JP2010174390A - エアバッグ用織物およびエアバッグ用織物の製造方法 - Google Patents

エアバッグ用織物およびエアバッグ用織物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エアバッグ用基布に求められる柔軟性、寸法安定性や機械的特性を兼ね備え、膨張展開後の乗員を受け止める際のエアバッグの縫製部の目ズレが小さくできるエアバッグ用織物および優れた安価なエアバッグ織物ならびにエアバッグ用織物の製造方法を提供する。
【解決手段】単繊維繊度が1〜3dtex、総繊度が200〜700dtexの範囲のポリアミド繊維からなる織物において、該織物のカバーファクターが2000〜2300の範囲内、ASTM D4032:Circular Bend法における該織物の剛軟度が15N以下、かつ、該織物を150℃で30分処理した時のタテ・ヨコ方向の乾熱収縮率が4%以下であることを特徴とするノンコートエアバッグ用織物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ノンコートエアバッグ用織物及びその製造方法に関する。
近年、交通安全意識の向上に伴い、自動車の事故が発生した際に乗員の安全を確保するために、種々のエアバッグが開発されるに伴いその有効性が認識され、急速に実用化が進んでいる。
エアバッグに用いられるエアバッグ用織物は、織物表面に樹脂を塗布せずそのまま用いるノンコートエアバッグ用織物、および織物表面に樹脂を塗布して用いるエアバッグ用コート織物に大別することができる。このうちノンコートエアバッグ用織物は、低コストで生産できるという点で、近年需要が増してきている。
一方でエアバッグは、車両が衝突してから極めて短時間に車内で膨張展開することで、衝突の反動で移動する乗員を受け止め、その衝撃を吸収して乗員を保護するものであるため、袋を構成する布帛の通気量は小さいことが求められている。また、エアバッグ作動時の衝撃に耐える必要から、布帛には一定以上の強度が求められ、さらには低コスト化や展開性能の向上のために、より高温のガスが発生するインフレーターが装着されるため、耐熱性も求められる。さらにエアバッグは、車内で長期間放置にも問題なく展開し乗員を拘束する必要があり、寸法変化率を少なくすることが求められている。また、車内の意匠性や他の部品との関係から、収納時のコンパクト性や柔軟性が求められ、さらには低コスト化の要求もより一層高まっている。
従来のノンコートエアバッグ用織物のうち、収納時のコンパクト性や柔軟性を向上させる手段として例えば、総繊度が90〜250デニールの合繊繊維からなり、タテ・ヨコのカバーファクターが共に900〜1400であるノンコートサイドエアバッグ用織物が提案されている(特許文献1参照)。しかし、このノンコートエアバッグ用織物は、総繊度が小さいためエアバッグに必要な機械的特性である引張強力が小さく、近年の高圧化したインフレーターには対応しきれず、エアバッグの膨張展開時に破損する恐れがあった。特に、ポリアミドを素材とした場合は、単繊維繊度の大きいものを用いる必要があった。
一方、低通気性と低コストを両立させるために、生機を精練処理することなくローラー収縮セット工程を通して製造するノンコートエアバッグ用織物が開示されている(特許文献2参照)。しかし、このノンコートエアバッグ用織物は、ポリエステルフィラメント糸からなるため、耐熱性に乏しく、エアバッグの膨張展開時に高温のガスが織物に充満した際にエアバッグが破損する恐れがあった。
さらに、低通気性と優れた機械的特性を持ち、コーティングやヒートセットを施さない安価なエアバッグ用織物の製造方法が開示されている(特許文献3参照)。しかし、この技術では、充分な温度で熱処理を実施しないため、この技術で製造したエアバッグ用織物は、柔軟性及び収納コンパクト性にやや劣り、近年ますます収納スペースが縮小していることもあり、車内の定められた空間に収めることができないという問題を生じつつある。特許文献3においては、実施例では単繊維繊度4.4dtexのポリアミド繊維が限界である。
特許第3457739号公報(請求項1、段落0027) 特開平9−105047号公報(請求項1) 特開平10−168700号公報(段落0008)
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、エアバッグ用基布に求められる柔軟性、寸法安定性や機械的特性を兼ね備え、膨張展開後の乗員を受け止める際のエアバッグの縫製部の目ズレが小さくできるノンコートエアバッグ用織物およびノンコートエアバッグ用織物の製造方法の提供を目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は、次のいずれかの手段を採用するものである。
(1)単繊維繊度が1〜3dtex、総繊度が200〜700dtexの範囲のポリアミド繊維マルチフィラメントからなり、ウォータージェットルームを用いて製織された織物において、以下の[1]〜[5]の要件を満たすことを特徴とするエアバッグ用織物。
[1]カバーファクターが2000〜2300
[2]ASTM D4032:サーキュラーベンド(Circular Bend)法における剛軟度が15N以下
[3]残留油分率が0.08wt%〜0.20wt%
[4]滑脱抵抗力をカバーファクターで除した値が0.19N以上
