JP2001214266A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

成膜装置および成膜方法

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JP2001214266A
JP2001214266A JP2000023066A JP2000023066A JP2001214266A JP 2001214266 A JP2001214266 A JP 2001214266A JP 2000023066 A JP2000023066 A JP 2000023066A JP 2000023066 A JP2000023066 A JP 2000023066A JP 2001214266 A JP2001214266 A JP 2001214266A
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light
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thin film
reflectance
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Hideo Fujii
秀雄 藤井
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Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】正確に成膜速度を制御し得る成膜装置および成
膜方法を提供する。 【解決手段】成膜装置1は、チャンバ2と、基板3 お
よびモニタ基板30を保持するホルダ4と、ヒータ5
と、シャッタ6と、材料供給源7と、ランプ8と、モニ
タ基板30からの短波長(第1の波長)の反射光および
長波長(第2の波長)の反射光を検出する光検出手段9
と、制御手段11 とを有している。成膜の際は、所定
の時間における短波長の光の反射率を目標値に設定し、
前記所定の時間から時間Ts=Df(Ll/Ls−1)
/Vf(但し、Dfは前記所定の時間における薄膜の膜
厚、Ls は短波長、Llは長波長、Vfは目標の成膜
速度である)経過後において長波長の光の反射率が前記
目標値に達するように成膜速度を調整する。この目標値
の設定と成膜速度の調整とを複数回繰り返し行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、成膜装置および成
膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、イ
オンアシスト蒸着法、イオンプレーティング、スパッタ
リングのような気相成膜法により薄膜形成対象物に薄膜
を形成する成膜装置が知られている。
【0003】従来、成膜装置の成膜速度は、下記水晶振
動子制御法や、制御カーブ法により制御(調整)されて
いる。
【0004】水晶振動子制御法 薄膜形成対象物の近傍に水晶振動子を設置しておき、成
膜の際、薄膜が形成されていく水晶振動子の固有振動数
の変化からその水晶振動子における成膜速度を求める。
この検出された成膜速度を薄膜形成対象物における成膜
速度と推定し、前記検出された成膜速度が所定の一定値
を保つように成膜速度を調整する。
【0005】制御カーブ法 過去に成膜したときのデータから、薄膜の真空中屈折率
の予想値(予想真空中屈折率)を求め、成膜速度を所定
の一定値にして成膜したときであって、所定の波長の光
を薄膜形成対象物に向けて照射したときのその光の反射
率または透過率の時間変化カーブ(制御カーブ)を予め
作成しておく。
【0006】成膜の際、前記波長の光を薄膜形成対象物
に向けて照射し、その反射率または透過率を検出し、そ
の検出値が前記制御カーブに追随するように成膜速度を
調整する。
【0007】しかしながら、前記水晶振動子制御法や制
御カーブ法には、下記の欠点がある。
【0008】水晶振動子制御法 水晶振動子の温度変化がその固有振動数の誤差の原因に
なるので、水晶振動子の温度変化を小さくするために、
成膜の際は、水晶振動子を冷却する。
【0009】一方、成膜の際は、薄膜形成対象物を加熱
する場合がある。特に、CVD法により薄膜形成対象物
に薄膜を形成する際は、その薄膜形成対象物を加熱し
て、薄膜(膜材料)と薄膜形成対象物との化学反応を促
す必要がある。また、真空蒸着法により薄膜形成対象物
に薄膜を形成する際も薄膜の耐久性を向上させるため
に、薄膜形成対象物を加熱することがある。
【0010】従って、成膜の際は、水晶振動子の温度と
薄膜形成対象物の温度とが異なる。このため、水晶振動
子と薄膜形成対象物とでは、薄膜の付き方(成膜速度)
が異なり、これにより成膜速度を正確に制御することが
できない。
【0011】制御カーブ法 実際に形成される薄膜の真空中屈折率は、成膜の際の薄
膜形成対象物の温度、成膜装置内の真空度等の成膜条件
により微妙に変化し、このため前記真空中屈折率と予想
真空中屈折率とが一致しない場合がある。
【0012】前記真空中屈折率と予想真空中屈折率とが
一致していない場合には、検出された反射率または透過
率が前記制御カーブに追随するように成膜速度を調整し
ても、目標の成膜速度は得られない。
【0013】すなわち、前記真空中屈折率が予想真空中
屈折率より低い場合には、成膜速度が目標値より速くな
り、逆に、前記真空中屈折率が予想真空中屈折率より高
い場合には、成膜速度が目標値より遅くなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、正確
に成膜速度を制御し得る成膜装置および成膜方法を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(10)の本発明により達成される。
