JP2001155622A - 電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ - Google Patents

電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ

Info

Publication number
JP2001155622A
JP2001155622A JP32500399A JP32500399A JP2001155622A JP 2001155622 A JP2001155622 A JP 2001155622A JP 32500399 A JP32500399 A JP 32500399A JP 32500399 A JP32500399 A JP 32500399A JP 2001155622 A JP2001155622 A JP 2001155622A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor layer
porous semiconductor
electric field
layer
oxidizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP32500399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3112456B1 (ja
Inventor
Takashi Hatai
崇 幡井
Yoshiaki Honda
由明 本多
Koichi Aizawa
浩一 相澤
Takuya Komoda
卓哉 菰田
Yoshifumi Watabe
祥文 渡部
Tsutomu Kunugibara
勉 櫟原
Yukihiro Kondo
行廣 近藤
Nobuyoshi Koshida
信義 越田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP32500399A priority Critical patent/JP3112456B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3112456B1 publication Critical patent/JP3112456B1/ja
Publication of JP2001155622A publication Critical patent/JP2001155622A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】大面積化および低コストが容易な電界放射型電
子源およびその製造方法を提供する。 【解決手段】導電性基板たるn形シリコン基板1の表面
側に強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層
6上に金薄膜よりなる導電性薄膜7が形成されている。
n形シリコン基板1の裏面にはオーミック電極2が形成
されている。n形シリコン基板1から強電界ドリフト層
6に注入された電子は、強電界ドリフト層6内を表面に
向かってドリフトし導電性薄膜7をトンネルして放出さ
れる。強電界ドリフト層6は、n形シリコン基板1上に
形成された多結晶シリコン3の表面側を陽極酸化処理に
より多孔質化した後、希硝酸によって酸化することによ
り形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体材料を用い
て電界放射により電子線を放射するようにした電界放射
型電子源およびその製造方法およびディスプレイに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電界放射型電子源として、例
えば米国特許3665241号などに開示されているい
わゆるスピント(Spindt)型電極と呼ばれるものがあ
る。このスピント型電極は、微小な三角錐状のエミッタ
チップを多数配置した基板と、エミッタチップの先端部
を露出させる放射孔を有するとともにエミッタチップに
対して絶縁された形で配置されたゲート層とを備え、真
空中にてエミッタチップをゲート層に対して負極として
高電圧を印加することにより、エミッタチップの先端か
ら放射孔を通して電子線を放射するものである。
【0003】しかしながら、スピント型電極は、製造プ
ロセスが複雑であるとともに、多数の三角錐状のエミッ
タチップを精度良く構成することが難しく、例えば平面
発光装置やディスプレイなどへ応用する場合に大面積化
が難しいという問題があった。また、スピント型電極
は、電界がエミッタチップの先端に集中するので、エミ
ッタチップの先端の周りの真空度が低くて残留ガスが存
在するような場合、放射された電子によって残留ガスが
プラスイオンにイオン化され、プラスイオンがエミッタ
チップの先端に衝突するから、エミッタチップの先端が
ダメージ(例えば、イオン衝撃による損傷)を受け、放
射される電子の電流密度や効率などが不安定になった
り、エミッタチップの寿命が短くなってしまうという問
題が生じる。したがって、スピント型電極では、この種
の問題の発生を防ぐために、高真空(約10-5Pa〜約
10-6Pa)で使用する必要があり、コストが高くなる
とともに、取扱いが面倒になるという不具合があった。
【0004】この種の不具合を改善するために、MIM
(Metal Insulator Metal)方式やMOS(Metal Oxid
e Semiconductor)型の電界放射型電子源が提案されて
いる。前者は金属−絶縁膜−金属、後者は金属−酸化膜
−半導体の積層構造を有する平面型の電界放射型電子源
である。しかしながら、このタイプの電界放射型電子源
において電子の放射効率を高めるためには(多くの電子
を放射させるためには)、上記絶縁膜や上記酸化膜の膜
厚を薄くする必要があるが、上記絶縁膜や上記酸化膜の
膜厚を薄くしすぎると、上記積層構造の上下の電極間に
電圧を印加した時に絶縁破壊を起こす恐れがあり、この
ような絶縁破壊を防止するためには上記絶縁膜や上記酸
化膜の膜厚の薄膜化に制約があるので、電子の放出効率
(引き出し効率)をあまり高くできないという不具合が
あった。
【0005】また、近年では、特開平8−250766
号公報に開示されているように、シリコン基板などの単
結晶の半導体基板を用い、その半導体基板の一表面を陽
極酸化することにより多孔質半導体層(多孔質シリコン
層)を形成して、その多孔質半導体層上に金属薄膜を形
成し、半導体基板と金属薄膜との間に電圧を印加して電
子を放射させるように構成した電界放射型電子源(半導
体冷電子放出素子)が提案されている。
【0006】しかしながら、上述の特開平8−2507
66号公報に記載の電界放射型電子源では、基板が半導
体基板に限られるので、大面積化やコストダウン化が難
しいという不具合がある。また、特開平8−25076
6号公報に記載の電界放射型電子源では電子放出時にい
わゆるポッピング現象が生じやすく、放出電子量にむら
が起こりやすいので、平面発光装置やディスプレイなど
に応用すると、発光むらができてしまうという不具合が
ある。
【0007】そこで、本願発明者らは、特願平10−2
72340号、特願平10−272342号、特願平1
0−271876号などにおいて、多孔質層たる多孔質
多結晶シリコン層を急速加熱法により酸化する急速熱酸
化(Rapid Thermal Oxidation:RTO)技術にて酸
化することによって、導電性基板(例えば、金属薄膜)
と導電性薄膜との間に介在し導電性基板から注入された
電子がドリフトする強電界ドリフト層を形成した電界放
射型電子源を提案した。
【0008】ここにおいて、多孔質多結晶シリコン層
は、導電性基板上の多結晶シリコン層を陽極酸化処理に
よって多孔質化することにより形成している。陽極酸化
処理に用いる電解液としては、フッ化水素水溶液とエタ
ノールとを略1:1で混合した液を用いている。また、
急速加熱法によって多孔質多結晶シリコン層の酸化を行
う場合の条件としては、ランプアニール装置を使用し、
乾燥酸素中で酸化温度を800℃〜900℃の温度範囲
内で設定し、酸化時間を30分〜120分の範囲内で設
定することが提案されている(上記特願平10−271
876号)。また、導電性薄膜は、強電界ドリフト層の
表面に到達した電子(該到達した電子はホットエレクト
ロンと考えられる)が該導電性薄膜内で散乱されること
なくトンネルして真空中へ放出する必要があるので、膜
厚が10nm程度の金薄膜などにより形成されている。
この電界放射型電子源では、電子放出特性の真空度依存
性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず
安定して電子を放出することができ、また、導電性基板
として単結晶シリコン基板などの半導体基板の他にガラ
ス基板などに導電性膜(例えば、ITO膜)を形成した
基板などを使用することもできるから、従来のように半
導体基板を多孔質化した多孔質半導体層を利用する場合
やスピント型電極に比べて、電子源の大面積化および低
コスト化が可能になる。なお、この種の電界放射型電子
源を利用してディスプレイ装置を構成する場合には、金
属薄膜を所定形状にパターニングする必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特願平10−272340号、特願平10−27234
2号、特願平10−271876号に提案した電界放射
型電子源では、導電性基板の耐熱温度以上に急速熱酸化
の酸化温度を上げることができないので、基板の材料や
導電性膜(例えば、ITO膜)の材料が制限され、基板
の大口径化(大面積化)が制約されるという不具合があ
った。
【0010】また、上述のように陽極酸化処理にて形成
された多孔質半導体層(多孔質多結晶シリコン層または
多孔質シリコン層)は、陽極酸化処理において電解液と
してフッ化水素水溶液とエタノールとの混合液を利用し
ているので、シリコン原子が水素原子によって終端され
ることになる。このため、上述の特願平10−2723
40号、特願平10−272342号、特願平10−2
71876号のように陽極酸化処理にて形成された多孔
質半導体層に急速熱酸化を行うことにより酸化膜を成長
すると、酸化膜中に水素原子が残ったり、Si−OHの
結合が生じたりして、SiO2という構造の緻密な酸化
膜にはなりにくく絶縁耐圧が低くなってしまうという不
具合があった。また、強電界ドリフト層中の水素の含有
量が比較的多くなり、強電界ドリフト層中の水素の分布
が経時変化する(例えば、水素原子が強電界ドリフト層
の表面から脱離する)ことにより、電子放出効率の経時
安定性が悪くなる恐れがある。
【0011】また、上述の特願平10−272340
号、特願平10−272342号、特願平10−271
876号に提案した電界放射型電子源では、特開平8−
250766号公報に開示された電界放射型電子源に比
べて低コスト化が可能であり且つ電子を安定して高効率
で放出することができるものの、電子の放出効率のより
一層の高効率化が望まれている。
【0012】本発明は上記事由に鑑みて為されたもので
あり、第1の目的は、大面積化および低コストが容易な
電界放射型電子源を提供することにあり、第2の目的
は、電子放出効率の経時変化が少なく且つ絶縁耐圧の高
い電界放射型電子源の製造方法を提供することにあり、
第3の目的は、電子を安定して高効率で放出できる低コ
ストの電界放射型電子源の製造方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、導電
性基板と、導電性基板の一表面側に形成された強電界ド
リフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性
薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極と
して電圧を印加することにより導電性基板から注入され
た電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通
して放出される電界放射型電子源であって、強電界ドリ
フト層は、多孔質半導体層を比較的低温で酸化する酸化
工程を含むプロセスにより形成されてなることを特徴と
するものであり、多孔質半導体層を比較的低温で酸化す
る酸化工程を含むプロセスにより酸化して強電界ドリフ
ト層を形成しているので、多孔質半導体層を急速加熱法
のみにより酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に
比べてプロセス温度が低温になって、導電性基板の材料
の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が容易
になる。
【0014】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、上記酸化工程が、液体中にて多孔質半導体層を酸化
する工程であることを特徴とする。
【0015】請求項3の発明は、請求項2の発明におい
て、上記液体が、酸よりなることを特徴とする。
【0016】請求項4の発明は、請求項3の発明におい
て、上記酸が、HNO3、H2SO4、王水からなる群よ
り選択されることを特徴とする。
【0017】請求項5の発明は、請求項1ないし請求項
4の発明において、上記多孔質半導体層が、多孔質単結
晶シリコンよりなることを特徴とする。
【0018】請求項6の発明は、請求項1ないし請求項
4の発明において、上記多孔質半導体層が、多孔質多結
晶シリコンよりなるので、電子放出特性の真空度依存性
が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安
定して高効率で電子を放出することができる。
【0019】請求項7の発明は、導電性基板と、導電性
基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よ
りなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形
成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板
に対して正極として電圧を印加することにより導電性基
板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし
導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造
方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化
処理過程を備えることを特徴とし、多孔質半導体層を急
速加熱法により酸化して強電界ドリフト層を形成する場
合に比べてプロセス温度を低温化することができて、導
電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化および低
コスト化が可能な電界放射型電子源を提供することがで
きる。
【0020】請求項8の発明は、請求項7の発明におい
て、上記主酸化処理過程は、液体中で上記多孔質半導体
層を酸化するので、多孔質半導体層を半導体層に陽極酸
化処理を施すことにより形成する場合、陽極酸化処理に
引き続いてウェット処理で多孔質半導体層を酸化するこ
とができるから、陽極酸化処理の後に急速加熱法により
酸化する場合に比べてプロセスを簡略化することができ
る。
【0021】請求項9の発明は、請求項8の発明におい
て、上記液体が、酸よりなることを特徴とし、望ましい
実施態様である。
【0022】請求項10の発明は、請求項7の発明にお
いて、上記主酸化処理過程は、多孔質半導体層を電解質
溶液中で電気化学的に酸化することを特徴とし、実施態
様である。
【0023】請求項11の発明は、請求項10の発明に
おいて、上記電解質溶液が、酸よりなることを特徴と
し、望ましい実施態様である。
【0024】請求項12の発明は、請求項7ないし請求
項11の発明において、上記主酸化処理工程の以前と以
後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質半
導体層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、電
子の放出効率を高めることができる。
【0025】請求項13の発明は、請求項7ないし請求
項11の発明において、上記主酸化処理過程の前に、酸
化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化
処理過程を備えるので、電子の放出効率を高めることが
できる。
【0026】請求項14の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、熱酸化法によって上記多孔質半導体層の酸化を行う
前に酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う
前酸化処理過程を備えることを特徴とし、表面が酸化性
溶液により酸化された多孔質半導体層に熱酸化法が施さ
れていることにより、陽極酸化処理の直後に急速加熱法
が施されている場合に比べて強電界ドリフト層への水素
の混入が少ないので、従来のような水素の分布の経時変
化による電子の放出効率の低下が少なく、また、酸化膜
が緻密になりやすく、絶縁耐圧が高くなる。
【0027】請求項15の発明は、請求項12の発明に
おいて、上記主酸化処理過程および上記補助酸化処理過
程よりも前に、酸化性溶液により上記多孔質半導体層の
酸化を行う前酸化処理過程を備えるので、電子の放出効
率を高めることができる。
【0028】請求項16の発明は、請求項7の発明にお
いて、上記主酸化処理過程は、酸素とオゾンとの少なく
とも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外
光を照射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を
含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層をプラズマにさら
す処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲気で上記多孔
質半導体層の加熱を行う処理、上記多孔質半導体層に紫
外光を照射するとともに上記多孔質半導体層の加熱を行
う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰
囲気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射するとともに
上記多孔質半導体層の加熱を行う処理の少なくとも1つ
の処理により、上記多孔質半導体層を酸化するので、多
孔質半導体層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリ
フト層を形成する場合に比べて電子の放出効率を高める
ことができ、また、多孔質半導体層を急速加熱法によっ
て酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べて低
温で強電界ドリフト層を形成することができ、プロセス
温度が低温になって導電性基板の制約が少なくなり、大
面積化および低コスト化が容易になる。
【0029】請求項17の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、導電性薄膜を形成した後に、酸素とオ
ゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫外光を照
射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガ
ス雰囲気でプラズマにさらす処理、少なくともオゾンを
含むガス雰囲気で加熱を行う処理、紫外光を照射すると
ともに加熱を行う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一
方を含むガス雰囲気で紫外光を照射するとともに加熱を
行う処理の少なくとも1つの処理を行うことを特徴と
し、当該処理を行うことにより当該処理以前のプロセス
での有機物による汚染を除去することができ、電子の放
出効率を高めることができる。
【0030】請求項18の発明は、請求項16または請
求項17の発明において、上記主酸化処理過程の以前と
以後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質
半導体層を酸化する補助酸化処理過程を備えるので、電
子の放出効率を高めることができる。
【0031】請求項19の発明は、請求項16または請
求項17の発明において、上記主酸化処理過程の以前と
以後との少なくとも一方に、酸により上記多孔質半導体
層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、電子の
放出効率を高めることができる。
【0032】請求項20の発明は、請求項16または請
求項17の発明において、上記主酸化処理過程の前に、
酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸
化処理過程を備えるので、多孔質半導体層を陽極酸化処
理により形成した際に多孔質半導体層の表面の原子を終
端している水素原子が、酸化性溶液により酸素原子に置
換されているから、前記強電界ドリフト層に含まれる水
素の量を少なくすることができるとともに、前記強電界
ドリフト層中の水素の分布の経時変化を少なくすること
ができて、経時安定性が向上する。
【0033】請求項21の発明は、請求項18または請
求項19の発明において、上記主酸化処理過程および上
記補助酸化処理過程よりも前に、酸化性溶液により上記
多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えるの
で、多孔質半導体層を陽極酸化処理により形成した際に
多孔質半導体層の表面の原子を終端している水素原子
が、酸化性溶液により酸素原子に置換されているから、
前記強電界ドリフト層に含まれる水素の量を少なくする
ことができるとともに、前記強電界ドリフト層中の水素
の分布の経時変化を少なくすることができて、経時安定
性が向上する。
【0034】請求項22の発明は、請求項7ないし請求
項21の発明において、上記多孔質半導体層は、多孔質
単結晶シリコンよりなるので、強電界ドリフト層がSi
2の構造若しくはSiO2の構造に近い緻密性の高い酸
化膜を有するようになって、酸化膜の緻密性および膜質
が向上し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧
が高くなる。
【0035】請求項23の発明は、請求項7ないし請求
項21の発明において、上記多孔質半導体層は、多孔質
多結晶シリコンよりなるので、強電界ドリフト層がSi
2の構造若しくはSiO2の構造に近い緻密性の高い酸
化膜を有するようになって、酸化膜の緻密性および膜質
が向上し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧
が高くなる。
【0036】請求項24の発明は、請求項7ないし請求
項23の発明において、上記導電性基板は、n形シリコ
ン基板であることを特徴とする。
【0037】請求項25の発明は、請求項7ないし請求
項23の発明において、上記導電性基板は、絶縁性基板
と絶縁性基板の一表面側に形成された導電性膜とからな
ることを特徴とし、請求項24の発明に比べて大面積化
および低コスト化を図ることができる。
【0038】請求項26の発明は、請求項25の発明に
おいて、上記絶縁性基板が、ガラス基板よりなることを
特徴とする。
