JP2001214357A - 多糖類から成る賦形物及び多糖類賦形物の製造方法 - Google Patents

多糖類から成る賦形物及び多糖類賦形物の製造方法

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JP2001214357A
JP2001214357A JP2000028008A JP2000028008A JP2001214357A JP 2001214357 A JP2001214357 A JP 2001214357A JP 2000028008 A JP2000028008 A JP 2000028008A JP 2000028008 A JP2000028008 A JP 2000028008A JP 2001214357 A JP2001214357 A JP 2001214357A
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wet
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Seizo Oishi
清三 大石
Michiharu Uenishi
理玄 上西
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衣料用、資材用に使用でき、また、食品に添
加して食感向上や形態保持の目的に使用可能であり、更
に、医療用途にも適した、β−1、3グルコシド結合を
有する多糖類からなる繊維状やフィルム状の賦形物及び
その製造方法の提供。 【解決手段】 β−1、3グルコシド結合を有する多糖
類から成る繊維状賦形物であって、乾燥時、及び湿潤時
の引張強度をそれぞれSd、Swとしたとき、次式に規
定する湿潤時の引張強度低下率 【数1】 が50%以下であることを特徴とする多糖類からなる繊
維状賦形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は衣料用、資材用に使
用でき、また、食品に添加して食感向上や形態保持の目
的に使用可能であり、更に、医療用途にも適した、β−
1、3グルコシド結合を有する多糖類からなる繊維状や
フィルム状の賦形物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】天然素
材を原料とした繊維は人体への安全性、生分解性などの
優れた特性を有することから、その開発が行われてい
る。天然素材の中で、多糖類は生物が生産する高分子と
して多様な種類が存在し、抗菌性を有するキトサン等、
機能性を有するものも存在し、繊維への賦形が試みられ
てきた。
【0003】こうした中でβ−1、3グルコシド結合を
有する多糖類は、その水分散液を加熱するとゲル化し、
生分解性であるとともに、人体に対して無害で、可食性
であるといった特徴を備えている。更にβ−1、3グル
コシド結合を有する多糖類の内、カードランと呼ばれる
ものは、免疫賦活による抗腫瘍作用が確認されている。
【0004】ところでこれまでのβ−1、3グルコシド
結合を有する多糖類の利用方法としては、高い安全性と
優れたゲル化能を利用して主に食品用途に使用されてき
た。例えば、ゼラチンの代替物としてゼリー類に加工し
たり、麺類に添加して弾力性を向上する用途等に用いら
れてきた。
【0005】また、繊維状に加工する方法も提案されて
おり、例えば特公昭48−16618号公報では、β−
1、3グルコシド結合を有する多糖類をアルカリ水溶液
に溶解した、紡糸原液を酸性凝固液で繊維状物として練
製品に添加することで、良質な天然肉の食感を与えるこ
とが示されている。
【0006】特開平3−157401号公報にはカード
ランの加熱凝固性を利用し、カードランの水懸濁液を細
管内を通過させ加熱することで、食用に供される糸こん
にゃく状等の線状ゲル体を製造する方法が示されてい
る。特開平7−135911号公報には、β−1、3グ
ルコシド結合を有する多糖類の繊維状ゲルを食品に添加
した、歯ごたえのある不均一な食感を有する成形食品が
提示されている。