【0016】(1) 気相成膜法により薄膜形成対象物
に薄膜を形成する成膜装置であって、成膜の際、前記薄
膜形成対象物に形成された薄膜における、第1の波長の
光の反射率または透過率と、該第1の波長より長い第2
の波長の光の反射率または透過率とをそれぞれ検出する
光学特性検出手段と、所定の時間における前記第1の波
長の光の反射率または透過率を目標値に設定し、前記所
定の時間から所定期間経過後において前記第2の波長の
光の反射率または透過率が前記目標値に達するように成
膜速度を調整する調整手段とを有し、前記目標値の設定
と前記成膜速度の調整とを複数回繰り返し行うよう構成
されていることを特徴とする成膜装置。
【0017】(2) 前記所定期間Tsは、下記式から
求められる上記(1)に記載の成膜装置。 Ts=Df(Ll/Ls−1)/Vf 但し、Dfは前記所定の時間における薄膜の膜厚、Ls
は第1の波長、Llは第2の波長、Vfは目標の成膜速
度である。
【0018】(3) 前記光学特性検出手段は、前記薄
膜形成対象物の前記薄膜形成面に向けて、前記第1の波
長の光と、前記第2の波長の光とをそれぞれ照射する投
光手段と、前記薄膜形成対象物からの前記第1の波長の
反射光または透過光と、前記第2の波長の反射光または
透過光とをそれぞれ検出する光検出手段とを有し、前記
光検出手段からの情報に基づいて、前記第1の波長の光
の反射率または透過率と、前記第2の波長の光の反射率
または透過率とをそれぞれを求めるよう構成されている
上記(1)または(2)に記載の成膜装置。
【0019】(4) 前記投光手段は、前記第1の波長
の光と前記第2の波長の光とを含む光を照射し、前記光
検出手段は、前記薄膜形成対象物からの反射光または透
過光から、前記第1の波長の光と前記第2の波長の光と
をそれぞれ抽出する抽出手段と、該抽出手段により抽出
された前記第1の波長の光を検出する第1の検出器と、
前記抽出手段により抽出された前記第2の波長の光を検
出する第2の検出器とを有する上記(3)に記載の成膜
装置。
【0020】第1の波長の光を発する第1の波長の光専
用の光源と、第2の波長の光を発する第2の波長の光専
用の光源とを用いる場合に比べ、光源の数を少なくする
ことができ、これにより装置の構成を簡素化することが
でき、また、第1の波長の光の照射位置と第2の波長の
光の照射位置とを一致させるための位置合わせが不要に
なる。
【0021】(5) 前記薄膜形成対象物および前記薄
膜は、それぞれ誘電体材料で構成されており、前記薄膜
形成対象物および前記薄膜のそれぞれの前記第1の波長
の光に対する屈折率と前記第2の波長の光に対する屈折
率との差が±0.01以内である上記(1)ないし
(4)のいずれかに記載の成膜装置。これにより、より
正確かつ確実に成膜速度を制御することができる。
【0022】(6) 前記第1の波長が400〜150
0nmであり、前記第1の波長と前記第2の波長との差
が10〜100nmである上記(1)ないし(5)のい
ずれかに記載の成膜装置。これにより、より正確かつ確
実に成膜速度を制御することができる。
【0023】(7) 前記薄膜形成対象物を加熱する加
熱手段を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記
載の成膜装置。
【0024】薄膜形成対象物を所定の温度に加熱するこ
とにより、得られる薄膜の密度を向上させることができ
る。
【0025】(8) 上記(1)ないし(7)のいずれ
かに記載の成膜装置を用いて薄膜形成対象物に薄膜を形
成することを特徴とする成膜方法。
【0026】(9) 気相成膜法により薄膜形成対象物
に薄膜を形成する成膜方法であって、成膜の際、前記薄
膜形成対象物に形成された薄膜における所定の時間にお
ける第1の波長の光の反射率または透過率を検出し、そ
の検出値を目標値に設定し、前記所定の時間から所定期
間経過後において前記第1の波長より長い第2の波長の
光の反射率または透過率が前記目標値に達するように成
膜速度を調整する制御を複数回繰り返し行うことを特徴
とする成膜方法。
【0027】(10) 前記所定期間Tsを下記式から
求める上記(9)に記載の成膜方法。 Ts=Df(Ll/Ls−1)/Vf 但し、Dfは前記所定の時間における薄膜の膜厚、Ls
は第1の波長、Llは第2の波長、Vfは目標の成膜速
度である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の成膜装置および成
膜方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に
説明する。なお、説明中「膜厚」とは、断らない限り、
物理的膜厚を意味するものとする。
【0029】本発明の成膜装置および成膜方法は、それ
ぞれ、気相成膜法により薄膜形成対象物に薄膜を形成す
る装置および方法である。
【0030】この気相成膜法としては、例えば、真空蒸
着法、CVD(化学蒸着)法、イオンアシスト蒸着法、
イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ
る。
【0031】以下の説明では、代表的に、真空蒸着法に
より薄膜形成対象物に薄膜を形成する成膜装置(真空蒸
着装置)および成膜方法について説明する。
【0032】また、本発明では、成膜の際、薄膜形成対
象物に形成された薄膜における、第1の波長(短波長)
の光の反射率または透過率と、この第1の波長より長い
第2の波長(長波長)の光の反射率または透過率とをそ
れぞれ検出して、成膜速度の調整を行うが、以下の説明
では、代表的に、反射率を検出して成膜速度の調整を行
う成膜装置および成膜方法について説明する。
【0033】図1は、本発明の成膜装置を真空蒸着装置
に適用した場合の実施形態を模式的に示す断面図であ
る。
【0034】同図に示すように、成膜装置1は、チャン
バ(真空炉)2と、基板(薄膜形成対象物)3およびモ
