JP2001092184A - 重合法トナーの製造方法 - Google Patents

重合法トナーの製造方法

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JP2001092184A
JP2001092184A JP26964299A JP26964299A JP2001092184A JP 2001092184 A JP2001092184 A JP 2001092184A JP 26964299 A JP26964299 A JP 26964299A JP 26964299 A JP26964299 A JP 26964299A JP 2001092184 A JP2001092184 A JP 2001092184A
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polymerization
suspension
reactor
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particle size
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Teruo Oguchi
照男 小口
Kazuo Muraishi
和男 村石
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続重合法により、装置の汚れを防ぎつつ、
所望の粒径を有し、粒径分布が均一で、かつ、形状が球
形に整った重合法トナーを製造する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 分散安定剤を含有する水系分散媒体中
で、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する単量
体組成物を微小な液滴として懸濁させた後、重合開始剤
の存在下、懸濁重合して着色粒子を製造する重合法トナ
ーの製造方法において、(1) 反応器内に、分散安定剤を
含有する水系分散媒体中に単量体組成物の微小な液滴を
懸濁させた第一の懸濁液を仕込み、重合開始剤の存在
下、重合性単量体の転化率が少なくとも90%になるま
で懸濁重合を行い、次いで、(2) 反応器内に、分散安定
剤の水系分散液を添加した後、または連続的もしくは間
欠的に添加しつつ、(3) 反応器内に、分散安定剤を含有
する水系分散媒体中に単量体組成物の微小な液滴を懸濁
させた第二の懸濁液を連続的に添加し、重合開始剤の存
在下、懸濁重合を継続するとともに、(4) 反応器から、
重合性単量体の転化率が少なくとも90%の反応液を連
続的に抜き出す重合法トナーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法や静電
記録法などによる画像形成に用いられる重合法トナーの
製造方法に関し、さらに詳しくは、連続重合法により、
装置の汚れを防ぎつつ、所望の粒径を有し、粒径分布が
均一で、かつ、形状が球形に整った重合法トナーを製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法や静電記録法による画像形成
では、感光体上の静電潜像を可視化するための現像剤と
して、トナーが単独で、あるいはキャリア粒子や流動化
剤などと共に使用されている。トナーは、結着樹脂中に
カーボンブラック等の着色剤やその他の添加剤を分散さ
せた着色粒子である。トナーの製造方法としては、粉砕
法と重合法が知られている。
【0003】特に重合法によれば、粉砕法に比べて、所
望の粒径と粒径分布を有し、しかも形状が真球に近いト
ナーを得ることが容易である。重合法では、一般に、
スチレンやアクリル酸エステルなどの重合性単量体と着
色剤と必要に応じてその他の添加剤とを含有する単量体
組成物(均一な混合液)を調製し、これを分散安定剤
を含有する水系分散媒体中に投入し、高剪断力を有す
る混合装置を用いて分散して、単量体組成物を微小な液
滴に造粒した後、重合開始剤の存在下、昇温して懸濁
重合を行うことにより、着色粒子(重合法トナー)を得
ている。重合反応は、単量体組成物の微小な液滴を含有
する懸濁液を槽型反応器に仕込み、該槽型反応器内で攪
拌しながら懸濁重合を行う方法、すなわち回分重合法
(バッチ重合法)により行われている。
【0004】しかしながら、従来のバッチ重合法による
重合法トナーの製造方法では、槽型反応器の各部にスケ
ール(付着物)が生成しやすく、数バッチの重合後に、
装置の汚れを除去するための清掃作業が必要となる。ス
ケールを放置すると、スケールの剥離片が重合法トナー
中に混入したり、配管詰まりを引き起こしたり、あるい
は、反応器の熱伝導率を低下させたりする。装置の汚れ
を除去するための清掃作業には、手間と時間を要し、し
かも、その間は、該反応器を用いた重合反応を休止せざ
るを得ないため、生産性に問題を生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】バッチ重合法に代えて
連続重合法を採用すれば、比較的小型の装置を用いて、
生産性良く重合体を製造できることが期待される。しか
しながら、連続重合法では、未反応の単量体を連続的に
反応系に添加して重合させ、同時に反応生成物を連続的
に反応系から抜き出すため、生成する重合体の粒径や粒
径分布の制御が極めて困難である。連続重合法では、新
たに添加した未反応の単量体液滴が既に生成した重合体
粒子と接触して、合一や分離を引き起こすため、異形粒
子や微粒子が生成しやすい。一方、トナーは、所望の粒
径、狭い粒径分布、並びに球形の形状を有することが、
高品質の画像を形成する上で不可欠である。したがっ
て、連続重合法を単に重合法トナーの製造法に適用した
のでは、満足できる諸特性を有する重合法トナーを得る
ことはできない。実際に、重合法トナーの分野では、従
来より、連続重合法は採用されておらず、もっぱらバッ
チ重合法が採用されていた(例えば、特開平9−106
100号公報、特開平10−177278号公報な
ど)。
【0006】本発明の目的は、連続重合法により、装置
の汚れを防ぎつつ、所望の粒径を有し、粒径分布が均一
で、かつ、形状が球形に整った重合法トナーを製造する
方法を提供することにある。
【0007】本発明者らは、重合法トナーを連続重合法
により製造する研究を行った結果、反応器内に第一の
懸濁液を仕込み、重合開始剤の存在下、懸濁重合を行
い、重合転化率を十分に高めた後、反応器内に分散安
定剤の水系分散液を連続的または間欠的に添加して、反
応系内に分散安定剤を自由分散させ、分散安定剤の自
由分散状態下で、第二の懸濁液を連続的に添加して連続
重合を行うと、目標とする粒径と粒径分布を有する着色
粒子の得られることを見いだした。得られた着色粒子
は、真球に近い形状の重合法トナーである。しかも、こ
の方法によれば、反応器内でのスケールの生成を顕著に
抑制することができる。本発明は、これらの知見に基づ
いて、完成するに至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくと
も重合性単量体と着色剤とを含有する単量体組成物を微
小な液滴として懸濁させた後、重合開始剤の存在下、懸
濁重合して着色粒子を製造する重合法トナーの製造方法
において、(1) 反応器内に、分散安定剤を含有する水系
分散媒体中に単量体組成物の微小な液滴を懸濁させた第
一の懸濁液を仕込み、重合開始剤の存在下、重合性単量
体の転化率が少なくとも90%になるまで懸濁重合を行
い、次いで、(2) 反応器内に、分散安定剤の水系分散液
を添加した後、または連続的もしくは間欠的に添加しつ
つ、(3) 反応器内に、分散安定剤を含有する水系分散媒
体中に単量体組成物の微小な液滴を懸濁させた第二の懸
濁液を連続的に添加し、重合開始剤の存在下、懸濁重合
を継続するとともに、(4) 反応器から、重合性単量体の
転化率が少なくとも90%の反応液を連続的に抜き出す
ことを特徴とする重合法トナーの製造方法が提供され
る。
【0009】
【発明の実施の形態】原料 本発明では、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有
する単量体組成物を使用する。該単量体組成物には、重
合性単量体及び着色剤以外に、架橋性単量体、マクロモ
