JP2001164077A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2001164077A
JP2001164077A JP2000290247A JP2000290247A JP2001164077A JP 2001164077 A JP2001164077 A JP 2001164077A JP 2000290247 A JP2000290247 A JP 2000290247A JP 2000290247 A JP2000290247 A JP 2000290247A JP 2001164077 A JP2001164077 A JP 2001164077A
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monomer
styrene
copolymer
resin composition
resin
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JP2000290247A
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English (en)
Inventor
Takeshi Fukukita
剛 福喜多
Mamoru Fujihira
衛 藤平
Katsujirou Ozawa
克次郎 小沢
Takeshi Morita
毅 森田
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、成形加工
性に富み、且つ、IZOD衝撃強度、面衝撃強度等の耐
衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにあ
る。 【解決手段】 スチレン系単量体とアクリル系単量体と
の共重合樹脂をマトリックス相とし、ジエン系ゴム質重
合体にスチレン系単量体及びアクリル系単量体がグラフ
トした共重合樹脂粒子を分散ゴム粒子とする共重合樹脂
(A)、及びポリカーボネート樹脂(B)を必須成分と
する熱可塑性樹脂組成物において、共重合樹脂(A)が
(25℃でのトルエン不溶分含有率/25℃でのトルエ
ン膨潤指数)の値が1.2〜2.5の範囲のものである
熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のスチレン系
共重合樹脂とポリカーボネート樹脂とからなる、成形加
工性に富み、IZOD衝撃強度、面衝撃強度等の耐衝撃
性、表面外観のバランスの優れた樹脂組成物、及びそれ
らからなる成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は良好な透明性や
高い耐衝撃性及び優れた耐熱性等の特徴を有するため、
食品容器、医療器具類の部品、レンズ等の用途に用いら
れているものの、その一方で、溶融粘度が高く成形性が
悪いという欠点がある。
【0003】そのため、流動性を改善し成形性を向上さ
せるために、ポリカーボネート樹脂に比べ成形性の優れ
たスチレン系樹脂とのポリマーアロイが検討されてい
た。しかし、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂
は、そのままでは相溶性が悪いため、ポリカーボネート
が持つ耐衝撃性を著しく低下してしまう問題があった。
【0004】そこで、特開平6−157864号公報に
おいては、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の性
能を兼備させるべく、耐衝撃性と成形性を兼備した樹脂
組成物として、ゴム補強ポリメタクリルスチレン系樹脂
とポリカーボネート樹脂とをポリマーアロイとする技術
が開示されている。
【0005】しかし、特開平6−157864号公報記
載のゴム補強ポリメタクリルスチレン系樹脂とポリカー
ボネート樹脂とのポリマーアロイは成形性は改善される
が、分散ゴム粒子の粒子径が小さく、該ゴム粒子ではグ
ラフト化率が低くなるため、十分な耐衝撃性が得られな
い問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、成形加工性に富み、且つ、IZO
D衝撃強度、面衝撃強度等の耐衝撃性に優れた熱可塑性
樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、分散ゴム粒子を有するス
チレン系単量体とアクリル系単量体との共重合樹脂
(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)からなる熱可塑
性組成物において、共重合樹脂(A)のトルエン不溶分
含有率/トルエン膨潤指数を特定範囲とすることによ
り、前記欠点を克服し成形加工性に富み、耐衝撃性が優
れる熱可塑性樹脂組成物が得られることを見い出し本発
明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、 (1)スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合
樹脂をマトリックス相とし、ジエン系ゴム質重合体にス
チレン系単量体及びアクリル系単量体がグラフトした共
重合樹脂粒子を分散ゴム粒子とする共重合樹脂(A)、
及びポリカーボネート樹脂(B)を必須成分とする熱可
塑性樹脂組成物において、共重合樹脂(A)が(25℃
でのトルエン不溶分含有率/25℃でのトルエン膨潤指
数)の値が1.2〜2.5の範囲のものである熱可塑性
樹脂組成物と、
【0009】(2)共重合樹脂(A)の分散ゴム粒子の
散乱式粒度分布測定装置で測定される体積基準のメジア
ン径が0.5〜1.2μmの範囲であり、且つ、サラミ
構造を有するゴム粒子(a1)とコアシェル構造を有す
るゴム粒子(a2)とが共存し、透過型電子顕微鏡写真
で粒子1000個を観察した場合のサラミ構造粒子(a
1)とコアシェル構造粒子(a2)の存在比が(a1)
/(a2)=40/60〜90/10の範囲である
(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物と、
【0010】(3)ジエン系ゴム質重合体が、スチレン
系単量体とジエン系単量体との共重合体、ジエン系単量
体の単独重合体及びスチレン系単量体とジエン系単量体
との共重合体の混合ゴム質重合体、又は、スチレン系単
量体/ジエン系単量体=1/99〜20未満/80より
大(重量基準)の共重合体とスチレン系単量体/ジエン
系単量体=20/80〜50/50(重量基準)の共重
合体の混合ゴム質重合体である(1)又は(2)に記載
の熱可塑性樹脂組成物と、
【0011】(4)共重合樹脂(A)のマトリックス相
が、スチレン系単量体とアクリル系単量体とを、スチレ
ン系単量体/アクリル系単量体=95/5〜81/19
(重量基準)で共重合したものである(1)、(2)又
は(3)に記載の熱可塑性樹脂組成物と、
【0012】(5)共重合樹脂(A)のマトリックス相
が、重量平均分子量10万〜30万である(1)〜
(4)のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物と、
【0013】(6)分散ゴム粒子を含有するスチレン系
単量体とアクリル系単量体との共重合樹脂(A)と、ポ
リカーボネート樹脂(B)との存在比が、重量基準で
(A)/(B)=50/50〜10/90である(1)
〜(5)のいずれか1つに記載の樹脂組成物と、
【0014】(7)上記の(1)〜(6)のいずれか1
つに記載の熱可塑性樹脂組成物に、シリコーンオイルを
含有する樹脂組成物と、及び
【0015】(8)上記の(1)〜(7)のいずれか1
つに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形物とを含む
ものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、共重合樹脂(A)は、スチレン系単量
体とアクリル系単量体との共重合樹脂であるマトリック
ス相と、ゴム質重合体にスチレン系単量体及びアクリル
系単量体がグラフトした共重合樹脂粒子である分散ゴム
粒子とからなり、共重合体樹脂(A)全体として[25
℃でのトルエン不溶分含有率/25℃でのトルエン膨潤
指数]の値が1.2〜2.5なる範囲にある。
【0017】ここで、「25℃でのトルエン不溶分含有
率」とは、試料1gを精秤し、トルエン100mlに2
5℃で24時間かけて溶解させた後、膨潤した不溶分を
取り出し乾燥させ、得られた樹脂の重量を前記試料に対
する百分率と示した値であり本発明においては13〜2
0重量%であることが好ましい。また、「25℃でのト
ルエン膨潤指数」とは、試料1gを精秤し、トルエン1
00mlに25℃で24時間かけて溶解させた後、膨潤
した不溶分を取り出した樹脂重量を、該不溶分を乾燥し
た場合の樹脂重量に対する百分率で示した値であり、本
発明においては10〜15重量%であることが好まし
い。
【0018】本発明においては、前記した通り共重合樹
脂(A)中の[25℃でのトルエン不溶分含有率/25
℃でのトルエン膨潤指数]の値が、1.2〜2.5なる
範囲にあるが、1.2を下回る場合には、剛性、IZO
D衝撃強度は低いものとなり易く、また、2.5を上回
る場合には、剛性は良好となるものの面衝撃強度が劣っ
たものになり易い。
【0019】ここで共重合樹脂(A)のマトリックス相
を構成するスチレン系単量体としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、
イソブチルスチレン、ターシャリーブチルスチレン、o
−ブロムスチレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムス
チレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p
−クロロスチレン等が挙げられ、中でもゴム質重合体と
の反応性に優れる点からスチレンが好ましい。
【0020】また、アクリル系単量体としては、本発明
のポリカーボネート樹脂(B)との相溶性の観点から必
須成分であり、具体的には、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)ア
クリル酸−イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチル
ヘキシル等が挙げられるが、特にコスト、性能及び反応
性の点からメタアクリル酸メチルが好ましい。
【0021】また、これらのアクリル系単量体はそれぞ
れ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよ
く、流動性改善の点からメタアクリル酸メチルと(メ
タ)アクリル酸−n−ブチルとを併用することが特に好
ましい。この際、(メタ)アクリル酸−n−ブチルの使
用量は、特に制限されないが、耐熱性の点から原料単量
体全重量100重量%に対して、1〜8重量%、なかで
も2〜5重量%であることが好ましい。
【0022】また、共重合樹脂(A)を形成するマトリ
ックス相は、本発明の効果を損なわない範囲で更にその
他の共重合可能な単量体を併用しても良い。その単量体
としては、例えば(メタ)アクリロニトリル等のビニル
−シアン化合物類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、
マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸等の重合性
不飽和脂肪酸;N−メチルマレイミド、N−エチルマレ
イミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミ
ド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミド、N−p−ブロモフェニルマレイミド、N−o−ク
ロルフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド等のマレイミド類;
【0023】無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シ
トラコン酸等に代表される不飽和カルボン酸無水物類;
アリルアミン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メ
タ)アクリル酸−アミノプロピル等のアミノ基含有不飽
和化合物類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミ
ド等アクリルアミド系化合物等が挙げられる。
【0024】その他の共重合可能な単量体の使用割合
は、特に制限されるものではないが、共重合樹脂(A)
を形成する全単量体成分中5重量%以下となる割合であ
ることが、本発明の成形加工性、耐衝撃性を低下させな
い点から好ましい。
【0025】共重合樹脂(A)のマトリックス相は、重
量平均分子量(Mw)が10万〜30万で、且つ重量平
均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/M
nが1.8〜2.5のものが好ましく、なかでも重量平
均分子量(Mw)が15万〜20万のものは面衝撃強
度、流動性、剛性に優れる点から特に好ましい。ここで
重量平均分子量とは、GPCによって測定される値であ
り、本発明においては、カラムとして「TSKgel G
6000HXL」、「TSKgel 5000HXL」、
「TSKgel 4000HXL」、「TSKgel 250
0HXL」を各1本づつ使用し、カラム温度40℃、溶
媒にTHF、流速1ml/分なる条件で、また、検出器
としてRIを使用して測定した値である。
【0026】また、特に限定されるものではないが、共
重合樹脂(A)のマトリックス相がスチレン系単量体と
アクリル系単量体とを、重量基準でスチレン系単量体/
アクリル系単量体=95/5〜81/19となる割合で
共重合したものが好ましい。
【0027】ここで、スチレン構造単位が原料単量体基
準で81重量%以上の場合には、ポリカーボネート樹脂
とのポリマーアロイ品の流動性が向上し、成形性が良く
なり大型成形品等の品質が向上する。一方、スチレン構
造単位が原料単量体基準で95重量%以下の場合には、
共重合樹脂(A)とポリカーボネート樹脂との相溶性が
良いため、ポリカーボネート樹脂との化学的相互作用、
及び射出成形品の分子配向のバランスに優れ、物性の向
上が計れる点で好ましい。
【0028】次に共重合樹脂(A)に含まれる分散ゴム
粒子とは、ジエン系ゴム質重合体にスチレン系単量体及
びアクリル系単量体がグラフトした共重合樹脂粒子(以
下にグラフト共重合樹脂粒子と称することがある)であ
る。分散ゴム粒子は、その平均粒子径が0.5〜1.2
μmの範囲であることが、優れた光沢が得られ、ポリマ
ーアロイ成形品の表面外観が向上し、且つ、耐衝撃性と
のバランスも良好となる点から好ましい。即ち、本発明
においては、粒子径が小さいにもかかわらず、グラフト
化率が高いため、優れた耐衝撃性が得られる。
【0029】ここで、グラフト共重合樹脂粒子の粒子径
とは、散乱式粒度分布測定装置で測定される組成物中の
体積基準のメジアン径として測定された値である。グラ
フト共重合樹脂粒子は、マトリックス樹脂相中に不規則
に分散しているが、ゴム粒子の内部構造は、いわゆるサ
ラミ構造とコアシェル構造が混在した形態をとることが
成形品の耐衝撃性、外観等のバランスの点から好まし
い。即ち、サラミ構造を有する粒子(a1)の存在は耐
衝撃性、特に面衝撃強度の発現の点から好ましく、コア
シェル構造粒子(a2)はポリカーボネート樹脂(B)
との部分相溶性がサラミ構造粒子よりも優れることか
ら、ポリカーボネート樹脂(B)への分散性を向上さ
せ、衝撃強度が安定して発現させる点、また耐衝撃性と
表面外観とのバランスの点から好ましい。
【0030】更に具体的には、透過型電子顕微鏡写真
(10000倍)で粒子1000個を観察した場合、サ
ラミ構造を有する粒子(a1)とコアシェル構造を有す
る粒子(a2)の存在比率が40/60〜90/10な
る割合であることが、良好な耐衝撃性が安定して発現
し、耐衝撃性と表面外観とのバランスに優れる点から好
ましい。
【0031】ここで、ジエン系ゴム質重合体としては、
特に制限されるものではないが、スチレン系単量体と
ジエン系単量体との共重合体、ジエン系単量体の単独
重合体、及びスチレン系単量体とジエン系単量体との共
重合体からなる混合ゴム質重合体、又はスチレン系単
量体/ジエン系単量体=1/99〜20未満/80より
大(重量基準)の共重合体とスチレン系単量体/ジエン
系単量体=20/80〜50/50(重量基準)の共重
合体の混合ゴム質重合体が好ましい。
【0032】上記〜のジエン系ゴム質重合体のう
ち、スチレン系単量体とジエン系単量体との共重合体
に用いるスチレン系単量体としては、例えばスチレン、
α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソ
ブチルスチレン、ターシャリーブチルスチレン、o−ブ
ロムスチレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムスチレ
ン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−ク
ロロスチレン等が挙げられるが、中でもスチレンがジエ
ン系単量体との反応性に優れる点から好ましい。また、
ジエン系単量体としては、例えばブタジエン、クロロプ
レン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ
るが、中でもブタジエンがスチレン系単量体との反応性
に優れる点から好ましい。
【0033】スチレン系単量体とジエン系単量体との共
重合体としては、その結合形式として各単量体のブロッ
ク結合体、ランダム結合体が挙げられるが、スチレン系
単量体とジエン系単量体の結合様式はブロック結合又は
テーパーブロック結合であることが、ゴム粒子径の調整
等の点から好ましい。
【0034】次に、ジエン系単量体の単独重合体、及
びスチレン系単量体とジエン系単量体との共重合体から
なる混合ゴム質重合体としては、その組み合わせは特に
制限されるものではないが、例えば、ジエン系単量体の
単独重合体として、ローシスポリブタジエン、ハイシス
ポリブタジエン等のポリブタジエンがあり、スチレン系
単量体とジエン系単量体との共重合体の混合ゴム質重合
体として、ポリイソプレンと、スチレンブタジエン共重
合体、スチレンイソプレン共重合体、又はスチレンペン
タジエン共重合体等との混合ゴム質重合体であることが
好ましい。
【0035】スチレン系単量体/ジエン系単量体=1
/99〜20未満/80より大(重量基準)の共重合体
と、スチレン系単量体/ジエン系単量体=20/80〜
50/50(重量基準)の共重合体の混合ゴム質重合体
としては、その組み合わせは特に制限されるものではな
いが、例えば、スチレンブタジエン共重合体、スチレン
イソプレン共重合体、又はスチレンペンタジエン共重合
体が挙げられる。ここでスチレン含量1重量%以上20
重量%未満の共重合体と、スチレン含量20〜50重量
%の共重合体とを組み合わせると、粘度を制御しやすく
サラミ構造を取りやすい為、上記樹脂を組み合わせた混
合ゴム質重合体が、面衝撃強度と成形加工性、及び成形
品の優れた表面外観とを兼備させる点から好ましい。
【0036】上記〜の中でも、、はゴム粒子中
のサラミ構造体含有率を高めながら、且つ平均粒子径を
小さくできる為、本発明の目的とする良好な成形加工性
と耐衝撃性、特に面衝撃強度を兼備させる点から特に好
ましい。また、混合ゴム質重合体における[ジエン系
単量体の単独重合体]/[スチレン系単量体とジエン系単
量体との共重合体]、又は混合ゴム質重合体における
[スチレン系単量体/ジエン系単量体=1/99〜20
未満/80より大(重量基準)の共重合体]/[スチレン
系単量体/ジエン系単量体=20/80〜50/50
(重量基準)の共重合体]の混合比率が、重量基準で9
5/5〜35/65であると、最終的に得られるゴム粒
子の粒子径と形状の調整が容易となり、前述の性能を発
揮しやすい。
【0037】また、混合ゴム質重合体中のスチレン系単
量体含有量は、8〜28重量%となる範囲であること
が、成形加工性と、耐衝撃性及び表面外観のバランスが
良好となる点から好ましい。更に、、の中でもゴム
質重合体が、本発明の目的とする良好な成形加工性、
耐衝撃性及び及び成形品の表面外観を兼備させ、特に好
ましい。
【0038】ゴム質重合体において、スチレン系単量
体/ジエン系単量体=1/99〜20未満/80より大
(重量基準)の共重合体からなるジエン系ゴム質重合体
は、ジエン系単量体に基づく不飽和結合のうちの1,2
−ビニル結合の割合が8〜35重量%のものが、共重合
体樹脂(A)中のグラフト化率が上昇し、更に、製造時
の高温下での架橋の進行を抑制でき、グラフト化率と架
橋の程度とのバランスが良好となってゴム弾性が向上す
るために耐衝撃性が著しく向上する点から好ましい。こ
の場合、1,2−ビニル結合の残りは、シス及びトラン
ス結合を形成している。
【0039】また、このジエン系ゴム質重合体は、25
℃での5重量%スチレン溶液粘度が30〜50センチポ
イズのものが耐衝撃性の向上効果が大きく、且つ製造に
際してゴム粒子径のコントロールが容易な点で好まし
く、特に25℃での5重量%スチレン溶液粘度が30〜
40センチポイズで、且つ100℃でのLローター使用
によるムーニー粘度が20〜80のものが好ましい。
【0040】次に、スチレン系単量体/ジエン系単量体
=20/80〜50/50(重量基準)の共重合体から
なるジエン系ゴム質重合体は、ジエン系単量体に基づく
不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合が8〜3
5重量%のものが、共重合樹脂(A)中のグラフト化率
が上昇し、更に、製造時の高温下での架橋の進行を抑制
出来、グラフト化率と架橋の程度とのバランスが良好と
なってゴム弾性が向上するために耐衝撃性が著しく向上
する点から好ましい。この場合、1,2−ビニル結合の
残りはシス及びトランス結合を形成している。
【0041】また、このジエン系ゴム質重合体は、25
℃での5重量%スチレン溶液粘度が5〜50センチポイ
ズのものが耐衝撃性の向上効果が大きく、且つ製造に際
してゴム粒子径のコントロールが容易な点で好ましく、
特に25℃での5重量%スチレン溶液粘度が8〜40セ
ンチポイズで、且つ100℃でのLローター使用による
ムーニー粘度が20〜80のものが好ましい。
【0042】上記したゴム質重合体にグラフト共重合さ
せるスチレン系単量体及びアクリル系単量体としては、
特に制限されるものではないが、前記マトリックス相を
形成するスチレン系単量体、アクリル系単量体が何れも
使用できる。
【0043】ゴム質重合体を用いて、スチレン系単量体
及びアクリル系単量体をグラフト共重合させる際の各成
分の使用割合は、特に限定されるものではないが、通常
(ゴム質重合体)/[(スチレン系単量体)+(アクリ
ル系単量体)]の重量比が3/97〜16/84である
と耐衝撃性、剛性のバランスの点から好ましい。
【0044】共重合樹脂(A)を製造する具体的方法と
しては、例えば、上記のゴム質重合体の存在下に、スチ
レン系単量体、アクリル系単量体、更に必要に応じてそ
の他の共重合可能な単量体を塊状−懸濁重合、溶液重合
又は塊状重合によりグラフト共重合させれば良く、中で
も連続塊状重合は、生産性、コスト面及び本発明の組成
物へ不純物が入り難い点から好ましい。
【0045】連続塊状重合によって共重合樹脂(A)を
製造する方法は、特に限定されるものではないが、一個
以上の撹拌式反応器と可動部分のない複数のミキシング
エレメントが内部に固定されている管状反応器(以下、
静的ミキシングエレメントを有する管状反応器と略す)
を組み込んだ連続塊状重合ライン中で、該管状反応器に
よる静的な混合を行いながら連続的に塊状重合を行うこ
とにより、ゴム粒子径が小さく、ポリマー組成を均一に
コントロールでき、耐衝撃性、成形品の表面外観、剛性
が良好な共重合樹脂(A)が得られることから好まし
い。
【0046】具体的には、前記ゴム質重合体、スチレン
系重合体、アクリル系単量体及び必要に応じて、更にス
チレン系単量体、アクリル系単量体と共重合可能なその
他の単量体の各原料成分を溶解させた後、1個以上の攪
拌式反応器で重合させた後、静的ミキシングエレメント
を有する管状反応器に導入することが、得られる組成物
の均一性や、グラフトゴム粒子の粒子径を前記した範囲
に調整し易い点から好ましい。
【0047】また、静的ミキシングエレメントを有する
管状反応器、即ち、可動部分のない複数のミキシングエ
レメントが内部に固定されている管状反応器を組み込ん
でなる連続塊状重合ラインとしては、a.撹拌式反応器
と、b.撹拌式反応器から続き可動部分の全くない複数の
ミキシングエレメントが内部に固定されている1個以上
の管状反応器からなる初期重合ラインと、c.初期重合ラ
インから続き可動部分の全くない複数のミキシングエレ
メントが内部に固定されている1個以上の管状反応器か
らなる主重合ラインと、d.初期重合ラインと主重合ライ
ンとの間で分枝して初期重合ライン内に戻る還流ライン
とによって構成される重合ラインであることが好まし
い。
【0048】この様な重合ラインを用いて共重合樹脂
(A)を製造する際、非循環重合ライン(II)に流出せ
ずに循環重合ライン(I)内を還流する混合溶液の流量
をF1(リットル /時間)とし、循環重合ライン(I)
から非循環重合ライン(II)に流出する混合溶液の流量
F2 (リットル/時間)とした場合の、還流比(R=F
1 /F2)は3〜15の範囲であることが好ましい。
【0049】また、該循環重合ライン(I)でのグラフ
ト重合は、該循環重合ライン(I)出口でのスチレン系
単量体とアクリル系単量体の合計の重合転化率が、通常
35〜55重量%、好ましくは40〜50重量%になる
様に重合させる。重合温度としては120〜135℃の
範囲が好ましい。循環重合ライン(I)でグラフト重合
された混合溶液は、次いで非循環重合ライン(II)に供
給され、通常140〜160℃の重合温度でスチレン系
単量体とアクリル系単量体の合計の転化率が60〜85
重量%となるまで連続的にグラフト重合される。
【0050】次に、この混合溶液は脱揮発槽に送られ、
減圧下にて未反応単量体及び溶剤を除去して目的とする
共重合樹脂(A)が得られる。ここで、管状反応器の内
部に固定されている複数のミキシングエレメントとして
は、例えば管内に流入した重合液の流れの分割と流れ方
向を変え、分割と合流を繰り返すことにより重合液を混
合するものが挙げられる。このような管状反応器として
は、例えば、SMX型、SMR型のスルザー式の管状ミ
キサー、ケニックス式のスタティックミキサー、東レ式
の管状ミキサー等が挙げられるが、特にSMX型、SM
R型のスルザー式の管状ミキサーが好ましい。
【0051】次に本発明で用いられるポリカーボネート
樹脂(B)は、特に制限されるものではないが、従来の
製法と同様の方法、例えば、ビス(ヒドロキシアリー
ル)アルカン系ポリカーボネート樹脂を得る場合には、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン,ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン,2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン,2,2−ビス(4−ヒドロキ
シー3,5−ジクロロフェニル)プロパン,2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロ
パン又はビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタ
ン等のようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類
と、ホスゲン法による場合はホスゲンとエステル交換法
による場合はジアリールカーボネートとを反応させるこ
とにより得られる。ポリカーボネート樹脂(B)は、単
独あるいは2種以上の混合系で用いることも出来る。
【0052】共重合樹脂(A)とポリカーボネート樹脂
(B)との存在比は、重量基準で50/50〜10/9
0の割合で混合することが好ましい。即ち、共重合樹脂
(A)が50重量%以下の場合には、流動性の改善と共
に耐衝撃性や耐熱性等が発現される。本発明において
は、共重合樹脂(A)中の分散ゴム粒子の粒子径は小さ
いがそのグラフト化率は高く、優れた面衝撃強度を有す
るため、共重合樹脂(A)の添加量を50重量%まで増
加させても面衝撃強度を落とさない。また、共重合樹脂
(A)が10重量%以上の場合には、流動性が改良され
成形加工性が良くなる。更に、40/60〜15/85
の範囲が、耐衝撃性及び成形加工性のバランスに優れる
点から特に好ましい。
【0053】前記、共重合樹脂(A)とポリカーボネー
ト樹脂(B)との混合方法は、特に限定されるものでは
ないが、単軸押出し機、2軸押出し機、タンデム押出し
機等の押出し機で溶融混練する方法、ペレットブレンド
し成形機等で溶融混練し直接成形品を得る方法、あるい
は製造工程において、重合終了後の反応液に混合する
か、未反応単量体の脱揮発工程後の溶融樹脂に混練する
か、一方の樹脂の製造工程中に押出機等で溶融した他の
樹脂を添加する等の方法を用いることができる。
【0054】配合樹脂の混練性を高めて優れた物性バラ
ンスを発現させる点では二軸押出機が好ましく、また、
コストの点及び樹脂にかかる熱履歴を少なくし物性低下
を抑制するという点からペレットブレンドによる直接成
形が好ましい。配合した樹脂を二軸押出機、成形機にて
溶融混練する際の温度に関して、目的の品質を得るため
に任意の温度で溶融混練することができるが、混練性及
び熱劣化を抑制する点から200〜300℃が好まし
い。
【0055】また、本発明においては、共重合樹脂
(A)とポリカーボネート樹脂(B)に加え、更に、イ
ソパラフィン系重合体を併用させることにより、可塑性
を付与すると共に、成形品の剛性を高められる他、成形
品の表面外観を飛躍的に向上させることができる。
【0056】イソパラフィン系重合体は、特に限定され
るものではないが、イソブテン、イソペンテン、イソヘ
キセン、イソヘプテン、イソオクテン等に代表されるイ
ソオレフィンを主たる成分とする原料成分の重合体、こ
れらイソオレフィンの2種上の共重合体、これらイソオ
レフィンとその他のオレフィンとの共重合体又はその変
性物等が挙げられ、その具体的構造は、イソアルキレン
単位を繰り返し単位とする構造を主構造とするもの、イ
ソアルキレンと1−アルケンと2−アルケンとの共重合
体、又はイソアルキレン単位を繰り返し単位とする構造
のマレイン酸変性体若しくは5硫化燐変性体等が挙げら
れる。
【0057】これらのイソオレフィンの中でも特に成形
品の表面外観及び可塑化の点からイソブチレンと1−ブ
テンと2−ブテンとの共重合体、又はイソブチレンが好
ましい。また、前者の共重合においては、通常、原料イ
ソブチレン中に、イソブチレンの他、1−ブテン、2−
ブテン等のモノマーをも含有する為、これらを重合して
得られる液状で粘性のある液体として用いてもよい。
【0058】また、イソパラフィン系重合体は、分子内
の不飽和結合を水素添加しないもの、又は水素添加した
ものでも良い。また、イソオレフィンの重合体の変性物
を得るには、当該イソオレフィンを、マレイン酸、5硫
化燐等の不飽和結合含有単量体と共に重合させるか、イ
ソオレフィンを重合させた後、ポリマー中に存在する不
飽和結合に、前記不飽和結合単量体を反応させればよ
い。
【0059】イソパラフィン系重合体の混合方法は、前
記の共重合樹脂(A)及びポリカーボネートの混合方法
と同様に、単軸押出し機、2軸押出し機、タンデム押出
し機等の押出し機で溶融混練する方法、ペレットブレン
ドし成形機等で溶融混練し直接成形品を得る方法、ある
いは製造工程において、重合終了後の反応液に混合する
か、未反応単量体の脱揮発工程後の溶融樹脂に混練する
か、一方の樹脂の製造工程中に押出機等でイソパラフィ
ン系重合体を添加する等の方法を用いることができる。
【0060】これらの混練性を高めて優れた物性バラン
スを発現させる点では、共重合樹脂(A)又はポリカー
ボネート樹脂(B)の製造時、即ち、共重合樹脂(A)
又はポリカーボネート樹脂(B)の重合原料溶液中に溶
解させて、共重合樹脂(A)又はポリカーボネート樹脂
(B)の重合を行う方法が混錬性及びハンドリング上好
ましい。
【0061】これらのイソパラフィン系重合体は、特に
分子量等については制限されるものではないが、通常、
BM型粘度計による粘度が20〜10,000cps
(38℃)であることが好ましく、なかでも50〜3,
000cpsの範囲が共重合樹脂(A)と混合する時の
混合分散性、或いは共重合樹脂(A)を構成するスチレ
ン系部位、アクリル系部位及びジエン系ゴム質重合体の
各成分との相溶性に優れ、更に成形性、耐衝撃性及び成
形品の表面外観を向上させる点から好ましい。また、成
形性、耐衝撃性のバランスの点から平均分子量200〜
3,000cpsであることが好ましい。
【0062】本発明の熱可塑性組成物には、更に、シリ
コーンオイルを併用することにより、IZOD衝撃強度
を一層向上させることができる。シリコーンオイルとし
ては、特に限定されるものではないが、ポリジメチルシ
ロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等が挙げられ
る。シリコーンオイルの配合方法としては、特に限定さ
れるものではなく、イソパラフィンのおける混合方法と
同様に行われる。
【0063】更に、本発明の熱可塑性組成物には、難燃
剤、難燃助剤を配合することにより難燃性を付与するこ
とができる。難燃剤は、特に限定されるものではない
が、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスフィン、
ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、
ホスフィン酸、又はその塩等の有機リン化合物や、ポリ
リン酸アンモニウム等の無機リン化合物、また、金属水
酸化物(水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等)や
金属酸化物(酸化スズ、酸化ジルコニウム等)、金属炭
酸塩、金属ホウ酸塩等の種々の金属化合物が挙げられ、
これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
また、難燃剤は赤リンであっても良い。この赤リンはあ
らかじめ表面が処理された赤リンであっても良く、表面
処理方法としては、金属酸化物や熱可塑性樹脂及び金属
酸化物の被膜による被覆処理等が挙げられる。
【0064】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更に高度
な難燃性を付与するため、例えばトリアジン化合物、ノ
ボラック樹脂、シリコーン樹脂、シリカ、フッ素樹脂、
アラミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維から選ばれる
少なくとも1種の難燃助剤を含んでも良い。
【0065】更に、本発明の組成物には、必要に応じ
て、ミネラルオイル等の可塑剤、酸化防止剤、連鎖移動
剤、離型剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、発泡
剤、補強材、相溶化促進剤等の如き公知の添加剤を併用
しても良い。これらの配合方法としては、特に限定され
るものではないが、イソパラフィンのおける混合方法と
同様に行われる。
【0066】また、本発明の組成物は、射出成形、シー
トやフィルム成形品に適した単軸押出成形、二軸延伸押
出成形、インフレ−ション押出成形、異形押出成形、真
空成形、圧空成形、吹込成形等の成形方法により各種成
形物にして使用することが出来る。その用途は広範なも
のに及び、例えば冷蔵庫の内装材料、テレビやエヤコン
のハウジング、クリーナーボックス等の家庭電気・器具
類の部品;複写機、プリンター、ファクシミリ、パソコ
ン等のOA機器の各種部品;食品容器;医療器具類の部
品;食品のシート包装容器等の各種の成形物として用い
られる。
【0067】更に本発明の組成物には、必要に応じてポ
リスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、AS樹
脂、ABS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合
樹脂、ゴム変性スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹
脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸
共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹
脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂を適宜添加するこ
ともできる。これらのなかでも、特にポリスチレン樹
脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、スチレン−メタクリル
酸メチル共重合樹脂、ゴム変性スチレン−メタクリル酸
メチル共重合樹脂が、本発明の共重合樹脂(A)及びポ
リカーボネート樹脂(B)との相溶性に優れる点から好
ましい。
【0068】
【実施例】以下に本発明を更に詳細に説明するための実
施例を示すが、もとより本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。実施例に示された値は次の方法に
より測定したものである。なお、特に断りがない限り、
以下に示す部は全て重量部を、%は全て重量%を表す。
【0069】1.トルエン不溶分含有率及びトルエンに
よる膨潤指数 スチレン系樹脂組成物1gを精秤し、トルエン100 m
l に25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液を遠
心管に移し、10℃以下、8500rpmで15分間遠心分離
を行ない、上澄液をデカンテーションにより除いた後、
トルエンで膨潤した不溶分の重さを測定する。次に60
℃の真空乾燥器で24時間乾燥させ、得られたトルエン
不溶分の重さを測定し、以下の式によりトルエン不溶分
含有率を算出する。
【0070】トルエン不溶分含有率=[トルエン不溶分
の重量/樹脂の重量]×100(%) また、膨潤指数は次式により算出する。膨潤指数=膨潤
したトルエン不溶分の重さ/乾燥後のトルエン不溶分の
重さ
【0071】2.樹脂中のゴム質重合体の平均粒子径 分散媒としてDMFを用い、散乱式粒度分布測定装置で
測定される組成物中の体積基準のメジアン径を測定し
た。
【0072】3.共重合体樹脂(A)のマトリックス樹
脂の重量平均分子量 東ソー株式会社製「HLC−8020」を用いて測定し
た。試料をメタノール/MEK混合溶媒に溶解させ、溶
液をメタノールへ注ぎマトリックス樹脂相中のポリスチ
レンを沈殿させる。得られた資料を下記条件で測定し
た。 カラム:「TSK gel G6000HXL」、「TS
K gel 5000HXL」、「TSK gel 4000
HXL」、「TSK gel 2500HXL」を各1
本、カラム温度:40℃、検出器:RI、溶媒:TH
F、流速:1ml/分
【0073】4.流動性 JIS K-7210に準拠して測定した。測定条件は230℃、
3.8kgで行った。 5.IZOD衝撃値 JIS K-7110に準拠して測定した。試験片は厚み6.4m
mで行った。 6.曲げ強度 JIS K-7203に準拠して測定した。
【0074】7.引張り強度 JIS K-7113に準拠して測定した。 8.光沢 ダンベル試験片の光沢を JIS Z-8741(入射角60度)に
準拠して測定した。
【0075】[連続塊重合装置]本実施例で使用する共重
合樹脂(A)は図1に示すように配列された装置により
得られる。スチレン、メタクリル酸メチル、ジエン系ゴ
ム質重合体及び溶媒を含む混合溶液を、プランジャーポ
ンプ(1)によって20リットルの攪拌式反応器(2)
へ送り、攪拌翼による動的混合下に初期グラフト重合し
た。次いでこの混合溶液をギアポンプ(3)によって循
環重合ライン(I)に送る。循環重合ライン(I)は入口
から順に内径2.5インチ管状反応器(スイス国ゲブリュ
ーダー・ズルツァー社製SMX型スタティックミキサー
・静的ミキシングエレメント30個内蔵)(4)、
(5)及び(6)と混合溶液を循環させるためのギアポ
ンプ(7)から構成されている。管状反応器(6)とギ
アポンプ(7)の間には非循環重合ライン(II)に続く
出口が設けられている。非循環重合ライン(II)には入
口から順に上記と同様の管状反応器(8)、(9)及び
(10)とギアポンプ(11)が直列に連結されてい
る。
【0076】共重合樹脂(A−1) スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔25℃における5%
スチレン溶液粘度(以下、5%SVと略す):32セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:5/95〕6.4
部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:10
センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:38/62 〕
1.6部、スチレン85部、メタクリル酸メチル15部
及びエチルベンゼン10部から成る混合溶液を調製し、
更に、連鎖移動剤として単量体混合物100部に対して
0.02部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化
物として単量体混合物100部に対して0.025部の
t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1.
5部のミネラルオイル(島貿易社製、S-250)を加え、
上記装置を用いて下記条件で連続的に塊状重合させた。
【0077】 混合溶液の連続的な供給量:10リットル/時間 攪拌式反応器(2)での反応温度:120℃ 循環重合ライン(I)での反応温度:135℃ 非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160
℃ 還流比 :R=F1/F2=5
【0078】重合させて得られた混合溶液を熱交換器で
225℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を
除去した後、ペレット化して本発明の共重合樹脂(A−
1)組成物を得た。これにより得られた共重合体樹脂中
のトルエン不溶分含有率/膨潤指数は1.37、マトリ
ックス相の重量平均分子量(Mw)は16万であり、ゴ
ム粒子径は0.65μmであった。
【0079】共重合樹脂(A−2) ローシスポリブタジエン〔 5%SV:35センチポイズ
〕5.6部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%
SV:10センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量
比:38/62 〕2.4部、スチレン90部、メタクリル酸
メチル10部及びエチルベンゼン10部から成る混合溶
液を用いた以外は実施例1と同様にして共重合樹脂(A
−2)を得た。これにより得られた共重合体樹脂中のト
ルエン不溶分含有率/膨潤指数は1.63、マトリック
ス相の重量平均分子量(Mw)は16万であり、ゴム粒
子径は0.71μmであった。
【0080】共重合樹脂(A−3) スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:32セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:5/95 〕6.
4部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:1
0センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:38/62
〕1.6部、スチレン83部、メタクリル酸メチル1
5部、アクリル酸ブチル2部及びエチルベンゼン10部
から成る混合溶液を用いた以外は実施例1と同様にして
共重合樹脂(A−3)を得た。これにより得られた共重
合体樹脂中のトルエン不溶分含有率/膨潤指数は1.4
5、マトリックス相の重量平均分子量(Mw)は16万
であり、ゴム粒子径は0.68μmであった。
【0081】共重合樹脂(A−4) スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:32セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:5/95 〕4.
0部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:3
2センチポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:40/60
〕6.0部、スチレン82部、メタクリル酸メチル1
8部及びエチルベンゼン10部から成る混合溶液を用い
た以外は実施例1と同様にして共重合樹脂(A−4)を
得た。これにより得られた共重合体樹脂中のトルエン不
溶分含有率/膨潤指数は2.02、マトリックス相の重
量平均分子量(Mw)は16万であり、ゴム粒子径は
1.03μmであった。
【0082】共重合樹脂(A−5) スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔5%SV:10セン
チポイズ、スチレン/ブタジエン重量比:38/62 〕8.
0部、スチレン48部、メタクリル酸メチル52部及び
エチルベンゼン10部から成る混合溶液を用いた以外は
実施例1と同様にして共重合樹脂(A−5)を得た。こ
れにより得られた共重合体樹脂中のトルエン不溶分含有
率/膨潤指数は1.02、マトリックス相の重量平均分
子量(Mw)は15万であり、ゴム粒子径は0.65μ
mであった。
【0083】共重合樹脂(A−6) ローシスポリブタジエン〔 5%SV:35センチポイズ
〕8.0部、スチレン100部及びエチルベンゼン1
0部から成る混合溶液を用いた以外は実施例1と同様に
して本発明の共重合樹脂(A−6)を得た。これにより
得られた共重合体樹脂中のトルエン不溶分含有率/膨潤
指数は1.11、マトリックス相の重量平均分子量(M
w)は19万であり、ゴム粒子径は1.05μmであっ
た。
【0084】ポリカーボネート樹脂(B) 出光石油化学株式会社のタフロンIV1900Rを用い
た。
【0085】(実施例1〜12)本発明を構成する共重
合樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)を表1記載
の組成でブレンドし、二軸押出機を用いて200〜30
0℃の温度で溶融混練した後、ペレット化した。次いで
このようにして得られた樹脂組成物を射出成形して試験
片を作成し、各種物性を測定した。この物性の測定結果
を表2に示す。
【0086】(比較例1〜6)本発明を構成する共重合
樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)を表1記載の
組成でブレンドし、二軸押出機を用いて200〜300
℃の温度で溶融混練した後、ペレット化した。次いでこ
のようにして得られた樹脂組成物を射出成形して試験片
を作成し、各種物性を測定した。この物性の測定結果を
表2に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、成形加工性に富み、耐
衝撃性に優れ、更に表面外観に優れる熱可塑性樹脂成物
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 静的ミキシングエレメントを有する管状反応
器を組み込んだ連続塊状重合ラインの1例を示す工程図
である。
【符号の説明】
(1):プラジャーポンプ (2):撹拌式反応器 (3):ギヤポンプ (4):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (5):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (6):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (7):ギヤポンプ (8):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (9):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器 (10):静的ミキシングエレメントを有する管状反応
器 (I):循環重合ライン (II):非循環重合ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 毅 千葉県千葉市花見川区宮野木台1−25−15 −204 Fターム(参考) 4F071 AA22 AA33 AA50 AA67 AA77 AD02 AH19 BC07 4J002 BN16W CG00X CP03Y FD130 GG01 4J026 AA17 AA68 AC10 AC11 BA05 BA06 BA08 BA25 BA27 BA31 BA34 BA35 BA38 BB03 DB02 DB03 DB05 DB40 FA07 GA04 GA09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体とアクリル系単量体と
    の共重合樹脂をマトリックス相とし、ジエン系ゴム質重
    合体にスチレン系単量体及びアクリル系単量体がグラフ
    トした共重合樹脂粒子を分散ゴム粒子とする共重合樹脂
    (A)、及びポリカーボネート樹脂(B)を必須成分と
    する熱可塑性樹脂組成物において、共重合樹脂(A)が
    (25℃でのトルエン不溶分含有率/25℃でのトルエ
    ン膨潤指数)の値が1.2〜2.5の範囲のものである
    熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 共重合樹脂(A)の分散ゴム粒子の散乱
    式粒度分布測定装置で測定される体積基準のメジアン径
    が0.5〜1.2μmの範囲であり、且つ、サラミ構造
    を有するゴム粒子(a1)とコアシェル構造を有するゴ
    ム粒子(a2)とが共存し、透過型電子顕微鏡写真で粒
    子1000個を観察した場合のサラミ構造粒子(a1)
    とコアシェル構造粒子(a2)の存在比が(a1)/
    (a2)=40/60〜90/10の範囲である請求項
    1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ジエン系ゴム質重合体が、スチレン系単
    量体とジエン系単量体との共重合体、ジエン系単量体の
    単独重合体及びスチレン系単量体とジエン系単量体との
    共重合体の混合ゴム質重合体、又は、スチレン系単量体
    /ジエン系単量体=1/99〜20未満/80より大
    (重量基準)の共重合体とスチレン系単量体/ジエン系
    単量体=20/80〜50/50(重量基準)の共重合
    体の混合ゴム質重合体である請求項1又は2に記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 共重合樹脂(A)のマトリックス相が、
    スチレン系単量体とアクリル系単量体とを、スチレン系
    単量体/アクリル系単量体=95/5〜81/19(重
    量基準)で共重合したものである請求項1、2又は3に
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 共重合樹脂(A)のマトリックス相が、
    重量平均分子量10万〜30万である請求項1〜4のい
    ずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 分散ゴム粒子を含有するスチレン系単量
    体とアクリル系単量体との共重合樹脂(A)と、ポリカ
    ーボネート樹脂(B)との存在比が、重量基準で(A)
    /(B)=50/50〜10/90である請求項1〜5
    のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1つに記載の熱
    可塑性樹脂組成物に、シリコーンオイルを含有する樹脂
    組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1つに記載の熱
    可塑性樹脂組成物からなる成形物。
JP2000290247A 1999-09-30 2000-09-25 熱可塑性樹脂組成物 Pending JP2001164077A (ja)

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