【0007】このように、これまで行われてきたβ−
1、3グルコシド結合を有する多糖類の繊維状物はゲル
状であり、食感向上を目的とした添加物としての食品用
途に限られており、繊維単体での利用がなされていな
い。この原因として、従来の方法で得られたβ−1、3
グルコシド結合を有する多糖類から成る繊維は、湿潤時
の引張強度が低いことが挙げられる。即ち、従来のβ−
1、3グルコシド結合を有する多糖類からなる繊維は、
該多糖類を水に分散したものを加熱凝固して得られたも
のであるか、又は、該多糖類をアルカリ水溶液に溶解し
たものを酸凝固して得られたものであり、いずれのもの
も、水に浸漬すると繊維が容易に膨潤し、強度が急激
に、しかも大幅に低下してしまうという問題がある。そ
のため湿潤時にも強度が必要とされる食品以外の用途で
は、使用することができなかった。
【0008】例えば該繊維を衣料用途に用いると、この
衣料は発汗や洗濯等で水分が付与されると繊維が膨潤し
て強度が低下し、容易に形態が崩れ、また、場合によっ
ては破断してしまう。また、加熱を伴う染色も該繊維の
強度を低下させるため染色処理することが困難である。
あるいは多糖類のシート状物、又は不織布を湿式法で作
る場合、賦形物の湿強度が必要であるが、従来法で得ら
れたβ−1、3グルコシド結合を有する多糖類からなる
繊維又はフィルム状の賦形物では加工に耐えうるに必要
な強度がなかった。
【0009】湿式法以外の方法で多糖類のシート状物、
あるいは不織布を作り得たとしても、得られた製品を多
湿な雰囲気下に置くと、強度が低下し、更に雑菌が発生
しやすくなり、連続的、長期的な使用が困難である。ま
た、食品用途、食品包装用途、及び医療用途で使用する
場合、滅菌処理が必要となるが、従来の賦形方法で得ら
れた繊維は、湿潤時の強度の低下を招くため湿熱状態で
加熱殺菌処理を行うことができなかった。また、β−
1、3グルコシド結合を有する多糖類をアルカリ水溶液
に溶解した紡糸液を、酸性凝固液中に吐出し糸状に賦形
する場合、膨潤状の凝固糸は強度が低く、得られる繊維
の強度を高めるため凝固糸の延伸処理を行うことが困難
であった。
【0010】この点を改良する目的で、特公昭62−2
9527号公報では凝固浴として硫酸、又は塩酸とアル
コールの混合溶液を使用し、凝固糸の膨潤を回避するこ
とが提示されている。この方法で繊維賦形した凝固糸は
その強度は向上するものの、得られた乾燥糸が水中で膨
潤することに変わりはなく、その湿潤時の強度は低い。
また、これらの繊維を食品用途で使用する場合、十分な
中和、洗浄が必要であるが、これらの処理は水中で行わ
ないと繊維中のアルカリ、あるいは酸の除去を効率的に
行うことは困難である。
【0011】更に、繊維は通常繊維束であるトウとして
取り扱うのが便利であるが、水中で膨潤する繊維は湿っ
た繊維束のトウを乾燥する場合、乾燥時に繊維間接着を
起こすことが問題となる。この繊維間接着を回避するに
は、油剤を湿潤繊維に付与する方法もあるが、食品用途
に用いる繊維では油剤付与は避けるべきである。特開平
7−310238号公報では、アルカリ土類金属塩、又
はアルカリ金属塩を主成分とする非酸性水溶液を凝固液
とすることで、得られる繊維のカビの発生を抑制する方
法が記載されているが、得られた繊維が水中で膨潤する
ため、やはりカビ発生を根本的に抑制できない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
を解決すべく鋭意検討した結果、湿潤時にも強度の低下
が小さく、食品以外の用途にも使用可能なβ−1、3グ
ルコシド結合を有する多糖類から成る繊維、及びβ−
1、3グルコシド結合を有する多糖類を濃度90%以上
の蟻酸に溶解した原液を湿式凝固法にて賦形する多糖類
賦形物の製造方法を見いだした。
【0013】即ち本発明は、β−1、3グルコシド結合
を有する多糖類から成る繊維であって、乾燥時、及び湿
潤時の引張強度をそれぞれSd、Swとしたとき、次式
で規定する該繊維の湿潤時の強度低下率
【数2】 が50%以下であることを特徴とする繊維、及び、β−
1、3グルコシド結合を有する多糖類からなる繊維であ
