が低すぎるとアルコリシスが非常に遅くなって、反応時
間が長くなるばかりか、反応が完結しないおそれがある
ので、好ましくない。逆にPTMGACに対するアルコ
ールのモル比が高すぎると、アルコリシスに必要なエネ
ルギーコストやアルコリシス後にフラッシュするアルコ
ールの量が増加するためにエネルギーコストが増加して
好ましくない。
【0038】アルカリ土類金属酸化物触媒の存在下、P
TMGACのアルコリシスにより製造した蒸留塔の缶出
液から反応粗液中に不溶な触媒がある場合には、通常濾
過分離もしくは遠心分離により触媒を分離除去し、未反
応のアルコールを回収リサイクルするために、薄膜蒸発
器などの滞留時間の短いフラッシュ装置を用いてフラッ
シュする。
【0039】薄膜蒸発器の缶出の粗PTMG中には、反
応粗液に溶存していた触媒成分が含まれているので、こ
れらの触媒成分やオリゴマーを除去するために水と粗P
TMGとを攪拌槽に仕込み、加熱しながら数時間攪拌す
る。攪拌洗浄終了後、遠心分離器で分液後、水層と有機
層とに分液させて有機層を回収し、薄膜蒸発器のような
滞留時間の短い蒸発器を用いて有機溶媒及び水を蒸発し
て、製品PTMGを得る。
【0040】以上のような製造方法に従い、特に、当初
にTHFを開環重合させてPTMGACを製造する工程
で使用される無水酢酸として、ジケテン濃度が10pp
m以下、好ましくは2ppm以下の精製無水酢酸を用い
ることで、色相に優れたPTMGを得ることができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。
【0042】まず、PTMGの製造に使用する製品無水
酢酸として、精製方法を下記実験No.1〜No.3のように異
ならせて、3種類の製品無水酢酸を得た。
【0043】〔実験No.1(精製方法:蒸留+オゾン処
理)〕ケテン炉を通して酢酸の熱分解によって得られた
ケテンを酢酸に吸収させて粗製無水酢酸を得、この粗製
無水酢酸を、操作圧力をそれぞれ常圧にした脱低沸塔と
脱高沸点塔とを順次通して、一次精製処理を行った。次
いで、この一次精製処理した粗製無水酢酸に対し、図1
に示す実験装置を用いてオゾン処理を行った。
【0044】なお、図1において、1はオゾン発生器、
2は充填塔である。空気を原料としてオゾン発生器1に
よりオゾンを発生させ、このオゾン発生器1から出るオ
ゾン化空気(オゾンと空気の混合ガス)を、内径5mm×
高さ5mmのラシヒリングを装填した充填塔2に、その下
部から導入した。このときのオゾン化空気量は42NL
/H、オゾン濃度19.0g/Nm3、オゾン流入量38.
3mol/Hである。一方、前記のように蒸留による一
次精製処理を行った粗製無水酢酸を、充填塔2の上部か
ら仕込み、オゾンと向流接触させて、オゾン処理を行っ
た。オゾン処理された製品無水酢酸は、充填塔2の下部
から抜き取り、これを回収した。このときの無水酢酸の
仕込流量は6006g/Hであり、オゾン使用率は13
4.3g−O3/Tとなる。また、粗製無水酢酸のジケテ
ン濃度は76ppmであった。得られた製品無水酢酸中
のジケテン濃度は検出限界(2ppm)以下であった。
【0045】〔実験No.2(精製方法:オゾン処理+蒸
留)〕図1の装置において、オゾン濃度が20g/Nm
3のオゾン化空気を150NL/Hの速度で充填塔2の
下部から導入した。一方、粗製無水酢酸を充填塔2の上
部から6000g/Hで仕込み、オゾンと向流接触させ
てオゾン処理を行った。充填塔2の下部から抜き取った
オゾン処理後の無水酢酸を30段のシーブトレイを有す
る蒸留塔(内径40mm、ガラス製)の上から13段目に
400g/Hにて連続的に導入し、還流比200、塔頂
圧力1気圧にて運転を行った。濃縮された低沸物は塔頂
における凝縮液より2g/H、精製された無水酢酸は上
から27段目より蒸気サイドカットで392g/Hの割
合で連続的に抜き取った。また、塔底より6g/Hの割
合で高沸物を含む無水酢酸を連続的に抜き取った。27
段目から抜き取った精製無水酢酸のジケテン濃度は7p
pmであった。
【0046】〔実験No.3(精製方法:蒸留のみ)〕粗製
無水酢酸を30段のシーブトレイを有する蒸留塔(内径
40mm、ガラス製)の上から13段面に400g/Hに
て連続的に導入し、還流比200、塔頂圧力1気圧にて
運転を行った。濃縮された低沸物は塔頂における凝縮液
より2g/H、精製された無水酢酸は上から27段目よ
り蒸気サイドカットで392g/Hの割合で連続的に抜
き取った。また、塔底より6g/Hの割合で高沸物を含
む無水酢酸を連続的に抜き取った。27段目から抜き取
った精製無水酢酸のジケテン濃度は98ppmであっ
た。
【0047】次に、上記した実験No.1で得られた製品無
水酢酸を使用したPTMGの製造例を実施例1、実験N
o.2の製品無水酢酸を使用したPTMGの製造例を実施
例2、実験No.3の製品無水酢酸を使用したPTMGの製
造例を比較例1として説明する。
【0048】〔実施例1〕THF2000重量部、実験
No.1で得られたジケテン濃度が検出限界以下の無水酢酸
332重量部を、800℃で焼成したジルコニア・シリ
カ粉末100重量部を触媒として、攪拌器付きの反応器
で40℃で8時間反応させた。反応終了後、触媒を濾過
し、無色の重合液から未反応のTHF及び無水酢酸を減
圧下で留去し、PTMGACを得た。次いで、このPT
MGAC1000重量部およびメタノール1000重量
部、水酸化カルシウム1重量部の混合物を20段の理論
段数を持つ蒸留塔を備えた反応器に仕込み、攪拌下に6
時間沸騰加熱し、蒸留塔の塔頂よりメタノール/酢酸メ
チルの共沸混合物を留出させながらエステル交換を行っ
た。
【0049】反応液は、冷却後、1μmフィルターを装
着した加圧濾過器で濾過し、水酸化カルシウムを除去
し、1910重量部の無色透明な濾液を得た。この濾液
を、スルホン酸型の強酸性陽イオン交換樹脂を充填した
30℃の吸着塔を通過させ、溶存する水酸化カルシウム
を除去した。
【0050】処理液は、蒸発器で常圧下、メタノールの
大部分を除去した後、10torrの減圧下、熱媒温度25
0℃で運転される薄膜蒸発器で連続的に処理し、メタノ
ールを実質的に含まないPTMG870重量部を得た。
得られたPTMGについての色相評価結果を表1に示
す。
【0051】〔実施例2〕THFを開環重合させる際の
無水酢酸として、実験No.2で得られたジケテン濃度が7
ppmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方法
でPTMGを製造した。得られたPTMGについての色
相評価結果を表1に示す。
【0052】〔比較例1〕THFを開環重合させる際の
無水酢酸として、実験No.3で得られたジケテン濃度が9
8ppmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方
法でPTMGを製造した。得られたPTMGについての
色相評価結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】同表に示されているように、THFを開環
重合させる際に使用する無水酢酸として、ジケテン濃度
が10ppm以下であれば、これよりもジケテン濃度が
高い無水酢酸を使用して製造されたPTMGに比べて色
相が大幅に向上し、さらに、ジケテン濃度が検出限界以
下でジケテンを殆ど含まない無水酢酸を使用すれば、無
色透明の高品質のPTMGが得られる。
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ジケテ
ン濃度の小さな無水酢酸を用いることにより、色相の優
れたPTMGを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粗製無水酢酸のオゾン処理を行う際に使用した
装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 オゾン発生器 2 充填塔

