JP4368026B2 - 粗製無水酢酸の精製法及び無水酢酸を用いたポリオキシテトラメチレングリコールの製造法 - Google Patents

粗製無水酢酸の精製法及び無水酢酸を用いたポリオキシテトラメチレングリコールの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粗製無水酢酸の精製法および無水酢酸を用いたポリオキシテトラメチレングリコールの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無水酢酸の工業的な製造方法としては、酢酸を熱分解してケテンを生成させ、酢酸にこのケテンを吸収反応せしめて無水酢酸を得る方法(ケテン法)や、酢酸メチルまたはジメチルエーテルに一酸化炭素を反応せしめて無水酢酸を得る方法等が知られている。
【0003】
ケテン法によって無水酢酸を製造する場合には、その原料酢酸として、例えば酢酸セルロース製造工程から排出される酢酸水溶液から濃縮回収された酢酸が使用される場合が多く、この濃縮酢酸には、セルロース系から来る不純物が含まれる。また、酢酸の熱分解反応およびケテンと酢酸の吸収反応時に生ずる種々の低沸点および高沸点化合物を含むため、蒸留によって脱低沸および脱高沸化合物を除去する精製処理が行われている。
【0004】
このような粗製無水酢酸の精製に関し、蒸留処理では熱エネルギーの消費が大きくなることから、例えば特公平4−34537号公報に、蒸留に代えてオゾン含有ガスで粗製無水酢酸を処理し不純物を除去する精製法が開示されている。
【0005】
一方、特開平6−25071号公報には、メタノール及び/又は酢酸メチル、メタノール及び/又はジメチルエーテルを接触カルボニル化して得られる酢酸や無水酢酸を前提にして、オゾン処理と蒸留とを順次行う精製法が開示されている。つまり、酢酸メチル等と一酸化炭素との反応により酢酸と無水酢酸を同時に製造する場合には不飽和化合物が多く含まれ、特にクロトン酸メチルは酢酸とほぼ同じ沸点であるために、通常の蒸留によっては除去することが困難である。また、このような不飽和化合物をオゾン処理すると、酢酸や無水酢酸の品質を示す指標である過マンガン酸カリウム試験保持時間に悪影響を及ぼす物質であるアセトアルデヒドが生成する。そこで、上記公報記載の精製法では、酢酸や無水酢酸をオゾンと接触せしめたのち、蒸留する精製法が採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した方法によって得られた粗製無水酢酸を上記のような各種精製法により精製し、この精製無水酢酸を用いて、例えば、ポリウレタンやポリエーテルエステル、ポリエーテル(エステル)アミドの主原料等として工業的に有用なポリマーであるポリオキシテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記する)を製造する場合に、色相の良好な製品PTMGを安定して得難いという問題を生じている。
【0007】
PTMGは、通常、テトラヒドロフランを無水酢酸と酸触媒の存在下で開環重合させてポリオキシテトラメチレングリコールジエステルを製造し、次いで、このポリオキシテトラメチレングリコールジエステルをアルカリ触媒存在下で加水分解もしくは低級アルコール、例えばメタノールとエステル交換して製造される。このようなPTMGの製造において、上記方法によって得られた無水酢酸を蒸留したもの、さらには、この無水酢酸に対し、前記した特開平6−25071号公報の処理法を適用してオゾン処理後に蒸留したもののいずれを使用しても、得られる製品PTMGは黄色に着色し、充分な透明性を有するものが安定して得られないという問題を生じているのである。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、PTMG等の製造に用いてその品質を向上し得る粗製無水酢酸の精製法及び無水酢酸を用いたPTMGの製造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、粗製無水酢酸の精製法および無水酢酸を用いて製造される例えばPTMGなどの製品の品質について鋭意検討した結果、無水酢酸中に含まれているジケテンが製品の品質に大きく影響することを知見し、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明の粗製無水酢酸の精製法は、粗製無水酢酸を蒸留した後にオゾン含有ガスで処理することを特徴としている。
【0011】