【0039】請求項27の発明は、請求項25の発明に
おいて、上記絶縁性基板が、セラミック基板よりなるこ
とを特徴とする。
【0040】請求項28の発明は、請求項7ないし請求
項27の発明において、上記多孔質半導体層が、半導体
層に陽極酸化処理を施すことにより形成することを特徴
とする。
【0041】請求項29の発明は、請求項9または請求
項11または請求項19において、上記酸が、硝酸、硫
酸、王水からなる群より選択されることを特徴とし、望
ましい実施態様である。
【0042】請求項30の発明は、請求項13または請
求項14または請求項15または請求項20または請求
項21の発明において、上記酸化性溶液が、硝酸、硫
酸、塩酸、過酸化水素水からなる群より選択される1種
若しくは2種以上の酸化剤からなることを特徴とし、望
ましい実施態様である。
【0043】請求項31の発明は、請求項30の発明に
おいて、上記酸化性の溶液は、酸化速度が速くなるよう
に加熱されているので、上記酸化性溶液による処理時間
を短くすることができ、スループットが向上する。
【0044】請求項32の発明は、請求項1ないし請求
項6のいずれかに記載の電界放射型電子源と、該電界放
射型電子源に対向配置され電界放射型電子源との間の空
間が真空に保たれるフェースプレートと、フェースプレ
ートにおける電界放射型電子源との対向面側に設けられ
たコレクタ電極と、コレクタ電極における電界放射型電
子源との対向面側に設けられ電界放射型電子源からの電
子線を受けて可視光領域の光を発光する蛍光体層とを備
えてなることを特徴とするものであり、請求項1ないし
請求項6のいずれかに記載の電界放射型電子源を備えて
いるので、大面積化および低コスト化を図ることができ
る。
【0045】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1に本実施形態
の電界放射型電子源10の概略断面図を、図2(a)〜
(d)に電界放射型電子源10の製造方法における主要
工程断面図を示す。なお、本実施形態では、導電性基板
として抵抗率が導体の抵抗率に比較的近い単結晶のn形
シリコン基板1(抵抗率が略0.1Ωcmの(100)
基板)を用いている。
【0046】本実施形態の電界放射型電子源10は、図
1に示すように、n形シリコン基板1の主表面上にノン
ドープの多結晶シリコン層3が形成され、該多結晶シリ
コン層3上に強電界ドリフト層6が形成され、該強電界
ドリフト層6上に金薄膜よりなる導電性薄膜7が形成さ
れている。また、n形シリコン基板1の裏面にはオーミ
ック電極2が形成されている。
【0047】ところで、本実施形態では、導電性基板と
してn形シリコン基板1を用いているが、導電性基板
は、電界放射型電子源10の負極を構成するとともに真
空中において上述の強電界ドリフト層6を支持し、なお
且つ、強電界ドリフト層6へ電子を注入するものであ
る。したがって、導電性基板は、電界放射型電子源10
の負極を構成し強電界ドリフト層6を支持することがで
きればよいので、n形シリコン基板に限定されるもので
はなく、クロムなどの金属基板であってもよいし、図3
に示すようにガラス基板(あるいはセラミック基板)な
どの絶縁性基板11の一表面に導電性膜(例えば、IT
O膜)12を形成したものであってもよい。このような
絶縁性基板11の一表面に導電性膜12を形成した基板
を用いる場合には、半導体基板を用いる場合に比べて、
電子源の大面積化および低コスト化が可能になる。
【0048】また、上述の強電界ドリフト層6は、多孔
質多結晶シリコンを酸により酸化して形成されており、
導電性基板と導電性薄膜7との間に電圧を印加したとき
に電子が注入される層である。強電界ドリフト層6は、
多数のグレインよりなる多結晶体であり、各グレインの
表面には酸化膜を有するナノメータ単位の構造(以下、
ナノ構造と称す)が存在する。強電界ドリフト層6に注
入された電子がナノ構造に衝突することなく(つまり、
電子散乱することなく)強電界ドリフト層6の表面に到
達するためには、ナノ構造の大きさは、単結晶シリコン
中の電子の平均自由行程である約50nmよりも小さい
ものであることが必要である。ナノ構造の大きさは、具
体的には10nmより小さいものがよく、好ましくは5
nmよりも小さいものがよい。
【0049】また、本実施形態においては、導電性薄膜
7として金薄膜を用いているが、導電性薄膜7は、電界
放射型電子源10の正極を構成するものであり、強電界
ドリフト層6に電界を印加するものである。この電界の
印加により強電界ドリフト層6の表面に到達した電子は
トンネル効果によって導電性薄膜7の表面から放出され
る。したがって、導電性基板と導電性薄膜7との間に印
加する直流電圧によって得られる電子のエネルギから導
電性薄膜7の仕事関数を差し引いたエネルギが放出され
る電子の理想的なエネルギとなるので、導電性薄膜7の
仕事関数は小さいほど望ましい。なお、本実施形態で
は、導電性薄膜7の材料として金を用いているが、導電
性薄膜7の材料は金に限定されるものではなく、仕事関
数の小さな材料であればよく、例えば、アルミニウム、
クロム、タングステン、ニッケル、白金などを用いても
よい。ここに、金の仕事関数は5.10eV、アルミニ
ウムの仕事関数は4.28eV、クロムの仕事関数は
4.50eV、タングステンの仕事関数は4.55e
V、ニッケルの仕事関数は5.15eV、白金の仕事関
数は5.65eVである。
【0050】なお、導電性薄膜7は金薄膜の単層である
が、厚み方向に積層された少なくとも2層の薄膜層で構
成してもよい。導電性薄膜7が2層の薄膜層で構成され
る場合には、上層の薄膜層の材料としては、例えば金な
どを用いることができる。また、下層の薄膜層(強電界
ドリフト層6側の薄膜層)の材料としては、例えば、ク
ロム、ニッケル、白金、チタン、イリジウムなどを用い
ることができる。
【0051】以下、製造方法について図2を参照しなが
ら説明する。
【0052】まず、n形シリコン基板1の裏面にオーミ
ック電極2を形成した後、n形シリコン基板1の表面に
膜厚が略1.5μmのノンドープの多結晶シリコン層3
を形成することにより図2(a)に示すような構造が得
られる。多結晶シリコン層3の成膜は、LPCVD法に
より行い、成膜条件は、真空度を20Pa、基板温度を
640℃、モノシランガスの流量を標準状態で0.6L
/min(600sccm)とした。なお、多結晶シリ
コン層3の成膜は、導電性基板が半導体基板の場合には
LPCVD法やスパッタ法により行ってもよいし、ある
いは、プラズマCVD法によってアモルファスシリコン
を成膜した後にアニール処理を行うことにより結晶化さ
せて成膜してもよい。また、導電性基板がガラス基板に
導電性薄膜を形成した基板の場合には、CVD法により
導電性薄膜上にアモルファスシリコンを成膜した後にエ
キシマレーザでアニールすることにより、多結晶シリコ
ン層を形成してもよい。また、導電性薄膜上に多結晶シ
リコン層を形成する方法はCVD法に限定されるもので
はなく、例えばCGS(Continuous Grain Silicon)
法や触媒CVD法などを用いてもよい。
【0053】ノンドープの多結晶シリコン層3を形成し
た後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを
略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極
酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、n
形シリコン基板1(オーミック電極2)を正極として、
多結晶シリコン層3に光照射を行いながら定電流で陽極
酸化処理を行うことによって、多孔質多結晶シリコン層
4が形成され図2(b)に示すような構造が得られる。
なお、本実施形態では、陽極酸化処理の条件として、電
流密度を10mA/cm2一定、陽極酸化時間を30秒
とするとともに、陽極酸化中に500Wのタングステン
ランプにより多結晶シリコン層3の表面に光照射を行っ
た。その結果、本実施形態では、膜厚が略1μmの多孔
質多結晶シリコン層4が形成された。なお、本実施形態
では、多結晶シリコン層3の一部を多孔質化している
が、多結晶シリコン層3全部を多孔質化してもよい。
【0054】上述の陽極酸化処理が終了した後、上述の
陽極酸化槽から電解液を除去し、該陽極酸化槽に新たに
電解質溶液として略10%の希硝酸を投入し、その後、
この希硝酸の入った陽極酸化槽を利用して、白金電極
(図示せず)を負極、n形シリコン基板1(オーミック
電極2)を正極として、定電流を流し多孔質多結晶シリ
コン層4を酸化することにより図2(c)に示す構造が
得られる。図2(c)における6は多孔質多結晶シリコ
ン層4を酸(本実施形態では、上述の希硝酸)によって
酸化することにより形成された強電界ドリフト層6を示
す。
【0055】ここにおいて、多孔質多結晶シリコン層4
を希硝酸により酸化する際には、ホールをh+、電子を
-とすると、以下の反応が起こっていると考えられ
る。 負極側:HNO3+3H+→NO+2H2O+3h+ 正極側:3h++Si+2H2O→SiO2+4H++e- この反応により強電界ドリフト層6が形成される過程を
図4に示す模式図で説明すると、上記反応が起こること
によって、図4(a)のように多孔質多結晶シリコン層
4で発生したホールh+が多孔質多結晶シリコン層4の
多結晶シリコン61の表面(つまり、多孔質多結晶シリ
コン層4に形成されている微細孔の内面)へ移動して、
図4(b)のように薄いシリコン酸化膜62が形成され
ていき、さらに反応開始からの時間が進むにつれて図4
(c)のように多結晶シリコン61の表面が薄いシリコ
ン酸化膜62で覆われるようになる。
【0056】なお、希硝酸の割合や上記定電流の電流値
は、酸化しようとする多孔質多結晶シリコン層4の厚さ
や膜質などにより適宜変化させればよい。また、この酸
化を行うと正極・負極間の電圧(ポテンシャル電圧)は
上昇していくが、このポテンシャル電圧で酸化を終わら
せる時点を管理する場合には、ポテンシャル電圧を例え
ば数V〜数十Vの範囲で適宜選択すればよい。さらに、
酸化時に光照射を行う場合には光照射の条件を適宜選択
すればよいし、希硝酸の温度も適宜選択すればよい。
【0057】ところで、強電界ドリフト層6は、上述の
陽極酸化処理により形成されたナノ構造よりなるシリコ
ン微結晶の表面が希硝酸によって酸化されているものと
考えられる。要するに、本実施形態では、強電界ドリフ
ト層6は、図5に示すように、少なくとも、柱状の多結
晶シリコン61(グレイン)と、多結晶シリコン61の
表面に形成された薄いシリコン酸化膜62と、柱状の多
結晶シリコン間に介在する微結晶シリコン層63と、微
結晶シリコン層63の表面に形成されたシリコン酸化膜
64とから構成されると考えられる。
【0058】本実施形態では、多孔質多結晶シリコン層
4の酸化を酸により行っているので、多孔質多結晶シリ
コン層4を急速加熱法により酸化して強電界ドリフト層
を形成する(本願発明者らが特願平10−272340
号、特願平10−272342号、特願平10−271
876号で提案している)場合に比べてプロセス温度が
低温になって、導電性基板の材料の制約が少なくなり、
大面積化および低コスト化が可能な電界放射型電子源を
提供することができる。しかも、陽極酸化処理に引き続
いてウェット処理で多孔質多結晶シリコン層4を酸化す
ることができるから、陽極酸化処理の後に急速熱酸化に
より酸化する場合に比べてプロセスを簡略化することが
できる。
【0059】強電界ドリフト層6を形成した後は、強電
界ドリフト層6上に金薄膜よりなる導電性薄膜7を例え
ば蒸着により形成することによって、図2(d)(図
1)に示す構造の電界放射型電子源10が得られる。こ
こに、本実施形態では、導電性薄膜7の膜厚を略10n
mとしたが、この膜厚は特に限定するものではない。な
お、電界放射型電子源10は導電性薄膜7を電極の正極
(アノード)とし、オーミック電極2を負極(カソー
ド)とするダイオードが構成される。また、本実施形態
では、導電性薄膜7を蒸着により形成しているが、導電
性薄膜7の形成方法は蒸着に限定されるものではなく、
例えばスパッタ法を用いてもよい。
【0060】本実施形態の電界放射型電子源10では、
次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。す
なわち、図6に示すように、導電性薄膜7と対向する位
置にコレクタ電極21を配置し、導電性薄膜7とオーミ
ック電極2との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、
コレクタ電極21と導電性薄膜7との間に直流電圧Vc
を印加することにより、導電性薄膜7をn形シリコン基
板1に対して正極として印加する直流電圧が所定値(臨
界値)に達すると、n形シリコン基板1側から強電界ド
リフト層6へ熱的励起により電子e-が注入される。一
方、強電界ドリフト層6に印加された電界はほとんどシ
リコン酸化膜64(図5参照)にかかるから、注入され
た電子はシリコン酸化膜64にかかっている強電界によ
り加速され、強電界ドリフト層6における多結晶シリコ
ン61の間の空間を表面に向かって図5中の矢印Aの向
きへ(図5の上方向へ向かって)ドリフトし、強電界ド
リフト層6の最表面の酸化層を介して導電性薄膜7をト
ンネルし真空中に放出される。
【0061】上述の製造方法で製造された電界放射型電
子源は、本願発明者らが特願平10−272340号、
特願平10−272342号、特願平10−27187
6号で提案した電界放射型電子源と同様に、電子放出特
性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング
現象が発生せず安定して電子を放出することができ、ま
た、導電性基板として単結晶シリコン基板などの半導体
基板の他にガラス基板などに導電性膜(例えば、ITO
膜)を形成した基板などを使用することもできるから、
スピント型電極に比べて、電子源の大面積化および低コ
スト化が可能になる。
【0062】なお、本実施形態では、陽極酸化処理と、
陽極酸化処理後の酸による酸化とを同じ陽極酸化槽で行
っているが、別々の陽極酸化槽で行ってもよいことは勿
論である。
【0063】(実施形態2)本実施形態の電界放射型電
子源の構成および製造方法は実施形態1と略同じであっ
て、実施形態1で述べた陽極酸化処理が終了した後、上
述の陽極酸化槽から電解液を除去し、該陽極酸化槽に新
たに電解質溶液として略10%の希硫酸を投入し、その
後、この希硫酸の入った陽極酸化槽を利用して、白金電
極(図示せず)を負極、n形シリコン基板1(オーミッ
ク電極2)を正極として、定電流を流し多孔質多結晶シ
リコン層4を酸化している点が相違だけである。すなわ
ち、本実施形態では、陽極酸化処理により形成されたナ
ノ構造よりなるシリコン微結晶の表面が希硫酸によって
酸化されている。
【0064】ここにおいて、多孔質多結晶シリコン層4
を希硫酸により酸化する際には、ホールをh+、電子を
-とすると、以下の反応が起こっていると考えられ
る。 負極側:H2SO4+2H+→SO2+2H2O+2h+ 正極側:2h++Si+2H2O→SiO2+4H++2e
- なお、希硫酸の割合や上記電流の電流値は、酸化しよう
とする多孔質多結晶シリコン層4の厚さや膜質などによ
り適宜変化させればよい。また、この酸化を行うと正極
・負極間の電圧(ポテンシャル電圧)は上昇していく
が、このポテンシャル電圧で酸化を終わらせる時点を管
理する場合には、ポテンシャル電圧を例えば数V〜数十
Vの範囲で適宜選択すればよい。さらに、酸化時に光照
射を行う場合には光照射の条件を適宜選択すればよい
し、希硫酸の温度も適宜選択すればよい。
【0065】次に本実施形態で説明した製造方法の具体
例について説明する。
【0066】n形シリコン基板1としては、抵抗率が
0.01〜0.02Ωcm、厚さが525μmの(10
0)基板を用いた。多結晶シリコン層3(図2(a)参
照)の成膜は、LPCVD法により行い、成膜条件は、
真空度を20Pa、基板温度を640℃、モノシランガ
スの流量を標準状態で0.6L/min(600scc
m)とした。
【0067】陽極酸化処理では電解液として、55wt
%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合
した電解液を用いた。陽極酸化処理は、多結晶シリコン
層3のうち表面の直径10mmの領域のみが電解液に触
れるようにし、他の部分は電解液に接触しないようにシ
ールを行い、電解液中に白金電極を浸し、500Wのタ
ングステンランプを用いてポリシリコン層3に一定の光
パワーで光照射を行いながら、白金電極を負極、n形シ
リコン基板1(オーミック電極2)を正極として、所定
の電流を流した。ここに、電流密度を30mA/cm2
で一定、処理時間を10秒とした。
【0068】多孔質多結晶シリコン層4を形成した後
は、70℃に加熱した1モル重量%の硫酸溶液中で、白
金電極を負極、n形シリコン基板1を正極として1mA
/cm 2の定電流で電気化学的に酸化した。その後、水
洗、乾燥させた後、酸化した多孔質多結晶シリコン層よ
りなる強電界ドリフト層6上に膜厚が15nmの金薄膜
からなる導電性薄膜7を蒸着法によって形成した。
【0069】このようにして作製した電界放射型電子源
10を真空チャンバ(図示せず)内に導入して、図6に
示すように導電性薄膜7と対向する位置にコレクタ電極
21(放射電子収集電極)を配置し、真空チャンバ内の
真空度を5×10-5Paとして、金薄膜7(正極)とオ
ーミック電極2(負極)との間に直流電圧Vpsを印加す
るとともに、コレクタ電極21と導電性薄膜7との間に
100Vの直流電圧Vcを印加することによって、導電
性薄膜7とオーミック電極2との間に流れるダイオード
電流Ipsと、電界放射型電子源10から導電性薄膜7を
通して放射される電子e-(なお、図6中の一点鎖線は
放射電子流を示す)によりコレクタ電極21と導電性薄
膜7との間に流れる放出電子電流Ieとを測定した結果
を図7に示す。ここに、図7の横軸は直流電圧Vpsの値
を、縦軸は電流密度を示し、同図中の○()がダイオ
ード電流Ipsを、同図中の●()が放出電子電流Ie
を示す。
【0070】図7から分かるように、直流電圧Vpsを
20Vとしたときに1μA/cm2の放出電子電流Ie
が得られた。したがって、低温(70℃)の酸化処理工
程(硫酸による酸化工程)しか行っていないにも関わら
ず、電子放出電流Ieが観測されるから、石英ガラス基
板に比べて安価なガラス基板などのように低温プロセス
を必要とする基板を用いても所望の電子源を作製するこ
とが可能になる。
【0071】(実施形態3)本実施形態の基本構成およ
び製造方法は実施形態1と略同じであって、上述の陽極
酸化処理が終了した後、上述の陽極酸化槽から電解液を
除去し、該陽極酸化処理槽に電解質溶液として王水(濃
塩酸:濃硝酸=3:1)を投入して多孔質多結晶シリコ
ン層4を王水により酸化している点が相違する。シリコ
ンは王水中では徐々に酸化するので、本実施形態では、
多孔質多結晶シリコン層4の孔に浸透した王水によって
シリコン微結晶の表面が酸化されている。
【0072】上記各実施形態1〜3では、陽極酸化処理
時の電流密度を一定として多孔質多結晶シリコン層4の
多孔度を厚み方向にほぼ均一にしてあるが、陽極酸化処
理時の電流密度を変化させることにより多孔度の高い多
孔質多結晶シリコン層と多孔度の低い多孔質多結晶シリ
コン層とが交互に積層されたような構造にしてもよい
し、多孔度が厚み方向に連続的に変化した構造にしても
よい。
【0073】また、上記各実施形態1〜3では、多孔質
多結晶シリコン層を酸によって酸化することにより強電
界ドリフト層6を形成しているが、単結晶シリコンを陽
極酸化処理により多孔質化した多孔質単結晶シリコン
を、酸によって酸化することにより強電界ドリフト層を
形成してもよい。
【0074】(実施形態4)ところで、実施形態1〜3
のいずれの電界放射型電子源10も陽極酸化処理にて形
成された多孔質半導体層(多孔質多結晶シリコン層4ま
たは多孔質単結晶シリコン)を酸により酸化することに
よって強電界ドリフト層6を形成している。しかしなが
ら、実施形態1〜3では陽極酸化処理において電解液と
してフッ化水素水溶液とエタノールとの混合液を利用し
ているので、多孔質半導体層のシリコン原子が水素原子
によって終端されることになるから、強電界ドリフト層
6中の水素の含有量が比較的多くなり、水素原子の分布
が経時変化することにより、電子放出効率の経時安定性
が悪くなる恐れがある。例えば、導電性薄膜7が強電界
度リフト層6上にパターニングされている場合など、強
電界ドリフト層6中から水素原子が抜けることにより、
経時安定性が悪くなる恐れがある。また、多孔質半導体
層のシリコン原子が水素原子によって終端されているこ
とにより、SiO 2のような緻密な酸化膜が形成されに
くかった。
【0075】これに対し、本実施形態では、上述の陽極
酸化処理にて形成された多孔質半導体層(多孔質多結晶
シリコン層4または多孔質単結晶シリコン)を酸(例え
ば、希硝酸、希硫酸、王水のいずれか)によって酸化す
る前に(つまり、電気化学的にシリコン酸化膜を形成す
る前に)、多孔質半導体層を該多孔質半導体層の極表面
が酸化する程度の時間だけ酸化性の溶液に浸すことによ
り、シリコン原子を終端している水素原子を酸素原子に
置換している。ここにおいて、酸化性の溶液としては、
硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、塩酸(HC
l)、過酸化水素水(H22)からなる群より選択され
る1種若しくは2種以上の酸化剤を用いるのが望まし
い。
【0076】しかして、図8に示す本実施形態の電界放
射型電子源10における強電界ドリフト層6は、極表面
が酸化性の溶液により酸化された多孔質半導体層を酸に
より酸化して形成されているので、多孔質半導体層を陽
極酸化処理により形成した際に多孔質半導体層の表面の
原子を終端している水素原子が、酸化性の溶液により酸
素原子に置換されているから、強電界ドリフト層6中の
水素の含有量を少なくすることができるとともに、強電
界ドリフト層6中の水素の分布の経時変化を少なくする
ことができて、経時安定性が向上する。さらに、本実施
形態では、多孔質半導体層を酸により酸化して得られる
酸化膜がSiO2の構造もしくはSiO2の構造に近い構
造になりやすいので、酸化膜の緻密性および膜質が向上
し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧が高く
なる。ここにおいて、強電界ドリフト層6の機能は実施
形態1の強電界ドリフト層6と同じである。
【0077】なお、酸化性の溶液を加熱することによ
り、酸化性の溶液による酸化処理の処理時間を短くする
ことができ、スループットを向上させることができる。
また、導電性基板としては、図9に示すようにガラス基
板(あるいはセラミック基板)などの絶縁性基板11の
一表面に導電性膜(例えば、ITO膜)12を形成した
ものであってもよい。このような絶縁性基板11の一表
面に導電性膜12を形成した基板を用いる場合には、半
導体基板を用いる場合に比べて、電子源の大面積化およ
び低コスト化が可能になる。
【0078】次に、本実施形態の電界放射型電子源の製
造方法の一例について図10を参照しながら説明する
が、当該製造方法は実施形態1で説明した製造方法(図
2参照)と略同じなので、実施形態1と同様の構成要素
には同一の符号を付し、また、同様の工程については簡
単に説明する。
【0079】本実施形態の製造方法では、実施形態1と
同様に、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極2
を形成した後、n形シリコン基板1の表面に膜厚が1.