ニタ基板(薄膜形成対象物)30を保持するホルダ(保
持部)4と、ヒータ(加熱手段)5と、シャッタ6と、
材料供給源7と、ランプ(投光手段)8と、光検出手段
9と、制御手段11とを有している。
【0035】チャンバ2には、管路14および15がそ
れぞれ接続されている。管路14は、チャンバ2内の雰
囲気ガス(不活性ガス、反応ガス等)を排気する真空ポ
ンプ12に接続されている。また、管路15は、チャン
バ2内に反応ガスを導入する反応ガスボンベ13に接続
されている。管路15の途中には、バルブ16が取り付
けられている。
【0036】このチャンバ2の雰囲気としては、通常、
非酸化性雰囲気、例えば、減圧(真空)状態下、あるい
は窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましい。
この雰囲気中には、前記反応ガスボンベ13から少量の
反応ガス(酸素ガス等)を導入することができる。
【0037】チャンバ2の上部には、ホルダ4が設置さ
れている。ホルダ4には、薄膜を形成する複数の基板
(薄膜形成対象物)3と、前記薄膜と同じ性状(同等)
の薄膜を形成するモニタ基板(薄膜形成対象物)30と
が、それぞれ保持される。モニタ基板30の構成材料、
形状、寸法等は、すべて基板3のそれと等しい。
【0038】基板3およびモニタ基板30は、誘電体材
料で構成されているのが好ましく、その構成材料として
は、例えば、各種の光学ガラスや、アクリル系樹脂、ポ
リカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂等の樹脂材料等の光学材料が挙げられ
る。
【0039】また、基板3およびモニタ基板30の成膜
面に形成される薄膜は、誘電体材料で構成されているの
が好ましい。
【0040】また、ホルダ4とチャンバ2の上壁22と
の間には、ヒータ(加熱手段)5が設置されている。
【0041】このヒータ5は、チャンバ2内の基板3、
モニタ基板30および雰囲気を加熱する。
【0042】基板3およびモニタ基板30が光学ガラス
で構成されている場合には、基板温度を150〜350
℃程度に加熱・保持することが好ましく、200〜30
0℃程度に加熱・保持することがより好ましい。これに
より、得られる薄膜の膜密度が向上する。また、基板3
およびモニタ基板30が樹脂等の光学材料で構成されて
いる場合には、基板変形を生じない程度に加熱・保持す
ることが好ましい。
【0043】なお、基板3、モニタ基板30および雰囲
気の温度は、ヒータ5の近傍に設置された熱電対(図示
せず)により計測され、計測値は制御手段11に入力さ
れる。制御手段11は、その計測値に基づいてヒータ5
の駆動を制御する。
【0044】また、チャンバ2内の底部の図1中右側に
は、材料供給源7が設置されている。
【0045】材料供給源7は、ルツボ72と、このルツ
ボ72内に配置(充填)された蒸発源71と、電子銃7
3とで構成されている。電子銃73は、高エネルギー密
度の電子ビームを放出し、ルツボ72内の蒸発源71を
加熱し、溶融・蒸発させる。
【0046】また、チャンバ2内であって、材料供給源
7のルツボ72の上側には、シャッタ6が設置されてい
る。
【0047】このシャッタ6は、例えば、複数の羽根か
らなるアイリス構造を有するものである。
【0048】シャッタ6は、材料供給源7から供給され
る材料(蒸発した蒸発源7)の基板3の成膜面およびモ
ニタ基板30の成膜面への移行を遮断する機能を有す
る。
【0049】シャッタ6が閉じているとき(閉状態のと
き)は、基板3の成膜面およびモニタ基板30の成膜面
への膜材料の付着、すなわち、薄膜の形成(成膜)が阻
止される。
【0050】逆に、シャッタ6が開いているとき(開状
態のとき)は、基板3の成膜面およびモニタ基板30の
成膜面への膜材料の付着、すなわち、薄膜の形成が可能
になる。
【0051】また、チャンバ2の底部の中央部には、光
透過性を有する部材(例えば、各種ガラスや、各種樹脂
等)で構成された窓21が設けられている。
【0052】また、チャンバ2の外部であって、窓21
の下側には、白色光を発するランプ(投光手段)8と、
光検出手段9とが、それぞれ設置されている。
【0053】前記白色光は、第1の波長(以下、「短波
長」と言う)の光と、この短波長より長い第2の波長
(以下、「長波長」と言う)の光とを含んでいる。この
短波長の光および長波長の光は、それぞれ、後述する成
膜速度の制御(調整)において使用される。
【0054】短波長および長波長は、基板3、モニタ基
板30およびこれらに形成される薄膜のそれぞれの短波
長の光に対する屈折率と長波長の光に対する屈折率との
差が±0.01以内、特に、±0.005以内になるよ
うに設定されるのが好ましい。これにより、短波長の光
の反射率のピーク値(極大値および極小値)と長波長の
光の反射率のピーク値(極大値および極小値)とがほぼ
一致し、成膜速度をより正確かつ確実に制御することが
できる。
【0055】また、短波長は、400〜1500nm程
度であるのが好ましく、450〜1400nm程度であ
るのがより好ましい。また、短波長と長波長との差は、
10〜100nm程度であるのが好ましく、15〜95
nm程度であるのがより好ましい。これにより、短波長
の光の反射率のピーク値(極大値および極小値)と長波
長の光の反射率のピーク値(極大値および極小値)とが
ほぼ一致し、成膜速度をより正確かつ確実に制御するこ
とができる。
【0056】光検出手段9は、ハーフミラー91と、入
射した白色光から短波長の光のみを抽出(分離)する短
波長分光器92と、この短波長分光器92から出射した
短波長の光を検出する短波長検出器(第1の検出器)9
3と、入射した白色光から長波長の光のみを抽出(分
離)する長波長分光器94と、この長波長分光器94か
ら出射した長波長の光を検出する長波長検出器(第2の
