JP2004150592A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】入出力側回転ディスクやパワーローラの動力伝達面に剥離現象や割れ等が発生することを抑制して寿命の長いトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4およびパワーローラ9のうち少なくとも1つを、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鉄鋼材料で形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4およびパワーローラ9のうち少なくとも1つを、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鉄鋼材料で形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば自動車の自動変速機として用いられるトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の自動変速機として、図4に示すようなトロイダル型無段変速機を使用することが研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の入力側動力伝達面2aを有する入力側回転ディスク2と、この入力側回転ディスク2と対向する側に軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の出力側動力伝達面4aを有する出力側回転ディスク4と、これら両ディスク2,4の動力伝達面2a,4aに摺接する動力伝達面9aを外周部に有する一対のパワーローラ9,9とを備えており、入力側回転軸1の回転がローディングカム10、入力側回転ディスク2、パワーローラ9および出力側回転ディスク4を介して出力側回転軸3に伝わるようになっている。
【0003】
また、この種のトロイダル型無段変速機は、変位軸8,8を介してパワーローラ9,9を介して支持する一対のトラニオン7,7と、これらのトラニオン7,7を入力側回転ディスク2及び出力側回転ディスク4の軸方向に揺動可能に支持する一対の枢軸6,6とを備えており、枢軸6,6を中心にトラニオン7,7を揺動させ、パワーローラ9,9の動力伝達面9a,9aを図4(a)のように入力側回転ディスク2の中心寄り部分と出力側回転ディスク4の外周寄り部分とに変位させると入力側回転軸1の回転が出力側回転軸3に減速されて伝わり、逆にパワーローラ9,9の動力伝達面9a,9aを図4(b)のように入力側回転ディスク2の外周寄り部分と出力側回転ディスク4の中心寄り部分とに変位させると入力側回転軸1の回転が出力側回転軸3に増速されて伝わるようになっている。
【0004】
このようなトロイダル型無段変速機の入力側回転ディスク2及び出力側回転ディスク4の動力伝達面2a,4aはパワーローラ9の動力伝達面9aとトラクションオイルを介して接触しているが、動力伝達面2a,4aと動力伝達面9aとの接触部には運転時に高い圧力が加わる。このため、トラクションオイルがガラス状に遷移(液体から固体に変化)することがあり、このような状態になると動力伝達面2a,4a,9aに接線方向の引張応力が発生すると共に動力伝達面2a,4aと動力伝達面9aとの接触部に摩擦熱が発生することによって、動力伝達面2a,4a,9aに剥離や転がり疲労割れ等が発生し易くなる。そこで、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4及びパワーローラ9の各素材に浸炭窒化処理を施すことによって、剥離や転がり疲労割れの発生を抑制するようにしたものが下記の特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−71555号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術では、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4及びパワーローラ9の各素材がSCr420などの浸炭鋼である場合には、浸炭窒化処理に長時間を要し、熱処理コストを上昇させるという問題がある。一方、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4及びパワーローラ9の各素材が高炭素クロム鋼である場合には、浸炭窒化処理に長時間を要することはないが、靭性が劣り、割れ強度に問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、入出力側回転ディスクやパワーローラの動力伝達面に剥離現象や割れ等が発生することを抑制して寿命の長いトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の入力側動力伝達面を有する入力側回転ディスクと、この入力側回転ディスクと対向する側に軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の出力側動力伝達面を有する出力側回転ディスクと、前記入力側動力伝達面および前記出力側動力伝達面に摺接する動力伝達面を外周部に有する複数のパワーローラとを備えたトロイダル型無段変速機において、前記入力側回転ディスク、前記出力側回転ディスクおよび前記パワーローラのうち少なくとも1つを、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鉄鋼材料で形成したことを特徴とする。
【0009】