また、本発明のPTMGの製造方法は、上記のように、粗製無水酢酸を蒸留した後にオゾン含有ガスで処理して得られる無水酢酸と、酸触媒との存在下で、テトラヒドロフランを開環重合させることによってポリオキシテトラメチレングリコールを製造することを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の無水酢酸の精製法において用いられる原料粗製無水酢酸は、無水酢酸製造工程中、どのような濃度の粗製無水酢酸であっても良い。しかし、反応工程より得られる粗製無水酢酸中の不純物が多くなるほど、後述するオゾン含有ガスの消費量が多くなる。このため、粗製無水酢酸中に含有されるジケテン等の二重結合成分量がより少なくなる反応条件を選び、粗製無水酢酸を製造するのが望ましい。
【0013】
粗製無水酢酸を蒸留して一次精製する際に使用される蒸留塔は、その形式について特に制限はなく、自由に選択することができる。一般的にはシーブトレイ、バブルキャップトレイ、バルブトレイ等の棚段塔、インタロックスサドル、ポールリング、スルザーパック等の充填塔のうちから一つまたは二つ以上選択して用いることが可能でる。
【0014】
棚段塔の場合は、トレイ数は20〜80個程度、充填塔の場合はそれに相当する充填高さを有するものを使用するのが好ましい。精製される無水酢酸は蒸留塔の中間部より導入されるが、導入位置は製品無水酢酸の回収位置より上方である必要があり、望ましくは蒸留塔中央部より上部が選択される。製品無水酢酸は、原料導入段より下方、望ましくは蒸留塔中央部より下部から蒸気または液で回収される。
【0015】
蒸留塔の操作圧力については特に制限はないが、圧力が高すぎる場合、塔内温度の上昇により望ましくない反応が起こるおそれがあり、逆に圧力が低すぎる場合、塔頂における蒸気の凝縮に困難を伴う。したがって、望ましい操作圧力は、塔頂において100mmHg〜常圧の範囲である。
【0016】
塔頂蒸気の凝縮液の一部は還流液として塔頂に戻されるが、回収液流量に対する還流液流量の比、いわゆる還流比は原料液の組成、求められる製品品質等により決定される。通常1〜1000程度の範囲から選択できる。
【0017】
次に、上記のような蒸留塔を用いて一次精製された粗製無水酢酸をオゾン処理にて二次精製する場合、これに用いるオゾン含有ガスにも特に制限はない。工業的には、一般に空気あるいは酸素を原料とし、無声放電によりオゾンを発生させる方式が用いられる。通常、空気原料の場合、オゾンの濃度は10〜20g/m3である。無水酢酸と接触させるオゾンの割合は、オゾン自身の分解反応等を考慮すると、反応を完全に完結させるにはやや過剰のオゾンを仕込んだほうが良い。実用上は気液の接触効率や精製率等を考慮して実験により適宜決めることが必要であり、通常、オゾン使用率は50〜300g−O3/Tであり、好ましくは90〜270g−O3/Tである。
【0018】
オゾン処理の反応器の形式についても、オゾンと無水酢酸の接触が良好に行えるのならば特に制限はないが、実用上は気泡塔方式、攪拌槽方式が好ましい。また、接触時間は、数十秒〜数十分の範囲で適切な時間を設定すれば良い。反応温度は室温付近が適当であり、好ましくは20〜30℃程度である。温度が低すぎると反応速度が低下し、温度が高すぎるとオゾン自身が分解し易くなるので好ましくない。
【0019】
以上のような実施形態に従い、粗製無水酢酸を蒸留して一次精製した後にオゾン含有ガス処理による二次精製を行うことによって、ジケテンの含有率が検出限界(2ppm程度)以下であるような精製無水酢酸を得ることができる。
【0020】
一方、本発明のPTMGの製造法によれば、上記のようにして得られる精製無水酢酸と、酸触媒との存在下で、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記する)を開環重合させることによって、まず、ポリオキシテトラメチレングリコールジエステル(以下、PTMGACと略記する)を得、このPTMGACからPTMGが製造される。
【0021】
この場合に使用される酸触媒は特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。例えば超強酸性陽イオン交換樹脂、漂白土、ゼオライト等の固体酸触媒を使用することができる。過塩素酸のような液体の酸を使用することもできるが、この場合は、開環重合後に酸を中和および/または分離する工程が必要になって複雑になるので、工業上不利である。固体酸触媒を用いた場合には、触媒の分離が簡単にできるので好ましい。固体酸触媒は、懸濁床、固定床のいずれでも使用できるが、固定床流通反応で用いると触媒の分離操作を別途行う必要がなく、特に好ましい。