5μmのノンドープの多結晶シリコン層3をLPCVD
法によって形成することにより図10(a)に示すよう
な構造が得られる。なお、本実施形態では、導電性基板
として抵抗率が0.01〜0.02Ωcm、厚さが52
5μmのn形シリコン基板1((100)基板)を用い
ている。
【0080】その後、55wt%のフッ化水素水溶液と
エタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解
液の入った陽極酸化槽を利用し、白金電極(図示せず)
を負極、n形シリコン基板1(オーミック電極2)を正
極として、多結晶シリコン層3に光照射を行いながら定
電流で陽極酸化処理を行うことによって、多孔質多結晶
シリコン層4が形成され図10(b)に示すような構造
が得られる。ここにおいて、陽極酸化処理の条件として
は、電流密度を30mA/cm2一定、陽極酸化処理時
間を10秒とするとともに、陽極酸化中に500Wのタ
ングステンランプにより多結晶シリコン層3の表面に光
照射を行った。なお、本実施形態では、多結晶シリコン
層3の表面のうち直径10mmの領域のみが電解液に触
れるようにして、他の部分は電解液に接触しないように
シールした状態で陽極酸化処理を行った。また、本実施
形態では、多結晶シリコン層3の全部を多孔質化してい
る。
【0081】次に、多孔質シリコン層3の極表面を酸化
性の溶液により酸化する。なお、本実施形態では、上記
酸化性の溶液として、115℃に加熱された濃度が略7
0%の硝酸を用いて酸化時間を10分間とした。
【0082】その後、上述の陽極酸化槽に新たに濃度が
略10%の希硝酸を投入し、その後、この希硝酸の入っ
た陽極酸化槽を利用して、白金電極を負極、n形シリコ
ン基板1を正極として、定電流を流し多孔質多結晶シリ
コン層4を酸化することにより図10(c)に示す構造
が得られる。図10(c)における6は極表面が酸化性
の溶液により酸化された多孔質多結晶シリコン層4を酸
(本実施形態では、上述の希硝酸を用いているが、希硫
酸や王水を用いてもよい)によって酸化することにより
形成された強電界ドリフト層を示す。
【0083】強電界ドリフト層6を形成した後は、強電
界ドリフト層6上に金薄膜よりなる導電性薄膜7を形成
することによって図10(d)に示す構造の電界放射型
電子源10が得られる。なお、本実施形態では、導電性
薄膜7の膜厚を15nmとしたが、この膜厚は特に限定
するものではない。
【0084】(実施形態5)本実施形態の電界放射型電
子源の基本構成および製造方法は実施形態4と略同じで
あって、図8における強電界ドリフト層6が、多孔質多
結晶シリコン層4(図10(b)参照)の極表面を酸化
性の溶液により酸化してから、急速加熱法によって酸化
することにより形成されている点に特徴がある。なお、
本実施形態では、導電性基板として抵抗率が導体の抵抗
率に比較的近い単結晶のn形シリコン基板1(例えば、
抵抗率が略0.1Ωcmの(100)基板)を用いてい
る。
【0085】本実施形態の電界放射型電子源10は、実
施形態4と同様に図8に示す構成を有するので、導電性
薄膜7を真空中に配置し、導電性薄膜7をオーミック電
極2に対して正極として電圧を印加することにより、n
形シリコン基板1から注入された電子が強電界ドリフト
層6をドリフトし導電性薄膜7を通して放出される。ま
た、本実施形態においても、強電界ドリフト層6が、従
来に比べ水素の混入が少なく緻密な酸化膜を有する。こ
こにおいて、酸化膜はSiO2の構造若しくはSiO2
構造に近い構造に近い緻密な膜となっている。
【0086】しかして、本実施形態の電界放射型電子源
10においても、強電界ドリフト層6への水素の混入が
少ないことにより従来のような水素の分布の経時変化に
よる電子放出効率の低下が少なく、また、酸化膜が従来
に比べて緻密になるので、絶縁耐圧が高い。
【0087】なお、本実施形態では、強電界ドリフト層
6を酸化された多孔質ポリシリコン層により構成してい
るが、強電界ドリフト層6を酸化された多孔質単結晶シ
リコンにより構成してもよい。
【0088】以下、製造方法について説明するが、本実
施形態の製造方法は実施形態4と略同じなので、実施形
態4で説明した図10を参照しながら説明する。
【0089】まず、n形シリコン基板1の裏面にオーミ
ック電極2を形成した後、n形シリコン基板1の表面に
所定膜厚(例えば、1.5μm)の半導体層たるノンド
ープの多結晶シリコン層3を形成(成膜)することによ
り図10(a)に示すような構造が得られる。なお、多
結晶シリコン層3の成膜は、導電性基板が半導体基板の
場合には例えばLPCVD法やスパッタ法により行って
もよいし、あるいはプラズマCVD法によってアモルフ
ァスシリコンを成膜した後にアニール処理を行うことに
より結晶化させて成膜してもよい。また、導電性基板が
ガラス基板に導電性の薄膜を形成した基板の場合には、
CVD法により導電性の薄膜上にアモルファスシリコン
を成膜した後にエキシマレーザでアニールすることによ
り、多結晶シリコン層を形成してもよい。また、導電性
の薄膜上に多結晶シリコン層を形成する方法はCVD法
に限定されるものではなく、例えばCGS(Continuous
Grain Silicon)法や触媒CVD法などを用いてもよ
い。
【0090】ノンドープの多結晶シリコン層3を形成し
た後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを
略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極
酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、n
形シリコン基板1(オーミック電極2)を正極として、
多結晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の条件で
陽極酸化処理を行うことによって、多孔質多結晶シリコ
ン層4が形成され図10(b)に示すような構造が得ら
れる。ここにおいて、本実施形態では、陽極酸化処理の
条件として、陽極酸化処理の期間、多結晶シリコン層3
の表面に照射する光パワーを一定、電流密度を一定とし
たが、この条件は適宜変更してもよい(例えば、電流密
度を変化させてもよい)。
【0091】上述の陽極酸化処理が終了した後、多孔質
多結晶シリコン層4の極表面を酸化性の溶液により酸化
してから、急速加熱法によって酸化することにより強電
界ドリフト層6が形成され、図10(c)に示す構造が
得られる。要するに、本実施形態では、多孔質多結晶シ
リコン層4を陽極酸化処理により形成した際に多孔質多
結晶シリコン層4のシリコン原子を終端している水素原
子を、酸化性の溶液により酸素原子に置換している。こ
こにおいて、酸化性の溶液としては、硝酸(HN
3)、硫酸(H2SO4)、塩酸(HCl)、過酸化水
素水(H22)からなる群より選択される1種若しくは
2種以上の酸化剤を用いることが望ましい。
【0092】強電界ドリフト層6を形成した後は、強電
界ドリフト層6上に金薄膜よりなる導電性薄膜7を例え
ば蒸着により形成することによって、図10(d)に示
す構造の電界放射型電子源10が得られる。なお、導電
性薄膜7の膜厚は特に限定するものではなく、強電界ド
リフト層6を通ってきた電子がトンネルできる膜厚であ
ればよい。また、本実施形態では、導電性薄膜7を蒸着
により形成しているが、導電性薄膜7の形成方法は蒸着
に限定されるものではなく、例えばスパッタ法を用いて
もよい。また、電界放射型電子源10は導電性薄膜7を
正極(アノード)とし、オーミック電極2を負極(カソ
ード)とするダイオードが構成される。
【0093】しかして、上述の製造方法によれば、陽極
酸化処理にて形成した多孔質多結晶シリコン層4の極表
面層を酸化性の溶液により酸化した後に急速加熱法によ
り急速熱酸化(熱酸化処理)を行っているから、強電界
ドリフト層6に含まれる水素の量を少なくすることがで
きるとともに、SiO2の構造若しくはSiO2の構造に
近い緻密な酸化膜を形成することができ、電子放出効率
の経時変化が少なく且つ絶縁耐圧の高い電界放射型電子
源を実現することができる。
【0094】また、上述の製造方法で製造された電界放
射型電子源は、本願発明者らが特願平10−27234
0号、特願平10−272342号で提案した電界放射
型電子源と同様に、電子放出特性の真空度依存性が小さ
く且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して
電子を放出することができ、また、導電性基板として単
結晶シリコン基板などの半導体基板の他にガラス基板な
どに導電性膜(例えば、ITO膜)を形成した基板など
を使用することもできるから、スピント型電極に比べ
て、電子源の大面積化および低コスト化が可能になる。
【0095】本実施形態にて図10を参照しながら説明
した電界放射型電子源10の製造方法で実施例として以
下の条件により電界放射型電子源10を作成した。
【0096】n形シリコン基板1としては、抵抗率が
0.01〜0.02Ωcm、厚さが525μmの(10
0)基板を用いた。多結晶シリコン層3(図10(a)
参照)の成膜は、LPCVD法により行い、成膜条件
は、真空度を20Pa、基板温度を640℃、モノシラ
ンガスの流量を標準状態で0.6L/min(600s
ccm)とした。
【0097】陽極酸化では電解液として、55wt%の
フッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した
電解液を用いた。陽極酸化は、多結晶シリコン層3のう
ち表面の直径10mmの領域のみが電解液に触れるよう
にし、他の部分は電解液に接触しないようにシールを行
い、電解液中に白金電極を浸し、500Wのタングステ
ンランプを用いて多結晶シリコン層3に一定の光パワー
で光照射を行いながら、白金電極を負極、n形シリコン
基板1(オーミック電極2)を正極として、所定の電流
を流した。ここに、電流密度を30mA/cm2で一
定、処理時間を10秒とした。
【0098】酸化性の溶液としては、115℃に加熱し
た硝酸(濃度70%)を用いた。なお、酸化性の溶液を
加熱しておくことにより、酸化速度が速くなるので、酸
化性の溶液による処理時間を短くすることができる。
【0099】多孔質多結晶シリコン層4を急速加熱法に
よって急速熱酸化する条件は、酸素ガスの流量を標準状
態で0.3L/min(300sccm)、酸化温度を
900℃、酸化時間を1時間とした。また、導電性薄膜
7は蒸着法によって形成し、厚さを15nmとした。
【0100】本実施例の電界放射型電子源10を真空チ
ャンバ(図示せず)内に導入して、図11に示すように
導電性薄膜7と対向する位置にコレクタ電極21(放射
電子収集電極)を配置し、真空チャンバ内の真空度を5
×10-5Paとして、導電性薄膜7(正極)とオーミッ
ク電極2(負極)との間に直流電圧Vpsを印加するとと
もに、コレクタ電極21と導電性薄膜7との間に100
Vの直流電圧Vcを印加することによって、導電性薄膜
7とオーミック電極2との間に流れるダイオード電流I
psと、電界放射型電子源10から導電性薄膜7を通して
放射される電子e-(なお、図11中の一点鎖線は放射
電子流を示す)によりコレクタ電極21と導電性薄膜7
との間に流れる放出電子電流Ieとを測定した結果を図
12に示す。ここに、図12の横軸は直流電圧Vpsの値
を、縦軸は電流密度を示し、同図中の○()が本実施
例のダイオード電流Ipsを、同図中の●()が本実施
例の放出電子電流Ieを示す。
【0101】また、図12中には、比較例として急速熱
酸化の前に酸化性の溶液による処理を行わずに他の条件
を全て同じにした電子源について同様の測定を行った結
果も示してある。すなわち、同図中の□()が比較例
のダイオード電流Ipsを、■()が比較例の放出電子
電流Ieを示す。
【0102】図12から分かるように、実施例と比較例
とを比べると、放出電子電流Ieは略同じなのに対し
て、ダイオード電流Ipsは実施例の方が低くなってい
る。電子放出効率は、ダイオード電流Ipsに対する放出
電子電流Ieの割合Ie/Ipsで表されるから、本実施例
の電界放射型電子源10の方が比較例に比べて電子放出
効率が高いことがわかる。また、比較例では、直流電圧
Vpsが22Vの時点で絶縁破壊を起こしてしまった
が、本実施例では直流電圧Vpsを28Vまで上昇させ
ても絶縁破壊が起こらなかった。要するに、本実施例の
方が比較例に比べて絶縁耐圧が高くなっている。
【0103】また、多孔質多結晶シリコン層4を形成す
るまでの条件は上述の通りで、そのの後の条件を以下の
通りにして電界放射型電子源10を作製した。
【0104】多孔質多結晶シリコン層4を形成した後
は、25℃の硫酸溶液中で、白金電極を負極、n形シリ
コン基板1を正極として20mA/cm2の定電流で電
気化学的に酸化した。その後、水洗、乾燥させた後、急
速加熱法により補助酸化を行った。急速加熱法による急
速熱酸化の条件は、酸素ガスの流量を標準状態で0.3
L/min(300sccm)、酸化温度を750℃、
酸化時間を1時間とした。その後、酸化した多孔質多結
晶シリコン層よりなる強電界ドリフト層6上に膜厚が1
0nmの金薄膜からなる導電性薄膜7を蒸着法によって
形成した。
【0105】このようにして作製した電界放射型電子源
10を真空チャンバ(図示せず)内に導入して、図11
に示すように金薄膜7と対向する位置にコレクタ電極2
1(放射電子収集電極)を配置し、真空チャンバ内の真
空度を5×10-5Paとして、導電性薄膜7(正極)と
オーミック電極2(負極)との間に直流電圧Vpsを印加
するとともに、コレクタ電極21と導電性薄膜7との間
に100Vの直流電圧Vcを印加することによって、ダ
イオード電流Ipsと放出電子電流Ieとを測定した結果
を図13に示す。ここに、図13の横軸は直流電圧Vps
の値を、縦軸は電流密度を示し、同図中の○()がダ
イオード電流Ipsを、同図中の●()が放出電子電流
Ieを示す。
【0106】図13から分かるように、直流電圧Vps
を20Vとしたときに10μA/cm2の放出電子電流
Ieが得られた。したがって、急速加熱法による急速熱
酸化のみで酸化する場合の酸化温度(800℃〜900
℃)に比べて比較的低温(750℃以下)の酸化処理工
程(25℃の硫酸による酸化工程および750℃での急
速熱酸化)しか行っていないにも関わらず、大きな値の
電子放出電流Ieが観測されるから、石英ガラス基板に
比べて安価なガラス基板などのように低温プロセスを必
要とする基板を用いても所望の電子源を作製することが
可能になる。なお、酸により酸化する場合の酸の種類や
温度、電流密度は上記条件に限定されるものではなく、
急速熱酸化の条件も上記条件に限定されるものではな
い。
【0107】(実施形態6)ところで、既に説明したが
実施形態1における強電界ドリフト層6は、図5に示す
ように、少なくとも、柱状の多結晶シリコン(グレイ
ン)51と、多結晶シリコン51の表面に形成された薄
いシリコン酸化膜52と、多結晶シリコン51間に介在
するナノメータオーダの微結晶シリコン層63と、微結
晶シリコン層63の表面に形成され当該微結晶シリコン
層63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜であるシリ
コン酸化膜64とから構成されるものと考えられる。す
なわち、強電界ドリフト層6は、各グレインの表面が多
孔質化し各グレインの中心部分では結晶状態が維持され
ていると考えている。したがって、強電界ドリフト部6
に印加された電界はほとんどシリコン酸化膜64にかか
るから、注入された電子はシリコン酸化膜64にかかっ
ている強電界により加速され多結晶シリコン51間を表
面に向かって図5中の矢印Aの向きへ(図5中の上方向
へ向かって)ドリフトするので、電子の放出効率を向上
させることができる。そこで、本願発明者らは電子の放
出効率をより一層の高効率化のために上記シリコン酸化
膜64に着目した。言い換えれば、本願発明者らは、微
結晶シリコン層63の表面が完全に酸化した状態では図
14に示すように微結晶シリコン層63の表面の全面が
酸素原子65により覆われているのに対して、上述の急
速熱酸化法により酸化した場合には図15に示すように
微結晶シリコン層63の表面が酸素原子65により完全
に覆われていないのではないか(つまり、酸素原子65
による微結晶シリコン層63の被覆率が不十分ではない
のか)と考えた。
【0108】本実施形態の電界放射型電子源の基本構成
および製造方法は実施形態5と略同じであって、導電性
基板たるn形シリコン基板1の主表面側に酸化した多孔
質層たる多孔質多結晶シリコン層よりなる強電界ドリフ
ト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に金属薄膜
(例えば、金薄膜)よりなる導電性薄膜7が形成されて
いる。また、n形シリコン基板1の裏面にはオーミック
電極2が形成されている。なお、本実施形態では、導電
性基板として抵抗率が導体の抵抗率に比較的近い単結晶
のn形シリコン基板1(例えば、抵抗率が0.1Ωcm
の(100)基板)を用いている。
【0109】したがって、本実施形態の電界放射型電子
源10においても、例えば、図11に示すように、導電
性薄膜7を真空中に配置するとともに導電性薄膜7に対
向してコレクタ電極21を配置し、導電性薄膜7をn形
シリコン基板1(オーミック電極2)に対して正極とし
て直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21
を導電性薄膜7に対して正極として直流電圧Vcを印加
することにより、導電性基板たるn形シリコン基板1か
ら注入された電子が強電界ドリフト部6をドリフトし導
電性薄膜7を通して放出される。したがって、導電性薄
膜7としては、仕事関数の小さな材料(例えば、金、ア
ルミニウム、クロム、タングステン、ニッケル、白金な
ど)を用いることが望ましい。また、本実施形態では導
電性薄膜7を金薄膜により構成しているが、厚み方向に
積層された少なくとも二層の薄膜層により構成してもよ
い。二層の薄膜層により構成する場合には、上層の薄膜
層の材料として例えば金などを採用し、下層の薄膜層
(強電界ドリフト部6側の薄膜電極層)の材料として例
えば、クロム、ニッケル、白金、チタン、イリジウムな
どを採用すればよい。
【0110】以下、製造方法について説明するが、本実
施形態の製造方法は実施形態4、5と略同じなので、上
述の図10を参照しながら説明する。
【0111】まず、n形シリコン基板1の裏面にオーミ
ック電極2を形成した後、n形シリコン基板1の主表面
上に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多
結晶シリコン層3を例えばLPCVD法によって形成
(成膜)することにより図10(a)に示すような構造
が得られる。なお、多結晶シリコン層3の成膜方法につ
いては実施形態4、5と同様である。
【0112】ノンドープの多結晶シリコン層3を形成し
た後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを
略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極
酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、n
形シリコン基板1(オーミック電極2)を正極として、
多結晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の条件で
陽極酸化処理を行うことによって、多孔質層たる多孔質
多結晶シリコン層4が形成され図10(b)に示すよう
な構造が得られる。ここにおいて、本実施形態では、陽
極酸化処理の条件として、電流密度を一定として、陽極
酸化処理中に500Wのタングステンランプにより多結
晶シリコン層3の表面に光照射を行い、多結晶シリコン
層3の全部を多孔質化しているが、多結晶シリコン層3
の一部を多孔質化するようにしてもよい。
【0113】次に、上記多孔質層たる多孔質多結晶シリ
コン層4を酸化することによって強電界ドリフト層6が
形成され、図10(c)に示す構造が得られる。ここに
おいて、多孔質多結晶シリコン層4の酸化にあたって
は、酸素(O2)とオゾン(O3)との少なくとも一方を
含むガス雰囲気で紫外光を照射して多孔質多結晶シリコ
ン層4を酸化する(主酸化処理過程)。なお、紫外光の
光源としては、紫外光ランプ(例えば、主波長成分が1
85nm,256nmの低圧水銀ランプ)や主波長成分
が172nmのエキシマレーザなどを採用すればよい。
また、紫外光の照射時間は、数分〜数時間の間で適宜設
定すればよい。
【0114】強電界ドリフト層6を形成した後は、強電
界ドリフト層6上に導電性薄膜7を例えば蒸着法により
形成することによって、図10(d)に示す構造の電界
放射型電子源10が得られる。なお、本実施形態では、
導電性薄膜7を蒸着法により形成しているが、導電性薄
膜7の形成方法は蒸着法に限定されるものではなく、例
えばスパッタ法を用いてもよい。
【0115】ところで、上述の特願平10−27234
0号、特願平10−272342号、特願平10−27
1876号に提案した製造方法では、多孔質多結晶シリ
コン層4を急速加熱法により酸化することで強電界ドリ
フト層6を形成しており、この際の酸化温度が比較的高
温(800℃〜900℃)なので、導電性基板として高
価な石英ガラスに導電性膜を形成したものや、単結晶シ
リコン基板などを用いざるをえず、導電性基板の大面積
化が制約され、例えば大面積のディスプレイの実現が難
しいという不具合があった。
【0116】これに対して、本実施形態の電界放射型電
子源の製造方法によれば、上記多孔質多結晶シリコン層
4の酸化にあたって、酸素とオゾンとの少なくとも一方
を含むガス雰囲気で紫外光を照射して上記多孔質多結晶
シリコン層4を酸化することにより、従来のように多孔
質多結晶シリコン層4を急速加熱法によって酸化して強
電界ドリフト層を形成する場合に比べて電子の放出効率
(以下、電子放出効率と称す)が高くなる。なお、電子
放出効率は、上述のダイオード電流Ipsと放出電子電流
Ieとから(Ie/Ips)×100で求められる値であ
る。このように電子放出効率が高くなるのは、例えばオ
ゾンの雰囲気で紫外光を照射した場合、紫外光(UV
光)によって図15に示す微結晶シリコン層63の最表
面のシリコンのボンドが切断され、活性なオゾンからS
i−O結合ができ、酸素原子65による微結晶シリコン
層63の表面の被覆率が向上する(つまり、上述の図1
4のような理想的な状態に近づく)ためであると推考さ
れる。なお、紫外光の照射によってガスの分解が促進さ
れるのは勿論である。
【0117】しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、上記多孔質多結晶シリコン層4の酸化にあたって、
酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫
外光を照射して上記多孔質多結晶シリコン層4を酸化す
ることにより、電子放出効率を高めることが可能にな
る。また、加熱を行うことなしに多孔質多結晶シリコン
層4を酸化することで強電界ドリフト部6を形成できる
ので、従来のように多孔質多結晶シリコン層4を急速加
熱法によって酸化して強電界ドリフト部を形成する場合
(この場合には800℃〜900℃に加熱する必要があ
る)に比べて低温で強電界ドリフト部6を形成すること
ができ、プロセス温度が低温になって導電性基板の制約
が少なくなり、大面積化および低コスト化が容易にな
る。
【0118】(実施形態7)本実施形態の電界放射型電
子源の製造方法は、実施形態6と略同じであって、上記
多孔質層たる多孔質多結晶シリコン層4の酸化工程が相
違するだけで、その他の工程は同じなので同じ工程につ
いての説明は省略する。
【0119】本実施形態では、多孔質層たる多孔質多結
晶シリコン層4の酸化にあたっては、酸素とオゾンとの
少なくとも一方を含むガス雰囲気でプラズマにさらすこ
とにより上記多孔質多結晶シリコン層4を酸化する(主
酸化処理過程)。ここにおいて、プラズマの生成には例
えば13.56MHzの高周波を利用すればよい。1
3.56MHzの高周波を利用する場合のRFパワーは
例えば数10W〜数百Wの範囲で適宜設定することが望
ましい。また、プラズマにさらす処理時間は、数分〜数
時間の間で適宜設定すればよい。なお、上記ガス雰囲気
で放電を起こしてプラズマを生成してもよいし、上記ガ
ス雰囲気で放電させなくても別のガス(例えば、不活性
ガス)でプラズマを生成してもよい。
【0120】しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、上記多孔質多結晶シリコン層4の酸化にあたって、
酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気でプ
ラズマにさらすことにより上記多孔質多結晶シリコン層
4を酸化することにより、従来のように多孔質多結晶シ
リコン層4を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフ
ト層6を形成する場合に比べて電子放出効率を高めるこ
とが可能になる。また、加熱を行うことなしに多孔質多
結晶シリコン層4を酸化することで強電界ドリフト層6
を形成できるので、従来のように多孔質多結晶シリコン
層4を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト部を
形成する場合(この場合には800℃〜900℃に加熱
する必要がある)に比べて低温で強電界ドリフト層6を
形成することができ、プロセス温度が低温になって導電
性基板の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化
が容易になる。
【0121】(実施形態8)本実施形態の電界放射型電
子源の製造方法は、実施形態6と略同じであって、上記
多孔質層たる多孔質多結晶シリコン層4の酸化工程が相
違するだけで、その他の工程は同じなので同じ工程につ
いての説明は省略する。
【0122】本実施形態では、多孔質層たる多孔質多結
晶シリコン層4の酸化にあたっては、少なくともオゾン
を含むガス雰囲気で加熱を行うことにより上記多孔質多
結晶シリコン層を酸化する(主酸化処理過程)。ここに
おいて、加熱温度は100℃〜600℃、加熱時間は数
分〜数時間の間でそれぞれ適宜設定すればよい。なお、
加熱温度は600℃より高温でもよいが、導電性基板の
制約を少なくする(導電性基板として、高価な石英ガラ
ス基板に比べて安価なガラス基板へ導電性膜などを形成
した基板を使用する)という点からは、100℃〜60
0℃の間で適宜設定することが望ましい。
【0123】しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、上記多孔質多結晶シリコン層4の酸化にあたって、
少なくともオゾンを含むガス雰囲気で加熱を行うことに
より上記多孔質多結晶シリコン層4を酸化することで強
電界ドリフト層6を形成するので、従来のように多孔質
層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト層6を
形成する場合に比べて電子放出効率を高めることが可能
になる。また、従来のように多孔質多結晶シリコン層を
急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト層6を形成
する場合(この場合には800℃〜900℃に加熱する
必要がある)に比べて低温で強電界ドリフト層6を形成
することができ、プロセス温度が低温になって導電性基
板の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が容
易になる。
【0124】(実施形態9)本実施形態の電界放射型電
子源の製造方法は、実施形態6と略同じであって、上記
多孔質層たる多孔質多結晶シリコン層4の酸化工程が相
違するだけで、その他の工程は同じなので同じ工程につ
いての説明は省略する。
【0125】本実施形態では、多孔質層たる多孔質多結
晶シリコン層4の酸化にあたって、紫外光を照射すると
ともに加熱を行うことにより上記多孔質多結晶シリコン
層4を酸化する(主酸化処理過程)。ここにおいて、加
熱温度は100℃〜600℃、加熱時間は数分〜数時間
の間で適宜設定すればよい。なお、加熱温度は600℃
より高温でもよいが、導電性基板の制約を少なくする
(導電性基板として、高価な石英ガラス基板に比べて安
価なガラス基板へ導電性膜などを形成した基板を使用す
る)という点からは、100℃〜600℃の間で適宜設
定することが望ましい。
【0126】しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、上記多孔質多結晶シリコン層4の酸化にあたって、
紫外光を照射するとともに加熱を行うことにより上記多
孔質多結晶シリコン層4を酸化することで強電界ドリフ
ト層6を形成するので、従来のように多孔質多結晶シリ
コン層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト層
6を形成する場合に比べて電子放出効率を高めることが
可能になる。また、従来のように多孔質層を急速加熱法
によって酸化して強電界ドリフト層6を形成する場合に
比べて低温で強電界ドリフト層6を形成することがで
き、プロセス温度が低温になって導電性基板の制約が少
なくなり、大面積化および低コスト化が容易になる。
【0127】(実施形態10)本実施形態の電界放射型
電子源の製造方法は、実施形態6と略同じであって、上
記多孔質層たる多孔質多結晶シリコン層4の酸化工程が
相違するだけで、その他の工程は同じなので同じ工程に
ついての説明は省略する。
【0128】本実施形態では、多孔質層たる多孔質多結
晶シリコン層4の酸化にあたって、酸素とオゾンとの少
なくとも一方を含むガス雰囲気で紫外光を照射するとと
もに加熱を行うことにより上記多孔質多結晶シリコン層
4を酸化する(主酸化処理過程)。ここにおいて、加熱
温度は100℃〜600℃、加熱時間は数分〜数時間の
間でそれぞれ適宜設定すればよい。なお、加熱温度は6
00℃より高温でもよいが、導電性基板の制約を少なく
する(導電性基板として、高価な石英ガラス基板に比べ
て安価なガラス基板へ導電性膜などを形成した基板を使
用する)という点からは、100℃〜600℃の間で適
宜設定することが望ましい。
【0129】しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、上記多孔質多結晶シリコン層4の酸化にあたって、
酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫
外光を照射するとともに加熱を行うことにより上記多孔
質多結晶シリコン層4を酸化することで強電界ドリフト
層6を形成するので、従来のように多孔質多結晶シリコ
ン層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト層6
を形成する場合に比べて電子放出効率を高めることが可
能になる。また、従来のように多孔質層を急速加熱法に
よって酸化して強電界ドリフト層6を形成する場合に比
べて低温で強電界ドリフト層6を形成することができ、
プロセス温度が低温になって導電性基板の制約が少なく
なり、大面積化および低コスト化が容易になる。