[5]150℃で30分処理した時のタテ・ヨコ方向の乾熱収縮率が4%以下
(2)前記織物の残留油分率が0.08wt%〜0.20wt%であり、かつ、該織物の滑脱抵抗力をカバーファクターで除した値が0.19N以上である前記[1]記載のノンコートエアバッグ用織物。
(3)前記ポリアミド繊維の単繊維繊度が1〜2dtexの範囲内である前記(1)記載のノンコートエアバッグ用織物。
(4)150℃で30分処理した時のタテ・ヨコ方向の乾熱収縮率が、3%以下である前記(1)記載のノンコートエアバッグ用織物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のノンコートエアバッグ用織物を製造する方法であって、製織後80℃以上の乾燥工程で処理することを特徴とするノンコートエアバッグ用織物の製造方法。
(6)前記乾燥工程後に、精練処理をしないことを特徴とする前記(5)記載のノンコートエアバッグ用織物の製造方法。
(7)前記乾燥工程が、1工程であり、かつ、ローラー式乾燥機またはサクションドラム式乾燥機を通過させることを特徴とする前記(5)記載のノンコートエアバッグ用織物の製造方法。
本発明によれば、優れた柔軟性、寸法安定性を有し、さらに安価なエアバッグ織物を提供することができる。特に、1〜3dtexという細繊度の単繊維からなる繊維で織物を構成し、かつ織物に精練処理を施さないことで、織物の油分を適度に保持し、それによって、必要十分な滑脱抵抗を維持しつつ、縫製時の工程通過性に優れた織物を提供することができる。
本発明のノンコートエアバッグ用織物を構成する繊維マルチフィラメントの総繊度は200〜700dtexであることが必要である。総繊度が200dtex未満の場合、低通気性が得られにくくなるとともに、織物の強力などのエアバッグに要求される機械的特性が低下する。また、高強度の繊維を安定して得ることが困難となるため、織物の品位も悪化し、原糸・織物ともに生産性が悪化する。一方、700dtexを越えると、エアバッグをコンパクトに収納できにくくなる。また、単繊維繊度1〜3dtexの合成繊維で総繊度700dtexを越えるマルチフィラメントを得るには単繊維数を多くしなければならないが、一度の紡糸で得ることが極めて困難であるため、2〜3本の糸条(総繊度の小さいマルチフィラメント)を合糸して形成した繊維糸条とする必要が生じ、生産性を損ないコストが高くなる。好ましい総繊度の範囲は280〜550dtexであり、より好ましくは、350〜470dtexである。この範囲内の総繊度とすることで、織物の強力、低通気性、バッグ収納コンパクト性をバランスよく向上させることができる。
本発明に用いられるポリアミド繊維マルチフィラメントを構成する繊維の単繊維繊度は1〜3dtexであることが必要であり、1〜2dtexとすることが好ましい。単繊維繊度をこの範囲内にすることで、織物を構成するマルチフィラメントが細密充填構造をとり、初期の低通気性が得られるばかりでなく、耐環境老化試験後も細密充填構造が維持されることで、低通気性が維持できる。単繊維繊度が1dtex未満の場合、低通気性の面では好ましいが、紡糸性が極端に低下し、単繊維繊度1dtex未満の糸を安定して生産できない。一方、単繊維繊度が3dtexより大きくなると、織物を構成するマルチフィラメントが細密充填構造をとりにくくなり、低通気性が得られにくくなる。また、単繊維繊度をこの範囲にすることにより、マルチフィラメントの剛性を低下させる効果が得られるため、織物の剛軟度が15N以下とすることができ、エアバッグの収納性も向上させることができる。さらには、生機であっても十分な風合いを得ることができる。
エアバッグ用織物の繊維に関しては、総繊度、単繊維繊度をともに小さくすることが長年に渡り検討され続けてきたが、本発明のように総繊度200〜700dtexの範囲で3dtex未満の単繊維繊度を有するポリアミド繊維が実際に開示された例はなく、このようなポリアミド繊維を用いてエアバッグ用の布帛を構成した場合に具備される特性についても当然開示された例はない。これは、従来の検討では、エアバッグ用織物の特性向上が3〜4dtex程度まで単繊維繊度を小さくすると飽和する傾向にあったことに加え、単繊維数が100本以上で3dtex以下の単繊維繊度を有する産業用のポリアミド繊維を直接紡糸延伸法にて安定して製造することが極めて困難であったことによる。本発明者らは、後述の方法にて単繊維数が100本以上で3dtex以下のポリアミド繊維マルチフィラメントを得る方法、および該ポリアミド繊維マルチフィラメントから構成されたエアバッグ用織物が有する特性について鋭意検討した。その結果、総繊度は同じで単繊維繊度のみ異なるポリアミド繊維を同じ方法によってエアバッグ用織物とした場合に比べ、単繊維繊度を3dtex以下とすることで初期の低通気性、耐環境劣化試験後の低通気性、収納時のコンパクト性、滑脱抵抗力が全て向上することを究明したものである。特に2dtex以下の単繊維繊度とすることによる滑脱抵抗力、柔軟性については、従来の工程を通過させずとも同等以上の結果が得られ、生産性が大きく向上することを究明したものである。なお単繊維繊度が1dtex未満のエアバッグ用に適したポリアミド繊維は、本明細書に記載した方法を用いても得ることは困難である。