ノマー、帯電制御剤、離型剤、分子量調整剤、滑剤、分
散助剤などの各種成分を含有させることができる。
【0010】1.重合性単量体 本発明では、重合性単量体として、通常、ビニル系単量
体を使用する。各種ビニル系単量体を、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することによ
り、重合体のガラス転移温度(Tg)を所望の範囲に調
整することができる。本発明で用いられるビニル系単量
体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−
メチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸、
メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸の誘導
体;エチレン、プロピレン、ブチレンなどのエチレン性
不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、
フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテ
ル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン
などのビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニル
ピリジン、N−ビニルピロリドンなどの含窒素ビニル化
合物;これらの混合物等が挙げられる。これらの中で
も、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の誘導体と
の組み合わせが好適である。
【0011】2.架橋性単量体 重合法トナーのホットオフセット改善の観点から、重合
性単量体と共に架橋性単量体を用いることが好ましい。
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジ
ビニルナフタレン、及びこれらの誘導体などの芳香族ジ
ビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、
ジエチレングリコールジメタクリレートなどのエチレン
性不飽和ジカルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニ
リン、ジビニルエーテルなどのジビニル化合物;3個以
上のビニル基を有する化合物;これらの混合物などを挙
げることができる。架橋性単量体は、重合性単量体10
0重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好まし
くは0.05〜5重量部の割合で用いられる。
【0012】3.マクロモノマー 重合法トナーの保存性、オフセット性、及び低温定着性
のバランスを向上させるために、重合性単量体と共に、
マクロモノマーを使用することができる。マクロモノマ
ーとは、分子鎖の末端に重合可能な官能基(例えば、炭
素−炭素二重結合のような不飽和基)を有する比較的長
い線状分子である。マクロモノマーとしては、分子鎖末
端にビニル重合性官能基(例えば、アクリロイル基、メ
タクリロイル基)を有するもので、数平均分子量が1,
000〜30,000程度のオリゴマーまたはポリマー
が好ましい。
【0013】マクロモノマーとしては、例えば、スチレ
ン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル
酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
を単独で、あるいは2種以上を重合して得られる重合
体;ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマー;特開
平3−203746号公報に開示されているものなどを
挙げることができる。マクロモノマーの使用割合は、重
合性単量体100重量部に対し、通常0.01〜10重
量部、好ましくは0.03〜5重量部、より好ましくは
0.05〜1重量部である。
【0014】4.着色剤 着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイトな
どの各種顔料及び染料を用いることができる。カーボン
ブラックは、一次粒径が20〜40nmのものが好まし
い。カーボンブラックの一次粒径が小さすぎると、分散
性が低下し、カブリの多いトナーになりやすく、一次粒
径が大きすぎると、多価芳香族炭化水素化合物の含有量
が多くなって、安全上の問題が生じやすくなる。
【0015】カラートナーを得る場合には、着色剤とし
て、一般に、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン
着色剤などを使用する。イエロー着色剤としては、アゾ
系顔料、縮合多環系顔料などの化合物が用いられる。よ
り具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー
3、12、13、14、15、17、62、65、7
3、83、90、93、97、120、138、15
5、180、181等が挙げられる。
【0016】マゼンタ着色剤としては、アゾ系顔料、縮
合多環系顔料などの化合物が用いられる。より具体的に
は、例えば、C.I.ピグメントレッド48、57、5
8、60、63、64、68、81、83、87、8
8、89、90、112、114、122、123、1
44、146、149、163、170、184、18
5、187、202、206、207、209、25
1;C.I.ピグメントバイオレット18等が挙げられ
る。
【0017】シアン着色剤としては、銅フタロシアニン
化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物などの化
合物が用いられる。より具体的には、例えば、C.I.
ピグメントブルー2、3、6、15:1、15:2、1
5:3、15:4、16、17、60等が挙げられる。
着色剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常
0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の割合
で用いられる。
【0018】5.帯電制御剤 本発明では、重合法トナーの帯電性を向上させるため
に、正帯電性または負帯電性を持つ各種帯電制御剤を用
いることができる。具体的に、帯電制御剤としては、例
えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合
物の金属錯体、含金属染料、ニグロシンなどが挙げられ
る。より具体的には、ボントロンN−01(オリエント
化学社製)、ニグロシンベースEX(オリエント化学社
製)、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学社製)、
T−77(保土ヶ谷化学社製)、ボントロンS−34
(オリエント化学社製)、ボントロンE−89(オリエ
ント化学社製)、ボントロンE−84(オリエント化学
社製)、ボントロンF−21(オリエント化学社製)、
コピーチャージNX VP434(ヘキストインダスト
リー社製)、コピーチャージNEG VP2036(ヘ
キストインダストリー社製)、4級アンモニウム(塩)
含有樹脂、スルホン酸(塩)基含有樹脂などの帯電制御
樹脂を挙げることができる。帯電制御剤は、重合性単量
体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、
好ましくは0.05〜7重量部の割合で用いられる。
【0019】6.離型剤 本発明では、重合法トナーの離型性を向上させるため
に、離型剤を使用することができる。離型剤としては、
例えば、多官能エステル化合物;低分子量ポリエチレ
ン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンな
どの低分子量ポリオレフィン類;天然由来のワックスで
あるパラフィンワックス類;フィッシャートロップシュ
ワックスなどの合成ワックス;などを挙げることができ
る。これらのうち、多官能エステル化合物が好適であ
る。
【0020】多官能エステル化合物の具体例としては、