検出器)95とで構成されている。
【0057】制御手段11は、通常、マイクロコンピュ
ータ(CPU)で構成され、ヒータ5、シャッタ6、電
子銃73、ランプ8、真空ポンプ12およびバルブ16
等、成膜装置1全体の駆動を制御する。
【0058】なお、この制御手段11により、成膜速度
を調整する調整手段の主機能が達成される。
【0059】ランプ8から発せられた白色光は、窓21
を透過し、モニタ基板30の成膜面に向って進み、その
モニタ基板30で反射する。この反射光は、窓21を透
過し、そのうちの一部は、ハーフミラー91で反射し、
短波長分光器92に入射し、残部は、ハーフミラー91
を透過し、長波長分光器94に入射する。
【0060】短波長分光器92では、短波長の光のみが
抽出され、その短波長の光は、短波長検出器93に入射
する。
【0061】一方、長波長分光器94では、長波長の光
のみが抽出され、その長波長の光は、長波長検出器95
に入射する。
【0062】短波長検出器93では、短波長の光が検出
される。すなわち、短波長の光が受光され、その受光光
量に対応する情報(検出値)が、制御手段11に入力さ
れる。
【0063】本実施形態では、制御手段11は、前記情
報(検出値)と、後述する短波長の光の反射率が1(1
00%)のときの前記短波長検出器93での受光光量に
対応する情報とに基づいて、成膜開始前は、モニタ基板
30、成膜開始後は、モニタ基板30とこのモニタ基板
30に形成された薄膜全体の短波長の光の反射率(以
下、単に「短波長の光の反射率」と言う)を求める。
【0064】一方、長波長検出器95では、長波長の光
が検出される。すなわち、長波長の光が受光され、その
受光光量に対応する情報(検出値)が、制御手段11に
入力される。
【0065】本実施形態では、制御手段11は、前記情
報(検出値)と、後述する長波長の光の反射率が1(1
00%)のときの前記長波長検出器95での受光光量に
対応する情報とに基づいて、成膜開始前は、モニタ基板
30、成膜開始後は、モニタ基板30とこのモニタ基板
30に形成された薄膜全体の長波長の光の反射率(以
下、単に「長波長の光の反射率」と言う)を求める。
【0066】なお、前記ハーフミラー91、短波長分光
器92および長波長分光器94により、抽出手段が構成
される。
【0067】また、前記ランプ8、光検出手段9および
制御手段11により、光学特性検出手段が構成される。
【0068】次に、この成膜装置1における成膜速度の
制御(調整)について説明する。ここで、成膜速度と
は、単位時間当たりに、基板3およびモニタ基板30の
成膜面に形成される薄膜の厚さ(成膜面の単位面積当り
に形成される薄膜の量)を言う。
【0069】図2は、成膜の際の短波長の光の反射率R
sおよび長波長の光の反射率Rlの経時変化(時間に対
する変化)を示すグラフである。
【0070】まず、概要を説明する。図2に示すよう
に、成膜中の長波長の光の反射率Rlは、短波長の光の
反射率Rsに対して遅れている。
【0071】成膜速度を目標の成膜速度Vfにするため
に、成膜の際は、所定の時間における短波長の光の反射
率を目標値に設定し、前記所定の時間から所定期間(時
間)Ts経過後において長波長の光の反射率が前記目標
値に達するように成膜速度を調整(変更または維持)す
る。この目標値の設定と成膜速度の調整とを複数回繰り
返し行う(成膜を終了するまで行う)。前記所定期間T
sは、下記(1)式から求められる。
【0072】 Ts=Df(Ll/Ls−1)/Vf ・・・(1) 但し、Dfは前記所定の時間における薄膜の膜厚、Ls
は短波長(第1の波長)、Llは長波長(第2の波
長)、Vfは目標の成膜速度である。
【0073】すなわち、図2に示すように、所定の時間
t1における短波長の光の反射率Rsを検出(測定)
し、その値を目標値Rm1に設定するとともに、前記
(1)式から時間Ts1を求める。そして、時間t1か
ら時間Ts1経過後において長波長の光の反射率Rlが
目標値Rm1に達するように成膜速度を調整する。
【0074】続いて、時間t2における短波長の光の反
射率Rsを検出し、その値を目標値Rm2に設定すると
ともに、前記(1)式から時間Ts2を求める。そし
て、時間t2から時間Ts2経過後において長波長の光
の反射率Rlが目標値Rm2に達するように成膜速度を
調整する。
【0075】以下、同様にして、時間txにおける短波
長の光の反射率Rsを検出し、その値を目標値Rmxに
設定するとともに、前記(1)式から時間Tsxを求め
る。そして、時間txから時間Tsx経過後において長
波長の光の反射率Rlが目標値Rmxに達するように成
膜速度を調整する。
【0076】前記成膜速度は、例えば、電子銃73のパ
ワー(蒸発源71の加熱)を調整することにより調整す
る。なお、CVD法により成膜を行う成膜装置の場合に
は、例えば、膜材料の流量を調整し、スパッタリングに
より成膜を行う成膜装置の場合には、例えば、スパッタ
パワーを調整する。
【0077】このような成膜速度の制御を行うことによ
り、正確かつ確実に成膜速度を制御することができる。
【0078】すなわち、基板温度が低い場合はもちろん
のこと、水晶振動子を用いないので、基板温度が高い場
合も成膜速度を正確に制御することができ、また、短波
長の光の反射率(または透過率)を目標値にして成膜速
度を調整するので、薄膜の真空中の屈折率変動にもほど
んど影響を受けることなく、成膜速度を正確に制御する
ことができる。
【0079】次に、前記成膜速度の制御により、目標の
成膜速度Vfで成膜することができることを説明する。
【0080】説明を簡単にするため、短波長をLs[n
m]、長波長をLl[nm]、基板3およびモニタ基板
30の屈折率をNs、薄膜の屈折率をNf、薄膜の膜厚
をDf[nm]とすると、短波長の光の場合の位相膜厚
δsは、下記式で表される。 δs=4πNfDf/Ls