【0022】
反応条件は、目的とするPTMGの分子量や用いる酸触媒の種類によって異なるが、通常、反応液中における酸触媒の濃度が0.1〜50重量%、無水酢酸の濃度が0.1〜30重量%程度に設定される。反応時間は、通常、0.5〜10時間の範囲から選ばれる。この反応で得られる重合液は、PTMGACと未反応原料等を含有しているので、通常、未反応のTHFと無水酢酸を常圧または減圧下で留去させる。
【0023】
このようにして得られるPTMGACからのPTMGの製造は、通常、アルカリ触媒の存在下で、末端エステル基を加水分解、もしくはアルコリシスにより水酸基に代えることによって行われる。
【0024】
まず、アルカリ触媒存在下で加水分解してPTMGを製造する場合について説明する。このアルカリ加水分解は、有機溶媒の存在下にアルカリ水溶液を添加し、加熱して末端エステル基を水酸基に代える方法である。有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、n−ブタノールなどの脂肪族アルコール、ジ−イソプロピルエーテルなどの脂肪族エーテルなどの水と分液する化合物が用いられる。
【0025】
アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物が用いられる。これら水酸化物は、通常、水溶液として用いられる。この水溶液は、通常1〜50重量%の濃度で使用される。
【0026】
この水溶液の添加量は、使用するPTMGACに対する水の重量によっても異なるが、通常はPTMGACに対する水の重量が0.1〜10倍で、かつ、PTMGAC、水およびアルカリの全重量に占めるアルカリ濃度が0.01〜40重量%となるような範囲で用いられる。アルカリ加水分解温度は、アルカリ濃度や使用するアルカリの種類によっても異なるが、通常、50〜150℃の範囲で行われる。また、アルカリ加水分解の時間もアルカリ濃度、使用するアルカリの種類および加水分解温度によって異なるが、通常、0.1〜20時間の範囲で行われる。
【0027】
アルカリ加水分解終了後の水を含む反応粗液は、例えば遠心分離器によって有機層と水層に分液され、回収された有機層から、薄膜蒸発器のような滞留時間の短い蒸発器を用いて有機溶媒及び水を蒸発して、製品PTMGが得られる。
【0028】
次に、PTMGACから、アルカリ触媒の存在下で、アルコリシスにより末端エステル基を水酸基に代えることによってPTMGを製造する場合について説明する。
【0029】
アルコリシスはメタノール等の脂肪族アルコールを用いて、副生したカルボン酸エステルを反応蒸留によりアルコールとの共沸で抜きながらPTMGを製造する方法である。このアルコールとしては、メタノールの他にエタノールやブタノール等が用いられ、この中でも、メタノールが価格の点、反応性の点および反応により生成するエステルと原料アルコールとの分離性の点から最も好ましい。
【0030】
アルカリ触媒としては、アルカリ土類金属酸化物、もしくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコラートが用いられる。アルカリ土類金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムが好ましい。この触媒は、通常、粉末の形で用いられるが、打錠した形で用いてもよく、その反応方式や触媒の分離方法の選択により適宜選んでやればよい。
【0031】
触媒の使用量は、通常、反応粗液中の触媒濃度で、0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の触媒濃度で用いられる。触媒が粉末の場合は、反応粗液との触媒単位重量当たりの接触表面積が大きいため触媒濃度は低くても良いが、打錠成型した触媒の場合は、触媒単位重量当たりの接触面積が小さいため、触媒濃度は高めのほうが好ましい。
【0032】
一方、アルコリシスの触媒として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコラートを用いた場合、触媒濃度は触媒の種類によって異なるが、0.01〜3重量%の範囲で用いられる。しかも、通常は取り扱い易さの点でアルコール溶液の形で用いられる。
【0033】