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリ
スリトールテトラミリステート、グリセロールトリアラ
キン酸などを挙げることができる。多官能エステル化合
物は、重合性単量体に容易に溶解するものが好ましい。
多官能エステル化合物の中でも、特に、ペンタエリスリ
トールテトラステアレート及びペンタエリスリトールテ
トラミリステートが好ましい。通常のワックス類は、重
合性単量体と混合する際に、粉砕したり、溶融したりし
て、分散させることが好ましい。離型剤は、重合性単量
体100重量部に対して、通常0.1〜40重量部、好
ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10
重量部の割合で使用される。離型剤を前記割合で使用す
ることにより、低温定着性を向上させることができる。
離型剤の使用割合が小さすぎると低温定着性の改善効果
が小さく、大きすぎると耐ブロッキング性が低下する。
【0021】7.分子量調整剤 本発明では、重合法トナーの分子量を調整するために、
分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤と
しては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデ
シルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメル
カプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭
化水素類;などを挙げることができる。これらの分子量
調整剤は、通常、重合開始前に重合性単量体中に含有さ
せるが、所望により、重合途中に反応系内に添加するこ
とができる。分子量調整剤の使用割合は、重合性単量体
100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好
ましくは0.1〜5重量部である。
【0022】8.滑剤及び分散助剤 本発明では、例えば、重合性単量体や重合法トナー中へ
の着色剤の均一分散性を向上させるなどの目的で、オレ
イン酸、ステアリン酸、各種ワックス類、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のオレフィン系の各種滑剤;シラ
ン系またはチタン系カップリング剤等の分散助剤;など
を使用することができる。このような滑剤または分散剤
は、着色剤の重量を基準として、通常、1/1000〜
1/1程度の割合で使用される。
【0023】重合開始剤 重合開始剤としては、通常、ラジカル重合開始剤を使用
する。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;4,4′
−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、ジメチル−2,2′
−アゾビス(2−メチルプロピロネート)、2,2′−
アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′
−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビス(ヒドロキ
シメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、
2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,
1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)
などのアゾ化合物;メチルエチルパーオキシド、ジ−t
−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミ
ルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイル
パーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどの過
酸化物類;などを例示することができる。これらの重合
開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を使
用することもできる。
【0024】これらのラジカル重合開始剤の中でも、油
溶性ラジカル開始剤が好ましく、特に、t−ブチルパオ
キシ−2−エチルヘキサノエートやt−ブチルパーオキ
シネオデカノエートは、重合トナーの印字時の臭気が少
なく、揮発成分による環境破壊が少ないことから、特に
好適である。重合開始剤の使用割合は、重合性単量体1
00重量部に対して、通常0.01〜20重量部、好ま
しくは0.1〜10重量部である。重合開始剤の使用割
合は、水系分散媒体基準では、通常0.001〜5重量
%である。重合開始剤の使用割合が小さすぎると重合速
度が遅くなり、大きすぎると経済的でない。
【0025】分散安定剤 重合性単量体、着色剤、及び必要に応じて各種添加剤を
含有する単量体組成物は、分散安定剤を含有する水系分
散媒体中に投入して、微小な液滴に造粒する。分散安定
剤としては、難水溶性金属化合物のコロイドが好まし
い。難水溶性金属化合物としては、硫酸バリウム、硫酸
カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カルシウム
などのリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金
属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等を挙げることができ
る。これらの中でも、難水溶性金属水酸化物のコロイド
は、単量体組成物の微小な液滴並びに着色粒子(重合法
トナー)の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明
性が向上するので好適である。
【0026】これらのコロイドは、単量体組成物の微小
な液滴並びに生成する着色重合体粒子の表面に付着し
て、保護層を形成するため、所望の粒径及び粒径分布を
有し、形状が球形に整った着色粒子を安定的に得る上で
好ましい。また、連続重合工程に先立って、反応系内
に、分散安定剤を含有する水系分散液を添加すると、自
由分散して、新たに添加した未反応の単量体液滴が既に
生成した重合体粒子と接触することにより、合一や分離
の発生を防ぐことができる。難水溶性金属水酸化物のコ
ロイドは、製法による制限はないが、水溶性多価金属化
合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって好
適に調製することができ、それによって、難水溶性金属
水酸化物のコロイドを含有する水系分散媒体を得ること
ができる。
【0027】分散安定剤は、重合性単量体100重量部
に対して、通常0.1〜20重量部の割合で使用する。
この割合が少なすぎると、充分な重合安定性を得ること
が困難であり、重合凝集物が生成しやすくなる。この割
合が大きすぎると、水系分散媒体の粘度が上昇し、重合
法トナーの粒径分布が広くなる。本発明においては、液
滴粒子の均一化などを図るため、ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子や界
面活性剤を添加してもよい。
【0028】懸濁液 本発明では、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に単
量体組成物の微小な液滴を懸濁させた懸濁液を使用す
る。この懸濁液は、分散安定剤を含有する水系分散媒体
中で、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する単
量体組成物を微小な液滴として懸濁させることにより調
製することができる。より具体的には、重合性単量体と
着色剤と、さらに必要に応じて、マクロモノマー、架橋
性単量体、分散助剤、帯電制御剤、分子量調整剤などの
各種成分を混合し、ビーズミル等により均一に分散させ
て均一な混合液を調製し、次いで、この混合液を分散安
定剤を含有する水系分散媒体中に投入し、高剪断力を有
する混合装置を用いて分散して、微小な液滴に造粒する
ことにより、懸濁液を調製する。
【0029】重合開始剤は、単量体組成物の微小な液滴