【0130】(実施形態11)本実施形態の電界放射型
電子源の製造方法は、実施形態6ないし実施形態10の
いずれかと略同じであって、各実施形態それぞれにおけ
る主酸化処理過程の以前と以後との少なくとも一方に、
急速加熱法により上記多孔質多結晶シリコン層4の酸化
を行う補助酸化処理過程を備えている点に特徴がある。
なお、急速加熱法による補助酸化処理過程の条件として
は、例えば、ランプアニール装置を使用し、乾燥酸素中
で酸化温度を600℃〜900℃、酸化時間を30分〜
120分とすればよい。
【0131】しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、従来の急速加熱法による酸化処理の酸化不足を補う
ことができ、電子放出効率をさらに高めることが可能に
なる。
【0132】(実施形態12)本実施形態の電界放射型
電子源の製造方法は、実施形態6ないし実施形態10の
いずれかと略同じであって、各実施形態それぞれにおけ
る主酸化処理過程の以前と以後との少なくとも一方に、
酸により上記多孔質多結晶シリコン層4の酸化を行う補
助酸化処理過程を備えている点に特徴がある。すなわ
ち、本実施形態の製造方法としては、多孔質多結晶シリ
コン層4に、例えば、「酸による補助酸化処理過程→主
酸化処理過程」、「主酸化処理過程→酸による補助酸化
処理過程」、「酸による補助酸化処理過程→主酸化処理
過程→熱酸化法(例えば、急速加熱法)による補助酸化
処理過程」、「酸による補助酸化処理過程→熱酸化法
(例えば、急速加熱法)による補助酸化処理過程→主酸
化処理過程」、「主酸化処理過程→熱酸化法(例えば、
急速加熱法)による補助酸化処理過程→酸による補助酸
化処理過程」、「熱酸化法(例えば、急速加熱法)によ
る補助酸化処理過程→主酸化処理過程→酸による補助酸
化処理過程」、「熱酸化法(例えば、急速加熱法)によ
る補助酸化処理過程→酸による補助酸化処理→主酸化処
理過程」、「主酸化処理過程→酸による補助酸化処理過
程→熱酸化法(例えば、急速加熱法)による補助酸化処
理過程」、「熱酸化法(例えば、急速加熱法)による補
助酸化処理過程→主酸化処理過程」、「主酸化処理過程
→熱酸化法(例えば、急速加熱法)による補助酸化処理
過程」などの処理を施すことより強電界ドリフト層6を
形成すればよい。
【0133】ここに、酸による補助酸化処理過程の条件
としては、酸(例えば、HNO3、H2SO4、王水な
ど)の入った処理槽を利用して(この処理槽としては、
実施形態1で説明した陽極酸化処理に用いた処理槽を利
用してもよい)、白金電極(図示せず)を負極、導電性
基板たるn形シリコン基板1(オーミック電極2)を正
極として、所定の電流を流せばよい。
【0134】例えば、主酸化処理過程の前に多孔質多結
晶シリコン層4を例えば希硝酸(例えば10%の希硝
酸)により酸化する際には、ホールをh+、電子をe-
すると、以下の反応が起こっていると考えられる。 負極側:HNO3+3H+→NO+2H2O+3h+ 正極側:3h++Si+2H2O→SiO2+4H++e- また、主酸化処理過程の前に多孔質多結晶シリコン層4
を希硫酸(例えば10%の希硫酸)により酸化する際に
は、以下の反応が起こっていると考えられる。 負極側:H2SO4+2H+→SO2+2H2O+2h+ 正極側:2h++Si+2H2O→SiO2+4H++2e
- しかして、本実施形態の製造方法によれば、従来の急速
加熱法による酸化処理の酸化不足を補うことができ、電
子放出効率をさらに高めることが可能になる。
【0135】(実施形態13)ところで、上記実施形態
6ないし実施形態10の製造方法では、陽極酸化処理に
おいて電解液としてフッ化水素水溶液とエタノールとの
混合液を利用しているので、シリコン原子が水素原子に
よって終端されることになる。このため、強電界ドリフ
ト層6中の水素の含有量が比較的多くなって絶縁耐圧が
低くなったり強電界ドリフト層6中の水素の分布が経時
変化することにより、電子放出効率の経時安定性が悪く
なる恐れがある。
【0136】これに対して、本実施形態の電界放射型電
子源の製造方法は、実施形態6ないし実施形態10のい
ずれかと略同じであって、各実施形態6〜10それぞれ
における主酸化処理過程の前に、酸化性溶液により上記
多孔質多結晶シリコン層4の酸化を行う前酸化処理過程
を備えている点に特徴がある。すなわち、本実施形態の
製造方法では、多孔質多結晶シリコン層4の極表面を酸
化性溶液により酸化してから、主酸化処理過程を行うこ
とにより強電界ドリフト層6が形成される。要するに、
本実施形態では、多孔質多結晶シリコン層4を陽極酸化
処理により形成した際に多孔質多結晶シリコン層4のシ
リコン原子を終端している水素原子を、酸化性の溶液に
より酸素原子に置換している。
【0137】ここにおいて、酸化性溶液としては、硝
酸、硫酸、塩酸、過酸化水素水からなる群より選択され
る1種若しくは2種以上の酸化剤を用いることが望まし
い。
【0138】しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、陽極酸化処理にて形成した多孔質多結晶シリコン層
4の極表面層を酸化性の溶液により酸化した後に、主酸
化処理過程を行っているので、強電界ドリフト層6に含
まれる水素の量を少なくすることができ、電子放出効率
の経時変化が少なく絶縁耐圧の高い電界放射型電子源を
実現することができる。
【0139】なお、実施形態11、12それぞれにおけ
る製造方法において、主酸化処理過程および補助酸化処
理過程よりも前に上記酸化性溶液により多孔質多結晶シ
リコン層4の酸化を行う前酸化処理過程を備えるように
してもよい。また、上記酸化性溶液を加熱しておくこと
により、酸化速度が速くなるので、上記酸化性溶液によ
る処理時間を短くすることができる。
【0140】本実施形態の製造方法において以下の条件
を採用して電界放射型電子源を製造した。
【0141】n形シリコン基板1としては、抵抗率が
0.1Ωcm、厚さが525μmの(100)基板を用
いた。多結晶シリコン層3(図10(a)参照)の成膜
は、LPCVD法により行い、成膜条件は、真空度を2
0Pa、基板温度を640℃、モノシランガスの流量を
標準状態で0.6L/min(600sccm)とし
た。
【0142】多結晶シリコン層3を多孔質化する陽極酸
化処理は、電解液として55wt%のフッ化水素水溶液
とエタノールとを略1:1で混合した電解液を用い、多
結晶シリコン層3の表面を該電解液に触れるようにし、
該電解液中に浸した白金電極を負極、n形シリコン基板
1(オーミック電極2)を正極として所定の電流を流し
た。ここに、陽極酸化期間における電流密度は30mA
/cm2一定、陽極酸化時間は10秒とした。
【0143】前酸化処理過程は、酸化性溶液として、硫
酸と過酸化水素水との混合液からなる酸化性溶液を用
い、多孔質多結晶シリコン層4が形成された試料を酸化
性溶液に30分間浸した。
【0144】前酸化処理過程の後に、補助酸化処理過程
を行った。補助酸化処理過程は、1モル重量%の硫酸溶
液中で、白金電極を負極、導電性基板たるn形シリコン
基板1(オーミック電極2)を正極として20mA/c
2の定電流にて電気化学的に酸化した。
【0145】その後、水洗し、更に乾燥させた後に、主
酸化処理過程を行った。主酸化処理過程は、基板温度を
500℃に加熱しながらオゾンと酸素とを含むガス雰囲
気中で波長185nmおよび254nmを主波長とする
紫外線を主表面側に照射した。主酸化処理過程の酸化時
間は1時間とした。
【0146】導電性薄膜7は蒸着法によって強電界ドリ
フト部6の全面へ蒸着した金薄膜をフォトリソグラフィ
技術、エッチング技術などを利用してパターニングし
た。また、導電性薄膜7の膜厚は10nmとした。
【0147】以上の条件で作製した電界放射型電子源を
真空チャンバ(図示せず)内に導入して、上述の図11
に示すように導電性薄膜7と対向する位置にコレクタ電
極21(放射電子収集電極)を配置し、真空チャンバ内
の真空度を5×10-5Paとして、コレクタ電極21と
導電性薄膜7との間に100Vの直流電圧Vcを印加
し、導電性薄膜7(正極)とオーミック電極2(負極)
との間に印加する直流電圧Vpsを種々変化させて、導電
性薄膜7とオーミック電極2との間に流れるダイオード
電流Ipsと、電界放射型電子源10’から導電性薄膜7
を通して放射される電子e-によりコレクタ電極21と
導電性薄膜7との間に流れる放出電子電流Ieとを測定
した。その結果、放出電子電流Ieとして10μA/c
2という良好な放出電子電流を得ることができた。
【0148】(実施形態14)図16は実施形態6と略
同じ構成の電界放射型電子源10を利用したディスプレ
イの一例を示す。なお、本実施形態の電界放射型電子源
10は導電性薄膜7がストライプ状に形成されている点
で実施形態1の電界放射型電子源10と相違する。
【0149】図16に示すディスプレイは、電界放射型
電子源10の導電性薄膜7に対向配置されるガラス基板
33を備え、ガラス基板33の電界放射型電子源10と
対向する面にはストライプ状にコレクタ電極31が形成
され、導電性薄膜7から放射される電子線によって可視
光を発光する蛍光体層32がコレクタ電極31を覆うよ
うに形成されている。なお、電界放射型電子源10とガ
ラス基板33との間の空間は真空にしてある。
【0150】このディスプレイでは、導電性薄膜7をス
トライプ状に形成するとともに、コレクタ電極31を導
電性薄膜7に直交する方向にストライプ状に形成してお
き、コレクタ電極31および導電性薄膜7を適宜選択し
て電圧(電界)を印加することにより、電圧を印加した
導電性薄膜7からのみ電子が放出される。そして、放出
された電子は、当該電子が放出された導電性薄膜7にお
いて対向するコレクタ電極31に電圧が印加されている
領域から放出された電子だけが加速され、該コレクタ電
極31を覆う蛍光体を光らせる。
【0151】要するに、図16に示す構成のディスプレ
イでは、特定の導電性薄膜7と特定のコレクタ電極31
とに電圧を印加することにより、蛍光体層32のうち前
記電圧が印加された導電性薄膜7,コレクタ電極31の
交差する領域に対応する部分を光らせることができる。
そして、電圧を印加する導電性薄膜7およびコレクタ電
極31を適宜切り替えることにより、画像や文字などを
表示することが可能になる。
【0152】本実施形態の電界放射型電子源10の製造
方法は、実施形態6と略同じであって、所定形状(本実
施形態ではストライプ状)にパターニングされた導電性
薄膜7を形成した後に、実施形態6で説明したような酸
素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫外
光を照射する処理、実施形態7で説明したような酸素と
オゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気でプラズマ
にさらす処理、実施形態8で説明したような少なくとも
オゾンを含むガス雰囲気で加熱を行う処理、実施形態9
で説明したような紫外光を照射するとともに加熱を行う
処理、実施形態10で説明したような酸素とオゾンとの
少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫外光を照射すると
ともに加熱を行う処理の少なくとも1つの処理を行う点
に特徴がある。しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、当該処理を行うことにより、多孔質多結晶シリコン
層4の酸化に加え、当該処理以前のプロセスでの有機物
による汚染を除去することができ、電子放出効率が高ま
る。
【0153】なお、ストライプ状の導電性薄膜7を形成
するには、例えば、強電界ドリフト層6上の全面へ導電
性薄膜7を形成した後に該導電性薄膜7上へフォトレジ
スト層を塗布形成し、その後、該フォトレジスト層をフ
ォトリソグラフィ技術によってパターニングしてから、
フォトレジスト層をマスクとして導電性薄膜7をエッチ
ング加工し、フォトレジスト層を除去すればよい。ま
た、ストライプ状の開口パターンを有するメタルマスク
を利用して蒸着法などによって強電界ドリフト層6上へ
ストライプ状の導電性薄膜7を形成してもよい。
【0154】また、図17は導電性基板としてガラス基
板よりなる絶縁性基板11の一表面上に導電性膜12を
形成した基板を用いた電界放射型電子源10’を備えた
ディスプレイの概略断面を示す。
【0155】図17に示すディスプレイは、電界放射型
電子源10’の導電性薄膜7に対向配置されるガラス基
板33を備え、ガラス基板33の電界放射型電子源1
0’と対向する面にはストライプ状にコレクタ電極31
が形成され、導電性薄膜7から放射される電子線によっ
て可視光を発光する蛍光体層32がコレクタ電極31に
ける電界放射型電子源10’との対向面側に形成されて
いる(ここに、図17中の各蛍光体層32はそれぞれ画
素を構成している)。なお、電界放射型電子源10’と
ガラス基板33との間の空間は真空にしてある。図17
に示すディスプレイでは、絶縁性基板11がリヤプレー
トを構成し、ガラス基板33がフェースプレートを構成
しており、対向配置された両プレート11,33間に支
持用のスペーサ40を介在させて両プレート11,33
の間の空間を真空に保つように構成されている。要する
に、両プレート11,33間に気密空間が形成されてい
る。また、電界放射型電子源10’とフェースプレート
33との間には補強用スペーサ41を介在させてある。
【0156】この図17に示すディスプレイでは、導電
性薄膜7をストライプ状に形成するとともに、導電性膜
12を導電性薄膜7に直交する方向にストライプ状に形
成してあり、導電性薄膜7および導電性膜12を適宜選
択して電圧(電界)を印加することにより、電圧を印加
した導電性薄膜7からのみ電子が放出され、対向する蛍
光体層32を発光させる。したがって、電圧を印加する
導電性薄膜7および導電性膜12を適宜適宜切り替える
ことにより、画像や文字などを表示することが可能にな
る。
【0157】なお、図17に示す電界放射型電子源1
0’の製造方法は、実施形態6と略同じであって、所定
形状(本実施形態ではストライプ状)にパターニングさ
れた導電性薄膜7を形成した後に、実施形態6で説明し
たような酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰
囲気で紫外光を照射する処理、実施形態7で説明したよ
うな酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気
でプラズマにさらす処理、実施形態8で説明したような
少なくともオゾンを含むガス雰囲気で加熱を行う処理、
実施形態9で説明したような紫外光を照射するとともに
加熱を行う処理、実施形態10で説明したような酸素と
オゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫外光を
照射するとともに加熱を行う処理の少なくとも1つの処
理を行う点に特徴がある。しかして、本実施形態の製造
方法によれば、当該処理を行うことにより、多孔質多結
晶シリコン層4の酸化に加え、当該処理以前のプロセス
での有機物による汚染を除去することができ、電子放出
効率が高まる。
【0158】本実施形態の製造方法において以下の条件
を採用した実施例としての電界放射型電子源を製造し
た。
【0159】n形シリコン基板1としては、抵抗率が
0.1Ωcm、厚さが525μmの(100)基板を用
いた。多結晶シリコン層3(図1(a)参照)の成膜
は、LPCVD法により行い、成膜条件は、真空度を2
0Pa、基板温度を640℃、モノシランガスの流量を
標準状態で0.6L/min(600sccm)とし
た。
【0160】多結晶シリコン層3を多孔質化する陽極酸
化処理は、電解液として55wt%のフッ化水素水溶液
とエタノールとを略1:1で混合した電解液を用い、多
結晶シリコン層3の表面を該電解液に触れるようにし、
該電解液中に浸した白金電極を負極、n形シリコン基板
1(オーミック電極2)を正極として所定の電流を流し
た。ここに、陽極酸化期間における電流密度は30mA
/cm2一定、陽極酸化時間は10秒とした。
【0161】多孔質ポリシリコン層4を急速熱酸化する
条件は、酸素ガスの流量を標準状態で0.3L/min
(300sccm)、酸化温度を900℃、酸化時間を
1時間とした。
【0162】導電性薄膜7は蒸着法によって強電界ドリ
フト部6の全面へ蒸着した金薄膜をフォトリソグラフィ
技術、エッチング技術などを利用してパターニングし
た。また、導電性薄膜7の膜厚は10nmとした。
【0163】導電性薄膜7を形成した後の処理(以下、
後処理と称す)としては、酸素(O 2)とオゾン(O3
との混合ガス(2000ppm)雰囲気で紫外光の照射
を行った。紫外光の光源としては110Wの低圧水銀ラ
ンプを用い、加熱温度を200℃、処理時間を30分と
した。なお、この後処理は、酸化処理工程である。
【0164】また、比較例1として上記後処理を行って
いない電界放射型電子源を製造し、比較例2として導電
性薄膜7をメタルマスクを用いて形成し上記後処理を行
っていない電界放射型電子源を製造した。なお、本実施
例と比較例1との違いは上記後処理の有無だけであり、
本実施例と比較例2との違いは、本実施例ではフォトリ
ソグラフィ技術などを利用して導電性薄膜7のパターニ
ングを行ってその後に上記後処理を行っているのに対し
て、比較例2ではメタルマスクを用いて導電性薄膜7の
パターニングを成膜時に行ってその後に上記後処理を行
っていない点である。
【0165】本実施例の電界放射型電子源10を真空チ
ャンバ(図示せず)内に導入して、上述の図11に示す
ように導電性薄膜7と対向する位置にコレクタ電極21
(放射電子収集電極)を配置し、真空チャンバ内の真空
度を5×10-5Paとして、コレクタ電極21と導電性
薄膜7との間に100Vの直流電圧Vcを印加し、導電
性薄膜7(正極)とオーミック電極2(負極)との間に
印加する直流電圧Vpsを種々変化させて、導電性薄膜7
とオーミック電極2との間に流れるダイオード電流Ips
と、電界放射型電子源10から導電性薄膜7を通して放
射される電子e -によりコレクタ電極21と導電性薄膜
7との間に流れる放出電子電流Ieとを測定した。その
結果を図18に示す。
【0166】図18の横軸は直流電圧Vpsの値を、左側
の縦軸はダイオード電流Ips、放出電子電流Ieそれぞ
れの電流密度を、右側の縦軸は電子放出効率(Ie/Ip
s×100)を示す。また、同図中の実線の(■)は
本実施例のダイオード電流Ipsを、一点鎖線の(■)
は本実施例の放出電子電流Ieを、破線の(■)は本
実施形態の電子放出効率をそれぞれ示す。同様に、同図
中の実線の(□)は比較例1のダイオード電流Ips
を、一点鎖線の(□)は比較例1の放出電子電流Ie
を、破線の(□)は比較例1の電子放出効率をそれぞ
れ示す。さらに同図中の実線の(○)は比較例2のダ
イオード電流Ipsを、一点鎖線の(○)は比較例2の
放出電子電流Ieを、破線の(○)は比較例2の電子
放出効率をそれぞれ示す。
【0167】図18において、まず比較例1と比較例2
とを対比すると、ダイオード電流Ipsの電流密度は略同
じ(,参照)なのに対して、比較例1の方が比較例
2に比べて放出電子電流Ieの電流密度が小さくなって
いる(,参照)ことが分かる。したがって、電子放
出効率も比較例1の方が比較例2よりも小さくなってい
る(,参照)。この結果は、比較例1では導電性薄
膜7のパターニングに利用したフォトレジスト層の残留
レジストによる有機物の汚染が残存しているのに対し
て、比較例2では導電性薄膜7のパターニングにメタル
マスクを利用していることで有機物の汚染が少ないため
であると推考される。
【0168】次に、本実施例と比較例1とを対比する
と、本実施例の方が比較例1に比べて放出電子電流Ie
の電流密度が大きくなる(,参照)一方で、本実施
例の方が比較例1に比べてダイオード電流Ipsの電流密
度が小さくなっており(,参照)、本実施形態の方
が比較例1に比べて電子放出効率が高くなっている
(,参照)。例えば、直流電圧Vpsを20Vとした
とき、本実施例では、放出電子電流Ieの電流密度が比
較例1の略30倍、ダイオード電流Ipsの電流密度が比
較例1の略4分の1、電子放出効率が比較例1の略12
0倍になっている。すなわち、本実施例では比較例1に
比べて電子放出効率が非常に高くなっている。さらに、
本実施例と比較例2とを対比しても、本実施例の方が放
出電子電流Ieの電流密度が大きくなっており、本実施
例の方が比較例2に比べて電子放出効率が高くなってい
る。ここにおいて、本実施例の方が比較例2に比べて放
出電子電流Ieの電流密度が高くなっているのは、上記
後処理による電界放射型電子源10’の表面の清浄化の
効果または強電界ドリフト層6を構成する微結晶シリコ
ン層63の表面のシリコン酸化膜64(図5参照)の膜
質の改善効果(酸素原子による被覆率の向上)のいずれ
かあるいは両方の効果と推考される。
【0169】
【発明の効果】請求項1の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された強電界ドリフト層と、該
強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、
導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加
することにより導電性基板から注入された電子が強電界
ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される
電界放射型電子源であって、強電界ドリフト層は、多孔
質半導体層を比較的低温で酸化する酸化工程を含むプロ
セスにより形成されてなるものであり、多孔質半導体層
を比較的低温で酸化する酸化工程を含むプロセスにより
酸化して強電界ドリフト層を形成しているので、多孔質
半導体層を急速加熱法のみにより酸化して強電界ドリフ
ト層を形成する場合に比べてプロセス温度が低温になっ
て、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化お
よび低コスト化が容易になるという効果がある。
【0170】請求項6の発明は、請求項1ないし請求項
4の発明において、上記多孔質半導体層が、多孔質多結
晶シリコンよりなるので、電子放出特性の真空度依存性
が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安
定して高効率で電子を放出することができるという効果
がある。
【0171】請求項7の発明は、導電性基板と、導電性
基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よ
りなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形
成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板
に対して正極として電圧を印加することにより導電性基
板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし
導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造
方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化
処理過程を備えるので、多孔質半導体層を急速加熱法に
より酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べて
プロセス温度を低温化することができて、導電性基板の
材料の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が
可能な電界放射型電子源を提供することができるという
効果がある。
【0172】請求項8の発明は、請求項7の発明におい
て、上記主酸化処理過程は、液体中で上記多孔質半導体
層を酸化するので、多孔質半導体層を半導体層に陽極酸
化処理を施すことにより形成する場合、陽極酸化処理に
引き続いてウェット処理で多孔質半導体層を酸化するこ
とができるから、陽極酸化処理の後に急速加熱法により
酸化する場合に比べてプロセスを簡略化することができ
るという効果がある。
【0173】請求項11の発明は、請求項10の発明に
おいて、上記電解質溶液が、酸よりなることを特徴と
し、望ましい実施態様である。
【0174】請求項12の発明は、請求項7ないし請求
項11の発明において、上記主酸化処理工程の以前と以
後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質半
導体層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、電
子の放出効率を高めることができるという効果がある。
【0175】請求項13の発明は、請求項7ないし請求
項11の発明において、上記主酸化処理過程の前に、酸
化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化
処理過程を備えるので、電子の放出効率を高めることが
できるという効果がある。
【0176】請求項14の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、熱酸化法によって上記多孔質半導体層の酸化を行う
前に酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う
前酸化処理過程を備えるので、表面が酸化性溶液により
酸化された多孔質半導体層に熱酸化法が施されているこ
とにより、陽極酸化処理の直後に急速加熱法が施されて
いる場合に比べて強電界ドリフト層への水素の混入が少
ないので、従来のような水素の分布の経時変化による電
子の放出効率の低下が少なく、また、酸化膜が緻密にな
りやすく、絶縁耐圧が高くなるという効果がある。
【0177】請求項15の発明は、請求項12の発明に
おいて、上記主酸化処理過程および上記補助酸化処理過
程よりも前に、酸化性溶液により上記多孔質半導体層の
酸化を行う前酸化処理過程を備えるので、電子の放出効
率を高めることができるという効果がある。
【0178】請求項16の発明は、請求項7の発明にお
いて、上記主酸化処理過程は、酸素とオゾンとの少なく
とも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外
光を照射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を
含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層をプラズマにさら
す処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲気で上記多孔
質半導体層の加熱を行う処理、上記多孔質半導体層に紫
外光を照射するとともに上記多孔質半導体層の加熱を行
う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰
囲気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射するとともに
上記多孔質半導体層の加熱を行う処理の少なくとも1つ
の処理により、上記多孔質半導体層を酸化するので、多
孔質半導体層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリ
フト層を形成する場合に比べて電子の放出効率を高める
ことができ、また、多孔質半導体層を急速加熱法によっ
て酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べて低
温で強電界ドリフト層を形成することができ、プロセス
温度が低温になって導電性基板の制約が少なくなり、大
面積化および低コスト化が容易になるという効果があ
る。
【0179】請求項17の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、導電性薄膜を形成した後に、酸素とオ
ゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫外光を照
射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガ
ス雰囲気でプラズマにさらす処理、少なくともオゾンを
含むガス雰囲気で加熱を行う処理、紫外光を照射すると
ともに加熱を行う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一
方を含むガス雰囲気で紫外光を照射するとともに加熱を
行う処理の少なくとも1つの処理を行うので、当該処理
を行うことにより当該処理以前のプロセスでの有機物に
よる汚染を除去することができ、電子の放出効率を高め
ることができるという効果がある。
【0180】請求項18の発明は、請求項16または請
求項17の発明において、上記主酸化処理過程の以前と
以後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質
半導体層を酸化する補助酸化処理過程を備えるので、電
子の放出効率を高めることができるという効果がある。
【0181】請求項19の発明は、請求項16または請
求項17の発明において、上記主酸化処理過程の以前と
以後との少なくとも一方に、酸により上記多孔質半導体
層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、電子の
放出効率を高めることができるという効果がある。
【0182】請求項20の発明は、請求項16または請
求項17の発明において、上記主酸化処理過程の前に、
酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸
化処理過程を備えるので、多孔質半導体層を陽極酸化処
理により形成した際に多孔質半導体層の表面の原子を終
端している水素原子が、酸化性溶液により酸素原子に置
換されているから、前記強電界ドリフト層に含まれる水
素の量を少なくすることができるとともに、前記強電界
ドリフト層中の水素の分布の経時変化を少なくすること
ができて、経時安定性が向上するという効果がある。
【0183】請求項21の発明は、請求項18または請
求項19の発明において、上記主酸化処理過程および上
記補助酸化処理過程よりも前に、酸化性溶液により上記
多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えるの
で、多孔質半導体層を陽極酸化処理により形成した際に
多孔質半導体層の表面の原子を終端している水素原子
が、酸化性溶液により酸素原子に置換されているから、
前記強電界ドリフト層に含まれる水素の量を少なくする
ことができるとともに、前記強電界ドリフト層中の水素
の分布の経時変化を少なくすることができて、経時安定
性が向上するという効果がある。
【0184】請求項22の発明は、請求項7ないし請求
項21の発明において、上記多孔質半導体層は、多孔質
単結晶シリコンよりなるので、強電界ドリフト層がSi
2の構造若しくはSiO2の構造に近い緻密性の高い酸
化膜を有するようになって、酸化膜の緻密性および膜質
が向上し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧
が高くなるという効果がある。
【0185】請求項23の発明は、請求項7ないし請求