アルコリシスの反応温度は特に限定されないが、通常、常圧下、30〜120℃の温度で行われる。反応温度が常圧下で120℃を越えるようなアルコールとの反応が行われた場合、最終製品の色相が悪くなるので、そのような場合には蒸留塔の釜の反応温度が120℃となるように、減圧下で反応を行うのが好ましい。逆に反応温度が低すぎると、反応が簡潔するまでの時間がかかりすぎて好ましくない。さらにメタノールやエタノール等の低沸点のアルコールが用いられた場合、蒸留塔の釜の反応温度をアップし、また、反応が完結するまでの時間を短縮するために加圧下で反応を行っても良い。
【0034】
アルコリシスはバッチ方式で行っても良いし、連続方式で行っても良いが、バッチ方式で行う場合は、還流装置を備えたバッチ蒸留塔の釜に触媒、PTMGACおよびアルコールを張り込んで反応蒸留を行い、釜で生成したカルボン酸エステルをアルコールとの共沸で留出させた後、塔頂温度がアルコールの沸点になるまで反応を行い、アルコリシスを完結させる。
【0035】
連続方式で行う場合は、触媒、PTMGACおよびアルコールを反応が完結するような滞留時間が取れるように連続蒸留塔に連続的に仕込み、連続蒸留塔の塔頂から生成したカルボン酸エステルを原料アルコールとの共沸混合物の形で連続的に抜き取り、釜から未反応アルコール、生成したPTMGおよび触媒を連続的に抜き取る。この場合の蒸留塔としては、その種類や充填剤、蒸留方式(連続蒸留とバッチ蒸留)により異なるが、理論段数で20〜100段の蒸留塔を用いるのが好ましい。
【0036】
理論段数の低い蒸留塔を用いると、原料アルコールと生成したカルボン酸エステルとの共沸混合物と原料アルコールとの分離が難しくなる。通常、原料アルコールと生成したカルボン酸エステルとの共沸混合物は焼却処分するため、原料アルコールと生成したカルボン酸エステルとの共沸混合物と原料アルコールの分離が悪いと、原料アルコールの使用量が増えて好ましくない。逆に理論段数の高い蒸留塔を用いると、原料アルコールと生成したカルボン酸エステルとの共沸混合物と原料アルコールの分離に必要な以上の段を積むことになるために、設備費が高くなり、また、ランニングコストも高くなる。
【0037】
アルコリシスの反応時間(滞留時間)は、触媒濃度、反応温度および原料アルコールとPTMGACのモル比等によって決定されるが、通常、1〜10時間の範囲で実施される。反応時間が長すぎると反応が終わっているにもかかわらず余計な滞留時間をもつことになってPTMG製造量が落ちることになり、逆に、反応時間が短くなり過ぎると、PTMGACのアルコリシスによるPTMGの製造反応が完結しなくなる。なお、PTMG中のエステル残基は、PTMGより製造されるポリウレタン等の製品品質を悪くするので、PTMGACからPTMGを製造する反応は完結させておく必要がある。
【0038】
アルコリシスに用いられるPTMGACとアルコールとのモル比は、PTMGACの数平均分子量や分散度によっても異なるが、通常、PTMGACに対するアルコールのモル比は3〜100の範囲から選ばれる。ここで、PTMGACに対するアルコールのモル比が低すぎるとアルコリシスが非常に遅くなって、反応時間が長くなるばかりか、反応が完結しないおそれがあるので、好ましくない。逆にPTMGACに対するアルコールのモル比が高すぎると、アルコリシスに必要なエネルギーコストやアルコリシス後にフラッシュするアルコールの量が増加するためにエネルギーコストが増加して好ましくない。
【0039】
アルカリ土類金属酸化物触媒の存在下、PTMGACのアルコリシスにより製造した蒸留塔の缶出液から反応粗液中に不溶な触媒がある場合には、通常濾過分離もしくは遠心分離により触媒を分離除去し、未反応のアルコールを回収リサイクルするために、薄膜蒸発器などの滞留時間の短いフラッシュ装置を用いてフラッシュする。
【0040】
薄膜蒸発器の缶出の粗PTMG中には、反応粗液に溶存していた触媒成分が含まれているので、これらの触媒成分やオリゴマーを除去するために水と粗PTMGとを攪拌槽に仕込み、加熱しながら数時間攪拌する。攪拌洗浄終了後、遠心分離器で分液後、水層と有機層とに分液させて有機層を回収し、薄膜蒸発器のような滞留時間の短い蒸発器を用いて有機溶媒及び水を蒸発して、製品PTMGを得る。
【0041】
以上のような形態に従ってPTMGを製造するに際し、当初にTHFを開環重合させてPTMGACを製造する工程で使用される無水酢酸として、ジケテンの含有率が検出限界以下であるような精製無水酢酸を用いることで、色相に優れたPTMGを得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下、一例としてケテン法によって得られた粗製無水酢酸をまず蒸留し、その後、この無水酢酸に対してオゾン処理して、得られる精製無水酢酸中のジケテンの含有率を調査した実験の一例を実施例として説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0043】