への造粒が終了する前に、水系分散媒体中に添加するこ
とが好ましい。重合開始剤の添加時期は、目標とする重
合法トナーの粒径により異なるが、単量体組成物の投入
後、攪拌により形成される単量体組成物の一次液滴の体
積平均粒径が、通常50〜1000μm、好ましくは1
00〜500μmとなった時点である。水系分散媒体へ
の単量体組成物の投入から重合開始剤の添加までの時間
が長すぎると、微小な液滴の造粒が完了してしまい、重
合開始剤が液滴と合一するのが困難になることがある。
このため、重合開始剤の添加時期は、粒径や反応規模に
より多少の差異はあるものの、一般的には、単量体組成
物の投入後、プラント規模では、通常24時間以内、好
ましくは12時間以内、より好ましくは3時間以内であ
り、実験室レベルの規模では、通常5時間以内、好まし
くは3時間以内、より好ましくは1時間以内である。重
合開始剤の添加時期から、その後の造粒工程、さらには
重合反応系への添加までの間、水系分散媒体の温度は、
通常10〜40℃、好ましくは20〜30℃の範囲内に
調製することが望ましい。重合反応系に投入する直前
に、単量体組成物の微小な液滴を含有する懸濁液の温度
を例えば40〜50℃程度にまで高めて、予備的に反応
させることができる。
【0030】造粒工程では、前記一次液滴を、目標とす
る重合法トナーの粒径と粒径分布に見合った粒径と粒径
分布を有する二次液滴にまで分散させて、微小な液滴を
造粒する。単量体組成物の微小な液滴の体積平均粒径
(dv)は、通常0.1〜50μm、好ましくは0.5
〜30μm、より好ましくは1〜20μm、特に好まし
くは3〜15μm程度である。体積平均粒径(dv)と
個数平均粒径(dp)との比(dv/dp)で表される
粒径分布は、通常3.0以下、好ましくは2.5以下、
より好ましくは2.0以下である。粒径分布の下限は、
通常1.0程度である。該液滴の粒径分布が広すぎる
と、得られる重合法トナーの定着温度にバラツキが生
じ、かぶり、トナーフィルミングなどの不都合を生じや
すくなる。水系分散媒体中の重合性単量体の濃度は、通
常5〜40重量%、好ましくは8〜30重量%程度であ
る。重合性単量体の濃度が低すぎると、生産性が低下す
る。重合性単量体の濃度が高すぎると、粒径分布が大き
くなりやすく、また、得られる着色粒子の粒径が肥大化
しやすい。本発明では、第一の懸濁液及び第二の懸濁液
とも、同じ処方の懸濁液を使用することが、連続重合に
より、目標とする粒径と粒径分布を有する着色粒子を安
定的に得やすいので好ましい。
【0031】単量体組成物の微小な液滴を造粒するに
は、通常、TK式ホモミキサーなどの高剪断攪拌が可能
な攪拌機を使用する。また、高速回転する回転子と、そ
れを取り囲みかつ小孔または櫛歯を有する固定子とを備
えた造粒装置を用い、該回転子と固定子との間の隙間
に、単量体組成物を含有する水系分散媒体を流通させ
て、単量体組成物を微細な粒径の液滴に造粒することが
できる(WP98/25186)。このような造粒装置
としては、エムテクニック株式会社性のクレアミックス
(cleamix)、株式会社荏原製作所製のエバラマ
イルダーなどを挙げることができる。
【0032】連続重合法 1.第一工程 連続重合法では、最初の工程として、反応器内に、分散
安定剤を含有する水系分散媒体中に単量体組成物の微小
な液滴を懸濁させた第一の懸濁液を仕込み、重合開始剤
の存在下、重合反応を開始する。第一工程では、単量体
の転化率が少なくとも90%になるまでバッチ重合法に
より懸濁重合を行う。反応器としては、図1に示すよう
な環状型反応器(ループリアクター)1と、図2に示す
ような槽型反応器21が代表的なものである。第一の懸
濁液は、反応器内で調製してもよいが、スケールや粗大
粒子の生成を抑制するために、別の容器で懸濁液を調製
してから反応器内に投入することが好ましい。
【0033】図1に示す環状型反応器1では、貯蔵槽9
から第一の懸濁液をフィードポンプ10によりライン8
を経て環状型反応器1内に導入する。第一の懸濁液は、
ライン7から投入してもよい。環状型反応器内は、予め
窒素ガスなどの不活性ガスで置換しておく。懸濁液の仕
込み量は、環状型反応器内に気相部ができるだけ残らな
いような量とすることが好ましい。反応温度が上昇する
につれて懸濁液の膨張が生ずるので、この膨張を考慮し
て懸濁液の仕込み量を設定する。環状型反応器内に仕込
んだ第一の懸濁液は、循環ポンプ2または攪拌機3を使
用するか、あるいは両者を併用することにより、環状型
反応器内を循環させる。循環ポンプとしては、懸濁液が
サイドから入ってサイドから出るラインポンプ形式のも
のが好ましい。攪拌機としては、らせん帯翼、傾斜パド
ル、らせん軸翼等の攪拌翼を備えたものを使用すること
ができる。環状型反応器内での懸濁液の流速(管内流
速)は、通常0.5〜10m/sec、好ましくは1〜
5m/sec程度にして、懸濁液を循環させるととも
に、旋回流を発生させて、管内各部へのスケールの付着
や粒子の沈降を防止する。環状型反応器は、管内をバフ
掛けし、ノズルの取り付け数は必要最小限に止めること
により、汚れやスケールの付着を防止することが好まし
い。曲管部は、Rの大きいロングエルボ、例えば、JI
Sの配管規格で規定するロングエルボが好ましい。ま
た、曲管部は、直管部を持たない180°のロングエル
ボが、内側に淀み部を持たないため好ましい。
【0034】懸濁重合は、環状型反応器内で懸濁液を循
環させながら、反応温度を通常5〜120℃、好ましく
は30〜100℃、より好ましくは35〜95℃に制御
して行う。反応温度は、環状型反応器の周囲に取り付け
たジャケット6にライン5から冷水または温水を流すこ
とにより、制御することができる。第一工程では、重合
性単量体の転化率が少なくとも90%になるまで懸濁重
合を行う。この第一工程での重合性単量体の転化率が低
すぎると、連続重合工程に移行した場合、充分に転化率
が高い着色粒子を得ることが困難になる。転化率が低す
ぎると、得られた着色粒子中に未反応の重合性単量体が
多量に残存することになり、着色粒子を球形粒子として
回収することが難しくなるとともに、乾燥工程などの後
処理工程で粒子の融着による合一が生じて、異形粒子や
粗大粒子が生成しやすくなる。この第一工程における重
合性単量体の転化率は、好ましくは95%以上、より好
ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上であ
る。反応時間は、所定の転化率になるまでに要する時間
であるが、通常は、所定の反応温度に達してから1時間
以上、多くの場合2時間以上である。第一工程では、バ
ッチ重合法により、重合性単量体の転化率が90%以上
の着色粒子(重合体粒子)を生成させる。
【0035】反応器としては、図2に示す槽型反応器2
1を使用することもできる。槽型反応器内に懸濁液を仕
込み、攪拌機23を用いて懸濁液を攪拌し、旋回流を生
じさせて、槽内各部へのスケールの付着や粒子の沈降を
防止する。反応温度及び転化率は、前記と同様である。
反応温度は、ジャケット29に冷水または温水を流すこ
とにより制御することができる。
【0036】2.第二工程 懸濁液の調製の際に使用した難水溶性金属化合物のコロ
イドなどの分散安定剤は、単量体組成物の微小な液滴の
表面に付着し、該液滴の分散安定性を向上させる。第一
工程での懸濁重合後、分散安定剤は、生成した重合体粒
子の表面に付着したまま残る。このような状態の反応系
内に、第二の懸濁液(すなわち、単量体組成物の微小な
液滴が分散した懸濁液)を連続的に添加して連続重合を
行うと、新たに添加した未反応の重合性単量体を含有す
る液滴が、既に生成している重合体粒子と接触して、合
一や分離を引き起こし、その結果、最終的に得られる重
合法トナーが球形ではなく異形化し、かつ、目標とする
粒径に比べて肥大化した粒子や微細な粒子も生成する。
したがって、この方法では、目標とする粒径と粒径分布
を有する重合法トナーを得ることができず、連続重合中
におけるスケールの生成を抑制することもできない。
【0037】第二の懸濁液の調製工程(造粒工程)で、
分散安定剤を増量して懸濁液を調製し、そして、このよ
うな懸濁液を用いて連続重合を行っても、粒径の肥大化
や毛羽立ち粒子の生成が見られ、目標とする粒径と粒径
分布を有する重合法トナーを得ることができない。ま
た、この方法でも、スケールの付着や反応器内の汚れを