項21の発明において、上記多孔質半導体層は、多孔質
多結晶シリコンよりなるので、強電界ドリフト層がSi
2の構造若しくはSiO2の構造に近い緻密性の高い酸
化膜を有するようになって、酸化膜の緻密性および膜質
が向上し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧
が高くなるという効果がある。
【0186】請求項25の発明は、請求項7ないし請求
項23の発明において、上記導電性基板は、絶縁性基板
と絶縁性基板の一表面側に形成された導電性膜とからな
るので、請求項24の発明に比べて大面積化および低コ
スト化を図ることができるという効果がある。
【0187】請求項31の発明は、請求項30の発明に
おいて、上記酸化性の溶液は、酸化速度が速くなるよう
に加熱されているので、上記酸化性溶液による処理時間
を短くすることができ、スループットが向上するという
効果がある。
【0188】請求項32の発明は、請求項1ないし請求
項6のいずれかに記載の電界放射型電子源と、該電界放
射型電子源に対向配置され電界放射型電子源との間の空
間が真空に保たれるフェースプレートと、フェースプレ
ートにおける電界放射型電子源との対向面側に設けられ
たコレクタ電極と、コレクタ電極における電界放射型電
子源との対向面側に設けられ電界放射型電子源からの電
子線を受けて可視光領域の光を発光する蛍光体層とを備
えてなることを特徴とするものであり、請求項1ないし
請求項6のいずれかに記載の電界放射型電子源を備えて
いるので、大面積化および低コスト化を図ることができ
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す概略断面図である。
【図2】同上の製造プロセスを説明するための主要工程
断面図である。
【図3】同上の他の構成例の概略断面図である。
【図4】同上の酸化過程を模式的に説明する説明図であ
る。
【図5】同上の電子放出機構の原理説明図である。
【図6】同上の動作説明図である。
【図7】同上の一実施例の電圧電流特性図である。
【図8】実施形態4を示す概略断面図である。
【図9】同上の他の構成例を示す概略断面図である。
【図10】同上の製造プロセスを説明するための主要工
程断面図である。
【図11】実施形態5の動作説明図である。
【図12】同上の一実施例の電圧電流特性図である。
【図13】同上の他の実施例の電圧電流特性図である。
【図14】実施形態6に関する微結晶シリコン層の酸化
状態の説明図である。
【図15】同上に関する微結晶シリコン層の酸化状態の
説明図である。
【図16】実施形態14を示し、電界放射型電子源を利
用したディスプレイの概略斜視図である。
【図17】同上を示し、他の電界放射型電子源を利用し
たディスプレイの概略断面図である。
【図18】同上の特性図である。
【符号の説明】
1 n形シリコン基板 2 オーミック電極 3 多結晶シリコン層 6 強電界ドリフト層 7 導電性薄膜 10 電界放射型電子源
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月1日(2000.5.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、導電
性基板と、導電性基板の一表面側に形成された強電界ド
リフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性
薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極と
して電圧を印加することにより導電性基板から注入され
た電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通
して放出される電界放射型電子源であって、強電界ドリ
フト層は、多孔質半導体層を電解質溶液中で電気化学的
に酸化する酸化工程を含むプロセスにより形成されてな
ることを特徴とするものであり、多孔質半導体層を電解
質溶液中で電気化学的に酸化する酸化工程を含むプロセ
スにより酸化して強電界ドリフト層を形成しているの
で、多孔質半導体層を急速加熱法のみにより酸化して強
電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度が
低温になって、導電性基板の材料の制約が少なくなり、
大面積化および低コスト化が容易になる。請求項2の発
明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成され
た強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成さ
れた導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対
して正極として電圧を印加することにより導電性基板か
ら注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電
性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、
強電界ドリフト層は、多孔質半導体層を比較的低温で酸
化する酸化工程を含むプロセスにより形成され、且つ、
少なくとも、導電性基板の上記一表面側に形成された柱
状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在するナ
ノ構造よりなる微結晶シリコン層と、微結晶シリコン層
の表面に形成され当該微結晶シリコン層の結晶粒径より
も小さな膜厚のシリコン酸化膜とからなることを特徴と
するものであり、多孔質半導体層を比較的低温で酸化す
る酸化工程を含むプロセスにより酸化して強電界ドリフ
ト層を形成しているので、多孔質半導体層を急速加熱法
のみにより酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に
比べてプロセス温度が低温になって、導電性基板の材料
の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が容易
になり、しかも、強電界ドリフト層が、少なくとも、導
電性基板の上記一表面側に形成された柱状の多結晶シリ
コンと、多結晶シリコン間に介在するナノ構造よりなる
微結晶シリコン層と、微結晶シリコン層の表面に形成さ
れ当該微結晶シリコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚の
シリコン酸化膜とからなるので、電子放出特性の真空度
依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生
せず安定して電子を放出することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】請求項の発明は、請求項の発明におい
て、上記酸化工程が、液体中にて多孔質半導体層を酸化
する工程であることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】請求項の発明は、請求項の発明におい
て、上記液体が、酸よりなることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】請求項の発明は、請求項の発明におい
て、上記酸が、HNO3、H2SO4、王水からなる群よ
り選択されることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】請求項の発明は、請求項1ないし請求項
の発明において、上記多孔質半導体層が、多孔質単結
晶シリコンよりなることを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】請求項の発明は、請求項1ないし請求項
の発明において、上記多孔質半導体層が、多孔質多結
晶シリコンよりなるので、電子放出特性の真空度依存性
が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安
定して高効率で電子を放出することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】請求項の発明は、導電性基板と、導電性
基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よ
りなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形
成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板
に対して正極として電圧を印加することにより導電性基
板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし
導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造
方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化
処理過程を備え、該主酸化処理過程は、上記多孔質半導
体層を電解質溶液中で電気化学的に酸化することを特徴
とし、多孔質半導体層を急速加熱法により酸化して強電
界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低
温化することができて、導電性基板の材料の制約が少な
くなり、大面積化および低コスト化が可能な電界放射型
電子源を提供することができる。請求項9の発明は、導
電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された酸化し
た多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電
界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、強電
界ドリフト層が、少なくとも、導電性基板の上記一表面
側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコ
ン間に介在するナノ構造よりなる微結晶シリコン層と、
微結晶シリコン層の表面に形成され当該微結晶シリコン
層の結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン酸化膜とから
なり、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧
を印加することにより導電性基板から注入された電子が
強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出
される電界放射型電子源の製造方法であって、上記多孔
質半導体層の酸化にあたっては、比較的低温で上記多孔
質半導体層を酸化する主酸化処理過程を備えることを特
徴とし、多孔質半導体層を急速加熱法により酸化して強
電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を
低温化することができて、導電性基板の材料の制約が少
なくなり、大面積化および低コスト化が可能で、しか
も、電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出
時にポッピング現象が発生せず安定して電子を放出する
ことが可能な電界放射型電子源を提供することができ
る。請求項10の発明は、請求項8の発明において、上
記電解質溶液が、酸よりなることを特徴とし、望ましい
実施態様である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】請求項11の発明は、請求項の発明にお
いて、上記主酸化処理過程は、液体中で上記多孔質半導
体層を酸化するので、多孔質半導体層を半導体層に陽極
酸化処理を施すことにより形成する場合、陽極酸化処理
に引き続いてウェット処理で多孔質半導体層を酸化する
ことができるから、陽極酸化処理の後に急速加熱法によ
り酸化する場合に比べてプロセスを簡略化することがで
きる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】請求項12の発明は、請求項11の発明に
おいて、上記液体が、酸よりなることを特徴とし、望ま
しい実施態様である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】請求項13の発明は、請求項ないし請求
12の発明において、上記主酸化処理工程の以前と以
後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質半
導体層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、電
子の放出効率を高めることができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】請求項14の発明は、請求項ないし請求
12の発明において、上記主酸化処理過程の前に、酸
化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化
処理過程を備えるので、電子の放出効率を高めることが
できる。請求項15の発明は、導電性基板と、導電性基
板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層より
なる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成
された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に
対して正極として電圧を印加することにより導電性基板
から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導
電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造方
法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたっては、
比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化処理
過程を備え、上記主酸化処理過程の以前と以後との少な
くとも一方に、熱酸化法により上記多孔質半導体層の酸
化を行う補助酸化処理過程を備えることを特徴とし、多
孔質半導体層を急速加熱法により酸化して強電界ドリフ
ト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化する
ことができて、導電性基板の材料の制約が少なくなり、
大面積化および低コスト化が可能な電界放射型電子源を
提供することができ、しかも、上記主酸化処理過程の以
前と以後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多
孔質半導体層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるこ
とにより、電子の放出効率を高めることができる。請求
項16の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側
に形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ド
リフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性
薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極と
して電圧を印加することにより導電性基板から注入され
た電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通
して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、
上記多孔質半導体層の酸化にあたっては、比較的低温で
上記多孔質半導体層を酸化する主酸化処理過程を備え、
上記主酸化処理過程の前に、酸化性溶液により上記多孔
質半導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えることを
特徴とし、多孔質半導体層を急速加熱法により酸化して
強電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度
を低温化することができて、導電性基板の材料の制約が
少なくなり、大面積化および低コスト化が可能な電界放
射型電子源を提供することができ、しかも、上記主酸化
処理過程の前に、酸化性溶液により上記多孔質半導体層
の酸化を行う前酸化処理過程を備えることにより、電子
の放出効率を高めることができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】請求項17の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、熱酸化法によって上記多孔質半導体層の酸化を行う
前に酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う
前酸化処理過程を備えることを特徴とし、表面が酸化性
溶液により酸化された多孔質半導体層に熱酸化法が施さ
れていることにより、陽極酸化処理の直後に急速加熱法
が施されている場合に比べて強電界ドリフト層への水素
の混入が少ないので、従来のような水素の分布の経時変
化による電子の放出効率の低下が少なく、また、酸化膜
が緻密になりやすく、絶縁耐圧が高くなる。請求項18
の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成
された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト
層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜と
を備え、強電界ドリフト層が、少なくとも、導電性基板
の上記一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、
多結晶シリコン間に介在するナノ構造よりなる微結晶シ
リコン層と、微結晶シリコン層の表面に形成され当該微
結晶シリコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン
酸化膜とからなり、導電性薄膜を導電性基板に対して正
極として電圧を印加することにより導電性基板から注入
された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜
を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であっ
て、上記多孔質半導体層の酸化にあたっては、熱酸化法
によって上記多孔質半導体層の酸化を行う前に酸化性溶
液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過
程を備えることを特徴とし、表面が酸化性溶液により酸
化された多孔質半導体層に熱酸化法が施されていること
により、陽極酸化処理の直後に急速加熱法が施されてい
る場合に比べて強電界ドリフト層への水素の混入が少な
いので、従来のような水素の分布の経時変化による電子
の放出効率の低下が少なく、また、酸化膜が緻密になり
やすく、絶縁耐圧が高くなる。しかも、電子放出特性の
真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象
が発生せず安定して電子を放出することが可能な電界放
射型電子源を提供することができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】請求項19の発明は、請求項13または請
求項15の発明において、上記主酸化処理過程および上
記補助酸化処理過程よりも前に、酸化性溶液により上記
多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えるの
で、電子の放出効率を高めることができる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】請求項20の発明は、請求項の発明にお
いて、上記主酸化処理過程は、酸素とオゾンとの少なく
とも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外
光を照射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を
含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層をプラズマにさら
す処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲気で上記多孔
質半導体層の加熱を行う処理、上記多孔質半導体層に紫
外光を照射するとともに上記多孔質半導体層の加熱を行
う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰
囲気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射するとともに
上記多孔質半導体層の加熱を行う処理の少なくとも1つ
の処理により、上記多孔質半導体層を酸化するので、多
孔質半導体層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリ
フト層を形成する場合に比べて電子の放出効率を高める
ことができ、また、多孔質半導体層を急速加熱法によっ
て酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べて低
温で強電界ドリフト層を形成することができ、プロセス
温度が低温になって導電性基板の制約が少なくなり、大
面積化および低コスト化が容易になる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】請求項21の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、導電性薄膜を形成した後に、酸素とオ
ゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫外光を照
射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガ
ス雰囲気でプラズマにさらす処理、少なくともオゾンを
含むガス雰囲気で加熱を行う処理、紫外光を照射すると
ともに加熱を行う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一
方を含むガス雰囲気で紫外光を照射するとともに加熱を
行う処理の少なくとも1つの処理を行うことを特徴と
し、当該処理を行うことにより当該処理以前のプロセス
での有機物による汚染を除去することができ、電子の放
出効率を高めることができる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】請求項22の発明は、請求項20または請
求項21の発明において、上記主酸化処理過程の以前と
以後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質
半導体層を酸化する補助酸化処理過程を備えるので、電
子の放出効率を高めることができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】請求項23の発明は、請求項20または請
求項21の発明において、上記主酸化処理過程の以前と
以後との少なくとも一方に、酸により上記多孔質半導体
層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、電子の
放出効率を高めることができる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】請求項24の発明は、請求項20または請
求項21の発明において、上記主酸化処理過程の前に、
酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸
化処理過程を備えるので、多孔質半導体層を陽極酸化処
理により形成した際に多孔質半導体層の表面の原子を終
端している水素原子が、酸化性溶液により酸素原子に置
換されているから、前記強電界ドリフト層に含まれる水
素の量を少なくすることができるとともに、前記強電界
ドリフト層中の水素の分布の経時変化を少なくすること
ができて、経時安定性が向上する。請求項25の発明
は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された
酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、
該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備
え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を
印加することにより導電性基板から注入された電子が強
電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出さ
れる電界放射型電子源の製造方法であって、上記多孔質
半導体層の酸化にあたっては、比較的低温で上記多孔質
半導体層を酸化する主酸化処理過程を備え、上記主酸化
処理過程は、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガ
ス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射する処
理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気
で上記多孔質半導体層をプラズマにさらす処理、少なく
ともオゾンを含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層の加
熱を行う処理、上記多孔質半導体層に紫外光を照射する
とともに上記多孔質半導体層の加熱を行う処理、酸素と
オゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で上記多孔
質半導体層に紫外光を照射するとともに上記多孔質半導
体層の加熱を行う処理のうち、少なくとも1つの処理に
より、上記多孔質半導体層を酸化し、上記主酸化処理過
程の以前と以後との少なくとも一方に、熱酸化法により
上記多孔質半導体層を酸化する補助酸化処理過程を備え
ることを特徴とし、多孔質半導体層を急速加熱法によっ
て酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べて電
子の放出効率を高めることができ、また、多孔質半導体
層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト層を形
成する場合に比べて低温で強電界ドリフト層を形成する
ことができ、プロセス温度が低温になって導電性基板の
制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が容易に
なる。請求項26の発明は、導電性基板と、導電性基板
の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よりな
る強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成さ
れた導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対
して正極として電圧を印加することにより導電性基板か
ら注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電
性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造方法
であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたっては、比
較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化処理過
程を備え、上記主酸化処理過程は、酸素とオゾンとの少
なくとも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に
紫外光を照射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一
方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層をプラズマに
さらす処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲気で上記
多孔質半導体層の加熱を行う処理、上記多孔質半導体層
に紫外光を照射するとともに上記多孔質半導体層の加熱
を行う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガ
ス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射するとと
もに上記多孔質半導体層の加熱を行う処理のうち、少な
くとも1つの処理により、上記多孔質半導体層を酸化
し、上記主酸化処理過程の以前と以後との少なくとも一
方に、酸により上記多孔質半導体層の酸化を行う補助酸
化処理過程を備えることを特徴とし、多孔質半導体層を
急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト層を形成す
る場合に比べて電子の放出効率を高めることができ、ま
た、多孔質半導体層を急速加熱法によって酸化して強電
界ドリフト層を形成する場合に比べて低温で強電界ドリ
フト層を形成することができ、プロセス温度が低温にな
って導電性基板の制約が少なくなり、大面積化および低
コスト化が容易になる。請求項27の発明は、導電性基
板と、導電性基板の一表面側に形成された酸化した多孔
質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリ
フト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜
を導電性基板に対して正極として電圧を印加することに
より導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層
をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型
電子源の製造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化
にあたっては、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化
する主酸化処理過程を備え、上記主酸化処理過程は、酸
素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で上記
多孔質半導体層に紫外光を照射する処理、酸素とオゾン
との少なくとも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導