前述したように、高炭素クロム鋼のマルテンサイト組織では靭性が劣ることから、割れ強度に問題がある。しかしながら、高炭素クロム鋼にオーステンパ処理を施すことにより、マルテンサイト組織よりも靭性の高いベイナイト組織が得られる。この場合、オーステンパ処理により得られたベイナイト組織は、硬さがマルテンサイト組織よりも低いため、剥離寿命、特に高温での剥離寿命が大きく低下してしまう。この問題を解決するため、本発明では、オーステンパ処理前に浸炭窒化処理を施す。これにより、炭素や窒素がマトリックスであるベイナイト組織中に固溶し、焼戻し軟化抵抗性を向上させ、硬さ低下を防ぐのである。このことにより、表面は転がり疲労に必要な硬さを得ることができ、芯部は割れ強度に必要な靭性を得ることができる。
【0010】
本発明において、炭素(C)を0.8〜1.4重量%、ケイ素(Si)を0.4〜1.8重量%、マンガン(Mo)を0.3〜1.8重量%、クロム(Cr)を0.8〜2.0重量%、モリブデン(Mo)を1.0重量%以下とした理由は、以下の理由によるものである。
C:0.8〜1.4重量%
炭素は、前述した入出力側回転ディスクやパワーローラの表層部および芯部の硬さを確保するのに寄与する元素であって、短時間の浸炭窒化処理時間で必要な強度が得られるため、その含有量を0.8重量%以上とした。しかし、含有量が多すぎると被削性が低下すると共に靭性の劣化を招くので、上限を1.4重量%以下とした。
【0011】
Si:0.4〜1.8重量%
Siは焼戻し軟化抵抗性を著しく向上させることのできる合金元素であり、その含有量を0.4重量%以上とすることで、焼戻し軟化抵抗性が著しく向上する。しかし、含有量が1.8重量%を超えると、浸炭窒化処理時に炭素や窒素の拡散が阻害されやすくなり、所定の浸炭深さを得ることが困難になる。従って、0.4〜1.8重量%の範囲でSiを添加することが望ましい。
【0012】
Mn:0.3〜l.8重量%
Mnは、鋼材の溶製時に脱酸剤として添加されると共に鋼の焼入性を向上させる作用を有する。焼入性を向上させるためには、Mnを0.3重量%以上添加する必要があるが、多すぎると被削性を著しく劣化させるので、1.8重量%を上限とすることが望ましい。
【0013】
Cr:0.8〜2.0重量%
Crは浸炭窒化処理時に炭化物や炭窒化物の析出量を増加させる元素であり、0.8重量%以上添加することで、炭化物や炭窒化物の析出量が増加し、表層部の硬さを高め、転動疲労寿命を向上させる。ただし、2.0重量%を超えてMnを添加すると被削性を著しく低下させてしまうので、Crの含有量を0.8〜2.0重量%とした。
【0014】
Mo:1.0重量%以下
Moは、Siと同様に焼戻し軟化抵抗性を向上させることのできる合金元素である。微量の添加で上記の効果を得られるが、温度上昇時の焼戻し軟化をより確実に防ぐためには、望ましくは0.3重量%以上とするのがよい。しかし、1.0重量%を超えてMoを添加しても、その効果は大きく変わらない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部を示す断面図である。同図に示されるように、本発明の一実施形態に係るトロイダル型無段変速機は、軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の入力側動力伝達面2aを有する入力側回転ディスク2と、この入力側回転ディスク2と対向する側に軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の出力側動力伝達面4aを有する出力側回転ディスク4と、これら両ディスク2,4の動力伝達面2a,4aに摺接する動力伝達面9aを外周部に有する一対のパワーローラ9,9とを備えており、入力側回転軸1の回転がローディングカム10、入力側回転ディスク2、パワーローラ9、出力側回転ディスク4および出力側回転軸3を介して出力歯車12に伝わるようになっている。
【0016】
また、本実施形態に係るトロイダル型無段変速機は、パワーローラ9,9を回転自在に支持する一対の変位軸8,8と、これらの変位軸8,8を入力側回転ディスク2及び出力側回転ディスク4の軸方向に揺動可能に支持する一対のトラニオン7,7と、これらのトラニオン7,7とパワーローラ9,9との間に設けられパワーローラ9,9に加わるスラスト方向の荷重を支承するスラスト玉軸受14,14とを備えており、枢軸6,6を中心にトラニオン7,7を揺動させ、パワーローラ9,9の動力伝達面9a,9aを入力側回転ディスク2の中心寄り部分と出力側回転ディスク4の外周寄り部分とに変位させると入力側回転軸1の回転が出力側回転軸3に減速されて伝わり、逆にパワーローラ9,9の動力伝達面9a,9aを入力側回転ディスク2の外周寄り部分と出力側回転ディスク4の中心寄り部分とに変位させると入力側回転軸1の回転が出力側回転軸3に増速されて伝わるようになっている。
【0017】
前記入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4、パワーローラ9およびスラスト玉軸受14の外輪16は、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを少なくとも含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鋼で形成されている。
【0018】
このような構成において、本発明者らは、表1に示す材料のいずれか1種を使用して、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4およびパワーローラ9を作製した。
【0019】
【表1】
【0020】
そして、表1の材料A〜Hのいずれかで作製された入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4およびパワーローラ9に対して図2に示す熱処理すなわち820〜880℃のRxガス、エンリッチガスおよびアンモニア(NH3)ガス雰囲気で2〜5時間熱処理(浸炭窒化処理)を行った後、210〜250℃の温度で4〜8hr保持した(オーステンパ処理)。その後、研磨などの仕上げ加工を行い、トロイダル型無段変速機を組み立て、組み立てられたトロイダル型無段変速機を使用して、以下の条件でトロイダル型無段変速機の寿命試験を行った。