【0081】一方、長波長の光の場合の位相膜厚δl
は、下記式で表される。 δl=4πNfDf/Ll
【0082】また、位相膜厚をδとすると、各波長の光
の反射率Rは、下記(2)式で表される。
【0083】 R={(1-Nf)2(Nf+Ns)2+(1+Nf)2(Nf-Ns)2+2(1-Nf2)(Nf2-Ns2)cosδ}/{(1+N f)2(Nf+Ns)2+(1-Nf)2(Nf-Ns)2+2(1-Nf2)(Nf2-Ns2)cosδ} ・・・(2) 前記(2)式の位相膜厚δを短波長の光の場合の位相膜
厚δsに置き換えれば、前記(2)式は、短波長の光の
反射率Rsを示す式になり、また、前記(2)式の位相
膜厚δを長波長の光の場合の位相膜厚δlに置き換えれ
ば、前記式(2)は、長波長の光の反射率Rlを示す式
になる。
【0084】ここで、この成膜装置1における成膜速度
の制御においては、成膜速度を目標の成膜速度Vf[n
m/秒]にするために、前述したように、現在(所定の
時間)からTs[秒]後に、長波長の光の反射率が短波
長の光の現在(所定の時間)の反射率になるように、随
時成膜速度を調整するが、前記Tsが前記(1)式で表
される理由を述べる。
【0085】まず、薄膜の膜厚がDs[nm]のときの
短波長(波長Ls[nm])の光の反射率をRs、薄膜
の膜厚がDl[nm]のときの長波長(波長Ll[n
m])の光の反射率をRlとすると、前記RsとRlと
が一致するためには、反射率Rを示す前記(2)式の位
相膜厚δが互いに等しければよい。
【0086】すなわち、Rlは、薄膜の膜厚Dl[n
m]がDsLl/Lsのとき(Dl=DsLl/Lsの
とき)にRsと等しくなる。
【0087】一方、成膜速度が目標の成膜速度Vf[n
m/秒]であるとき、薄膜の膜厚がDsのときからTs
[秒]後にRlがRsと等しくなるとすれば、Dlは、
下記式で表される。
【0088】Dl=Ds+VfTs=DsLl/Ls 前記式のDlを消去し、Dsを薄膜の現在(所定の時
間)の膜厚Dfに置き換えれば、下記式、すなわち、前
記(1)式が得られる。Ts=Df(Ll/Ls−1)
/Vf
【0089】次に、成膜装置1の作用を説明する。図3
は、成膜装置1の制御手段の制御動作を示すフローチャ
ートである。以下、このフローチャートに基づいて説明
する。
【0090】まず、成膜前条件を成立させるための動作
を開始する。すなわち、ヒータ5を作動させ、基板3お
よびモニタ基板30を加熱し、真空ポンプ12を作動さ
せ、チャンバ2内の雰囲気ガスを排気する。そして、成
膜前条件が成立しているか否かを判断する(ステップS
101)。
【0091】本実施形態では、基板温度が250℃、チ
ャンバ2内の真空度が1.3×10 -3Paのときに成膜
前条件成立とする。
【0092】ステップS101において成膜前条件が成
立していると判断した場合には、目標の成膜速度Vf、
基板3およびモニタ基板30の屈折率Ns、短波長(第
1の波長)Ls、長波長(第2の波長)Llおよび基板
3およびモニタ基板30に形成される薄膜の成膜終了膜
厚(目標膜厚)Dendを読み込むとともに、前記基板
3およびモニタ基板30に形成される薄膜の予想屈折率
をその薄膜の屈折率Nfとして読み込む(ステップS1
02)。
【0093】次いで、短波長の光の反射率Rsを測定す
る(ステップS103)。次いで、長波長の光の反射率
Rlを測定する(ステップS104)。
【0094】次いで、電子銃73のパワー(出力)を所
定値(成膜速度がVfになると予想される値)に設定
し、その電子銃73を作動させ、蒸発源(例えば、Ti
2)71への電子ビームの照射を開始する(ステップ
S105)。これにより、ルツボ72内の蒸発源71が
加熱され、蒸発する。
【0095】次いで、バルブ16を開き、反応ガスボン
ベ13から反応ガス(例えば、酸素)をチャンバ2内に
導入し、チャンバ2内の真空度を1.3×10-2Paと
する(ステップS106)。
【0096】次いで、シャッタ6を開く(ステップS1
07)。これにより成膜が開始される。
【0097】次いで、短波長の光の反射率のピーク数P
sを0にし、長波長の光の反射率のピーク数Plを0に
する(ステップS108)。
【0098】前記反射率のピーク数とは、成膜中におけ
る反射率の極大点(極大値)の数と、極小点(極小値)
の数との合計値を言う。
【0099】次いで、1秒待って、時間の計数値Ct
(秒)を0にする(ステップS109)。
【0100】次いで、短波長の光の反射率Rsを測定す
る(ステップS110)。次いで、長波長の光の反射率
Rlを測定する(ステップS111)。
【0101】次いで、短波長の光の反射率Rsと長波長
の光の反射率Rlとが等しい(Rs=Rl)か否かを判
断する(ステップS112)。
【0102】ステップS112においてRs=Rlであ
ると判断した場合、すなわち、短波長の光の反射率Rs
と長波長の光の反射率Rlとに差がない場合には、ステ
ップS109に戻り、再度、ステップS109〜ステッ
プS112を実行する。
【0103】そして、ステップS112においてRs=
Rlではないと判断した場合、すなわち、短波長の光の
反射率Rsと長波長の光の反射率Rlとに差が生じた場
合には、短波長の光の反射率のピーク数Psを測定し、
長波長の光の反射率のピーク数Plを測定する(ステッ
プS113)。
【0104】次いで、短波長の光の反射率のピーク数P
sの変化がないか否かを判断する(ステップS11
4)。
【0105】なお、短波長の光の反射率が極大点(極大
値)または極小点(極小値)に達した時点で、そのピー
ク数Psが1つ増加し、長波長の光の反射率が極大点
(極大値)または極小点(極小値)に達した時点で、そ
のピーク数Plが1つ増加する。
【0106】ステップS114において短波長の光の反
射率のピーク数Psの変化がないと判断した場合には、
短波長の光の反射率のピーク数Psと、短波長Lsと、
