JP2001163171A

JP2001163171A - ガス発生器

Info

Publication number: JP2001163171A
Application number: JP35148699A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Ishida; 武石田; Yoshiyuki Kishino; 喜行岸野
Original assignee: Nippon Kayaku Co Ltd
Current assignee: Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date: 1999-12-10
Filing date: 1999-12-10
Publication date: 2001-06-19
Also published as: US6779812B2; US20020180191A1; EP1236624A1; EP1236624A4; WO2001042061A1

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明は、ハウジングの全体容積を有効に利
用して小型・軽量化を図ること、高温ガスのスラグ捕集
・冷却をフィルタ材全体にて行うこと、及びエアバッグ
の膨張展開を制御可能とすることにある。【解決手段】本発明のガス発生器は、側面衝突用、又
は助手席用のエアバッグに適用するものである。このガ
ス発生器Ｓは、長尺円筒状のハウジング１を備えてい
る。ハウジング１の内部には、ハウジング１の軸方向に
わたって、第１燃焼室３、フィルタ材内２の第３燃焼室
５及び第２燃焼室４を形成してなる。各燃焼室内３〜５
には、燃焼により高温ガスを発生するガス発生剤６を装
填し、ハウジング１のホルダ９には、第１燃焼室３内の
ガス発生剤６のみを着火させる点火手段７を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ガス発生器、特に
側面衝突用、又は助手席用のエアバッグを膨張展開させ
るのに好適なガス発生器に関する。

【０００２】

【従来の技術】側面衝突用、又は助手席用のエアバッグ
を膨張展開させるガス発生器の一例としては、図５に示
すものが提案されている。図５のガス発生器は、主とし
て側面衝突用のエバッグを膨張展開させるもので、長尺
円筒状のハウジング５１を備えている。ハウジング５１
の内部には、仕切リング板５４によって、ハウジング５
１の軸方向に燃焼室５２と冷却濾過室５３とが形成され
ている。燃焼室５２内には、燃焼により高温ガスを発生
するガス発生剤５５が装填され、又、冷却濾過室５３内
には、ガス発生剤５５の燃焼により発生した高温ガスを
濾過、冷却する円筒状のフィルタ材５６が装着されてい
る。又、ハウジング５１の軸端部には、燃焼室５２内に
火炎を噴出する点火器５７が装着されている。

【０００３】このガス発生器においては、衝突センサか
らの衝突検出信号により点火器５７を通電発火し、この
火炎を燃焼室５２内に噴出させて、ガス発生剤５５を着
火燃焼させることで、多量の高温ガスを急激に発生させ
る。燃焼室５２内で発生した高温ガスは、仕切リング板
５４内を通して冷却濾過室５３のフィルタ材５６内側に
流出した後、フィルタ材５６内に流入し、ここでスラグ
捕集と冷却を経て、ハウジング５１の各ガス放出孔５１
ａからエアバッグ内に放出される。エアバッグは、各ガ
ス放出孔５１ａから放出される多量の清浄なガスによっ
て、急速に膨張展開される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、ガス
発生器の技術分野では、小型・軽量化のガス発生器が要
求されつつある。この観点からして、従来のガス発生器
では、燃焼室５２、冷却濾過室５３とを形成し、フィル
タ材５６の孔内に何も装着しない無駄な空間を有してい
ることから、ハウジングの全体容積を有効に利用して、
小型・軽量化を図ることにも一定の限度がある。即ち、
従来のガス発生器では、小型・軽量化に対応するため、
ハウジング５１を小径にすると、エアバッグを膨張展開
させるガス発生剤５５の装填量を確保すべく、ハウジン
グ５１の燃焼室５２の軸方向の長さを長くする必要があ
る。又、ハウジング５１の軸方向の長さを短くすると、
同様な理由からハウジング５１を大径にする必要があ
る。

【０００５】また、従来のガス発生器では、自動車衝突
の形態（低速衝突、高速衝突など）の如何に拘らず、常
に、多量のガスを放出してエアバッグを急速に展開膨張
させる形態を有している。従って、従来のガス発生器で
は、自動車衝突の形態に応じてエアバッグの膨張展開を
制御可能となすソフトインフレーション技術に対応でき
ない。

