JP2001146655A - エアバッグ用基布 - Google Patents

エアバッグ用基布

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JP2001146655A
JP2001146655A JP33124999A JP33124999A JP2001146655A JP 2001146655 A JP2001146655 A JP 2001146655A JP 33124999 A JP33124999 A JP 33124999A JP 33124999 A JP33124999 A JP 33124999A JP 2001146655 A JP2001146655 A JP 2001146655A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エアバッグ用基布において、該基布を構成す
る布帛の少なくとも一部にオレフィンと一酸化炭素の共
重合体からなるポリケトンポリマーにより構成されたポ
リケトン繊維を含むことを特徴とするエアバッグ用基
布。 【効果】 強度、弾性率等の機械的特性、被覆材との接
着性に優れ、熱や湿度に対して安定であり、優れたエア
バック作動性を有するエアバック用基布を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機械的特性、被覆材
との接着性に優れ、さらには熱や湿度に対して優れた安
定性を有し、優れたエアバッグ作動性を有するエアバッ
グ用基布および該基布から構成されたエアバッグに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の乗員保護用安全装置の一
つとして、エアバッグの装着率が急速に増大している。
エアバッグ装置は、自動車の衝突時に衝突のショックを
センサーが感知するとガス発生装置(インフレーター)
が高温高圧のガスをエアバッグ基布内に発生させ、エア
バッグを瞬間的に膨張・展開せしめることで、衝突時の
衝撃から乗員の身体を保護する、という装置ある。従
来、エアバッグはナイロン6やナイロン6・6などのポ
リアミド類、あるいはポリエチレンテレフタレートなど
のポリエステル類の汎用繊維フィラメントを用いた平織
物又は編物、不織布などの布帛を基布として用い、必要
に応じてこれらの布帛に耐熱性、難燃性、気体遮断性な
どを向上させるためにシリコンやクロロプレン、クロル
スルホン化オレフィンなどの合成ゴムや天然ゴムなどの
エラストマーを塗布・積層したものを基布として、該基
布を裁断、縫製して作製されている。
【0003】エアバッグ用基布にはエアバッグ作動時
(膨張・展開時)に非常に強い衝撃がかかるため、基布
に用いる布帛はこの衝撃に耐えうるだけの機械的特性を
有している必要がある。しかしながら、ポリアミドやポ
リエステルなどの汎用繊維は強度、弾性率に代表される
機械的特性が低いために使用するフィラメントの繊度や
織編物の目付を大きくせざるをえず、結果としてエアバ
ッグの重量や容量が大きくなってしまい、軽量化、コン
パクト化がの進行が著しい自動車用部品分野において大
きな問題となっていた。また、通常エアバッグはステア
リングホイールやインストウルメントパネルなどの乗車
室内に収納されているが、夏場や炎天下には乗車室内は
長時間高温になり、さらに湿度の高い梅雨場や雨天時に
は長時間高温高湿の環境下に置かれることになる。この
ため、重縮合系高分子であるポリアミドやポリエステル
は機械的物性の低下が起こりやすく、エアバッグの長期
の安定作動性に問題があった。
【0004】近年、これらの汎用繊維の問題を解決する
ために、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリビニルアル
コール繊維、アラミド繊維などの高強度・高弾性率の繊
維を用いたエアバッグについても検討がなされている
(例えば、特開平4−146233号)。しかしなが
ら、ポリエチレン繊維は融点が低く耐熱性が不十分であ
る問題、ポリビニルアルコール繊維は高温・高湿下で機
械的特性が大きく低下する問題、アラミド繊維はシリコ
ンやゴムなどの被覆材との接着性が悪いなどの問題があ
った。以上のように、これまで自動車用エアバッグにお
いて、機械的特性、耐熱性、耐湿熱性、被覆材との接着
性、の全ての性質を具備するエアバッグ用基布は知られ
ていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、機械
的特性、耐熱性、耐湿熱性、被覆材との接着性の全てに