試験条件
回転速度 3000min−1
入力トルク 35ONm
潤滑油 トラクション油
油温 120℃
なお、試験は入力側回転ディスク2の動力伝達面2aまたは出力側回転ディスク4の動力伝達面4aまたはパワーローラ9の動力伝達面9aに剥離が生じるまで試験を行った。表2に、上記の試験結果を示す。
【0021】
【表2】
【0022】
表2において、実施例1は表1の材料A(C:1.01重量%、Si:0.99重量%、Mn:0.41重量%、Cr:1.50重量%、Mo:0.30重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この実施例1では試験を開始してから341時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。実施例2は実施例1と同様に表1の材料Aを使用して作製されたものであり、この実施例2では試験を開始してから303時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。
【0023】
実施例3は表1の材料B(C:0.95重量%、Si:1.61重量%、Mn:1.52重量%、Cr:0.80重量%、Mo:0.91重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この実施例3では試験を開始してから332時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。実施例4は実施例3と同様に表1の材料Bを使用して作製されたものであり、この実施例4では試験を開始してから311時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。
【0024】
一方、比較例1は表1の材料C(C:0.75重量%、Si:1.21重量%、Mn:1.43重量%、Cr:1.51重量%、Mo:0.42重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例1では試験を開始してから83時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。比較例2は表1の材料D(C:0.98重量%、Si:0.38重量%、Mn:1.42重量%、Cr:1.50重量%、Mo:0.41重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例2では試験を開始してから76時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。比較例3は表1の材料E(C:0.99重量%、Si:1.82重量%、Mn:1.38重量%、Cr:1.49重量%、Mo:0.43重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例3では試験を開始してから89時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。
【0025】
比較例4は表1の材料F(C:1.00重量%、Si:1.01重量%、Mn:0.28重量%、Cr:1.52重量%、Mo:0.31重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例4では試験を開始してから64時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。比較例5は表1の材料G(C:0.98重量%、Si:0.99重量%、Mn:0.40重量%、Cr:0.78重量%、Mo:0.32重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例5では試験を開始してから98時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。比較例6は表1の材料H(C:1.00重量%、Si:1.00重量%、Mn:0.42重量%、Cr:1.48重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例6では試験を開始してから78時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。
【0026】
比較例7は、実施例3及び4と同様に表1の材料Bを使用して作製されたものであるが、図3に示す熱処理を行って作製されたものである。この比較例7では、試験を開始してから53時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。
比較例8は、実施例1及び2と同様に表1の材料Aを使用して作製されたものであるが、浸炭窒化処理後、焼入れ焼戻しを行って作製されたものである。この比較例8では、試験を開始してから183時間で出力側回転ディスクに割れが発生した。
【0027】
表2に示されるように、実施例1〜4においては、良好な寿命を示している。これに対し、化学成分が本発明を満足しない比較例1〜6は、実施例1〜4と比較して耐久性に劣っている。
マルテンサイト組織である比較例8では、ディスク割れが発生した。ベイナイト組織に比べ靭性に劣っているため、表面近傍で発生したき裂が成長し、最終的に割れに至ったものである。
【0028】