効果的に防ぐことができない。
【0038】そこで、本発明では、第一工程終了後、連
続重合工程に移行する前に、反応器内に分散安定剤の水
系分散液を添加して、反応系(反応スラリー)中に分散
安定剤を自由分散させる。第一工程で生成した重合体粒
子を含有する反応系に難水溶性金属化合物のコロイドな
どの分散安定剤の水系分散液を添加すると、重合体粒子
の表面には既に分散安定剤が付着しているため、添加し
た分散安定剤は、重合体粒子の表面に付着するのではな
く、主として反応系内に自由に分散すると推定される。
このような分散安定剤の自由分散状態を維持させなが
ら、第二の懸濁液を反応系内に連続的に添加すると、新
たに添加した未反応の重合性単量体を含有する液滴が、
既に生成している重合体粒子と接触して、合一や分離を
引き起こすのを効果的に防ぐことができる。その結果、
目標とする粒径と粒径分布を有する重合法トナーを連続
重合法により製造することができる。
【0039】第二工程で使用する分散安定剤の水系分散
液は、単量体組成物の微小な液滴を造粒する際に使用す
る分散安定剤を含有する水系分散媒体と同じものであっ
てもよい。第一工程後の反応系に分散安定剤の水系分散
液を添加すると、その添加量と同量の反応液を反応系か
ら抜き出す必要がある。そのため、水系分散液中の分散
安定剤の濃度は、通常0.1〜20重量%、好ましくは
0.5〜10重量%程度と高めにして、水系分散液の添
加量を少なくすることが望ましい。分散安定剤として
は、難水溶性金属化合物のコロイドが好ましく、難水溶
性金属水酸化物のコロイドがより好ましい。第二工程で
は、反応系内の分散安定剤の量が、第一工程で使用した
第一の懸濁液中の分散安定剤の当初の重量を基準とし
て、通常、その0.1〜10倍、好ましくは0.5〜5
倍、より好ましくは1〜3倍を保持するように分散安定
剤を添加する。第二工程での分散安定剤の添加量が少な
すぎると、連続重合に移行した場合、異形粒子や肥大化
粒子、微小粒子などが生成しやすくなり、所望の粒径と
粒径分布を有する球形の重合法トナーを得ることが困難
になる。分散安定剤の添加量が多すぎると、反応系の粘
度が上昇し、分散安定効果が低減する。また、重合反応
後の洗浄処理などに手間を要する。
【0040】第二工程において、第一工程終了後の反応
器内に、分散安定剤の水系分散液を添加する。プラント
規模では、水系分散液の添加を、連続反応中、連続的ま
たは間欠的に行うことが好ましい。第二懸濁液を反応器
内に連続添加する前に、所定量の範囲内の分散安定剤が
反応系内に自由分散状態で存在するようにさせることが
好ましい。図1の環状型反応器では、ライン7から分散
安定剤の水系分散液を反応器内に添加する。分散安定剤
の水系分散液を反応器内に連続的に添加する場合には、
第二懸濁液を連続的に添加するライン8に繋がる供給口
に近い位置にその供給口を設けることが望ましい。図2
に示す槽型反応器の場合には、供給口32から分散安定
剤の水系分散液を反応器内に添加する。この槽型反応器
においても、分散安定剤の水系分散液を反応器内に連続
的または間欠的に添加する場合には、第二懸濁液を連続
的に添加するライン22に繋がる供給口に近い位置にそ
の供給口を設けることが望ましい。
【0041】3.第三工程 本発明では、第一工程後、第二工程において、反応器内
に、分散安定剤の水系分散液を添加した後、または連続
的もしくは間欠的に添加しつつ、第三工程として、反応
器の供給口から、分散安定剤を含有する水系分散媒体中
に単量体組成物の微小な液滴を懸濁させた第二の懸濁液
を連続的に添加し、重合開始剤の存在下、懸濁重合を継
続するとともに、反応器の排出口から、重合性単量体の
転化率が少なくとも90%の反応液を連続的に抜き出
す。通常は、分散安定剤の水系分散液の添加量と第二の
懸濁液の添加量の合計量に相当する量で、反応液を抜き
出す。実験室レベルの小規模では、分散安定剤の水系分
散後を添加後、その添加量相当分の反応液を抜き出して
もよい。この第三工程は、連続重合工程である。第二の
懸濁液としては、通常、第一の懸濁液と同じ処方のもの
を使用する。すなわち、第二の懸濁液は、造粒工程によ
り、単量体組成物を微小な液滴として分散させた懸濁液
であり、該液滴の粒径及び粒径分布を第一の懸濁液と同
じものとすることが、連続重合工程後に粒径及び粒径分
布が揃った重合法トナーを得る上で望ましい。第二の懸
濁液を連続的に仕込む前に、第二工程で分散安定剤の水
系分散液を添加することにより反応系内の温度が低下し
た場合には、所定の反応温度になるまで昇温することが
好ましい。
【0042】環状型反応器を使用する場合、図1に示す
ように、貯蔵槽9内の第二の懸濁液をフィードポンプ1
0を用いてライン8から反応器1内に連続的に導入す
る。一方、反応器の取り出し口から反応液取り出しライ
ン4を経て、第二の懸濁液の添加量に相当する量の反応
液を連続的に抜き出す。この際、分散安定剤の水系分散
液の添加量に相当する量の反応液も抜き出して、反応系
内の分散安定剤の濃度を調整する。新たに仕込んだ未反
応の重合性単量体を含有する単量体組成物の微小な液滴
は、環状型反応器内を循環しながら懸濁重合して、重合
体粒子(着色粒子)に変換する。第二の懸濁液は、低温
(例えば、常温)で添加することができるが、反応器内
に添加する直前に、例えば、40〜50℃、あるいは重
合温度にまで昇温することが球状粒子を得る上で好まし
い。環状型反応器内での懸濁液の流速や反応温度などの
反応条件は、第一工程におけるのと同様である。環状型
反応器は、懸濁液の高速流を作り出すことができ、乱流
状態が壁面の汚れ防止に寄与することに加えて、除熱能
力が高いため、反応速度を高めることができる。しか
も、環状型反応器は、比較的安価である。
【0043】槽型反応器を使用する場合には、図2に示
すように、貯蔵槽30から第二の懸濁液をフィードポン
プ31を経てライン22から反応器内に連続的に添加す
る。第二の懸濁液は、反応温度にまで昇温してから添加
してもよい。反応器内では、攪拌しながら反応させる。
一方、分散安定剤の分散液の添加量と第二の懸濁液の連
続的な添加量の合計量に相当する量の反応液を、槽型反
応器21の底部から、ライン24、ポンプ25、ライン
26を経て貯槽27に抜き出せば、反応液を次工程へ容
易に送ることができる。
【0044】連続重合工程では、第二の懸濁液の連続的
な添加量を調整することにより、重合性単量体の転化率
が少なくとも90%の着色粒子を連続的に抜き出す。こ
の第三工程での転化率が低すぎると、得られた着色粒子
中に未反応の重合性単量体が多量に残存することにな
り、着色粒子を球形粒子として回収することが難しくな
るとともに、乾燥工程などの後処理工程で粒子の融着に
よる合一が生じて、異形粒子や粗大粒子が生成しやすく
なる。第三工程での転化率は、好ましくは93%以上、
より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上
である。この転化率は、98%以上、さらに99%以上
にまで上げることができるが、そのためには、第二の懸
濁液の連続添加量を少なくして、滞留時間を長くする必
要がある。滞留時間を充分に長くすることにより生産性
が低下する場合は、反応器の排出口から抜き出した反応
液を別の反応器内に導入し、そこで、バッチ重合法また
は連続重合法により、懸濁重合を継続して、転化率を高
めることができる。
【0045】連続重合工程において、反応器内での反応
液の滞留時間は、第二の懸濁液の連続的な添加量によっ
て異なる。第二の懸濁液は、通常0.5〜5時間、好ま
しくは1〜3時間で、反応器内の反応液の全量が新たに
添加した懸濁液により置換されるような量で反応器内に
連続的に添加することが望ましい。本発明の製造方法に
よれば、連続重合をほぼ定常状態で安定的に行うことが
できる。本発明の製造方法では、分散安定剤の水系分散
液を添加して、反応系内での分散安定剤の自由分散状態
が維持されるように調整する。
【0046】本発明の連続重合法によれば、懸濁液を連
続的に添加し、かつ、反応液を連続的に抜き出すことに
より、反応器の容量をはるかに越える多量の懸濁液を懸
濁重合に供することが可能である。したがって、反応器
の縮小化が可能である。しかも、反応器内で懸濁液を循
環状態とすることができるため、壁面等への汚れの付着
やスケールの生成を抑制することができる。本発明の連