優れるエアバッグ用基布を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題につ
いて種々検討した結果、エアバッグ用基布を構成する繊
維として、オレフィンと一酸化炭素の共重合体からなる
ポリケトンポリマーにより構成されたポリケトン繊維を
用いることによって、上記課題を解決できることを見出
し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は: エアバッグ用基布において、該基布を構成する布帛
の少なくとも一部にオレフィンと一酸化炭素の共重合体
からなるポリケトンポリマーにより構成されたポリケト
ン繊維を含むエアバッグ用基布を提供する。また、 ポリケトン繊維の強度が5cN/dtex以上、弾
性率が100cN/dtex以上である点に特徴を有す
る。また、 ポリケトン繊維の強度が10cN/dtex以上、
弾性率が200cN/dtex以上である点に特徴を有
する。また、 ポリケトンポリマーを構成する繰返単位の97重量
%以上が1−オキソトリメチレンである点に特徴を有す
る。また、 ポリケトンポリマーを構成する繰返単位が1−オキ
ソトリメチレンのみからなる点に特徴を有する。また、 エアバッグ用基布を構成する布帛の50重量%以上
がポリケトン繊維である点に特徴を有する。また、 エアバッグ用基布を構成する布帛がポリケトン繊維
のみからなる点に特徴を有する。また、 エアバッグ用基布が平織物からなり、該基布が下記
(1)、(2)の機械的特性を有する点に特徴を有する。ま
た、 引き裂き強力 ≧ 700(N)・・・(1) カバーファクターK : 1500≦K≦3000・・・(2) 〜のいずれかに記載のエアバッグ用基布から構
成されたエアバッグを提供する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
エアバッグ用基布を構成する布帛の少なくとも一部、あ
るいは全部として用いられるポリケトン繊維を構成する
ポリマーは、オレフィンと一酸化炭素の共重合ポリマー
である。強度・弾性率などの機械的特性、耐熱性、耐湿
熱性、接着性の観点からエチレンと一酸化炭素が結合し
た1−オキソトリメチレンを主たる繰返単位とするポリ
マーが好ましい。繰返単位中の1−オキソトリメチレン
の割合は、多ければ多いほど高融点、高力学物性の繊維
が得られるため90重量%以上であることが好ましく、
さらに好ましくは97重量%以上である。
【0008】このオレフィンと一酸化炭素が結合した繰
返単位同士は、部分的にケトン基同士、オレフィン同士
がつながっていてもよいが、90重量%以上がオレフィ
ンと一酸化炭素が交互に配列したポリケトンポリマーで
あることが望ましい。耐光性、耐熱性、高温時の物性の
低下の観点からオレフィンと一酸化炭素が交互に配列し
た部分の含有率は多ければ多いほどよく、好ましくは9
7重量%以上、最も好ましくは100重量%である。ま
た、必要に応じてプロペン、ブテン、ヘキセン、シクロ
ヘキセン、ペンテン、シクロペンテン、オクテン、ノネ
ン等のエチレン以外のオレフィンやメチルメタクリレー
ト、酢酸ビニル、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメ
タクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウ
ム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドン、
塩化ビニル等の不飽和炭化水素を有する化合物を共重合
してもよい。これら他の共重合成分の割合は特に制限さ
れないが、通常0〜10%である。
【0009】本発明のエアバッグ用基布に用いられるポ
リケトン繊維は強度が5cN/dtex以上、弾性率が
100cN/dtex以上であることが推奨される。繊
維の強度は高いほど同一重量当たりの基布の強力が強く
なるので、好ましくは5cN/dtex以上、さらに好
ましくは10cN/dtex以上であることが望まし
い。また、繊維の弾性率も高いほど基布の剛性が向上す
るので、好ましくは100cN/dtex以上、さらに
好ましくは200cN/dtex以上であることが望ま
しい。
【0010】また、耐熱特性としては乾熱収縮率および
湿熱処理後の強度に代表される耐乾・湿熱特性に優れる
ことが望まれる。乾熱収縮率としては、無緊張下で18
0℃、30分の乾熱処理後の乾熱収縮率が好ましくは5
%以下、さらに好ましくは3%以下であることが望まし