表2に示した試験結果から明らかなように、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4およびパワーローラ9を0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを少なくとも含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鋼で形成することによって、マルテンサイト組織よりも靭性の高いベイナイト組織中に炭素や窒素が浸炭窒化により固溶するため、焼戻し軟化抵抗性が向上し、転がり疲労に必要な硬さを得ることができる。従って、入出力側回転ディスクやパワーローラの動力伝達面に剥離現象や割れ等が発生することを防止することができる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上述した実施の形態では入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4、パワーローラ9およびスラスト玉軸受14の外輪16を、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを少なくとも含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鋼で形成したが、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4、パワーローラ9および外輪16のうち少なくとも1つを上記のような鋼で形成してもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るトロイダル型無段変速機は、入力側回転ディスク、出力側回転ディスクおよびパワーローラのうち少なくとも1つを、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鉄鋼材料で形成したことにより、マルテンサイト組織よりも靭性の高いベイナイト組織中に炭素や窒素が浸炭窒化により固溶するため、焼戻し軟化抵抗性が向上し、転がり疲労に必要な硬さを得ることができる。従って、入出力側回転ディスクやパワーローラの動力伝達面に剥離現象や割れ等が発生することを防止でき、高靭性を持った安価で長寿命なトロイダル型無段変速機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトロイダル型無段変速機の軸方向断面図である。
【図2】表1に示す実施例1〜6の熱処理工程を示す図である。
【図3】表2に示す比較例7の熱処理工程を示す図である。
【図4】従来のトロイダル型無段変速機を示す図である。
【符号の説明】
1 入力側回転軸
2 入力側回転ディスク
2a 入力側動力伝達面
3 出力側回転軸
4 出力側回転ディスク
4a 出力側動力伝達面
6 枢軸
7 トラニオン
8 変位軸
9 パワーローラ
9a 動力伝達面
10 ローディングカム
14 スラスト玉軸受
16 外輪
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば自動車の自動変速機として用いられるトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の自動変速機として、図4に示すようなトロイダル型無段変速機を使用することが研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の入力側動力伝達面2aを有する入力側回転ディスク2と、この入力側回転ディスク2と対向する側に軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の出力側動力伝達面4aを有する出力側回転ディスク4と、これら両ディスク2,4の動力伝達面2a,4aに摺接する動力伝達面9aを外周部に有する一対のパワーローラ9,9とを備えており、入力側回転軸1の回転がローディングカム10、入力側回転ディスク2、パワーローラ9および出力側回転ディスク4を介して出力側回転軸3に伝わるようになっている。
【0003】
また、この種のトロイダル型無段変速機は、変位軸8,8を介してパワーローラ9,9を介して支持する一対のトラニオン7,7と、これらのトラニオン7,7を入力側回転ディスク2及び出力側回転ディスク4の軸方向に揺動可能に支持する一対の枢軸6,6とを備えており、枢軸6,6を中心にトラニオン7,7を揺動させ、パワーローラ9,9の動力伝達面9a,9aを図4(a)のように入力側回転ディスク2の中心寄り部分と出力側回転ディスク4の外周寄り部分とに変位させると入力側回転軸1の回転が出力側回転軸3に減速されて伝わり、逆にパワーローラ9,9の動力伝達面9a,9aを図4(b)のように入力側回転ディスク2の外周寄り部分と出力側回転ディスク4の中心寄り部分とに変位させると入力側回転軸1の回転が出力側回転軸3に増速されて伝わるようになっている。
【0004】
このようなトロイダル型無段変速機の入力側回転ディスク2及び出力側回転ディスク4の動力伝達面2a,4aはパワーローラ9の動力伝達面9aとトラクションオイルを介して接触しているが、動力伝達面2a,4aと動力伝達面9aとの接触部には運転時に高い圧力が加わる。このため、トラクションオイルがガラス状に遷移(液体から固体に変化)することがあり、このような状態になると動力伝達面2a,4a,9aに接線方向の引張応力が発生すると共に動力伝達面2a,4aと動力伝達面9aとの接触部に摩擦熱が発生することによって、動力伝達面2a,4a,9aに剥離や転がり疲労割れ等が発生し易くなる。そこで、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4及びパワーローラ9の各素材に浸炭窒化処理を施すことによって、剥離や転がり疲労割れの発生を抑制するようにしたものが下記の特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−71555号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術では、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4及びパワーローラ9の各素材がSCr420などの浸炭鋼である場合には、浸炭窒化処理に長時間を要し、熱処理コストを上昇させるという問題がある。一方、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4及びパワーローラ9の各素材が高炭素クロム鋼である場合には、浸炭窒化処理に長時間を要することはないが、靭性が劣り、割れ強度に問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、入出力側回転ディスクやパワーローラの動力伝達面に剥離現象や割れ等が発生することを抑制して寿命の長いトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の入力側動力伝達面を有する入力側回転ディスクと、この入力側回転ディスクと対向する側に軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の出力側動力伝達面を有する出力側回転ディスクと、前記入力側動力伝達面および前記出力側動力伝達面に摺接する動力伝達面を外周部に有する複数のパワーローラとを備えたトロイダル型無段変速機において、前記入力側回転ディスク、前記出力側回転ディスクおよび前記パワーローラのうち少なくとも1つを、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鉄鋼材料で形成したことを特徴とする。
【0009】
前述したように、高炭素クロム鋼のマルテンサイト組織では靭性が劣ることから、割れ強度に問題がある。しかしながら、高炭素クロム鋼にオーステンパ処理を施すことにより、マルテンサイト組織よりも靭性の高いベイナイト組織が得られる。この場合、オーステンパ処理により得られたベイナイト組織は、硬さがマルテンサイト組織よりも低いため、剥離寿命、特に高温での剥離寿命が大きく低下してしまう。この問題を解決するため、本発明では、オーステンパ処理前に浸炭窒化処理を施す。これにより、炭素や窒素がマトリックスであるベイナイト組織中に固溶し、焼戻し軟化抵抗性を向上させ、硬さ低下を防ぐのである。このことにより、表面は転がり疲労に必要な硬さを得ることができ、芯部は割れ強度に必要な靭性を得ることができる。
【0010】
本発明において、炭素(C)を0.8〜1.4重量%、ケイ素(Si)を0.4〜1.8重量%、マンガン(Mo)を0.3〜1.8重量%、クロム(Cr)を0.8〜2.0重量%、モリブデン(Mo)を1.0重量%以下とした理由は、以下の理由によるものである。
C:0.8〜1.4重量%
炭素は、前述した入出力側回転ディスクやパワーローラの表層部および芯部の硬さを確保するのに寄与する元素であって、短時間の浸炭窒化処理時間で必要な強度が得られるため、その含有量を0.8重量%以上とした。しかし、含有量が多すぎると被削性が低下すると共に靭性の劣化を招くので、上限を1.4重量%以下とした。
【0011】
Si:0.4〜1.8重量%
Siは焼戻し軟化抵抗性を著しく向上させることのできる合金元素であり、その含有量を0.4重量%以上とすることで、焼戻し軟化抵抗性が著しく向上する。しかし、含有量が1.8重量%を超えると、浸炭窒化処理時に炭素や窒素の拡散が阻害されやすくなり、所定の浸炭深さを得ることが困難になる。従って、0.4〜1.8重量%の範囲でSiを添加することが望ましい。
【0012】
Mn:0.3〜l.8重量%
Mnは、鋼材の溶製時に脱酸剤として添加されると共に鋼の焼入性を向上させる作用を有する。焼入性を向上させるためには、Mnを0.3重量%以上添加する必要があるが、多すぎると被削性を著しく劣化させるので、1.8重量%を上限とすることが望ましい。
【0013】
Cr:0.8〜2.0重量%
Crは浸炭窒化処理時に炭化物や炭窒化物の析出量を増加させる元素であり、0.8重量%以上添加することで、炭化物や炭窒化物の析出量が増加し、表層部の硬さを高め、転動疲労寿命を向上させる。ただし、2.0重量%を超えてMnを添加すると被削性を著しく低下させてしまうので、Crの含有量を0.8〜2.0重量%とした。
【0014】
Mo:1.0重量%以下
Moは、Siと同様に焼戻し軟化抵抗性を向上させることのできる合金元素である。微量の添加で上記の効果を得られるが、温度上昇時の焼戻し軟化をより確実に防ぐためには、望ましくは0.3重量%以上とするのがよい。しかし、1.0重量%を超えてMoを添加しても、その効果は大きく変わらない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部を示す断面図である。同図に示されるように、本発明の一実施形態に係るトロイダル型無段変速機は、軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の入力側動力伝達面2aを有する入力側回転ディスク2と、この入力側回転ディスク2と対向する側に軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の出力側動力伝達面4aを有する出力側回転ディスク4と、これら両ディスク2,4の動力伝達面2a,4aに摺接する動力伝達面9aを外周部に有する一対のパワーローラ9,9とを備えており、入力側回転軸1の回転がローディングカム10、入力側回転ディスク2、パワーローラ9、出力側回転ディスク4および出力側回転軸3を介して出力歯車12に伝わるようになっている。
【0016】
また、本実施形態に係るトロイダル型無段変速機は、パワーローラ9,9を回転自在に支持する一対の変位軸8,8と、これらの変位軸8,8を入力側回転ディスク2及び出力側回転ディスク4の軸方向に揺動可能に支持する一対のトラニオン7,7と、これらのトラニオン7,7とパワーローラ9,9との間に設けられパワーローラ9,9に加わるスラスト方向の荷重を支承するスラスト玉軸受14,14とを備えており、枢軸6,6を中心にトラニオン7,7を揺動させ、パワーローラ9,9の動力伝達面9a,9aを入力側回転ディスク2の中心寄り部分と出力側回転ディスク4の外周寄り部分とに変位させると入力側回転軸1の回転が出力側回転軸3に減速されて伝わり、逆にパワーローラ9,9の動力伝達面9a,9aを入力側回転ディスク2の外周寄り部分と出力側回転ディスク4の中心寄り部分とに変位させると入力側回転軸1の回転が出力側回転軸3に増速されて伝わるようになっている。
【0017】
前記入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4、パワーローラ9およびスラスト玉軸受14の外輪16は、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを少なくとも含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鋼で形成されている。
【0018】
このような構成において、本発明者らは、表1に示す材料のいずれか1種を使用して、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4およびパワーローラ9を作製した。
【0019】
【表1】
【0020】
そして、表1の材料A〜Hのいずれかで作製された入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4およびパワーローラ9に対して図2に示す熱処理すなわち820〜880℃のRxガス、エンリッチガスおよびアンモニア(NH3)ガス雰囲気で2〜5時間熱処理(浸炭窒化処理)を行った後、210〜250℃の温度で4〜8hr保持した(オーステンパ処理)。その後、研磨などの仕上げ加工を行い、トロイダル型無段変速機を組み立て、組み立てられたトロイダル型無段変速機を使用して、以下の条件でトロイダル型無段変速機の寿命試験を行った。
試験条件
回転速度 3000min−1
入力トルク 35ONm
潤滑油 トラクション油
油温 120℃
なお、試験は入力側回転ディスク2の動力伝達面2aまたは出力側回転ディスク4の動力伝達面4aまたはパワーローラ9の動力伝達面9aに剥離が生じるまで試験を行った。表2に、上記の試験結果を示す。
【0021】
【表2】
【0022】
表2において、実施例1は表1の材料A(C:1.01重量%、Si:0.99重量%、Mn:0.41重量%、Cr:1.50重量%、Mo:0.30重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この実施例1では試験を開始してから341時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。実施例2は実施例1と同様に表1の材料Aを使用して作製されたものであり、この実施例2では試験を開始してから303時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。
【0023】
実施例3は表1の材料B(C:0.95重量%、Si:1.61重量%、Mn:1.52重量%、Cr:0.80重量%、Mo:0.91重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この実施例3では試験を開始してから332時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。実施例4は実施例3と同様に表1の材料Bを使用して作製されたものであり、この実施例4では試験を開始してから311時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。
【0024】
一方、比較例1は表1の材料C(C:0.75重量%、Si:1.21重量%、Mn:1.43重量%、Cr:1.51重量%、Mo:0.42重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例1では試験を開始してから83時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。比較例2は表1の材料D(C:0.98重量%、Si:0.38重量%、Mn:1.42重量%、Cr:1.50重量%、Mo:0.41重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例2では試験を開始してから76時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。比較例3は表1の材料E(C:0.99重量%、Si:1.82重量%、Mn:1.38重量%、Cr:1.49重量%、Mo:0.43重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例3では試験を開始してから89時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。
【0025】