本発明のノンコートエアバック用織物はポリアミド繊維からなる。このポリアミド繊維としては例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46や、ナイロン6とナイロン66との共重合ポリアミド、ナイロン6にポリアルキレングリコール、ジカルボン酸、アミン等を共重合させた共重合ポリアミド等からなる繊維を挙げることができる。なかでも、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維は耐衝撃性に特に優れており、好ましい。
また、ポリアミド繊維には、紡糸・延伸工程や加工工程での生産性、あるいは特性改善のために、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤等の添加剤を含んでいてもよい。
また、ポリアミド繊維の単繊維の断面形状としては、特に限定されるものではなく、円形でもY型、V型、扁平型等の非円形、さらには中空部を有するものも用いることができる。ただし、織物としたときにマルチフィラメントが細密充填構造をとりやすいことから、円形が好ましい。
本発明のノンコートエアバック用織物のカバーファクター(CF)は、2000〜2300であることが必要で、より好ましくは2100〜2200である。カバーファクターをこの範囲に調整することで、エアバッグとして必要なコンパクト収納性と低通気性を両立することができる。カバーファクターを2000以上とすることで、通気度を小さくすることができる。また、該カバーファクターを2300以下とすることで、コンパクト収納性を向上させることができる。
ここで、織物のカバーファクター(CF)とは、タテ糸あるいはヨコ糸に用いられる糸の総繊度と織密度から計算される値であり、タテ糸総繊度をDw(dtex)、ヨコ糸総繊度をDf(dtex)、タテ糸の織密度をNw(本/2.54cm)、ヨコ糸の織密度をNf(本/2.54cm)としたとき次の式で表される。
CF1=(Dw×0.9)1/2×Nw+(Df×0.9)1/2×Nf
また、本発明の織物は、ASTM D4032で規定されるサーキュラーベンド(Circular Bend)法に基づく剛軟度が15N以下であることが重要である。さらに好ましくは12N以下である。この剛軟度が15Nよりも大きいと、エアバッグを限られたスペースに収納するために折り畳む際、作業性が悪くなるだけでなく、収納スペースによってはモジュールに収まらないという問題が生じる。上述のとおり、単繊維繊度を1〜3dtexとすることにより、剛軟度が15N以下とすることができ、生機であっても十分な風合いを得ることができる。
また、本発明の織物は、150℃で30分処理した時のタテ及びヨコ方向の乾熱収縮率が4%以下であることが必要である。より好ましくは3.5%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。この範囲内とするために80℃以上の乾燥工程で処理することが望ましい。80℃以上の温度で処理することで織物が収縮し、安定化する。80℃未満の乾燥工程で処理すると、乾熱収縮率が4%より大きくなり、エアバッグモジュール内に長期間収納されている間に寸法が変化し、膨張展開時に乗員を拘束でない恐れがある。
また、本発明の織物は、JIS L1013(1999)8.27 b)に準じて測定した残留油分が0.08wt%〜0.20wt%であり、かつ、ASTM D6479−02に準じて測定した滑脱抵抗力をカバーファクターで除した値が、0.19N以上であることが重要である。ここでいう滑脱抵抗力をカバーファクターで除した値は、単位カバーファクター、つまり、ある一定の布充填率における滑脱抵抗力を指し、エアバッグの縫製部一部分の目ズレの起こりにくさを表わすものである。これらをその範囲内とすることで、織物の油分を適度に保持しながらも、エアバッグとして必要十分な抗目ズレ性を維持しつつ、縫製時の工程通過性に優れた織物を得ることができる。残留油分を0.08wt%〜0.20wt%にするためには、ウォータージェットルームで製織し、精練処理を施さないことが必要である。製織の際には、水の吐出量を調整するために、ポンプのシリンダー径がΦ18mm〜Φ32mmの物を用いることが望ましい。残留油分が0.08wt%未満になると、引裂強力が低下し、エアバッグ展開時に破裂する恐れがあるだけではなく、織物とミシン針との抵抗が大きくなり、縫製時の工程通過性が悪くなる。また、残留油分が0.20wt%より大きくなると、滑脱抵抗力が小さくなりエアバッグ展開時に縫製部分が大きく目ズレすることで破裂する恐れがある。さらに、滑脱抵抗力をカバーファクターで除した値が、0.19N未満となると、縫製部分の目ズレに対する抵抗力が小さくなるため、エアバッグ展開初期に掛かる内圧を縫製部が受ける時に、その力を縫製部で緩和することができず、大きく目ズレすることで破裂したり、縫製部の目空き量が大きくなり、その部分から集中的に高温のエアーが抜けることで破裂する恐れがある。
次に、本発明のエアバッグ用基布を構成する好ましい形態であるポリアミドマルチフィラメントの製造方法と、エアバッグ用基布を製造する方法について説明する。
ポリアミドマルチフィラメントは公知の溶融紡糸をベースに、具体的には以下の方法で製造する。
まず、前記したポリアミドチップをエクストルーダー型紡糸機へ供給し、軽量ポンプにより紡糸口金へ配し、290〜300℃で溶融紡糸する。この際、紡糸口金の孔スペックは、単繊維繊度のバラツキを小さくして製織中の毛羽の発生を抑制するために、背面圧を少なくとも60kg/cm以上に設計することが好ましく、80〜120kg/cmとすることがより好ましい。また、同心円上に吐出孔を配列させ、その列数は好ましくは2〜8列、より好ましくは3〜6列である。列数が少なすぎると単繊維間距離が小さくなりすぎ、紡糸中に単繊維同士が衝突し、悪い場合は融着するし、多すぎると冷却斑による単繊維間の物性斑が大きくなるため好ましくない。また、最外周に配列した各吐出孔を同心円として結んだときの直径は、加熱筒や環状冷却装置の内径より小さくするが、好ましくは8〜25mm、より好ましくは10〜20mm小さくすればよい。最外周の孔の位置が加熱筒や環状冷却装置に近すぎると、固化前の糸条が装置と接触しやすくなり紡糸が不安定になるし、遠すぎる場合は糸条の冷却が不十分になり、高強度・高伸度のポリアミドマルチフィラメントを得難くなる。
口金より吐出された紡出糸条は、円筒状の加熱筒と円筒状の環状冷却装置を順次通過させることで冷却固化を完了させる。単繊維繊度が1.5dtex以上であれば加熱筒を使用してもしなくてもよいが、使用する場合は筒内径を環状冷却装置と同じにすることで筒内の加熱筒と冷却装置の接触箇所での空気流の乱れを防止することが好ましく、50〜100mmの長さで筒内の雰囲気温度が250〜350℃となるように加熱した後、環状冷却装置を用いて冷却することが好ましい。加熱筒長が長すぎるとポリアミドマルチフィラメントの長手方向の太さ斑が大きく悪化するので好ましくない。一方、単繊維繊度が1.5dtex未満の場合は、加熱筒を使用せずに環状冷却装置を設置して、紡出糸条をより早く冷却させ始めることで糸長手方向の太さ斑が極端に悪化するのを防ぐことが好ましいが、その際、口金面を冷やして口金面温度が低下すると、高強度・高伸度のポリアミドマルチフィラメントを得難くなるため、環状冷却装置の最上部から100mm以内の一定の長さで、100〜250℃の熱風を吹き出すようにすることが好ましい。環状冷却装置による糸条の冷却においては、ポリアミドをガラス転移点まで十分に冷却できるように10〜50℃の冷却風を用いることが好ましい。環状冷却装置の基本構成は公知のものを用いればよい。例えば、多数の毛細管状の孔を有する多孔質の部材から筒体を構成し、冷却筒内部に送られた冷却風が冷却風の吹出箇所から糸条方向へ整流されつつ吹き出されるようにすればよい。また、冷却風速を調節するために、例えば、冷却筒エレメントのエア導入部にパンチング状のプレートやメッシュなど多孔質部材を設置することが好ましい。本発明のエアバッグ用基布を構成する高強度・高伸度な単繊維細繊度のポリアミドマルチフィラメントを得るには、以下の特徴を有する構成とすることが好ましい。
冷却風は吐出孔群の外周側から中心側へ吹き出すようにする。この構成とすることで、ポリエステル系に比べ、冷却難度の高いポリアミドマルチフィラメントを充分に冷却するだけの冷却風を供給することができる。中心側から外周側へ吹き出す構成とした場合、本発明のポリアミドマルチフィラメントを得るには単繊維が必要以上に外側へ張り出すため、あるいは過度に長い冷却設備が必要となるため、設備の大型化を招くことになり好ましくない。
冷却筒の長さは、従来提案されている環状冷却設備より相当に長く、冷却風の吹出し長さが600〜1200mmの範囲にすることが好ましく、より好ましくは800〜1000mmである。600mm以上であれば本発明のポリアミドマルチフィラメントを充分に冷却することができ、良好な機械的特性および毛羽品位等を得ることができる。1200mm以下であれば、設備自体が長くなりすぎず好ましい。
冷却筒内と大気圧との差圧は、好ましくは500〜1200Paであり、より好ましくは600〜1100Pa、さらに好ましくは800〜1000Paとなるように加圧して冷却風を送風することが好ましい。従来の横吹出し冷却装置を用いた場合、冷却風を弱めてマルチフィラメントの機械的特性が低下すると毛羽品位も悪化する傾向にあった。ところが環状冷却装置を用いた場合、該差圧が本発明のポリアミドマルチフィラメントの物性に与える影響は小さく、例えば200Pa程度でも延伸倍率の調整のみで機械的特性を調節することができるが、意外にも500Pa以上とすることで毛羽の発生が著しく抑えられることがわかった。また、1200Pa以下とすると、風速が大きくなりすぎず、糸同士の接触を防ぎやすくなるため好ましい。
また、該装置長手方向に対する冷却風の風速は不均一で、上部側風速Vを10〜30m/分、下部側風速Vを40〜80m/分とし、VがVより小さく、V/Vが2〜3であることが好ましい。より好ましいVとVの範囲はそれぞれ15〜25m/分、50〜70m/分である。装置長手方向で少なくとも2段階の大きな風速比率変更を行い、前記風速範囲とすることで、糸長手方向の太さ斑が悪化することなく繊維物性を向上させることができる。特に上部側で徐冷効果を生み出すことによって、繊維のタフネス性が向上し、同一強度とした場合の伸度が2〜5%程度変化する。このような風速比率の変更に関しては、冷却風吹出し部の最上部から全長の10〜50%程度の位置で変更させることが好ましく、より好ましくは15〜45%である。その手段としては、冷却筒の外筒と多孔質部材からなる整流筒の間で、比率を変更したい位置にドーナツ状の多孔質部材を設置することで、該位置を境界に筒中の上下間にさらに差圧を与え、上下の風速を変更する手段や、冷却装置自体を2段構成としてそれぞれの筒内と大気圧との差圧を調節する手段などが考えられるが、いずれの方法を用いても問題はない。