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テトラヒドロフランを無水酢酸および酸
    触媒の存在下で開環重合させて製造されるポリオキシテ
    トラメチレングリコールの製造方法であって、 ジケテン濃度が10ppm以下の無水酢酸を用いて上記
    の開環重合を行ってポリオキシテトラメチレングリコー
    ルを製造することを特徴とするポリオキシテトラメチレ
    ングリコールの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記ジケテン濃度が2ppm以下である
    ことを特徴とする請求項1のポリオキシテトラメチレン
    グリコールの製造方法。
JP2000039977A 2000-02-17 2000-02-17 ポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法 Expired - Fee Related JP4465078B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000039977A JP4465078B2 (ja) 2000-02-17 2000-02-17 ポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法
KR20010006776A KR100709018B1 (ko) 2000-02-17 2001-02-12 무수초산, 조제 무수초산의 정제법 및 무수초산을 이용한폴리옥시테트라메틸렌글리콜의 제조법
TW090103490A TW583171B (en) 2000-02-17 2001-02-15 Acetic anhydride, method of purifying crude acetic anhydride, and method of producing polyoxytetramethylene glycol using acetic anhydride
US09/788,047 US6987201B2 (en) 2000-02-17 2001-02-16 Acetic anhydride, method of purifying crude acetic anhydride, and method of producing polyoxytetramethylene glycol using acetic anhydride
DE10108811.6A DE10108811B4 (de) 2000-02-17 2001-02-16 Reinigungsverfahren für Roh-Essigsäureanhydrid und Herstellungsverfahren für Polyoxytetramethylenglycol unter Verwendung von Essigsäureanhydrid
CNB011040475A CN1164646C (zh) 2000-02-17 2001-02-16 乙酐、粗制乙酐的精制法以及使用了乙酐的聚氧化1,4-丁二醇的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000039977A JP4465078B2 (ja) 2000-02-17 2000-02-17 ポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001226480A true JP2001226480A (ja) 2001-08-21
JP4465078B2 JP4465078B2 (ja) 2010-05-19