体層をプラズマにさらす処理、少なくともオゾンを含む
ガス雰囲気で上記多孔質半導体層の加熱を行う処理、上
記多孔質半導体層に紫外光を照射するとともに上記多孔
質半導体層の加熱を行う処理、酸素とオゾンとの少なく
とも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外
光を照射するとともに上記多孔質半導体層の加熱を行う
処理のうち、少なくとも1つの処理により、上記多孔質
半導体層を酸化し、上記主酸化処理過程の前に、酸化性
溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理
過程を備えることを特徴とし、多孔質半導体層を急速加
熱法によって酸化して強電界ドリフト層を形成する場合
に比べて電子の放出効率を高めることができ、また、多
孔質半導体層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリ
フト層を形成する場合に比べて低温で強電界ドリフト層
を形成することができ、プロセス温度が低温になって導
電性基板の制約が少なくなり、大面積化および低コスト
化が容易になる。しかも、上記主酸化処理過程の前に、
酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸
化処理過程を備えるので、多孔質半導体層を陽極酸化処
理により形成した際に多孔質半導体層の表面の原子を終
端している水素原子が、酸化性溶液により酸素原子に置
換されているから、前記強電界ドリフト層に含まれる水
素の量を少なくすることができるとともに、前記強電界
ドリフト層中の水素の分布の経時変化を少なくすること
ができ、経時安定性が向上する。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】請求項28の発明は、請求項22または請
求項23または請求項25または請求項26の発明にお
いて、上記主酸化処理過程および上記補助酸化処理過程
よりも前に、酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸
化を行う前酸化処理過程を備えるので、多孔質半導体層
を陽極酸化処理により形成した際に多孔質半導体層の表
面の原子を終端している水素原子が、酸化性溶液により
酸素原子に置換されているから、前記強電界ドリフト層
に含まれる水素の量を少なくすることができるととも
に、前記強電界ドリフト層中の水素の分布の経時変化を
少なくすることができて、経時安定性が向上する。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】請求項29の発明は、請求項ないし請求
28の発明において、上記多孔質半導体層は、多孔質
単結晶シリコンよりなるので、強電界ドリフト層がSi
2の構造若しくはSiO2の構造に近い緻密性の高い酸
化膜を有するようになって、酸化膜の緻密性および膜質
が向上し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧
が高くなる。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】請求項30の発明は、請求項ないし請求
28の発明において、上記多孔質半導体層は、多孔質
多結晶シリコンよりなるので、強電界ドリフト層がSi
2の構造若しくはSiO2の構造に近い緻密性の高い酸
化膜を有するようになって、酸化膜の緻密性および膜質
が向上し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧
が高くなる。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】請求項31の発明は、請求項ないし請求
30の発明において、上記導電性基板は、n形シリコ
ン基板であることを特徴とする。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】請求項32の発明は、請求項ないし請求
30の発明において、上記導電性基板は、絶縁性基板
と絶縁性基板の一表面側に形成された導電性膜とからな
ることを特徴とし、請求項24の発明に比べて大面積化
および低コスト化を図ることができる。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】請求項33の発明は、請求項32の発明に
おいて、上記絶縁性基板が、ガラス基板よりなることを
特徴とする。
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】請求項34の発明は、請求項32の発明に
おいて、上記絶縁性基板が、セラミック基板よりなるこ
とを特徴とする。
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】請求項35の発明は、請求項ないし請求
34の発明において、上記多孔質半導体層が、半導体
層に陽極酸化処理を施すことにより形成することを特徴
とする。
【手続補正30】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】請求項36の発明は、請求項10または請
求項12または請求項23または請求項26の発明に
いて、上記酸が、硝酸、硫酸、王水からなる群より選択
されることを特徴とし、望ましい実施態様である。
【手続補正31】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】請求項37の発明は、請求項14または請
求項16または請求項17または請求項18または請求
19または請求項24または請求項27または請求項
28の発明において、上記酸化性溶液が、硝酸、硫酸、
塩酸、過酸化水素水からなる群より選択される1種若し
くは2種以上の酸化剤からなることを特徴とし、望まし
い実施態様である。
【手続補正32】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】請求項38の発明は、請求項37の発明に
おいて、上記酸化性の溶液は、酸化速度が速くなるよう
に加熱されているので、上記酸化性溶液による処理時間
を短くすることができ、スループットが向上する。
【手続補正33】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】請求項39の発明は、請求項1ないし請求
のいずれかに記載の電界放射型電子源と、該電界放
射型電子源に対向配置され電界放射型電子源との間の空
間が真空に保たれるフェースプレートと、フェースプレ
ートにおける電界放射型電子源との対向面側に設けられ
たコレクタ電極と、コレクタ電極における電界放射型電
子源との対向面側に設けられ電界放射型電子源からの電
子線を受けて可視光領域の光を発光する蛍光体層とを備
えてなることを特徴とするものであり、請求項1ないし
請求項6のいずれかに記載の電界放射型電子源を備えて
いるので、大面積化および低コスト化を図ることができ
る。
【手続補正34】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0169
【補正方法】変更
【補正内容】
【0169】
【発明の効果】請求項1の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された強電界ドリフト層と、該
強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、
導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加
することにより導電性基板から注入された電子が強電界
ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される
電界放射型電子源であって、強電界ドリフト層は、多孔
質半導体層を電解質溶液中で電気化学的に酸化する酸化
工程を含むプロセスにより形成されてなるものであり、
多孔質半導体層を電解質溶液中で電気化学的に酸化する
酸化工程を含むプロセスにより酸化して強電界ドリフト
層を形成しているので、多孔質半導体層を急速加熱法の
みにより酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比
べてプロセス温度が低温になって、導電性基板の材料の
制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が容易に
なるという効果がある。請求項2の発明は、導電性基板
と、導電性基板の一表面側に形成された強電界ドリフト
層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜と
を備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電
圧を印加することにより導電性基板から注入された電子
が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放
出される電界放射型電子源であって、強電界ドリフト層
は、多孔質半導体層を比較的低温で酸化する酸化工程を
含むプロセスにより形成され、且つ、少なくとも、導電
性基板の上記一表面側に形成された柱状の多結晶シリコ
ンと、多結晶シリコン間に介在するナノ構造よりなる微
結晶シリコン層と、微結晶シリコン層の表面に形成され
当該微結晶シリコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚のシ
リコン酸化膜とからなるものであり、多孔質半導体層を
比較的低温で酸化する酸化工程を含むプロセスにより酸
化して強電界ドリフト層を形成しているので、多孔質半
導体層を急速加熱法のみにより酸化して強電界ドリフト
層を形成する場合に比べてプロセス温度が低温になっ
て、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化お
よび低コスト化が容易になるという効果があり、しか
も、強電界ドリフト層が、少なくとも、導電性基板の上
記一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結
晶シリコン間に介在するナノ構造よりなる微結晶シリコ
ン層と、微結晶シリコン層の表面に形成され当該微結晶
シリコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン酸化
膜とからなるので、電子放出特性の真空度依存性が小さ
く且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して
電子を放出することができるという効果がある。
【手続補正35】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正内容】
【0170】請求項の発明は、請求項1ないし請求項
の発明において、上記多孔質半導体層が、多孔質多結
晶シリコンよりなるので、電子放出特性の真空度依存性
が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安
定して高効率で電子を放出することができるという効果
がある。
【手続補正36】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0171
【補正方法】変更
【補正内容】
【0171】請求項の発明は、導電性基板と、導電性
基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よ
りなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形
成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板
に対して正極として電圧を印加することにより導電性基
板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし
導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造
方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化
処理過程を備え、該主酸化処理過程は、上記多孔質半導
体層を電解質溶液中で電気化学的に酸化するので、多孔
質半導体層を急速加熱法により酸化して強電界ドリフト
層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化するこ
とができて、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大
面積化および低コスト化が可能な電界放射型電子源を提
供することができるという効果がある。請求項9の発明
は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された
酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、
該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備
え、強電界ドリフト層が、少なくとも、導電性基板の上
記一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結
晶シリコン間に介在するナノ構造よりなる微結晶シリコ
ン層と、微結晶シリコン層の表面に形成され当該微結晶
シリコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン酸化
膜とからなり、導電性薄膜を導電性基板に対して正極と
して電圧を印加することにより導電性基板から注入され
た電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通
して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、
上記多孔質半導体層の酸化にあたっては、比較的低温で
上記多孔質半導体層を酸化する主酸化処理過程を備える
ので、多孔質半導体層を急速加熱法により酸化して強電
界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低
温化することができて、導電性基板の材料の制約が少な
くなり、大面積化および低コスト化が可能で、しかも、
電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時に
ポッピング現象が発生せず安定して電子を放出すること
が可能な電界放射型電子源を提供することができるとい
う効果がある。請求項10の発明は、請求項8の発明に
おいて、上記電解質溶液が、酸よりなることを特徴と
し、望ましい実施態様である。
【手続補正37】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0172
【補正方法】変更
【補正内容】
【0172】請求項11の発明は、請求項の発明にお
いて、上記主酸化処理過程は、液体中で上記多孔質半導
体層を酸化するので、多孔質半導体層を半導体層に陽極
酸化処理を施すことにより形成する場合、陽極酸化処理
に引き続いてウェット処理で多孔質半導体層を酸化する
ことができるから、陽極酸化処理の後に急速加熱法によ
り酸化する場合に比べてプロセスを簡略化することがで
きるという効果がある。
【手続補正38】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0173
【補正方法】削除
【手続補正39】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0174
【補正方法】変更
【補正内容】
【0174】請求項13の発明は、請求項ないし請求
12の発明において、上記主酸化処理工程の以前と以
後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質半
導体層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、電
子の放出効率を高めることができるという効果がある。
【手続補正40】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0175
【補正方法】変更
【補正内容】
【0175】請求項14の発明は、請求項ないし請求
12の発明において、上記主酸化処理過程の前に、酸
化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化
処理過程を備えるので、電子の放出効率を高めることが
できるという効果がある。請求項15の発明は、導電性
基板と、導電性基板の一表面側に形成された酸化した多
孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ド
リフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄
膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加すること
により導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト
層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射
型電子源の製造方法であって、上記多孔質半導体層の酸
化にあたっては、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸
化する主酸化処理過程を備え、上記主酸化処理過程の以
前と以後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多
孔質半導体層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるの
で、多孔質半導体層を急速加熱法により酸化して強電界
ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温
化することができて、導電性基板の材料の制約が少なく
なり、大面積化および低コスト化が可能な電界放射型電
子源を提供することができるという効果があり、しか
も、上記主酸化処理過程の以前と以後との少なくとも一
方に、熱酸化法により上記多孔質半導体層の酸化を行う
補助酸化処理過程を備えることにより、電子の放出効率
を高めることができるという効果がある。請求項16の
発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成さ
れた酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層
と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを
備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧
を印加することにより導電性基板から注入された電子が
強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出
される電界放射型電子源の製造方法であって、上記多孔
質半導体層の酸化にあたっては、比較的低温で上記多孔
質半導体層を酸化する主酸化処理過程を備え、上記主酸
化処理過程の前に、酸化性溶液により上記多孔質半導体
層の酸化を行う前酸化処理過程を備えるので、多孔質半
導体層を急速加熱法により酸化して強電界ドリフト層を
形成する場合に比べてプロセス温度を低温化することが
できて、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積
化および低コスト化が可能な電界放射型電子源を提供す
ることができるという効果があり、しかも、上記主酸化
処理過程の前に、酸化性溶液により上記多孔質半導体層
の酸化を行う前酸化処理過程を備えることにより、電子
の放出効率を高めることができるという効果がある。
【手続補正41】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正内容】
【0176】請求項17の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、熱酸化法によって上記多孔質半導体層の酸化を行う
前に酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う
前酸化処理過程を備えるので、表面が酸化性溶液により
酸化された多孔質半導体層に熱酸化法が施されているこ
とにより、陽極酸化処理の直後に急速加熱法が施されて
いる場合に比べて強電界ドリフト層への水素の混入が少
ないから、従来のような水素の分布の経時変化による電
子の放出効率の低下が少なく、また、酸化膜が緻密にな
りやすく、絶縁耐圧が高くなるという効果がある。請求
項18の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側
に形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ド
リフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性
薄膜とを備え、強電界ドリフト層が、少なくとも、導電
性基板の上記一表面側に形成された柱状の多結晶シリコ
ンと、多結晶シリコン間に介在するナノ構造よりなる微
結晶シリコン層と、微結晶シリコン層の表面に形成され
当該微結晶シリコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚のシ
リコン酸化膜とからなり、導電性薄膜を導電性基板に対
して正極として電圧を印加することにより導電性基板か
ら注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電
性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造方法
であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたっては、熱
酸化法によって上記多孔質半導体層の酸化を行う前に酸
化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化
処理過程を備えるので、表面が酸化性溶液により酸化さ
れた多孔質半導体層に熱酸化法が施されていることによ
り、陽極酸化処理の直後に急速加熱法が施されている場
合に比べて強電界ドリフト層への水素の混入が少ないか
ら、従来のような水素の分布の経時変化による電子の放
出効率の低下が少なく、また、酸化膜が緻密になりやす
く、絶縁耐圧が高くなるという効果がある。しかも、電
子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポ
ッピング現象が発生せず安定して電子を放出することが
可能な電界放射型電子源を提供することができるという
効果がある。
【手続補正42】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0177
【補正方法】変更
【補正内容】
【0177】請求項19の発明は、請求項13または請
求項15の発明において、上記主酸化処理過程および上
記補助酸化処理過程よりも前に、酸化性溶液により上記
多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えるの
で、電子の放出効率を高めることができるという効果が
ある。
【手続補正43】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0178
【補正方法】変更
【補正内容】
【0178】請求項20の発明は、請求項の発明にお
いて、上記主酸化処理過程は、酸素とオゾンとの少なく
とも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外
光を照射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を
含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層をプラズマにさら
す処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲気で上記多孔
質半導体層の加熱を行う処理、上記多孔質半導体層に紫
外光を照射するとともに上記多孔質半導体層の加熱を行
う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰
囲気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射するとともに
上記多孔質半導体層の加熱を行う処理の少なくとも1つ
の処理により、上記多孔質半導体層を酸化するので、多
孔質半導体層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリ
フト層を形成する場合に比べて電子の放出効率を高める
ことができ、また、多孔質半導体層を急速加熱法によっ
て酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べて低
温で強電界ドリフト層を形成することができ、プロセス
温度が低温になって導電性基板の制約が少なくなり、大
面積化および低コスト化が容易になるという効果があ
る。
【手続補正44】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0179
【補正方法】変更
【補正内容】
【0179】請求項21の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、導電性薄膜を形成した後に、酸素とオ
ゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で紫外光を照
射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガ
ス雰囲気でプラズマにさらす処理、少なくともオゾンを
含むガス雰囲気で加熱を行う処理、紫外光を照射すると
ともに加熱を行う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一
方を含むガス雰囲気で紫外光を照射するとともに加熱を
行う処理の少なくとも1つの処理を行うので、当該処理
を行うことにより当該処理以前のプロセスでの有機物に
よる汚染を除去することができ、電子の放出効率を高め
ることができるという効果がある。
【手続補正45】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0180
【補正方法】変更
【補正内容】
【0180】請求項22の発明は、請求項20または請
求項21の発明において、上記主酸化処理過程の以前と
以後との少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質
半導体層を酸化する補助酸化処理過程を備えるので、電
子の放出効率を高めることができるという効果がある。
【手続補正46】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0181
【補正方法】変更
【補正内容】
【0181】請求項23の発明は、請求項20または請
求項21の発明において、上記主酸化処理過程の以前と
以後との少なくとも一方に、酸により上記多孔質半導体
層の酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、電子の
放出効率を高めることができるという効果がある。
【手続補正47】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0182
【補正方法】変更
【補正内容】
【0182】請求項24の発明は、請求項20または請
求項21の発明において、上記主酸化処理過程の前に、
酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸
化処理過程を備えるので、多孔質半導体層を陽極酸化処
理により形成した際に多孔質半導体層の表面の原子を終
端している水素原子が、酸化性溶液により酸素原子に置
換されているから、前記強電界ドリフト層に含まれる水
素の量を少なくすることができるとともに、前記強電界
ドリフト層中の水素の分布の経時変化を少なくすること
ができて、経時安定性が向上するという効果がある。請
求項25の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面
側に形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界
ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電
性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極
として電圧を印加することにより導電性基板から注入さ
れた電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を
通して放出される電界放射型電子源の製造方法であっ
て、上記多孔質半導体層の酸化にあたっては、比較的低
温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化処理過程を備
え、上記主酸化処理過程は、酸素とオゾンとの少なくと
も一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外光
を照射する処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含
むガス雰囲気で上記多孔質半導体層をプラズマにさらす
処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲気で上記多孔質
半導体層の加熱を行う処理、上記多孔質半導体層に紫外
光を照射するとともに上記多孔質半導体層の加熱を行う
処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲
気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射するとともに上
記多孔質半導体層の加熱を行う処理のうち、少なくとも
1つの処理により、上記多孔質半導体層を酸化し、上記
主酸化処理過程の以前と以後との少なくとも一方に、熱
酸化法により上記多孔質半導体層を酸化する補助酸化処
理過程を備えるので、多孔質半導体層を急速加熱法によ
って酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べて
電子の放出効率を高めることができ、また、多孔質半導
体層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト層を
形成する場合に比べて低温で強電界ドリフト層を形成す
ることができ、プロセス温度が低温になって導電性基板
の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が容易