従来の横吹出し冷却設備を用いて総繊度200〜700dtex、単繊維繊度1〜3dtexのポリアミド繊維を製造しようとした場合は、紡出部での糸揺れが激しくなりすぎ、単繊維同士の接触を抑えることができなかったのに対し、前記した本発明の方法では、糸条固化前の冷却風の風速を小さくしても冷却風と紡出糸条との距離が近いため、冷却不足とはならず、かつエアがぶつかりあって下降気流を形成し、冷却風の水平方向速度成分を大きく低下させることができるため、糸揺れを抑えながら製糸可能になるものと推察される。
その後、得られた冷却糸条は公知の方法で油剤を付与し、引き取りロールで引き取り、延伸した後巻き取ることができる。油剤は公知の油剤を用いることができるが、引き取りロール上での単糸巻き付きを抑制するために、その付着量は0.3〜1.5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0重量%である。
また、引き取りロールの回転速度で定義される紡糸速度が500〜1000m/分であることが好ましく、より好ましくは700〜900m/分である。紡糸速度が500m/分以上であると、最終的な生産速度も充分となり、安価にポリアミド繊維を製造できる。1000m/分以下とすると、糸切れや毛羽の多発を防ぐことができ好ましい。
これら前記した方法で得られた紡出糸は、公知の方法を用いて延伸や弛緩熱処理、および巻取り等を行うことができ、例えば、2〜3段で100〜250℃の多段延伸熱処理を施した後、1〜10%で50〜200℃の弛緩熱処理を施すこと等が可能である。
また、マルチフィラメントに付与する交絡は織機の種類や製織速度にあわせ適宜選択することができるが、本発明による方法であれば過度に交絡を施す必要はなく、15〜30個/mの交絡数が得られるように、交絡付与装置の種類や付与条件を変更すればよい。15個/mを大きく下回っても30個/mを上回っても、高次工程通過性は悪化する傾向となる。同様に交絡の強度も公知の範囲のものを用いればよい。
こうして、従来提案された方法では製糸できなかった総繊度200〜700dtexで単繊維繊度が1〜3dtexのエアバッグ用に適したポリアミド繊維マルチフィラメントを、好ましくは強度8〜9cN/dtex、伸度20〜25%、沸騰水収縮率4〜10%で糸斑なく、安価にかつ優れた製糸性や毛羽品位で得ることが可能となる。すなわち、直接紡糸延伸法により、製糸速度3000m/分以上で、より好ましくは3500m/分以上で、かつ8糸条以上の多糸条同時延伸法を用いて効率良く生産することができる。
本発明のノンコートエアバッグ用織物は、まず、前述した素材および繊度のマルチフィラメントを用いる、まず、タテ糸を整経して織機にかけ、同様にヨコ糸の準備をする。かかる織機としては、ウォータージェットルームを用いることが重要である。ウォータージェットルームを用いることで、製織時にタテ糸やヨコ糸に付着した油分の大半を除去することができるため、製織後に精練を実施する必要がなくなる。ウォータージェットルーム以外の織機、例えばエアージェットルームおよびレピアルームなどを用いて製織した場合、糸に付着した油分が製織時に落ちないため、目ズレや難燃性の観点から、精練を実施することが不可欠となり、コスト高につながる。
製織工程が終わると、乾燥工程にて織物に乾燥処理を施す。乾燥温度については80℃以上とすることが重要である。80℃未満であると、乾熱収縮率が大きく、寸法安定性が悪くなり、膨張展開時にエアバッグとしての機能が果たせなくなる可能性がある。
また、該乾燥工程は、1工程の乾燥機からなり、かかる乾燥機としては、ローラー式乾燥機やサクションドラム式乾燥機を用いることが好ましい。ローラー式乾燥機とは、熱風により乾燥させるホットフルー方式の機械を指し、乾燥機内に設置されたガイドロールに接する他は何ものにも接することがなく、低張力で乾燥できるものである。これらの乾燥機を用いることで、乾燥時に織物にかかる張力を最小限に抑えることができるため、乾燥工程で十分な収縮をさせることが可能となり、寸法安定性に優れた織物を得ることができる。
本発明のノンコートエアバッグ用織物は、袋状に縫製し、インフレーターなどの付属機器を取り付けてエアバッグとすることができ、運転席用、助手席用および後部座席用などに使用することができる。
[測定方法]
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明における各特性の定義および測定法は以下の通りである。
(1)総繊度
JIS L1013(1999) 8.3.1 A法により、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊度とした。
(2)単繊維数
JIS L1013(1999) 8.4の方法で算出した。
(3)単繊維繊度
総繊度を単繊維数で除することで算出した。
(4)強度・伸度
JIS L1013 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/分で行った。なお、伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(5)沸騰水収縮率
原糸をカセ状にサンプリングして、20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間以上調整し、試料に0.045cN/dtex相当の荷重をかけて長さLを測定した。次に、この試料を無緊張状態で沸騰水中に30分間浸漬した後、上記温湿度調整室で4時間風乾し、再び試料に0.045cN/dtex相当の荷重をかけて長さLを測定した。それぞれの長さLおよびLから次式により沸騰水収縮率を求めた。
沸騰水収縮率=[(L−L)/L]×100(%)
(6)毛羽評価
得られた繊維パッケージを500m/分の速度で巻き返し、巻き返し中の糸条から2mm離れた箇所にヘバーライン社製レーザー式毛羽検知機“フライテックV”を設置し、検知された毛羽総数を10万mあたりの個数に換算して表示した。
(7)風速
KANOMAX社製アネモマスターを各測定点で冷却風吹出部に密着させ測定した。測定点は冷却風吹出部を構成する筒体の上端部より0、50、100mmの位置と100mm以上は100mm毎に筒体の下端部まで、それぞれ円周方向に90度ずつ角度を変え4点測定し、この4点の風速平均を冷却風吹出部上端部からの各距離での風速とした。次いで、上下風速を設備的対応で変更した場合は、該変更位置で上部側と下部側に線引きし、意図的な風速比率変更を行わない場合は、上端部より300mmの位置で上部側と下部側に線引きし、区間風速積分を各有効冷却長で除することによってVとVをそれぞれ求めた。
例えば、筒体上端部よりammの位置の風速をVa、冷却風吹出し長さをLとすると、350mmの位置で意図的に風速比率を変更させた場合の算出法は下記のとおりとなる。
=[50(V+2V50+V100)+100(V100+V200)+150(V200+V300)]/2/350
=[150(V400+V500)+100(V500+V600)+・・・]/2/(L−350)
なお、・・・は600mm以降で最大測定点まで同様に計算して足しあわせることを意味する。
(8)織物厚さ
JIS L 1096:1999 8.5に則り、試料の異なる5か所について厚さ測定機を用いて、23.5kPaの加圧下、厚さを落ち着かせるために10秒間待った後に厚さを測定し、平均値を算出した。
(9)織密度
JIS L 1096:1999 8.6.1に基づき測定した。
試料を平らな台上に置き、不自然なしわや張力を除いて、異なる5か所について2.54cmの区間のタテ糸およびヨコ糸の本数を数え、それぞれの平均値を算出した。
(10)織物目付け
JIS L 1096:1999 8.4.2に則り、20cm×20cmの試験片を3枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(11)引張強力
JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るまでの最大荷重を測定し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した。
(12)破断伸度
JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、これら試験片の中央部に100mm間隔の標線を付け、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るときの標線間の距離を読み取り、下記式によって、破断伸度を算出し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した。
E=[(L−100)/100]×100
ここに、E:破断伸度(%)、
L:切断時の標線間の距離(mm)。
(13)引裂強力
JIS K 6404−4 6.試験方法B(シングルタング法)に準じ、長辺200mm、短辺76mmの試験片をタテ、ヨコ、両方にそれぞれ5個の試験片を採取し、試験片の短辺の中央に辺と直角に75mmの切込みを入れ、定速緊張型の試験機にてつかみ間隔75mm、引張速度200mm/minで試験片が引ききるまで引裂き、その時の引裂き荷重を測定した。得られた引裂き荷重のチャート記録線より、最初のピークを除いた極大点の中から大きい順に3点選び、その平均値をとった。最後にタテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、平均値を算出した。
(14)通気度
JIS L 1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて、試験差圧19.6kPaで試験したときの通気量を測定した。試料の異なる5か所から約20cm×20cmの試験片を採取し、口径100mmの円筒の一端に試験片を取り付け、取り付け箇所から空気の漏れが無いように固定し、レギュレーターを用いて試験差圧19.6kPaに調整し、そのときに試験片を通過する空気量を流量計で計測し、5枚の試験片についての平均値を算出した。
(15)剛軟度
ASTM D4032:サーキュラーベンド(Circular Bend)法に則り測定した。
(16)乾熱収縮率
試料を異なる3箇所から30cm×30cmの試験片を採取し、タテ・ヨコ方向共に、織り糸と平行になるように20cmの標線を3本引く。この試験片を150℃に設定した乾燥機に張力がかからないように設置し、30min収縮処理する。処理後、標準状態(25℃、65Rh%)で24hr調整後、標線間距離を測定し、下記式によって、乾熱収縮率を算出し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した。
乾熱収縮率(%)=[(20−L)/20]×100
ここに、L:標線間距離(cm)。
(17)織物の残留油分率
試料を異なる3箇所から約30cm×30cmの試験片を採取し、この試験片からタテ糸とヨコ糸をほつり、各々の分解糸が5g、合わせて10gとなるようにサンプルを採取し、JIS L1013(1999)8.27 b)に準じて、ジエチルエーテル抽出分を測定し、その平均値を油分付着量とし、下記式によって、残留油分率を算出した。
残留油分率(%)=(W/10)×100
ここに、W:油分付着量(g)
(18)滑脱抵抗力
ASTM D6479−02に則り、タテ方向及びヨコ方向の滑脱抵抗力を測定した。なお、表2中にはカバーファクターで除した値で記載した。
[実施例1および2]
液相重合で得られたナイロン66チップに酸化防止剤として酢酸銅の5重量%水溶液を添加して混合し、ポリマ重量に対し、銅として68ppm添加吸着させた。次に沃化カリウムの50重量%水溶液および臭化カリウムの20重量%水溶液をポリマチップ100重量部に対してそれぞれカリウムとして0.1重量部となるよう添加吸着させ、バッチ式固相重合装置を用いて固相重合させて硫酸相対粘度が3.8のナイロン66ペレットを得た。得られたナイロン66ペレットをエクストルーダへ供給し、計量ポンプにより総繊度が表1の糸条を2本得るように吐出量を調節して紡糸口金に配し、295℃で溶融紡糸した。ここで、硫酸相対粘度は試料2.5gを96%濃硫酸25ccに溶解し、25℃恒温槽の一定温度下において、オストワルド粘度計を用いて測定した値である。各紡糸口金は、表1に示す単繊維数の糸条を2糸条得ることのできる数、即ち表1に示す単繊維数の2倍の吐出孔が直径0.22mmで4つの同心円上に配置され、最外周の吐出孔群を同心円状に結んだときの直径は、加熱筒および冷却筒の内径より14mm小さいものを用いた。口金直下には300℃に加熱した100mmの加熱筒を設け、表1の冷却風吹出し長さを有する円筒状の環状冷却装置を用いて、20℃の冷却風を冷却筒内と大気圧との差圧が表1の値となるように加圧して送風し、紡出糸条を冷却固化せしめた。冷却筒の冷却風吹出部を構成する筒体としては、厚さ4.6mmで濾過精度40μmの孔を有するフェノール樹脂含浸セルロースリボンを螺旋状に巻き付け筒状に成形した富士フィルター製“フジボン”を用いた。また、冷却筒の冷却風吹出部の上端から350mmの位置に、筒内上下での冷却風の速度を変更させるようにドーナツ状で開口率22.7%のパンチングプレートを配置した。冷却固化された糸条には、次に平滑剤等を有する非水系油剤を付与し、紡糸引き取りローラに捲回し、紡出糸条を引き取った。引き続き、連続して糸条を延伸・熱処理ゾーンに供給し、直接紡糸延伸法によりナイロン66繊維を製造した。この際、最も回転速度の大きい延伸ローラの回転速度(以下、延伸速度)を3600m/分の一定速度とし、引取速度と延伸速度比で表される総合延伸倍率が表1に示される値となるように引き取りローラの回転速度を調節した。
引き取られた糸条は、引き取りローラと給糸ローラの間で5%のストレッチをかけ、次いで給糸ローラと第1延伸ローラの間で該ローラ間の回転速度比が2となるように1段目の延伸、第1延伸ローラと第2延伸ローラの間で2段目の延伸を行った。引き続き、第2延伸ローラと弛緩ローラとの間で6%の弛緩熱処理を施し、交絡付与装置にて糸条を交絡処理した後、巻き取り機にて巻き取った。各ローラの表面温度は、引き取りローラが常温、給糸ローラが40℃、第1延伸ローラが140℃、第2延伸ローラは230℃、弛緩ローラが150℃となるように設定した。また、原糸付着油分量が1.0重量%となるように非水系油剤の付与量を調整した。交絡処理は、交絡付与装置内で走行糸条に直角方向から高圧空気を噴射することにより行った。交絡付与装置の前後には走行糸条を規制するガイドを設け、噴射する空気の圧力は0.35MPaで一定とした。
冷却筒内の上部側および下部側平均風速測定値を含む繊維製造条件と得られたナイロン66繊維の特性を表1に示す。
上記方法を用いて製糸したナイロン66繊維の内50kgを500m/分の速度で巻き返し、レーザー式毛羽検知器を用いて繊維パッケージ内に存在する毛羽を調べた結果も同様に表1に示す。
実施例1および2では、十分な機械的特性を有し、毛羽の少ない単糸繊度1〜2dtexのポリアミド繊維を得ることができた。
Figure 2010174390
[参考例1および2]
1500mmの長さを有する横吹出し冷却装置から30m/分の冷却風を均一に吹き出させることによって、総繊度470dtexで単繊維数が72本の糸条を延伸速度が3600m/分で2糸条得ることができるようにし、また紡糸口金は吐出孔間隔の最小値が7.5mmとなるように配列したものを用いて、表1の条件でナイロン66繊維の製造を試みた以外は実施例1と同様にして行った。
得られた繊維特性、および毛羽評価結果を表1に示した。
[実施例3]
(製織工程)
実施例1の繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、ウォータージェットルームにて、織密度が53本/2.54cmの平織物を製織し、濡れ生機を得た。
(乾燥工程)
次いでこの濡れ生機をホットフルー方式の乾燥機を用い、120℃で乾燥し、エアバッグ用織物を得た。
得られたエアバッグ用織物の特性を表2に示した。得られたエアバッグ用織物は抗目ズレ性や柔軟性、寸法安定性に優れていた。
Figure 2010174390
[比較例1]
(製織工程・乾燥工程)
参考例1の繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、実施例3と同様の製織・乾燥を施し、エアバッグ用織物を得た。
得られたエアバッグ用織物は抗目ズレ性や柔軟性が満足するものではなかった。
[比較例2]
(製織工程)
実施例1の繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、ウォータージェットルームにて、織密度が46本/2.54cmの平織物を製織し、濡れ生機を得た。
(乾燥工程)
次いでこの濡れ生機をホットフルー方式の乾燥機を用い、120℃で乾燥し、エアバッグ用織物を得た。
得られたエアバッグ用織物は抗目ズレ性を満足するものではなかった。
[比較例3]
(製織工程)
実施例1の繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、実施例3と同様に製織し、濡れ生機を得た。
(乾燥工程)
次いでこの濡れ生機をホットフルー方式の乾燥機を用い、60℃で乾燥し、エアバッグ用織物を得た。
得られたエアバッグ用織物は柔軟性や寸法安定性を満足するものではなかった。
[実施例4]
(製織工程)
実施例2の繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、ウォータージェットルームにて、織密度が59本/2.54cmの平織物を製織し、濡れ生機を得た。
(乾燥工程)
次いでこの濡れ生機をサクション式の乾燥機を用い、80℃で乾燥し、エアバッグ用織物を得た。
得られたエアバッグ用織物の特性を表2に示した。得られたエアバッグ用織物は抗目ズレ性や柔軟性、寸法安定性に優れていた。
[比較例4]
(製織工程・乾燥工程)
参考例2の繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、実施例4と同様の製織・乾燥を施し、エアバッグ用織物を得た。
得られたエアバッグ用織物は抗目ズレ性を満足するものではなかった。
[比較例5]
(製織工程・乾燥工程)
実施例2の繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、実施例4と同様の製織・乾燥を施し、織物を得た。
(精練工程)
次いでこの織物を60℃の熱水にて精練した後、160℃にて乾燥しエアバッグ用織物を得た。
得られたエアバッグ用織物は生産性に劣り、残留油分率を満足するものではなかった。
[比較例6]
(製織工程)
実施例2の繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、レピア織機にて、織密度が59本/2.54cmの平織物を製織し、生機を得た。
(乾燥工程)
次いでこの生機をサクション式の乾燥機を用い、80℃で乾燥し、エアバッグ用織物を得た。
得られたエアバッグ用織物は抗目ズレ性を満足するものではなかった。
本発明によるエアバッグ用織物は、エアバッグ用織物に求められる柔軟性、寸法安定性や機械的特性を兼ね備え、生産性にも優れている。そのため、本発明のエアバッグ用織物は、特に運転席用、助手席用、側面衝突用サイドエアバッグなどに好適に用いることができるが、その適用範囲がこれらに限られるものではない。

Claims (6)

  1. 単繊維繊度が1〜3dtex、総繊度が200〜700dtexの範囲のポリアミド繊維マルチフィラメントからなり、ウォータージェットルームを用いて製織された織物において、以下の[1]〜[5]の要件を満たすことを特徴とするエアバッグ用織物。
    [1]カバーファクターが2000〜2300
    [2]ASTM D4032:サーキュラーベンド(Circular Bend)法における剛軟度が15N以下
    [3]残留油分率が0.08wt%〜0.20wt%
    [4]滑脱抵抗力をカバーファクターで除した値が0.19N以上
    [5]150℃で30分処理した時のタテ・ヨコ方向の乾熱収縮率が4%以下
  2. 前記ポリアミド繊維の単繊維繊度が1〜2dtexの範囲内である請求項1記載のノンコートエアバッグ用織物。
  3. 150℃で30分処理した時のタテ・ヨコ方向の乾熱収縮率が、3%以下である請求項1記載のノンコートエアバッグ用織物。
  4. 請求項1〜4のいずれかに記載のノンコートエアバッグ用織物を製造する方法であって、製織後80℃以上の乾燥工程で処理することを特徴とするノンコートエアバッグ用織物の製造方法。
  5. 前記乾燥工程後に、精練処理をしないことを特徴とする請求項5記載のノンコートエアバッグ用織物の製造方法。
  6. 前記乾燥工程が、1工程であり、かつ、ローラー式乾燥機またはサクションドラム式乾燥機を通過させることを特徴とする請求項5記載のノンコートエアバッグ用織物の製造方法。
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