って、乾燥時の引張強度が1g/dtex以上であり、
次式に規定する湿潤時の強度低下率
【数3】 が50%以下の繊維、及び、これらの繊維の製造方法に
も関する。ここで乾燥時の強度Sdとは、温度20℃、
湿度50%で平衡状態にある繊維の引張強度であり、湿
潤時の強度Swとは20℃の水中に30分間以上浸漬し
たときの繊維の引張強度である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳しく説明
する。
【0015】本発明の多糖類繊維は、β−1、3グルコ
シド結合を有する多糖類を蟻酸に溶解して紡糸する方法
により得られる繊維であり、水中、更には沸騰水中に浸
漬しても膨潤性が小さく、乾燥時の強度と湿潤時の強度
の差が少ない湿潤強度の良好な繊維である。また、従来
の方法では湿潤状態の繊維は強度が低いため延伸するこ
とが困難であったのに対し、本発明の繊維の製造方法で
は繊維は容易に延伸でき、得られる繊維の分子配向を高
め、強度を向上することも可能である。更に本発明の繊
維の製造方法では、凝固糸が膨潤していないか、膨潤率
が小さいため、乾燥時に繊維間接着が生じにくく、従っ
て繊維間接着を回避するために油剤を付与する必要がな
い。
【0016】本発明の繊維は、熱水や蒸気等により加熱
殺菌することが可能である。更に、本発明の繊維は乾燥
状態ではもちろん、水に接触させた状態でも繊維が膨潤
しにくいため、カビが繁殖しにくいものとなっている。
【0017】本発明の繊維は、β−1、3グルコシド結
合を有する多糖類を蟻酸に溶解して紡糸して作ることが
好ましい。β−1、3グルコシド結合を有する多糖類を
溶解する溶剤として、アルカリ性水溶液、尿素水溶液、
ジメチルスルホキシド等も用いるが、これらの溶剤を用
いて作った繊維は本発明の繊維に比べ、水に膨潤し易い
繊維となり易い。
【0018】本発明の繊維が湿潤雰囲気下においても膨
潤しにくい理由は現在のところ定かではないが、β−
1、3グルコシド結合を有する多糖類は、高濃度の蟻酸
に溶解して紡糸することで繊維の配向性が高くなり、繊
維内部が疎水的になるものと推定される。
【0019】尚、本発明で言うところのβ−1、3グル
コシド結合を有する多糖類とは、β−1、3グルコシド
結合を主体とする水不溶性の多糖類のことであり、例え
ばカードラン、パラミロン、ラミナラン、パキマン等が
挙げられる。ただし、これらに限定されるものではな
く、β−1、3グルコシド結合を主体とし、水不溶性で
あれば良い。また末端基にD−グルコース以外の基を有
するものであっても良く、あるいは他の分岐糖鎖が存在
しても良い。また、分解処理により分岐糖鎖の一部、あ
るいは全部を除去して直鎖状β−1、3グルカンとした
ものでも良い。
【0020】また、本発明の繊維の製法においてはβ−
1、3グルコシド結合を有する多糖類を蟻酸に溶解した
ものを紡糸原液とするが、紡糸原液中のβ−1、3グル
コシド結合を有する多糖類の濃度は1質量%以上30質
量%以下であることが好ましい。β−1、3グルコシド
結合を有する多糖類の濃度が1質量%未満の原液を用い
た場合には強度のある凝固糸が得られにくく、連続糸の
紡糸が困難となる。一方、多糖類の濃度が30質量%を
越える紡糸原液を用いた場合は、高粘度となるため多糖
類の溶媒への攪拌溶解、脱泡、及び濾過が困難となる。
【0021】また、本発明においては、賦形用原液を調
製する際、β−1、3グルコシド結合を有する多糖類を
溶解する蟻酸の純度は90%以上であることが好まし
い。濃度90%未満の蟻酸水溶液にもβ−1、3グルコ
シド結合を有する多糖類を溶解することは可能である
が、かくして得た紡糸原液を凝固液中に吐出した凝固糸
の凝固速度が遅くなるとともに、凝固糸の強度が低下
し、延伸が困難になる傾向が認められる。また、蟻酸濃
度が80%程度の蟻酸水溶液にて作った紡糸原液の場
合、凝固糸が膨潤状態となるとともに、得られた乾燥糸
は水に膨潤するようになり好ましくない。
【0022】尚、多糖類を蟻酸に溶解し紡糸原液を作る
場合、β−1、3グルコシド結合を有する多糖類の種類
によっては室温以下の温度下にあっても経時的にその分