続重合法によれば、重合法トナーを球状粒子として得る
ことができ、粒径及び粒径分布もほぼ設計通りに得るこ
とができる。連続重合により反応器から抜き出した反応
液に対して、酸洗浄、濾過、脱水、水洗、乾燥などの処
理を行い、重合法トナーを回収する。
【0047】付加的な工程 本発明の製造方法では、連続重合工程の後に、付加的な
工程を配置することができる。付加的な工程としては、
例えば、反応液を第二の反応器に導いて、懸濁重合を
継続することにより、転化率を高め、かつ、着色粒子中
の未反応の重合性単量体濃度を低減する工程、反応液
を第二の反応器に導き、さらにシェル形成用の重合性単
量体または重合性単量体組成物を添加し、重合開始剤の
存在下、懸濁重合を行って、コア・シェル構造の重合法
トナーを得る工程がある。
【0048】1.転化率を高める工程 連続重合工程で反応容器から抜き出した反応液は、転化
率が充分に高くなっていないことがある。転化率が90
〜97%程度と低くても、球状の着色粒子を得ることは
可能であるが、収率を上げるには、付加的な工程により
転化率を充分に高めることが好ましい。また、着色粒子
中に未反応の重合性単量体が残留していると、重合法ト
ナーにモノマー臭が残るだけではなく、洗浄、濾過、乾
燥などの後処理工程で着色粒子の形状が変形したり、合
一化するなどして、異形化や肥大化しやすくなる。その
ため、連続重合工程で反応容器から抜き出した反応液
は、転化率が低い場合には、第二の反応器に導入して、
懸濁重合反応を継続することにより、転化率を好ましく
は98%以上、より好ましくは99%以上にまで高め
て、着色粒子中の残留単量体濃度を、好ましくは2重量
%以下、より好ましくは1.5重量%以下、特に好まし
くは1重量%以下にまで低減させることが望ましい。連
続重合工程の後に、このような付加的工程を配置するこ
とにより、真球状の重合法トナーを容易に得ることがで
きる。
【0049】第二の反応器としては、図1に示すような
環状型反応器でもよいし、図2に示すような槽型反応器
でもよい。したがって、2つの反応器を直列につなぐ場
合には、環状型反応器−環状型反応器、環状型反応
器−槽型反応器、槽型反応器−槽型反応器、槽型反
応器−環状型反応器などの組み合わせがある。必要に応
じて、3個以上の反応器を直列につなぐことができる。
第2の反応器では、バッチ重合または連続重合を行う。
図1に示す環状型反応器では、ライン4を第二の反応器
の供給口に接続する。図2に示す槽型反応器では、貯槽
27を第二の反応器の供給口にライン28によって接続
する。
【0050】第二の反応器でバッチ重合を行う場合、前
段の連続重合工程は、見方を変えれば、従来のバッチ重
合による重合法トナーの製造方法において、前段重合工
程と見ることができる。第二の反応器におけるバッチ重
合は、既に連続重合工程で懸濁重合反応が進んでいるた
め、スケールの付着などの不都合が抑制される。これに
対して、同じ反応器内で初めからバッチ重合を行うと、
数バッチの重合後に、スケールの付着が見られるように
なる。
【0051】2.コア・シェル構造の重合法トナーの製
造工程 本発明では、連続重合工程で反応容器から抜き出した反
応液を第二の反応器に導入し、次いで、シェル形成用の
重合性単量体または重合性単量体と水、有機溶媒、帯電
制御剤などとを混合して得られる単量体組成物を添加
し、重合開始剤の存在下、バッチ重合法により懸濁重合
を行うことにより、着色粒子からなるコアを被覆する重
合体層を形成して、コア・シェル構造の重合法トナーを
製造することができる。第二の反応器内で、連続重合工
程で反応容器から抜き出した反応液をさらに懸濁重合し
て、転化率を高めてから、シェル形成用の重合性単量体
または重合性単量体組成物を添加することもできる。反
応器の組み合わせや接続方法は、前述と同様である。
【0052】コア・シェル構造の重合法トナーを製造す
る場合、コア(着色粒子)を形成する重合体のTgをシ
ェルを形成する重合体のTgよりも低くすることによ
り、定着温度を低くすることができ、保存性(耐ブロッ
キング性)を高めることもできる。コアとシェルを形成
する各重合体のTgの高低は、相対的なものである。
【0053】コア・シェル構造の重合法トナーを製造す
る場合、コア形成用重合性単量体として、Tgが通常1
0〜70℃、好ましくは20〜65℃、より好ましくは
30〜60℃の重合体を形成し得る重合性単量体を用い
ることが好ましい。コア形成用重合性単量体は、1種ま
たは2種以上を組み合わせて使用することができる。コ
ア形成用重合性単量体が70℃を越えるTgを有する重
合体を形成し得るものであると、重合法トナーの定着温
度が高くなり、複写や印刷の高速化に対応することが困
難になり、また、画像のOHP透過性が低下する。重合
体のTgは、使用する重合性単量体の種類と使用割合に
応じて算出される計算値(計算Tgという)である。よ
り詳細には、重合体のTgは、次式により算出すること
ができる。
【0054】100/Tg=W1 /T1 +W2 /T2
3 /T3 +・・・・Wn /Tn ただし、式中、 Tg:(共)重合体のガラス転移温度(絶対温度) W1 、W2 、W3 ・・・・・Wn :各単量体の重量%
(nは、単量体数) T1 、T2 、T3 ・・・・・Tn :各単量体から形成さ
れる単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)(nは、
単量体数)
【0055】シェル形成用重合性単量体としては、スチ
レン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、エチレン、プロピレン、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エス
テル;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミ
ド;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシア
ン化ビニル化合物;4−ビニルピリジンなどの含窒素ビ
ニル化合物;酢酸ビニル、アクロレイン;これらの混合
物などが挙げられる。コアを形成する重合体とシェルを
形成する重合体との間のTgの差は、好ましくは10℃
以上、より好ましくは20℃以上となるように調整する
ことが望ましい。シェル形成用重合性単量体に帯電制御
剤を添加することもできる。帯電制御剤を添加する場
合、その使用量は、シェル形成用単量体100重量部に
対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.0
3〜5重量部である。シェル形成用単量体には、必要に
応じて、帯電制御剤以外の添加剤を加えてもよい。
【0056】シェル形成用重合性単量体または単量体組
成物は、着色粒子(コア)の存在下に懸濁重合すること
により、コアを被覆する重合体層(シェル)を形成す
る。この際、シェル形成用重合性単量体または単量体組
成物を、超音波乳化機などを用いて、コアの数平均粒子
径よりも小さい液滴として反応系に添加して懸濁重合す
ると、コア表面に移行して重合体層を形成しやすいので
好ましい。
【0057】シェル形成用重合性単量体または単量体組
成物を添加する際に、重合開始剤として水溶性のラジカ
ル開始剤を添加すると、コア・シェル構造の重合法トナ
ーが生成しやすくなるので好ましい。水溶性ラジカル開
始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムな
どの過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草
酸)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二
塩酸塩、2,2′−アゾビス−2−メチル−N−1,1
−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプ
ロピオアミドなどのアゾ系開始剤;クメンペルオキシド
などの油溶性開始剤とレドックス触媒の組合せ;などを
挙げることができる。水溶性ラジカル開始剤の使用量
は、水系媒体基準で、通常0.001〜1重量%であ
る。
【0058】コア・シェル構造の重合法トナーにおい
て、コア形成用重合性単量体とシェル形成用重合性単量
体との重量比率は、通常40/60〜99.9/0.