い。湿熱処理後の強度としては、120℃、100%湿
度下で30分の湿熱処理後の繊維の強度としては、好ま
しくは5cN/dtex以上、さらに好ましくは10c
N/dtex以上の強度であることが望ましい。
【0011】このような特性を有するポリケトン繊維は
エアバッグ用基布を構成する布帛の少なくとも一部に使
用される。エアバッグ用基布を構成する布帛中のポリケ
トン繊維の割合は高ければ高いほど、機械的特性、耐乾
熱・湿熱特性、被覆材との接着性に優れることから、好
ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以
上、特に好ましくは100重量%がポリケトン繊維であ
ることが望ましい。ポリケトン繊維の繊度は、エアバッ
グの使用環境や基布の形態、混用方法により変化するた
め特に制限はないが、ポリケトン繊維100重量%の場
合、単糸繊度0.1〜10dtex、総繊度20〜10
00dtexが好ましい。
【0012】本発明のエアバッグ用基布の布帛形態は特
に制限はなく平織物や編物、不織布等のような形態・組
織であってもよいが、機械的強度の観点から織物である
ことが好ましく、平織物が特に好ましい。布帛の目付け
や密度は特に制限はないが、布帛の厚さとしては0.0
5〜10mmが好ましく、0.1〜1mmがより好まし
い。また、織物の場合には経糸および緯糸の目付けが1
0〜500本/インチが好ましく、20〜300本/イ
ンチがさらに好ましい。繊度と織物密度から計算される
カバーファクターは500〜5000の範囲が好まし
く、1500〜3500の範囲がより好ましい。なお、
本発明においてカバーファクターKとは経糸および緯糸
の繊度をDt、Dw(dtex)とし、経糸および緯糸
の目付をそれぞれMt、Mw(本/インチ)としたとき
に下式(3)で計算される数値である。 K = Mt×Dt0.5 + Mw×Dw0.5・・・(3) エアバッグ用基布の機械的強度としては代表的には引裂
強力が挙げられる。引き裂き強力はカバーファクターに
より異なるため、一律に定義することは困難であるが、
本発明の基布はカバーファクターKが1500〜300
0のときの引裂強力が700N以上が好ましく、より好
ましくは800N以上であることが望ましい。
【0013】本発明のエアバッグ用基布においてポリケ
トン繊維と混用可能な繊維については特に制限はなく、
ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン4・6などのポ
リアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロ
ピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートな
どのポリエステル繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維、ポ
リビニルアルコール繊維、ポリベンザゾール繊維、アラ
ミド繊維、羊毛、ポリアクリロニトリル繊維、木綿、ビ
スコースレーヨン等のセルロース繊維、炭素繊維、セラ
ミックス繊維、金属繊維などの従来公知の繊維を使用す
ることができ、必要に応じてはこれらの繊維の中から複
数種類の繊維を複合して用いても何ら問題はない。ポリ
ケトン繊維と混用可能な繊維の割合は特に制限されない
が、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下で
ある。
【0014】本発明の基布に用いられる繊維材料は無撚
のものが好ましいが、場合によっては仮撚り、嵩高加
工、捲縮加工、捲回加工などの加工を施した加工糸を用
いても良い。複数種の繊維を混用する場合、その方法に
ついても特に制限はなく、経糸、緯糸に異なる種類の繊
維を用いたり、必要に応じては複数種の繊維を仮撚りや
撚りなどの加工を施して混繊糸としたり、また、同一種
の繊維であっても熱的・機械的特性の異なる繊維、ある
いは繊度やフィラメントカウントの異なる繊維、または
長繊維のフィラメントと短繊維の紡績糸などを複合して
用いてもよい。
【0015】また、本発明のエアバッグ用基布に用いる
ポリケトン繊維および混用する繊維は、熱安定剤や平滑
剤、顔料、油剤、隠蔽剤、艶消し剤、難燃剤、可塑剤、
防炎剤などの添加剤を含んでいても何ら問題はなく、む
しろ各種安定剤や難燃剤を含有する繊維が望ましい。以
上のような条件から作製されたエアバッグ用基布は、目
的とするエアバッグの形状に合わせて裁断、縫製され
る。本発明の基布によるエアバッグの製造方法は、複数