解が起こり、重合度が低下する場合がある。この結果、
紡糸原液の粘度低下、曳糸性の低下、及び得られた繊維
の強度低下が起こる。このような不都合を防ぐため紡糸
原液は、調製後できるだけ早く使用するのが良く、好ま
しくは原液調製後1週間以内に使用するのが良い。ま
た、繊維の強度は紡糸時の延伸倍率と相関関係があり、
延伸倍率が高いほど強度が高くなる。従って、延伸倍率
を変えることで、繊維強度を用途に応じて適宜変えるこ
とができる。
【0023】繊維強度は、原液濃度や凝固の条件にもよ
るが、1g/dtex以上の強度を有する繊維を得るに
は、凝固糸を2倍以上延伸することが好ましい。尚、本
発明において、低強度の繊維を得たい場合等、凝固糸を
2倍未満の延伸処理を施したり、延伸処理せずに紡糸し
ても何ら問題はなく、その場合にも水に膨潤しない繊維
を得ることができる。また、延伸を行う場合、湿潤状態
の繊維を延伸することが必要である。完全に乾燥した繊
維を延伸しても延伸を効果的に行うことができず、延伸
時に破断しやすくなる。
【0024】延伸処理は室温の空気中や室温以下の水中
でも可能であるが、この場合、延伸張力を緩めると繊維
が弾性的にやや収縮するため、延伸を効果的に行うには
湿潤状態の繊維を50℃以上、好ましくは70℃以上で
延伸することが好ましい。この場合、延伸は温水、又は
蒸気を用いて行うのがよい。繊維が延伸時に湿潤状態に
あれば、その加温は温風や乾熱ロール、あるいは非接触
ヒーター等を用いて行うこともできる。
【0025】また、賦形原液は湿式賦形法、あるいは乾
湿式賦形法で賦形し、賦形物を得る。湿式賦形法の場合
について以下に詳細に説明する。まず、紡糸原液を凝固
浴に浸漬した紡糸口金から凝固浴中へ吐出して引き取
り、凝固糸とする。紡糸口金は孔数が1個のものから複
数個のものまで使用可能であり、孔形状も丸形に限ら
ず、様々な形状のものが使用可能である。凝固液として
は凝固中に形成する繊維を溶解して得られる繊維の強度
を急激に低下させるもの、例えば濃度50%以上の蟻酸
水溶液、pH13以上のアルカリ性水溶液等以外であれ
ば紡糸原液の凝固能がある限り特に限定されない。従っ
て、例えば水、アルカリ水溶液、酸性水溶液、アルコー
ル等や、これらの混合溶液等が使用できる。
【0026】凝固液としてアルコールを単独で、あるい
は混合して使用する場合、得られた繊維を食品用途に使
用する場合は、エタノールを使用するのが好ましい。
尚、凝固液の温度は室温でも繊維の凝固は可能である
が、凝固速度の制御を目的として、自由に設定できる。
凝固糸はその後、中和、洗浄、延伸処理を行う。延伸処
理においては、高強度の繊維が必要な場合は、破断しな
い範囲でできるだけ高倍率延伸を施すのが良い。
【0027】尚、洗浄の前後で繊維が中性になるよう
に、中和処理を行っても良い。また、延伸は洗浄、中和
処理の前に延伸を行っても良いし、その後に行っても良
い。中和処理の後に洗浄しても良い。延伸は空気中、あ
るいは水中、もしくは蒸気中で行う。繊維を均一に無理
なく延伸するには50℃以上、好ましくは70℃以上と
するのが良く、この場合、温水中、あるいは蒸気中で延
伸を行うことが好ましい。あるいは、湿潤状態にある繊
維を温風、あるいは乾熱ロールや非接触ヒーター等を用
いて延伸しながら乾燥することも可能である。
【0028】また、凝固と延伸を同時に行う目的で、紡
糸原液を凝固浴中に吐出し、高ドラフト比で凝固糸を引
き取る方法や、凝固浴中の回転ロールを介して凝固糸を
引き取ることで、凝固浴中で延伸する方法が実施でき
る。この方法では、次いで洗浄を行うが、洗浄前あるい
は後に中和処理を行っても良い。尚、延伸処理は1段階
で行っても良いし、多段階に分けて行っても良い。多段
階に分ける場合、異なる延伸方法を組み合わせても、何
ら問題はない。延伸処理の施された繊維は、未乾燥のま
ま、あるいは乾燥した後に所定の長さにカットして製品
とすることもできる。カットした未乾燥繊維を乾燥して
製品とすることもできる。これは例えばカットした未乾
燥繊維をネット上に置き、熱風で乾燥する場合であり、
本発明の繊維はこうした方法で乾燥しても繊維間接着す