基板およびモニタ基板30の屈折率Nsと、薄膜の屈折
率Nfと、短波長の光の反射率Rsとを下記(3)式に
代入して、形成された薄膜の膜厚Dfを計算する(ステ
ップS117)。
【0107】
【数1】
【0108】なお、前記薄膜の屈折率Nfの値が後述す
るステップS116で置き換えられるまでは、前述した
ように、ステップS102において読み込んだ薄膜の予
想屈折率が前記Nfとされる。
【0109】また、ステップS114において短波長の
光の反射率のピーク数Psの変化があると判断した場
合、すなわち、短波長の光の反射率が極大点(極大値)
または極小点(極小値)に達した場合には、そのピーク
数Psが偶数か否かを判断する(ステップS115)。
【0110】なお、反射率のピーク数が奇数の場合、す
なわち、反射率が極大点(極大値)に達したときは、前
記(2)式におけるCOSδ(但し、δは薄膜の位相膜
厚)が0になり、そのときの薄膜の真空中屈折率を正確
に求めることができる。
【0111】ステップS115において短波長の光の反
射率のピーク数Psが偶数であると判断した場合には、
前述したステップS117を実行し、形成された薄膜の
膜厚Dfを計算する。
【0112】また、ステップS115において短波長の
光の反射率のピーク数Psが奇数であると判断した場合
には、基板およびモニタ基板30の屈折率Nsと、短波
長の光の反射率Rsとを下記(4)式に代入して、その
ときの薄膜の真空中屈折率を計算し、薄膜の屈折率Nf
を前記計算値に置き換え(ステップS116)、この
後、前述したステップS117を実行し、形成された薄
膜の膜厚Dfを計算する。
【0113】
【数2】
【0114】ステップS117の後、薄膜の膜厚Dfが
成膜終了膜厚Dendより小さい(Df<Dend)か
否かを判断する(ステップS118)。
【0115】ステップS118においてDf<Dend
と判断した場合、すなわち、薄膜の膜厚Dfが成膜終了
膜厚Dendに達していない場合には、成膜を続行し、
前記時間の計数値Ctの計数開始時における短波長の光
の反射率Rsを、長波長の光の反射率の目標値Rmに設
定する(Rm=Rs)(ステップS119)。
【0116】次いで、短波長Ls、長波長Ll、目標の
成膜速度Vfおよび薄膜の膜厚Dfを前記(1)式に代
入して、時間(評価時間)Tsを計算する(ステップS
120)。
【0117】前述したように、成膜速度が目標の成膜速
度Vfであるならば、時間の計数値Ctの計数開始時か
らの経過時間が前記評価時間Tsになったときに、長波
長の光の反射率がその目標値Rmに達する。
【0118】なお、このプログラムでは、評価時間Ts
と比較される時間の計数値Ctが1秒毎にインクリメン
トされるので、1/10秒の位を四捨五入して前記評価
時間Tsを求める。
【0119】次いで、1秒待って、時間の計数値Ctを
1つ(1秒)インクリメントする(Ct=Ct+1)
(ステップS121)。
【0120】次いで、短波長の光の反射率Rsを測定す
る(ステップS122)。次いで、長波長の光の反射率
Rlを測定する(ステップS123)。
【0121】次いで、短波長の光の反射率のピーク数P
sと長波長の光の反射率のピーク数Plとが等しい(P
s=Pl)か否かを判断する(ステップS124)。
【0122】なお、図2に示すように、短波長の光の反
射率および長波長の光の反射率が共に増加中または減少
中のときは、Ps=Plとなる。
【0123】一方、短波長の光の反射率および長波長の
光の反射率の一方が増加中であり、他方が減少中のとき
は、Ps≠Plとなる。
【0124】ステップS124においてPs=Plでは
ないと判断した場合には、ステップS121に戻り、再
度、ステップS121〜ステップS124を実行する。
【0125】そして、ステップS124においてPs=
Plであると判断した場合には、短波長の光の反射率R
sが長波長の光の反射率Rlより大きい(Rs>Rl)
か否かを判断する(ステップS125)。
【0126】なお、図2に示すように、短波長の光の反
射率および長波長の光の反射率が共に増加中の場合に
は、Rs>Rlとなり、共に減少中の場合には、Rs<
Rlとなる。
【0127】ステップS125においてRs>Rlであ
ると判断した場合には、長波長の光の反射率Rlがその
目標値Rm以上(Rl≧Rm)か否かを判断する(ステ
ップS126)。
【0128】ステップS126においてRl<Rmであ
ると判断した場合、すなわち、長波長の光の反射率Rl
がその目標値Rmに達していない場合には、ステップS
121に戻り、再度、ステップS121以降を実行す
る。
【0129】そして、ステップS126においてRl≧
Rmであると判断した場合、すなわち、長波長の光の反
射率Rlがその目標値Rmに達した場合には、評価時間
Tsと、時間の計数値Ctとが等しい(Ts=Ct)か
否かを判断する(ステップS128)。
【0130】なお、前記時間の計数値Ctは、長波長の
光の反射率の目標値Rmとされた短波長の光の反射率R
sの測定時(目標値Rmの設定時)から現時点までの時
間(期間)、すなわち、前記測定時から長波長の光の反
射率Rlがその目標値Rmに達するまでの時間である。
Ts=Ctの場合には、成膜速度が目標の成膜速度Vf
になっている。
【0131】一方、Ts<Ctの場合には、成膜速度が
目標の成膜速度Vfより小さい(遅い)。
【0132】また、Ts>Ctの場合には、成膜速度が
目標の成膜速度Vfより大きい(速い)。
【0133】ステップS128においてTs=Ctと判
断した場合、すなわち、成膜速度が目標の成膜速度Vf
になっている場合には、現在の成膜速度を維持し、ステ
ップS109に戻り、再度、ステップS109以降を実
行する。
【0134】また、ステップS128においてTs=C
tではないと判断した場合には、評価時間Tsが時間の
計数値Ctより小さい(Ts<Ct)か否かを判断する
(ステップS129)。
【0135】ステップS129においてTs<Ctと判
断した場合、すなわち、成膜速度が目標の成膜速度Vf
より小さい場合には、電子銃73のパワーを所定値上
げ、成膜速度を増大させる。(ステップS130)。
【0136】このステップS130では、TsとCtと
の差、Ts、Ct等に基づいて、電子銃73のパワーを
適正値(成膜速度が目標の成膜速度Vfになると推定さ
れる値)に設定する。
【0137】また、ステップS129においてTs>C
tと判断した場合、すなわち、成膜速度が目標の成膜速
度Vfより大きい場合には、電子銃73のパワーを所定
値下げ、成膜速度を減少させる。(ステップS13
1)。
【0138】このステップS131では、TsとCtと
の差、Ts、Ct等に基づいて、電子銃73のパワーを
適正値に設定する。
【0139】また、前記ステップS125においてRs
≦Rlであると判断した場合には、長波長の光の反射率
Rlがその目標値Rm以下(Rl≦Rm)か否かを判断
する(ステップS127)。
【0140】ステップS127においてRl>Rmであ
ると判断した場合、すなわち、長波長の光の反射率Rl
がその目標値Rmに達していない場合には、ステップS
121に戻り、再度、ステップS121以降を実行す
る。
【0141】そして、ステップS127においてRl≦
Rmであると判断した場合、すなわち、長波長の光の反
射率Rlがその目標値Rmに達した場合には、ステップ
S128に進み、このステップS128以降を実行す
る。
【0142】なお、前記ステップS118においてDf
≧Dendと判断した場合、すなわち、薄膜の膜厚Df
が成膜終了膜厚Dendに達した場合には、シャッタ6
を閉じる(ステップS132)。これにより成膜が終了
する。
【0143】次いで、所定の成膜後処理を実行(実施)
する(ステップS133)。このステップS133で
は、例えば、電子銃73の駆動を停止させ、また、図示
しない大気導入バルブを開いて、チャンバ2内に大気を
導入する。以上で、このプログラムを終了する。
【0144】前述した成膜装置1を用い、図3に示すフ
ローチャート(プログラム)に従って成膜を5回行っ
た。成膜条件等は、下記の通りである。
【0145】基板およびモニタ基板:BK7ガラス(屈
折率1.52) 蒸発源:TiO2 反応ガス:酸素 基板温度:250℃ 成膜前真空度:1.3×10-3Pa 成膜中真空度(酸素を導入したときの真空度):1.3
×10-2Pa 短波長(第1の波長)Ls:650nm 長波長(第2の波長)Ll:700nm 目標の成膜速度Vf:0.4nm/秒
【0146】短波長(波長650nm)の光の反射率の
時間に対する変化(5回分)を図4に示し、長波長(波
長700nm)の光の反射率の時間に対する変化(5回
分)を図5に示す。
【0147】また、成膜を開始してから長波長(波長7
00nm)の光の反射率Rlがピークになるまでの実際
の成膜速度Vpと、成膜を開始してから長波長(波長7
00nm)の光の反射率Rlがピークになるまでの所要
時間Tpと、長波長(波長700nm)の光の反射率R
lのピーク値と、長波長(波長700nm)の光に対す
る薄膜の屈折率(真空中屈折率)Nfとをそれぞれ下記
表1に示す。なお、前記実際の成膜速度Vpは、下記式
から求めた。
【0148】Vf=Ll/(4NfTp) 但し、Llは、長波長(波長700nm)である。
【0149】
【表1】
【0150】前記表1に示すように、基板温度が比較的
高く(250℃)、しかも薄膜の屈折率が変動したにも
かかわらず、成膜速度は安定しており、成膜速度を正確
に制御できたことが確認された。
【0151】以上、本発明の成膜装置および成膜方法
を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機
能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0152】例えば、本発明は、前記真空蒸着装置に限
らず、他の気相成膜法(例えば、CVD法、イオンアシ
スト蒸着法、イオンプレーティング、スパッタリング
等)により薄膜を形成する成膜装置に適用することがで
きる。
【0153】また、本発明の成膜装置は、成膜の際、薄
膜形成対象物に形成された薄膜における、第1の波長
(短波長)の光の透過率と、この第1の波長より長い第
2の波長(長波長)の光の透過率とをそれぞれ検出し
て、成膜速度の調整を行うよう構成されていてもよい。
【0154】この場合には、成膜の際、光学特性検出手
段により、薄膜形成対象物に形成された薄膜における、
第1の波長の光の透過率と、第2の波長の光の透過率と
をそれぞれ検出し、調整手段により、所定の時間におけ
る前記第1の波長の光の透過率を目標値に設定し、前記
所定の時間から所定期間経過後において前記第2の波長
の光の透過率が前記目標値に達するように成膜速度を調
整する。この目標値の設定と成膜速度の調整とを複数回
繰り返し行う。
【0155】また、本発明では、投光手段が、例えば、
第1の波長の光のみを発する第1の投光部と、第2の波
長の光のみを発する第2の投光部とで構成されていても
よい。
【0156】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の成膜装置お
よび成膜方法によれば、正確かつ確実に成膜速度を制御
することができる。
【0157】すなわち、薄膜形成対象物の温度が高い場
合も成膜速度を正確に制御することができ、また、第1
の波長の光の反射率または透過率を目標値に設定し、第
2の波長の光の反射率または透過率が所定期間経過後に
前記目標値に達するように成膜速度を調整するので、薄
膜の屈折率が変動したとしても成膜速度を正確に制御す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の成膜装置を真空蒸着装置に適
用した場合の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明における成膜の際の短波長の光の反射率
Rsおよび長波長の光の反射率Rlの経時変化(時間に
対する変化)を示すグラフである。
【図3】図1に示す成膜装置の制御手段の制御動作を示
すフローチャートである。
【図4】本発明における短波長(波長650nm)の光
の反射率の時間に対する変化(5回分)を示すグラフで
ある。
【図5】本発明における長波長(波長700nm)の光
の反射率の時間に対する変化(5回分)を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 成膜装置 2 チャンバ 21 窓 22 上壁 23 底壁 3 基板 30 モニタ基板 4 ホルダ 5 ヒータ 6 シャッタ 7 材料供給源 71 蒸発源 72 ルツボ 73 電子銃 8 ランプ 9 光検出手段 91 ハーフミラー 92 短波長分光器 93 短波長検出器 94 長波長分光器 95 長波長検出器 11 制御手段 12 真空ポンプ 13 反応ガスボンベ 14、15 管路 16 バルブ S101〜S133 ステップ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相成膜法により薄膜形成対象物に薄膜
    を形成する成膜装置であって、 成膜の際、前記薄膜形成対象物に形成された薄膜におけ
    る、第1の波長の光の反射率または透過率と、該第1の
    波長より長い第2の波長の光の反射率または透過率とを
    それぞれ検出する光学特性検出手段と、 所定の時間における前記第1の波長の光の反射率または
    透過率を目標値に設定し、前記所定の時間から所定期間
    経過後において前記第2の波長の光の反射率または透過
    率が前記目標値に達するように成膜速度を調整する調整
    手段とを有し、 前記目標値の設定と前記成膜速度の調整とを複数回繰り
    返し行うよう構成されていることを特徴とする成膜装
    置。
  2. 【請求項2】 前記所定期間Tsは、下記式から求めら
    れる請求項1に記載の成膜装置。 Ts=Df(Ll/Ls−1)/Vf 但し、Dfは前記所定の時間における薄膜の膜厚、Ls
    は第1の波長、Llは第2の波長、Vfは目標の成膜速
    度である。
  3. 【請求項3】 前記光学特性検出手段は、前記薄膜形成
    対象物の前記薄膜形成面に向けて、前記第1の波長の光
    と、前記第2の波長の光とをそれぞれ照射する投光手段
    と、 前記薄膜形成対象物からの前記第1の波長の反射光また
    は透過光と、前記第2の波長の反射光または透過光とを
    それぞれ検出する光検出手段とを有し、 前記光検出手段からの情報に基づいて、前記第1の波長
    の光の反射率または透過率と、前記第2の波長の光の反
    射率または透過率とをそれぞれを求めるよう構成されて
    いる請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記投光手段は、前記第1の波長の光と
    前記第2の波長の光とを含む光を照射し、 前記光検出手段は、前記薄膜形成対象物からの反射光ま
    たは透過光から、前記第1の波長の光と前記第2の波長
    の光とをそれぞれ抽出する抽出手段と、該抽出手段によ
    り抽出された前記第1の波長の光を検出する第1の検出
    器と、前記抽出手段により抽出された前記第2の波長の
    光を検出する第2の検出器とを有する請求項3に記載の
    成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記薄膜形成対象物および前記薄膜は、
    それぞれ誘電体材料で構成されており、前記薄膜形成対
    象物および前記薄膜のそれぞれの前記第1の波長の光に
    対する屈折率と前記第2の波長の光に対する屈折率との
    差が±0.01以内である請求項1ないし4のいずれか
    に記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の波長が400〜1500nm
    であり、前記第1の波長と前記第2の波長との差が10
    〜100nmである請求項1ないし5のいずれかに記載
    の成膜装置。
  7. 【請求項7】 前記薄膜形成対象物を加熱する加熱手段
    を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の成膜装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の成
    膜装置を用いて薄膜形成対象物に薄膜を形成することを
    特徴とする成膜方法。
  9. 【請求項9】 気相成膜法により薄膜形成対象物に薄膜
    を形成する成膜方法であって、 成膜の際、前記薄膜形成対象物に形成された薄膜におけ
    る所定の時間における第1の波長の光の反射率または透
    過率を検出し、その検出値を目標値に設定し、前記所定
    の時間から所定期間経過後において前記第1の波長より
    長い第2の波長の光の反射率または透過率が前記目標値
    に達するように成膜速度を調整する制御を複数回繰り返
    し行うことを特徴とする成膜方法。
  10. 【請求項10】 前記所定期間Tsを下記式から求める
    請求項9に記載の成膜方法。 Ts=Df(Ll/Ls−1)/Vf 但し、Dfは前記所定の時間における薄膜の膜厚、Ls
    は第1の波長、Llは第2の波長、Vfは目標の成膜速
    度である。
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