枚の基布を縫製、接着、加圧圧着、加硫、熱圧着などの
処理を単独あるいはこれらを併用して、また、製織、製
編により袋体を作製する方法などいずれの方法によって
もよい。エアバッグの形状は円形、球形、楕円形、矩形
等どのような形状でもよく、またその用途は運転席用、
助手席用、後部座席用、サイド用などいずれの用途のエ
アバッグであってもよい。本発明のエアバッグ用基布に
よるエアバッグの排気方式は、全面基布排気方式、部分
基布排気方式、排気孔方式およびこれらの複合方式など
いずれでもよく使用特性、用途に応じて適宜設計してよ
い。
【0016】以下、本発明のエアバッグ用基布を構成す
る布帛に用いられるポリケトン繊維の製造法について説
明する。ポリケトン繊維の製造方法は特に限定されず、
従来公知の溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法をその
ままあるいは修正して用いることが出来る(例えば、特
開平1−124617号公報、特開平2−112413
号公報、特開平4−228613号公報、特表平4−5
05344号公報、特開平4−228613号公報、特
表平7−508317号公報、特表平8−507328
号公報、WO9918143号公開パンフレット、特願
平10−236595号公報、特願平11−72091
号公報、特願平11−77220号公報、特願平11−
159258号公報、特願平11−167370号公
報)。エチレン/一酸化炭素交互共重合ポリマーを紡糸
する場合には濃厚金属塩を溶剤とする湿式紡糸法が好ま
しい。
【0017】濃厚金属塩としてはハロゲン化亜鉛化合物
が挙げられ、溶解性、溶媒のコスト、水溶液の安定性の
点で塩化亜鉛、よう化亜鉛の使用が好ましい。また、必
要に応じては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カル
シウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属のハ
ロゲン化物を60重量%以下で含んでいてもよく、ドー
プの溶解性、熱安定性、紡糸性の観点から塩化ナトリウ
ムや塩化カルシウムなどの金属塩を5〜30重量%含有
したドープが好ましい。このポリケトンドープを紡糸口
金より吐出し、必要に応じてはエアーギャップ部を経て
凝固浴を通して糸状物とする。凝固浴の組成は、メタノ
ール、アセトン等の有機溶剤、水、有機物水溶液、無機
物水溶液等どのようなものであってもよいが、水を含ん
だ溶液が好ましい。このようにして得た糸状物を必要に
応じては金属塩を洗浄し、乾燥、延伸を行う。延伸は、
通常融点以下の温度で行われ延伸倍率はトータルで10
倍以上、特に15倍以上の熱延伸を行うことが好まし
く、延伸温度を徐々に高くしていく多段延伸法が好適に
用いられる。
【0018】このような方法で得られたポリケトン繊維
は、高強度・高弾性率の優れた機械的特性を有するとと
もに熱や湿熱に対して安定であり、また、ゴムなどの被
覆材との接着性にも優れており、該繊維をエアバッグ用
基布へ適用することにより従来の繊維素材からなるエア
バッグでは到底得ることのできなかった優れた強度、安
定した作動性・取扱性を具備するエアバッグが得られる
ようになった。
【0019】
【実施例】本発明を、下記の実施例などにより更に詳し
く説明するが、それらは本発明の範囲を限定するもので
はない。実施例の説明中に用いられる各測定値の測定方
法は次の通りである。 (1)極限粘度 極限粘度[η]は次の定義式(4) に基づいて求められる
値である。 [η]=lim(T−t)/(t・C) [g/dl]・・・(4) C→0 (ただし、式中のt及びTはヘキサフルオロイソプロパ
ノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘
度管の流過時間である。またCは、上記溶液100ml
中のグラム単位による溶質重量値である。) (2)強度、弾性率 JIS−L−1013に準じて測定した。
【0020】(3)乾熱収縮率 JIS−L−1013に準じて180℃処理前後の値を
計測して求めた。 (4)湿熱処理後強度 湿度100%、温度120℃のオートクレーブ中に繊維
を投入し30分間処理した。処理後の繊維の強度を
(2)の方法に準じて測定した。 (5)引裂強力 JIS−L−1096、C法に準じて経、緯について測
定した。 (6)湿熱処理後の引裂強力 湿度100%、温度120℃のオートクレーブ中に基布
を投入し30分間処理した。処理後の基布の引き裂き強
力を上記(5)の方法に準じて測定した。
【0021】(実施例1)常法により調製したエチレン
と一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.9のポ
リケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリ
ウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時
間攪拌溶解しポリマー濃度8重量%のドープを得た。得
られたドープを80℃に加温し、20μmのフィルター
でろ過した後に、紡口径0.10mm、L/D=1、2
50ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通し
た後に5重量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐
出量12.5cc/分の速度で押し出し、凝固させた。
凝固糸を引き続き濃度2重量%の硫酸水溶液で洗浄し、
さらに30℃の水で洗浄した後、巻き取り速度2.5m
/分で巻き取り、さらに得られた糸状物を200℃にて
乾燥して未延伸糸を得た。
【0022】この未延伸糸を240℃で1段目の延伸を
行った後に、引き続き260℃で2段目、270℃で3
段目の延伸を行いトータルで15倍の延伸を行い、35
0dtex/250fの延伸糸を得た。延伸時に毛羽・
断糸等のトラブルは発生しなかった。得られた繊維は繊
維物性、熱・湿熱安定性共に優れた性能を有していた。
エアバッグ用基布に用いた繊維の性質および性能を下記
の実施例2〜4および比較例1、2で用いた繊維の性質
と合わせて表1にまとめて示す。この延伸糸を用いて、
織密度が経・緯ともに60本/インチである平織物を製
織し、90℃で精錬後、180℃で熱セットしてエアバ
ッグ用基布を得た。得られた基布の織密度は経、緯とも
に61本/インチであり、カバーファクターは2282
であり、優れた機械的特性および耐湿性を示した。得ら
れた基布の性質および性能を下記の実施例2〜4および
比較例1、2の基布の結果とまとめて表2に示す。
【0023】(実施例2)実施例1で得られた延伸糸を
用いて、織密度が経・緯ともに70本/インチである平
織物を製織し、90℃で精錬後、180℃で熱セットし
てエアバッグ用基布を得た。 (実施例3)常法により1−オキソ−3−メチルトリメ
チレンユニットを6重量%含有する極限粘度1.6のエ
チレン/プロペン/一酸化炭素ターポリマーを調製し
た。該ポリマーを用い、ドープ濃度を22重量%とし、
吐出量を5cc/分にする以外は実施例1と同様の処方
で紡糸、乾燥を行い未延伸糸を得た。この未延伸糸を1
80℃に加熱したロールを通した後に、周囲に200℃
の加熱空気を流した長さ1mのホットプレート上で20
0℃で1段目の延伸を行った後に、引き続き215℃で
2段目、さらに225℃で3段目の延伸を行いトータル
で12.5倍の延伸を行い繊度380dtex/250
fの延伸糸を得た。この延伸糸の強度はナイロン6・6
製エアバッグとほぼ同等であったが、耐熱特性、耐湿熱
特性に優れていた。この延伸糸を用い、織密度を経・緯
糸ともに66本/インチとする以外は実施例1と同様の
処方で平織物を製織、精練、熱セットを行い基布を得
た。
【0024】(実施例4)実施例1で得た延伸糸を経糸
とし、緯糸に351dtex/70fのナイロン6・6
繊維を用いて、実施例1と同様の処方で製織、熱セット
を行いエアバッグ用基布を得た。経糸方向のみならず緯
糸方向の引き裂き強力に優れる基布が得られた。 (実施例5)実施例1で製織した平織物に、クロロプレ
ンゴムを80g/m2 で塗工、180℃×80秒の条件
で加硫を行い表面加工したエアバック用基布を得た。該
基布の織物と被覆ゴムとの接着性は良好で、繰り返しの
使用試験によっても剥離部分や欠陥は観測されなかっ
た。
【0025】(比較例1)351dtex/70fのナ
イロン6・6繊維を用いて、実施例1と同様の処方で製
織、精練、熱セットを行い、織密度が経糸、緯糸ともに
62.5本/インチの基布を得た。該、基布の機械的特
性はポリケトン繊維のそれに比べて大きく劣っており、
特に湿熱処理によって引き裂き強力が大幅に低下した。 (比較例2)常法により調製した重合度7000、ケン
化度100重量%のポリビニルアルコールを濃度7重量
%となるようDMSOに溶解し、冷メタノールを凝固浴
として常法に従い紡糸、乾燥、延伸を行い、繊度355
dtex/250fの延伸糸を得た。この延伸糸を実施
例1と同様の処方で製織、精練、熱セットを行い基布を
得た。基布の機械的特性はポリケトン繊維を用いたもの
と同等であったが、湿熱処理により引き裂き強力が大き
く低下した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】 (注) ECO=エチレン/一酸化炭素交互共重合ポリマー(1
−オキソトリメチル単位=100重量%、極限粘度=
5.9) EPCO=エチレン/プロペン/一酸化炭素ターポリマ
ー(1−オキソ−3−メチルトリメチレン単位=6重量
%、極限粘度=1.6) PA=ナイロン6・6(商品名「レオナ6・6」旭化成
工業(株)製) PVA=ポリビニルアルコール(ケン化度=100重量
%、重合度=7000)
【0028】
【発明の効果】本発明のエアバッグ用基布は、高強度・
高弾性率の優れた機械的特性を有するとともに熱や湿熱
に対して安定であり、また、ゴムなどの被覆材との接着
性にも優れたポリケトン繊維を含有しており、該繊維を
エアバッグ用基布へ適用することにより従来の繊維素材
からなるエアバッグでは到底得ることのできなかった優
れた強度、安定した作動性・取り扱い性を具備したエア
バッグが得られるようになった。これにより、高性能で
ありながら一層の軽量化、コンパクト化が可能なエアバ
ッグが提供できるようになる。
フロントページの続き Fターム(参考) 3D054 AA02 AA03 AA04 AA06 AA13 AA14 AA16 CC15 CC21 CC26 CC45 EE20 FF01 FF02 FF13 FF14 FF18 FF20 4J002 AB012 AD002 BB032 BB122 BE022 BG042 CC032 CF002 CF052 CF062 CF072 CJ001 CL012 CL032 CL062 DA016 DA066 DM006 FA041 FA042 FA046 GK01 GN00 4L048 AA14 AA24 AA48 AA51 AA53 AB07 AC09 AC12 BA01 BA02 CA01 CA15 DA25

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エアバッグ用基布において、該基布を構
    成する布帛の少なくとも一部にオレフィンと一酸化炭素
    の共重合体からなるポリケトンポリマーにより構成され
    たポリケトン繊維を含むことを特徴とするエアバッグ用
    基布。
  2. 【請求項2】 ポリケトン繊維の強度が5cN/dte
    x以上、弾性率が100cN/dtex以上であること
    を特徴とする請求項1記載のエアバッグ用基布。
  3. 【請求項3】 ポリケトン繊維の強度が10cN/dt
    ex以上、弾性率が200cN/dtex以上であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のエアバッグ用基
    布。
  4. 【請求項4】 ポリケトンポリマーを構成する繰返単位
    の97重量%以上が1−オキソトリメチレンであること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッ
    グ用基布。
  5. 【請求項5】 ポリケトンポリマーを構成する繰返単位
    が1−オキソトリメチレンのみからなることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
  6. 【請求項6】 エアバッグ用基布を構成する布帛の50
    重量%以上がポリケトン繊維であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
  7. 【請求項7】 エアバッグ用基布を構成する布帛がポリ
    ケトン繊維のみからなることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
  8. 【請求項8】 エアバッグ用基布が平織物からなり、該
    基布が下記(1)、(2)の機械的特性を有することを特徴
    とする請求項1〜7のいずれかに記載のエアバッグ用基
    布。 引き裂き強力 ≧ 700(N)・・・(1) カバーファクターK : 1500≦K≦3000・・・(2)
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のエアバ
    ッグ用基布から構成されたエアバッグ。
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