Family

ID=18563455

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000039977A Expired - Fee Related JP4465078B2 (ja) 2000-02-17 2000-02-17 ポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4465078B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002037756A (ja) * 2000-05-18 2002-02-06 Daicel Chem Ind Ltd 無水酢酸
JP2012172048A (ja) * 2011-02-21 2012-09-10 Mitsubishi Chemicals Corp ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002037756A (ja) * 2000-05-18 2002-02-06 Daicel Chem Ind Ltd 無水酢酸
JP2012172048A (ja) * 2011-02-21 2012-09-10 Mitsubishi Chemicals Corp ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4465078B2 (ja) 2010-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0813784B2 (ja) マイレン酸ジアルキルの製造方法
EA009917B1 (ru) Способ получения эластомерных сложных сополиэфиров
US7122698B2 (en) Method for producing α-hydroxycarboxylate
RU2162862C2 (ru) Способ получения простых полиэфирполиолов с двумя концевыми гидроксильными группами
JP4465078B2 (ja) ポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法
CN1092625C (zh) 从1,4-丁二醇脱除生成有色物质的方法及其在制备聚四亚甲基醚二醇(ptmeg)中的应用
JP4368026B2 (ja) 粗製無水酢酸の精製法及び無水酢酸を用いたポリオキシテトラメチレングリコールの製造法
KR100709018B1 (ko) 무수초산, 조제 무수초산의 정제법 및 무수초산을 이용한폴리옥시테트라메틸렌글리콜의 제조법
JP3788020B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP3931421B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP3849360B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP6191213B2 (ja) テトラヒドロフラン含有物の精製方法
JPH01139547A (ja) 高純度メタクリル酸エステルの製造方法
WO2006098437A1 (ja) ポリエーテルポリオール類の製造方法
TWI360559B (en) Method for producing high purity terephthalate fro
JP3903513B2 (ja) ジアセトキシブテンの製造方法
JP3852543B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JPH10237057A (ja) 粗テトラヒドロフランの精製方法
JP3837966B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP4356342B2 (ja) エチレングリコールの精製方法
JP5040130B2 (ja) ポリエーテルポリオール類の製造方法
JP2000212119A (ja) ポリアルキレンエ―テルグリコ―ルの製造方法およびそれに用いる無水酢酸の精製方法
SU899582A1 (ru) Способ получени полиэфиров
JPH11292963A (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造法
JP2012153667A (ja) ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法並びに無水酢酸の精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100202

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140226

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees