JP2001181784A - 動力伝達部品および駆動装置 - Google Patents

動力伝達部品および駆動装置

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JP2001181784A
JP2001181784A JP36080199A JP36080199A JP2001181784A JP 2001181784 A JP2001181784 A JP 2001181784A JP 36080199 A JP36080199 A JP 36080199A JP 36080199 A JP36080199 A JP 36080199A JP 2001181784 A JP2001181784 A JP 2001181784A
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Kikuo Maeda
喜久男 前田
Yukio Fujii
幸生 藤井
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラクションドライブのこま部やCVT装置
のプーリ部、カム駆動装置のカムなどのように、用途
上、大きなすべりを伴う動力伝達部品に表面損傷が生じ
難く、かつ長い耐久寿命を確保できる仕様を提供する。 【解決手段】 上記転動部品を、少なくとも合金元素と
して質量%で、Siを0.3%以上で3.0%以下含有
し、かつ、Niを0.1%以上で3.0%以下、Mnを
0.2%以上で1.5%以下、Crを0.3%以上で
5.0%以下含有する鋼材で形成し、その表面硬さをロ
ックウェル硬さHRC58以上とすることにより、転動
疲労特性と耐ピーリング、耐スミアリング損傷性に優れ
たものとし、高すべり条件下で使用される動力伝達部品
の耐久寿命を延長したのである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トラクションド
ライブのこま部やCVT(Continuously Variable Tran
smission)装置のプーリ部、カム駆動装置のカムなどの
ように、用途上、すべりを伴いながら動力を伝達する部
品およびそれらから構成された駆動装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】トラクションドライブやCVTのように
ころがりあるいはころがりすべりにより動力を伝達する
装置が高能率化のために採用される機運にある。これら
の摩擦駆動、動力伝達装置の動力伝達部である、こまや
プーリなどの転動部品には、その機構上、表面に接線力
やすべりが作用する。これまではこれらの部品には軸受
鋼や浸炭鋼などの軸受用鋼が転動疲労特性に優れる理由
から用いられてきた。
【0003】しかし、一層の高能率化のためには、今後
更にすべりや接線力が増加し、かつ表面温度も上昇する
ことが考えられ、この場合には、通常の軸受用鋼ではピ
ーリングやスミアリングという表面損傷が生じやすく、
この発生強度がその製品機能を左右すると考えられる。
言い換えれば、耐表面損傷特性に優れる材料開発が必要
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ころ
がりすべりにより動力を伝達する装置では、これらの摩
擦駆動部品、動力伝達部品には、その機構上、絶えず接
線力やすべりが作用する。これにより表面が高温になっ
たり、トラクション油や潤滑油がせん断発熱し、油膜が
薄くなる結果、ピーリングやスミアリング等の表面損傷
が問題になる。また、接線力が作用する条件での転動疲
労のため、材料の塑性流れが生じたりすることも考えら
れ、その場合には更にピーリング発生が加速されたり、
本来の転動疲労寿命が短くなる現象も現れる。
【0005】そこで、この発明の課題は、高接線力、高
すべり条件下でも表面損傷が生じ難く、かつ高温となる
雰囲気条件化でも長い耐久寿命を確保できる摩擦駆動、
動力伝達装置の動力伝達部品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明の動力伝達部品は、少なくとも合金元素
として質量%で、C(炭素)を0.6%以上1.3%以
下、Si(シリコン)を0.3%以上3.0%以下、N
i(ニッケル)を0.1%以上3.0%以下、Mn(マ
ンガン)を0.2%以上1.5%以下、Cr(クロム)
を0.3%以上5.0%以下含有する鋼材で形成され、
高温での軟化抵抗性を与えられるとともに、表面硬さを
ロックウェル硬さHRC58以上とした構成を有してい
る。
【0007】この発明では、上述のような合金組成とす
ることにより、局部的に大きな温度上昇が生じても、表
面の軟化が防止され、耐表面損傷強度が向上するととも
に、転動寿命にも優れた動力伝達用の転動部品を得るこ
とができる。以下、各合金元素の含有量について説明す
る。
【0008】Siを0.3%以上3.0%以下含有させ
たのは、Siには、高温にさらされた場合の軟化を抑制
し、耐熱性を改善する作用があるためである。Si含有
量が0.3%未満ではその効果が得られないため、下限
を0.3%とした。またSi含有量の増加に伴って耐熱
性は向上するが、Siが3.0%を越えて多量に含有さ
れると、その効果は飽和し、かつ、熱間加工性や被削性
が低下するので、上限を3.0%とした。
【0009】Niを0.1%以上3.0%以下で含有さ
せたのは、以下の理由による。Niは、鋼中に固溶して
マトリックスを強化するとともに、特に部品が高温下で
使用された場合に、転動疲労過程における組織の変化を
抑制し、かつ高温域での硬さの低下も抑制する。したが
って、Niは高温環境下での転動疲労特性と耐表面損傷
性を向上させる効果を有する。これらの効果を得るため
には、Niを0.1%以上含有させる必要があるので、
Niを添加する場合の下限を0.1%とした。しかし、
3.0%を越えてNiを含有させると、焼き入れ処理時
に多量の残留オーステナイトが生成されて、所定の硬さ
を得られなくなり、また鋼材コストも高価になるので、
上限を3.0%とした。
【0010】MnとCrは、いずれも鋼材の焼入れ性を
改善し、Mnは鋼中に固溶して鋼を強靱化し、Crは炭
化物を形成して鋼を強化する。Mn含有量の下限を0.
2%、Cr含有量の下限を0.3%としたのは、これら
の効果を得るためである。また、Mn含有量の上限を
1.5%としたのは被削性の低下を避けるためであり、
Cr含有量の上限を5.0%としたのは大形の炭化物の
生成による脆化を防止するためである。これらの元素は
また、転動寿命特性を向上させることが明らかになって
いる。
【0011】これらの合金成分の作用で、局部的に大き
な温度上昇が生じても、表面の軟化が防止され、耐表面
損傷強度が向上するとともに、転動寿命にも優れた動力
伝達用の転動部品材質にすることが出来るが、さらに、
以下の量のV(バナジウム)やMo(モリブデン)の添
加により一層の特性向上が図れる。
【0012】Vは、炭素と結合して微細な炭化物を析出
させ、結晶粒を微細化して強度、靱性を改善するととも
に、高温での軟化を抑制する。したがって、上述したN
iと同様に、Vは高温環境下での転動疲労特性と耐表面
損傷性を向上させる効果を有する。この効果を得るため
に、V含有量の下限を0.05%とした。上限を1.0
%としたのは、1.0%を越えてVを多量に含有させる
と、被削性と熱間加工性が低下するからである。
【0013】Moは、鋼の焼入れ性を改善するととも
に、焼戻し脆性を防止し、さらに高温域での軟化も抑制
する。したがって、Moも高温環境下での転動疲労特性
と耐表面損傷性を向上させる効果を有する。この効果を
得るために、Mo含有量の下限を0.05%とした。M
o含有量を0.25%以上にすると被削性が低下し、か
つ鋼材コストも上昇するので、上限を0.25%未満と
した。
【0014】上述した各合金元素の働きで、軸受が高温
にさらされることを想定し、予め高温の焼戻し処理を施
されても、その表面硬さをロックウェル硬さHRC58
以上とすることにより、前記ピーリングやスミアリング
等の表面損傷の発生を防止することができる。
【0015】前記の転動部品の表層に浸炭窒化層を形成
し、この浸炭窒化層中の残留オーステナイト量(つま
り、浸炭窒化層に対する残留オーステナイト量)を10
体積%以上とすることにより、表面層に高い靱性を付与
して、亀裂の発生や進展を抑え、耐ピーリング特性や耐
久寿命をさらに延ばすことができる。
【0016】すなわち、浸炭窒化処理で表面層の窒素含
有量を高めると、表面層のMs点(マルテンサイト変態
開始温度)が低くなり、これを焼き入れすると、表面層
に未変態のオーステナイトが多く残留する。残留オース
テナイトは、高い靱性と加工硬化特性を有し、亀裂の発
生や進展を抑える働きをする。また、Ms点が低下した
表面層は、マルテンサイト変態が内部よりも遅れて始ま
るので、表面層には圧縮の残留応力が形成され、表面層
の疲労強度が向上する結果、ピーリング強度や転動寿命
が向上する。浸炭窒化層の残留オーステナイト量を10
体積%以上としたのは、これらの効果を得るためであ
る。また、浸炭窒化による窒素の侵入は耐熱性の付与の
点でも有利であり、耐スミアリング特性も向上する。
【0017】更に接線力(引張応力)が作用する条件で
の表面損傷に及ぼす圧縮応力の好影響を加えるため、構
成部品を高周波焼入れし、表面層に圧縮応力を形成する
ことで表面起点型の損傷の発生を防止し、転動寿命に加
え、耐ピーリング強度、耐スミアリング強度を向上でき
る。この場合、表面層に高周波焼入れ組織が生ずる。
【0018】上記の動力伝達部品は、遊星コーン型動力
伝達装置、コーン型CVT装置、およびトロイダル型C
VT装置のいずれかとして用いられることが好ましい。
このような過酷な摺動条件が要求される動力伝達装置に
対して本発明の動力伝達部品は好適である。
【0019】また上記の動力伝達部品により入力軸の動
力を出力軸に伝達できる駆動装置を構成することによ
り、良好な転動寿命、耐ピーリング強度および耐スミア
リング強度を有する駆動装置を得ることができる。
【0020】
【実施例】(本発明例)まず表1に示す11種類の化学
成分を有する鋼を素材として、後述の各処理を施した転
動寿命、ピーリング、スミアリング強度評価用の本発明
例の試験片(本発明例1〜11)を用意した。本発明例
1〜6の試験片は焼入れ焼戻し処理を施したものとし、
本発明例7〜10の試験片は浸炭窒化処理を施した試験
片とし、本発明例11の試験片は高周波焼入れしたもの
とした。
【0021】
【表1】
【0022】浸炭窒化しない試験片(本発明例1〜6,
11)の熱処理については、840℃〜860℃に加熱
したのち油浴中へ焼入れし、HRC58以上を得るよう
に350℃までの温度で焼戻しを行なった。また、浸炭
窒化した試験片(本発明例7〜10)では、焼入れ前の
加熱をアンモニアガスが添加された浸炭性雰囲気中で行
い、浸炭窒化処理も施した。浸炭窒化処理を施したもの
については、焼戻し温度を230℃とした。高周波焼入
れ試験片(本発明例11)は表面下1mm深さまで硬化
させ、表層がHRC58以上を確保できる焼戻を行なっ
た。 (比較例)また表1に示すように7種類の化学成分を有
する鋼を素材として、上記と同様の条件での焼入れ焼戻
し処理や浸炭窒化処理を施した試験片(比較例1〜7)
を準備した。比較例1〜4として、高炭素クロム軸受鋼
SUJ2、SUJ3および本発明の化学成分範囲を外れ
る2種類の化学成分を有する鋼を焼入れ焼戻し処理した
試験片を用意した。また比較例5〜7として、SUJ2
を素材として浸炭窒化処理も施した試験片も用意した。
【0023】上記本発明例および比較例の試験片サンプ
ルについて、転動寿命試験、ピーリング試験、スミアリ
ング試験を実施した。各試験の概要と結果は以下の通り
である。
【0024】(1) 転動疲労試験 転動疲労試験は、高面圧、高負荷速度の条件で、加速的
にサンプルを疲労させて評価した。以下の表2に示す試
験条件で試験を行った。この試験では、サンプル数Nを
10とし、疲労強度をL10寿命(サンプルの90%が
破損しないで使える負荷回数)で評価した。この試験結
果を表3に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】比較例1および3については、高温の30
0℃で焼戻したものと通常の180℃で焼戻したものと
を用意した。比較例の300℃焼戻し品では著しく寿命
が低下するが、さらに高温の350℃で焼戻した本発明
例1〜6は、180℃の低温で焼戻した比較例1〜4
や、浸炭窒化処理後180℃焼戻しした比較例5〜7よ
りも寿命が長い。300℃で焼戻しした比較例1および
3は更に短寿命であり、今回の本発明例との差が更に大
きい。浸炭窒化処理した本発明例7〜10は230℃焼
戻しで10%以上の残留オーステナイトを確保し、かつ
硬度も高いことから、上記の本発明例1〜6よりさらに
長寿命になる傾向がある。本発明例11の高周波焼入品
は本発明例1の素材を用い、高周波焼入しているが、本
発明例1より長寿命である。
【0028】(2) ピーリング試験 ピーリング試験は、円筒部に緩やかな曲率を有するリン
グ状の試験片を駆動軸と、この駆動軸に平行な従動軸と
に取り付け、両試験片の円筒面を互いに押し当てて転動
させて行なった。各試験片の寸法は、直径40mm、高
さ12mm、円筒部の副曲率半径60mmとし、駆動軸
側試験片の円筒面はRmax 3μmの粗さに研削仕上げ、
従動軸側試験片の円筒面は鏡面仕上げされた。ピーリン
グ強度については、試験終了時の従動軸側試験片円筒面
のピーリング発生面積率で評価した。以下の表4に示す
試験条件でピーリング試験を行った。なお、駆動軸側お
よび従動軸側の両試験片は、同種のサンプルのものをペ
アとして用いた。
【0029】
【表4】
【0030】試験結果を表3に併せて示す。本発明例の
試験片は、いずれもピーリング発生面積率が3%以下で
あり、優れたピーリング強度を示す。更に高周波焼入れ
によりピーリング発生率は少なくなっている。比較例の
各試験片は、標準熱処理品では本発明例の3倍以上の大
きなピーリング発生面積率になっている。
【0031】比較例のものも浸炭窒化によりピーリング
強度は向上しているが、本発明例の浸炭窒化なしのもの
には及ばない。
【0032】(3) スミアリング試験 スミアリング試験は、ピーリング試験と同じ装置を用い
て、ピーリング試験と同一形状の2つのリング状試験片
を同様に転動させて行なった。この試験の場合には、従
動軸は一定速度で回転駆動され、駆動軸は従動軸と等速
回転から徐々に増速される点が異なる。また、従動軸側
試験片の円筒面が駆動軸側試験片と同じ表面粗さRmax
3μmに仕上げられる点も異なる。スミアリング強度
は、試験片の円筒面にスミアリングが発生した時点の駆
動軸と従動軸の速度比で評価した。以下の表5に示す試
験条件でスミアリング試験を行った。なお、この試験に
おいても、摺動されるペアの試験片は同種のサンプルの
ものとした。
【0033】
【表5】
【0034】試験結果を表3に併せて示す。本発明例の
試験片は、比較例1に対して、いずれも1.4倍以上の
大きな速度比までスミアリングが発生しない。高周波焼
入れしたものでは、更にスミアリング強度が向上してい
る。比較例の各試験片は、高温焼戻すると本発明例の半
分程度の速度差でスミアリングが発生している。
【0035】比較例でも浸炭窒化すると若干スミアリン
グ強度は向上するが、本発明例には及ばない。
【0036】以上の各試験結果より、本発明例のもの
は、ピーリングやスミアリングが生じ難く、かつ優れた
転動疲労特性を示し、表面損傷が生じ易いすべりや接線
力を伴う転動部品に適した性能を有することがわかるこ
のような優れた性能を有する本発明の合金を、遊星コー
ン型動力伝達装置、コーン型CVT装置、またはトロイ
ダル型CVT装置に適用した場合について以下に説明す
る。