になるという効果がある。請求項26の発明は、導電性
基板と、導電性基板の一表面側に形成された酸化した多
孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ド
リフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄
膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加すること
により導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト
層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射
型電子源の製造方法であって、上記多孔質半導体層の酸
化にあたっては、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸
化する主酸化処理過程を備え、上記主酸化処理過程は、
酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で上
記多孔質半導体層に紫外光を照射する処理、酸素とオゾ
ンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半
導体層をプラズマにさらす処理、少なくともオゾンを含
むガス雰囲気で上記多孔質半導体層の加熱を行う処理、
上記多孔質半導体層に紫外光を照射するとともに上記多
孔質半導体層の加熱を行う処理、酸素とオゾンとの少な
くとも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫
外光を照射するとともに上記多孔質半導体層の加熱を行
う処理のうち、少なくとも1つの処理により、上記多孔
質半導体層を酸化し、上記主酸化処理過程の以前と以後
との少なくとも一方に、酸により上記多孔質半導体層の
酸化を行う補助酸化処理過程を備えるので、多孔質半導
体層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフト層を
形成する場合に比べて電子の放出効率を高めることがで
きるという効果があり、また、多孔質半導体層を急速加
熱法によって酸化して強電界ドリフト層を形成する場合
に比べて低温で強電界ドリフト層を形成することがで
き、プロセス温度が低温になって導電性基板の制約が少
なくなり、大面積化および低コスト化が容易になるとい
う効果がある。請求項27の発明は、導電性基板と、導
電性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体
層よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上
に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性
基板に対して正極として電圧を印加することにより導電
性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフ
トし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の
製造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたっ
ては、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸
化処理過程を備え、上記主酸化処理過程は、酸素とオゾ
ンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半
導体層に紫外光を照射する処理、酸素とオゾンとの少な
くとも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層をプ
ラズマにさらす処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲
気で上記多孔質半導体層の加熱を行う処理、上記多孔質
半導体層に紫外光を照射するとともに上記多孔質半導体
層の加熱を行う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方
を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射
するとともに上記多孔質半導体層の加熱を行う処理のう
ち、少なくとも1つの処理により、上記多孔質半導体層
を酸化し、上記主酸化処理過程の前に、酸化性溶液によ
り上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備
えるので、多孔質半導体層を急速加熱法によって酸化し
て強電界ドリフト層を形成する場合に比べて電子の放出
効率を高めることができという効果があり、また、多孔
質半導体層を急速加熱法によって酸化して強電界ドリフ
ト層を形成する場合に比べて低温で強電界ドリフト層を
形成することができ、プロセス温度が低温になって導電
性基板の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化
が容易になるという効果がある。しかも、上記主酸化処
理過程の前に、酸化性溶液により上記多孔質半導体層の
酸化を行う前酸化処理過程を備えるので、多孔質半導体
層を陽極酸化処理により形成した際に多孔質半導体層の
表面の原子を終端している水素原子が、酸化性溶液によ
り酸素原子に置換されているから、前記強電界ドリフト
層に含まれる水素の量を少なくすることができるととも
に、前記強電界ドリフト層中の水素の分布の経時変化を
少なくすることができ、経時安定性が向上するという効
果がある。
【手続補正48】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0183
【補正方法】変更
【補正内容】
【0183】請求項28の発明は、請求項22または請
求項23または請求項25または請求項26の発明にお
いて、上記主酸化処理過程および上記補助酸化処理過程
よりも前に、酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸
化を行う前酸化処理過程を備えるので、多孔質半導体層
を陽極酸化処理により形成した際に多孔質半導体層の表
面の原子を終端している水素原子が、酸化性溶液により
酸素原子に置換されているから、前記強電界ドリフト層
に含まれる水素の量を少なくすることができるととも
に、前記強電界ドリフト層中の水素の分布の経時変化を
少なくすることができて、経時安定性が向上するという
効果がある。
【手続補正49】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0184
【補正方法】変更
【補正内容】
【0184】請求項29の発明は、請求項ないし請求
28の発明において、上記多孔質半導体層は、多孔質
単結晶シリコンよりなるので、強電界ドリフト層がSi
2の構造若しくはSiO2の構造に近い緻密性の高い酸
化膜を有するようになって、酸化膜の緻密性および膜質
が向上し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧
が高くなるという効果がある。
【手続補正50】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0185
【補正方法】変更
【補正内容】
【0185】請求項30の発明は、請求項ないし請求
28の発明において、上記多孔質半導体層は、多孔質
多結晶シリコンよりなるので、強電界ドリフト層がSi
2の構造若しくはSiO2の構造に近い緻密性の高い酸
化膜を有するようになって、酸化膜の緻密性および膜質
が向上し、電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧
が高くなるという効果がある。
【手続補正51】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0186
【補正方法】変更
【補正内容】
【0186】請求項32の発明は、請求項ないし請求
30の発明において、上記導電性基板は、絶縁性基板
と絶縁性基板の一表面側に形成された導電性膜とからな
るので、請求項24の発明に比べて大面積化および低コ
スト化を図ることができるという効果がある。
【手続補正52】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0187
【補正方法】変更
【補正内容】
【0187】請求項38の発明は、請求項37の発明に
おいて、上記酸化性の溶液は、酸化速度が速くなるよう
に加熱されているので、上記酸化性溶液による処理時間
を短くすることができ、スループットが向上するという
効果がある。
【手続補正53】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0188
【補正方法】変更
【補正内容】
【0188】請求項39の発明は、請求項1ないし請求
のいずれかに記載の電界放射型電子源と、該電界放
射型電子源に対向配置され電界放射型電子源との間の空
間が真空に保たれるフェースプレートと、フェースプレ
ートにおける電界放射型電子源との対向面側に設けられ
たコレクタ電極と、コレクタ電極における電界放射型電
子源との対向面側に設けられ電界放射型電子源からの電
子線を受けて可視光領域の光を発光する蛍光体層とを備
えてなることを特徴とするものであり、請求項1ないし
請求項6のいずれかに記載の電界放射型電子源を備えて
いるので、大面積化および低コスト化を図ることができ
るという効果がある。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月17日(2000.7.1
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項18
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項38
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、導電
性基板と、導電性基板の一表面側に形成された強電界ド
リフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性
薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極と
して電圧を印加することにより導電性基板から注入され
た電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通
して放出される電界放射型電子源であって、強電界ドリ
フト層は、多孔質半導体層を電解質溶液中で電気化学的
に酸化する酸化工程を含むプロセスにより形成されてな
ることを特徴とするものであり、多孔質半導体層を電解
質溶液中で電気化学的に酸化する酸化工程を含むプロセ
スにより酸化して強電界ドリフト層を形成しているの
で、多孔質半導体層を急速加熱法のみにより酸化して強
電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度が
低温になって、導電性基板の材料の制約が少なくなり、
大面積化および低コスト化が容易になる。請求項2の発
明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成され
た強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形成さ
れた導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対
して正極として電圧を印加することにより導電性基板か
ら注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電
性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、
強電界ドリフト層は、多孔質半導体層である多孔質多結
晶シリコン層を比較的低温で酸化する酸化工程を含むプ
ロセスにより形成され、少なくとも、導電性基板の上記
一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結晶
シリコン間に介在するナノ構造よりなる微結晶シリコン
層と、微結晶シリコン層の表面に形成され当該微結晶シ
リコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン酸化膜
とからなることを特徴とするものであり、多孔質半導体
層である多孔質多結晶シリコン層を比較的低温で酸化す
る酸化工程を含むプロセスにより酸化して強電界ドリフ
ト層を形成しているので、多孔質半導体層を急速加熱法
のみにより酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に
比べてプロセス温度が低温になって、導電性基板の材料
の制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が容易
になり、しかも、強電界ドリフト層が、少なくとも、導
電性基板の上記一表面側に形成された柱状の多結晶シリ
コンと、多結晶シリコン間に介在するナノ構造よりなる
微結晶シリコン層と、微結晶シリコン層の表面に形成さ
れ当該微結晶シリコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚の
シリコン酸化膜とからなるので、電子放出特性の真空度
依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生
せず安定して電子を放出することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】請求項8の発明は、導電性基板と、導電性
基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よ
りなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形
成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板
に対して正極として電圧を印加することにより導電性基
板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし
導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造
方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化
処理過程を備え、該主酸化処理過程は、上記多孔質半導
体層を電解質溶液中で電気化学的に酸化することを特徴
とし、多孔質半導体層を急速加熱法により酸化して強電
界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低
温化することができて、導電性基板の材料の制約が少な
くなり、大面積化および低コスト化が可能な電界放射型
電子源を提供することができる。請求項9の発明は、導
電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された酸化し
た多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、該強電
界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、強電
界ドリフト層である酸化した多孔質半導体層が、少なく
とも、導電性基板の上記一表面側に形成された柱状の多
結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在するナノ構造
よりなる微結晶シリコン層と、微結晶シリコン層の表面
に形成され当該微結晶シリコン層の結晶粒径よりも小さ
な膜厚のシリコン酸化膜とからなり、導電性薄膜を導電
性基板に対して正極として電圧を印加することにより導
電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリ
フトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源
の製造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあた
っては、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主
酸化処理過程を備えることを特徴とし、多孔質半導体層
を急速加熱法により酸化して強電界ドリフト層を形成す
る場合に比べてプロセス温度を低温化することができ
て、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化お
よび低コスト化が可能で、しかも、電子放出特性の真空
度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発
生せず安定して電子を放出することが可能な電界放射型
電子源を提供することができる。請求項10の発明は、
請求項8の発明において、上記電解質溶液が、酸よりな
ることを特徴とし、望ましい実施態様である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】請求項17の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、熱酸化法によって上記多孔質半導体層の酸化を行う
前に酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う
前酸化処理過程を備えることを特徴とし、表面が酸化性
溶液により酸化された多孔質半導体層に熱酸化法が施さ
れていることにより、陽極酸化処理の直後に急速加熱法
が施されている場合に比べて強電界ドリフト層への水素
の混入が少ないので、従来のような水素の分布の経時変
化による電子の放出効率の低下が少なく、また、酸化膜
が緻密になりやすく、絶縁耐圧が高くなる。請求項18
の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成
された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト
層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜と
を備え、強電界ドリフト層である酸化した多孔質半導体
層が、少なくとも、導電性基板の上記一表面側に形成さ
れた柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在
するナノ構造よりなる微結晶シリコン層と、微結晶シリ
コン層の表面に形成され当該微結晶シリコン層の結晶粒
径よりも小さな膜厚のシリコン酸化膜とからなり、導電
性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加する
ことにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリ
フト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界
放射型電子源の製造方法であって、上記多孔質半導体層
の酸化にあたっては、熱酸化法によって上記多孔質半導
体層の酸化を行う前に酸化性溶液により上記多孔質半導
体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えることを特徴と
し、表面が酸化性溶液により酸化された多孔質半導体層
に熱酸化法が施されていることにより、陽極酸化処理の
直後に急速加熱法が施されている場合に比べて強電界ド
リフト層への水素の混入が少ないので、従来のような水
素の分布の経時変化による電子の放出効率の低下が少な
く、また、酸化膜が緻密になりやすく、絶縁耐圧が高く
なる。しかも、電子放出特性の真空度依存性が小さく且
つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子
を放出することが可能な電界放射型電子源を提供するこ
とができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】請求項38の発明は、請求項37の発明に
おいて、上記酸化性溶液は、酸化速度が速くなるように
加熱されているので、上記酸化性溶液による処理時間を
短くすることができ、スループットが向上する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】これに対し、本実施形態では、上述の陽極
酸化処理にて形成された多孔質半導体層(多孔質多結晶
シリコン層4または多孔質単結晶シリコン)を酸(例え
ば、希硝酸、希硫酸、王水のいずれか)によって酸化す
る前に(つまり、電気化学的にシリコン酸化膜を形成す
る前に)、多孔質半導体層を該多孔質半導体層の極表面
が酸化する程度の時間だけ酸化性溶液に浸すことによ
り、シリコン原子を終端している水素原子を酸素原子に
置換している。ここにおいて、酸化性溶液としては、硝
酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、塩酸(HCl)、
過酸化水素水(H22)からなる群より選択される1種
若しくは2種以上の酸化剤を用いるのが望ましい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正内容】
【0076】しかして、図8に示す本実施形態の電界放
射型電子源10における強電界ドリフト層6は、極表面
が酸化性溶液により酸化された多孔質半導体層を酸によ
り酸化して形成されているので、多孔質半導体層を陽極
酸化処理により形成した際に多孔質半導体層の表面の原
子を終端している水素原子が、酸化性溶液により酸素原
子に置換されているから、強電界ドリフト層6中の水素
の含有量を少なくすることができるとともに、強電界ド
リフト層6中の水素の分布の経時変化を少なくすること
ができて、経時安定性が向上する。さらに、本実施形態
では、多孔質半導体層を酸により酸化して得られる酸化
膜がSiO2の構造もしくはSiO2の構造に近い構造に
なりやすいので、酸化膜の緻密性および膜質が向上し、
電子放出効率が向上するとともに、絶縁耐圧が高くな
る。ここにおいて、強電界ドリフト層6の機能は実施形
態1の強電界ドリフト層6と同じである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正内容】
【0077】なお、酸化性溶液を加熱することにより、
酸化性溶液による酸化処理の処理時間を短くすることが
でき、スループットを向上させることができる。また、
導電性基板としては、図9に示すようにガラス基板(あ
るいはセラミック基板)などの絶縁性基板11の一表面
に導電性膜(例えば、ITO膜)12を形成したもので
あってもよい。このような絶縁性基板11の一表面に導
電性膜12を形成した基板を用いる場合には、半導体基
板を用いる場合に比べて、電子源の大面積化および低コ
スト化が可能になる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正内容】
【0081】次に、多孔質シリコン層3の極表面を酸化
性溶液により酸化する。なお、本実施形態では、上記酸
性溶液として、115℃に加熱された濃度が略70%
の硝酸を用いて酸化時間を10分間とした。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正内容】
【0082】その後、上述の陽極酸化槽に新たに濃度が
略10%の希硝酸を投入し、その後、この希硝酸の入っ
た陽極酸化槽を利用して、白金電極を負極、n形シリコ
ン基板1を正極として、定電流を流し多孔質多結晶シリ
コン層4を酸化することにより図10(c)に示す構造
が得られる。図10(c)における6は極表面が酸化
液により酸化された多孔質多結晶シリコン層4を酸
(本実施形態では、上述の希硝酸を用いているが、希硫
酸や王水を用いてもよい)によって酸化することにより
形成された強電界ドリフト層を示す。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正内容】
【0084】(実施形態5)本実施形態の電界放射型電
子源の基本構成および製造方法は実施形態4と略同じで
あって、図8における強電界ドリフト層6が、多孔質多
結晶シリコン層4(図10(b)参照)の極表面を酸化
性溶液により酸化してから、急速加熱法によって酸化す
ることにより形成されている点に特徴がある。なお、本
実施形態では、導電性基板として抵抗率が導体の抵抗率
に比較的近い単結晶のn形シリコン基板1(例えば、抵
抗率が略0.1Ωcmの(100)基板)を用いてい
る。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正内容】
【0091】上述の陽極酸化処理が終了した後、多孔質
多結晶シリコン層4の極表面を酸化性溶液により酸化し
てから、急速加熱法によって酸化することにより強電界
ドリフト層6が形成され、図10(c)に示す構造が得
られる。要するに、本実施形態では、多孔質多結晶シリ
コン層4を陽極酸化処理により形成した際に多孔質多結
晶シリコン層4のシリコン原子を終端している水素原子
を、酸化性溶液により酸素原子に置換している。ここに
おいて、酸化性溶液としては、硝酸(HNO3)、硫酸
(H2SO4)、塩酸(HCl)、過酸化水素水(H
22)からなる群より選択される1種若しくは2種以上
の酸化剤を用いることが望ましい。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正内容】
【0093】しかして、上述の製造方法によれば、陽極
酸化処理にて形成した多孔質多結晶シリコン層4の極表
面層を酸化性溶液により酸化した後に急速加熱法により
急速熱酸化(熱酸化処理)を行っているから、強電界ド
リフト層6に含まれる水素の量を少なくすることができ
るとともに、SiO2の構造若しくはSiO2の構造に近
い緻密な酸化膜を形成することができ、電子放出効率の
経時変化が少なく且つ絶縁耐圧の高い電界放射型電子源
を実現することができる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正内容】
【0098】酸化性溶液としては、115℃に加熱した
硝酸(濃度70%)を用いた。なお、酸化性溶液を加熱
しておくことにより、酸化速度が速くなるので、酸化
液による処理時間を短くすることができる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正内容】
【0136】これに対して、本実施形態の電界放射型電
子源の製造方法は、実施形態6ないし実施形態10のい
ずれかと略同じであって、各実施形態6〜10それぞれ
における主酸化処理過程の前に、酸化性溶液により上記
多孔質多結晶シリコン層4の酸化を行う前酸化処理過程
を備えている点に特徴がある。すなわち、本実施形態の
製造方法では、多孔質多結晶シリコン層4の極表面を酸
化性溶液により酸化してから、主酸化処理過程を行うこ
とにより強電界ドリフト層6が形成される。要するに、
本実施形態では、多孔質多結晶シリコン層4を陽極酸化
処理により形成した際に多孔質多結晶シリコン層4のシ
リコン原子を終端している水素原子を、酸化性溶液によ
り酸素原子に置換している。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正内容】
【0138】しかして、本実施形態の製造方法によれ
ば、陽極酸化処理にて形成した多孔質多結晶シリコン層
4の極表面層を酸化性溶液により酸化した後に、主酸化
処理過程を行っているので、強電界ドリフト層6に含ま
れる水素の量を少なくすることができ、電子放出効率の
経時変化が少なく絶縁耐圧の高い電界放射型電子源を実
現することができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0169
【補正方法】変更
【補正内容】
【0169】
【発明の効果】請求項1の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された強電界ドリフト層と、該
強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、
導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加
することにより導電性基板から注入された電子が強電界
ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される
電界放射型電子源であって、強電界ドリフト層は、多孔
質半導体層を電解質溶液中で電気化学的に酸化する酸化
工程を含むプロセスにより形成されてなるものであり、
多孔質半導体層を電解質溶液中で電気化学的に酸化する
酸化工程を含むプロセスにより酸化して強電界ドリフト
層を形成しているので、多孔質半導体層を急速加熱法の
みにより酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比
べてプロセス温度が低温になって、導電性基板の材料の
制約が少なくなり、大面積化および低コスト化が容易に
なるという効果がある。請求項2の発明は、導電性基板
と、導電性基板の一表面側に形成された強電界ドリフト
層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜と
を備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電
圧を印加することにより導電性基板から注入された電子
が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放
出される電界放射型電子源であって、強電界ドリフト層
は、多孔質半導体層である多孔質多結晶シリコン層を
較的低温で酸化する酸化工程を含むプロセスにより形成
され、少なくとも、導電性基板の上記一表面側に形成さ
れた柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在
するナノ構造よりなる微結晶シリコン層と、微結晶シリ
コン層の表面に形成され当該微結晶シリコン層の結晶粒
径よりも小さな膜厚のシリコン酸化膜とからなるもので
あり、多孔質半導体層である多孔質多結晶シリコン層を
比較的低温で酸化する酸化工程を含むプロセスにより酸
化して強電界ドリフト層を形成しているので、多孔質半
導体層を急速加熱法のみにより酸化して強電界ドリフト
層を形成する場合に比べてプロセス温度が低温になっ
て、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化お
よび低コスト化が容易になるという効果があり、しか
も、強電界ドリフト層が、少なくとも、導電性基板の上
記一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結
晶シリコン間に介在するナノ構造よりなる微結晶シリコ
ン層と、微結晶シリコン層の表面に形成され当該微結晶
シリコン層の結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン酸化
膜とからなるので、電子放出特性の真空度依存性が小さ
く且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して
電子を放出することができるという効果がある。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0171
【補正方法】変更
【補正内容】
【0171】請求項8の発明は、導電性基板と、導電性
基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層よ
りなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に形
成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板
に対して正極として電圧を印加することにより導電性基
板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし
導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製造
方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、比較的低温で上記多孔質半導体層を酸化する主酸化
処理過程を備え、該主酸化処理過程は、上記多孔質半導
体層を電解質溶液中で電気化学的に酸化するので、多孔
質半導体層を急速加熱法により酸化して強電界ドリフト
層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化するこ
とができて、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大
面積化および低コスト化が可能な電界放射型電子源を提
供することができるという効果がある。請求項9の発明
は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された
酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、
該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備
え、強電界ドリフト層である酸化した多孔質半導体層
、少なくとも、導電性基板の上記一表面側に形成され
た柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在す
るナノ構造よりなる微結晶シリコン層と、微結晶シリコ
ン層の表面に形成され当該微結晶シリコン層の結晶粒径
よりも小さな膜厚のシリコン酸化膜とからなり、導電性
薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加するこ
とにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフ
ト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放
射型電子源の製造方法であって、上記多孔質半導体層の
酸化にあたっては、比較的低温で上記多孔質半導体層を
酸化する主酸化処理過程を備えるので、多孔質半導体層
を急速加熱法により酸化して強電界ドリフト層を形成す
る場合に比べてプロセス温度を低温化することができ
て、導電性基板の材料の制約が少なくなり、大面積化お
よび低コスト化が可能で、しかも、電子放出特性の真空
度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発
生せず安定して電子を放出することが可能な電界放射型
電子源を提供することができるという効果がある。請求
項10の発明は、請求項8の発明において、上記電解質
溶液が、酸よりなることを特徴とし、望ましい実施態様
である。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正内容】
【0176】請求項17の発明は、導電性基板と、導電
性基板の一表面側に形成された酸化した多孔質半導体層
よりなる強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上に
形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基
板に対して正極として電圧を印加することにより導電性
基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフト
し導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源の製
造方法であって、上記多孔質半導体層の酸化にあたって
は、熱酸化法によって上記多孔質半導体層の酸化を行う
前に酸化性溶液により上記多孔質半導体層の酸化を行う
前酸化処理過程を備えるので、表面が酸化性溶液により
酸化された多孔質半導体層に熱酸化法が施されているこ
とにより、陽極酸化処理の直後に急速加熱法が施されて
いる場合に比べて強電界ドリフト層への水素の混入が少
ないから、従来のような水素の分布の経時変化による電
子の放出効率の低下が少なく、また、酸化膜が緻密にな
りやすく、絶縁耐圧が高くなるという効果がある。請求
項18の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側
に形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ド
リフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性
薄膜とを備え、強電界ドリフト層である酸化した多孔質
半導体層が、少なくとも、導電性基板の上記一表面側に
形成された柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間
に介在するナノ構造よりなる微結晶シリコン層と、微結
晶シリコン層の表面に形成され当該微結晶シリコン層の
結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン酸化膜とからな
り、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を
印加することにより導電性基板から注入された電子が強
電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出さ
れる電界放射型電子源の製造方法であって、上記多孔質
半導体層の酸化にあたっては、熱酸化法によって上記多
孔質半導体層の酸化を行う前に酸化性溶液により上記多
孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えるの
で、表面が酸化性溶液により酸化された多孔質半導体層
に熱酸化法が施されていることにより、陽極酸化処理の
直後に急速加熱法が施されている場合に比べて強電界ド
リフト層への水素の混入が少ないから、従来のような水
素の分布の経時変化による電子の放出効率の低下が少な
く、また、酸化膜が緻密になりやすく、絶縁耐圧が高く
なるという効果がある。しかも、電子放出特性の真空度
依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生
せず安定して電子を放出することが可能な電界放射型電
子源を提供することができるという効果がある。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0187
【補正方法】変更
【補正内容】
【0187】請求項38の発明は、請求項37の発明に
おいて、上記酸化性溶液は、酸化速度が速くなるように
加熱されているので、上記酸化性溶液による処理時間を
短くすることができ、スループットが向上するという効
果がある。
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平11−260302 (32)優先日 平成11年9月14日(1999.9.14) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 相澤 浩一 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 菰田 卓哉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 渡部 祥文 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 櫟原 勉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 近藤 行廣 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 越田 信義 東京都小平市上水本町6−5−10−203 Fターム(参考) 5C031 DD17 DD19 5C036 EE01 EE14 EF01 EF06 EF09 EG12 EH04 EH11 EH26

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板と、導電性基板の一表面側に
    形成された強電界ドリフト層と、該強電界ドリフト層上
    に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性
    基板に対して正極として電圧を印加することにより導電
    性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフ
    トし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源で
    あって、強電界ドリフト層は、多孔質半導体層を比較的
    低温で酸化する酸化工程を含むプロセスにより形成され
    てなることを特徴とする電界放射型電子源。
  2. 【請求項2】 上記酸化工程は、液体中にて多孔質半導
    体層を酸化する工程であることを特徴とする請求項1記
    載の電界放射型電子源。
  3. 【請求項3】 上記液体は、酸よりなることを特徴とす
    る請求項2記載の電界放射型電子源。
  4. 【請求項4】 上記酸は、HNO3、H2SO4、王水か
    らなる群より選択されることを特徴とする請求項3記載
    の電界放射型電子源。
  5. 【請求項5】 上記多孔質半導体層は、多孔質単結晶シ
    リコンよりなることを特徴とする請求項1ないし請求項
    4のいずれかに記載の電界放射型電子源。
  6. 【請求項6】 上記多孔質半導体層は、多孔質多結晶シ
    リコンよりなることを特徴とする請求項1ないし請求項
    4のいずれかに記載の電界放射型電子源。
  7. 【請求項7】 導電性基板と、導電性基板の一表面側に
    形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリ
    フト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性薄
    膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極とし
    て電圧を印加することにより導電性基板から注入された
    電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通し
    て放出される電界放射型電子源の製造方法であって、上
    記多孔質半導体層の酸化にあたっては、比較的低温で上
    記多孔質半導体層を酸化する主酸化処理過程を備えるこ
    とを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記主酸化処理過程は、液体中で上記多
    孔質半導体層を酸化することを特徴とする請求項7記載
    の電界放射型電子源の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記液体は、酸よりなることを特徴とす
    る請求項8記載の電界放射型電子源の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記主酸化処理過程は、多孔質半導体
    層を電解質溶液中で電気化学的に酸化することを特徴と
    する請求項7または請求項8記載の電界放射型電子源の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 上記電解質溶液は、酸よりなることを
    特徴とする請求項10記載の電界放射型電子源の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 上記主酸化処理工程の以前と以後との
    少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質半導体層
    の酸化を行う補助酸化処理過程を備えることを特徴とす
    る請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の電界放
    射型電子源の製造方法。
  13. 【請求項13】 上記主酸化処理過程の前に、酸化性溶
    液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過
    程を備えることを特徴とする請求項7ないし請求項11
    のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  14. 【請求項14】 導電性基板と、導電性基板の一表面側
    に形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ド
    リフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性
    薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極と
    して電圧を印加することにより導電性基板から注入され
    た電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通
    して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、
    上記多孔質半導体層の酸化にあたっては、熱酸化法によ
    って上記多孔質半導体層の酸化を行う前に酸化性溶液に
    より上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過程を
    備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
  15. 【請求項15】 上記主酸化処理過程および上記補助酸
    化処理過程よりも前に、酸化性溶液により上記多孔質半
    導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えることを特徴
    とする請求項12記載の電界放射型電子源の製造方法。
  16. 【請求項16】 上記主酸化処理過程は、酸素とオゾン
    との少なくとも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導
    体層に紫外光を照射する処理、酸素とオゾンとの少なく
    とも一方を含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層をプラ
    ズマにさらす処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲気
    で上記多孔質半導体層の加熱を行う処理、上記多孔質半
    導体層に紫外光を照射するとともに上記多孔質半導体層
    の加熱を行う処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を
    含むガス雰囲気で上記多孔質半導体層に紫外光を照射す
    るとともに上記多孔質半導体層の加熱を行う処理の少な
    くとも1つの処理により、上記多孔質半導体層を酸化す
    ることを特徴とする請求項7記載の電界放射型電子源の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 導電性基板と、導電性基板の一表面側
    に形成された酸化した多孔質半導体層よりなる強電界ド
    リフト層と、該強電界ドリフト層上に形成された導電性
    薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極と
    して電圧を印加することにより導電性基板から注入され
    た電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通
    して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、
    導電性薄膜を形成した後に、酸素とオゾンとの少なくと
    も一方を含むガス雰囲気で紫外光を照射する処理、酸素
    とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲気でプラズ
    マにさらす処理、少なくともオゾンを含むガス雰囲気で
    加熱を行う処理、紫外光を照射するとともに加熱を行う
    処理、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含むガス雰囲
    気で紫外光を照射するとともに加熱を行う処理の少なく
    とも1つの処理を行うことを特徴とする電界放射型電子
    源の製造方法。
  18. 【請求項18】 上記主酸化処理過程の以前と以後との
    少なくとも一方に、熱酸化法により上記多孔質半導体層
    を酸化する補助酸化処理過程を備えることを特徴とする
    請求項16または請求項17記載の電界放射型電子源の
    製造方法。
  19. 【請求項19】 上記主酸化処理過程の以前と以後との
    少なくとも一方に、酸により上記多孔質半導体層の酸化
    を行う補助酸化処理過程を備えることを特徴とする請求
    項16または請求項17記載の電界放射型電子源の製造
    方法。
  20. 【請求項20】 上記主酸化処理過程の前に、酸化性溶
    液により上記多孔質半導体層の酸化を行う前酸化処理過
    程を備えることを特徴とする請求項16または請求項1
    7記載の電界放射型電子源の製造方法。
  21. 【請求項21】 上記主酸化処理過程および上記補助酸
    化処理過程よりも前に、酸化性溶液により上記多孔質半
    導体層の酸化を行う前酸化処理過程を備えることを特徴
    とする請求項18または請求項19記載の電界放射型電
    子源の製造方法。
  22. 【請求項22】 上記多孔質半導体層は、多孔質単結晶
    シリコンよりなることを特徴とする請求項7ないし請求
    項21のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 上記多孔質半導体層は、多孔質多結晶
    シリコンよりなることを特徴とする請求項7ないし請求
    項21のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方
    法。
  24. 【請求項24】 上記導電性基板は、n形シリコン基板
    であることを特徴とする請求項7ないし請求項23のい
    ずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  25. 【請求項25】 上記導電性基板は、絶縁性基板と絶縁
    性基板の一表面側に形成された導電性膜とからなること
    を特徴とする請求項7ないし請求項23のいずれかに記
    載の電界放射型電子源の製造方法。
  26. 【請求項26】 上記絶縁性基板は、ガラス基板よりな
    ることを特徴とする請求項25記載の電界放射型電子源
    の製造方法。
  27. 【請求項27】 上記絶縁性基板は、セラミック基板よ
    りなることを特徴とする請求項25記載の電界放射型電
    子源の製造方法。
  28. 【請求項28】 上記多孔質半導体層は、半導体層に陽
    極酸化処理を施すことにより形成することを特徴とする
    請求項7ないし請求項27のいずれかに記載の電界放射
    型電子源の製造方法。
  29. 【請求項29】 上記酸は、硝酸、硫酸、王水からなる
    群より選択されることを特徴とする請求項9または請求
    項11または請求項19記載の電界放射型電子源の製造
    方法。
  30. 【請求項30】 上記酸化性溶液は、硝酸、硫酸、塩
    酸、過酸化水素水からなる群より選択される1種若しく
    は2種以上の酸化剤からなることを特徴とする請求項1
    3または請求項14またはまたは請求項15または請求
    項20または請求項21記載の電界放射型電子源の製造
    方法。
  31. 【請求項31】 上記酸化性の溶液は、酸化速度が速く
    なるように加熱されてなることを特徴とする請求項30
    記載の電界放射型電子源の製造方法。
  32. 【請求項32】 請求項1ないし請求項6のいずれかに
    記載の電界放射型電子源と、該電界放射型電子源に対向
    配置され電界放射型電子源との間の空間が真空に保たれ
    るフェースプレートと、フェースプレートにおける電界
    放射型電子源との対向面側に設けられたコレクタ電極
    と、コレクタ電極における電界放射型電子源との対向面
    側に設けられ電界放射型電子源からの電子線を受けて可
    視光領域の光を発光する蛍光体層とを備えてなることを
    特徴とするディスプレイ。
JP32500399A 1998-11-16 1999-11-16 電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ Expired - Fee Related JP3112456B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32500399A JP3112456B1 (ja) 1998-11-16 1999-11-16 電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32510698 1998-11-16
JP10863299 1999-04-15
JP11571899 1999-04-23
JP10-325106 1999-09-14
JP11-115718 1999-09-14
JP26030299 1999-09-14
JP11-108632 1999-09-14
JP11-260302 1999-09-14
JP32500399A JP3112456B1 (ja) 1998-11-16 1999-11-16 電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3112456B1 JP3112456B1 (ja) 2000-11-27
JP2001155622A true JP2001155622A (ja) 2001-06-08

Family

ID=27526371

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32500399A Expired - Fee Related JP3112456B1 (ja) 1998-11-16 1999-11-16 電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3112456B1 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6815315B2 (en) 2002-05-14 2004-11-09 Matsushita Electric Works, Ltd. Method for electrochemical oxidation
KR100696506B1 (ko) 2005-04-01 2007-03-19 삼성에스디아이 주식회사 평판 디스플레이 장치
US7268476B2 (en) 2002-12-27 2007-09-11 Matsushita Electric Works, Ltd. Field emission-type electron source and method of producing the same
WO2011125859A1 (ja) 2010-03-31 2011-10-13 パナソニック電工株式会社 電子デバイスおよびその製造方法
WO2014028104A3 (en) * 2012-08-13 2014-07-03 Intel Corporation Energy storage devices with at least one porous polycrystalline substrate

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6815315B2 (en) 2002-05-14 2004-11-09 Matsushita Electric Works, Ltd. Method for electrochemical oxidation
US7268476B2 (en) 2002-12-27 2007-09-11 Matsushita Electric Works, Ltd. Field emission-type electron source and method of producing the same
KR100696506B1 (ko) 2005-04-01 2007-03-19 삼성에스디아이 주식회사 평판 디스플레이 장치
WO2011125859A1 (ja) 2010-03-31 2011-10-13 パナソニック電工株式会社 電子デバイスおよびその製造方法
US8653519B2 (en) 2010-03-31 2014-02-18 Panasonic Corporation Electronic device and method for manufacturing same
WO2014028104A3 (en) * 2012-08-13 2014-07-03 Intel Corporation Energy storage devices with at least one porous polycrystalline substrate
US9025313B2 (en) 2012-08-13 2015-05-05 Intel Corporation Energy storage devices with at least one porous polycrystalline substrate
KR101529032B1 (ko) * 2012-08-13 2015-06-18 인텔 코포레이션 하나 이상의 다공질 다결정질 기판을 갖는 에너지 저장 장치
RU2577249C2 (ru) * 2012-08-13 2016-03-10 Интел Корпорейшн Устройства хранения энергии с по меньшей мере одной пористой поликристаллической подложкой
US9406450B2 (en) 2012-08-13 2016-08-02 Intel Corporation Energy storage devices with at least one porous polycrystalline substrate

Also Published As

Publication number Publication date
JP3112456B1 (ja) 2000-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100596189B1 (ko) 전계 방사형 전자원 및 그 제조방법 및 상기 전자원을이용한디스플레이
KR100549236B1 (ko) 전계방사형 전자원 및 그의 제조방법
TW588389B (en) Quantum device
KR100468357B1 (ko) 전계 방사형 전자원을 제조하는 방법 및 장치
JP3112456B1 (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ
JP2001035354A (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法
WO2003096401A1 (fr) Procede d'oxydation electrochimique
JP3528762B2 (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法
JP4135309B2 (ja) 電界放射型電子源の製造方法
JP3508652B2 (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法
JP3508651B2 (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法
JP3603682B2 (ja) 電界放射型電子源
JP3687520B2 (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法
JP3478279B2 (ja) 電界放射型電子源の製造方法
JP4616538B2 (ja) 電界放射型電子源の製造方法
JP4011522B2 (ja) 陽極酸化装置、酸化層の製造方法、電界放射型電子源、電界放射型電子源の製造方法
JP3079086B2 (ja) 電界放射型電子源の製造方法
JP2003124185A (ja) 半導体基板の製造方法
JP3480464B2 (ja) 電界放射型電子源の製造方法
JP3648599B2 (ja) 電界放射型電子源の製造方法
JP2001118500A (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法
JP3648603B2 (ja) 電界放射型電子源の製造方法
JP2000138026A (ja) 電界放射型電子源の製造方法および電界放射型電子源および平面発光装置およびディスプレイ装置
ES2370507T3 (es) Procedimiento de fabricación de fuente de electrones del tipo emisión de campo.
TW543209B (en) Field-emission type electron source and method of manufacturing the same

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000905

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees