JP2001179105A - 軽質炭化水素油を水素化脱硫異性化するための触媒およびその製造方法 - Google Patents

軽質炭化水素油を水素化脱硫異性化するための触媒およびその製造方法

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JP2001179105A
JP2001179105A JP36785299A JP36785299A JP2001179105A JP 2001179105 A JP2001179105 A JP 2001179105A JP 36785299 A JP36785299 A JP 36785299A JP 36785299 A JP36785299 A JP 36785299A JP 2001179105 A JP2001179105 A JP 2001179105A
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Takao Kimura
孝夫 木村
Kazuhiko Hagiwara
和彦 萩原
Atsuyasu Oshio
敦保 大塩
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Japan Petroleum Energy Center JPEC
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Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫黄を含有する軽質炭化水素油の脱硫と異性
化とを行なって、硫黄含有量の低い異性化ガソリンを得
る技術において、異性化の前処理工程として不可欠であ
った脱硫を異性化と同時に行なうことのできる触媒を提
供し、それによって必要な設備を簡略化し、ランニング
コストを低減すること。 【解決手段】 ジルコニウムの酸化物または水酸化物か
らなる担体に、硫酸根を硫黄分にして1〜3質量%与え
るとともに、白金を0.5〜10質量%含有し、550
〜800℃の温度で焼成安定化させてなり、比表面積が
50〜150m2/gである触媒。触媒の製造は、水酸化
ジルコニウムを、これに硫酸根を与える処理剤で処理し
たのち、白金化合物を含浸させ、550〜800℃の温
度で焼成するか、または、含浸に先立って550〜80
0℃の温度に焼成し、含浸ののち、300〜700℃の
温度で焼成することによって行なう。白金化合物を混練
により担持させることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機硫黄化合物を
含有する軽質炭化水素油の水素化脱硫と異性化とを同時
に達成することが可能であって、従来技術にくらべて簡
単な設備で使用でき、経済的な、軽質炭化水素油の水素
化脱硫異性化用の触媒に関し、その触媒の製造方法に及
ぶ。
【0002】
【従来の技術】軽質炭化水素油の異性化は、石油精製工
業および石油化学工業で従来から広く行なわれている技
術である。とくに近年、自動車および航空機のエンジン
の高性能化に伴い、燃料として使用されるガソリンには
高いオクタン価が要求され、それに応えるために、異性
化が重要になってきている。これまでも、ガソリンの軽
質基材のひとつとして、軽質炭化水素油であるライトナ
フサを異性化してオクタン価を向上させた、いわゆる異
性化ガソリンが用いられている。
【0003】軽質炭化水素油を異性化する方法について
は、従来から数多くの研究がなされており、異性化反応
に用いる触媒も種々のものが知られているが、その中で
最も有用な異性化触媒として、固体酸触媒を挙げること
ができる。固体酸触媒の製造方法およびそれを用いた異
性化方法は、たとえば、特公平5−29503号公報、
特公平6−29199号公報に開示されている。
【0004】しかし、原油を蒸留した留分のままである
ライトナフサのような軽質炭化水素油には、有機硫黄化
合物が通常500〜700ppm程度含まれていて、これ
が固体酸触媒の触媒毒となるため、ライトナフサを直接
異性化することは、触媒寿命の点から、工業的実施に適
するプロセスではなかった。現在実施されているプロセ
スでは、まず、ライトナフサをCo−Mo/Al23
どの水素化脱硫触媒で処理して有機硫黄化合物を硫化水
素に変換し、この硫化水素を生成油から分離することに
よって硫黄含有量を数ppm以下に低減させた脱硫ライト
ナフサを取得し、その後、これを異性化原料油として用
いるという、二段階の操作を行なう。つまり、現行の軽
質炭化水素油の異性化プロセスにおいては、水素化脱硫
工程が異性化工程の前段に必要不可欠である。
【0005】もし、軽質炭化水素油の異性化に使用する
触媒を、水素化脱硫と異性化とを同時に達成することが
できるものに置き換えることができれば、異性化プロセ
スに必要不可欠であった水素化脱硫工程を省略すること
ができ、従来技術にくらべてより簡単な設備で、経済的
に異性化を行なうことが可能になる。具体的には、既存
の軽質炭化水素油の異性化反応塔に耐硫黄性を有する異
性化触媒を充填し、異性化の原料油として有機硫黄化合
物を含有する軽質炭化水素油を供給して、水素化脱硫お
よび異性化反応を同時に行なえるようにすることが望ま
しい。
【0006】発明者らは、このような要望に応えること
を意図して研究した結果、ある種の固体酸触媒が、炭化
水素の異性化活性のみならず有機硫黄化合物に対する脱
硫活性をも有し、耐硫黄性に優れた異性化触媒として役
立つことを見出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発明
者らの得た上記の新しい知見を生かし、簡便な設備によ
り経済的に、硫黄を含有する軽質炭化水素油の脱硫と異
性化とを同時に達成することができる触媒と、その好適
な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の軽質炭化水素油
の水素化脱硫異性化用の触媒は、ジルコニウムの酸化物
または水酸化物からなる担体に、硫酸根を硫黄分にして
1〜3質量%含有させるとともに、白金を0.5〜10
質量%担持させ、550〜800℃の温度で焼成安定化
させてなり、比表面積が50〜150m2/gであること
を特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明の触媒は、上記のように、ジルコニ
ウムの酸化物または水酸化物を担体とし、これに硫酸根
を硫黄分にして1〜3質量%含有させるとともに、白金
を0.5〜10質量%、好ましくは0.6〜7質量%、
さらに好ましくは0.7〜5質量%担持させたものであ
る。白金担持量が0.5質量%未満では活性点が少なす
ぎて、異性化と脱硫とを同時に行なうことができず、一
方、10質量%より多いと、白金が超強酸性を有する酸
点を覆うため、かえって活性が低下することがある。
【0011】担体に与える硫酸根(SO4)の量は、硫
黄(S)分として1〜3質量%、好ましくは1.5〜2
質量%である。硫酸根の量が硫黄分として1質量%に達
しないと、触媒の酸性度が低いため固体超強酸性が弱
く、異性化触媒としての活性が不十分である。3%を超
える多量になると、ジルコニアの表面を硫酸根が過剰に
覆って積み重なり、活性点をつぶしてしまうため、かえ
って活性が低下する。
【0012】触媒中の硫黄分の測定は、試料を酸素気流
中で燃焼させ、試料中に含まれているSを酸化させてS
2にし、水分とダストを除去した後、赤外吸収検出
器、たとえばソリッド・ステート型の検出器により、検
出・測定する。この分析方法によれば、試料中の硫黄分
の量を、0.001〜99.99%の濃度範囲で求める
ことができる。
【0013】X線回折分析によれば、 担体が酸化ジル
コニウム(ZrO2)である場合、その結晶構造には正
方晶と単斜晶とが存在する。触媒担体として有用なもの
は正方晶であり、単斜晶構造の割合が高いと、触媒活性
が低くなってしまう。酸化ジルコニウム中の単斜晶構造
と正方晶構造の存在比は、触媒のX線回折ピークを測定
し、CuKα線による2θ=28.2(単斜晶構造の主
ピーク)のピークと、2θ=30.2(正方晶構造の主
ピーク)のピークとのX線回折ピーク積分強度比をもっ
て定める。このようにして酸化ジルコニウム中の単斜晶
構造と正方晶構造の存在比を算出したときに、その値
が、単斜晶/正方晶=20/80〜0/100の範囲に
あることが好ましい。より好ましい範囲は、10/90
〜0/100である。
【0014】本発明の触媒は、550〜800℃で焼成
安定させた後、BET法により測定した比表面積が、5
0〜150m2/gの範囲にあることが必要である。比表
面積が50m2/g未満では、担持された金属の分散性が
悪く、水素化異性化のための活性点も少数に止まる。そ
の上、ジルコニウム酸化物の結晶構造も、単斜晶と正方
晶の比率が20/80よりも大きくなりがちであって、
好ましくない。一方、比表面積が150m2/gを超える
ものは、焼成によるジルコニウム酸化物の結晶化が進行
せず、その中の酸化ジルコニウム正方晶構造の割合が低
いために、水素化脱硫異性化の活性が低い値に止まる。
【0015】本発明の触媒の製造方法には、とくに限定
はなく、硫酸根を与え、白金を担持させる方法も、順序
も任意であるが、好適なのは、次にあげるような製造方
法である。
【0016】第一の製造方法は、水酸化ジルコニウム
を、これに硫酸根を与える処理剤で処理したのち、白金
化合物を含浸させ、550℃〜800℃の温度で焼成す
ることからなる。
【0017】第二の製造方法は、水酸化ジルコニウム
を、これに硫酸根を与える処理剤で処理し、いったん5
50℃〜800℃の温度で焼成したのち、白金化合物を
含浸させ、ついで300℃〜700℃、好ましくは50
0℃〜600℃の温度において再度焼成することからな
る。
【0018】第三の製造方法は、水酸化ジルコニウム
と、これに硫酸根を与える物質とを混練し、550℃〜
800℃の温度における焼成を行ったのち、白金化合物
を含浸させ、ついで300℃〜700℃、好ましくは5
00℃〜600℃の温度において再度焼成することから
なる。
【0019】第四の製造方法は、水酸化ジルコニウム
と、硫酸根を与える物質および白金化合物とを混練し、
550℃〜800℃の温度で焼成することからなる。
【0020】ジルコニウムの酸化物または水酸化物であ
る担体に硫酸根を与える処理剤としては、0.1〜5N
の硫酸、0.1〜10モル濃度の硫酸アンモニウム水溶
液等が代表的である。これらの処理剤は、担体に対して
1〜10倍の量を使用する。その他、硫化水素や亜硫酸
ガスのような処理剤を用いて、焼成安定化処理の後に硫
酸根を与えることによっても、同様な効果をあげること
ができる。
【0021】硫酸根の与え方は、硫酸処理剤として前述
のような液体や気体の状態にあるものだけでなく、固体
の状態にあるものを担体と混練することによってもよ
く、混練物を焼成安定化することで、同様の効果をあげ
ることができる。混練の手段としては、一般に触媒調製
に用いられている混練機であればどのようなものでも使
用できる。混練に当たっては、適宜の液体、たとえば
水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチル
エチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケト
ンなどを添加する。担体、硫酸根処理剤、溶媒等の添加
順序はとくに制限がなく、混練温度および時間も、触媒
の性能が影響を受けない範囲内であれば、別段制約され
ない。
【0022】触媒に白金を担持させる方法は、塩化白金
酸、テトラアンミン白金錯体等の白金化合物の水溶液に
担体を浸漬し、引き上げて乾燥する含浸法が代表的であ
る。水溶液の含浸でなく、塩化白金酸、テトラアンミン
白金錯体等を、前記した硫酸根処理剤との混練時に混合
することによっても、白金を担持させることは可能であ
る。
【0023】焼成安定化処理は、酸化性の雰囲気下に、
550〜800℃の範囲、好ましくは600〜750℃
の範囲の温度に、0.5〜10時間加熱することによっ
て行なう。焼成温度が550℃未満では、ジルコニウム
化合物中に含まれる水酸化ジルコニウムの割合が多く、
正方晶のジルコニウム酸化物の占める割合が少ないため
固体酸の性質が発現せず、触媒に水素化脱硫異性化の活
性が生じない。一方、高温で加熱すると水酸化物は減る
が、800℃を超えると、単斜晶の酸化ジルコニウムの
占める割合が多くなり、触媒活性にとって好ましくな
い。また硫酸根も脱離して行くため、触媒中の硫黄分の
量が1質量%未満になり、固体酸強度が低下してしま
う。さらに、白金のシンタリングも起こり、水素化脱硫
異性化の活性点が減少する。なお、触媒の焼成安定化処
理を還元雰囲気で行なうと、白金または白金化合物の上
で硫酸根の結合状態が変化したり、還元分解に起因する
と思われる硫酸根の減少によって、触媒活性が低下す
る。
【0024】焼成安定化処理は、白金を担持する前に行
っても、後に行ってもよい。白金を担持する前に焼成安
定化した場合でも、焼成安定化は、結晶状態が正方晶構
造の酸化ジルコニウムが得られる温度で行なう。好まし
い焼成温度の範囲は550〜800℃であり、さらに好
ましい範囲は600〜750℃である。好ましい焼成時
間は、0.5〜10時間である。焼成安定化後に、白金
を含有させ、さらに300〜700℃、好ましくは50
0℃〜600℃で焼成し、触媒の活性化を行なってもよ
い。
【0025】本発明の触媒は、上記の安定化処理によっ
て使用可能になるが、触媒活性の安定化のためには、脱
硫異性化反応への使用に先立って、前処理を施すことが
好ましい。前処理は、触媒を100〜500℃の温度に
1〜5時間維持して乾燥し、ついで100〜400℃の
温度で還元処理することからなる。
【0026】得られた本発明の触媒は、必要に応じてア
ルミナ、シリカアルミナ、シリカ、ボリア、チタニア、
活性炭等を混合して使用することもできる。
【0027】また触媒の形状はとくに限定されず、通常
この種の触媒に用いられている種々の形状、たとえば打
錠成型、押出成型により得られる円柱状、四葉型等を採
用することができる。
【0028】本発明の触媒を用いて、脱硫と同時に異性
化させる原料油としては、原油の常圧蒸留装置から留出
したライトナフサ、同じく原油の常圧蒸留装置から留出
したホールナフサから分離したライトナフサ、またはラ
イトナフサにマーロックス処理を施したマーロックスナ
フサなどの、有機硫黄を含有する軽質炭化水素油が好適
である。とくに好適な原料油は、ASTM蒸留温度が2
5〜130℃、好ましくは25〜110℃のライトナフ
サである。有機硫黄の含有量についていえば、700質
量ppm以下、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好
ましくは10〜200質量ppm程度のライトナフサが好
適に使用できる。硫黄分が数ppmまたはそれ以下の軽質
炭化水素油を原料として使用できることは、いうまでも
ない。
【0029】ライトナフサに含まれている有機硫黄化合
物の代表例を挙げれば、チオール化合物(R−SH)と
して2−プロパンチオール(CH3)2CH−SH、エタン
チオールC25−SH、スルフィド化合物(R−S−
R)としてメチルエチルスルフィドCH3−S−C
25、ジスルフィド化合物(R−SS−R)としてエチ
ルイソプロピルジスルフィドC25−SS−CH(C
3)2などである。本発明の触媒を用いれば、これらの
硫黄化合物を、原料油の異性化と同時に水素化分解して
脱硫を行なうことができる。
【0030】触媒活性をより長期にわたり維持するため
には、用いるライトナフサ中の芳香族、不飽和炭化水素
および高級炭化水素の量は少ない方がよい。ベンゼン量
は5vol.%以下、できれば3vol.%以下、ナフテン量は
12vol.%以下、できれば9vol.%以下、C7化合物は
15vol.%以下、できれば10vol.%以下とする。
【0031】脱硫異性化の反応条件は、 反応温度:140〜400℃、好ましくは160〜30
0℃、さらに好ましくは180℃〜220℃ 反応圧力:1.0〜4.5MPa、好ましくは1.4〜
3.5MPa LHSV:1.0〜10h-1、好ましくは1.0〜5h
-12/Oil比:1〜3mol/mol、 好ましくは1.5〜2.
5mol/mol である。反応温度が140℃より低いと触媒の寿命が短
くなり、一方、400℃を超えると、活性点である硫酸
根が水素還元され硫化水素として脱離するため活性が低
下する。そのほかの条件すなわち反応圧力、LHSV、
2/Oil比は、従来行なわれている軽質炭化水素油の異
性化反応の条件とほぼ同様である。
【0032】本発明の触媒は、水素化脱硫異性化触媒と
して、従来の異性化触媒と置き換えて使用することがで
きる。すなわち、軽質炭化水素油中の有機硫黄化合物を
水素化脱硫して硫化水素に変換し、硫黄分を数ppm以下
にすると同時に直接異性化することができ、オクタン価
を向上させた生成油を得ることができる。
【0033】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変更
態様が含まれる。
【0034】
【実施例1〜5および比較例1】 触媒A〜Fの製造 下記の触媒A〜Fを製造した。触媒A〜C(実施例)お
よび触媒F(比較例)の製造に当たっては含浸法を採用
し、まず実施例1の(1)および(2)のようにして硫
酸根含有水酸化ジルコニウムを用意し、これに塩化白金
酸の水溶液を含浸させ、乾燥し焼成する手順を踏んだ。
触媒DおよびE(実施例)の製造に当たっては混練法を
採用し、実施例1の(1)のようにして水酸化ジルコニ
ウムを調製して使用した。
【0035】実施例1:触媒A (1)Zr(OH)4の調製 市販のオキシ塩化ジルコニウムZrOCl2・8H2Oの
1000gを4Lの蒸留水に溶かし、攪拌しながら、そ
こへ25%アンモニア水NH3aq.を滴下して、水酸化
ジルコニウムZr(OH)4を沈殿させた。水溶液のpH
が9.0になるように調製し、沈殿した水酸化ジルコニ
ウムを濾過して分離した。濾過後、蒸留水でよく洗浄
し、110℃で一昼夜乾燥させ、水酸化ジルコニウム4
90gを得た。 (2)SO4/Zr(OH)4の調製 上記のようにしてオキシ塩化ジルコニウムから調製した
水酸化ジルコニウムの400gを1N−硫酸4000g
に入れ、30分間攪拌した。攪拌後、濾過して固体分を
110℃で一昼夜乾燥し、硫酸根を含有する水酸化ジル
コニウムSO4/Zr(OH)4452gを得た。 (3)Pt/SO4/ZrO2の調製 塩化白金酸H2PtCl6・xH2Oの0.47gを溶か
した水溶液に、(2)で得られた硫酸根を含有する水酸
化ジルコニウム19gを入れ、Pt塩を含浸させた。1
10℃で一昼夜乾燥した後、マッフル炉に入れて600
℃で3時間焼成し、Pt担持硫酸根含有ジルコニアPt
/SO4/ZrO213.5gを得た。
【0036】実施例2:触媒B 塩化白金酸H2PtCl6・xH2Oの2.65gを溶か
した水溶液に、実施例1(1)および(2)に記載した
調製法により調製した硫酸根含有水酸化ジルコニウム2
0gを入れ、Pt塩を含浸させた。以下、実施例1と同
様に乾燥および焼成を行なって、Pt担持硫酸根含有ジ
ルコニアPt/SO4/ZrO214gを得た。
【0037】実施例3:触媒C 実施例1(1)および(2)に記載した調製法により調
製した硫酸根含有水酸化ジルコニウム20gを、マッフ
ル炉に入れて600℃に3時間加熱することにより焼成
安定化させ、硫酸根含有ジルコニア15gを得た。塩化
白金酸H2PtCl6・xH2Oの0.36gを溶かした
水溶液に、この硫酸根含有ジルコニア15gを入れ、P
tを含浸させた。110℃で一昼夜乾燥した後、マッフ
ル炉で550℃において2時間焼成し、Pt担持硫酸根
含有ジルコニアPt/SO4/ZrO213gを得た。
【0038】実施例4:触媒D 実施例1(1)で示した調製法により調製した水酸化ジ
ルコニウム22gに市販の硫酸アンモニウム3.1gを
加え、攪拌羽根のついた混練機で、水を加えながら1時
間混練した。得られた硫酸根含有水酸化ジルコニウムを
110℃で一昼夜乾燥した後、マッフル炉に入れ600
℃に3時間加熱して焼成安定化させ、硫酸根含有ジルコ
ニア16gを得た。塩化白金酸H2PtCl6・xH2
の3.30gを溶かした水溶液に、この硫酸根含有ジル
コニア16gを入れてPtを含浸させた。110℃で一
昼夜乾燥した後、マッフル炉で550℃において2時間
焼成し、Pt担持硫酸根含有ジルコニアPt/SO4
ZrO214gを得た。
【0039】実施例5:触媒E 実施例1(1)に記載した調製法により調製した水酸化
ジルコニウム35gに市販の硫酸アンモニウム5.0g
を加え、さらに塩化白金酸H2PtCl6・xH 2Oの
0.93gを加え、攪拌羽根のついた混練機で、水を加
えながら1時間混練した。得られた硫酸根含有水酸化ジ
ルコニウムを110℃で一昼夜乾燥した後、マッフル炉
に入れ600℃で3時間焼成し、Pt担持硫酸根含有ジ
ルコニアPt/SO4/ZrO225gを得た。
【0040】比較例1:触媒F 塩化白金酸六水和物H2PtCl6・xH2Oの1.5g
を溶かした水溶液に、実施例1(1)および(2)に記
載した調製法により調製した硫酸根含有水酸化ジルコニ
ウム168gを入れ、Pt塩を含浸させた。以下は実施
例1と同様に乾燥および焼成を行なって、Pt担持硫酸
根含有ジルコニアPt/SO4/ZrO2119gを得
た。
【0041】触媒A〜Fの物性試験結果を、表1にまと
めて示した。 表 1 触媒の物性(その1) 触媒A 触媒B 触媒C 触媒D 触媒の構成 Pt/SO4/ZrO2 Pt/SO4/ZrO2 Pt/SO4/ZrO2 Pt/SO4/ZrO2 焼成条件 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 比表面積(m2/g) 121 118 128 132 硫黄分(質量%) 1.72 1.64 2.01 1.73 金属元素分析値(質量%) Pt 0.92 4.50 0.85 7.45 ZrO2結晶構造比 単斜晶/正方晶 3.5/96.5 3.7/96.3 4.1/95.9 4.3/95.7 表 1 触媒の物性(その2) 触媒E 触媒F 触媒の構成 Pt/SO4/ZrO2 Pt/SO4/ZrO2 焼成条件 600℃×3h 600℃×3h 比表面積(m2/g) 119 145 硫黄分(質量%) 1.52 1.64 金属元素分析値(質量%) Pt 0.81 0.35 ZrO2結晶構造比 単斜晶/正方晶 4.5/95.5 4.6/95.4
【0042】比表面積の測定には、日本ベル(株)製の
高精度全自動ガス吸着装置「BELSORP28」を使
用した。硫黄分の量は、LECO社の「SC−132」
硫黄分分析計を用いて測定した。
【0043】
【触媒使用例】軽質炭化水素油の脱硫異性化反応 触媒充填容量が3mlの固定床流通式反応器を用いて軽質
炭化水素油の脱硫異性化を行ない、触媒A〜Fを評価し
た。反応条件は、次のとおりである: 反応圧力:1.47MPa 反応温度:200℃ LHSV:5h-12/Oil比:2mol/mol 原料:有機硫黄化合物((n−C37)22)添加n−ペ
ンタン(硫黄分300質量ppm) n−ペンタンの異性化率を表2に示す。
【0044】ここで、「異性化率」は下記の式で定義さ
れる。 異性化率(%)=(生成油中のi−C5の重量%)/(生成油
中の全C5化合物の重量%の合計)×100
【0045】 表 2 有機硫黄化合物添加n−ペンタンの異性化 反応温度: 200℃ 反応圧力: 1.47MPa LHSV: 5/h H2/Oil: 2mol/mol 原料: n−C5+(n−C37)22 (S=300ppm) 触 媒 反応時間(h) C5異性化率(%) 触媒A:Pt/SO4/ZrO2 Pt:0.92質量% 2.8 57 4.7 62 6.5 60 触媒B:Pt/SO4/ZrO2 Pt:4.50質量% 2.1 69 4.9 70 6.9 69 触媒C:Pt/SO4/ZrO2 Pt:0.85質量% 2.9 55 5.2 59 7.0 59 触媒D:Pt/SO4/ZrO2 Pt:7.45質量% 3.1 64 4.9 65 6.9 63 触媒E:Pt/SO4/ZrO2 Pt:0.81質量% 2.9 55 4.8 59 6.9 58 触媒F:Pt/SO4/ZrO2 Pt:0.35質量% 2.1 22 4.2 9 5.3 3
【0046】実施例1〜5に記述した触媒A〜Eを使用
した場合には、出口の硫化水素濃度は約150容積ppm
であり、原料中に含まれる300質量ppmの有機硫黄化
合物のほとんどが水素化され、硫化水素に変換された。
すなわち、触媒A〜Eにおいては、硫酸根により電子不
足状態となり耐硫黄性が増した白金の量が増加したこと
により、n−ペンタンの異性化だけでなく、有機硫黄化
合物の脱硫も同時に行なわれた。
【0047】一方、比較例の触媒Fを使用した場合は、
異性化率が時間の経過とともに低下し、出口の硫化水素
濃度も約30容積ppmと、原料中の有機硫黄化合物の大
半が硫化水素に変換されなかった。すなわち、触媒Fに
おいては、耐硫黄性を有する白金の量が少ないために、
有機硫黄化合物による被毒を受け、活性が低下した。
【0048】
【発明の効果】本発明の触媒は、軽質炭化水素油の異性
化反応触媒として高い活性を有するだけでなく、耐硫黄
性を有し、異性化反応条件において有機硫黄化合物も水
素化脱硫することができる。このため、有機硫黄化合物
を含有する軽質炭化水素油の異性化に当たって、従来技
術においては不可欠な前処理であった脱硫処理を行なう
必要がなくなった。具体的にいえば、従来の異性化用の
固定床触媒反応装置にこの触媒を充填して、有機硫黄化
合物を含有する軽質炭化水素油を水素とともに流通させ
るだけで、異性化プロセスを完成することができる。従
って本発明によれば、従来のものより簡易な設備を用
い、低減されたランニングコストをもって、軽質炭化水
素油の水素化脱硫異性化を実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萩原 和彦 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社研究開発センター内 (72)発明者 大塩 敦保 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社研究開発センター内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニウムの酸化物または水酸化物か
    らなる担体に、硫酸根を硫黄分にして1〜3質量%含有
    させるとともに、白金0.5〜10質量%を担持させ、
    550〜800℃の温度で焼成安定化させてなり、比表
    面積が50〜150m2/gであることを特徴とする軽質
    炭化水素油の水素化脱硫異性化用の触媒。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した水素化脱硫異性化用
    の触媒の製造方法であって、水酸化ジルコニウムを、こ
    れに硫酸根を与える処理剤で処理したのち、白金化合物
    を含浸させ、550〜800℃の温度で焼成することか
    らなる製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載した水素化脱硫異性化用
    の触媒の製造方法であって、水酸化ジルコニウムを、こ
    れに硫酸根を与える処理剤で処理したのち、550〜8
    00℃の温度における焼成を行ってから、白金化合物を
    含浸させ、300〜700℃の温度で焼成することから
    なる製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載した水素化脱硫異性化用
    の触媒の製造方法であって、水酸化ジルコニウムと、こ
    れに硫酸根を与える物質とを混練し、550〜800℃
    の温度における焼成を行なった後、白金化合物を含浸さ
    せ、300〜700℃の温度で焼成することからなる製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載した水素化脱硫異性化用
    の触媒を製造する方法であって、水酸化ジルコニウム
    と、これに硫酸根を与える物質および白金化合物とを混
    練し、550〜800℃の温度で焼成することからなる
    製造方法。
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