【0037】(a) 遊星コーン型動力伝達装置 図1は、遊星コーン型動力伝達装置の構成を概略的に示
す一部断面斜視図である。図1を参照して、入力軸1に
嵌合された太陽コーン6は、これに圧接している数個の
遊星コーン3を伝動回転(自転)させる。遊星コーン3
は、他方の円錐面を固定されたリング5の内周面にそれ
ぞれ圧接し、リング5の内周面を自転しながら公転運動
する。この公転速度が遊星コーンホルダ4により自動調
圧機構7を経て出力軸2に伝えられる。
【0038】この際、たとえばハンドル操作によりリン
グ5が遊星コーン3の円錐面に沿って移動する。これに
より、遊星コーン3のリング5に対する接触有効径が変
化し、それだけ遊星コーン3の公転速度が変化して、出
力軸2の回転速度が入力軸1の回転速度に対して無段階
に変化する。
【0039】このような遊星コーン型動力伝達装置にお
いて、たとえば遊星コーン3やリング5や太陽コーン6
に、上記した本発明例の鋼材が用いられる。
【0040】(b) コーン型CVT装置 図2は、コーン型CVT装置の構成を概略的に示す断面
図である。図2を参照して、入力軸11に固定されたリ
ング15は、その内周面にてダブルコーン13に圧接さ
れる。ダブルコーン13は、キャリア14に支持され、
リング15の内周面を自転しながら公転運動することで
ドライブコーン16を伝動回転させる。このドライブコ
ーン16の回転により回転駆動力が出力軸12に伝えら
れる。
【0041】このコーン型CVT装置においては、キャ
リア14が移動することにより、ダブルコーン13のリ
ング15に対する接触有効径が変化し、それだけダブル
コーン13の公転速度が変化する。これにより、出力軸
12の回転速度が入力軸11の回転速度に対して無段階
に変化する。
【0042】このようなコーン型CVT装置において、
たとえばダブルコーン13やリング15やドライブコー
ン16に、上述した本発明例の鋼材が用いられる。
【0043】(c) トロイダル型CVT装置 図3は、トロイダル型CVT装置の構成を概略的に示す
断面図である。図3を参照して、入力軸21のトルクは
ローリングカムおよびカムローラを経て入力ディスク2
2に伝えられる。入力ディスク22に伝えられたトルク
は、さらにパワーローラ23を介して出力ディスク24
へと伝達される。出力ディスク24は入力軸21には繋
がっていないため入力軸21を軸にした空回りをする。
これにより、出力ディスク24に固定された歯車25が
回転し、この歯車25の歯車部25aを介して他の歯車
部にトルクが伝達され、たとえば出力軸に出力される。
【0044】このトロイダル型CVT装置においては、
パワーローラ23の傾きによって駆動力伝達時の変速比
が決定する。すなわち、変速比は、(出力ディスク24
とパワーローラ23との接触部における出力ディスクの
回転半径)÷(入力ディスク22とパワーローラ23と
の接触部における入力ディスク22の回転半径)により
決まる。このようにパワーローラ23の傾きを連続的に
変化させることにより、無段階の変速比を得ることがで
きる。
【0045】このようなトロイダル型CVT装置におい
て、たとえば入力ディスク22やパワーローラ23や出
力ディスク24に、上述した本発明例の鋼材が用いられ
る。
【0046】なお、本発明の動力伝達部品およびそれを
用いた駆動装置は、上記した図1〜図3の構成のものに
限られず、広くすべりを伴いながら転動する動力伝達部
品およびそれを用いた駆動装置である。
【0047】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0048】
【発明の効果】以上のように、この発明は、トラクショ
ンドライブのこま部やCVT装置のプーリ部、カム駆動
装置のカムなどのように、用途上、大きなすべりを伴う
動力伝達部品を、少なくとも合金元素として質量%で、
Cを0.6%以上1.3%以下、Siを0.3%以上
3.0%以下、Niを0.1%以上3.0%以下、Mn
を0.2%以上1.5%以下、Crを0.3%以上5.