ることがない。
【0029】また、繊維の湿潤時あるいは加熱時の収縮
を抑制したり、伸度を調整する目的で、未乾燥繊維、あ
るいは乾燥繊維をカットの前あるいは後に、沸水中、あ
るいは飽和水蒸気中で緩和処理を施すことができ、緩和
処理後の繊維を未乾燥あるいは乾燥して製品とすること
ができる。尚、本発明の繊維は、上記のごとくカットし
て製品とするか、カットせずにフィラメントとして製品
とすることもできる。カットした繊維については単独あ
るいは他の繊維と混合して紡績するか、単独あるいは他
の繊維と混抄してシート状物、又は不織布に加工するこ
とができる。本発明の繊維は、水あるいは沸水中におい
ても膨潤することがないため、シート状物あるいは不織
布に加工する方法として、乾式法のみならず湿式法によ
っても行うことができる。
【0030】また、カットした繊維をそのまま、あるい
は叩解、又は粉砕処理して微細化し、食品に添加して使
用することも可能である。また、該繊維単独あるいは他
素材の繊維と混合して衣料用途に利用したり、単独ある
いは他素材の繊維と混抄してシートあるいは不織布とし
て使用される。この場合、医療用途として、抗腫瘍性の
利用を目的に、繊維束状、あるいはシート状、又は不織
布状にして使用することが可能である。また、生体への
適合性が高く、湿潤時の強度低下が少ないため、縫合糸
としての利用が可能である。更に食品包装用等、資材用
途での使用も可能である。また熱水、あるいは蒸気によ
っても強度低下が少ないため、殺菌処理が容易であり、
食品用、食品包装用、医療用に適した繊維である。
【0031】以上より、本発明の繊維は、衣料用、資材
用のみならず、食品用、食品包装用、医療用繊維として
幅広く使用することが可能である。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0033】以下の実施例、及び比較例で得られた繊維
の引張強度を以下の条件で測定した。 (乾燥強度)乾燥強度(Sd)は、繊維を温度20℃、
湿度50%の条件下に一昼夜おいて平衡させた後、10
本の単繊維についてテンシロンにより測定した引張強度
の平均値である。 (湿潤強度)湿潤強度(Sw)は、繊維を水温20℃の
水に30分間浸漬した後、10本の単繊維についてテン
シロンにより測定した引張強度の平均値である。 (強度低下率)湿潤時の強度低下率を、以下の式から求
めた。
【数4】
【0034】〔実施例1〕カードラン(和光純薬製)を
純度98%の蟻酸(和光純薬製)に室温で攪拌溶解し、
固形分濃度10質量%の紡糸原液を得た。脱泡のため、
一晩室温に放置した。得られた紡糸原液を、25℃の脱
イオン水の凝固浴中に孔径φ0.15mm、孔数50の
紡糸口金から吐出し、次いで80℃の脱イオン水で洗浄
した後、1%炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下した80
℃の中和槽を通過後、80℃の温水中で1.5倍の延伸
を行い、80℃の乾熱ローラーで乾燥した。乾燥した繊
維は容易に分繊した。得られた繊維の繊度、及び乾燥時
と湿潤時の強度を表1に示した。湿潤時にも繊維は膨潤
せず、外観上、ほとんど変化なかった。また、湿潤状態
で1ヶ月間室温に放置したが、カビの発生は認められな
かった。
【0035】〔実施例2〕延伸倍率を3.0倍とする以
外は実施例1と同じ条件でカードラン繊維を得た。得ら
れた繊維の繊度、及び乾燥時と湿潤時の強度を表1に示
した。湿潤時にも繊維は膨潤せず、外観上、ほとんど変
化なかった。また、湿潤状態で1ヶ月間室温に放置した
が、カビの発生は認められなかった。
【0036】〔比較例1〕カードランを0.1規定の水
酸化ナトリウム水溶液に攪拌溶解し、固形分濃度10質
量%の紡糸原液を得た。脱泡するため、一晩室温に放置
した。凝固液として飽和NaClに酢酸を溶解し、酢酸
濃度5%とした水溶液を用い、紡糸原液を25℃の凝固
浴中で孔径φ0.15mm、孔数50の紡糸口金から吐
出し、80℃の温水で洗浄した後、乾燥時の接着を抑制
するためエタノール浴を通し、その中で1.5倍延伸
し、次いで80℃の乾燥ローラーで乾燥した。尚、3倍
の延伸は不可能であった。得られた繊維の繊度、及び乾
燥時と湿潤時の強度を表1に示した。湿潤すると繊維は
膨潤し、径の増大が認められた。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、β−1、3グルコシド
結合を有する多糖類を原料として、湿潤時にも強度低下
の少ない繊維を得ることができ、これにより食品添加物
以外への適用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B035 LE01 LE05 LG20 LK19 LP33 4L035 AA06 BB06 BB12 BB15 BB72 BB89 BB90 BB91 EE08 EE11 FF01 4L047 AA08 AB02 AB03 AB10 CB10 CC01 CC03 CC14 CC16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−1、3グルコシド結合を有する多糖
    類から成る繊維状賦形物であって、乾燥時、及び湿潤時
    の引張強度をそれぞれSd、Swとしたとき、次式に規
    定する湿潤時の引張強度低下率 【数1】 が50%以下であることを特徴とする多糖類からなる繊
    維状賦形物。
  2. 【請求項2】 β−1、3グルコシド結合を有する多糖
    類からなる繊維状賦形物であって、乾燥時の引張強度が
    1g/dtex以上であることを特徴とする請求項1に
    記載の多糖類からなる繊維状賦形物。
  3. 【請求項3】 β−1、3グルコシド結合を有する多糖
    類を蟻酸に溶解した原液を湿式賦形し、多糖類賦形物と
    することを特徴とする多糖類賦形物の製造方法。
  4. 【請求項4】 β−1、3グルコシド結合を有する多糖
    類賦形物が繊維状賦形物であり、該繊維状賦形物が請求
    項1又は請求項2で規定する特性を備えたものとなって
    いることを特徴とする請求項3記載の多糖類賦形物の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 原液中に含まれるβ−1、3グルコシド
    結合を有する多糖類の濃度が1質量%以上30質量%以
    下である原液を用いることを特徴とする請求項3又は請
    求項4記載の多糖類からなる賦形物の製造方法。
  6. 【請求項6】 純度が90質量%以上の蟻酸を用いるこ
    とを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項記
    載の多糖類賦形物の製造方法。
  7. 【請求項7】 β−1、3グルコシド結合を有する多糖
    類から成る繊維の製造方法において、湿潤状態の繊維を
    2倍以上延伸することを特徴とする請求項4に記載の多
    糖類からなる繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 β−1、3グルコシド結合を有する多糖
    類から成る繊維の製造方法において、湿潤状態の繊維の
    延伸処理を50℃以上で行うことを特徴とする請求項7
    に記載の多糖類からなる繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103614859A (zh) * 2013-11-26 2014-03-05 东华大学 一种葡萄糖癸二酸二乙烯脂/异丙基丙烯酰胺共聚物纳米纤维膜的制备方法
CN103614860A (zh) * 2013-11-26 2014-03-05 东华大学 一种葡萄糖壬二酸二乙烯脂/异丙基丙烯酰胺共聚物纳米纤维膜的制备方法
WO2023106275A1 (ja) * 2021-12-10 2023-06-15 国立研究開発法人産業技術総合研究所 湿式紡糸繊維及びその製造方法、並びにサブミクロンフィブリル及びその製造方法

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