1、好ましくは60/40〜99.7/0.3、より好
ましくは90/10〜99.5/0.5である。シェル
形成用重合性単量体の割合が過小であると、保存性の改
善効果が小さく、逆に、過大であると、定着温度の低減
やOHP透過性の改善効果が小さくなる。シェルの厚み
は、通常、0.001〜1μm程度である。
【0059】重合法トナー 本発明の重合法トナーの体積平均粒径(dv)は、通常
0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より
好ましくは1〜20μm、特に好ましくは3〜15μm
程度である。体積平均粒径(dv)と個数平均粒径(d
p)との比(dv/dp)で表される粒径分布は、通常
2.5以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは
1.8以下である。粒径分布の下限は、通常1.0程度
である。この粒径分布が広すぎると、重合法トナーの定
着温度にバラツキが生じ、かぶり、トナーフィルミング
などの不都合を生じやすくなる。
【0060】本発明の製造方法により得られる重合法ト
ナーは、一成分現像剤として使用することができるが、
キャリア粒子と組み合わせて二成分現像剤として使用す
ることもできる。重合法トナーは、流動化剤などの各種
添加剤(外添剤)を加えて非磁性一成分現像剤とするこ
とが好ましい。外添剤は、通常、重合法トナーの表面に
付着させる。外添剤としては、各種無機粒子及び有機粒
子を挙げることができる。これらの中でも、シリカ粒子
及び酸化チタン粒子が好ましく、疎水化処理されたシリ
カ粒子が特に好ましい。外添剤を重合法トナー表面に付
着させるには、通常、外添剤と重合法トナーとを、ヘン
シェルミキサーなどの混合器に仕込み、撹拌混合する。
外添剤は、重合法トナーの流動性を改善する役割の他
に、研磨剤としても作用し、感光体上でのトナーフィル
ミング現象の発生を防止する。
【0061】本発明の重合法トナーが適用される画像形
成装置は、一般に、感光体、感光体の表面を帯電する手
段、感光体の表面に静電潜像を形成する手段、現像剤を
収容する手段、現像剤を供給して感光体表面の静電潜像
を現像し、トナー像を形成する手段、及び該トナー像を
感光体表面から転写材に転写する手段等を有するもので
ある。
【0062】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。部及び%は、特に断りのない限
り重量基準である。物性の測定方法は、以下のとおりで
ある。 (1)粒径 粒子の体積平均粒径(dv)、並びに体積平均粒径と個
数平均粒径(dp)との比(dv/dp)で表される粒
径分布は、コールターカウンター(コールター社製)に
より測定した。測定条件は、アパーチャー径:100μ
m、媒体:イソトンII、濃度:10%、測定粒子個数:
50,000個である。 (2)転化率 重合体をベンゼンに溶解させ、ガスクロマトグラフィー
により単量体を定量することにより、重合性単量体の転
化率を求めた。 (3)未反応重合性単量体の残留濃度 重合体をメタノール中に浸漬し、濾液中の単量体をガス
クロマトグラフィーにて分析、定量することにより、未
反応単量体の残留濃度を求めた。
【0063】[実施例1] 単量体組成物の調製 スチレン83部とn−ブチルアクリレート17部からな
る重合性単量体、カーボンブラック(三菱化学社製、#
25B)7部、帯電制御剤(保土谷化学社製、スピロン
ブラックTRH)0.5部、低分子量ポリプロピレン
(三洋化成社製、550P)2部、t−ドデシルメルカ
プタン1.2部、並びにジビニルベンゼン0.6部を、
湿式粉砕機のビーズミルで粉砕して均一分散することに
より、単量体組成物(混合液)を調製した。
【0064】分散安定剤を含有する水系分散媒体の調
製 イオン交換水215部に塩化マグネシウム(水溶性多価
金属塩)9.0部を溶解した水溶液に、イオン交換水6
5部に水酸化ナトリウム5.5部を溶解した水溶液を撹
拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムのコロイド
(難水溶性金属水酸化物のコロイド)を含有する水系分
散媒体を調製した。生成したコロイドの粒径分布をマイ
クロトラック粒径分布測定器(日機装社製)で測定した
ところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)
が0.37μmで、D90(個数粒径分布の90%累積
値)が0.81μmであった。このマイクロトラック粒
径分布測定器による測定においては、測定レンジ=0.
12〜704μm、測定時間=30秒間、媒体=イオン
交換水の条件で行った。
【0065】懸濁液の調製 上記で得られた水酸化マグネシウムのコロイドを含有す
る水系分散媒体に、重合性単量体を含む混合液を投入し
て、液滴が安定するまで攪拌し、次いで、重合開始剤と
して、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト(日本油脂社製、PB−O)5部を添加した。さら
に、造粒装置として荏原製作所製のエバラマイルダーを
用いて、15,000rpmの回転数で30分間高剪断
攪拌を行って、単量体組成物の微小な液滴を造粒した。
この微小な液滴の体積平均粒径は、6.9μmであっ
た。この微小な液滴を含有する水系分散媒体を第一及び
第二の懸濁液として使用した。
【0066】バッチ重合 反応器として、図1に示す環状型反応器を用いた。この
環状型反応器は、ジャケット付きで、3インチφの内部
をバフ掛けした全長3.5mのステンレス管から構成さ
れた容量22リットルの反応器であり、遠心型ポンプと
攪拌翼を備えた攪拌機により、管内の懸濁液を循環させ
ることができるように構成されている。この環状型反応
器内を窒素で置換した後、前記で調製した懸濁液を仕込
み、遠心型ポンプと攪拌機を用いて、管内流速2.0m
/secで懸濁液を還流させた。懸濁液を90℃に昇温
し、バッチ式で懸濁重合を開始した。バッチ重合を2時
間行ったところ、重合性単量体の転化率が99.5%に
なり、体積平均粒径7.3μm、粒径分布1.31の着
色粒子を含有する反応液が生成した。
【0067】分散安定剤の水系分散液の添加 イオン交換水70部に塩化マグネシウム(水溶性多価金
属塩)4.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水38
部に水酸化ナトリウム2.7部を溶解した水溶液を撹拌
下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムのコロイド
(難水溶性金属水酸化物のコロイド)を含有する水系分
散液を調製した。生成したコロイドの粒径分布をマイク
ロトラック粒径分布測定器(日機装社製)で測定したと
ころ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が
0.30μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)
が0.76μmであった。前記のバッチ重合を2時間行
った環状型反応器に、この水系分散液を添加し、第一の
懸濁液中に含まれているのとほぼ同量のコロイドを補填
した。一方、コロイドを含有する水系分散液の添加量と
同じ量の反応液を抜き取った。次いで、反応系の温度が
90℃になるように昇温した。これらの操作は、反応器
内への分散安定剤の水系分散液の添加に相当する。プラ
ント規模での生産ラインでは、間欠的もしくは連続的な
添加を行い、反応液の抜き取りも連続的に行う。
【0068】連続重合 分散安定剤のコロイドを補填した反応液を含有する環状
型反応器内に、レシュプロポンプを用いて、供給口から
第二の懸濁液を連続的に添加し、排出口から、この添加
量に相当する量の反応液を連続的に抜き取った。連続重
合を1時間継続することにより、当初の添加量と同量の
第二の懸濁液を添加し、かつ、抜き取った。連続重合1
時間経過後に得られた反応液を分析した結果、転化率が
95%であり、体積平均粒径及び粒径分布も、前記とほ
ぼ同様であった。環状型反応器には、汚れの付着はな
く、反応開始前と同じ状態であった。
【0069】付加的工程 連続重合により得られた転化率が95%の反応液を槽型
反応器に導入し、2時間懸濁重合を継続したところ、転
化率が98%に上昇し、未反応の重合性単量体の残留濃
度が1.8重量%、体積平均粒径が8.1μm、粒径分
布が1.34の着色粒子が得られた。さらに2時間懸濁
重合(合計4時間)を継続したところ、転化率が99%
に上昇し、未反応の重合性単量体の残留濃度が1.0重
量%、体積平均粒径が7.6μm、粒径分布が1.33
の着色粒子が得られた。着色粒子の粒径分布は、2時間
反応後も4時間反応後も均一であった。着色粒子は、反