まず、ケテン炉を通して酢酸の熱分解によって得られたケテンを酢酸に吸収させて粗製無水酢酸を得、この粗製無水酢酸を、操作圧力をそれぞれ常圧にした脱低沸塔と脱高沸点塔とを順次通して、一次精製処理を行った。次いで、この一次精製処理した粗製無水酢酸に対し、図1に示す実験装置を用いて、二次精製処理としてオゾン処理を行い、このときのオゾン処理条件を種々代えて、得られる製品無水酢酸中のジケテンの濃度を測定した。
【0044】
なお、図1において、1はオゾン発生器、2は充填塔である。空気を原料としてオゾン発生器1によりオゾンを発生させ、このオゾン発生器1から出るオゾン化空気(オゾンと空気との混合ガス)を、内径5mm×高さ5mmのラシヒリングを装填した充填塔2に、その下部から導入した。一方、前記のように蒸留による一次精製処理を行った粗製無水酢酸を、充填塔2の上部から仕込み、オゾンと向流接触させて、オゾン処理を行った。オゾン処理された製品無水酢酸は、充填塔2の下部から抜き取り、これを回収した。充填塔の温度は30℃、圧力は常圧である。
【0045】
表1に、充填塔2へのオゾンの流入量を変化させたときの製品無水酢酸中のジケテンの濃度を測定した結果を示している。
【0046】
同表において、実験No.#1では、一次精製処理した粗製無水酢酸の仕込流量は6279g/H、オゾン流入量は27.4mol/Hであり、この場合のオゾン使用率は93.6g−O3/Tとなる。実験No.#2では、粗製無水酢酸の仕込流量は上記とほぼ同様で6006g/H、オゾン流入量は38.3mol/Hで、この場合のオゾン使用率は134.3g−O3/Tとなる。また、粗製無水酢酸中のジケテン濃度はいずれも76ppmである。これらの結果に示されているように、オゾン使用率が90g−O3/Tを超えると、ジケテン濃度は検出限界(2ppm)以下となっている。
【0047】
【表1】
Figure 0004368026
【0048】
なお、上記とは逆に、先にオゾン処理を行い、次いで、脱低沸塔と脱高沸塔とを通して蒸留処理を行う精製法(以下、従来法という)に従って精製処理した場合の製品無水酢酸中のジケテン濃度は最小でも5ppm程度であった。したがって、本発明のように、先に蒸留処理を行い、次いでオゾン処理を行う精製法を採用することにより、ジケテンの含有率が検出限界以下となって、従来法では得られなかった高品質の製品無水酢酸を製造することが可能となっている。
【0049】
一方、PTMGを、前記したようにテトラヒドロフランを無水酢酸と固体酸触媒の存在下で開環重合させ、これにより得られるPTMGACをアルカリ触媒存在下でメタノールとエステル交換して製造するに際し、無水酢酸として上記した従来法によって得られた無水酢酸を使用して製造したPTMGはやや黄色味を帯びていたが、ジケテンが検出限界以下の本発明法にしたがって得られた精製無水酢酸を使用して製造したPTMGは殆ど無色透明であり、したがって色相の良好な製品PTMGが得られた。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ジケテンの含有率の小さな精製無水酢酸を得ることができ、そして、このような精製無水酢酸を用いることにより、色相の優れたPTMG等の製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法に従って粗製無水酢酸に対するオゾン処理を行ったときの装置構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 オゾン発生器
2 充填塔

Claims (2)

  1. 酢酸の熱分解によって得られたケテンを酢酸に吸収させて得た、ジケテンを含有する粗製無水酢酸を、蒸留した後にオゾン含有ガスで処理することを特徴とするジケテンを含有する粗製無水酢酸の精製法。
  2. 請求項1の精製法によって精製された無水酢酸と、酸触媒との存在下で、テトラヒドロフランを開環重合させることによってポリオキシテトラメチレングリコールを製造することを特徴とするポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法。
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