比較例4は表1の材料F(C:1.00重量%、Si:1.01重量%、Mn:0.28重量%、Cr:1.52重量%、Mo:0.31重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例4では試験を開始してから64時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。比較例5は表1の材料G(C:0.98重量%、Si:0.99重量%、Mn:0.40重量%、Cr:0.78重量%、Mo:0.32重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例5では試験を開始してから98時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。比較例6は表1の材料H(C:1.00重量%、Si:1.00重量%、Mn:0.42重量%、Cr:1.48重量%を含む鉄鋼材料)を使用して作製されたものであり、この比較例6では試験を開始してから78時間でパワーローラの動力伝達面に剥離が発生した。
【0026】
比較例7は、実施例3及び4と同様に表1の材料Bを使用して作製されたものであるが、図3に示す熱処理を行って作製されたものである。この比較例7では、試験を開始してから53時間で入出力側回転ディスクの動力伝達面に剥離が発生した。
比較例8は、実施例1及び2と同様に表1の材料Aを使用して作製されたものであるが、浸炭窒化処理後、焼入れ焼戻しを行って作製されたものである。この比較例8では、試験を開始してから183時間で出力側回転ディスクに割れが発生した。
【0027】
表2に示されるように、実施例1〜4においては、良好な寿命を示している。これに対し、化学成分が本発明を満足しない比較例1〜6は、実施例1〜4と比較して耐久性に劣っている。
マルテンサイト組織である比較例8では、ディスク割れが発生した。ベイナイト組織に比べ靭性に劣っているため、表面近傍で発生したき裂が成長し、最終的に割れに至ったものである。
【0028】
表2に示した試験結果から明らかなように、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4およびパワーローラ9を0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを少なくとも含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鋼で形成することによって、マルテンサイト組織よりも靭性の高いベイナイト組織中に炭素や窒素が浸炭窒化により固溶するため、焼戻し軟化抵抗性が向上し、転がり疲労に必要な硬さを得ることができる。従って、入出力側回転ディスクやパワーローラの動力伝達面に剥離現象や割れ等が発生することを防止することができる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上述した実施の形態では入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4、パワーローラ9およびスラスト玉軸受14の外輪16を、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを少なくとも含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鋼で形成したが、入力側回転ディスク2、出力側回転ディスク4、パワーローラ9および外輪16のうち少なくとも1つを上記のような鋼で形成してもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るトロイダル型無段変速機は、入力側回転ディスク、出力側回転ディスクおよびパワーローラのうち少なくとも1つを、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鉄鋼材料で形成したことにより、マルテンサイト組織よりも靭性の高いベイナイト組織中に炭素や窒素が浸炭窒化により固溶するため、焼戻し軟化抵抗性が向上し、転がり疲労に必要な硬さを得ることができる。従って、入出力側回転ディスクやパワーローラの動力伝達面に剥離現象や割れ等が発生することを防止でき、高靭性を持った安価で長寿命なトロイダル型無段変速機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトロイダル型無段変速機の軸方向断面図である。
【図2】表1に示す実施例1〜6の熱処理工程を示す図である。
【図3】表2に示す比較例7の熱処理工程を示す図である。
【図4】従来のトロイダル型無段変速機を示す図である。
【符号の説明】
1 入力側回転軸
2 入力側回転ディスク
2a 入力側動力伝達面
3 出力側回転軸
4 出力側回転ディスク
4a 出力側動力伝達面
6 枢軸
7 トラニオン
8 変位軸
9 パワーローラ
9a 動力伝達面
10 ローディングカム
14 スラスト玉軸受
16 外輪
Claims (1)
- 軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の入力側動力伝達面を有する入力側回転ディスクと、この入力側回転ディスクと対向する側に軸方向に沿って円弧状に湾曲した円環状の出力側動力伝達面を有する出力側回転ディスクと、前記入力側動力伝達面および前記出力側動力伝達面に摺接する動力伝達面を外周部に有する複数のパワーローラとを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記入力側回転ディスク、前記出力側回転ディスクおよび前記パワーローラのうち少なくとも1つを、0.8〜1.4重量%の炭素と、0.4〜1.8重量%のケイ素と、0.3〜1.8重量%のマンガンと、0.8〜2.0重量%のクロムと、1.0重量%以下のモリブデンとを含み、且つ浸炭窒化処理後にオーステンパ処理が施された鉄鋼材料で形成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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