【０００６】本発明のガス発生器は、ハウジングの全体
容積を有効に利用して小型・軽量化を図ること、高温ガ
スのスラグ捕集・冷却をフィルタ材全体にて行うこと、
及びエアバッグの膨張展開を制御可能とすることにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のガス発生器（請
求項１）は、長尺円筒状のハウジングを備えている。ハ
ウジングの内部には、ハウジングの軸方向にわたって、
第１燃焼室、フィルタ材の孔内の第３燃焼室及び第２燃
焼室の順に連続して形成してなる。各燃焼室内には、ガ
ス発生剤を装填し、第１燃焼室及び第２燃焼室の少なく
とも一方には、ガス発生剤を着火させる点火手段を配設
する。これによって、フィルタ材内の第３燃焼室にもガ
ス発生剤を装填することで、ハウジングの全体容積を有
効に利用して、フィルタ材、ガス発生剤を装着・装填で
きる。従って、ガス発生器を小型・軽量化するため、例
えば、ハウジングを小径としても、ハウジングの軸方向
の長さを長くする必要がなく、エアバッグの膨張展開さ
せるに十分なガス発生剤の装填量を確保できる。又、本
発明のガス発生器では、点火手段を通電発火すると、こ
の火炎が、例えば第１燃焼室内に噴出される。そして、
ハウジング内での燃焼は、第１燃焼室、フィルタ材内の
第３燃焼室及び第２燃焼室の順に移って行くことにな
る。ガス発生剤の燃焼によって発生したガスは、第１燃
焼室側から順次、フィルタ材内の第３燃焼室を通って第
２燃焼室側に移って行くことになるので、高温ガスをフ
ィルタ全体にわたって流入させることがきる。このこと
から、第３燃焼室内のガス発生剤は、エアバッグを膨張
展開させるガス発生機能と、第１燃焼室内で発生した火
炎、熱などを第２燃焼室に伝播する伝火剤機能を備えて
いる。更に、本発明のガス発生器では、第１燃焼室、第
３燃焼室及び第２燃焼室の順に、ガス発生剤を燃焼させ
ることで、ハウジング内に発生する高温のガス量を、燃
焼初期に第１燃焼室などで発生した少量とし、その後、
各燃焼室で発生した多量のものにできる。そして、第１
燃焼室及び第２燃焼室の夫々に点火手段を配設し、各点
火手段を時間差をもって通電発火することで、ハウジン
グ内で発生する高温ガスの発生量を制御可能とすること
もできる。これで、エアバッグの膨張展開を制御可能と
なすソフトインフレーション技術に対応できる。なお、
本発明のガス発生器では、第１〜第３燃焼室のうち任意
の燃焼室、例えば、フィルタ材内の第３燃焼室内にガス
発生剤を装填しない構造も採用することができる。

【０００８】本発明となるガス発生器（請求項２）で
は、請求項１のものにおいて、各燃焼室のガス発生剤を
連続して装填してなるものである。これによって、少な
くとも第１燃焼室、又は第２燃焼室のガス発生剤を、点
火手段によって着火させることで、各燃焼室のガス発生
剤を連続して着火燃焼できる。

【０００９】本発明となるガス発生器（請求項３）で
は、請求項１のものにおいて、点火手段を、通電発火す
る点火具のみで構成したものである。これによって、ハ
ウジングの軸方向に、点火手段の火炎を伝播させる伝火
剤などを装着することなく、構造の簡素化を図れる。例
えば、第１燃焼室のガス発生剤を、点火具の火炎のみで
着火させるには、点火具から噴出される火炎、熱などを
第１燃焼室内にこもらせる必要がある。本発明のガス発
生器では、ハウジング１の軸方向に各燃焼室を連続して
形成し、第３燃焼室を第１燃焼室、及び第２燃焼室より
小径とすることで、第１燃焼室内において火炎、熱がこ
もり易い構造としている。

【００１０】本発明となるガス発生器（請求項４）で
は、請求項１のものにおいて、第１燃焼室と第２燃焼室
とのガス発生剤の装填量を異にしたものである。これに
よって、第１燃焼室、及び第２燃焼室での高温ガスの発
生量を調整できる。この高温ガスの発生量は、第１燃焼
室、及び第２燃焼室の容積比率を適宜変更し、ガス発生
剤の装填量を調整することで達成できる。具体的には、
フィルタ材の長さ、又はフィルタ材をハウジング内に装
着する位置を変更することで、第１燃焼室、及び第２燃
焼室の容積比率を変更する。

【００１１】本発明となるガス発生器（請求項５）で
は、請求項１のものにおいて、第１燃焼室の容積と、第
２燃焼室の容積とを異ならせてなるものである。これに
よって、第１燃焼室、及び第２燃焼室でのガス発生剤の
装填量を調整できる。そして、ガス発生剤の装填量を調
整することで、高温ガスの発生量も調整できることな
る。第１燃焼室、及び第２燃焼室の容積は、フィルタ材
の長さ、又はフィルタ材をハウジング内に装着する位置
を変更することで調整できる。

【００１２】本発明となるガス発生器（請求項６）で
は、請求項１のものにおいて、フィルタ材の端面に仕切
り材を設けたものである。これによって、第１燃焼室、
又は第２燃焼室で発生した高温ガスは、直接フィルタ材
の端面、又は各ガス放出孔に直接流出することなく、フ
ィルタ材の孔内の第３燃焼室に導くことができる。従っ
て、燃焼初期において、点火手段から噴出される火炎な
どを第１燃焼室、又は第２燃焼室内にこもらせることが
可能となり、点火手段の火炎などを有効に利用して、ガ
ス発生剤を容易、急速に燃焼できる。

【００１３】本発明となるガス発生器（請求項７）は、
請求項１〜請求項６のものを、側面衝突用のエアバッグ
として装着されるものである。一般的に、側面衝突用の
エアバッグなどは、自動車の極めて狭い空間に組み込ま
れるので、ガス発生器の小型・軽量化が、特に要求され
るものである。そして、本発明のガス発生器によれば、
小型・軽量化に対応でき、側面衝突用のエアバッグを膨
張展開させるときに最適なものとなる。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態におけるガス発
生器について、図１〜図３を参照して説明する。

【００１５】図１及び図２に示すガス発生器Ｓは、主と
して側面衝突用のエアバッグを膨張展開させるものであ
る。このガス発生器Ｓは、長尺円筒状のハウジング１
と、ハウジング１内に装着される円筒状のフィルタ材２
と、ハウジング内に形成される第１〜第３燃焼室３〜５
と、ハウジング１内の第１〜第３燃焼室３〜５に装填さ
れるガス発生剤６と、ガス発生剤６を強制的に着火させ
る点火手段７とを備えている。

【００１６】ハウジング１は、両端開口の外筒８と、外
筒８の各開口端を閉鎖するホルダ９及びプラグ１０とで
構成されている。このハウジング１は、外筒８内の各開
口端側にホルダ９及びプラグ１０を嵌め込み、外筒８の
外周に絞り加工を施すことで、内部に密封空間Ｐを形成
する構造である。この絞り加工は、図３にも示すよう
に、外筒８の各開口側をホルダ９、及びプラグ１０に形
成されたＶ字状の環状溝１２内に突出させることで突起
８ｂを形成し、さらに各突起８ｂを各環状溝１２内のＶ
字形状に密着して沿わせるものである。これで、各環状
溝１２内に装着されたシールリング１３は、外筒８の内
周、及び各環状溝１２内のＶ字形状に弾接されて、ハウ
ジング１内を密封する。又、ホルダ９、及びプラグ１０
は、外筒８の各突起８ｂと各環状溝１２内との密着によ
って、外筒８内に位置決め、抜け止めされる。

【００１７】ハウジング１の外筒８には、密封空間Ｐと
側面衝突用のエアバッグを連通する複数のガス放出孔８
ａが形成されている。各ガス放出孔８ａは、ハウジンジ
１の各軸端側を除く、フィルタ材２の装着される外筒８
の中程部位に開口し、ハウジング１の軸方向及び周方向
に所定間隔ごとに形成されている。又、各ガス放出孔８
ａは、外筒８の内周に貼着されたバーストプレート１１
にて閉鎖されている。バーストプレート１１は、例え
ば、アルミなどの金属箔で形成され、ハウジング１内の
防湿と内圧調整の役割を果たす。

【００１８】フィルタ材２は、ハウジング１の軸方向
で、ホルダ９とプラグ１０の間の寸法より短い寸法に形
成され、ハウジング１の密封空間Ｐ内に挿入されてい
る。このフィルタ材２は、ハウジング１の軸心と同心に
して、ハウジング１の軸方向に延びるように配置され
る。フィルタ材２の軸心方向には、ハウジング１の軸方
向に貫通する内孔２Ａが形成されている。

【００１９】又、フィルタ材２は、ハウジング１内の各
軸端側を除く、各ガス放出孔８ａの形成された外筒８の
中程部位に位置決めされる。これで、フィルタ材２は、
フィルタ材２の各軸端面とハウジング１の各軸端部とな
るホルダ９、及びプラグ１０との間にて、大径の第１及
び第２燃焼室３，４を形成する。又、フィルタ材２の内
孔２Ａには、ハウジング１の軸方向に貫通する小径の第
３燃焼室５が形成され、第３燃焼室５を通して第１及び
第２燃焼室３，４を連通している。従って、ハウジング
１の密封空間Ｐ内は、ホルダ９側からハウジング１の軸
方向にわたって、第１燃焼室３、第３燃焼室５及び第２
燃焼室４の順に連続する構造となる。尚、フィルタ材２
は、例えば、メリヤス編み金網やクリンプ織り金属線材
などの集合体を、円筒状に成形することで安価に製作さ
れる。

【００２０】そして、フィルタ材２の位置決めは、フィ
ルタ支持体１４、更に外筒８の外周に施す絞り加工によ
って行われる。このフィルタ支持体１４は、複数のガス
通過孔１５ａを有する内筒材１５、及び２つの仕切りキ
ャップ１６，１７とでなる。内筒材１５は、フィルタ材
２の外周に装入される。又、各仕切りキャップ１６，１
７は、フィルタ材２の各軸端側から、外筒８の内周と内
筒材１５の外周に嵌め込まれる。これで、フィルタ支持
体１４は、内筒材１５及び各仕切りキャップ１６，１７
とでフィルタ材２を支持し、各キャップ１６，１７の外
筒８内周への嵌め込みによってハウジング１の径方向へ
の移動を規制して、位置決めする。又、フィルタ支持体
１４は、各仕切りキャップ１６，１７を外筒８の内周と
内筒材１５の外周との間に嵌め込むことで、外筒８の内
周と内筒材１５の外周との間に環状のガス通過空間Ｐ１
を形成する。更に、各仕切りキャップ１６，１７は、外
筒８及び内筒材１５との嵌め込みによって、フィルタ材
２の内孔２Ａに連通する開口１６Ａ，１７Ａを備え、フ
ィルタ材２の内孔２Ａを除く各軸端内を閉鎖すること
で、第１燃焼室３又は第２燃焼室４内で発生する高温ガ
スを、直接フィルタ材２の端面又は各ガス放出孔８ａに
流出することを防止する。即ち、各仕切りキャップ１
６，１７は、大径の第１燃焼室３又は第２燃焼室４内で
発生した高温ガスを、各開口１６Ａ，１７Ａを通して小
径の第３燃焼室５内に導く機能を備えるものである。こ
れで、各仕切りキャップ１６，１７は、大径の第１燃焼
室３、第２燃焼室４から小径の第３燃焼室５内に流れる
高温ガス量を規制して、第１燃焼室３や第２燃焼室４に
噴出される火炎などをこもらせる効果を発揮するもので
ある。そして、フィルタ材２をフィルタ支持体１４で支
持した後、外筒８の外周に絞り加工を施す。この絞り加
工は、外筒８をハウジング１内に突出させることで、フ
ィルタ材２の各軸端側から各キャップ１６，１７に当接
する突起８ｃを形成する。これで、各突起８ｃは、ハウ
ジング１の軸方向で、フィルタ材２及びフィルタ支持体
１４を挟む状態で支持し、各キャップ１６，１７との当
接によってハウジング１の軸方向への移動を規制して、
位置決めする。また、各突起８ｃは、各キャップ１６，
１７に隙間なく当接され、各燃焼室３，４内で発生した
高温ガスが各キャップ１６，１７と外筒８の内周との間
から直接ガス通過空間Ｐ１内に流れるのを規制する。

【００２１】ガス発生剤６は、燃焼により高温ガスを発
生するもので、第１燃焼室３、フィルタ材２内の第３燃
焼室５、及び第２燃焼室４に装填されている。これで、
ガス発生剤６は、ハウジング１の密封空間Ｐにおいて、
フィルタ材２を除く全ての空間に装填され、又ハウジン
グ１の軸心方向に連続して配置されることになる。又、
ガス発生剤６は、振動による粉状化を２つのクッション
材１８，１９によって防止されている。クッション材１
８は、ホルダ９に設けられたクッション押え材２０とガ
ス発生剤６との間に位置して、第１燃焼室３内に装着さ
れている。このクッション板１８には、十字状の切欠き
が形成されている。又、クッション材１９は、プラグ１
０とガス発生剤６との間に位置して、第２燃焼室４に内
に装着されている。各クッション材１８，１９として
は、シリコンゴムやシリコン発泡体などの弾性材を用い
ることが好ましい。

【００２２】点火手段７は、通電発火する点火具のみか
ら構成され、ハウジング１内側からホルダ９に装着され
ている。又、点火手段７は、第１燃焼室３側に突出する
ように配設して、クッション材１８に当接されている。
これで、点火手段７は、衝突センサからの衝突検出信号
に基づいて通電発火し、この火炎を第１燃焼室３内に噴
出して、第１燃焼室３のガス発生剤６を強制的に着火さ
せる。

【００２３】次に、ガス発生器Ｓの作動を説明する。衝
突センサが自動車の衝突と検出すると、点火手段７が通
電発火される。点火手段７の火炎は、クッション材１８
を破裂、開口した後、第１燃焼室３内に噴出して、第１
燃焼室３のガス発生剤６のみを強制的に着火燃焼させる
ことで、高温ガスを発生させる。このとき、点火手段７
による火炎、高温ガスの熱などは、仕切りキャップ１６
によって、直接、フィルタ材２の軸端内、及び各ガス放
出孔８ａに流れることなく、第３燃焼室５に導かれるこ
とになる。これで、大径の第１燃焼室３から小径の第３
燃焼室５内に流れる高温ガス量が規制され、火炎、高温
ガスの熱が第１燃焼室４内にこもる状態となり、ガス発
生剤６を容易、急速に着火燃焼させる。

【００２４】第１燃焼室３内で発生した高温ガスは、キ
ャップ１６の開口１６Ａを通してフィルタ材２の内孔２
Ａ内の第３燃焼室５内に流れて、フィルタ材２内に流入
し、ここでスラグ捕集と冷却を経て、ガス通過空間Ｐ１
内に流出される。このとき、第３燃焼室５のガス発生剤
６は、流れ込む火炎、高温ガスによって着火燃焼され、
高温ガスを発生する。そして、第３燃焼室５での燃焼
は、第１燃焼室３側からガス発生剤６を順次燃焼させる
ことで、第２燃焼室４に向けて移って行くことになる。
このことから、第３燃焼室５のガス発生剤６は、エアバ
ッグを膨張展開させるガス発生機能と、第１燃焼室４内
で発生した火炎、熱などを第２燃焼室４に伝播する伝火
機能を備えるものである。

【００２５】ハウジング１内の燃焼が進んで、密封空間
Ｐが所定圧力に達すると、バーストプレート１１が破裂
して、ガス通過空間Ｐ１内で均一にされた清浄なガスが
各ガス放出孔８ａからエアバッグ内に放出される。これ
で、エアバッグは、第１燃焼室３のみ、又は第１及び第
３燃焼室３，５で発生した少量のガスによって緩やかに
膨張展開を開始する。

【００２６】続いて、第１燃焼室３のみならず、第３燃
焼室５での燃焼が進むと、第１燃焼室３の燃焼開始から
微小時間差をもって、主として第３燃焼室５での燃焼に
よる火炎、高温ガスが仕切りキャップ１７の開口１７Ａ
から第２燃焼室４内に噴出され、第２燃焼室４内のガス
発生剤６を着火燃焼させることで、高温ガスを発生させ
る。第２燃焼室４内で発生した高温ガスは、第３燃焼室
５内に流れて、フィルタ材２内に流入し、ここでスラグ
捕集と冷却を経て、ガス通過空間Ｐ１内に流出する。ガ
ス通過空間Ｐ１内に流出したガスは、均一化され、各ガ
ス放出孔８ａからエアバッグ内に放出される。これで、
エアバッグは、各燃焼室３〜５から放出される多量の清
浄なガスによって急速な膨張展開に移行される。

【００２７】この結果、エアバッグは、展開初期におい
て第１燃焼室３のみ、又は第１及び第３燃焼室５で発生
した少量のガスにより緩やかに膨張展開を開始し、微小
時間後から、各燃焼室３〜５で発生した多量のガスによ
り急速に膨張展開することになる。

【００２８】このように、本発明のガス発生器Ｓでは、
フィルタ材２の第３燃焼室５内にもガス発生剤６を装填
することで、ハウジングの全体容積を有効に利用して、
フィルタ材２やガス発生剤６の装着・装填を行うことが
できる。従って、ガス発生器Ｓを小型化するため、例え
ば、ハウジング１を小径にしても、ハウジング１の長さ
寸法を変更することなく、エアバッグを膨張展開させる
ガス発生剤６の装填量を確保することが可能となる。

【００２９】又、ハウジング１内のガス発生剤６は、第
１燃焼室３、第３燃焼室５及び第２燃焼室４の順に燃焼
されるので、高温ガスを、フィルタ材２の全体に分散し
て流入させられる。従って、フィルタ材２の熱溶融など
による破損を抑制でき、微小のスラグがエアバッグ内に
放出されることを防止できる。

【００３０】更に、ハウジング１内では、第１燃焼室３
からガス発生剤６を順次燃焼させるので、ハウジング１
内で発生するガス量を、燃焼初期に第１燃焼室３のみ、
又は第１及び第３燃焼室で発生した少量のものとし、そ
の後、微小時間をもって各燃焼室３〜５で発生した多量
のものにできる。この結果、エアバッグの膨張展開を制
御可能とするソフトインフレーション技術に対応でき、
エアバッグ本来の機能を発揮させることが可能となる。

【００３１】尚、本発明のガス発生器では、各燃焼室３
〜５に装填されるガス発生剤６の装填量を適宜変更する
ことで、エアバッグの膨張展開の制御形態を調整でき
る。即ち、フィルタ材２の寸法を長くすることで、第１
及び第２燃焼室３，４の容積を小さくし、ガス発生剤６
の装填量も少なくする。又、フィルタ材２の寸法を短く
することで、第１及び第２燃焼室３，４の容積を大きく
し、ガス発生剤６の装填量も多くする。これで、第１及
び第２燃焼室３，４に装填するガス発生剤６の量を調整
でき、もって第１及び第２燃焼室３，４からエアバッグ
に放出されるガス量も適宜変更でき、エアバッグの膨張
展開の制御形態を変更となせる。尚、第３燃焼室５の容
積比率も、フィルタ材２の寸法を変えることによって変
更できることから、第３燃焼室５のガス発生剤６の装填
量、やガス量も調整できる。又、フィルタ材２の寸法を
変更することなく、フィルタ材２の装着位置を変更する
ことで、第１及び第２燃焼室３，４の容積比率を変更し
て、第１及び第２燃焼室３，４のガス発生剤量を調整で
きる。例えば、フィルタ材２を、図１に示す位置からホ
ルダ９側にずらして装着することで、第１燃焼室３の容
積を小さくし、第２燃焼室４の容積を大きくできる。
又、フィルタ材２を、プラグ１０側にずらすことで、第
１燃焼室３の容積を大きくし、第２燃焼室４の容積を小
さくできる。

【００３２】本発明のガス発生器Ｓにつき、側面衝突用
のエアバッグを膨張展開させるものについて説明した
が、これに限定されるものでなく、インスルトメントパ
ネル内に組み込まれる助手席用のエアバッグにも適用可
能である。助手席用のエアバッグを膨張展開させるガス
発生器は、通常、長尺円筒状のハウジングを備えてお
り、これに図１〜図３で示した構造を適用することで、
小型・軽量化を達成できる。

【００３３】又、本発明のガス発生器Ｓでは、１つの点
火手段７によってガス発生剤６を着火させるものである
が、ハウジング１のプラグ１０にも点火手段を装着する
ことで、エアバッグの膨張展開を制御可能とする構造も
採用できる。そして、２つの点火手段の通電発火を適宜
選択することで、エアバッグの膨張展開を制御する。即
ち、各点火手段を同時に通電発火することで、エアバッ
グを各燃焼室内で発生する多量のガスによって急速に膨
張展開させる。又、各点火手段を時間差をもって通電発
火することで、エアバッグを展開初期において第１燃焼
室で発生した少量のガスによって緩やかに膨張展開さ
せ、微小時間差後、各燃焼室で発生した多量のガスにて
急速に膨張展開させる。

【００３４】更に、点火手段７側の仕切りキャップ１６
の開口１６Ａを、バーストプレート２５などで閉鎖する
ことで、燃焼初期において、第１燃焼室３をフィルタ材
の第３燃焼室５から遮断する構成を採用できる。これ
で、第１燃焼室３は、仕切りキャップ１６、及びバース
トプレート２５によって、フィルタ材２の軸端内、各ガ
ス放出孔８ａ及び第３燃焼室５から遮断される状態とな
り、燃焼初期において、点火手段７から噴出される火
炎、高温ガスの熱をこもらせることになる。従って、第
１燃焼室３での燃焼は、点火手段７の火炎、ガス発生剤
６の燃焼により発生する高温ガスの熱を有効に利用し
て、ガス発生剤６を容易、急速に燃焼できる。尚、バー
ストプレート２５は、第１燃焼室３の内圧上昇や火炎に
よって破裂される。この結果、点火手段７を点火具のみ
で構成しても、この点火具の火炎のみで、第１燃焼室３
内のガス発生剤６を充分に着火燃焼させることが可能と
なる。

【００３５】また、ガス発生剤６は、第１燃焼室３、第
３燃焼室５及び第２燃焼室４の順に連続して充填するも
のを示したが、これに限定させるものでない。例えば、
各燃焼室３と５の間、５と４の間に、ガス発生剤６の燃
焼により破裂可能な仕切部材を設けることで、ガス発生
剤６を不連続に装填しても良い。さらに、各燃焼室３〜
５の間に空間を形成する構造も採用できる。

【００３６】さらに、第１〜第３の燃焼室３〜５の全て
に、ガス発生剤６を装填するものについて説明したが、
各燃焼室３〜５のうち任意の燃焼室にガス発生剤６を装
填しない構造も採用できる。特に、第３燃焼室５内のガ
ス発生剤６は、第１燃焼室３内で発生した高温ガス、火
炎などを第２燃焼室４内に伝播する機能を備えているこ
とから、第１燃焼室３内で発生した高温ガス、火炎など
をフィルタ材２の内孔２Ａを通して、第２燃焼室４内に
十分伝播できるなら、第３燃焼室５内にガス発生剤６を
装填しなくても、第２燃焼室４内のガス発生剤６を着火
燃焼できる。

【００３７】

【実施例】次に、本発明のガス発生器Ｓであって、ソフ
トインフレーション技術の適用性についての試験結果
を、図４により説明する。試験としては、本発明のガス
発生器（図１参照）と、従来のガス発生器（図５参照）
との比較において、圧力上昇特性を測定した。また、圧
力上昇特性は、６０リットルタンク試験によって測定し
たものである。ここで、６０リットルタンク試験とは、
容積６０リットルのステンレス製タンク内に、ガス発生
器を装着し、タンクを密封した後、点火器を通電発火し
てガスを発生させることで、タンク内圧の変化（上昇
率）を時間経過（ミリ秒）との関係で測定する。

【００３８】そして、本発明のガス発生器、従来のガス
発生器との圧力上昇特性の試験結果を図４に示す。本発
明のガス発生器は、ガス発生剤の燃焼初期において、従
来のガス発生器に比して緩やかな圧力上昇率をもってい
る。また、所定時間（ミリ秒）経過したａ点より、本発
明のガス発生器は、従来のガス発生器より急激な圧力上
昇をもって最高圧力値Ｐｍａｘに達している。このこと
は、本発明のガス発生器において、ガス発生剤を、微小
時間差をもって第１燃焼室、第３燃焼室及び第２燃焼室
の順に燃焼させたことに起因する。また、本発明のガス
発生器において、第１燃焼室のガス発生剤を着火燃焼す
ると、第１燃焼室内で発生した高温ガスは、第３燃焼室
内、及び第２燃焼室内に流れることになり、第１燃焼室
内の初期燃焼はハウジング全体の容積をもって行われ、
圧力上昇率が抑制されることに起因する。したがって、
本発明のガス発生器では、エアバッグを膨張展開させる
とき、エアバッグの展開初期にて少量、圧力上昇率の抑
制された低圧のガスにて緩やかに膨張展開でき、その
後、所定の圧力上昇率、最高圧にされた多量のガスにて
急速な膨張展開に移行できることになる。この結果、本
発明のガス発生器では、ソフトインフレーション技術に
最適なものとなる。これと比較して、従来のガス発生器
では、ガス発生剤の燃焼初期から急激な圧力上昇特性を
有することから、ソフトインフレーション技術に適用で
きない。なお、図４中のａ点は、例えば、第１及び第２
燃焼室３，４の容積比率又はガス発生剤６の装填量の比
率を変更することによって調整でき、本発明のガス発生
器では、ガス発生態様を適宜選択できる。

【００３９】

【発明の効果】本発明のガス発生器（請求項１）は、フ
ィルタ材の第３燃焼室内にもガス発生剤を装填すること
で、ハウジングの全体容積を有効に利用して、フィルタ
材やガス発生剤の装着・装填を行うことができる。従っ
て、例え、ハウジングを小径にしても、ハウジングの長
さ寸法を変更することなく、エアバッグを膨張展開させ
るガス発生剤の装填量を確保することがき、ガス発生器
の小型・軽量化を達成できる。又、ハウジング内で発生
する高温ガスを、フィルタ材の全体に分散して流入させ
ることができるので、フィルタ材の熱溶融などによる破
損を抑制でき、微小のスラグなどがエアバッグ内に放出
することを防止できる。更に、第１燃焼室、第３燃焼室
及び第２燃焼室の順にガス発生剤を燃焼させることで、
ハウジング内で発生するガス量を、燃焼初期に第１燃焼
室などで発生した少量のものとし、その後、微小時間差
をもって各燃焼室で発生した多量のものにできる。この
結果、エアバッグの膨張展開を制御可とするソフトイン
フレーションの技術に対応でき、エアバッグ本来の機能
を発揮させることが可能となる。又、第１燃焼室内で発
生した高温ガスは、第３燃焼室内、及び第２燃焼室内に
逃げることになり、ガス発生剤の初期燃焼をハウジング
全体の容積をもって行うことができる。従って、エアバ
ッグ展開初期には圧力上昇率の抑制された少量のガスに
よって緩やかに展開させ、その後に、第３燃焼室、第２
燃焼室で発生した所定の圧力特性と最高圧にされた多量
のガスによってエアバッグを急速に展開させることが可
能となる。

【００４０】本発明となるガス発生器（請求項２）で
は、各燃焼室にガス発生剤を連続して装填したので、各
燃焼室内のガス発生剤を順々に燃焼させることで、エア
バッグに放出するガス量を時間差をもって調整できる。
従って、エアバッグの膨張展開を制御可とするソフトイ
ンフレーションの技術に対応できる。

【００４１】本発明となるガス発生器（請求項３）で
は、点火器を点火具にて構成することで、火炎を伝播す
る伝火剤などを装着する必要がなくなり、構造の簡素化
を図れる。

【００４２】本発明となるガス発生器（請求項４）で
は、第１燃焼室と第２燃焼室とのガス発生剤の装填量を
異にしたので、第１燃焼室、及び第２燃焼室での高温ガ
スの発生量を調整できる。従って、エアバッグの膨張展
開の制御形態が変更可能となる。

【００４３】本発明となるガス発生器（請求項５）で
は、第１燃焼室の容積と、第２燃焼室の容積とを異なら
せているので、第１燃焼室、及び第２燃焼室に対するガ
ス発生剤の装填量を調整できる。従って、第１燃焼室、
及び第２燃焼室での高温ガスの発生量を調整でき、エア
バッグの膨張展開の制御形態が変更可能となる。

【００４４】本発明となるガス発生器（請求項６）で
は、フィルタ材の端面に仕切り材を設けたので、第１燃
焼室、又は第２燃焼室で発生した高温ガスは、直接フィ
ルタ材、又は各ガス放出孔に流出することなく、フィル
タ材の第３燃焼室に導かれることになる。従って、燃焼
初期において、点火手段から噴出される火炎などを第１
燃焼室、又は第２燃焼室内にこもらせることが可能とな
り、火炎などを有効に利用してガス発生剤を容易、急速
に燃焼できる。

【００４５】本発明となるガス発生器（請求項７）で
は、特に、小型・軽量化の要求される側面衝突用のエア
バッグを膨張展開させるときに最適なものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のガス発生器を示す断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】図１におけるガス発生器の外筒と蓋部材とのカ
シメ構造を示す要部拡大図である。

【図４】本発明のガス発生器と、従来のガス発生器に対
する６０リットルタンク試験の結果であって、タンク内
圧（ｋＰａ）／時間（ミリ秒）との関係を示すグラフ図
である。

【図５】従来のガス発生器を示す断面図である。

【符号の説明】

１ハウジング２フィルタ材２Ａ内孔３第１燃焼室４第２燃焼室５第３燃焼室６ガス発生剤７点火器１６，１７仕切りキャップ（仕切り材）

フロントページの続きＦターム(参考） 3D054 AA03 DD13 DD19 DD28 DD40 FF13 FF14 4G068 AA01 AB01 DA08 DB04 DD03 DD11

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】両軸端が閉鎖された長尺円筒状のハウジ
ングと、各ガス放出孔が設けられた前記ハウジングの中程に挿入
され、該ハウジングの軸方向に貫通する孔を有するフィ
ルタ材と、前記ハウジングの両軸端側に形成され、ガス発生剤が装
填されうる大径の第１燃焼室及び第２燃焼室と、前記フィルタ材の前記孔内に形成され、ガス発生剤が装
填されうる小径の第３燃焼室と、前記第１燃焼室及び前記第２燃焼室の少なくとも一方に
配設され、前記ガス発生剤を着火させる点火手段と、を備えてなることを特徴とするガス発生器。
【請求項２】前記第１燃焼室、前記第２燃焼室及び前
記第３燃焼室の前記ガス発生剤が連続して装填されてい
ることを特徴とする請求項１に記載のガス発生器。
【請求項３】前記点火手段は、通電発火する点火具の
みからなることを特徴とする請求項１に記載のガス発生
器。
【請求項４】前記第１燃焼室に装填された前記ガス発
生剤の量と、前記第２燃焼室に装填された前記ガス発生
剤の量が異なることを特徴とする請求項１に記載のガス
発生器。
【請求項５】前記第１燃焼室の容積と、前記第２燃焼
室の容積とを異ならせてなることを特徴とする請求項１
又は請求項４に記載のガス発生器。
【請求項６】前記第１燃焼室、又は前記第２燃焼室に
対面する、前記フィルタ材の端面に仕切り材を設けたこ
とを特徴とする請求項１に記載のガス発生器。
【請求項７】側面衝突用のエアバッグを展開させるた
めに用いられることを特徴とする請求項１〜請求項６の
いずれかに記載のガス発生器。