0%以下含有する鋼材で形成し、その表面硬さをロック
ウェル硬さHRC58以上としたので、転動疲労特性と
耐表面損傷性に優れたものとし、高接線力、高すべり条
件下で使用される上記転動部品の耐久寿命を延長、信頼
性を向上することができる。
【0049】また、合金元素として質量%で、Vを0.
05%以上で1.0%以下、Moを0.05%以上で
0.25%添加することにより、前記転動疲労特性と耐
表面損傷性をさらに向上させることができる。
【0050】更には表層に浸炭窒化層を形成し、この浸
炭窒化層の残留オーステナイト量を10体積%以上とす
ることにより、表面層に高い靱性を付与して、亀裂の発
生や進展を抑え、耐久寿命をさらに延ばすことができ
る。また、高周波焼入れを組み合わせ、表面層に圧縮応
力を作ることで、更に長寿命の材質にすることが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 遊星コーン型の動力伝達装置の一部断面斜視
図である。
【図2】 コーン型CVT装置の構成を概略的に示す断
面図である。
【図3】 トロイダル型CVT装置の構成を概略的に示
す断面図である。
【符号の説明】
3 遊星コーン、5,15 リング、6 太陽コーン、
13 ダブルコーン、16 ドライブコーン、22 入
力ディスク、23 パワーローラ、24 出力ディス
ク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 15/52 F16H 15/52 B A Fターム(参考) 3J051 AA03 BA03 BA05 BB01 BB04 BC03 BD02 BE02 BE09 CA05 EC03 EC04 EC08 FA01 3J101 AA01 BA10 BA50 BA70 DA02 DA03 EA02 FA31 GA11 4K028 AA03 AB01 AB06 AC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも合金元素として質量%で、C
    を0.6%以上1.3%以下、Siを0.3%以上3.
    0%以下、Niを0.1%以上3.0%以下、Mnを
    0.2%以上1.5%以下、Crを0.3%以上5.0
    %以下含有する鋼材で形成され、表面硬さがロックウェ
    ル硬さHRC58以上であることを特徴とする、動力伝
    達部品。
  2. 【請求項2】 前記鋼材に、合金元素として質量%で、
    Vを0.05%以上1.0%以下、Moを0.05%以
    上0.25%未満含有する、請求項1に記載の動力伝達
    部品。
  3. 【請求項3】 前記鋼材の表面に浸炭窒化層が形成され
    ており、前記浸炭窒化層中における残留オーステナイト
    量が10体積%以上である、請求項1または2に記載の
    動力伝達部品。
  4. 【請求項4】 表面に高周波焼入れ組織を有する、請求
    項1または2に記載の動力伝達部品。
  5. 【請求項5】 遊星コーン型動力伝達装置、コーン型C
    VT装置およびトロイダル型CVT装置のいずれかに用
    いられる、請求項1〜4のいずれかに記載の動力伝達部
    品。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の動力伝
    達部品により入力軸の動力が出力軸へ伝達される駆動装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006041184A1 (ja) * 2004-10-15 2006-04-20 Jtekt Corporation 転がり、摺動部材、これを用いたトロイダル型無段変速機および転がり、摺動部材の製造方法
JP2007262572A (ja) * 2006-02-28 2007-10-11 Jtekt Corp 転がり摺動部材、及びこれを用いたトロイダル型無段変速機、転がり摺動部材の製造方法
JP2009185321A (ja) * 2008-02-05 2009-08-20 Aichi Steel Works Ltd ベルト式cvt用プーリー

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