応液に硫酸を添加しpHを4以下に調整して酸洗浄(2
5℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した後、
再度イオン交換水を加えて再スラリー化して水洗浄を行
い、その後、脱水と水洗浄を数回繰り返し行ってから、
固形分を濾過し、乾燥機にて50℃で一昼夜乾燥を行う
ことにより回収した。電子顕微鏡(SEM)写真によ
り、得られた着色粒子の形状を観察したところ、球状粒
子が生成しており、粒子相互の凝集や異形粒子は、ほと
んど見られなかった。このようにして、目標とする粒径
と粒径分布を有する重合法トナーを得ることができた。
【0070】[比較例1]実施例1において、「バッ
チ重合」工程で2時間懸濁重合を行った後、「分散安
定剤の水系分散液の添加」工程を実施することなく、
「連続重合」工程を実施した。ただし、「連続重
合」工程では、連続重合を1時間継続することにより、
当初の仕込み量と同量の第二の懸濁液を仕込み、かつ、
抜き取った。連続重合1時間経過後に得られた反応液を
分析した結果、転化率は、96%であった。得られた反
応液に対して、実施例1と同様に、酸洗浄、濾過、水
洗、乾燥を行って着色粒子を回収した。この着色粒子の
体積平均粒径は約20μmにまで肥大化しており、粒径
分布も約5になっていた。電子顕微鏡写真を用いて観察
したところ、バッチ重合時とは異なり、粒子が異形化
し、かつ、異形粒子同士が凝集してクラスター状になっ
ていた。また、反応器の管壁の汚れが見られ、使ってい
ないブローノズルからの液の抜き出しも困難となった。
【0071】[比較例2]実施例1において、「バッ
チ重合」工程で2時間懸濁重合を行った後、「分散安
定剤の水系分散液の添加」工程を実施することなく、
「連続重合」工程を1時間実施した。さらに、実施例
1と同様にして、連続重合により得られた反応液を槽型
反応器に導入し、2時間懸濁重合を継続したところ、転
化率が98%に上昇し、さらに、2時間懸濁重合(合計
4時間)を継続したところ、転化率が99%に上昇し
た。このように、比較例2では、比較例1と比べて、付
加的工程により転化率を高めたが、得られた着色粒子の
粒径は、比較例1と同様に肥大化しており、粒径分布も
ブロードなものとなっていることが判明した。電子顕微
鏡写真による観察結果では、粒子の凝集及びクラスター
状のものは大幅に低下したが、個々の粒子は独立して存
在しているものの、合一肥大化している様子が見てとれ
た。また、粒子の中に羽毛立った白片状ものもが多数散
見された。また、比較例1と同様、反応器の管壁の汚れ
が見られた。
【0072】[比較例3]実施例1において、「バッ
チ重合」工程で2時間懸濁重合を行った後、「分散安
定剤の水系分散液の添加」工程を実施することなく、
「連続重合」工程を1時間実施した。ただし、連続重
合工程では、第二の懸濁液として、実施例1で調製した
懸濁液に、実施例1で調製した分散安定剤の水系分散液
を添加して、分散安定剤(コロイド)の濃度を50%高
めた懸濁液を使用した。連続重合反応は、反応温度が上
下に変動して安定しなかった。得られた反応液から前記
と同様に処理して着色粒子を回収し、分析した結果、体
積平均粒径は17μmに肥大化しており、粒径分布も
2.8とブロードなものとなっていた。電子顕微鏡写真
による観察結果では、粒子の凝集が見られた。また、反
応器の管壁の汚れが見られた。
【0073】[実施例2]実施例1の「付加的工程」
を4時間実施した後、反応液にシェル形成用重合性単量
体を添加して、コア・シェル構造の重合法トナーの製造
実験を行った。より具体的には、メチルメタクリレート
3部と水30部を超音波乳化機にて微分散化処理して、
シェル形成用重合性単量体の微細な液滴を含有する水系
分散液を得た。この液滴の粒径は、得られた液滴を1%
ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に濃度3%で加え
て、マイクロトラック粒径分布測定器で測定したとこ
ろ、D 90が1.6μmであった。前記反応液に、シェル
形成用重合性単量体の微細な液滴を含有する水系分散液
と、水溶性ラジカル重合開始剤[2,2′−アゾビス
〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオ
ンアミド〕]0.3部を蒸留水30部に溶解した溶液と
を加え、8時間重合を行った。重合反応終了後、反応液
に硫酸を加えてpHを約5にして酸洗浄(25℃、10
分間)を行った。次いで、濾過、脱水、洗浄水の振りか
けによる水洗浄を行い、その後、45℃の乾燥機で一昼
夜乾燥してコア・シェル構造の重合法トナーを得た。こ
の重合法トナーの体積平均粒径は、7.2μmであっ
た。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、連続重合法により、装
置の汚れを防ぎつつ、所望の粒径を有し、粒径分布が均
一で、かつ、形状が球形に整った重合法トナーを製造す
る方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いられる環状型反応器の
一例を示す説明図である。
【図2】本発明の製造方法に用いられる槽型反応器の一
例を示す説明図である。
【符号の説明】
1:環状型反応器 2:循環ポンプ 3:攪拌機 4:反応液の抜き取りライン 5:加熱・冷却ライン 6:ジャケット 7:導入ライン 8:懸濁液のフィードライン 9:懸濁液の貯蔵槽 10:フィードポンプ 21:槽型反応器 22:懸濁液のフィードライン 23:攪拌機 24:反応液の抜き取りライン 25:ポンプ 26:反応液の抜き取りライン 27:反応液の一時貯蔵槽 28:反応液の抜き取りライン 29:ジャケット 30:懸濁液の貯蔵槽 31:フィードポンプ 32:導入ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H005 AB06 4J011 AA04 AA08 AB08 BA01 BA08 BB04 BB10 DA03 JA02 JA03 JA04 JA05 JB07 JB08 JB12 JB24 JB26 JB29

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散安定剤を含有する水系分散媒体中
    で、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する単量
    体組成物を微小な液滴として懸濁させた後、重合開始剤
    の存在下、懸濁重合して着色粒子を製造する重合法トナ
    ーの製造方法において、(1) 反応器内に、分散安定剤を
    含有する水系分散媒体中に単量体組成物の微小な液滴を
    懸濁させた第一の懸濁液を仕込み、重合開始剤の存在
    下、重合性単量体の転化率が少なくとも90%になるま
    で懸濁重合を行い、次いで、(2) 反応器内に、分散安定
    剤の水系分散液を添加した後、または連続的もしくは間
    欠的に添加しつつ、(3) 反応器内に、分散安定剤を含有
    する水系分散媒体中に単量体組成物の微小な液滴を懸濁
    させた第二の懸濁液を連続的に添加し、重合開始剤の存
    在下、懸濁重合を継続するとともに、(4) 反応器から、
    重合性単量体の転化率が少なくとも90%の反応液を連
    続的に抜き出すことを特徴とする重合法トナーの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 分散安定剤が、難水溶性金属化合物のコ
    ロイドである請求項1記載の重合法トナーの製造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003131425A (ja) * 2001-10-22 2003-05-09 Canon Inc トナーの製造方法
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JP2004069887A (ja) * 2002-08-05 2004-03-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd トナー、トナーの製造方法、及び画像形成装置
JP2007156244A (ja) * 2005-12-07 2007-06-21 Mitsubishi Chemicals Corp 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2018072580A (ja) * 2016-10-31 2018-05-10 キヤノン株式会社 トナー粒子の製造方法

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